JP6770533B2 - Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1レセプターへの結合との両方を阻害するヒトモノクローナル抗体フラグメント - Google Patents

Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1レセプターへの結合との両方を阻害するヒトモノクローナル抗体フラグメント Download PDF

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Description

発明の分野:
本発明は、ヒト抗Cath−D中和モノクローナル抗体及びその使用に関する。より具体的には、本発明は、Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1(LDLレセプター関連タンパク質−1)レセプターへの結合との両方を阻害するヒトモノクローナル抗体フラグメントに関する。
発明の背景:
乳ガンは、先進国における女性の主要な死亡原因の1つである[1]。発生率の高いトリプルネガティブ乳ガン(ER及びPR、HER2非増幅)の治療は不十分な状態である。加えて、ER乳ガンは、ホルモン療法に対しても耐性になった。したがって、乳ガンの新規処置が緊急に必要とされている。腫瘍進行は、腫瘍細胞と、腫瘍間質として知られている周囲の支持組織との間のクロストークの進化の結果として認識されている[2]。ガン細胞は、細胞外マトリックス内のいくつかの正常細胞型、例えば線維芽細胞、浸潤性免疫細胞、内皮細胞及び脂肪細胞などと動的に相互作用する。間質細胞と腫瘍細胞とは、局所の細胞外マトリックスを改変し、遊走及び浸潤を刺激し、間質細胞及び腫瘍細胞の増殖及び生存を促進する酵素、成長因子及びサイトカインをやり取りする。過去10年間において、メタロプロテイナーゼ、セリンプロテアーゼ、システイン及びアスパラギン酸カテプシンなどの分子が相互作用して腫瘍形成促進性タンパク質分解ネットワークを形成する細胞周囲の微小環境を腫瘍細胞が作り出すことが次第に明らかになっている[3]。したがって、細胞外プロテアーゼは、ガンにおいてディファレンシャルに発現するので、主要な創薬ターゲットである[4〜6]。
リソソームアスパラギン酸プロテアーゼカテプシンD(Cath−D)は、タンパク質異化に関与する最も多く存在するリソソームエンドプロテイナーゼの1つである。ヒトCath−Dは、52kDaの前駆体として合成され、エンドソーム内で48kDaの活性な一本鎖中間体に変換され、次いでリソソーム内で、34kDaの重鎖及び14kDaの軽鎖からなる完全に活性な成熟プロテアーゼに変換される。Cath−D触媒部位は、2つの重要なアスパラギン酸残基(アミノ酸33及び231)を有する。Cath−Dは、タンパク質分解活性を有するためには、酸性pHを必要とする。Cath−Dは、多くの固形腫瘍;乳ガン、メラノーマ、卵巣ガン、肺ガン、肝臓ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、頭頸部ガン、膀胱ガン、悪性神経膠腫によって大量に過剰産生及び分泌される[7]。Cath−Dは、転移に関連する乳ガンの十分に確立された独立した予後不良マーカーである[8、9]。いくつかのグループは、Cath−Dがガン及び間質細胞挙動の両方に影響を与えることを示している。乳ガン細胞(BCC)におけるCath−D発現の阻害は、腫瘍成長及び転移を減少させる[10、11]。ガン細胞にトランスフェクションされたヒトプロCath−D cDNAは、ガン細胞増殖、腫瘍成長及び血管新生並びに転移を促進する[12〜15]。ヒトプロCath−D cDNAでトランスフェクションされたCath−D−/−MEF線維芽細胞は、三次元マトリックスにおいてより多くの伸長をもたらす[16]。本発明者らは、乳ガン細胞によるCath−Dの過剰産生が、細胞外環境への52kDaのプロCath−Dの自己分泌特異的過剰分泌につながることを示した[17、18]。プロCath−Dはまた、マクロファージ浸潤炎症性腫瘍によって、及び炎症性サイトカインに応じて内皮細胞によって分泌される[19、20]。分泌型ヒトプロCath−Dは、BCCの増殖[17、18]、線維芽細胞の伸長[16]及び内皮細胞の成長[21]を刺激する。in vitroでは、52kDaの精製プロCath−Dは酸依存性の自己活性化を受けて、18個の残基(27〜44)のプロセグメントを保持する51kDaの触媒的に活性なシュードCath−Dを形成する[22]。過剰な細胞酸の産生により、低酸素腫瘍及び炎症性腫瘍の細胞外微小環境は酸性であるので[23〜25]、52kDaの分泌型プロCath−Dは、51kDaのタンパク質分解的に活性なシュードCath−Dへと局所的に自己活性化し得る。腫瘍において見られる低pH(6.8〜5.5)では、BCCによって分泌されたCath−Dは、シスタチンC(システインカテプシンの最も強力な細胞外阻害因子の1つ)を分解する[26]。そして、これがシステインカテプシンタンパク分解活性を増強するが、これは、プロテアーゼウェブの新たな関連性を示している[27]。加えて、分泌型Cath−Dはまた、その触媒活性とは無関係に、腫瘍微小環境のBCC及び間質細胞に影響を与える[13、16]。Vetvickaのグループは、BCCに対するCath−D自己分泌細胞分裂促進成長因子活性が、未知の細胞表面レセプターと相互作用するCath−Dプロペプチド内の9アミノ酸のストレッチ(aa36〜44)に局在するその活性化ペプチドによって媒介されることを記載した[28]。分泌型Cath−Dはまた、LRP1レセプター(LDLレセプター関連タンパク質−1)に対する結合を介して、乳房線維芽細胞の伸長を促進する[29、30]。まとめると、これらの知見は、タンパク質分解及び非タンパク質分解分子機構の両方によって、分泌型プロCath−Dの発ガン機能の十分な証拠を提供している。また、初期の乳ガン、メラノーマ、卵巣ガン及び肺ガンでは、抗Cath−D自己抗体[31]が検出されているが[32〜35]、これは、Cath−Dが腫瘍関連抗原(TAA)と考えられ得ることを示している。
腫瘍微小環境に放出されたCath−Dのターゲティングは、その触媒活性の阻害剤の使用だけではなく、その相互作用機能を阻害する新たなツールの開発を必要とするであろう。腫瘍部位への治療剤の抗体ベースの送達は、現代抗ガン研究の新興分野であり、正常組織を害さずに生物活性分子を新生物病変に集中させることを保証する。本来、ガン細胞上の膜抗原に特異的なモノクローナル抗体は、腫瘍ターゲティング用途に使用されてきた。別のターゲット、例えば、腫瘍微小環境において過剰分泌されるプロテアーゼの抗体ベースのターゲティングは、薬理学的送達用途のためのさらなる魅力的な手段である[36]。
トリプルネガティブ(ER−及びPR−、HER2非増幅)及びホルモン耐性乳ガンのために、新たな処置が必要とされる。乳ガンの独立した予後不良マーカーであるアスパラギン酸プロテアーゼカテプシンD(Cath−D)は、乳ガン微小環境において過剰発現及び過剰分泌される。分泌型Cath−Dは、シスタチンC(最も強力なシステインカテプシン阻害因子)を分解することによって、及びLDLレセプター関連タンパク質−1(LRP1)を介して乳房線維芽細胞の伸長をトリガーすることによって、乳房腫瘍微小環境に影響を与え得る。したがって、乳ガンにおける分泌型Cath−Dのターゲティングは、その触媒活性及びその相互作用機能の阻害剤の使用を必要とする。
第1の態様では、本発明は、Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1レセプターへの結合との両方を阻害する単離されたヒトモノクローナル抗体又はそのフラグメントに関する。
第2の態様では、本発明は、H−CDR1領域に配列番号:2、H−CDR2領域に配列番号:3及びH−CDR3領域に配列番号:4を含む重鎖可変領域と、L−CDR1領域に配列番号:6、L−CDR2領域に配列番号:7及びL−CDR3領域に配列番号:8を含む軽鎖可変領域とを含む単離されたヒトモノクローナル抗体又はそのフラグメントに関する。
第3の態様では、本発明は、H−CDR1領域に配列番号:10、H−CDR2領域に配列番号:11及びH−CDR3領域に配列番号:12を含む重鎖可変領域と、L−CDR1領域に配列番号:14、L−CDR2領域に配列番号:15及びL−CDR3領域に配列番号:16を含む軽鎖可変領域とを含む単離されたヒトモノクローナル抗体又はそのフラグメントに関する。
第4の態様では、本発明は、薬物として使用するための本発明の抗体又はそのフラグメントに関する。
第5の態様では、本発明は、乳ガンを処置するための方法において使用するための、単離されたヒト抗Cath−Dモノクローナル抗体又はそのフラグメントに関する。
発明の詳細な説明
本発明者らは、ファージディスプレイによる、Cath−Dに特異的なヒトモノクローナル抗体scFvフラグメントの単離及び特性評価について記載した。Cath−Dのタンパク質分解活性と、線維芽細胞LRP1レセプターへの結合との両方を阻害する能力について、Cath−D結合scFvを機能的にスクリーニングした。IgG1、λフォーマットでクローニングした2つのscFv(抗Cath−D IgG1 F1及びE2)は、トリプルネガティブ及びER乳ガン細胞の創傷治癒、コロニー形成及びマトリゲルにおける三次元伸長を阻害した。抗Cath−D IgG1 F1及びE2は、ヌードマウスにおけるトリプルネガティブMDA−MB−231乳ガン細胞の腫瘍成長を有意に減少させた。これらの知見は、乳房腫瘍微小環境内のCath−Dの抗体ベースのターゲティングが乳ガン処置に治療上有効であり得ることを強く示唆している。
定義:
本明細書を通じて、いくつかの用語が用いられ、以下の段落で定義される。
「Cath−D」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し、リソソームアスパラギン酸プロテアーゼカテプシン−Dを指す。Cath−Dは、プロCath−Dと称される52kDaの触媒的に不活性な前駆体として合成される。それは、エンドソーム内では48kDaの活性な一本鎖中間体として存在し、続いてリソソーム内で、34kDaの重鎖及び14kDaの軽鎖から構成される完全に活性な成熟プロテアーゼに変換される。天然に存在するプロCath−Dタンパク質は、GenbankアクセッションナンバーNP_001900に示されているアミノ酸配列を有する。
「抗Cath−D抗体」という用語は、Cath−Dに対する抗体を指す。
本発明によれば、「抗体」又は「イムノグロブリン」という用語は、同一の意味を有し、本発明において同様に使用される。本明細書で使用される「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子、及びイムノグロブリン分子の免疫学的活性部分(すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子)を指す。したがって、抗体という用語は、抗体分子全体だけではなく、抗体フラグメント、並びに抗体及び抗体フラグメントの変異体(誘導体を含む)を包含する。天然抗体では、2本の重鎖がジスルフィド結合によって互いに連結しており、各重鎖はジスルフィド結合によって軽鎖に連結している。ラムダ(l)及びカッパ(k)という2種類の軽鎖がある。抗体分子の機能活性を決定する主要な5つの重鎖クラス(又はアイソタイプ):IgM、IgD、IgG(IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4などの区別可能なサブクラスを包含する)、IgA及びIgEがある。各鎖は、別個の配列ドメインを含有する。軽鎖は、2個のドメイン(可変ドメイン(VL)及び定常ドメイン(CL))を含む。重鎖は、4個のドメイン(可変ドメイン(VH)及び3個の定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3。CHと総称される))を含む。軽鎖(VL)及び重鎖(VH)の両方の可変領域は、抗原に対する結合認識及び特異性を決定する。軽鎖(CL)及び重鎖(CH)の定常領域ドメインは、重要な生物学的特性、例えば抗体鎖の会合、分泌、経胎盤移動性、補体結合、及びFcレセプター(FcR)に対する結合を付与する。Fvフラグメントは、免疫グロブリンのFabフラグメントのN末端部分であり、1本の軽鎖及び1本の重鎖の可変部分から構成される。抗体の特異性は、抗体結合部位と抗原決定基との間の構造的相補性にある。抗体結合部位は、超可変領域又は相補性決定領域(CDR)に主に由来する残基から構成される。時には、非超可変領域又はフレームワーク領域(FR)に由来する残基が全体的なドメイン構造、したがって結合部位に影響を与える。相補性決定領域又はCDRは、ネイティブな免疫グロブリン結合部位の天然Fv領域の結合親和性及び特異性を共に規定するアミノ酸配列を指す。免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖はそれぞれ、3個のCDR(それぞれL−CDR1、L−CDR2、L−CDR3及びH−CDR1、H−CDR2、H−CDR3と称される)を有する。したがって、抗原結合部位は、重鎖及び軽鎖V領域のそれぞれに由来するCDRセットを含む6個のCDRを含む。フレームワーク領域(FR)は、CDR間に介在するアミノ酸配列を指す。
本明細書で使用される「Fab」という用語は、約50,000の分子量及び抗原結合活性を有する抗体フラグメントであって、IgGをプロテアーゼ(パパイン)で処理することによって得られるフラグメントのうち、H鎖のN末端側のほぼ半分及びL鎖全体がジスルフィド結合によって共に結合している抗体フラグメントを意味する。
本明細書で使用される「F(ab’)2」という用語は、約100,000の分子量及び抗原結合活性を有する抗体フラグメントであって、IgGをプロテアーゼ(ペプシン)で処理することによって得られるフラグメントのうち、ヒンジ領域のジスルフィド結合によって結合している、Fabよりもわずかに大きな抗体フラグメントを指す。
本明細書で使用される「Fab’」という用語は、約50,000の分子量及び抗原結合活性を有する抗体フラグメントであって、F(ab’)2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することによって得られる抗体フラグメントを指す。
本明細書で使用される「一本鎖Fv」(「scFv」)ポリペプチドという用語は、ペプチドコードリンカーによって連結されたVH及びVLコード遺伝子を含む遺伝子融合体から、通常、発現される共有結合VH::VLヘテロ二量体である。
本明細書で使用される「dsFv」という用語は、ジスルフィド結合によって安定化されたVH::VLヘテロ二量体である。二価抗体フラグメント及び多価抗体フラグメントは、一価scFvの会合によって自然に形成し得るか、又はペプチドリンカーによって一価scFvをカップリングすることによって作製され得る(例えば、二価sc(Fv)2)。
本明細書で使用される「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントであって、重鎖可変ドメイン(VH)が同じポリペプチド鎖の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結されたもの(VH−VL)を含む小さな抗体フラグメントを指す。同じ鎖上の2個のドメイン間のペアリングを可能にするには短過ぎるリンカーを使用することによって、前記ドメインを別の鎖の相補的ドメインと強制的にペアリングさせて、2つの抗原結合部位を作る。
本明細書で使用される「中和抗体」という用語は、該抗体が特異的に結合するエピトープを含むポリペプチドの少なくとも1つの活性を遮断又は低減する抗体を指す。中和抗体は、in cellulo及び/又はin vivo試験においてカテプシンDの生物学的活性を低減する。典型的には、抗Cath−D中和抗体フラグメントは、LRP1に対するCath−Dの結合(これは、GSTプルダウンアッセイによって評価され得る)を遮断し、及び/又は成熟Cath−Dの触媒活性(これは、下記のように、Cath−Dによる蛍光発生基質、例えばM2295(シュードCath−Dの蛍光発生ペプチド基質)又はM0938(成熟Cath−Dの蛍光発生ペプチド基質)の切断反応に基づく触媒活性アッセイによって評価され得る)も阻害する。
「LRP1」という用語は、当技術分野におけるその一般的な意味を有し(Strickland and Ranganathan, 2003; Lillis et al., 2005)、LDLレセプター関連タンパク質−1を指す。LRP1は、515kDaの細胞外α鎖と、trans−ゴルジ画分内で600kDaの前駆体ポリペプチドからタンパク質分解切断によって生成される85kDaのβ鎖とから構成される。実際、LRP1α鎖及びLRP1β鎖は、単一の転写産物から生じる。一例として、プロセシングされていない前駆体LRP1のヒト全長は、SwissProtアクセッションナンバーQ07954に対応する。
「精製された」及び「単離された」は、本発明の抗体に言及する場合、同じ種類の他の生物学的高分子の実質的な非存在下で、示されている分子が存在することを意味する。好ましくは、本明細書で使用される「精製された」という用語は、少なくとも75重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、さらにより好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%の同じ種類の生物学的高分子が存在することを意味する。
本発明の抗体:
本発明は、単離された抗Cath−D中和モノクローナル抗体又はそのフラグメントを提供する。
第1の態様では、したがって、本発明は、Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1レセプターへの結合との両方を阻害する単離されたヒトモノクローナル抗体又はそのフラグメントに関する。
一実施態様では、前記抗体は、以下:128AAKFDG134の、34kDaのCath−Dに由来する配列番号:17のペプチド(Cath−Dのアミノ酸128〜134に及ぶペプチド)に特異的に結合する。
一実施態様では、前記抗体は、以下:172DPDAQPGG179の、34kDaのCath−Dに由来する配列番号:18のペプチド(Cath−Dのアミノ酸172〜179に及ぶペプチド)に特異的に結合する。
一実施態様では、前記抗体は、以下:293KVSQAGKTLC302の、34kDaのCath−Dに由来する配列番号:19のペプチド(Cath−Dのアミノ酸293〜302に及ぶペプチド)に特異的に結合する。
一実施態様では、前記抗体は、以下:220TLCKEGCEA228の、34kDaのCath−Dに由来する配列番号:20のペプチド(Cath−Dのアミノ酸220〜228に及ぶペプチド)に特異的に結合する。
特に、本発明者らは、抗体ファージディスプレイによって、51kDaのヒトシュードcath D及びヒト細胞成熟(34+14kDa)Cath−Dに対して選択された2つの完全ヒト抗Cath−D一本鎖可変抗体フラグメント(scFv)(E2及びF1と称される)を単離した。
本発明者らは、前記scFv E2の軽鎖及び重鎖の可変ドメインをクローニング及び特性評価して、表1に記載されているように前記抗体の相補性決定領域(CDR)ドメインを決定した:
したがって、本発明は、Cath−Dに対する特異性を有する抗体であって、可変ドメインが、H−CDR1については配列番号:2、H−CDR2については配列番号:3、及びH−CDR3については配列番号:4からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む重鎖を含む抗体に関する。
本発明はまた、Cath−Dに対する特異性を有する抗体であって、可変ドメインが、L−CDR1については配列番号:6、L−CDR2については配列番号:7、及びL−CDR3については配列番号:8からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む軽鎖を含む抗体に関する。
本発明の抗体は、可変ドメインが、H−CDR1については配列番号:2、H−CDR2については配列番号:3、及びH−CDR3については配列番号:4からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む重鎖と、可変ドメインが、L−CDR1については配列番号:6、L−CDR2については配列番号:7、及びL−CDR3については配列番号:8からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む軽鎖とを含み得る。
特に、本発明は、
−H−CDR1領域に配列番号:2、H−CDR2領域に配列番号:3及びH−CDR3領域に配列番号:4を含む重鎖可変領域と、
−L−CDR1領域に配列番号:6、L−CDR2領域に配列番号:7及びL−CDR3領域に配列番号:8を含む軽鎖可変領域とを含む抗Cath−D抗体を提供する。
特定の実施態様では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号:1に記載されているアミノ酸配列を有し、かつ/又は軽鎖可変領域は、配列番号:5に記載されているアミノ酸配列を有する。
本発明者らはまた、前記scFv F1の軽鎖及び重鎖の可変ドメインをクローニング及び特性評価して、表2に記載されているように前記抗体の相補性決定領域(CDR)ドメインを決定した:
したがって、本発明は、Cath−Dに対する特異性を有する抗体であって、可変ドメインが、H−CDR1については配列番号:10、H−CDR2については配列番号:11、及びH−CDR3については配列番号:12からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む重鎖を含む抗体に関する。
本発明はまた、Cath−Dに対する特異性を有する抗体であって、可変ドメインが、L−CDR1については配列番号:14、L−CDR2については配列番号:15、及びL−CDR3については配列番号:16からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む軽鎖を含む抗体に関する。
本発明の抗体は、可変ドメインが、H−CDR1については配列番号:10、H−CDR2については配列番号:11、及びH−CDR3については配列番号:12からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む重鎖と、可変ドメインが、L−CDR1については配列番号:14、L−CDR2については配列番号:15、及びL−CDR3については配列番号:16からなる群より選択される配列を有する少なくとも1つのCDRを含む軽鎖とを含み得る。
特に、本発明は、
−H−CDR1領域に配列番号:10、H−CDR2領域に配列番号:11及びH−CDR3領域に配列番号:12を含む重鎖可変領域と、
−L−CDR1領域に配列番号:14、L−CDR2領域に配列番号:15及びL−CDR3領域に配列番号:16を含む軽鎖可変領域とを含む抗Cath−D抗体を提供する。
特定の実施態様では、前記抗体の重鎖可変領域は、配列番号:9に記載されているアミノ酸配列を有し、かつ/又は軽鎖可変領域は、配列番号:13に記載されているアミノ酸配列を有する。
本発明はさらに、Cath−Dに対する前記抗体のフラグメント(限定されないが、Fv、Fab、F(ab’)2、Fab’、dsFv、scFv、sc(Fv)2及びダイアボディを含む)を提供する。
抗体E2及びF1は、マウスCath−Dと交差反応することにも留意すべきである(これは、前臨床評価及び毒物学的研究にとって興味深いものである)。
(例えば、IgG1アイソタイプを有する)抗体E2及びF1は、カテプシンDに特異的に結合し、他のアスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、カテプシンE、ペプシノゲンA及びペプシノゲンC)に結合しないことにさらに留意すべきである。
別の態様では、本発明は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5;配列番号:6;配列番号:7、配列番号:8;配列番号:9;配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13;配列番号:14;配列番号:15及び配列番号:16からなる群より選択される配列を有するポリペプチドに関する。
別の態様では、本発明は、34kDaのCath−Dに対する結合について、上記で定義される抗Cath−D IgG1 F1及びE2と競合するモノクローナル抗体を提供する。
特定の実施態様では、本発明は、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19又は配列番号:20のペプチドに対する結合について、上記で定義される抗Cath−D IgG(特に、IgG1)F1及びE2と競合するモノクローナル抗体を提供する。
競合的結合アッセイ:
したがって、本発明は、Cath−Dに対する結合について、上記で定義される本発明の抗Cath−D IgG(特に、IgG1)F1及びE2と競合する単離されたモノクローナルscFcフラグメントであって、Cath−Dの触媒活性と、LRP1線維芽細胞レセプターに対するその結合との両方を阻害する単離されたモノクローナルscFcフラグメントに関する。
特定の実施態様では、本発明は、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19又は配列番号:20のペプチドに対する結合について、上記で定義される抗Cath−D IgG(特に、IgG1)F1及びE2と競合し得るモノクローナル抗体を提供する。
エピトープビニングは、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内に含まれる抗体を同定するために使用され得る。エピトープビニングは、競合的結合アッセイを使用して、同時にCath−Dに結合することができる又は結合することができない抗体のペアを同定し、それにより、Cath−D上の同じ又は重複するエピトープに結合する抗体のペアを同定することを指す。エピトープビニング実験は、抗原的に区別可能なエピトープが存在するという証拠を提供する。抗体又はフラグメントの任意のペアについて、結合の競合を評価し得る。例えば、適切な検出試薬を使用して、任意の供給源に由来する抗体又は結合フラグメントの結合特異性を、本明細書に開示されるモノクローナル抗体の結合特異性と比較し得る。エピトープビニングは、「単離された抗体」を用いて、又は細胞培養上清を用いて実施され得る。多くの場合、1回目のクローン上清を用いてビニングを実施して、さらに開発すべきクローンの選択を支援する。比較すべき抗体は、実質的に均一な抗原結合ドメインであるべきである。「二重特異性」又は「二官能性」抗体の場合、2つの異なる結合部位の結合特異性を独立して評価又はビニングする必要がある。
本発明の抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって、特異的結合についてアッセイされ得る。多くの異なる競合的結合アッセイフォーマットがエピトープビニングに使用され得る。使用され得るイムノアッセイとしては、限定されないが、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素アッセイ、ゲル拡散沈降素アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ及び補体結合アッセイなどの技術を使用した競合アッセイシステムが挙げられる。このようなアッセイはルーチンであり、当技術分野で周知である(例えば、Ausubel et al., eds, 1994 Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & sons, Inc., New Yorkを参照のこと)。例えば、BIACORE(登録商標)(GE Healthcare, Piscaataway, NJ)は、モノクローナル抗体のパネルをエピトープビニングするためにルーチンに使用される様々な表面プラズモン共鳴アッセイフォーマットの1つである。加えて、ルーチンな交差ブロッキングアッセイ、例えばAntibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane, 1988に記載されているものが実施され得る。
本発明の抗体を生産する方法:
本発明の抗Cath−D抗体は、当技術分野で公知の任意の技術、例えば限定されないが、任意の化学的技術、生物学的技術、遺伝的技術又は酵素学的技術(単独又は組み合わせのいずれか)によって生産され得る。
所望の配列のアミノ酸配列を認識することによって、当業者であれば、標準的なポリペプチド生産技術によって前記抗体を容易に生産し得る。例えば、それらは、周知の固相法を使用して、好ましくは商業的に入手可能なペプチド合成装置(例えば、Applied Biosystems, Foster City, Californiaによって作製された)を使用して、製造業者の説明書にしたがって合成され得る。あるいは、本発明の抗体は、当技術分野で周知のリコンビナントDNA技術によって合成され得る。例えば、抗体は、抗体をコードするDNA配列を発現ベクターに組み込み、このようなベクターを、所望の抗体を発現する適切な真核宿主又は原核宿主に導入した後に、DNA発現産物として得ることができ、そこからそれらは、周知の技術を使用して後に単離され得る。
本明細書で使用される「ベクター」、「クローニングベクター」及び「発現ベクター」という用語は、宿主生物をトランスフォーメーションして導入配列の発現(例えば、転写及び翻訳)を促進するために、DNA又はRNA配列(例えば、外来遺伝子)を宿主細胞に導入し得るビヒクルを意味する。
よって、本発明のさらなる態様は、本発明の核酸を含むベクターに関する。
このようなベクターは、被験体に投与されると前記抗体の発現を引き起こし又は指令するための調節要素、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどを含み得る。動物細胞のための発現ベクターに使用されるプロモーター及びエンハンサーの例としては、SV40の初期プロモーター及びエンハンサー(Mizukami T. et al. 1987)、モロニーマウス白血病ウイルスのLTRプロモーター及びエンハンサー(Kuwana Y et al. 1987)、イムノグロブリンH鎖のプロモーター(Mason JO et al. 1985)及びエンハンサー(Gillies SD et al. 1983)などが挙げられる。
ヒト抗体C領域をコードする遺伝子が挿入及び発現され得る限り、動物細胞のための任意の発現ベクターが使用され得る。適切なベクターの例としては、pAGE107(Miyaji H et al. 1990)、pAGE103(Mizukami T et al. 1987)、pHSG274(Brady G et al. 1984)、pKCR(O’Hare K et al. 1981)、pSG1 beta d2−4−(Miyaji H et al. 1990)などが挙げられる。
プラスミドの他の例としては、複製開始点を含む複製プラスミド、又はpUC、pcDNA、pBRなどの組み込みプラスミドが挙げられる。
ウイルスベクターの他の例としては、アデノウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス及びAAVベクターが挙げられる。このようなリコンビナントウイルスは、当技術分野で公知の技術によって、例えばパッケージング細胞のトランスフェクションによって、又はヘルパープラスミド若しくはウイルスによる一過性トランスフェクションによって生産され得る。ウイルスパッケージング細胞の典型的な例としては、PA317細胞、PsiCRIP細胞、GPenv+細胞、293細胞などが挙げられる。このような複製欠損リコンビナントウイルスを生産するための詳細なプロトコールは、例えば、国際公開公報第95/14785号、国際公開公報第96/22378号、米国特許第5,882,877号、米国特許第6,013,516号、米国特許第4,861,719号、米国特許第5,278,056号及び国際公開公報第94/19478号に見られ得る。
本発明のさらなる態様は、本発明の核酸及び/又はベクターによってトランスフェクション、感染又はトランスフォーメーションされた宿主細胞に関する。
「トランスフォーメーション」という用語は、宿主細胞が導入遺伝子又は配列を発現して、所望の物質、典型的には導入遺伝子又は配列によってコードされるタンパク質又は酵素を産生するように、「外来」(すなわち、外因性又は細胞外)遺伝子、DNA又はRNA配列を宿主細胞に導入することを意味する。導入DNA又はRNAを受け取って発現する宿主細胞は、「トランスフォーメーション」されている。
本発明の核酸は、適切な発現系において本発明の抗体を生産するために使用され得る。「発現系」という用語は、例えば、ベクターによって運搬されて宿主細胞に導入される外来DNAによってコードされるタンパク質の発現のための適切な条件下にある宿主細胞及び適合ベクターを意味する。
一般的な発現系としては、E.coli宿主細胞及びプラスミドベクター、昆虫宿主細胞及びバキュロウイルスベクター、並びに哺乳動物宿主細胞及びベクターが挙げられる。宿主細胞の他の例としては、限定されないが、原核細胞(例えば、細菌)及び真核細胞(例えば、酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞など)が挙げられる。特定の例としては、E.coli、Kluyveromyces又はSaccharomyces酵母、哺乳動物細胞株(例えば、Vero細胞、CHO細胞、3T3細胞、COS細胞など)、及び初代哺乳動物細胞又は樹立哺乳動物細胞培養物(例えば、リンパ芽球、線維芽細胞、胚細胞、上皮細胞、神経細胞、脂肪細胞などから生産される)が挙げられる。例としては、マウスSP2/0−Ag14細胞(ATCC CRL1581)、マウスP3X63−Ag8.653細胞(ATCC CRL1580)、ジヒドロ葉酸レダクダーゼ遺伝子(「DHFR遺伝子」)が欠損されたCHO細胞(Urlaub G et al; 1980)、ラットYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(ATCC CRL1662、以下、「TB2/0細胞」と称される)なども挙げられる。
本発明はまた、本発明の抗体を発現するリコンビナント宿主細胞を生産する方法であって、(i)上記リコンビナント核酸又はベクターをコンピテント宿主細胞にin vitro又はex vivoで導入する工程、(ii)得られたリコンビナント宿主細胞をin vitro又はex vivoで培養する工程、並びに(iii)場合により、前記抗体を発現及び/又は分泌する細胞を選択する工程を含む方法に関する。このようなリコンビナント宿主細胞は、本発明の抗体の生産に使用され得る。
適切には、本発明の抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えばプロテインAセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーによって、培養培地から分離される。
本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。本発明の抗体の構造において、及びそれらをコードするDNA配列において、改変及び変更を行って、望ましい特徴を有する抗体をコードする機能分子を依然として得ることができる。
アミノ酸配列の変更を行う際、アミノ酸のヒドロパシー指標を考慮し得る。相互作用生物機能をタンパク質に付与する際のヒドロパシーアミノ酸指標の重要性は、当技術分野で一般に理解されている。アミノ酸の相対的ヒドロパシー特徴は、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、そしてこれが、他の分子、例えば酵素、基質、レセプター、DNA、抗体及び抗原などとのタンパク質の相互作用を規定することが認められている。
各アミノ酸は、それらの疎水性特性及び電荷特性に基づいてヒドロパシー指標が割り当てられており、これらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);トレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタミン酸(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパラギン酸(−3.5);アスパラギン(−3.5);リジン(−3.9);及びアルギニン(−4.5)である。
したがって、本発明の抗体は、親和性成熟抗体であり得る。
「親和性成熟」抗体は、1つ以上のそのCDRにおける1つ以上の変化であって、変化を有しない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす変化を有するものである。好ましい親和性成熟抗体は、ターゲット抗原に対してナノモル又はピコモル親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順によって生産される。Marks et al. Bio/Technology, 10:779-783 (1992)には、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和性成熟が記載されている。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813 (1994); Schier et al. Gene, 1 69:147-155 (1995); Yelton et al. J. Immunol., 155:1994-2004 (1995); Jackson et al., J. Immunol., 154(7):3310-9 (1995);及びHawkins et al, J. Mol. Biol., 226:889-896 (1992)に記載されている。
本発明のさらなる態様はまた、本発明の抗体の機能保存変異体を包含する。
「機能保存変異体」は、ポリペプチドの全体的なコンフォメーション及び機能の変化を伴わずに、タンパク質又は酵素中の所定のアミノ酸残基が変更されているものであり、限定されないが、類似の特性(例えば、極性、水素結合ポテンシャル、酸性、塩基性、疎水性、芳香性など)を有するアミノ酸によるアミノ酸の置き換えが挙げられる。類似の機能の任意の2つのタンパク質間のタンパク質又はアミノ酸配列類似性の割合は変動し得、アライメントスキームにしたがって、例えば類似性がMEGALIGNアルゴリズムに基づくクラスタ法によって決定した場合に70%〜99%であり得るように、保存されていると示されているもの以外のアミノ酸は、タンパク質において異なり得る。「機能保存変異体」はまた、BLAST又はFASTAアルゴリズムによって決定した場合に、少なくとも60%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドであって、比較されるネイティブな又は親のタンパク質と同じ又は実質的に同様の特性又は機能を有するポリペプチドを含む。
2つのアミノ酸配列は、アミノ酸の80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超が同一であるか、又はより短い配列の全長にわたって約90%超、好ましくは95%超が類似(機能的に同一)である場合に「実質的に相同」又は「実質的に類似」である。好ましくは、類似配列又は相同配列は、例えば、GCG(Genetics Computer Group, Program Manual for the GCG Package, Version 7, Madison, Wisconsin)pileupプログラム、又はBLAST、FASTAなどの配列比較アルゴリズムのいずれかを使用してアライメントによって同定される。
例えば、活性の認識可能な喪失を伴わなければ、特定のアミノ酸は、タンパク質構造中の他のアミノ酸によって置換され得る。タンパク質の相互作用能力及び性質は、タンパク質の生物学的機能活性を規定するので、同様の特性を有するタンパク質を得ながら、タンパク質配列において、及び当然ながらそのDNAコード配列において、特定のアミノ酸置換を行い得る。したがって、生物学的活性の認識可能な喪失を伴わなければ、本発明の抗体の配列、又は前記抗体をコードする対応するDNA配列において、様々な変更を行い得ることが企図される。
特定のアミノ酸を、類似のヒドロパシー指標又はスコアを有する他のアミノ酸によって置換して、類似の生物学的活性を有するタンパク質を依然としてもたらすことができる(すなわち、生物機能的に同等のタンパク質を依然として得ることができる)ことが当技術分野で公知である。
したがって、上記のように、アミノ酸置換は、一般に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えばそれらの疎水性、親水性、電荷及びサイズなどに基づく。様々な上記特徴を考慮した例示的な置換は当業者に周知であり、アルギニン及びリジン;グルタミン酸及びアスパラギン酸;セリン及びトレオニン;グルタミン及びアスパラギン;並びにバリン、ロイシン及びイソロイシンが挙げられる。
したがって、本発明はまた、可変ドメインが、
−配列番号:2に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するH−CDR1、
−配列番号:3に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するH−CDR2、
−配列番号:4に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するH−CDR3、
−配列番号:6に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するL−CDR1、
−配列番号:7に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するL−CDR2、
−配列番号:8に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するL−CDR3
を含む重鎖を含み、かつ
−可変ドメインが、H−CDR1については配列番号:2、H−CDR2については配列番号:3、及びH−CDR3については配列番号:4を含む重鎖と、可変ドメインが、L−CDR1については配列番号:6、L−CDR2については配列番号:7、及びL−CDR3については配列番号:8を含む軽鎖とを含む抗体と実質的に同じ親和性で(より好ましくは、二価scFv−Fc E2と実質的に同じ親和性で)Cath−Dに特異的に結合する抗体を提供する。
本発明はさらに、可変ドメインが、
−配列番号:10に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するH−CDR1、
−配列番号:11に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するH−CDR2、
−配列番号:12に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するH−CDR3、
−配列番号:14に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するL−CDR1、
−配列番号:15に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するL−CDR2、
−配列番号:16に記載されている配列と少なくとも90%又は95%の同一性を有するL−CDR3
を含む重鎖を含み、かつ
−可変ドメインが、H−CDR1については配列番号:10、H−CDR2については配列番号:11、及びH−CDR3については配列番号:12を含む重鎖と、可変ドメインが、L−CDR1については配列番号:14、L−CDR2については配列番号:15、及びL−CDR3については配列番号:16を含む軽鎖とを含む抗体と実質的に同じ親和性で(より好ましくは、二価scFv−Fc F1と実質的に同じ親和性で)Cath−Dに特異的に結合する抗体を提供する。
前記抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって、特異的結合についてアッセイされ得る。多くの異なる競合的結合アッセイフォーマットがエピトープビニングに使用され得る。使用され得るイムノアッセイとしては、限定されないが、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素アッセイ、ゲル拡散沈降素アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ及び補体結合アッセイなどの技術を使用した競合アッセイシステムが挙げられる。このようなアッセイはルーチンであり、当技術分野で周知である(例えば、Ausubel et al., eds, 1994 Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & sons, Inc., New Yorkを参照のこと)。例えば、BIACORE(登録商標)(GE Healthcare, Piscaataway, NJ)は、モノクローナル抗体のパネルをエピトープビニングするためにルーチンに使用される様々な表面プラズモン共鳴アッセイフォーマットの1つである。加えて、ルーチンな交差ブロッキングアッセイ、例えばAntibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane, 1988に記載されているものが実施され得る。
本発明の人工抗体は、例えば抗体の特性を改善するために、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に対して改変が行われている抗体を含む。典型的には、このようなフレームワーク改変は、抗体の免疫原性を減少させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系配列に「復帰突然変異」することである。より具体的には、体細胞突然変異を受けている抗体は、該抗体が由来する生殖細胞系配列と異なるフレームワーク残基を含み得る。このような残基は、抗体のフレームワーク配列と、該抗体が由来する生殖細胞系配列とを比較することによって同定され得る。フレームワーク領域配列をそれらの生殖細胞系構造に戻すために、体細胞突然変異は、例えば部位特異的突然変異誘発又はPCR媒介性突然変異誘発によって、生殖細胞系配列に復帰突然変異され得る。このような「復帰突然変異」抗体もまた、本発明によって包含されることが意図される。別の種類のフレームワーク改変は、フレームワーク領域内又は1つ以上のCDR領域内における1つ以上の残基を突然変異させてT細胞エピトープを除去し、それにより、抗体の潜在的免疫原性を減少させることを含む。このアプローチは「脱免疫化」とも称され、Carrらによる米国特許出願公開第20030153043号にさらに詳細に記載されている。
フレームワーク又はCDR領域内において行われる改変に加えて又は代えて、本発明の抗体は、典型的には抗体の1つ以上の機能的特性、例えば血清半減期、補体結合、Fcレセプター結合及び/又は抗原依存性細胞傷害を変更するために、Fc領域内における改変を含むように操作され得る。さらに、本発明の抗体は、やはり抗体の1つ以上の機能的特性を変更するために、化学的に改変され得るか(例えば、1つ以上の化学的部分が抗体に付加され得る)、又はそのグリコシル化を変更するように改変され得る。これらの各実施態様は、以下にさらに詳細に記載されている。Fc領域における残基のナンバリングは、KabatのEUインデックスのものである。
一実施態様では、CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数が変更(例えば、増加又は減少)されるように改変される。このアプローチは、Bodmerらによる米国特許第5,677,425号にさらに記載されている。CH1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数は、例えば軽鎖及び重鎖のアセンブリを促進するように、又は抗体の安定性を増加若しくは減少させるように変更される。
別の実施態様では、抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生物学的半減期を減少させるように突然変異される。より具体的には、抗体が、ネイティブなFcヒンジドメインSpA結合性と比べて低下した黄色ブドウ球菌プロテインA(SpA)結合を有するように、1つ以上のアミノ酸突然変異がFcヒンジフラグメントのCH2−CH3ドメインインターフェイス領域に導入される。このアプローチは、Wardらによる米国特許第6,165,745号にさらに詳細に記載されている。
別の実施態様では、抗体は、その生物学的半減期を増加させるように改変される。様々なアプローチが可能である。例えば、Wardによる米国特許第6,277,375号に記載されているように、以下の突然変異:T252L、T254S、T256Fの1つ以上が導入され得る。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、抗体は、Prestaらによる米国特許第5,869,046号及び米国特許第6,121,022号に記載されているように、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから得られるサルベージレセプター結合エピトープを含有するようにCH1又はCL領域内において変更され得る。
また他の実施態様では、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を変更するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置き換えることによって変更される。例えば、抗体が、エフェクターリガンドに対する変更された親和性を有するが親抗体の抗原結合能力を保持するように、1つ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸残基で置き換えられ得る。親和性が変更されたエフェクターリガンドは、例えば、Fcレセプター又は補体のC1要素であり得る。このアプローチは、Winterらによる米国特許第5,624,821号及び米国特許第5,648,260号にさらに詳細に記載されている。
別の実施態様では、抗体が、変更されたC1q結合性、及び/又は減少若しくは抑制された補体依存性細胞傷害(CDC)を有するように、アミノ酸残基から選択される1つ以上のアミノ酸が異なるアミノ酸残基で置き換えられ得る。このアプローチは、ldusogieらによる米国特許第6,194,551号にさらに詳細に記載されている。
別の実施態様では、それにより抗体の補体結合能力を変更するように、1つ以上のアミノ酸残基が変更される。このアプローチは、Bodmerらによる国際公開公報第94/29351号にさらに記載されている。
また別の実施態様では、Fc領域は、1つ以上のアミノ酸を改変することによって、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介するための抗体の能力を増加させるように、及び/又はFcレセプターに対する抗体の親和性を増加させるように改変される。このアプローチは、Prestaによる国際公開公報第00/42072号にさらに記載されている。また、FcγRI、FcγRII、FcγRIII及びFcRnに対するヒトIgGI上の結合部位はマッピングされており、改善された結合性を有する変異体が記載されている(Shields, R. L. et al., 2001 J. Biol. Chen. 276:6591-6604、国際公開公報第2010106180号を参照のこと)。
さらに別の実施態様では、抗体のグリコシル化が改変される。例えば、脱グリコシル化抗体が作製され得る(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるように変更され得る。このような炭水化物改変は、例えば、抗体配列内における1つ以上のグリコシル化部位を変更することによって達成され得る。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークのグリコシル化部位の排除をもたらし、それにより、その部位におけるグリコシル化を排除する1つ以上のアミノ酸置換が行われ得る。このような脱グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。このようなアプローチは、Coらによる米国特許第5,714,350号及び米国特許第6,350,861号にさらに詳細に記載されている。
加えて又はあるいは、変更型のグリコシル化を有する抗体、例えば、フコシル残基の量が減少しているか、若しくはフコシル残基を有しない低フコシル化若しくは非フコシル化抗体、又は増加した二分岐GlcNac構造を有する抗体が作製され得る。このような変更されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能を増加させることが実証されている。このような炭水化物改変は、例えば変更されたグリコシル化機構を有する宿主細胞で抗体を発現することによって達成され得る。変更されたグリコシル機構を有する細胞は、当技術分野で説明されており、本発明のリコンビナント抗体を発現し、それにより、変更されたグリコシル化を有する抗体を産生する宿主細胞として使用され得る。例えば、Hangらによる欧州特許出願公開第1,176,195号には、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子が機能的に破壊された細胞株が記載されており、このような細胞株で発現された抗体は、低フコシル化を示すか、又はフコシル残基を欠く。したがって、一実施態様では、本発明の抗体は、低フコシル化又は非フコシル化パターンを示す細胞株、例えばフコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8の発現が欠損している哺乳動物細胞株におけるリコンビナント発現によって産生され得る。Prestaによる国際公開公報第03/035835号には、Asn(297)結合炭水化物にフコースを結合する能力が低下している変異体CHO細胞株、Lecl3細胞であって、その細胞株で発現される抗体の低フコシル化をもたらす変異体CHO細胞株、Lecl3細胞が記載されている(Shields, R.L. et al., 2002 J. Biol. Chem. 277:26733-26740も参照のこと)。Umanaらによる国際公開公報第99/54342号には、人工細胞株で発現される抗体が、抗体のADCC活性の増加をもたらす二分GlcNac構造の増加を示すように、糖タンパク質改変グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(1,4)−NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株が記載されている(Umana et al., 1999 Nat. Biotech. 17:176-180も参照のこと)。Eureka Therapeuticsには、フコシル残基が欠けた変更された哺乳動物グリコシル化パターンを有する抗体を産生することができる遺伝子的に改変されたCHO哺乳動物細胞がさらに記載されている(http://www.eurekainc.com/a&boutus/companyoverview.html)。
あるいは、本発明の抗体は、哺乳動物様グリコシル化パターンについて改変され、グリコシル化パターンとしてフコースを欠く抗体を産生することができる酵母又は糸状菌で産生され得る(例えば、欧州特許第1297172号を参照のこと)。
本発明によって企図される本発明の抗体の別の改変は、ペグ化である。抗体は、例えば抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させるためにペグ化され得る。抗体のペグ化のために、通常、抗体又はそのフラグメントは、1つ以上のPEG基が抗体又は抗体フラグメントに結合する条件下で、PEGの反応性エステル又はアルデヒド誘導体などのポリエチレングリコール(PEG)と反応される。ペグ化は、反応性PEG分子(又は、類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応又はアルキル化反応によって行われ得る。本明細書で使用される「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1−C10)アルコキシ若しくはアリールオキシポリエチレングリコール、又はポリエチレングリコールマレイミドなどの、他のタンパク質を誘導体化するために使用されるPEGの形態のいずれかを含むことを意図する。特定の実施態様では、ペグ化すべき抗体は、脱グリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化するための方法は、当技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用され得る。例えば、Nishimuraらによる欧州特許第0154316号及びIshikawaらによる欧州特許第0401384号を参照のこと。
本発明によって企図される抗体の別の改変は、得られる分子の半減期を増加させるための、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン又はそのフラグメント)への本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域のコンジュゲート又はタンパク質融合である。このようなアプローチは、例えばBallanceらの欧州特許第0322094号に記載されている。別の可能性は、得られる分子の半減期を増加させるための、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)に結合することができるタンパク質への本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域の融合である。このようなアプローチは、例えばNygrenらの欧州特許第0486525号に記載されている。
イムノコンジュゲート:
本発明の抗体は、抗Cath−Dイムノコンジュゲートを形成するために、検出可能な標識とコンジュゲートされ得る。適切な検出可能な標識としては、例えば放射性同位体、蛍光標識、化学発光標識、酵素標識、生物発光標識又は金コロイドが挙げられる。このような検出可能に標識されたイムノコンジュゲートを作製及び検出する方法は、当業者に周知であり、以下により詳細に記載する。
検出可能な標識は、オートラジオグラフィーによって検出される放射性同位体であり得る。本発明の目的のために特に有用なアイソトープは、H、125I、131I、35S及び14Cである。
抗Cath−Dイムノコンジュゲートはまた、蛍光化合物によって標識され得る。蛍光標識された抗体の存在は、イムノコンジュゲートを適切な波長の光に曝露し、生じた蛍光を検出することによって決定される。蛍光標識化合物としては、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド及びフルオレスカミンが挙げられる。
あるいは、抗Cath−Dイムノコンジュゲートは、抗体を化学発光化合物にカップリングすることによって検出可能に標識され得る。化学発光タグ化イムノコンジュゲートの存在は、化学的反応の過程の間に生じる発光の存在を検出することによって決定される。化学発光標識化合物の例としては、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩及びシュウ酸エステルが挙げられる。
同様に、生物発光化合物は、本発明の抗Cath−Dイムノコンジュゲートを標識するために使用され得る。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加させる生物学的システムにおいて見出された化学発光の1つである。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって決定される。標識に有用な生物発光化合物としては、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及びイクオリンが挙げられる。
あるいは、抗Cath−Dイムノコンジュゲートは、酵素に抗Cath−D抗体を結合させることによって検出可能に標識され得る。抗Cath−D酵素コンジュゲートを適切な基質の存在下でインキュベーションすると、酵素部分が基質と反応して、例えば分光光度法、蛍光分析法又は可視的手段によって検出され得る化学的部分が生成する。多重特異的イムノコンジュゲートを検出可能に標識するために使用され得る酵素の例としては、βガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼが挙げられる。
当業者であれば、本発明にしたがって使用され得る他の適切な標識を認識するであろう。抗Cath−Dモノクローナル抗体に対するマーカー部分の結合は、当技術分野で公知の標準的な技術を使用して達成され得る。これに関する一般の方法論は、Kennedy et al., Clin. Chim. Acta 70:1, 1976; Schurs et al., Clin. Chim. Acta 81:1, 1977; Shih et al., Int’l J. Cancer 46:1101, 1990; Stein et al., Cancer Res. 50:1330, 1990;及び上記Coliganに記載されている。
また、免疫化学検出の簡便性及び汎用性は、アビジン、ストレプトアビジン及びビオチンとコンジュゲートされた抗Cath−Dモノクローナル抗体を使用することによって増強され得る(例えば、Wilchek et al. (eds.), “Avidin-Biotin Technology,” Methods In Enzymology (Vol. 184) (Academic Press 1990); Bayer et al., “Immunochemical Applications of Avidin-Biotin Technology,” in Methods In Molecular Biology (Vol. 10) 149-162 (Manson, ed., The Humana Press, Inc. 1992).を参照のこと)。
イムノアッセイを実施するための方法は、十分に確立されている(例えば、Cook and Self, “Monoclonal Antibodies in Diagnostic Immunoassays,” in Monoclonal Antibodies: Production, Engineering, and Clinical Application 180-208 (Ritter and Ladyman, eds., Cambridge University Press 1995); Perry, “The Role of Monoclonal Antibodies in the Advancement of Immunoassay Technology,” in Monoclonal Antibodies: Principles and Applications 107-120 (Birch and Lennox, eds., Wiley-Liss, Inc. 1995); Diamandis, Immunoassay (Academic Press, Inc. 1996).を参照のこと)。
別の態様では、本発明は、抗Cath−D抗体−薬物コンジュゲートを提供する。本明細書で使用される「抗Cath−D抗体−薬物コンジュゲート」は、治療剤にコンジュゲートされた本発明の抗Cath−D抗体を指す。このような抗Cath−D抗体−薬物コンジュゲートは、患者(例えば、Cath−D発現性ガンを有する患者など)に投与した場合に、典型的には、単独で投与した場合だけではなく他の治療剤と組み合わせて投与した場合にも、Cath−D発現細胞に対する臨床的に有益な効果をもたらす。
典型的な実施態様では、抗Cath−D抗体は、得られる抗体−薬物コンジュゲートが、Cath−D発現細胞(例えば、Cath−D発現ガン細胞)に取り込まれ、又はインターナリゼーションされると、前記細胞に対する細胞毒性効果又は細胞増殖抑制効果を発揮するように、細胞毒性薬にコンジュゲートされる。抗体にコンジュゲートするために特に適切な部分は、化学療法剤、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体若しくは化合物又は毒素である。例えば、抗Cath−D抗体は、細胞毒性薬、例えば化学療法剤又は毒素(例えば、細胞増殖抑制剤又は細胞破壊剤、例えばアブリン、リシンA、緑膿菌外毒素又はジフテリア毒素など)にコンジュゲートされ得る。
細胞毒性薬の有用なクラスとしては、例えば、抗チューブリン剤、オーリスタチン、DNAマイナーグルーブ結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、白金錯体、例えばシスプラチン、単核(白金)、二核(白金)及び三核白金錯体、並びにカルボプラチン)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗物質、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソウレア、プラチノール、プレフォーミング化合物、プリン代謝拮抗物質、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤又はビンカアルカロイドなどが挙げられる。
個々の細胞毒性薬としては、例えばアンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブサルファン、ブチオニン、スルホキシミン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン(BSNU)、CC−1065(Li et al., Cancer Res. 42:999-1004, 1982)、クロランブシル、シスプラチン、コルヒシン、シクロホスファミド、シタラビン、シチジンアラビノシド、シトカラシンB、ダカルバジン、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ダウノルビシン、デカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エストロゲン、5−フルオロデオキシウリジン、リン酸エトポシド(etopside phosphate)(VP−16)、5−フルオロウラシル、グラミシジンD、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミン、メルファラン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトラマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ニトロイミダゾール、パクリタキセル、プリカマイシン、プロカルビジン、ストレプトゾトシン、テノポシド(VM−26)、6−チオグアニン、チオTEPA、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビノレルビンが挙げられる。
特に適切な細胞毒性薬としては、例えば、ドラスタチン(例えば、オーリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE)、DNAマイナーグルーブ結合剤(例えば、エンジイン及びレキシトロプシン)、デュオカルマイシン、タキサン(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド、CC−1065、SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシ−カンプトテイン)、トポテカン、モルホリノ−ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、エチノマイシン、コンブレタスタチン、ネトロプシン、エポチロンA及びB、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、ディスコデルモリド、エリュテロビン並びにミトキサントロンが挙げられる。特定の実施態様では、細胞毒性薬は、従来の化学療法剤、例えばドキソルビシン、パクリタキセル、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキサート、マイトマイシンC又はエトポシドなどである。加えて、CC−1065類似体、カリケアミシン、メイタンシン、ドラスタチン10の類似体、リゾキシン及びパリトキシンなどの強力な薬剤を抗Cath−D抗体に連結し得る。
特定のバリエーションでは、細胞毒性薬又は細胞増殖抑制剤は、オーリスタチンE(当技術分野でドラスタチン10としても公知である)又はその誘導体である。典型的には、オーリスタチンE誘導体は、例えば、オーリスタチンEとケト酸との間で形成されるエステルである。例えば、オーリスタチンEをパラアセチル安息香酸又はベンゾイル吉草酸と反応させて、AEB及びAEVBをそれぞれ生成し得る。他の典型的なオーリスタチン誘導体としては、AFP(ジメチルバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−フェニルアラニン−p−フェニレンジアミン)、MMAF(ドバリン−バリン−ドライソロイシン−ドラプロリン−フェニルアラニン)及びMAE(モノメチルオーリスタチンE)が挙げられる。オーリスタチンE及びその誘導体の合成及び構造は、米国特許出願公開第20030083263号;国際公開公報第2002/088172号及び国際公開公報第2004/010957号;並びに米国特許第6,884,869号;米国特許第6,323,315号;米国特許第6,239,104号;米国特許第6,034,065号;米国特許第5,780,588号;米国特許第5,665,860号;米国特許第5,663,149号;米国特許第5,635,483号;米国特許第5,599,902号;米国特許第5,554,725号;米国特許第5,530,097号;米国特許第5,521,284号;米国特許第5,504,191号;米国特許第5,410,024号;米国特許第5,138,036号;米国特許第5,076,973号;米国特許第4,986,988号;米国特許第4,978,744号;米国特許第4,879,278号;米国特許第4,816,444号;及び米国特許第4,486,414号に記載されている。
他のバリエーションでは、細胞毒性薬は、DNAマイナーグルーブ結合剤である(例えば、米国特許第6,130,237号を参照のこと)。例えば、特定の実施態様では、マイナーグルーブ結合剤は、CBI化合物である。他の実施態様では、マイナーグルーブ結合剤は、エンジインである(例えばカリケアミシン)。
特定の実施態様では、抗体−薬物コンジュゲートは、抗チューブリン剤を含む。抗チューブリン剤の例としては、例えば、タキサン(例えば、Taxol(登録商標)(パクリタキセル)、Taxotere(登録商標)(ドセタキセル))、T67(Tularik)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)並びにドラスタチン(例えば、オーリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB)が挙げられる。他の抗チューブリン剤としては、例えば、バッカチン誘導体、タキサン類似体(例えば、エポチロンA及びB)、ノコダゾール、コルチシン及びコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、マイタンシノイド、コンブレタスタチン、ディスコデルモリド並びにエリュテロビンが挙げられる。いくつかの実施態様では、細胞毒性薬は、他のグループの抗チューブリン剤であるメイタンシノイドである。例えば、特定の実施態様では、メイタンシノイドは、メイタンシン又はDM−1である(ImmunoGen, Inc.;Chari et al., Cancer Res. 52:127-131, 1992も参照のこと)。
他の実施態様では、細胞毒性薬は、代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、例えば、プリンアンタゴニスト(例えば、アゾチオプリン又はミコフェノレートモフェチル)、ジヒドロフォレートレダクターゼ阻害剤(例えば、メトトレキサート)、アシクロビル、ガンシクロビル、ジドブジン、ビダラビン、リババリン、アジドチミジン、シチジンアラビノシド、アマンタジン、ジデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、ポスカーネット又はトリフルリジンであり得る。
他の実施態様では、抗Cath−D抗体は、プロドラッグ変換酵素にコンジュゲートされる。プロドラッグ変換酵素は、公知の方法を使用して、抗体にリコンビナント融合又は化学的にコンジュゲートされ得る。例示的なプロドラッグ変換酵素は、カルボキシペプチダーゼG2、βグルクロニダーゼ、ペニシリン−V−アミダーゼ、ペニシリン−G−アミダーゼ、βラクタマーゼ、β−グルコシダーゼ、ニトロレダクターゼ及びカルボキシペプチダーゼAである。
治療剤をタンパク質(特に、抗体)にコンジュゲートするための技術は、周知である(例えば、Arnon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy (Reisfeld et al. eds., Alan R. Liss, Inc., 1985); Hellstrom et al., “Antibodies For Drug Delivery,” in Controlled Drug Delivery (Robinson et al. eds., Marcel Deiker, Inc., 2nd ed. 1987); Thorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review,” in Monoclonal Antibodies ‘84: Biological And Clinical Applications (Pinchera et al. eds., 1985); “Analysis, Results, and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy (Baldwin et al. eds., Academic Press, 1985);及びThorpe et al., 1982, Immunol. Rev. 62:119-58を参照のこと。例えば、国際公開公報第89/12624号も参照のこと)。
診断用途:
本発明のさらなる態様は、ガン疾患、及びCath−Dレベルが改変(増加又は減少)している他の疾患を診断及び/又はモニタリングするための本発明の抗Cath−D抗体に関する。
好ましい実施態様では、本発明の抗体は、蛍光分子、放射性分子又は上記の当技術分野で公知の任意の他の標識などの検出可能な分子又は物質を使用して標識され得る。例えば、本発明の抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって放射性分子を使用して標識され得る。例えば、放射性分子としては、限定されないが、シンチグラフ検査のための放射性原子、例えばI123、I124、In111、Re186、Re188が挙げられる。本発明の抗体はまた、ヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素19、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガン又は鉄などの核磁気共鳴(NMR)イメージング(核磁気共鳴画像法、MRIとしても公知である)のためのスピン標識を使用して標識され得る。抗体の投与の後、患者内における抗体の分布が検出される。任意の特定の標識の分布を検出する方法は当業者に公知であり、任意の適切な方法が使用され得る。いくつかの非限定的な例としては、コンピュータ断層撮影(CT)、ポジトロン断層撮影(PET)、核磁気共鳴画像法(MRI)、蛍光、化学発光及び超音波検査法が挙げられる。
本発明の抗体は、Cath−D過剰発現に関連するガン疾患を診断及び病期分類するために有用であり得る。Cath−D過剰発現に関連するガン疾患としては、典型的には、限定されないが、乳ガン、メラノーマ、卵巣ガン、肺ガン、肝臓ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、頭頸部ガン、膀胱ガン、悪性神経膠腫が挙げられる。
本発明の抗体は、Cath−D発現が増加しているガン以外の疾患、例えばアルツハイマー病を診断するために有用であり得る。
典型的には、前記診断方法は、患者から得られた生物学的サンプルの使用を含む。本明細書で使用される「生物学的サンプル」という用語は、被験体から得られた様々な種類のサンプルを包含し、診断アッセイ又はモニタリングアッセイに使用され得る。生物学的サンプルとしては、限定されないが、血液及び他の生物起源の液体サンプル、生検材料若しくは組織培養物又はそれら由来の細胞及びその子孫などの固体組織サンプルが挙げられる。例えば、生物学的サンプルとしては、Cath−D過剰発現に関連するガン疾患を有すると疑われる個体から回収された組織サンプルから、好ましい実施態様では、乳ガン、メラノーマ、卵巣ガン、肺ガン、肝臓ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、頭頸部ガン、膀胱ガン、悪性神経膠腫から得られた細胞を含む。したがって、生物学的サンプルは、臨床サンプル、培養液中の細胞、細胞上清、細胞溶解液、血清、血漿、生物学的流体及び組織サンプルを包含する。
治療用途:
本発明の抗体、フラグメント又はイムノコンジュゲートは、Cath−D過剰発現に関連する任意の疾患(優先的には、ガン)を処置するために有用であり得る。本発明の抗体は単独で、又は任意の適切な薬剤と組み合わせて使用され得る。
抗Cath−D本発明の抗体は、Cath−D過剰発現に関連する過剰増殖性疾患の処置として使用され得る。
Cath−D過剰発現に関連するこのような疾患の例は、乳ガン、メラノーマ、卵巣ガン、肺ガン、肝臓ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、頭頸部ガン、膀胱ガン、悪性神経膠腫を包含する。
特定の実施態様では、乳ガンは、エストロゲンレセプターポジティブ(ER+)ホルモン耐性乳ガン又はトリプルネガティブ(ER−及びPR−、HER2非増幅)乳ガンである。
本明細書に記載される処置方法の各実施態様では、抗Cath−D抗体又は抗Cath−D抗体−薬物コンジュゲートは、処置しようとする疾患又は障害の管理に関連する従来の方法にしたがって送達される。本明細書の開示にしたがって、有効量の抗体又は抗体−薬物のコンジュゲートは、疾患又は障害を予防又は治療するために十分な時間及び条件下で、このような処置を必要とする患者に投与される。
したがって、本発明の態様は、Cath−Dの過剰発現に関連する疾患を処置するための方法であって、治療有効量の本発明の抗体、フラグメント又はイムノコンジュゲートを、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。これとの関連では、本明細書で使用される「処置すること」又は「処置」という用語は、このような用語が適用される障害若しくは症状、又はこのような障害若しくは症状の1つ以上の症候の進行を回復、緩和、阻害又は予防することを意味する。本発明によれば、「患者」又は「それを必要とする患者」という用語は、Cath−Dの過剰発現に関連する疾患に罹患しているか、又は罹患している可能性があるヒトを意図する。
本発明の抗体の「治療有効量」は、医薬的治療に適用できる適切なベネフィット/リスク比において、Cath−Dの過剰発現に関連する前記疾患、例えばガン(例えば、乳ガン)を処置するための抗体の十分な量を意味する。しかしながら、本発明の抗体及び組成物の1日当たりの総用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決められることが理解されよう。任意の特定の患者のための特定の治療的有効用量レベルは、処置される障害及び障害の重症度、使用される特定の抗体の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、総合的な健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路、使用される特定の抗体の排出率、治療の期間、使用される特定の抗体と組み合わせで使用される又は同時に使用される薬物、並びに医学分野で周知の因子を含む様々な因子に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルの化合物の用量で開始すること、及び所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増加することは当業者に周知である。
特定の実施態様では、抗Cath−D抗体又は抗体−薬物コンジュゲートは、疾患又は障害の処置のための第2の薬物と組み合わせて使用される。ガンの処置に使用される場合、本発明の抗Cath−D抗体又は抗体−薬物コンジュゲートは、例えば手術、放射線療法、化学療法又はそれらの組み合わせなどの従来のガン治療と組み合わせて使用され得る。
本発明の別の態様は、乳ガンを処置するための方法において使用するための単離されたヒト抗Cath−Dモノクローナル抗体又はそのフラグメントに関する。
本発明はまた、乳ガンを処置するための方法であって、治療有効量の単離されたヒト抗Cath−Dモノクローナル抗体又はそのフラグメントを、それを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。
医薬組成物:
投与のために、抗Cath−D抗体又は抗体−薬物コンジュゲートは、医薬組成物として製剤化される。抗Cath−D抗体又は抗体−薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、薬学的に有用な組成物を調製するための公知の方法にしたがって製剤化され得、それにより、治療分子は、薬学的に許容し得る担体との混合物で組み合わされる。組成物は、その投与がレシピエント患者に許容し得る場合、「薬学的に許容し得る担体」と言われる。滅菌リン酸緩衝生理食塩水は、薬学的に許容し得る担体の一例である。他の適切な担体は、当業者に周知である(例えば、Gennaro (ed.), Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company, 19th ed. 1995)を参照のこと)。製剤は、1つ以上の賦形剤、保存剤、可溶化剤、緩衝剤、バイアル表面のタンパク質のロスを防止するためのアルブミンなどをさらに含み得る。
医薬組成物の形態、投与経路、用量及びレジメンは、当然のことながら、処置すべき症状、疾患の重症度、患者の年齢、体重及び性別などに依存する。
本発明の医薬組成物は、局所投与、経口投与、非経口投与、鼻内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与又は眼内投与などのために製剤化され得る。
好ましくは、医薬組成物は、注射可能な製剤のための薬学的に許容し得るビヒクルを含有する。これらは、特に、等張滅菌生理食塩水溶液(リン酸一ナトリウム又は二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムなど又はこのような塩の混合物)、又は乾燥組成物、特に凍結乾燥組成物(これは場合に応じて、滅菌水又は生理学的食塩水の追加により、注射液の構成を可能にする)であり得る。
投与に使用される用量は、様々なパラメータに応じて、特に、使用される投与様式、関連する病変、あるいは所望の処置期間に応じて適合され得る。
医薬組成物を調製するために、有効量の抗体を薬学的に許容し得る担体又は水性媒体に溶解又は分散し得る。
注射用途に適切な医薬形態としては、滅菌水溶液又は分散液;ゴマ油、ピーナッツ油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射液又は分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、形態は滅菌されていなければならず、容易にシリンジで扱える程度に流動性でなければならない。それは製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して防腐されていなければならない。
遊離塩基又は薬理学的に許容し得る塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその混合物中で及び油中で調製され得る。通常の保存及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐための保存剤を含む。
本発明の抗体は、中性形態又は塩形態の組成物に製剤化され得る。薬学的に許容し得る塩としては、(タンパク質の遊離アミノ基を用いて形成される)酸付加塩、及び無機酸(例えば、塩酸又はリン酸)又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)を用いて形成されるものが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化鉄)及び有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなど)から誘導され得る。
担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、適切なその混合物、及び植物油を含む、溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物作用の抑制は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物に使用することによってもたらされ得る。
必要に応じて上に列挙されている様々な他の成分と一緒に、必要量の活性化合物を適切な溶媒に組み込み、続いて滅菌ろ過することによって、滅菌注射液を調製する。一般に、基本分散媒体と上に列挙されている必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌有効成分を組み込むことによって、分散液を調製する。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌ろ過したその溶液から有効成分と任意のさらなる所望の成分との粉末が得られる真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
より濃縮された又は高濃縮された直接注射用溶液の調製も企図され、この場合、極めて迅速な浸透をもたらして高濃度の活性薬剤を小腫瘍領域に送達するために、溶媒としてDMSOを使用することが想定される。
製剤化したら、投与製剤と適合性の方法によって治療有効量で溶液を投与する。製剤は、上記注射液型などの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなども用いることができる。
水溶液による非経口投与の場合、例えば、必要の場合には前記溶液を適切に緩衝化し、十分な生理食塩水又はグルコースを用いて液体希釈剤を最初に等張にすべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に適切である。これに関して、当業者であれば、本開示を考慮して、用いられ得る滅菌水性媒体を理解するであろう。例えば、1投与量を等張NaCl溶液1mlに溶解し、皮下注入液1000mlに追加し得るか、又は推奨注入部位に注射し得る(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照のこと)。処置される被験体の症状に応じて、投与量のいくらかの変更が必ず生じるであろう。いずれにしても、投与責任者は、個々の被験体に適切な用量を決定するであろう。
本発明の抗体は、1用量当たり約0.0001〜1.0ミリグラム又は約0.001〜0.1ミリグラム又は約0.1〜1.0又はさらには約10ミリグラムほどを含むように治療混合物内に製剤化され得る。複数回用量も投与され得る。
静脈内又は筋肉内注射などの非経口投与のために製剤化された化合物に加えて、他の薬学的に許容し得る形態としては、例えば、錠剤又は経口投与のための他の固体;徐放性カプセル;及び現在使用されている任意の他の形態が挙げられる。
特定の実施態様では、抗体を宿主細胞に導入するために、リポソーム及び/又はナノ粒子の使用が企図される。リポソーム及び/又はナノ粒子の形成及び使用は、当業者に公知である。
ナノカプセルは、一般に、化合物を安定かつ再現可能な方法で捕捉し得る。細胞内のポリマーオーバーローディングによる副作用を回避するために、一般に、in vivoで分解可能なポリマーを使用して、このような超微細粒子(約0.1μmのサイズ)を設計する。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキル−シアノアクリラートナノ粒子が本発明における使用に企図され、このような粒子は容易に作製され得る。
水性媒体に分散されて多層状で同心円状の二層ベシクル(多層ベシクル(MLV)とも称される)を自然に形成するリン脂質から、リポソームが形成される。MLVは、一般に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理により、200〜500Åの範囲の直径を有する小単層ベシクル(SUV)であって、コアに水溶液を含有する小単層ベシクルが形成される。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度及び二価カチオンの存在に依存する。
キット:
最後に、本発明はまた、本発明の少なくとも1つの抗体を含むキットを提供する。本発明の抗体を含有するキットは、Cath−Dの発現(増加又は減少)を検出する際に、又は治療的アッセイ若しくは診断的アッセイにおいて使用される。例えば、IgG1 E2及びF1抗体は、免疫蛍光によって細胞カテプシンDを認識する。本発明のキットは、例えば組織培養プレート又はビーズ(例えば、セファロースビーズ)などの固体支持体にカップリングされた抗体を含有し得る。例えば、ELISAでは、Cath−Dをin vitroで検出及び定量するための抗体を含有するキットが提供され得る。検出に有用なこのような抗体は、蛍光又は放射性標識などの標識と共に提供され得る。
以下の図面及び実施例によって、本発明をさらに説明する。しかしながら、これらの実施例及び図面は、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
抗Cath−D scFvの作製及び特性評価。(A)ELISAによるモノクローナル抗Cath−D scFvの選択。ヒトプロ−、シュード−及び成熟Cath−Dに対する最良のscFvクローン(400個のスクリーニングしたクローンの8個)の細菌培養上清に対して実施したELISAが示されている。HRP標識抗Myc抗体を用いて、Cath−Dに対するscFvの結合を検出した。BSA、陰性抗原;IR(無関係):スクリーニングからの陰性scFv。成熟Cath−D抗原を用いてscFv(F6、H7、F1、E12、E2)を単離し、シュードCath−D抗原を用いてscFv(D7、B1及びH2)を単離した。(B)MDA−MB−231 BCC由来のヒトCath−Dに対する抗Cath−D scFvの結合。HRPにコンジュゲートした抗Hisを使用して、分泌されたヒトプロcath−D、自己活性化シュードcath−D及びMDA−MB−231 BCC由来の細胞ヒトCath−Dに対するELISAによって、抗Cath−D scFvの結合をアッセイした。BSA、陰性抗原;IR、陰性scFv。(C)MDA−MB−231 BCC由来のプロCath−D及びシュードCath−Dに対するIgG1 F1及びE2の結合。漸増濃度のIgG1 F1(上のパネル)又はIgG1 E2(下のパネル)の存在下でプレコーティング抗プロCath−D M2E8マウスモノクローナル抗体に加えたMDA−MB−231 BCCの馴化培地(CM;FCSの存在下で7日間;酸性化又は非酸性化)に対して、サンドイッチELISAをpH7で実施した。HRPにコンジュゲートした抗ヒトFc抗体を用いて、プロCath−Dに対するIgG1 F1及びIgG1 E2の結合を可視化した。EC50値が示されている。 ERBCCにおけるヒト抗Cath−D IgG1 F1及びE2の特性評価。(A)MCF−7 BCC由来のヒトCath−Dに対する抗Cath−D scFvの結合。HRPにコンジュゲートした抗Hisを使用して、分泌されたヒトプロcath−D、自己活性化シュードcath−D及びMCF−7 BCC由来の細胞ヒトCath−Dに対するELISAによって、抗Cath−D scFvの結合をアッセイした。BSA、陰性抗原;IR、陰性scFv。(B)MCF−7 BCC由来のプロCath−D及びシュードCath−Dに対するIgG1 F1及びE2の結合。漸増濃度のIgG1 F1(左のパネル)又はIgG1 E2(右のパネル)の存在下でプレコーティング抗プロCath−D M2E8マウスモノクローナル抗体に加えたMCF−7 BCCの馴化培地(CM;FCSの存在下で7日間;;酸性化又は非酸性化)に対して、サンドイッチELISAをpH7で実施した。HRPにコンジュゲートした抗ヒトFc抗体を用いて、プロCath−Dに対するIgG1 F1及びIgG1 E2の結合を可視化した。EC50値が示されている。 シュードCath−Dのタンパク質分解活性に対する抗Cath−D scFvの阻害効果。Ki±SD(n=3)の概要が示されている。 成熟Cath−Dのタンパク質分解活性に対するscFvの阻害効果。Ki±SD(n=3)の概要が示されている。 M0938及びM2295基質を用いたシュードCath−D及び成熟Cath−Dのミカエリス・メンテン反応速度。ミカエリス・メンテン式によるシュードCath−D(A)及び成熟Cath−D(B)の最適値は、それぞれVmax=531±28AFU/分;Km=0.9±0.1μM及びVmax=374±22AFU/分;Km=8.4±1.2μMである。 GST−LRP1βフラグメントに対するプロCath−Dの結合に対する抗Cath−D scFvの効果。抗Cath−D又は無関係なscFvと共にプレインキュベーションした放射性標識プロCath−Dを、GST−LRP1β(307〜479)(LRP1β細胞外ドメインのアミノ酸307〜479)を含有するビーズ上にロードした。scFvの存在下でGST−LRP1βに結合したプロCath−Dの全GST−LRP1βに対する比の定量は、無関係なscFvに対する割合(%)として表されている(IR、スクリーニングからの無関係な陰性scFv)。 ヒトCath−DとscFv F1及びE2並びにIgG1 F1及びE2との相互作用。(A)IgG1及びscFv F1及びE2間の競合ELISA。IgG1 F1又はE2(およそのEC50値;40ng/ml;0.27nM,)又は漸増濃度(0.04〜10μg/ml)のscFv F1、E2又はIR(スクリーニングからの陰性scFv)の存在下でプレコーティング抗プロCath−D M2E8抗体に加えたMDA−MB−231 BCCの馴化培地(CM;FCSの存在下で7日間)を用いて、サンドイッチELISAを実施した。HRPにコンジュゲートした抗ヒトFc抗体を用いて、プロCath−Dに対するIgG1 F1及びIgG1 E2の結合を可視化した。(B)成熟Cath−D上のscFv F1及びE2のエピトープ。ヒトCath−Dの52kDaのプロCath−Dの概略図。4kDaのCath−Dプロフラグメント、14kDaの成熟軽鎖、及び34kDaの成熟重鎖の位置が示されている。48kDaの中間形態は、14+34kDaの非切断鎖に対応する。[72]によれば、1は、成熟Cath−Dにおける1番目のアミノ酸に対応する。触媒部位の2つのアスパラギン酸の位置が示されており、M6Pモチーフを有する2本のグリコシル化鎖も示されている。K、キロダルトン。 無胸腺マウスにおけるMDA−MB−231腫瘍成長及び生存に対する抗Cath−D IgG1 F1及びE2の効果。(A)抗Cath−D IgG1 F1及びE2で処置したマウスにおけるMDA−MB−231異種移植片の成長。MDA−MB−231細胞(細胞1.5 10個)をマトリゲルと混合(比1:1)し、無胸腺マウスの側腹部に皮下注射した。1日後、IgG1 F1及びE2(15mg/kg)又はNaClをマウスに45日間にわたって週3回腹腔内注射した。腫瘍体積が2000mm3に達したらマウスを屠殺し、腫瘍成長曲線を停止した。腫瘍成長を週2回モニタリングした。腫瘍体積は、mm3±SEMで示されている(コントロール及びIgG F1について、n=8;IgG E2について、n=7)。**、p<0.01;*、p<0.05;スチューデントt検定。(B)カプラン・マイヤー曲線。ログランク検定を使用して、統計的差異を評価した(IgG F1及びIgG E2について、p<0.05)。 無胸腺マウスにおけるMDA−MB−231樹立腫瘍成長及び生存に対する抗cath−D IgG F1及びE2の効果。(A)抗Cath−D IgG1 F1及びE2で処置したマウスにおけるMDA−MB−231異種移植片の成長。MDA−MB−231細胞(細胞1.5 10個)をマトリゲルと混合(比1:1)し、無胸腺マウスの側腹部に皮下注射した。腫瘍体積が50mm3に達したら、IgG1 F1(15mg/kg)、IgG E2(15mg/kg)又はNaClをマウスに32日間にわたって週3回腹腔内注射した。腫瘍体積が2000mm3に達したらマウスを屠殺し、腫瘍成長曲線を停止した。腫瘍成長を週2回モニタリングした。腫瘍体積は、mm3±SEMで示されている(コントロールについて、n=8;IgG F1及びIgG E2について、n=6)。***、p<0.001;**、p<0.01;*、p<0.05;スチューデントt検定。(B)カプラン・マイヤー曲線。ログランク検定を使用して、統計的差異を評価した(IgG F1及びIgG E2について、p<0.0005)。 MDA−MB−231腫瘍サイズ及び肉眼的外観に対する抗Cath−D IgG1 F1及びE2の効果。抗Cath−D IgG1 F1及びE2又はコントロールのリツキシマブで処置したマウスにおけるMDA−MB−231異種移植片の腫瘍成長。MDA−MB−231細胞(細胞1.5 10個)をマトリゲルと混合(比1:1)し、無胸腺マウスの側腹部に皮下注射した。腫瘍体積が50mm3に達したら、IgG1 F1(15mg/kg)、IgG E2(15mg/kg)又はリツキシマブ(IgGコントロール、15mg/kg)をマウスに28日間にわたって週3回腹腔内注射した。コントロールの腫瘍体積が600mm3に達した44日目にマウスを屠殺した。腫瘍成長を週2回モニタリングした。腫瘍体積は、mm3±SEMで示されている(リツキシマブ、IgG F1及びIgG E2について、n=9)。***、p<0.001;**、p<0.01;スチューデントt検定。
実施例:腫瘍微小環境におけるプロテアーゼカテプシンDの抗体ターゲティングは、乳ガン成長を阻害する
材料及び方法
材料:酵母ツーハイブリッドアッセイによって同定したpYESTrp2−LRP1β(307〜479)由来のLRP1β(307〜479)をコードするPCR増幅cDNAを、EcoRIによって以前に設計されたpGEX−4T−1に挿入することによって、LRP1β(307〜479)を作製した[29]。52−、48−、34−、14−又は4kDaのヒトCath−D鎖をコードするPCR増幅cDNAを、EcoRIによって以前に設計されたpGEX−4T−1に挿入することによって、pGEX−4T−1−Cath−D構築物を得た[29]。サンドイッチELISAに使用したマウス抗ヒトCath−Dモノクローナル抗体M2E8は、52kDaのプロCath−Dとのみ相互作用し、48kDa又は34kDaのCath−Dと相互作用しない[46]。52−、48−及び34kDa型のCath−Dを認識する抗ヒトCath−Dモノクローナル抗体(BD Biosciences)、14kDaのCath−D軽鎖を認識する抗ヒトCath−D抗体(ABCAM; ab75811)及び4kDaのCath−Dプロドメインを認識する抗ヒトCath−D抗体(Pr. M. Fusek (Oklahoma Medical Research Foundation, Oklahoma City, OK, U.S.A.)[18]の厚意による提供)をイムノブロッティングに使用した。HRPにコンジュゲートしたヤギポリクローナル抗ヒトFc抗体(A0170)、マウスモノクローナルHRP抗his(A7058)、細胞Cath−D(ヒト肝臓由来)、D−エリスロ−セラミドC81−リン酸(C8355)、ペプスタチンA、BSA及びクリスタルバイオレットは、(Sigma Aldrich)から購入した。ポリクローナル抗マウスcathD(sc−6486)、及びHRPにコンジュゲートしたモノクローナル抗c−Myc抗体(9E10)は(Santa Cruz Biotechnology)から購入し、リツキシマブ(抗CD20抗体)はRocheから購入し、HRPにコンジュゲートしたモノクローナル抗M13抗体(27942101)は(GE Heathcare)から購入した。シュードCath−Dの蛍光発生ペプチド基質(M2295:Ac−Glu−Asp(EDANS)−Lys−Pro−Ile−Leu−Phe−Phe−Arg−Leu−Gly−Lys(DABCYL)−Glu−NH)は(Sigma Aldrich)から購入し、成熟Cath−Dの蛍光発生ペプチド基質(M0938:MCA−Gly−Lys−Pro−Ile−Leu−Phe−Phe−Arg−Leu−Lys−DNP−Arg−NH)は(BACHEM)から購入した。52kDaのリコンビナントヒトプロCath−Dは、(R&D Systems)から購入した。マトリゲルは、(BD Biosciences)から購入した。
細胞株及び馴化培地及び細胞溶解物:10%ウシ胎児血清(FCS、GibcoBRL, Life technologies, Carlsbad, CA, USA)を含むDMEM中で、MDA−MB−231、MCF−7及びT47D BCC及び野生型MEF(マウス胎児線維芽細胞)を培養した。馴化培地及び細胞溶解物を生産するために、DMEM培地10%FCS中で、細胞を90%コンフルエンスまで成長させた。馴化培地(FCSの非存在下で24時間又はFCSの存在下で7日間)を除去し、800×gで10分間遠心分離した。PBS 1ml中での5回の解凍凍結サイクルによって細胞を溶解し、13,000×g、4℃で20分間遠心分離した後、細胞溶解物を単離した。
MDA−MB−231 BCCにおけるshRNAの安定トランスフェクション:製造業者の説明書にしたがってNucleofector Technology (Amaxa biosystems)を使用して、抗Cath−D shRNA1又はshRNA2発現ベクター(Invivogen)をMDA−MB−231 BCCにトランスフェクションし、ブラスチシジン(10μg/ml)に対して耐性のクローンを単離した。抗Cath−D shRNA1をトランスフェクションしたクローンS1C4、及び抗Cath−D shRNA2をトランスフェクションしたクローンS2C6は、Cath−Dサイレンシングについて選択した最良のクローンであった。
51kDaのシュードCath−Dへの52kDaのプロCath−Dの自己活性化:51kDaのシュードCath−Dを生産するために、25mM MESバッファー30μl[pH6.5]+1M酢酸Naバッファー2μl[pH3.5]/2M NaCl(最終pH3.9、次いでde NaHPO2N 50μlでpH7に中和)中で、52kDaのリコンビナントプロCath−D(10μg)を37℃で15分間自己活性化した。他の実験では、以前に記載されているように[71]、51kDaのシュードCath−Dを52kDaの分泌型からBCCの馴化培地中に直接生産した。分泌型プロCath−Dをin vitroで自己活性化するために、1N HClの追加によって3.5に調整したpHにおいて、10%FCSを含むDMEMで馴化した培養培地を37℃で1時間インキュベーションし、次いで、1N NaOHでpH7.4に中和した。
抗体ファージディスプレイ:HuscIライブラリーは、高レベルの発現に最適化された単一のフレームワークを使用する[37]。多様性を5つのアミノ酸(Y、N、D、G、S)に限定し、パラトープに最も寄与する残基に対応する位置の6つのCDRに導入した[38]。使用した抗原は、市販の51kDaのヒトシュードcath D及びヒト細胞成熟(34+4kDa)Cath−Dであった。陰性抗原は、BSAであった。以前に記載されているように[37]、HUSCIライブラリーからのscFvの選択を実施した。シュードCath−D、成熟Cath−D又はBSAを、PBS(pH7.4)中、100ng/ウェルで96ウェルプレート(Nunc Maxisorp)上に4℃で一晩コーティングした。(PBS/tween0.1%)で洗浄した後、非特異的結合部位を1%ゼラチン/PBSTでブロッキングし、以前に記載されているように[37]、1ml当たり1010個のscFvファージを各ウェルに室温で2時間アプライした。HRPにコンジュゲートした抗M13抗体を使用して、可視化を行った。Cath−D結合物中のポリクローナルscFv集団を濃縮するために、この実験を4回連続の選択ラウンドで反復した。Cath−D結合物中の濃縮したポリクローナルscFvをBL21(DE3)/pLysS細菌にトランスフォーメーションした。BL21(DE3)/pLysSコロニー(合計400)を96ウェルマイクロタイタープレートに採取して、自己誘導によってscFvを生産し、以前に記載されているように[37]溶解した。ヒトシュードCath−D、成熟Cath−D又はBSAを、100ng/ウェルで96ウェルプレート上に4℃で一晩コーティングした。(PBS/tween0.1%)で洗浄し、非特異的結合部位を1%ゼラチン/PBSTでブロッキングした後、モノクローナルscFvを含有する全細菌溶解物を4℃で2時間アプライした。HRPにコンジュゲートした抗c−Myc抗体を使用して、可視化を行った。
ScFv抗体遺伝子の配列決定:細菌培養物から二本鎖ファージミドDNAを抽出し、モノクローナルファージELISAプレートの各陽性ウェルからエクスパンションし、T7及びT7末端プライマー(Eurofins Genomics)を用いて配列決定した。
scFv抗体フラグメントの精製:シャッフルしたscFv遺伝子を発現ベクターPET23NNにサブクローニングして、ヘキサヒスチジンタグをscFvのC末端に追加した。リコンビナントプラスミドpET2NN−scFvを得、E. coli BL21(DE3)/pLysS(Invitrogen)にトランスフォーメーションし、製造業者のプロトコールにしたがってTALONコバルトカラムで精製した。以前に記載されているように、Cath−Dに対する精製scFvの認識をELISAによって実施し、HRPにコンジュゲートした抗Hisを用いて可視化した。
IgGのクローニング及び発現:ScFv(F1、E2及びE12)をヒトIgG1、λフォーマットでサブクローニングし、Evitria AGが(CHO)チャイニーズハムスター卵巣細胞株において発現させ、プロテイン−A HiTrapカラム(GE Healthcare)で精製した。
GSTプルダウンアッセイ:TNT T7結合網状赤血球溶解物システム(Promega)を使用した転写及び翻訳によって、[35S]メチオニン標識プレプロCath−Dを得た。イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(1mM)を37℃で3時間使用してEscherichia coli B株BL21において、GST−LRP1β(307−479)フラグメントを生産した。グルタチオン−セファロースビーズ(Amersham Biosciences)によって、GST融合タンパク質を精製した。プルダウンアッセイのために、GST融合タンパク質を固定化したグルタチオン−セファロースビーズ20μlを、15mg/ml BSA及び0.1%Tween20を含有するPDBバッファー500μl(20mM HEPES−KOH[pH7.9]、10%グリセロール、100mM KCl、5mM MgCl2、0.2mM EDTA、1mM DTT、0.2mMフェニルメチルスルホニルフルオライド)中でscFv抗体と共にプレインキュベーションした[35S]メチオニン標識タンパク質プレプロCath−Dと共に4℃で一晩インキュベーションした。ビーズをPDBバッファー500μlで洗浄し、結合したタンパク質を15%SDS−PAGEによって分離し、クーマシーブルーで染色し、オートラジオグラフィーフィルムに露出した。
Cath−D活性及び定常反応速度のための触媒活性アッセイ:D−エリスロ−セラミドC81−リン酸(10μM)、Cath−D(5nM)及びM2295(シュードCath−Dの蛍光発生ペプチド基質)又はM0938(成熟Cath−Dの蛍光発生ペプチド基質)を含有する0.1M 2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)バッファー[pH6]中で、開裂反応を100μLで行った。それぞれ(0.05μM〜5μM)及び(0.05μM〜30μM)で変動する濃度で試験したM2295又はM0938基質を用いて、シュードCath−D及び成熟Cath−Dの反応速度パラメータ(Km)を決定した。ホワイト96ハーフウェルプレート(Corning)中で反応を実行し、BMG Labtech Fluostar Omega分光蛍光光度計によって基質の切断を測定した。ミカエリス・メンテン式を使用して、Kmを決定した。非線形最小二乗回帰分析を使用して、SigmaPlot 12ソフトウェア(Systat Software Inc., San Jose, USA)の酵素反応速度モジュールが提供する単一基質反応速度モデルに対して、速度データをフィッティングした。ミカエリス・メンテン式(V=Vmax*S/Km+[S])に対して、2つのペプチドの加水分解反応速度に対応する速度データをベストフィッティングした。競合酵素阻害式(Vi=(Vmax*[S])/(Km(1+[I]/Ki)+[S]))に対してデータを再フィッティングすることによって、Ki値を計算した。フィッティングの質を視覚化するために、実験データ点は、酵素反応速度ソフトウェアによってフィッティングした理論線と共にプロットとして示されている。シュードCath−Dのタンパク質分解活性に対するscFvの阻害効果を評価するために、0.1M MESバッファー[pH6]中で、Cath−D(5nM)を、D−エリスロ−セラミドC81−リン酸(10μM)及びKm値付近の3つの濃度のM2295基質と共に(100μlの最終体積で)37℃でインキュベーションした。各基質濃度について、様々な濃度のscFvを使用して、シュードCath−Dに関する機構及び阻害定数(Ki)を決定した。M0938基質と共に成熟Cath−Dを用いて、同様の実験を行った。
表面プラズモン共鳴(BIAcore):T200機器(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)を使用して表面プラズモン共鳴分析によって、様々なCath−Dアイソフォーム(シュードCath−D、成熟Cath−D及びプロCath−D)に対するヒトIgG1 F1及びE2の結合を25℃で測定した。HBS−EPバッファー:10mM HEPES pH7.4、3mM EDTA、150mM NaCl及び0.005%非イオン界面活性剤P20(GE Healthcare)中、30μl/分で、実験を実施した。製造業者の説明書にしたがって抗ヒトFc(GE Healthcare)を使用して、IgG1をCM5センサーチップ表面上に捕捉した。HBS−EPバッファーで希釈したCath−Dを、IgG1及びコントロールフローセルに対して0.6nM〜160nMの異なる濃度で注入した。会合及び解離段階の後、2M MgClで再生工程を行った。コントロールフローセルのシグナルを差し引くことによって、センサーグラムを補正した。BIAevaluationバージョン4.1.1ソフトウェアを使用してコンフォメーション変化モデルに対して、データをグローバルフィッティングした。逆スキーム分析では、アミンカップリングによって、シュードCath−Dを680RUでCM5センサーチップ表面上に共有結合的に固定化した。一定範囲の濃度(0.5nM〜128nM)のIgG1 F1又はE2をシュードCath−Dに注入した。二価モデルによって、センサーグラムをグローバルフィッティングした。
ELISA及び免疫沈降:サンドイッチELISAでは、PBS中のマウスモノクローナル抗ヒトプロCath−D M2E8抗体(500ng/ウェル)[46]を96ウェルプレートに4℃で一晩コーティングした。PBS1×/tween0.1%/BSA1%で非特異的部位をブロッキングした後、細胞溶解物又は馴化培地を4℃で2時間アプライした。PBS/tween0.1%で洗浄した後、抗cathD IgG1 E2又はF1の連続希釈物を4℃で2時間追加した。HRPにコンジュゲートしたヤギ抗ヒトFc抗体を使用して、可視化を行った。シェーカー上で、抗Cath−D(IgG1 E2又はF1)モノクローナル抗体3μgと共に4℃で一晩インキュベーションし、次いで、10%プロテインG−セファロース50μlと共に4℃で2時間インキュベーションした細胞抽出物(1mg)に対して、免疫沈降を行った。セファロースビーズをPBSで3回洗浄し、SDSサンプルバッファー中で5分間煮沸し、SDS−PAGEによって分析した。他の実験では、イソプロピル−1−チオ−b−D−ガラクトピラノシド(1mM)を37℃で3時間使用してEscherichia coli B株BL21において生産したGST−Cath−D融合タンパク質を使用して、免疫沈降を実施した。得られたタンパク質を12%SDS−PAGEに供し、続いて、抗Cath−Dイムノブロッティングに供した。
伸長、コロニー形成及び創傷治癒アッセイ:伸長アッセイでは、抗Cath−D IgG1 E2若しくはF1又は無関係な抗CD20 IgG1(最終100μg/ml)の存在下でマトリゲル200μl(8mg/ml)に4℃で包埋した50,000個のMDA−MB−231 BCCを、24ウェルプレート中のマトリゲル(最終100μg/mlでこれらのIgG1を含有する200μl)のプリセットレイヤーに加え、最終100μg/mlでIgG1を含有するDMEM+10%FCS 500μlで7日間カバーした[14]。コロニー形成アッセイでは、300個のMDA−MB−231 BCCをDMEM+10%FCS中の6ウェルプレートにプレーティングし、抗Cath−D IgG1 F1若しくはE2又は無関係な抗CD20 IgG1で48時間ごとに処置した。創傷治癒アッセイでは、100,000個の細胞を24ウェルプレートに播種し、10%FCSを含むDMEM中、37℃で成長させた。24時間後、ピペットチップを用いて各単層をスクラッチすることによって、創傷を生じさせた。次いで、10%FCSを含むDMEM中で、細胞を、抗Cath−D IgG1 F1若しくはE2又は無関係な抗CD20 IgG1(最終100μg/ml)と共にインキュベーションした。Nikon ECLIPSE TS100顕微鏡及びOlympus SP-510 UZカメラによって、創傷閉鎖をキャプチャした。
in vivo腫瘍成長:認定機関において、フランス国の規制及び実験動物研究の倫理ガイドラインに準拠して、in vivo実験を実施した(契約番号C34−172−27)。1.5×10個のMDA−MB−231 BCCを6週齢の雌性BALB/cヌードマウス(Harlan, Le Malourlet, France)のいずれかの側腹部の皮下に移植した。対数増殖期に採取することによって、細胞を調製した;それらをPBSで洗浄し、マトリゲルと1:1で混合した。処置群(n=10)については、移植日に、マウスをランダムに分けた。IgG1 F1(15mg/kg)、IgG1 E2(15mg/kg)、リツキシマブ(15mg/kg)又はNaCl(週3回)でマウスを腹腔内処置した。キャリパーを使用して腫瘍を測定し、式V=(腫瘍の長さ 腫瘍の幅 腫瘍の奥行き)/2を使用して体積を計算した。
結果
ファージディスプレイによる抗Cath−D scFvの選択及び機能的スクリーニング:オープンな触媒部位を有する51kDaのヒトリコンビナントシュードCath−D、及び34+14kDaの精製ヒト肝臓成熟Cath−Dを、ファージ抗体HuscIライブラリーからヒト抗体を単離するめの免疫原として使用した[37]。このライブラリーは、高レベルの発現に最適化された単一のフレームワーク使用する[37]。多様性を5つのアミノ酸(Y、N、D、G、S)に限定し、パラトープに最も寄与する残基に対応する位置の6つのCDRに導入した[38]。固定化したシュードCath−D又は成熟Cath−Dに対してELISAで特異的結合を示すscFvフォーマットのポリクローナル抗体を単離し、4ラウンドのバイオパニングによってライブラリーから濃縮した[37]。本発明者らは、ELISAによって、プロCath−D、シュードCath−D及び成熟Cath−Dの全てに結合する8個のモノクローナルscFvを選択した(図1A)。これらのモノクローナルscFvを精製した。ELISA分析により、精製scFvが、トリプルネガティブMDA−MB−231 BCC(図1B)及びERMCF−7 BCC(図2A)由来のヒト分泌型プロCath−D、シュードCath−D及び細胞Cath−Dに結合し、MEF細胞由来の成熟Cath−D(2つの成熟タンパク質間で80%の同一性)と交差反応したことが明らかになった。pH6におけるシュードCath−D(図3;図5)及び成熟Cath−D(図4;図5)のタンパク質分解活性の阻害について、8個のscFvをそれらのKi値について特性評価した。シュードCath−D及び成熟Cath−Dのタンパク質分解活性を阻害するより強力なscFvは、F1、E2、E12及びH2であった(表3)。また、GSTプルダウンアッセイにおいて、LRP1線維芽細胞レセプターに対するプロCath−Dの相互作用を阻害する能力について、8個のscFvをスクリーニングした[29](図6)。H7を除く全てのscFvが、GST−LRP1βフラグメントに対するプロCath−Dの結合を(50〜79%)阻害した(図6;表3)。これら2つの機能的スクリーニングに基づいて、本発明者らは、pH6におけるCath−Dのタンパク質分解活性と、LRP1に対するその結合との両方を阻害したF1、E2及びE12 scFvを用いて、本発明者らの実験を行った(表3)。
表3.抗Cath−D scFvによるCath−Dのタンパク質分解活性及び/又はCath−D/LRP1相互作用の阻害。シュードCath−D及び成熟Cath−Dのタンパク質分解活性の阻害定数(Ki)、並びにプロCath−D/LRP1β相互作用の阻害(%)を、各抗Cath−D scFvについて示す。
抗Cath−D IgG1のin vitro特性評価:抗Cath−D scFv(F1、E2、E12)を完全ヒトIgG1、λとしてクローニングし、CHO細胞において生産し、アフィニティークロマトグラフィー(EVITRIA)によって培養培地から精製した。クーマシー染色によって、精製IgG1 F1、E2、及びE12を分析した。MDA−MB−231 BCCから分泌されたCath−Dに対するIgG1 F1及びIgG1 E2の結合能力を、それぞれ0.3nM及び0.4nMのEC50でサンドイッチELISAによって検証した。対照的に、IgG1フォーマットの下では、scFv E12は、ELISAにおいてその結合活性を喪失した。MCF−7 BCCによって分泌されたCath−Dについても、IgG1 F1及びE2の同様の結合が得られた(図2B)。腫瘍は、それらの微小環境において酸性pHを示すので[23〜25]、MDA−MB−231 BCCから分泌されたCath−Dに対するIgG1 F1及びE2の結合を異なるpHで分析した。IgG1 F1及びE2は、7.5〜5.5のpH範囲にわたって、同程度の親和性で固定化Cath−Dに結合した。MDA−MB−231及びMCF−7細胞抽出物由来の細胞Cath−Dに対して、IgG1 F1、E2、及びE12の結合能力を免疫沈降によって分析した。IgG1 F1及びE2は両方とも、MDA−MB−231及びMCF−7細胞由来の細胞Cath−Dを免疫沈降した一方、IgG E12は非効率的であった。シュードCath−D、成熟Cath−D及びプロCath−Dに対するIgG1 F1及びE2の結合親和性を、表面プラズモン共鳴によって定量した。IgG1 F1は、IgG1 E2と比較して、全てのCath−Dアイソフォームについて最高の解離定数Kを示した。IgG1 F1及びE2は両方とも、プロCath−Dに対するKが10倍未満であった。同様のKがpH6において得られたが、これは、腫瘍微小環境の酸性pHにおいて、IgG1 F1及びE2が全てCath−Dアイソフォームに依然として結合していたことを示している。
次に、本発明者らは、IgG1 F1及びE2のCath−Dエピトープを調査した。競合ELISAにより、IgG1 F1及びIgG1 E2のエピトープは重複していることが示された(図7A)。GST−Cath−D融合フラグメントを使用して、IgG1 F1及びE2は、52−、48−及び34kDaのCath−D−GSTの全てを免疫沈降した一方、4kDaのCath−D−GSTプロフラグメント及び14kDaの軽鎖Cath−D−GSTは認識されなかった(図7B)。したがって、IgG1 F1及びE2のCath−Dエピトープは、34kDaの重鎖上に位置する。成熟Cath−Dの三次元構造に対して、分子ドッキングモデルを実施した[39]。このモデルによれば、抗Cath−D scFv F1及びscFv E2は、突出したL1 CDRをプロテイナーゼの活性部位に挿入して、触媒部位のアスパラギン酸33及び231の近傍で34kDaのCath−D鎖と相互作用する。34kDaのCath−D上に位置する推定エピトープ(128AAKFDG134(配列番号:17);172DPDAQPGG179(配列番号:18))は、中性[40]及び酸性pH[41]では、成熟Cath−Dのリボン結晶構造上に表現される。これらのエピトープを検証するために、ドットブロット実験が進行中である。
BCCの挙動に対する抗Cath−D IgG1 F1及びE2の効果:本発明者らは、in vitroにおけるBCCの挙動に影響を与えるIgG1 F1及びE2の能力を最初に分析した。IgG1 F1及びE2は、MDA−MB−231 BCCの創傷治癒を有意に阻害し、コロニー形成アッセイにおいてクローンの数及びサイズを減少させ、マトリゲルに包埋されたMDA−MB−231 BCCの三次元伸長を防止した。shRNAアプローチによるCath−Dのサイレンシング(S1C4及びS2C6クローン)は、創傷治癒、コロニー形成及びマトリゲルにおける伸長の阻害を誘導したが、これは、これらのプロセスにおけるこのプロテアーゼの重要な役割を裏付けている。重要なことに、S1C4及びS2C6クローンにおいてCath−Dをサイレンシングしたところ、IgG1 F1及びE2は、創傷治癒に影響を与えるには非効率的であった。最後に、MCF−7及びT47D ERBCCを用いて実施した創傷治癒アッセイでは、IgG1 F1及びE2の有意な阻害効果が観察された。まとめると、本発明者らのデータは、細胞外Cath−Dの中和を介してBCCの侵襲性を減少させるIgG1 F1及びE2の能力を強く示唆している。
乳房腫瘍進行に対する抗Cath−D抗体の効果:
設定実験では、マトリゲルと混合(1:1)し、Balb/cヌードマウスの皮下に樹立した1又は2 10個のMDA−MB−231 BCC異種移植片は、指数関数的な腫瘍成長を示し、100%の取り込み及び十分な腫瘍サイズの均一性を伴って、45日間で1000mm3の腫瘍体積に達した(図S8)。次に、Balb/cヌードマウスにおけるMDA−MB−231異種移植片(マトリゲルと混合(1:1)した1.5 10個の細胞)を皮下に樹立し、IgG1 F1及びE2(15mg/kg、週3回)で45日間にわたって直接腹腔内処置した。腫瘍体積が2000mm3に達したら、マウスを屠殺した。IgGF1及びE2処置は両方とも、腫瘍成長を有意に阻害し(図8A)、全生存を改善した(図8B)。
50mm3の樹立MDA−MB−231腫瘍異種移植片に対して、IgG1 F1及びE2(15mg/kg、週3回)を32日間にわたって腹腔内投与したところ、IgG1 F1及びE2の同様の阻害効果は、MDA−MB−231腫瘍成長に対しても観察され(図9A)、全生存を改善した(図9B)。IgG1 F1及びE2のin vivo作用機序を解明するために、50mm3の樹立MDA−MB−231腫瘍に対して実施した前述の実験を繰り返し、28日間の処置後の44日目にマウスを屠殺した(図10)。
重要なことに、マウスCD20と交差反応しない抗ヒトCD20リツキシマブ抗体をネガティブコントロールとして使用したところ、NaClと比較して同程度の腫瘍成長阻害効果が得られた(図10A)。光学的な写真により、抗Cath−D IgG1 F1及びIgG E2群と比較した、リツキシマブ群間の腫瘍サイズの差異を確認した。また、抗Cath−D抗体処置群由来の腫瘍は、リツキシマブと比較して血痕が少なかったが、これは、腫瘍血管新生に対するIgG F1及びIgG E2のマイナス効果の可能性を示唆している(データは示さず)。
考察:
本報告は、抗Cath−DヒトIgG1 F1及びE2を使用して、乳ガン腫の微小環境において高レベルで発現されるCath−Dをターゲティング及び遮断する能力を示している。in vitroでは、これらの抗体は、BCCの創傷治癒、コロニー形成及び三次元伸長をin vitroで阻害し、トリプルネガティブBCCの腫瘍成長をin vivoで減少させた。Cath−Dが、リソソーム内タンパク質の異化及び細胞ホメオスタシスの維持に不可欠なカテプシンの遍在する重要な必須メンバーであることは注目に値する。Cath−Dノックアウトマウスは、神経セロイドリポフスチン症(NCL)表現型で出生後直ぐに死亡する[42]。ヒトにおける先天的なCath−D突然変異は、その合成の減少又は酵素的に不活性なタンパク質の産生につながり、NCLをもたらす[43]。したがって、(細胞内Cath−Dを超える)病的な細胞外Cath−Dを優先的にターゲティングするヒト抗体は、特異的細胞透過性小分子阻害剤と比較して、オフターゲット効果を回避するために重要である。
本発明者らの知見は、抗Cath−DヒトIgG1 F1及びE2が、ヒトCath−Dの34kDaの重鎖を特異的に認識することを示している。抗体は、基質結合クレフトの縁の突出したループを優先的にターゲティングして、長い挿入ループを必要とせずに、プロテアーゼの触媒機構を妨害し得ることが提案されている[44]。F1及びE2 scFvと成熟Cath−Dの三次元構造との分子ドッキングは、F1及びE2 scFvが、Cath−Dのアスパラギン酸触媒部位の近傍の同じ突出要素と相互作用することを強く示唆している。本発明者らの競合ELISAにより、IgGF1及びE2エピトープは重複することが立証された。これは、活性部位への基質アクセスの妨害による、又はアロステリック機構による基質加水分解の潜在的な阻害を示している。2つのヒト抗Cath−D抗体によるCath−D阻害の機構の構造的洞察を正確に明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
これまでに、Cath−Dの触媒活性と、LRP1線維芽細胞レセプターに対するその結合との両方を阻害するヒト抗体はまだ記載されていない。以前、ハイブリドーマ戦略は、高親和性のモノクローナルマウス抗Cath−D抗体の作製をもたらした。Garcia及びその同僚は、MCF−7 BCC細胞から精製した52kDaのプロCath−Dでマウスを免疫して、ヒトCath−Dに選択的なマウスモノクローナル抗体を作製した[45]。34kDaの重鎖を認識するこれらのモノクローナルマウス抗Cath−D抗体の一部は、pH4.5でCath−Dのタンパク質分解活性を特異的に阻害したのに対して、Cath−Dプロペプチドを特異的に認識するものはこれを阻害しなかった[46]。次いで、Rochefortのグループは、34kDaの鎖の異なるエピトープに対するこれらのモノクローナル抗体の2つ(M1G8及びD7E3)を使用して、乳ガン組織の細胞質ゾルにおける52kDaのプロCath−D及びそのプロセシング形態(48kDa及び34kDaのタンパク質)の固相二部位免疫酵素アッセイ(IEMA)を開発した[47、48]。この二部位IEMAは、転移リスク及びより短い生存に関連する乳ガンの予後不良マーカーとしてのCath−Dの臨床評価を可能にした[8、9]。これまでに、これらの抗cath−Dマウス抗体の潜在的な抗腫瘍効果は、まだ未調査であった。対照的に、Vetvickaのグループは、Cath−Dプロペプチド内のアミノ酸ストレッチ(aa27〜44)に対するマウスモノクローナルペプチド抗体であって、無胸腺ヌードマウスにおけるヒト乳房腫瘍の成長を阻害したマウスモノクローナルペプチド抗体を開発したが[49]、さらなる検証はまだ全く発表されていない。本明細書では、本発明者らは、ヒトにおける適用に必要なヒトモノクローナル抗体の便利な単離方法である抗体ファージディスプレイ技術を使用した[50]。乳ガンにおけるCath−Dの作用に関する本発明者らの以前の研究[26、29]に基づいて、2回の厳格な機能的スクリーニング(Cath−Dのタンパク質分解活性を阻害するそれらの能力、及びそのLRP1線維芽細胞レセプターに対するその結合)によって、Cath−D結合scFvを選択した。重要なことに、ヒトscFv抗体フォーマットは、結合特異性を治療用タンパク質に組み込むために適切であり[51、52]、本発明者らが本明細書で報告したように、インタクトなIgG1に容易に再フォーマットされ得る。インタクトな免疫グロブリンは、循環半減期が長いので、好ましいフォーマットである。したがって、腫瘍学における治療用抗体の大部分は、ヒトIgG1アイソタイプ(例えば、ハーセプチン及びセツキシマブ(Cetumximab))である。IgG1はまた、NK細胞、マクロファージ及び白血球上で発現されるFcレセプター(FcγR)の結合を介して、免疫エフェクター細胞の会合を可能にする[53]。
Cath−Dは、腫瘍微小環境のリモデリングに関与しているいくつかのプロテアーゼの1つに過ぎない。マトリックスメタロプロテイナーゼは広く研究されており、多くは、腫瘍において有意なアップレギュレーションを示す[3]。開発されたマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は、有望な前臨床結果を示したが、臨床試験では最終的に残念な結果に終わった。これは、少なくとも部分的には、それらの生理学的及び病態生理学的な役割の複雑さによるものであった[54、55]。その結果、システインカテプシン、特に、広範なガンにおいてアップレギュレーションされることが示されたCath−Bなどの他のプロテアーゼに対して注目が集まった[3]。しかしながら、近親相同性の結果として、システインカテプシンを対象とする特異的小分子阻害剤を開発する取り組みは、選択性を達成することができないために妨げられている[56]。さらに、これらの阻害剤がリソソーム内に(特に、カテプシンが豊富な組織、例えば肝臓中に)蓄積することによって、副作用及び毒性がさらに悪化し得る[57]。正常器官を害さずに治療効果を新生物病変に集中させるモノクローナル抗体の能力により、ガン治療におけるこれらの分子の使用は重要性を増し続けている[58〜60]。本来、ガン細胞上の膜抗原に特異的なモノクローナル抗体は、腫瘍ターゲティング用途に使用されてきたが、血管新生のマーカー[61]、間質抗原[62]、壊死部位で放出された細胞内タンパク質[63、64]、及び異常分泌されたプロテアーゼなどの別のターゲットが一層検討されている。ファージディスプレイ技術によって、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)及びウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターuPAに対する阻害抗体を得ることができた[51、52]。より最近では、腫瘍微小環境において放出されたシステインCath−Sの抗体媒介性ターゲティングが治療戦略候補として提案された[36、65〜68]。あるいは、治療用放射性同位体177Luにコンジュゲートされたアンタゴニストヒト抗体を用いたuPAレセプターのターゲティングが、侵襲性乳ガンにおいて報告された[69]。
本報告では、本発明者らは、腫瘍部位でアップレギュレーションされるCath−Dの抗体ベースのターゲティングが、乳ガンにおける治療用途のためのさらなる魅力的な手段であり得ることを提案する。小分子阻害剤の潜在的な危険性を考慮すると、Cath−Dをアンタゴナイズするための抗体の適用は、ガン処置の重要な治療可能性を提供し得る。このアプローチは、Cath−Dに対して特異的であり、かつエンドソーム分解によりリソソーム内に蓄積することもないであろう化合物の作製を可能にする。さらに、病的cath−Dは腫瘍微小環境に分泌されるので、本調査で示されているように、それは抗体化合物に修正可能である。結論として、腫瘍環境においてCath−Dを選択的にアンタゴナイズし得る抗体の使用は、小分子阻害剤で生じる可能性のある毒性問題を回避するのに役立ち得る。抗Cath−D抗体を用いたこれらの初発見の臨床的有用性は、前臨床モデルにおけるさらなる調査によって立証される必要がある。本発明者らは、2つのヒト抗Cath−D IgG1がマウスCath−Dと交差反応ことを見出したので、同種マウスモデルにおいてさらなる毒性研究をすべきである。Cath−DはBCCの化学療法耐性に影響を与え得るので[70]、抗cath−Dヒト抗体を既存の乳ガン化学療法剤と組み合わせることが、近い将来において特に重要になるであろう。
参考文献:
本出願を通して、様々な参考文献が、本発明が関係する現状技術を説明している。これらの参考文献の開示は、参照により本開示に組み入れられる。





Claims (14)

  1. Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1レセプターへの結合との両方を阻害する、単離されたヒトモノクローナル抗体であって、
    H−CDR1領域に配列番号:2、H−CDR2領域に配列番号:3及びH−CDR3領域に配列番号:4を含む重鎖可変領域と、L−CDR1領域に配列番号:6、L−CDR2領域に配列番号:7及びL−CDR3領域に配列番号:8を含む軽鎖可変領域とを含む、単離されたヒトモノクローナル抗体。
  2. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号:1に記載されているアミノ酸配列を有する、請求項に記載の抗体。
  3. 軽鎖可変領域が、配列番号:5に記載されているアミノ酸配列を有する、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号:1に記載されているアミノ酸配列を有し、軽鎖可変領域が、配列番号:5に記載されているアミノ酸配列を有する、請求項又はに記載の抗体。
  5. H−CDR1領域に配列番号:10、H−CDR2領域に配列番号:11及びH−CDR3領域に配列番号:12を含む重鎖可変領域と、L−CDR1領域に配列番号:14、L−CDR2領域に配列番号:15及びL−CDR3領域に配列番号:16を含む軽鎖可変領域とを含む、Cath−Dの触媒活性と、そのLRP1レセプターへの結合との両方を阻害する、単離されたヒトモノクローナル抗体。
  6. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号:9に記載されているアミノ酸配列を有する、請求項に記載の抗体。
  7. 軽鎖可変領域が、配列番号:13に記載されているアミノ酸配列を有する、請求項に記載の抗体。
  8. 前記抗体の重鎖可変領域が、配列番号:9に記載されているアミノ酸配列を有し、軽鎖可変領域が、配列番号:13に記載されているアミノ酸配列を有する、請求項又はに記載の抗体。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の抗体の重鎖又は軽鎖をコードする、核酸。
  10. 請求項に記載の核酸を含む、ベクター。
  11. 請求項に記載の核酸又は請求項10に記載のベクターを含む、宿主細胞。
  12. 請求項1〜のいずれかに記載の抗体を含む、医薬組成物。
  13. 薬物として使用するための、請求項1〜のいずれかに記載の抗体。
  14. 乳ガンを処置するための医薬組成物であって、請求項1〜8のいずれかに記載のヒト抗Cath−Dモノクローナル抗体を含む、医薬組成物
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