以下、本発明の実施の形態をコンバインに適用した脱穀装置について、図面に基づいて説明する。図1は、コンバインの全体を示す左側面図である。図2は、コンバインの全体を示す平面図である。図1,2に示す[F]の方向が走行機体1の前方向、[B]の方向が走行機体1の後方向、図2に示す[L]の方向が走行機体1の左方向、図2に示す[R]の方向が走行機体1の右方向と定義する。
図1,2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置2が装備された走行機体1を備えている。走行機体1の前部における右側部位に運転部3が形成されている。運転部3に運転座席4が設けられている。運転部3は、キャビン5によって覆われている。運転座席4の下方にエンジン(図示せず)が設けられている。走行機体1の後部に脱穀装置6、及び、脱穀物タンク7が設けられている。脱穀装置6と脱穀物タンク7とは、脱穀物タンク7が運転部3の後側に位置する状態で走行機体1の横幅方向に並んでいる。脱穀装置6の後部に排ワラ細断装置8が装備されている。走行機体1の前部における脱穀装置側の部位から刈取り搬送装置9が前方向きに延出されている。刈取り搬送装置9には、走行機体1から前方へ上下揺動操作可能に延出された搬送部10、及び、走行機体1の前方に設けられ、後部が搬送部10の前端部に連結された刈取部11を備えている。刈取部11は、搬送部10が昇降シリンダ12の伸縮によって揺動操作されることによって、下降作業状態と上昇非作業状態とにわたって昇降操作される。
コンバインにおいては、刈取部11を下降作業状態に下降させ、この状態で走行機体1を走行させることにより、作物としての稲、麦、大豆などの収穫作業を行なえる。すなわち、刈取部11において、圃場の植立穀稈のうち、走行機体の前方に位置する植立穀稈の穂先側が回転リール13によって後方に掻き込まれつつ、植立穀稈の株元側が刈取装置14によって切断されて、植立穀稈の刈取りが行われ、刈取り穀稈の株元から穂先までの全体がオーガ15によって搬送部10へ搬送される。搬送部10へ搬送された刈取穀稈が搬送部10によって後方へ搬送されて脱穀装置6に供給される。脱穀装置6において、供給された作物としての刈取り穀稈が脱穀処理され、脱穀処理によって得られた脱穀粒を塵埃と選別する選別処理が行われる。脱穀排ワラが排ワラ細断装置8によって細断処理される。細断ワラは、排ワラ細断装置8の下部に備えられた排出口カバー8aによって案内されて走行機体1の後方へ排出される。選別処理後の脱穀粒が揚穀装置16によって脱穀物タンク7に供給されて貯留される。脱穀物タンク7に貯留された脱穀粒は、脱穀物排出装置17によって脱穀物タンク7から取出すことができる。
〔脱穀装置6の構成〕
図3に示すように、脱穀装置6は、脱穀機体20を備えている。脱穀機体20の上部に脱穀部6Aが形成され、脱穀機体20の下部に選別部6Bが形成されている。
図3,4に示すように、脱穀部6Aは、扱室21、扱室21に設けられた扱胴22、及び、扱胴22の下方に設けられた受網24を備えている。扱室21は、脱穀機体20の左右の側壁20s、前壁20f及び後壁20rと、天板25と、受網24とによって形成されている。扱胴22は、回転支軸22cを介して前壁20f及び後壁20rに支持され、回転支軸22cの脱穀装置前後方向に延びる軸芯を回転軸芯Yにして扱胴駆動部22dによって回転駆動される。扱胴22は、前部に形成された掻込み部22a、及び、掻込み部22aの後側に形成された扱き処理部22bを備えている。天板25の内面側に扱室21の前後方向に並ぶ複数の送塵弁25aが支持されている。扱室21の左側部に、脱穀カバー28によって覆われた開口部29が形成されている。
図3に示すように、脱穀部6Aにおいては、搬送部10によって扱室21の前端部に供給された作物としての刈取穀稈が掻込み部22aによって扱胴22の後方に向けて掻き込まれて扱き処理部22bに供給される。扱き処理部22bに供給された穀稈が扱歯23及び受網24によって脱穀処理される。扱き処理部22bによって回動力を付与された脱穀処理物が送塵弁25aに当接し、扱室21の後方に向けて流動するように送塵弁25aによって案内され、脱穀処理物は、扱室21の後方に向けて移送されつつ脱穀処理される。脱穀処理によって得られた脱穀粒が受網24の処理物漏下穴を通って選別部6Bに落下する。脱穀処理によって発生した脱穀塵埃としてのわら屑が扱室21の後部に位置する排塵口26から扱室21の後方へ排出される。扱室21から排出された脱穀塵埃は、脱穀機体20の後部に位置する排出口27から排ワラ細断装置8に流入する。
図3に示すように、選別部6Bにおいては、受網24から漏下した脱穀処理物が揺動選別装置30のグレンパン33、篩い線部34、第1チャフシーブ35、グレンシーブ36及び第2チャフシーブ37によってゆすられて、かつ、唐箕38からの選別風を受けて、後方に移送されつつ穀粒とワラ屑などの塵埃とに選別処理される。選別処理によって得られた1番処理物としての精粒が1番回収部39に落下して回収され、1番回収部39によって脱穀機体20の外部へ排出される。排出された精粒は、揚穀装置16に受け継がれる。選別処理によって得られた2番処理物としての未処理粒が2番回収部40に落下して回収され、2番回収部40によって脱穀機体20の外部へ排出される。排出された未処理粒は、還元装置(図示せず)に受け継がれ、還元装置によって選別部の前部に搬送されて揺動選別装置30の前部に還元される。揺動選別装置30において選別されたワラ屑などの選別塵埃は、排出口27から排ワラ細断装置8へ流入する。
〔送塵弁25aについて〕
図5,6に示すように、送塵弁25aは、天板25の内面側に揺動支点軸41を介して揺動可能に支持されている。各送塵弁25aの遊端側に連動リンク42が連結ピン43を介して連結されている。複数の送塵弁25aは、同一の揺動方向に連動して揺動するように連動リンク42によって連動連結されている。天板25の上方において、一つの送塵弁25aの揺動支点軸41から送塵調節レバー44が運転部3の近くに向けて延出されている。図5,6に示すように、送塵調節レバー44から位置決めピン45が下向きに突設されている。天板25に固定部材46が固定されている。
送塵調節レバー44の操作部44aを持ち上げ操作し、送塵調節レバー44が揺動支点軸側を揺動支点にして弾性揺動変形して位置決めピン45が固定部材46のピン穴46aから抜け上がると、送塵調節レバー44を、揺動支点軸41を揺動支点にして揺動調節する。すると、揺動支点軸41が回動して送塵弁25cを揺動操作し、この送塵弁25cによって連動リンク42が扱胴22の回転軸芯Yに沿った方向に移動操作され、他の送塵弁25cが連動リンク42によって揺動操作される。すなわち、複数の送塵弁25cの送り案内角を調節できる。送塵調節レバー44の弾性復元力により、位置決めピン45を固定部材46の複数のピン穴46aのうちの選択したピン穴46aに差し入れる。すると、位置決めピン45と固定部材46との係合により、送塵調節レバー44が調節した操作位置に位置決めされ、複数の送塵弁25cを調節した送り角の取付姿勢に保持できる。
図5,6に示すように、送塵調節レバー44の上方に持上げ規制部材47が設けられている。持上げ規制部材47は、天板25に固定されている。送塵調節レバー44の持ち上げ高さが設定高さになると、送塵調節レバー44が持上げ規制部材47に当たり、持ち上げ高さが設定高さを越えないように持上げ規制部材47によって規制される。すなわち、位置決めピン45を固定部材46から抜き上げるとき、及び、送塵調節レバー44を揺動操作するとき、送塵調節レバー44が持ち上げられ過ぎると、送塵調節レバー44が塑性変形するので、送塵調節レバー44の持ち上げ可能な高さが、送塵調節レバー44の塑性変形を発生させない範囲の高さに持上げ規制部材47によって設定される。本実施形態では、持上げ規制部材47は、丸棒部材によって構成されている。持上げ規制部材47を構成する部材としては、丸棒部材限らず、角棒部材、チャンネル部材、平板部材、管部材など各種の部材の利用が可能である。
〔受網24について〕
図4,7に示すように、受網24は、扱胴22の周方向に沿って二分割され、かつ、扱胴22の回転軸芯Y方向に沿って三分割されている。つまり、受網24は、六つの分割受網体50を有している。
六つの分割受網体50の夫々は、扱室21の左側部に形成された開口部29(図4参照)から順次に扱室21へ差し込まれる。また、六つの分割受網体50の夫々は、開口部29から順次に扱室21の外部へ抜き出される。つまり、本実施形態において、分割受網体50の「差し込み方向」は、脱穀装置6の左側から右側に向かう方向であり、分割受網体50の「抜き出し方向」は、脱穀装置6の右側から左側に向かう方向である。したがって、本実施形態において、「差し込み方向奥側」とは、右側を意味し、「差し込み方向手前側」とは、左側を意味する。詳しくは後述するが、六つの分割受網体50は、各別に支持フレーム51(図7参照)に固定される。以下において、六つ分割受網体50のうち、開口部29から遠い側の三つの分割受網体50を分割奥側受網体50Rと呼称し、開口部29に近い側の三つの分割受網体50を分割手前側受網体50Lと呼称する。
図4,7に示すように、支持フレーム51は、扱室21を形成し、かつ、受網24を支持する。支持フレーム51は、前支持フレーム51Fと、二つの横向き支持フレーム51Yと、後支持フレーム51Bと、手前側取付けフレーム51Lと、中間取付けフレーム51Nと、奥側取付けフレーム51Rと、を備えている。
前支持フレーム51Fは、受網24の前端部箇所を通過するように延びて、扱室21の両側壁21sに亘っている。後支持フレーム51Bは、受網24の後端部箇所を通過するように延びて、扱室21の両側壁21sに亘っている。二つの横向き支持フレーム51Yは、前支持フレーム51Fと後支持フレーム51Bとの間に扱胴22の回転軸芯Y方向に間隔を空けて並んでいる。二つの横向き支持フレーム51Yは、隣り合う分割奥側受網体50Rの境界箇所及び隣り合う分割手前側受網体50Lの境界箇所を通過するように延びて、扱室21の両側壁21sに亘っている。詳述すると、二つの横向き支持フレーム51Yのうち、前側の横向き支持フレーム51Yは、最も前の分割奥側受網体50Rと中央の分割奥側受網体50Rとの境界箇所、及び、最も前の分割手前側受網体50Lと中央の分割手前側受網体50Lとの境界箇所を通過するように延びている。二つの横向き支持フレーム51Yのうち、後側の横向き支持フレーム51Yは、中央の分割奥側受網体50Rと最も後の分割奥側受網体50Rとの境界箇所、及び、中央の分割手前側受網体50Lと最も後の分割手前側受網体50Lとの境界箇所を通過するように延びている。
手前側取付けフレーム51Lは、扱室21の開口部側の側部箇所において、扱胴22の回転軸芯Y方向に沿って延びて、前支持フレーム51Fと後支持フレーム51Bとに亘っている。中間取付けフレーム51Nは、分割奥側受網体50Rと分割手前側受網体50Lとの境界箇所を通るように扱胴22の回転軸芯Y方向に沿って延びて、前支持フレーム51Fと後支持フレーム51Bとに亘っている。奥側取付けフレーム51Rは、扱室21の開口部側と反対の側部箇所において、扱胴22の回転軸芯Y方向に沿って延びて、前支持フレーム51Fと後支持フレーム51Bとに亘っている。
前支持フレーム51Fのうち、手前側取付けフレーム51Lと中間取付けフレーム51Nとの間の部位、各横向き支持フレーム51Yのうち、手前側取付けフレーム51Lと中間取付けフレーム51Nとの間の部位における前後側、後支持フレーム51Bのうち、手前側取付けフレーム51Lと中間取付けフレーム51Nとの間の部位の夫々に手前側支持部52が備えられている。
図14に示すように、前支持フレーム51Fの手前側支持部52は、連結ボルト53aによって前支持フレーム51Fに脱着可能に支持されている。前支持フレーム51Fのボルト穴53bは、扱胴22の半径方向に沿った方向に長い形状に形成されている。前支持フレーム51Fにおける手前側支持部52の取付け位置をボルト穴53bの長穴形状によって扱胴側及び扱胴側と反対側に調節できる。
後支持フレーム51Bの手前側支持部52の詳細な図示はしないが、後支持フレーム51Bの手前側支持部52は、前支持フレーム51Fの手前側支持部52の支持構成と同じ支持構成で後支持フレーム51Bに支持されている。後支持フレーム51Bの手前側支持部52は、脱着可能に支持されている。後支持フレーム51Bにおける手前側支持部52の取付け位置を扱胴側及び扱胴側と反対側に調節できる。
図13に示すように、各横向き支持フレーム51Yにおける前側の手前側支持部52及び後側の手前側支持部52は、横向き支持フレーム51Yに脱着可能に支持されている。各横向き支持フレーム51Yにおける前側の手前側支持部52と後側の手前側支持部52とは、共用の手前側支持部によって構成されている。
すなわち、図13に示すように、横向き支持フレーム51Yには、手前側支持部52から扱胴側に突出する突状部54が備えられ、突状部54に切欠部55が形成されている。本実施形態では、切欠部55は、貫通穴形状に形成されている。貫通穴形状の切欠部に代え、上向き(扱胴向き)に開口する溝形状の切欠部を採用してもよい。横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52は、切欠部55を前後方向に通されて、横向き支持フレーム51Yの前後側に亘って位置する載置部56を備えている。載置部56のうち、突状部54より前側に位置する部位56fに、隣り合う分割手前側受網体50Lのうちの前側に位置する分割手前側受網体50Lの後端部が載置されるようになっている。載置部56のうち、突状部54より後側に位置する部位56rに、隣り合う分割手前側受網体50Lのうちの後側に位置する分割手前側受網体50Lの前端部が載置されるようになっている。手前側支持部52は、載置部56から下向きに突設された連結部57を備えている。連結部57は、横向き支持フレーム51Yに連結ボルト58aによって脱着可能に連結され、載置部56を横向き支持フレーム51Yに脱着可能に連結している。連結ボルト58aを締め込むナット部材は、連結部57に一体的に形成されている。
切欠部55は、載置部56の上下移動を許容する大きさの切欠部に形成されている。横向き支持フレーム51Yのボルト穴58bは、扱胴22の半径方向に沿った方向に長い形状に形成されている。横向き支持フレーム51Yにおける手前側支持部52の取付け位置を切欠部55の大きさ、及び、ボルト穴58bの長穴形状によって扱胴側及び扱胴側と反対側に調節できる。
図7,10,13に示すように、前支持フレーム51Fのうちの中間取付けフレーム51Nと奥側取付けフレーム51Rとの間の部位、各横向き支持フレーム51Yのうちの中間取付けフレーム51Nと奥側取付けフレーム51Rとの間の部位における前後側、後支持フレーム51Bのうちの中間取付けフレーム51Nと奥側取付けフレーム51Rとの間の部位の夫々に、奥側支持部59が備えられている。本実施形態では、奥側支持部59は、中間取付けフレーム51Nと奥側取付けフレーム51Rとの間の部位の略全長に亘って備えられ、抜き差しされる分割奥側受網体50Rをスライド案内するガイドレール機能を備えている。
図7,10,13に示すように、各横向き支持フレーム51Yの突状部54は、奥側支持部59及び手前側支持部52から扱胴側に突出しており、かつ、扱胴22の周方向において受網24の形状に沿って延びており、隣り合う分割奥側受網体50Rどうしの間、及び、隣り合う分割手前側受網体50Lどうしの間に入り込む。隣り合う分割奥側受網体50Rどうしの間の隙間、及び、隣り合う分割手前側受網体50Lの間の隙間が突状部54によって埋められる。分割奥側受網体50Rにおける突状部54による隙間埋めは、分割奥側受網体50Rの全幅に亘って行われる。分割手前側受網体50Lにおける突状部54による隙間埋めは、分割手前側受網体50Lの全幅に亘って行われる。
図7,15に示すように、手前側取付けフレーム51Lのうちの前支持フレーム51Fと前側の横向き支持フレーム51Yとの間の部位、手前側取付けフレーム51Lのうちの横向き支持フレーム51Yどうしの間の部位、及び、手前側取付けフレーム51Lのうちの後の横向き支持フレーム51Yと後支持フレーム51Bとの間の部位の夫々に、挟持部材60が備えられている。図15に示すように、挟持部材60は、連結部60aと、連結部60aの下部から手前側取付けフレーム51Lの下方へ向かって延びる挟持部60bとを備えている。連結部60aは、手前側取付けフレーム51Lに差し込み方向手前側から当て付けられ、連結ボルト61を差し込み方向手前側から差し込み方向奥側に向けて締め付けて手前側取付けフレーム51Lに連結されて、挟持部材60を手前側取付けフレーム51Lに連結する。挟持部材60は、手前側取付けフレーム51Lに差し込み方向手前側から脱着可能に支持され、分割手前側受網体50Lの差し込み方向手前側の端部を挟持部60bと手前側取付けフレーム51Lとによって挟持して手前側取付けフレーム51Lに支持する。挟持部材60は、扱胴22の回転軸芯Y方向において分割手前側受網体50Lの前後幅の略全長に亘る長尺部材によって構成されている。分割手前側受網体50Lの差し込み方向手前側の端部の前後幅方向での広い範囲にわたって挟持部材60によって挟持力が付与される。本実施形態では、挟持部材60は、分割手前側受網体50Lの前後幅の略全長に亘る長さを備える長尺部材によって構成されているが、分割手前側受網体50Lの前後幅の全長に等しい長さを備える長尺部材によって構成してもよく。本発明においては、いずれの長尺部材も、分割手前側受網体50Lの前後幅に亘る長尺部材とする。
六つの分割受網体50のうち、扱室前部における左右二つの分割受網体50(分割奥側受網体50Rと分割手前側受網体50L)と、扱室中間部における左右二つの分割受網体50(分割奥側受網体50Rと分割手前側受網体50L)と、扱室後部における左右二つの分割受網体50(分割奥側受網体50Rと分割手前側受網体50L)とは、同一の構成であるため、以下では、扱室前部における左右二つの分割受網体50について主に説明し、扱室中間部における左右二つの分割受網体50、扱室後部における左右二つの分割受網体50については、必要に応じて説明する。
以下において、差し込み方向奥側を右側と称し、差し込み方向手前側を左側と称して説明する。図7,11,12に示すように、扱室前部における二つの分割受網体50のうちの右側の分割受網体50、すなわち分割奥側受網体50Rの左側の端部は、前後方向に並ぶ三つの連結ボルト62(図11,12参照)で中間取付けフレーム51Nに支持される。分割奥側受網体50Rの左側の端部は、三つの連結ボルト62を分割奥側受網体50Rの差し込み方向手間側から差し込み方向奥側に向けて締め付けることにより、中間取付けフレーム51Nに支持される。図8に示すように、扱室前部における分割奥側受網体50Rの右側の端部は、奥側取付けフレーム51Rにボルト等で支持されない。つまり、分割奥側受網体50Rにおける右側の端部は、奥側取付けフレーム51Rの下部に宛がわれているだけである。
図9に示すように、扱室前部における分割奥側受網体50Rの前端部が前支持フレーム51Fの奥側支持部59によって下方から受け止め支持される。図10に示すように、扱室前部における分割奥側受網体50Rの後端部が前側の横向き支持フレーム51Yの前側の奥側支持部59によって下方から受け止め支持される。
扱室中間部における二つの分割受網体50のうちの右側の分割受網体50、すなわち分割奥側受網体50Rにあっては、分割奥側受網体50Rの前端部が前側の横向き支持フレーム51Yの後側の奥側支持部59によって下方から受け止め支持され、分割奥側受網体50Rの後端部が後側の横向き支持フレーム51Yの前側の奥側支持部59によって下方から受け止め支持される。
扱室後部における二つの分割受網体50のうちの右側の分割受網体50、すなわち、分割奥側受網体50Rにあっては、分割奥側受網体50Rの前端部が後側の横向き支持フレーム51Yの後側の奥側支持部59によって下方から受け止め支持され、分割奥側受網体50Rの後端部が後支持フレーム51Bの奥側支持部59によって下方から受け止め支持される。
図13に示すように、扱室前部における二つの分割受網体50のうちの左側の分割受網体50、すなわち分割手前側受網体50Lの右側の端部は、分割奥側受網体50Rの左側の端部に重ね合わされた状態で、三つの連結ボルト62のうちの前側の連結ボルト62及び後側の連結ボルト62で中間取付けフレーム51Nに支持される。図15に示すように、扱室前部における分割手前側受網体50Lの左側の端部は、挟持部材60と手前側取付けフレーム51Lとによる挟持によって手前側取付けフレーム51Lに支持される。
図14に示すように、扱室前部における分割手前側受網体50Lの前端部が前支持フレーム51Fの手前側支持部52によって下方から受け止め支持され、扱室前部における分割手前側受網体50Lの後端部が前側の横向き支持フレーム51Yの前側の手前側支持部52によって下方から受け止め支持される。扱室前部の分割手前側受網体50Lの後端部の手前側支持部52による受け止め支持は、詳しくは、図13に示すように、分割手前側受網体50Lの後端部が前側の横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52における載置部56のうち、突状部54より前側の部位56fに載置されることによって行なわれる。
扱室中間部における二つの分割受網体50のうちの左側の分割受網体50、すなわち、分割手前側受網体50Lにあっては、分割手前側受網体50Lの前端部が前側の横向き支持フレーム51Yの後側の手前側支持部52によって下方から受け止め支持され、分割手前側受網体50Lの後端部が後側の横向き支持フレーム51Yの前側の手前側支持部52によって下方から受け止め支持される。分割手前側受網体50Lの前端部の手前側支持部52による受け止め支持は、詳しくは、図13に示すように、分割手前側受網体50Lの前端部が前側の横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52における載置部56のうち、突状部54より後側の部位56rに載置されることによって行なわれる。分割手前側受網体50Lの後端部の手前側支持部52による受け止め支持は、詳しくは、分割手前側受網体50Lの後端部が後側の横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52における載置部56のうち、突状部54より前側の部位56rに載置されることによって行なわれる。
扱室後部における二つの分割受網体50のうちの左側の分割受網体50、すなわち分割手前側受網体50Lにあっては、分割手前側受網体50Lの前端部が後側の横向き支持フレーム51Yの後側の手前側支持部52によって下方から受け止め支持され、分割手前側受網体50Lの後端部が後支持フレーム51Bの手前側支持部52によって下方から受け止め支持される。分割手前側受網体50Lの前端部の手前側支持部52による受け止め支持は、詳しくは、分割手前側受網体50Lの前端部が後側の横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52における載置部56のうち、突状部54より後側の部位56rに載置されることによって行なわれる。
分割受網体50単体について、説明する。図16に示すように、分割受網体50のうちの分割奥側受網体50Rの左側(差し込み方向手前側)の端部に手前側フランジ部63が備えられている。手前側フランジ部63に、扱胴回転軸芯Y方向に間隔を空けて並ぶ三つのボルト穴62aが形成されている。
図17に示すように、分割受網体50のうちの分割手前側受網体50Lの左側(差し込み方向手前側)の端部に手前側フランジ部65が備えられている。分割手前側受網体50Lの右側(差し込み方向奥側)の端部に位置する受網構成部材66に、扱胴回転軸芯Y方向に間隔を空けて並ぶ二つボルト穴62bが形成されている。
次に、分割受網体50の固定方法について説明する。なお、以下では、六つの分割受網体50のうち扱室前部における二つの分割受網体50である分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lを例として、分割受網体50の固定方法について説明する。
先ず、前支持フレーム51Fの手前側支持部52、及び、前側の横向き支持フレーム51Yの前側の手前側支持部52が取り外される。この取り外し状態で、扱室前部における分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lのうち、分割奥側受網体50Rが、手前側フランジ部63を左側に位置させた状態で、扱室21の左側部(開口部29)から差し込まれる。そして、図11に示すように、分割奥側受網体50Rの手前側フランジ部63が一つの連結ボルト62で中間取付けフレーム51Nに支持される。すなわち、手前側フランジ部63の三つのボルト穴62aのうちの中央のボルト穴62aのみに連結ボルト62が装着され、この連結ボルト62で手前側フランジ部63が中間取付けフレーム51Nに支持される。具体的には、分割奥側受網体50Rにおける手前側フランジ部63が、中間取付けフレーム51Nの左側面に宛がわれた状態で、一つの連結ボルト62で中間取付けフレーム51Nに支持される。なお、上述のように、分割奥側受網体50Rにおける奥側の端部は、奥側取付けフレーム51Rの下部に宛がわれるだけであり、奥側取付けフレーム51Rにボルト等で固定されない。(図8参照)
続いて、扱室前部における分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lのうちの分割手前側受網体50Lが、手前側フランジ部65を左側に位置させた状態で、扱室21の左側部(開口部29)から差し込まれる。そして、分割手前側受網体50Lの奥側端部の受網構成部材66が、分割奥側受網体50Rの手前側フランジ部63に対向した状態で、分割奥側受網体50Rの手前側フランジ部63と共に、二つの連結ボルト62で中間取付けフレーム51Nに支持される。詳しくは、二つの連結ボルト62のうちの一方の連結ボルト62は、分割手前側受網体50Lにおける奥側端部の受網構成部材66の二つのボルト穴62bのうちの前側のボルト穴62bと、分割奥側受網体50Rにおける手前側フランジ部63の三つのボルト穴62aのうちの最も前のボルト穴62aとに挿通される。二つの連結ボルト62のうちの他方の連結ボルト62は、分割手前側受網体50Lにおける奥側端部の受網構成部材66の二つのボルト穴62bのうちの後側のボルト穴62bと、分割奥側受網体50Rにおける手前側フランジ部63の三つのボルト穴62aのうちの最も後のボルト穴62aとに挿通される。
このとき、分割奥側受網体50Rの手前側フランジ部63において前後のボルト穴62aを備えるブラケットと、分割手前側受網体50Lの奥側端部の受網構成部材66における前後のボルト穴62bを備えるブラケットとが重なるので、分割奥側受網体50Rの手前側フランジ部63の中間のボルト穴62aに先に装着されている連結ボルト62と、分割手前側受網体50Lの奥側端部の受網構成部材66とは干渉しない。
次に、図15に示すように、分割手前側受網体50Lの手前側フランジ部65が、手前側取付けフレーム51Lと挟持部材60とによって挟持されて手前側取付けフレーム51Lに支持される。
最後に、前支持フレーム51Fに手前側支持部52が取り付けられ、前側の横向き支持フレーム51Yに前側の手前側支持部52が取り付けられる。本実施形態では、前側の横向き支持フレーム51Yの前側の手前側支持部52と、前側の横向き支持フレーム51Yの後側の手前側支持部52とが共用の手前側支持部によって構成されているので、前側の横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52の取付けは、扱室前部の分割手前側受網体50Lが手前側取付けフレーム51Lに支持され、かつ、扱室中間部の分割手前側受網体50Lが手前側取付けフレーム51Lに支持された後に行われる。これにより、分割奥側受網体50Rの前端部が前支持フレーム51Fの奥側支持部59によって下方から受け止め支持され、分割奥側受網体50Rの後端部が前側の横向き支持フレーム51Yの前側の奥側支持部59によって下方から受け止め支持される。分割手前側受網体50Lの前端部が前支持フレーム51Fの手前側支持部52によって下方から受け止め支持され、分割手前側受網体50Lの後端部が前側の横向き支持フレーム51Yの前側の手前側支持部52によって下方から受け止め支持される。分割手前側受網体50Lの後端部の手前側支持部52による受け止め支持は、詳しくは、上述したように、前側の横向き支持フレーム51Yの手前側支持部52における載置部56のうち、突状部54より前側に位置する部位56fによって行なわれる。
なお、ここでは、六つ分割受網体50のうち扱室前部における二つの分割受網体50である分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lを例として、分割受網体50の固定方法について説明したが、扱室中間部の二つの分割受網体50である分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lの固定方法も、扱室後部の二つの分割受網体50である分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lの固定方法も、扱室前部における分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lの固定方法と同様の手順で行われる。
また、ここでは、分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lの固定方法について説明したが、分割奥側受網体50R及び分割手前側受網体50Lを抜き出す場合、固定方法と逆の手順で行われる。
以下、本発明に係る別実施形態について説明する。
(1)上記実施形態において、扱胴22の回転軸芯Y方向が走行機体1の前後方向になる状態で脱穀装置6が走行機体1に搭載されているが、扱胴22の回転軸芯Y方向が走行機体1の横方向など如何なる方向になる状態で搭載された形態でもよい。
(2)上記実施形態において、分割受網体50の「差し込み方向」は、脱穀装置6の左側から右側に向けての方向であるが、扱室21の右側部に開口部を形成し、「差し込み方向」を脱穀装置6の左側から右側に向けての方向としてもよい。
(3)上記実施形態において、受網24は、扱胴22の回転軸芯Y方向に沿って三分割されているが、扱胴22の回転軸芯Y方向に沿って二分割されていても、四分割以上に分割されていてもよい。また、受網24は、扱胴22の回転軸芯Yの方向に沿って分割されず、扱胴22の周方向に沿ってのみ二分割された形態であってもよい。すなわち、受網24は、上記実施形態の三つの分割奥側受網体50Rに相当する一つの奥側受網体と、上記実施形態の三つの分割手前側受網体50Lに相当する一つの手前側受網体とに分割されていてもよい。この場合、挟持部材60は、手前側受網体の前後幅に亘る一つの長尺部材によって構成すると好適である。
(4)上記実施形態において、横向き支持フレーム51Yの前後側の手前側支持部52を前後側に共用の手前側支持部52によって構成されているが、前後側に別々に着脱可能に支持する手前側支持部を採用してもよい。
(5)上記実施形態において、突状部54を備えているが、突状部54を備えないで実施してもよい。
(6)上記実施形態において、挟持部材60を採用しているが、挟持部材60を採用せず、分割手前側受網体50Lの手前側端部を手前側取付けフレーム51Lにボルトによって支持する構成を採用してもよい。
(7)上記実施形態において、挟持部材60は、分割手前側受網体50Lの前後副に亘る長尺部材によって構成されているが、分割手前側受網体50Lの前後副に至らない長さの部材によって構成してもよい。