JP6769756B2 - 椎体スペーサ - Google Patents

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Description

本発明は、椎体スペーサの技術に関する。
従来、隣り合う2つの椎体の間に位置する椎間板が損傷するなどして本来の機能が損なわれた場合に、椎間板に代えて隣り合う2つの椎体の間に配置される椎体スペーサが知られている(例えば、特許文献1)。
特許第3557432号明細書 特許第5404165号明細書 国際公開第2007/105600号
従来の技術では、椎体スペーサは、椎体間に配置する際に椎体に噛み込むように、表面に凹凸構造を有している(例えば、特許文献1)。また、骨との結合を図るために、表面に多孔層が形成されている生体インプラントがある(例えば、特許文献2,3)。しかしながら、これら従来の技術において、椎体スペーサを椎体間に配置した初期(配置初期時)における椎体との結合性の更なる向上や、椎体スペーサの配置位置についての長期的な安定性の向上といった、椎体スペーサの更なる改良が望まれている。配置初期時における椎体との結合性の向上や、椎体スペーサの長期的な位置の安定性の向上を図ることで、以下の種々の不具合を低減できる。例えば、椎体スペーサが椎体から外れる現象である脱転や、本来の配置位置からズレる現象である転位が生じる可能性を低減できる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する、隣り合う椎体の間に配置するための椎体スペーサが提供される。この椎体スペーサは、前記第1面から突出する第1突出部と、前記第2面から突出する第2突出部と、を備え、前記第1突出部は、角を形成する第1頂部と、前記第1頂部よりも前記第1面側に位置し、前記第1面に沿った方向に延びる第1平面部と、を有し、前記第2突出部は、角を形成する第2頂部と、前記第2頂部よりも前記第2面側に位置し、前記第2面に沿った方向に延びる第2平面部と、を有し、前記第1突出部と前記第2突出部とはそれぞれ、表面に多孔層を有する。
この形態によれば、第1突出部が第1平面部を有し、第2突出部が第2平面部を有する。また、第1平面部を含む第1突出部と第2平面部を含む第2突出部とは、それぞれ表面に多孔層を有する。これにより、第1突出部と第2突出部が平面部を有さない場合に比べ、向かい合う椎体に対して所定の間隔(例えば、骨の形成に寄与する細胞の大きさの間隔)をあけた位置に、より多くの多孔層を配置できる。これにより、椎体スペーサを2つの椎体間に配置したときに、配置後においてより早期に、椎体の骨組織のより多くを多孔層に受け入れることができる。よって、椎体と椎体スペーサとの結合性を向上できる。また、より早期に椎体と椎体スペーサとの結合性を向上できるので、椎体スペーサが本来の配置位置からズレる可能性を低減できる。すなわち、椎体スペーサの長期的な位置の安定性の向上を図ることができる。
(2)上記形態であって、前記第1突出部は、前記第1面に沿った一方向に延び、前記第2突出部は、前記第2面に沿った一方向に延び、前記第1突出部は、さらに、前記第1面に沿った一方向において、前記第1頂部とは異なる位置に形成された第1凹部を有し、前記第2突出部は、さらに、前記第2面に沿った一方向において、前記第2頂部とは異なる位置に形成された第2凹部を有し、前記第1平面部は、前記第1凹部の底面によって形成され、前記第2平面部は、前記第2凹部の底面によって形成されていてもよい。この形態によれば、第1凹部や第2凹部の底面によって第1平面部や第2平面部を容易に形成できる。
(3)上記形態であって、前記第1面と前記第2面とに亘って貫通する第1貫通孔を有していてもよい。この形態によれば、第1面または第2面と向かい合う椎体の骨組織が成長した際に、成長した骨組織を第1貫通孔によって受け入れることができるので、椎体と椎体スペーサとの結合性をさらに向上できる。
(4)上記形態であって、さらに、前記第1面と前記第2面とを繋ぐ側面と、前記側面と前記第1貫通孔とを連通させる第2貫通孔と、を有していてもよい。この形態によれば、側面と向かい合う位置にまで椎体の骨組織が成長した際に、成長した骨組織を第2貫通孔によって受け入れることができるので、椎体と椎体スペーサとの結合性をより一層向上できる。
(5)上記形態であって、前記第1突出部は、さらに、前記第1面を基準として、前記第1平面部とは異なる高さ位置、かつ、前記第1頂部よりも前記第1面側の位置に形成された第1副平面部であって、前記第1面に沿った方向に延びる第1副平面部を有してもよい。ここで、椎体スペーサは、椎体間に配置された場合、椎体から荷重を受ける。この荷重は、椎体スペーサを使用する患者ごとに様々な値をとる。この荷重によって、椎体スペーサの第1突出部(第1頂部)の一部が潰れたり、一部が椎体内に埋没したりすることで、第1面と第1面と向かい合う椎体との距離は変化する。上記形態によれば、第1突出部が、第1平面部に加え、異なる高さ位置に配置された第1副平面部を有することで、患者ごとに変化する上記の距離に対応して、椎体に対して所定の間隔を有する平面部(第1平面部または第1副平面部)を設けることができる。
(6)上記形態であって、前記第2突出部は、さらに、前記第2面を基準として、前記第2平面部とは異なる高さ位置、かつ、前記第2頂部よりも前記第2面側の位置に形成された第2副平面部であって、前記第2面に沿った方向に延びる第2副平面部を有してもよい。ここで、椎体スペーサは、椎体間に配置された場合、椎体から荷重を受ける。この荷重は、椎体スペーサを使用する患者ごとに様々な値をとる。この荷重によって、椎体スペーサの第2突出部(第2頂部)の一部が潰れたり、一部が椎体内に埋没したりすることで、第2面と第2面と向かい合う椎体との距離は変化する。上記形態によれば、第2突出部が、第2平面部に加え、異なる高さ位置に配置された第2副平面部を有することで、患者ごとに変化する上記の距離に対応して、椎体に対して所定の間隔を有する平面部(第2平面部または第2副平面部)を設けることができる。
(7)上記形態であって、前記椎体スペーサは、高分子材料を主成分とする材料からなっていてもよい。この形態によれば、高分子材料を主成分とした材料を用いて椎体スペーサを作製できる。
(8)上記形態であって、前記高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維とポリエーテルエーテルケトンとを含む樹脂からなる群より選択された材料であってもよい。一般に、ポリエーテルエーテルケトンは、生体適合性を有し、力学的特性が骨と近い。この形態によれば、高分子材料が、ポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維とポリエーテルエーテルケトンとを含む樹脂からなる群より選択された材料であることで、椎体と椎体スペーサとの結合性をさらに向上できる。
(9)上記形態であって、前記多孔層は、前記椎体スペーサの全表面に形成されていてもよい。この形態によれば、椎体の骨組織が成長した場合に、より多くの骨組織を多孔層に受け入れることができるので、椎体と椎体スペーサとの結合性をさらに向上できる。
(10)上記形態であって、前記多孔層は、生体活性物質を有していてもよい。この形態によれば、椎体間に椎体スペーサを配置した場合に、生体活性物質と骨組織との化学的な反応が始まり、新たな骨の形成を速やかに行うことができる。これにより、椎体と椎体スペーサとをさらに早期に結合できる。
(11)上記形態であって、前記生体活性物質は、リン酸カルシウムであってもよい。この形態によれば、生体活性物質としてリン酸カルシウムを用いることができる。
(12)上記形態であって、前記リン酸カルシウムは、水酸アパタイトであってもよい。この形態によれば、リン酸カルシウムとして水酸アパタイトを用いることができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、椎体スペーサの他に、例えば、椎体スペーサの製造方法等の態様で実現することができる。
第1実施形態としての椎体スペーサの使用例について説明するための第1の図である。 図1に示す図を紙面上側から見た図である。 椎体スペーサの第1の斜視図である。 椎体スペーサの第2の斜視図である。 椎体スペーサの第1面側の一部を示す斜視図である。 図5のF5A−F5A断面図である。 図5のF5B−F5B断面図である。 椎体スペーサの第2面側の一部を示す斜視図である。 椎体スペーサの製造工程を示す処理フローである。 第2実施形態としての椎体スペーサを第1面側から見た図である。 図10のF10−F10断面図である。 第1変形例の椎体スペーサを説明するための図である。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての椎体スペーサ20の使用例について説明するための第1の図である。図2は、図1に示す図を紙面上側から見た図である。椎体スペーサ20は、隣り合う第1椎体10Aと第2椎体10Bの間に配置され、体内に埋め込まれる器具(生体インプラント)である。椎体スペーサ20は、例えば、損傷した椎間板に代えて第1椎体10Aと第2椎体10Bの間に配置される。本実施形態では、図2に示すように、2つの椎体スペーサ20が第1椎体10Aと第2椎体10Bとの間に並んで配置されている。なお、第1椎体10Aと第2椎体10Bとを区別することなく用いる場合は、椎体10を用いる。
図3は、椎体スペーサ20の第1の斜視図である。図4は、椎体スペーサ20の第2の斜視図である。図1および図2において、第1面21と第1突出部30との境界、および、第2面22と第2突出部40との境界には、理解の容易のために破線を付している。
椎体スペーサ20(図3)は、略直方体形状の部材である。椎体スペーサ20は、短手方向SDの長さが長さLSであり、長手方向LDの長さが長さLLであり、厚み方向(2つの椎体10A,10Bが対向する方向)TLの長さが長さLTである。長さLS,LL,LTは、第1椎体10Aおよび第2椎体10Bの形状や、使用する患者や術式などに応じて任意に設定できる。例えば、長さLSは5〜12mm、長さLLは18〜26mm、長さLTは7〜13mmの範囲に設定できる。椎体スペーサ20は、第1面21と、第2面22と、側面としての第1〜第4側面23,24,25,26と、第1突出部30と、第2突出部40と、を有する。
第1面21は、第1椎体10A(図1)と対向する平面である。第2面22は、第2椎体10B(図1)と対向する平面であり、第1面21とは反対側に位置する。第1面21と第2面22とが対向する方向は、椎体スペーサ20の厚み方向TLとなる。第1〜第4側面23,24,25,26はそれぞれ、第1面21と第2面22とを繋ぐ平面である。第1側面23と第3側面25とは、椎体スペーサ20の長手方向LDに対向する。第2側面24と第4側面26とは、椎体スペーサ20の短手方向SDに対向する。厚み方向TL、長手方向LD、および、短手方向SDは互いに直交する。
椎体スペーサ20は、さらに、第1突出部30と、第2突出部40と、第1貫通孔27と、第2貫通孔28と、を有する。
第1貫通孔27は、椎体スペーサ20を厚み方向TLに貫通する単一の孔であり、第1面21と第2面22とに亘って貫通している。第2貫通孔28は、第1〜第4側面23,24,25,26と第1貫通孔27とを連通させる孔である。第2貫通孔28は、8つ形成されている。具体的には、椎体スペーサ20は、第1側面23と第1貫通孔27とを連通させる1つの第2貫通孔28(図3)と、第2側面24と第1貫通孔27とを連通させる3つの第2貫通孔28(図3)と、第3側面25と第1貫通孔27とを連通させる1つの第2貫通孔28(図4)と、第4側面26と第1貫通孔27とを連通させる3つの第2貫通孔28(図4)とを有する。なお、第2貫通孔28は、椎体スペーサ20を椎体10間へ挿入する際に使用される挿入治具を接続するために用いてもよい。
第1突出部30(図3)は、第1面21から突出する。第1突出部30は、長手方向LDに隣接して複数設けられている。第1突出部30のそれぞれは、第1面21に沿った一方向に延びる。本実施形態では、第1突出部30のそれぞれは、短手方向SDに平行な方向に延びる。つまり、第1突出部30によって、第1面21上には凹凸構造が形成されている。第1突出部30は、構成の異なる端部側第1突出部32と中央側第1突出部31とを有する。端部側第1突出部32は、第1面21のうちの第2側面24側の端部から第4側面26側の端部に亘って連続して延びる。中央側第1突出部31は、第1貫通孔27によって途中が分断されている。中央側第1突出部31の一方の側は、第1面21のうちの第2側面24側の端部から第1貫通孔27が位置する部分に亘って延びる。中央側第1突出部31の他方の側は、第1面21のうちの第4側面26側の端部から第1貫通孔27が位置する部分に亘って延びる。第1突出部30の詳細構成は後述する。
第2突出部40(図4)は、第2面22から突出する。第2突出部40は、長手方向LDに隣接して複数設けられている。第2突出部40のそれぞれは、第2面22に沿った一方向に延びる。本実施形態では、第2突出部40のそれぞれは、短手方向SDに平行な方向に延びる。つまり、第2突出部40によって、第1面21上には凹凸構造が形成されている。第2突出部40は、構成の異なる端部側第2突出部42と中央側第2突出部41とを有する。端部側第2突出部42は、第2面22のうちの第2側面24側の端部から第4側面26側の端部に亘って連続して延びる。中央側第2突出部41は、第1貫通孔27によって途中が分断されている。中央側第2突出部41の一方の側は、第1面21のうちの第2側面24側の端部から第1貫通孔27が位置する部分に亘って延びる。中央側第2突出部41の他方の側は、第1面21のうちの第4側面26側の端部から第1貫通孔27が位置する部分に亘って延びる。第2突出部40の詳細構成は後述する。
椎体スペーサ20は、高分子材料を主成分(50質量%以上)とする材料から形成されている。ここで、椎体スペーサ20が金属材料を主成分とした材料で形成されている場合、高強度である反面、弾性率が高く靭性に欠ける場合があり、大きな荷重が連続的にかかるような部位に配置すると、周りの骨との力学的特性の差によりストレスシールディングが生じるといった問題や、骨と直接に結合しないといった問題がある。また、人工骨の材料として水酸アパタイト等のバイオセラミックスを選択すると、バイオセラミックスは、通常、生体適合性が良いうえに、生体活性が高くて、骨との結合性に優れている反面、外部衝撃に弱いので、大きな荷重が瞬間的にかかるような部位には用いることができないという問題がある。椎体スペーサ20が高分子材料を主成分とする材料から形成されることで、上記のような問題が生じる可能性を低減できる。
本実施形態では、椎体スペーサ20は、高分子材料からなる緻密なスペーサ本体と、スペーサ本体の全表面に形成された多孔層とを有する。高分子材料としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いることができる。また、高分子材料は、炭素繊維を含む樹脂であってもよい。例えば、椎体スペーサ20は、PEEKが70〜90質量%、炭素繊維が10〜30質量%の組成であってもよい。
PEEKは、生体適合性を有し、力学的特性が骨と近い。従って、椎体スペーサ20を形成する材料としてPEEKを採用すると、椎体10との結合性を向上できる。例えば、大きな荷重が連続的に長期間かかるような部位に椎体スペーサ20を配置した場合に、ストレスシールディング、すなわち骨に加わる応力の遮蔽によって生じ得る骨減少及び骨密度の低下等を抑制できる。多孔層は、表面に開口を有し、内方側まで連通する孔を有する。多孔層は、PEEKによって形成された椎体スペーサ20の元となる基材に対して後述する様々な処理を行うことで形成される。多孔層は、孔の内壁面や表面に生体活性物質を有していてもよい。これにより、椎体スペーサ20を第1椎体10Aと第2椎体10Bとの間に配置した後に、生体活性物質と生体の骨組織との化学的な反応が始まり、新たな骨の形成が速やかに行われる。よって、骨(椎体10)と椎体スペーサ20とを早期に結合させることができる。生体活性物質としては、生体との親和性が高く、骨組織と化学的に反応する性質を有する物質であれば特に限定されず、例えばリン酸カルシウム系材料、バイオガラス、結晶化ガラス(ガラスセラミックスとも称する。)、炭酸カルシウム等が挙げられる。リン酸カルシウム系材料としては、例えば、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム水和物、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、ドロマイト、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト及び塩素アパタイト等が挙げられる。バイオガラスとしては、例えば、SiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、及び、SiO−CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−CaO−MgO−P系ガラス(アパタイトウォラストナイト結晶化ガラスとも称する。)、及び、CaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。これらのリン酸カルシウム系材料、バイオガラス及び結晶化ガラスは、例えば、「化学便覧 応用化学編 第6版」(日本化学会、平成15年1月30日発行、丸善株式会社)、「バイオセラミックスの開発と臨床」(青木秀希ら編著、1987年4月10日発行、クインテッセンス出版株式会社)等に詳述されている。
生体活性物質としては、生体活性に優れる点でリン酸カルシウム系材料が特に好ましい。更に好ましくは、水酸アパタイトを用いるとよい。水酸アパタイトは、実際の骨と組成や構造、性質が似ているので体内環境における安定性が優れており、体内で顕著な溶解性を示さないからである。
図5は、椎体スペーサ20の第1面21側の一部を示す斜視図である。図6は、図5のF5A−F5A断面図である。図7は、図5のF5B−F5B断面図である。図5〜図7を用いて、第1突出部30の詳細構成について説明する。図6および図7において、シングルハッチングの部分は緻密なスペーサ本体29Aを示し、クロスハッチングの部分は多孔層29Bを示している。
第1突出部30の端部側第1突出部32(図5)は、三角柱形状であり、2つの底面が短手方向SDに対向する。端部側第1突出部32は、三角柱の側面の一つを形成して第1面21から延びる第1形成側面326と、三角柱の側面の他の一つを形成して第1面21から延びる第2形成側面327とを有する。また、端部側第1突出部32は、第1頂部321と、第1凹部36とを有する。
第1頂部321は、第1形成側面326と第2形成側面327とが交わることで角(例えば30度〜60度のいずれかの角度の内角を有する角)を形成している。第1頂部321は、椎体スペーサ20が第1椎体10Aと第2椎体10Bとの間に配置された配置状態のときに、向かい合う第1椎体10Aに噛み込む部分である。第1凹部36は、第1面21に沿った一方向である短手方向SDにおいて、第1頂部321とは異なる位置に形成されている。第1凹部36は、端部側第1突出部32のうちで第1頂部321を有さない部分である。第1凹部36は、第1面21を基準として、異なる高さ位置に配置された第1平面部323および第1副平面部324を有する。第1平面部323および第1副平面部324は、第1面21に平行な面であり、第1凹部36の底面を構成する。第1平面部323および第1副平面部324は、第1形成側面326と第2形成側面327とを繋ぐ面である。また、第1平面部323および第1副平面部324(図7)は、短手方向SDと直交する断面において、端部側第1突出部32のうち第1面21に接続された両端部32E1,32E2を結ぶ仮想線(本実施形態では第1面21)と平行な平面である。なお、仮想線と第1面21とは一致しなくてもよく、第1面21は曲面であってもよい。第1平面部323および第1副平面部324は、第1面21に平行な面に限定されるものではなく、第1面21に沿った方向に延びる面であってもよい。「第1面21に沿った方向」とは、第1面21に平行な方向に加え、第1面21に対して10度以内の角度で傾斜する方向も含む。
第1平面部323および第1副平面部324は、配置状態の初期において、第1椎体10Aと僅かな隙間を開けて向かい合う(面する)ことが好ましい。これにより、この隙間によって配置状態の初期における骨組織の成長を受け入れることができる。第1副平面部324は、第1頂部321よりも第1面21側に位置する。また、第1平面部323は、第1頂部321および第1副平面部324よりも第1面21側に位置する。第1平面部323は、第1凹部36の底面のうちで最も第1面21側に位置する最底面を形成する。
第1突出部30の中央側第1突出部31(図5)は、第1平面部323となる部分が第1貫通孔27によって空洞になっている点で端部側第1突出部32と異なる。中央側第1突出部31は、三角柱形状であり、2つの底面が短手方向SDに対向する。中央側第1突出部31は、三角柱の側面の一つを形成して第1面21から延びる第1形成側面316と、三角柱の側面の他の一つを形成して第1面21から延びる第2形成側面317とを有する。また、中央側第1突出部31は、第1頂部311と、第1凹部35とを有する。
第1頂部311は、第1頂部321と同様の構成である。例えば、第1頂部311は、第1形成側面326と第2形成側面327とが交わることで角を形成し、配置状態のときに、向かい合う第1椎体10Aに噛み込む。第1凹部35は、第1面21に沿った一方向である短手方向SDにおいて、第1頂部311とは異なる位置に形成されている。第1凹部35は、中央側第1突出部31のうちで第1頂部311を有さない部分である。第1凹部35は、第1頂部311よりも第1面21側に位置する第1平面部313を有する。第1平面部313は、端部側第1突出部32の第1副平面部324に相当する面である。第1平面部313は、第1凹部35の底面を構成する。
第1突出部30(図7)の突出高さは高さH1であり、短手方向SDに直交する断面における幅は幅W1である。高さH1と幅W1は、第1椎体10Aおよび第2椎体10Bの形状などに応じて任意に設定できる。例えば、高さH1は0.6〜1.4mm、幅W1は1.5〜2.5mmの範囲に設定できる。また、第1平面部323、第1副平面部324、第1平面部313のそれぞれは、厚み方向TL(第1頂部321,311から仮想線を形成する第1面21に向かって垂線をひく方向)において、第1頂部321,311から第1頂部321,311の高さH1の5%〜50%の距離分だけ離れて配置されることが好ましい。例えば、第1平面部323、第1副平面部324、第1平面部313のそれぞれは、対応する第1頂部321,311から50〜500μmの範囲だけ離れた位置に配置されていることが好ましい。この範囲に第1平面部323、第1副平面部324、第1平面部313が配置されることで、以下の効果を奏する。つまり、配置状態のときに、第1頂部321,311が第1椎体10Aから荷重(例えば、5000N)を受けることで、第1椎体10Aに第1突出部30(第1頂部321,311)が食込んだり、第1突出部30(第1頂部321,311)が第1椎体10Aによって押し潰されたりする。例えば、椎体10によって高さH1の8〜10%程度は、第1突出部30が押し潰されたり第1椎体10Aに食込んだりすることで、配置状態のときに高さH1が減少する。よって、高さH1の減少分を考慮して第1突出部30を設計することで、第1椎体10Aと第1平面部323、第1副平面部324、第1平面部313との間に、骨の形成に寄与する細胞の大きさ程度の所定の間隔(例えば、約30μm)を良好に形成できる。
図8は、椎体スペーサ20の第2面22側の一部を示す斜視図である。図8を用いて、第2突出部40の詳細構成については説明する。第2突出部40は、形成されている面が第1面21に代えて第2面22である点でのみ第1突出部30と異なる。第2突出部40は、構成の異なる端部側第2突出部42と中央側第2突出部41とを有する。
端部側第2突出部42は、端部側第1突出部32と同様の構成であり、第1形成側面426と、第2形成側面427と、第1および第2形成側面426,427とが交わることで角を形成する第2頂部421と、短手方向SD(第2面22に沿った一方向)において第2頂部421とは異なる位置に形成された第2凹部46とを有する。第2凹部46は、第1凹部36と同様の構成であり、第2面22を基準として、異なる高さ位置に配置された第2平面部423および第2副平面部424を有する。第2平面部423は第1平面部323と同様の構成であり、第2副平面部424は第1副平面部324と同様の構成である。第2平面部423および第2副平面部424は、第2頂部421よりも第2面22側に位置する。第2平面部423および第2副平面部424は、第2面22に平行な面である。なお、第2平面部423および第2副平面部424は、第2面22に平行な面に限定されるものではなく、第2面22に沿った方向に延びる面であってもよい。「第2面22に沿った方向」とは、第2面22に平行な方向に加え、第2面22に対して10度以内の角度で傾斜する方向も含む。
中央側第2突出部41は、中央側第1突出部31と同様の構成であり、第1形成側面416と、第2形成側面417と、第1および第2形成側面416,417とが交わることで角を形成する第2頂部411と、短手方向SDにおいて第2頂部411とは異なる位置に形成された第2凹部45とを有する。第2凹部45は、第1凹部35と同様の構成であり、第2頂部411よりも第2面22側に位置する第2平面部413を有する。
図9は、椎体スペーサ20の製造工程を示す処理フローである。まず、椎体スペーサ20の元となる基材を作製する(ステップS10)。具体的には、プラスチック材料(例えば、PEEK)を椎体スペーサ20の形状になるように切削加工することで基材を作製する。この基材は、図3および図4に示す外観形状を有する。なお、切削加工に代えて金型を用いた射出成形によって基材を作製してもよい。
次に、基材表面に多数の微小気孔を形成する(ステップS20)。基材表面に微小気孔を形成させる方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、プラスチック製の基材を、濃硫酸、濃硝酸、又はクロム酸等の腐食性溶液に所定時間浸漬し、次いで、この基材をプラスチックが溶出しない洗浄用溶液、例えば純水に浸漬させる方法を挙げることができる。プラスチックとして、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を採用した場合には、濃硫酸にPEEKを所定時間浸漬させ、次いで、純水に浸漬させることにより微小気孔を形成させることができる。この基材表面に形成された多数の微小気孔の層が多孔層29Bとなる。
次に、多数の微小気孔を有する基材の表面に発泡剤が保持された発泡剤保持基材を作製する(ステップS30)。発泡剤としては、プラスチック製の基材の表面に所望の多孔質構造を形成させることのできる物質であれば良く、そのような発泡剤として、炭酸塩、アルミニウム粉末などの無機系発泡剤や、アゾ化合物、イソシアネート化合物などの有機系発泡剤を挙げることができる。発泡剤は生体に悪影響を与えない物質であるのが好ましく、そのような発泡剤としては炭酸塩が好ましく、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを挙げることができる。
次に、発泡剤保持基材から発泡基材を作製する(ステップS40)。具体的には、発泡剤保持基材を、プラスチックを膨潤させ、かつ、発泡剤を発泡させる発泡溶液に所定時間浸漬させて、プラスチックの膨潤と発泡剤の発泡とを同時に進行させる。その後に、膨潤したプラスチックを凝固させる凝固溶液に浸漬することにより発泡基材を作製する。発泡溶液としては、例えば、濃硫酸、塩酸及び硝酸などの酸性溶液を挙げることができる。発泡剤保持基材を形成する材料がPEEKであり、発泡剤が炭酸塩である場合には、発泡溶液としては、濃度が90%以上の濃硫酸が好ましい。凝固溶液、すなわちプラスチックが溶出しない溶液としては、例えば、水、アセトン、エタノールなどの水性溶液を挙げることができる。発泡基材を形成する材料がPEEKである場合には、上記に挙げた他に、濃度が90%未満の硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の無機酸水溶液、水溶性有機溶剤がある。水溶性有機溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、テトラヒドロフラン、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエトレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリンエタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、ヘキサノ−ル等のアルコ−ル及びこれらの水溶液、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリビニルピロリドン等液状高分子またはそれらの水溶液及びこれらの混合物を挙げることができる。
次に、発泡基材の表面に水酸アパタイト粒子を固定化する(ステップS50)。これにより、多孔層29Bの内壁面や表面に水酸アパタイト粒子が固定化される。固定化の方法としては、例えば以下の方法を用いることができる。まず、水酸アパタイト粒子をエタノール溶液に分散させた分散系溶液を用意する。次いで、この分散系溶液に発泡基材を浸漬させて、浸漬させた状態で超音波を分散系溶液に付与する。これにより、水酸アパタイト粒子が発泡基材の表面に均一に付着する。次いで、発泡基材を分散系溶液から取り出して、所定条件下(例えば、約230℃の温度で20分間)で乾燥させて、水酸アパタイト粒子を固定化する。ステップS10〜ステップS50を行うことで、椎体スペーサ20が作製される。
上記第1実施形態によれば、図5および図8に示すように、第1突出部30が第1平面部323,313を有し、第2突出部40が第2平面部423,413を有する。また、第1平面部323、313を含む第1突出部30と第2平面部423,413を含む第2突出部40とはそれぞれ表面に多孔層29Bを有する。これにより、第1突出部30と第2突出部40が平面部を有さない場合に比べ、向かい合う椎体10に対して所定の間隔(例えば、骨の形成に寄与する細胞の大きさの間隔)をあけた位置に、より多くの多孔層29Bを配置できる。これにより、椎体スペーサ20を2つの椎体10間に配置したときに、配置後においてより早期に、椎体10の骨組織のより多くを多孔層29Bに受け入れることができる。よって、椎体10と椎体スペーサ20との結合性を向上できる。また、より早期に椎体10と椎体スペーサ20との結合性を向上できるので、椎体スペーサ20が本来の配置位置からズレる可能性を低減できる。すなわち、椎体スペーサ20の長期的な位置の安定性の向上を図ることができる。また、上記実施形態によれば、第1凹部36,35や第2凹部46,45の底面によって第1平面部323,313や第2平面部423,413を容易に形成できる。
ここで、椎体スペーサ20は、椎体10間に配置された場合、椎体10から荷重を受ける。この荷重は、椎体スペーサ20を使用する患者ごとに様々な値をとる。この荷重によって、椎体スペーサ20の第1突出部30(第1頂部321,311)および第2突出部40(第2頂部421,411)は、一部が潰れたり、一部が椎体10内に埋没したりする。これにより、第1面21や第2面22と、第1面21や第2面22と向かい合う椎体10との距離(間隙距離)は変化する。上記実施形態によれば、図5に示すように、第1凹部36は第1平面部323に加え、第1平面部323とは異なる高さ位置に配置された第1副平面部324を有する。また上記実施形態によれば、図8に示すように、第2凹部46は第2平面部423に加え第2副平面部424を有する。これにより、椎体スペーサ20を使用する患者ごとに変化する間隙距離に対応して、椎体10に対して所定の間隔を有する平面部(第1平面部323,第2平面部423、または、第1副平面部324、第2副平面部424)を設けることができる。
また、上記第1実施形態によれば、椎体スペーサ20は第1貫通孔27を有する(図3)。これにより、第1面21または第2面22と向かい合う椎体10の骨組織が成長した際に、成長した骨組織を第1貫通孔27によって受け入れることができるので、椎体10と椎体スペーサ20との結合性をさらに向上できる。さらに、上記実施形態によれば、椎体スペーサ20は第2貫通孔28を有する(図3,図4)。これにより、第1〜第4側面23,24,25,26と向かい合う位置にまで椎体10の骨組織が成長した際に、第2貫通孔28によって成長した骨組織を受け入れることができる。よって、椎体10と椎体スペーサ20との結合性をより一層向上できる。
B.第2実施形態:
図10は、本発明の第2実施形態としての椎体スペーサ20aを第1面21側から見た図である。図11は、図10のF10−F10断面図である。図11では、第1面21と第1突出部30aとの境界、および、第2面22と第2突出部40aとの境界には、理解の容易のために破線を付している。
上記第1実施形態の椎体スペーサ20(図3)と椎体スペーサ20aとの異なる点は、第1突出部30aおよび第2突出部40aの構成と、椎体スペーサ20aが第1貫通孔27および第2貫通孔28を有していない点である。その他の構成については椎体スペーサ20と椎体スペーサ20aとで同様の構成であるため、同様の構成については同一符号を付すと共に説明を省略する。椎体スペーサ20a(図11)は、椎体スペーサ20(図6)と同様に、スペーサ本体29Aと、スペーサ本体29Aの表面に形成された多孔層29Bとを有している。椎体スペーサ20aは、第1実施形態の椎体スペーサ20と同様の製造工程(図9のステップS10〜S50)によって製造される。
椎体スペーサ20aは、略直方体形状の部材である。椎体スペーサ20aは、第1面21から突出する第1突出部30aを有する。また、椎体スペーサ20aは、第2面22から突出する第2突出部40aを有する。第1突出部30aと第2突出部40aとの構成は同一であるので、第2突出部40aの説明は適宜省略する。
第1突出部30aは、第1面21に複数設けられている。本実施形態では、第1突出部30aは、長手方向LDに沿って4つ、短手方向SDに沿って2つ設けられている。隣り合う第1突出部30aは隣接して配置されている。第1突出部30aは、第1面21に接続され、第1面21から突出した土台部391と、土台部391の上面から突出した角形成部392とを有する。
土台部391は、錐台形状である。本実施形態では、土台部391は、四角錐台形状である。土台部391は、上底を形成する第1平面部383と、第1平面部383と下底を形成する第1面21とを繋ぐ4つの側面部396a,396b,396c,396dとを有する。第1平面部383は、後述する角形成部392の第1頂部399よりも第1面21側に位置する。第1平面部383は、第1面21に平行な面である。第1平面部383は、上記第1実施形態の第1平面部323,313や第1副平面部324と同様に、配置状態の初期において、第1椎体10A(図1)と僅かな隙間を開けて向かい合う(面する)ことが好ましい。これにより、この隙間によって配置状態の初期における骨組織の成長を受け入れることができる。第1平面部383は、第1面21に平行な面に限定されるものではなく、第1面21に沿った方向に延びる面であってもよい。「第1面21に沿った方向」とは、第1実施形態と同様、第1面21に平行な方向に加え、第1面21に対して10度以内の角度で傾斜する方向も含む。
角形成部392は、第1平面部383の中央に配置されている。角形成部392は、錐体形状である。本実施形態では、角形成部392は、四角錐形状である。角形成部392は、四角錐形状の頂点を構成する第1頂部399と、四角錐形状の4つの側面部398a,398b,398c,398dとを有する。第1頂部399は、4つの側面部398a,398b,398c,398dが交わることで角を形成している。第1頂部399は、椎体スペーサ20が第1椎体10Aと第2椎体10Bとの間に配置された配置状態のときに、向かい合う第1椎体10Aに噛み込む部分である。
第2突出部40a(図11)は、第2面22に接続され、第2面21から突出した土台部491と、土台部491の上面から突出した角形成部492とを有する。土台部491は、第1突出部30aと同様の構成であり、上底を形成する第2平面部483と、第2平面部483と下底を形成する第2面22と繋ぐ4つの側面部496a,496c(図では2つの側面部のみ図示)とを有する。第2平面部483は、第2面22に平行な面である。第2平面部483は、第2面22に平行な面に限定されるものではなく、第2面22に沿った方向に延びる面であってもよい。「第2面22に沿った方向」とは、第1実施形態と同様、第2面22に平行な方向に加え、第2面22に対して10度以内の角度で傾斜する方向も含む。角形成部492は、第1実施形態と同様の構成であり、四角錐形状の頂点を構成する第2頂部499と、四角錐形状の4つの側面部498a,498c(図では2つの側面部のみ図示)とを有する。第2頂部499は、4つの側面部498a,498cが交わることで角を形成している。第2頂部499は、椎体スペーサ20が第1椎体10Aと第2椎体10Bとの間に配置された配置状態のときに、向かい合う第2椎体10Bに噛み込む部分である。
上記第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成を有する点において、同様の効果を奏する。例えば、第1突出部30aが第1平面部383を有し、第2突出部40aが第2平面部483を有する。また、第1平面部383を含む第1突出部30aと第2平面部483を含む第2突出部40aとはそれぞれ表面に多孔層29Bを有する。これにより、第1突出部30aと第2突出部40aが平面部を有さない場合に比べ、向かい合う椎体10に対して所定の間隔(例えば、骨の形成に寄与する細胞の大きさの間隔)をあけた位置に、より多くの多孔層29Bを配置できる。これにより、椎体スペーサ20aを2つの椎体10間に配置したときに、配置後においてより早期に、椎体10の骨組織のより多くを多孔層29Bに受け入れることができる。よって、椎体10と椎体スペーサ20aとの結合性を向上できる。また、より早期に椎体10と椎体スペーサ20aとの結合性を向上できるので、椎体スペーサ20aが本来の配置位置からズレる可能性を低減できる。すなわち、椎体スペーサ20aの長期的な位置の安定性の向上を図ることができる。
上記第2実施形態において、椎体スペーサ20aは、椎体スペーサ20と同様に、第1貫通孔27および第2貫通孔28を有していてもよい。また、椎体スペーサ20aは、椎体スペーサ20と同様に、第1副平面部や第2副平面部を有していてもよい。第1副平面部は、第1面21を基準として、第1平面部383とは異なる高さ位置、かつ、第1頂部399よりも第1面21側に形成されている。第2副平面部は、第2面22を基準として、第2平面部483とは異なる高さ位置、かつ、第2頂部499よりも第2面22側に形成されている。また、椎体スペーサ20aは、異なる高さ位置に配置された複数の第1副平面部や複数の第2副平面部を有していてもよい。
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
C−1.第1変形例:
上記実施形態では、椎体スペーサ20,20aは略直方体形状の部材であり、各面21,22,23,24,25,26は平面であったが、椎体スペーサ20,20aの形状はこれに限定されるものではなく、椎体10間に配置できる形状であればよい。椎体スペーサの形状についての一変形例を以下に説明する。図12は、第1変形例の椎体スペーサ20bを説明するための図である。椎体スペーサ20bと上記第1実施形態の椎体スペーサ20との異なる点は、第1面21bおよび第2面22bが曲面である点である。第1面21bおよび第2面22bは、短手方向SDから見た側面視において円弧状である。第1平面部323および第1副平面部324は、短手方向SDと直交する断面において、上記第1実施形態と同様に、両端部32E1,32E2を結ぶ仮想線VPと平行な平面である。第2平面部423および第2副平面部424についても同様に、自身が形成された端部側第2突出部42のうち第2面22に接続された両端部を結ぶ仮想線と平行な平面である。
C−2.第2変形例:
上記第1実施形態では、椎体スペーサ20は第1,第2副平面部324,424を有していたが(図5,図8)、有さなくてもよい。また、第1,第2副平面部324,424は、第1,第2平面部323,423とは異なる高さ位置に複数設けられていてもよい。複数の第1,第2副平面部324,424はそれぞれ、第1面21や第2面22を基準として異なる高さ位置に配置されている。
C−3.第3変形例:
上記第1実施形態では、第1突出部30および第2突出部40は、三角柱形状であったが、第1頂部321,311や第2頂部421,411が形成されていれば第1突出部30および第2突出部40の形状は、これに限定されるものではない。例えば、自身が延びる方向(短手方向SD)と直交する断面形状が、五角形などの多角形であってもよいし、曲線と直線とを組み合わせた形状であってもよい。また、上記第2実施形態も同様に、第1平面部383、第1頂部399、第2平面部483、第2頂部499を有していれば、第1突出部30aおよび第2突出部40aの形状は上記第2実施形態に限定されるものではない。例えば、第1突出部30aは、上面に第1平面部383を形成する柱状の土台部391と、土台部391の第1平面部383から突出する上部が尖った角形成部392とを有していてもよい。角形成部392の底部は、第1平面部383よりも面積が小さい。第2突出部40aの構成についても同様である。具体的には、例えば、第1突出部30aの土台部391および第2突出部40aの土台部491は円錐台形状であってもよいし、角形成部392,492は円錐形状であってもよい。
C−4.第4変形例:
上記第1,第2実施形態では、多孔層29Bは椎体スペーサ20の全表面に形成されていたが、少なくとも第1突出部30,30aと第2突出部40,40aの表面に形成されていればよい。
C−5.第5変形例:
上記第1実施形態では、第1貫通孔27は単一の孔であり、第2貫通孔28は8つの孔であったが、第1貫通孔27および第2貫通孔28の数はこれらに限定されるものではない。例えば、第1貫通孔27は複数(例えば、2つ)形成されていてもよい。また、第2貫通孔28は、8つ以外の複数(例えば6つ)形成されていてもよいし、1つだけ形成されていてもよい。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…椎体
10A…第1椎体
10B…第2椎体
20,20a,20b…椎体スペーサ
21,21a…第1面
22,22a…第2面
23…第1側面
24…第2側面
25…第3側面
26…第4側面
27…第1貫通孔
28…第2貫通孔
29A…スペーサ本体
29B…多孔層
30,30a…第1突出部
31…中央側第1突出部
32…端部側第1突出部
35,36…第1凹部
40,40a…第2突出部
41…中央側第2突出部
42…端部側第2突出部
45,46…第2凹部
311…第1頂部
313…第1平面部
316…第1形成側面
317…第2形成側面
32E1…端部
321…第1頂部
323…第1平面部
324…第1副平面部
326…第1形成側面
327…第2形成側面
383…第1平面部
391…土台部
392…角形成部
396a,396b,396c,396d…側面部
398a,398b,398c,398d…側面部
399…第1頂部
411…第2頂部
413…第2平面部
416…第1形成側面
417…第2形成側面
421…第2頂部
423…第2平面部
424…第2副平面部
426…第1形成側面
427…第2形成側面
483…第2平面部
491…土台部
492…角形成部
496a,496c…側面部
498a,498c…側面部
499…第2頂部
LD…長手方向
SD…短手方向
TL…厚み方向
VP…仮想線
W1…幅

Claims (12)

  1. 第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を有する、隣り合う椎体の間に配置するための椎体スペーサであって、
    前記第1面から突出する第1突出部と、
    前記第2面から突出する第2突出部と、を備え、
    前記第1突出部は、角を形成する第1頂部と、前記第1頂部よりも前記第1面側に位置し、前記第1面に沿った方向に延びる第1平面部と、を有し、
    前記第2突出部は、角を形成する第2頂部と、前記第2頂部よりも前記第2面側に位置し、前記第2面に沿った方向に延びる第2平面部と、を有し、
    前記第1突出部と前記第2突出部とはそれぞれ、表面に多孔層を有する、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  2. 請求項1に記載の椎体スペーサであって、
    前記第1突出部は、前記第1面に沿った一方向に延び、
    前記第2突出部は、前記第2面に沿った一方向に延び、
    前記第1突出部は、さらに、前記第1面に沿った一方向において、前記第1頂部とは異なる位置に形成された第1凹部を有し、
    前記第2突出部は、さらに、前記第2面に沿った一方向において、前記第2頂部とは異なる位置に形成された第2凹部を有し、
    前記第1平面部は、前記第1凹部の底面によって形成され、
    前記第2平面部は、前記第2凹部の底面によって形成されている、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の椎体スペーサであって、さらに、
    前記第1面と前記第2面とに亘って貫通する第1貫通孔を有する、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  4. 請求項3に記載の椎体スペーサであって、さらに、
    前記第1面と前記第2面とを繋ぐ側面と、
    前記側面と前記第1貫通孔とを連通させる第2貫通孔と、を有する、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の椎体スペーサであって、
    前記第1突出部は、さらに、
    前記第1面を基準として、前記第1平面部とは異なる高さ位置、かつ、前記第1頂部よりも前記第1面側の位置に形成された第1副平面部であって、前記第1面に沿った方向に延びる第1副平面部を有する、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  6. 請求項5に記載の椎体スペーサであって、
    前記第2突出部は、さらに、
    前記第2面を基準として、前記第2平面部とは異なる高さ位置、かつ、前記第2頂部よりも前記第2面側の位置に形成された第2副平面部であって、前記第2面に沿った方向に延びる第2副平面部を有する、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の椎体スペーサであって、
    前記椎体スペーサは、高分子材料を主成分とする材料からなる、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  8. 請求項7に記載の椎体スペーサであって、
    前記高分子材料は、ポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維とポリエーテルエーテルケトンとを含む樹脂からなる群より選択された材料である、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  9. 請求項1から請求項8でのいずれか一項に記載の椎体スペーサであって、
    前記多孔層は、前記椎体スペーサの全表面に形成されている、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の椎体スペーサであって、
    前記多孔層は、生体活性物質を有する、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  11. 請求項10に記載の椎体スペーサであって、
    前記生体活性物質は、リン酸カルシウムである、ことを特徴とする椎体スペーサ。
  12. 請求項11に記載の椎体スペーサであって、
    前記リン酸カルシウムは、水酸アパタイトである、ことを特徴とする椎体スペーサ。
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