JP2019180796A - 椎体スペーサ - Google Patents

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村井 亮太
Ryota Murai
亮太 村井
真二郎 笠原
Shinjiro Kasahara
真二郎 笠原
星児 一▲柳▼
Seiji Ichiyanagi
星児 一▲柳▼
和磨 毛利
Kazuma Mori
和磨 毛利
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Abstract

【課題】椎体間に挿入した際の初期固定力を向上させることにより、椎体間からの脱転を防止することが可能な椎体スペーサを提供すること。【解決手段】本発明の椎体スペーサは、第1椎体11と第2椎体との間に対して、所定の挿入方向に挿入されて配置される。椎体スペーサは、高分子材料を主体とする本体部21を備える。本体部21の表面のうち、少なくとも第1椎体11に接する第1面24及び第2椎体に接する第2面は、本体部21よりも弾性率が小さい表面層41によって覆われている。【選択図】図3

Description

本発明は、脊椎の外科手術において椎間板と置き換えられる椎体スペーサに関するものである。
従来、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等の治療において、脊椎(脊柱)の椎間板を除去した後、除去部分にインプラントである椎体スペーサを挿入することにより、椎間板を椎体スペーサに置き換える外科手術が行われている(例えば、特許文献1参照)。この手術を行うことにより、椎体スペーサを介して隣接する椎体同士を固定したり、脊柱のぐらつきを改善したりすることが可能となる。なお、椎体スペーサを構成する高分子材料としては、通常、皮質骨(生体骨)と同等の力学特性を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が用いられている。PEEKは、高い化学的安定性を有しているため、体内に埋設したとしても溶けたりすることはない。
特開2016−135243号公報(図1等)
ところで、椎体スペーサ内には、該椎体スペーサの外表面にて開口する中空部が形成されている。手術後において、生体骨の骨組織等が中空部に徐々に進入することにより、生体骨と椎体スペーサとの物理的な結合性が向上するようになる。しかしながら、椎体スペーサが上記した高分子材料から成るのに対して、生体骨はハイドロキシアパタイトのようなセラミック材料から成るため、両者の間には化学的な結合性がない。よって、椎体スペーサを隣接する椎体間に挿入した時点では、中空部に骨組織等が進入していないため、物理的な結合性が弱く、椎体スペーサの固定力(以下、「初期固定力」という)が不十分である。この場合、椎体に掛かる体重(荷重)が椎体スペーサを押し出す方向に作用し、椎体間から椎体スペーサが押し出される現象(いわゆる脱転)を生じてしまう可能性がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、椎体間に挿入した際の初期固定力を向上させることにより、椎体間からの脱転を防止することが可能な椎体スペーサを提供することにある。
上記課題を解決するための手段(手段1)としては、第1椎体と該第1椎体に隣接する第2椎体との間の椎間板にて、所定の挿入方向に挿入されて配置される椎体スペーサであって、前記椎体スペーサは、高分子材料を主体とする本体部を備え、前記本体部の表面のうち、少なくとも前記第1椎体に接する第1面及び前記第2椎体に接する第2面が、前記本体部よりも弾性率が小さい表面層によって覆われていることを特徴とする椎体スペーサがある。
従って、上記手段1に記載の発明では、本体部の表面のうち、少なくとも第1椎体に接する第1面及び第2椎体に接する第2面が、本体部よりも弾性率が小さい表面層によって覆われている。この場合、椎体スペーサを第1椎体と第2椎体との間に挿入すると、第1椎体及び第2椎体から作用する圧力によって表面層が潰れるようになる。その結果、椎体スペーサと椎体との接触面積が増大して摩擦力が大きくなるため、手術後の椎体スペーサの初期固定力が向上するようになる。ゆえに、椎体間からの椎体スペーサの脱転を防止することができる。
上記椎体スペーサは、高分子材料を主体とする本体部を備える。本体部を構成する高分子材料は、公知の生体適合性を有する材料、具体的には、第1椎体及び第2椎体に一体化しうる材料であることがよい。例えば、本体部を構成する高分子材料としては、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルホン(PSU)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、ポリメチルペンテン(PMP)、ジアリルフタレート樹脂(DAP)等のエンジニアリングプラスチックなどを挙げることができる。なお、高分子材料は、生体骨と同等の力学特性を有し、生体適合性の高いポリエーテルエーテルケトンであることが好ましい。
また、高分子材料は、例えば、カーボンナノチューブを含むカーボン繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、有機繊維等を含んでいてもよい。このようにすれば、本体部の強度を向上させることができる。なお、ガラス繊維としては、ホウケイ酸ガラス(Eガラス)の繊維状物、高強度ガラス(Sガラス)の繊維状物、高弾性ガラス(YM−31A)の繊維状物などが挙げられる。また、セラミック繊維としては、炭化珪素の繊維状物、窒化珪素の繊維状物、アルミナの繊維状物、チタン酸カリウムの繊維状物、炭化ホウ素の繊維状物、酸化マグネシウムの繊維状物、酸化亜鉛の繊維状物、ホウ酸アルミニウムの繊維状物、ホウ素の繊維状物などが挙げられる。さらに、金属繊維としては、タングステンの繊維状物、モリブデンの繊維状物、ステンレスの繊維状物、スチールの繊維状物、タンタルの繊維状物などが挙げられる。また、有機繊維としては、ポリビニルアルコールの繊維状物、ポリアミドの繊維状物、ポリエチレンテレフタレートの繊維状物、ポリエステルの繊維状物、アラミドの繊維状物などが挙げられる。
なお、高分子材料が上記の繊維を含む場合、高分子材料としては、上記したエンジニアリングプラスチックに加えて、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂(EEA)、4−メチルペンテン−1樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ACS樹脂、エチレン塩化ビニル共重合樹脂、プロピレン塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニリデン(VDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリフッ化エチレンプロピレン(PFEP)、ポリ三フッ化塩化エチレン(PTFCE)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、ポリケトンスルフィド、ポリスチレン(PS)、イソフタル酸系樹脂、ポリウレタン(PUR)、アルキルベンゼン、ポリジフェニルエーテルなどを挙げることができる。
上記椎体スペーサでは、本体部の表面のうち、少なくとも第1椎体に接する第1面及び第2椎体に接する第2面が、本体部よりも弾性率が小さい表面層によって覆われている。ここで、表面層の弾性率は、本体部の弾性率の10%以下であることが好ましい。このようにすれば、表面層が潰れやすくなり、椎体スペーサと椎体との接触面積が増大しやすくなるため、椎体スペーサの初期固定力がよりいっそう向上する。ゆえに、椎体間からの椎体スペーサの脱転を確実に防止することができる。さらに、表面層は、本体部を構成する高分子材料を用いて形成されていることが好ましい。この場合、本体部と表面層とが同じ高分子材料で一体的に形成されるため、椎体スペーサの強度が向上し、破損しにくくなる。
なお、表面層は多孔質層であることが好ましい。このようにすれば、手術後に、生体骨の骨組織等の生体組織が多孔質層の開気孔内に進入するようになるため、生体骨と椎体スペーサとの結合性を向上させることができる。さらに、多孔質層は、自身の表面にて開口する開気孔を有し、開気孔の内面及び多孔質層の表面の少なくとも一方に生体活性物質を有していることが好ましい。このようにした場合、椎体スペーサが第1椎体と第2椎体との間に挿入された後に、生体活性物質と生体骨の骨組織との化学的な反応が始まり、新たな生体骨が速やかに形成されるようになる。その結果、生体骨と椎体スペーサとの物理的な結合力を早期に発揮させることができる。
ここで、生体活性物質は、生体との親和性が高く、骨組織等の生体組織と化学的に反応する物質であれば特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム化合物、生体活性ガラス、炭酸カルシウム等を挙げることができる。リン酸カルシウム化合物としては、例えば、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム水和物、α型リン酸三カルシウム、β型リン酸三カルシウム、ドロマイト、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、水酸アパタイト、フッ素アパタイト、炭酸アパタイト、塩素アパタイト等が挙げられる。また、生体活性ガラスとしては、バイオガラス、結晶化ガラス(「ガラスセラミック」ともいう。)等が挙げられる。バイオガラスとしては、SiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、SiO−CaO−Al−P系ガラス等が挙げられ、結晶化ガラスとしては、SiO−CaO−MgO−P系ガラス(「アパタイトウォラストナイト結晶化ガラス」ともいう。)やCaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。
なお、生体活性物質は、生体活性に優れるという点で、リン酸カルシウム化合物及び生体活性ガラスの少なくとも1種であることが好ましい。さらに、リン酸カルシウム化合物は、生体骨と組成、構造及び性質が似ており、体内環境における安定性に優れ、体内で顕著な溶解性を示さないという点で、水酸アパタイトまたはリン酸三カルシウムであることが好ましい。
また、上記椎体スペーサでは、第1面及び第2面の少なくとも一方に、凹凸が形成されていることが好ましい。このようにすれば、椎体スペーサを第1椎体と第2椎体との間に挿入した際に、凹凸を構成する凸部から椎体に大きな圧力が作用するようになるため、椎体スペーサの初期固定力がいっそう向上する。ゆえに、椎体間からの椎体スペーサの脱転を確実に防止することができる。さらに、凹凸は、挿入方向とは直交する方向に延びる凸部を挿入方向に沿って複数配置することにより構成されることが好ましい。このようにすれば、第1面及び第2面の少なくとも一方が例えば粗面である場合と比較して、第1面や第2面が椎体に引っ掛かりやすくなり、複数の凸部が滑り止めとしての機能を奏するようになるため、椎体スペーサの初期固定力がよりいっそう向上する。ゆえに、椎体間からの椎体スペーサの脱転をより確実に防止することができる。
本実施形態において、第1椎体と第2椎体との間に椎体スペーサが挿入された状態を示す説明図。 椎体スペーサを示す斜視図。 第1椎体と椎体スペーサとの接触状態を示す説明図。 多孔質層を示す要部断面図。 椎体スペーサの押出試験を示す説明図。 押出試験の結果を示すグラフ。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示されるように、本実施形態の椎体スペーサ10は、脊柱から患部となる椎間板を除去した後、除去部分に挿入されることにより、除去した椎間板の代用物となるインプラントである。具体的に言うと、椎体スペーサ10は、隣接する第1椎体11と第2椎体12との間の除去部分に対して所定の挿入方向F1に沿って挿入されることにより、除去部分に配置されるものである。
図1,図2に示されるように、椎体スペーサ10は、高分子材料(本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))を主体とする本体部21を備えている。なお、本体部21の弾性率は、生体骨(椎体11,12等)の弾性率と同等であることが好ましい。本体部21の弾性率は、3GPa以上20GPa以下(本実施形態では4GPa)に設定されている。
また、本体部21は、挿入方向F1の先端側に位置する先端部22と、挿入方向F1の基端側(即ち、先端部22の反対側)に位置する基端部23とを有している。さらに、本体部21の外表面は、第1椎体11に接する第1面24、第2椎体12に接する第2面25、及び、一対の側面26を含んで構成されている。なお、本体部21には芯材20が埋設されていてもよい。芯材20は、X線を照射した際にX線画像に映る材料を用いて棒状に形成され、挿入方向F1とは直交する方向F2(図2参照)に延びている。この芯材20は、椎体11,12間に挿入されたときの椎体スペーサ10の位置をX線画像によって確認するためのものである。なお、芯材20の形成材料としては、ステンレス、チタン、チタン合金、タンタル等の金属や、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム等が挙げられる。また、図1,図2に示される芯材20は、本体部21の先端部22に埋設されるものであるが、基端部23側に埋設されるものであってもよい。さらに、芯材20は、棒状を成しているが、球状等の他の形状を成していてもよい。
図1,図2に示されるように、本体部21内には、該本体部21の外表面にて開口する中空部27が形成されている。具体的に言うと、中空部27は、第1面24の中央部分及び第2面25の中央部分にて開口する第1開口部(図示略)と、一対の側面26における先端部22寄りの領域にて開口する第2開口部28とを備えている。第1開口部及び第2開口部28は、挿入方向F1に長い長円形状を成している。
図1〜図3に示されるように、本体部21の第1面24及び第2面25には、それぞれ凹凸31が形成されている。凹凸31は、挿入方向F1とは直交する方向F2(図2参照)に延びる凸部32を挿入方向F1に沿って複数配置することにより構成されている。第1面24側の凹凸31を構成する凸部32は、椎体11,12間に対する椎体スペーサ10の挿入時に第1椎体11との接触部となる部位であり、第2面25側の凹凸31を構成する凸部32は、椎体11,12間に対する椎体スペーサ10の挿入時に第2椎体12との接触部となる部位である。凸部32は、挿入方向F1と直交する方向F2から見たときに略三角形状を成しており、凸部32の頂部33は、挿入方向F1と直交する方向F2から見たときに丸みを帯びた形状を成している。
図3に示されるように、第1面24及び第2面25を含む本体部21の外表面全体は、本体部21よりも弾性率が小さい多孔質層41(表面層)によって覆われている。詳述すると、第1面24を覆う多孔質層41は、第1面24に形成された凹凸31(凸部32)の表面と、第1面24において凹凸31が形成されていない領域とを覆っている。同様に、第2面25を覆う多孔質層41は、第2面25に形成された凹凸31(凸部32)の表面と、第2面25において凹凸31が形成されていない領域とを覆っている。また、本実施形態では、中空部27の内側面も多孔質層41によって覆われている。なお、本実施形態の多孔質層41は、本体部21を構成する高分子材料(PEEK)を用いて本体部21と一体に形成された層である。多孔質層41の弾性率は、本体部21の弾性率(4GPa)の10%(本実施形態では0.4GPa)となっている。
なお、本体部21の弾性率に対する多孔質層41の弾性率の割合は、例えば以下のようにして得ることができる。まず、PEEK製のテストピース(φ10×2mm)の表面に硫酸処理を施すことにより、多孔層を形成する。次に、多孔層を形成したテストピースに対して圧縮試験を行う。その結果、多孔層に由来する応力−歪み曲線と、緻密部(テストピースにおいて多孔層を除く部分)に由来する応力−歪み曲線とが得られ、それぞれの曲線の傾きが弾性率となる。そして、弾性率の比率を算出した結果、多孔層の弾性率は緻密部の弾性率の10%となった。なお、多孔層は多孔質層41に相当し、緻密部は本体部21に相当すると言えるため、多孔質層41の弾性率は本体部21の弾性率の10%であると近似することができる。
また、多孔質層41の厚さは、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上300μm以下であることがさらに好ましく、30μm以上200μm以下であることが特に好ましい。なお、多孔質層41の厚さは、多孔質層41を付与した本体部21をエポキシ樹脂に埋めて硬化させ、研磨後に断面観察を行うことにより計測することができる。
図4に示されるように、多孔質層41は、自身の表面42にて開口する複数の開気孔43を有している。各開気孔43の気孔径の平均値は、3μm以上300μm以下となっている。さらに、多孔質層41は、開気孔43の内面44及び多孔質層41の表面42に生体活性物質51を有している。なお、本実施形態の生体活性物質51は、水酸アパタイト(リン酸カルシウム化合物)である。
ここで、生体活性物質51の状態は、開気孔43の内面44及び多孔質層41の表面42に担持可能な状態であることがよく、具体的には、粒状、顆粒状、粉末状などを挙げることができる。また、生体活性物質51の形状としては、例えば、球状、楕円形状、針状、棒状、板状、多角形状などが挙げられる。なお、生体活性物質51の粒径は、0.001μm以上10μm以下となっている。
次に、椎体スペーサ10の使用方法を説明する。
まず、外科手術を行って、脊柱から患部となる椎間板を除去し、その結果生じた除去部分に対して椎体スペーサ10を挿入する(図1参照)。具体的には、本体部21の基端部23を鉗子(図示略)で把持した状態で、鉗子を挿入方向F1に移動させることにより、第1椎体11と第2椎体12との間に椎体スペーサ10を挿入する。このとき、椎体スペーサ10は、凹凸31を介して椎体11,12に係合する。
なお、凹凸31を構成する凸部32が椎体11,12に係合する際に、凸部32を覆う多孔質層41は、椎体11,12から作用する圧力によって潰れるようになる。その結果、椎体スペーサ10と椎体11,12との接触面積が増大して摩擦力が大きくなるため、手術後の椎体スペーサ10の初期固定力が向上するようになる。
その後、生体骨(椎体11,12等)の骨組織が成長し、成長した骨組織は、本体部21の外表面を覆う多孔質層41の開気孔43内に進入する。また、成長した骨組織の一部は、第1開口部や第2開口部28から中空部27内に進入し、中空部27の内側面を覆う多孔質層41の開気孔43内に進入する。その結果、生体骨と椎体スペーサ10との結合性が向上するようになる。
次に、椎体スペーサ10の製造方法を説明する。
まず、第1工程を行い、椎体スペーサ10(本体部21)となる成形体を高分子材料(本実施形態ではPEEK)を用いて形成する。なお、成形体の形成方法は、特に限定される訳ではないが、例えば、押出成形等によって得られた円筒体等を切削加工することにより、成形体を形成する方法や、金型を用いた射出成形により、成形体を形成する方法などを挙げることができる。
続く第2工程では、成形体の表面(具体的には、本体部21の外表面や中空部27の内側面となる面)に対して、多数の開気孔43を有する多孔質層41を形成する。ここで、開気孔43を形成する方法としては、例えば、濃硫酸、濃硝酸、クロム酸等の腐食性液体に成形体を浸漬した後、高分子材料が溶出しない洗浄液(例えば純水)に成形体を浸漬させる方法などを挙げることができる。なお、成形体を構成する高分子材料がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である本実施形態においては、濃硫酸に成形体を浸漬した後、純水に成形体を浸漬することにより、開気孔43を形成することができる。
続く第3工程では、得られた多孔質層41に生体活性物質51(リン酸カルシウム化合物)を担持させる処理を行う。その結果、開気孔43の内面44や多孔質層41の表面42に生体活性物質51が担持された椎体スペーサ10を得ることができる(図4参照)。なお、生体活性物質51を担持させる方法としては、カルシウムイオンを含む溶液及びリン酸イオンを含む溶液の両方に対して、多孔質層41が形成された成形体を浸漬する液相法や、多孔質層41が形成された成形体を、多量の生体活性物質51を含む懸濁液に浸漬した後、乾燥させる浸漬法などを挙げることができる。また、生体活性物質51を懸濁させる媒体は、高分子材料を溶解させない媒体であれば特に限定される訳ではなく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールや、水、アセトン、ヘキサンなどを挙げることができる。
次に、椎体スペーサの評価方法及びその結果を説明する。
まず、測定用サンプルを次のように準備した。本実施形態の本体部21と同じ本体部に対して、本実施形態の多孔質層41と同様の多孔質層を形成した椎体スペーサを準備し、これを実施例とした。一方、本体部に対して多孔質層が形成されていない椎体スペーサを準備し、これを比較例とした。
次に、各測定用サンプル(実施例、比較例)に対して、ASTM規格ドラフト 2F−04.25.02.02に基づく押出試験により、椎体スペーサの押出荷重を測定した。詳述すると、まず、第1椎体11を模した第1模擬骨61と第2椎体12を模した第2模擬骨62との間に、椎体スペーサ60(測定用サンプル)を配置した(図5参照)。次に、それぞれの模擬骨61,62から椎体スペーサ60に対して445Nの荷重(予備荷重)を付与した。そして、この状態において、第1模擬骨61と第2模擬骨62との間から椎体スペーサ60を5mm/minの速度で押し出す方向F3に押圧し、このときに椎体スペーサ60に作用する荷重(押出荷重)を測定した。押出荷重の測定結果を図6に示す。
その結果、比較例では、椎体スペーサの押出荷重は485Nであることが確認された。一方、実施例では、椎体スペーサの押出荷重が1109Nになることが確認された。即ち、多孔質層を有する実施例では、椎体スペーサの押出荷重が大幅に向上することが確認された。即ち、本体部の表面を多孔質層で覆った椎体スペーサを形成すれば、第1椎体−第2椎体間からの椎体スペーサの脱転を防止しやすくなることが証明された。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の椎体スペーサ10では、本体部21の表面全体が、本体部21よりも弾性率が小さい多孔質層41によって覆われている。この場合、椎体スペーサ10を第1椎体11と第2椎体12との間に挿入すると、椎体11,12から作用する圧力によって多孔質層41が潰れるようになる。その結果、椎体スペーサ10と椎体11,12との接触面積が増大して摩擦力が大きくなるため、手術後の椎体スペーサ10の初期固定力が向上するようになる。ゆえに、椎体11,12間からの椎体スペーサ10の脱転を防止することができる。
(2)本実施形態では、本体部21の弾性率が3GPa以上20GPa以下であり、生体骨の弾性率に近い値を示している。このため、本体部21と生体骨との弾性率の差に起因する応力遮蔽の発生を抑制することができ、ひいては、応力遮蔽による骨減少及び骨密度の低下を防止することができる。
(3)本実施形態の椎体スペーサ10では、本体部21(及び多孔質層41)が高分子材料で形成されているため、金属アレルギーを回避することができる。
なお、上記実施形態を以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本体部21の外表面全体が、本体部21よりも弾性率が小さい多孔質層41によって覆われていた。しかし、本体部21の表面のうち、椎体11,12に接する面(第1面24及び第2面25)のみが、多孔質層41によって覆われていてもよい。
・上記実施形態の多孔質層41は、本体部21を構成する高分子材料(PEEK)を用いて本体部21と一体に形成されていたが、本体部21と別体に形成されていてもよい。例えば、シート状の多孔質層を本体部21に貼付するようにしてもよい。なお、多孔質層が本体部21と別体に形成される場合、多孔質層は、本体部21を構成する材料とは異なる材料を用いて形成されていてもよい。
・上記実施形態では、多孔質層41が、本体部21よりも弾性率が小さい表面層として用いられていた。しかし、生体適合性を有するものであれば、多孔質層41とは異なるものを表面層として用いてもよい。
・上記実施形態では、本体部21の第1面24及び第2面25の両方に凹凸31が形成されていた。しかし、凹凸31は、第1面24及び第2面25のいずれか一方のみに形成されていてもよいし、第1面24及び第2面25のどちらにも形成されていなくてもよい。また、凹凸31の形状(略四角形状、略半円形状等)、大きさ(高さ、幅)、配置態様(凸部32を挿入方向F1とは直交する方向F2に沿って配置する等)などを適宜変更してもよい。
・上記実施形態の多孔質層41は、開気孔43の内面44及び多孔質層41の表面42の両方に生体活性物質51を有していた。しかし、多孔質層41は、開気孔43の内面44及び多孔質層41の表面42のいずれか一方のみに生体活性物質51を有していてもよいし、生体活性物質51自体を有していなくてもよい。
・上記実施形態の中空部27は、第1面24及び第2面25の中央部分にて開口する第1開口部と、一対の側面26にて開口する第2開口部28とを備えていた。しかし、中空部27は、第2開口部28のみを備えていてもよいし、第1開口部のみを備えていてもよい。また、上記実施形態の第1開口部及び第2開口部28は、長円形状を成していたが、円形状、楕円形状、矩形状、六角形状などの他の形状をなしていてもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1において、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に凹凸が形成され、前記凹凸の表面が前記表面層によって覆われていることを特徴とする椎体スペーサ。
(2)技術的思想(1)において、前記凹凸は、前記挿入方向とは直交する方向に延びる凸部を前記挿入方向に沿って複数配置することにより構成され、前記凸部の頂部は、前記挿入方向とは直交する方向から見たときに丸みを帯びた形状を成していることを特徴とする椎体スペーサ。
10…椎体スペーサ
11…第1椎体
12…第2椎体
21…本体部
24…第1面
25…第2面
31…凹凸
32…凸部
41…表面層としての多孔質層
42…多孔質層の表面
43…開気孔
44…開気孔の内面
51…生体活性物質
F1…挿入方向
F2…挿入方向と直交する方向

Claims (11)

  1. 第1椎体と該第1椎体に隣接する第2椎体との間の椎間板にて、所定の挿入方向に挿入されて配置される椎体スペーサであって、
    前記椎体スペーサは、高分子材料を主体とする本体部を備え、
    前記本体部の表面のうち、少なくとも前記第1椎体に接する第1面及び前記第2椎体に接する第2面が、前記本体部よりも弾性率が小さい表面層によって覆われている
    ことを特徴とする椎体スペーサ。
  2. 前記表面層の弾性率は、前記本体部の弾性率の10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の椎体スペーサ。
  3. 前記表面層は、前記本体部を構成する前記高分子材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の椎体スペーサ。
  4. 前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の椎体スペーサ。
  5. 前記凹凸は、前記挿入方向とは直交する方向に延びる凸部を前記挿入方向に沿って複数配置することにより構成されることを特徴とする請求項4に記載の椎体スペーサ。
  6. 前記表面層は多孔質層であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の椎体スペーサ。
  7. 前記多孔質層は、自身の表面にて開口する開気孔を有し、前記開気孔の内面及び前記多孔質層の表面の少なくとも一方に生体活性物質を有していることを特徴とする請求項6に記載の椎体スペーサ。
  8. 前記生体活性物質はリン酸カルシウム化合物であることを特徴とする請求項7に記載の椎体スペーサ。
  9. 前記リン酸カルシウム化合物は水酸アパタイトであることを特徴とする請求項8に記載の椎体スペーサ。
  10. 前記高分子材料はポリエーテルエーテルケトンであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の椎体スペーサ。
  11. 前記高分子材料はカーボン繊維を含んでいることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の椎体スペーサ。
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