JP6767842B2 - 耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂の優れた特性を保持し、更に耐傷性、外観に優れるポリオレフィン系樹脂組成物及び、その成形品に関する。更に詳しくは、ポリオレフィン系樹脂(A)、メタクリル樹脂(B)からなる樹脂組成物に対して、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)を配合してなることを特徴とする耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物及び、その成形品に関するものである。
ポリオレフィン系樹脂は優れた特性を保有する材料として幅広く使用されている。特にポリプロピレン系樹脂は成形加工性、耐薬品性などに優れ、低比重で安価であり、ホモポリプロピレンは剛性等、ブロックポリプロピレンは耐衝撃性に優れることより、それぞれ各種分野にて幅広く使用されている。しかしながら、当該ポリプロピレン系樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂は特に耐傷付性に大きな問題を有するものであり、改善が望まれている。
かかる問題点を解決する為にポリオレフィン系樹脂にポリスチレン系樹脂を配合する試みが各種提案されている。元来、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂は相溶性が悪く単純にブレンドしただけでは、層間剥離等が発生する為、外観が悪くなり、更に機械強度も低下する為、実用に耐えるものではない。
特許文献1〜3には、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂に特定構造のビニル芳香族系の水素添加ブロック共重合体やスチレン/共役ジエン共重合体を相溶化剤として配合する試みが提案されている。しかしながら、ポリスチレン系樹脂自体の耐傷付性等の性能が十分ではない為、得られた樹脂組成物の耐傷付性等についても実用的であるとは言い難いものである。
さらにポリオレフィン系樹脂とメタクリル樹脂からなる樹脂組成物も各種提案されている。メタクリル樹脂は透明性や表面光沢性、耐傷付性に卓越した性能を持つ樹脂として各種用途に幅広く使用されている。ポリオレフィン系樹脂とメタクリル樹脂の組合せについてもポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂の組合せと同様に、元来、相溶性が悪く、単純にブレンドしただけでは、層間剥離による外観、機械強度の低下により実用に耐えるとは言い難いものである。
特許文献4、5には、ポリプロピレンとメタクリル樹脂の相溶性を改善する為にグリシジル基含有のエチレン系共重合体やメタクリル樹脂を共重合したポリオレフィン共重合体を相溶化剤として配合する試みが提案されている。しかしながら、これらの樹脂組成物の相溶性は不十分であり、特に射出成形品の外観や耐傷付性は実用的であるとは言い難いものであった。この為、ポリオレフィン系樹脂の優れた特性を保持し、更に、耐傷付性、外観に優れたポリオレフィン系樹脂組成物は提供されていないのが実情であった。
特開平2001−207001号公報 特開昭56−38338号広報 特開平6−192501号広報 特開平5−230299号広報 特開平5−230299号広報
本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂の優れた特性を保持しつつ、耐傷付性、外観に優れるポリオレフィン系樹脂組成物及び、その成形品を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ポリオレフィン系樹脂(A)及び、メタクリル樹脂(B)からなる樹脂組成物に対して、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)を配合してなる耐傷付性ポリプロピレン系樹脂組成物によりその目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)を50〜97重量%、メタクリル樹脂(B)3〜50重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、チレン系熱可塑性エラストマー(C)1〜15重量部、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)1〜15重量部配合してなることを特徴とする耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物及び、その成形品に関する。
本発明によれば、耐傷付性、外観に優れたポリオレフィン系樹脂組成物を提供することができる。当該ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂の優れた特性を保持し、更に、耐傷付性、外観に優れるものである。本発明によれば、更に、該ポリオレフィン系樹脂組成物からなる成形品も提供することができる。
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物はポリオレフィン系樹脂(A)を50〜97重量%、メタクリル樹脂(B)3〜50重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)1〜15重量部、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)1〜15重量部配合してなることを特徴とするものである。
<ポリオレフィン系樹脂(A)>
本発明のA成分として使用されるポリオレフィン系樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するオレフィン系単量体を重合又は共重合させてなる合成樹脂である。オレフィン系単量体としては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンや、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンなどが挙げられる。オレフィン系単量体は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、ブテンの単独重合体、ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンの単独重合体又は共重合体などが挙げられ、プロピレンの単独重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。
ポリプロピレン系共重合体に使用される好ましい共重合用α−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等の直鎖状α−オレフィン、2−メチルプロペン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等の分岐状α−オレフィン等を使用することができる。これらの共重合可能なαオレフィンは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら共重合成分の量としては、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。これらを共重合した場合の共重合体の様式については特に制限は無く、例えばランダム型、ブロック型、グラフト型、これらの混合物などいずれであってもよい。ポリプロピレン系共重合体は一般に用いられるランダム共重合体、ブロック共重合体等のいずれでもよく、好ましい例としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体が挙げられる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂(A)としては、たとえば上記のポリプロピレン系重合体または共重合体等を、酸無水物基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基から選ばれた少なくとも一種の官能基で変性した官能基含有ポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。これらのポリオレフィン系樹脂は単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
なお、これらの内、本発明のポリオレフィン系樹脂(A)としては、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体の使用が好ましく、プロピレンの単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体の使用が更に好ましい。また、本発明で用いるポリオレフィン系樹脂(A)のMFR値(230℃、2.16kg荷重)は、20〜40g/10分であることが好ましく、25〜35g/10分であることが更に好ましい。ポリオレフィン系樹脂(A)のMVR値がこの範囲のとき、本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の流動性と衝撃強度等の機械的強度がバランスする。
<メタクリル樹脂(B)>
本発明で使用するメタクリル樹脂(B)は、実質的にメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキルとの共重合体であり、本発明の目的を損なわない範囲で、芳香族ビニル単量体以外のビニル単量体を共重合することができる。
メタクリル樹脂は、より具体的には、メタクリル酸アルキルは30〜100重量%と、 アクリル酸エステルは0〜70重量%と、これらに共重合可能な芳香族ビニル単量体以外のビニル単量体0〜49重量%とからなる単量体の重合により得られる重合体である。また、メタクリル樹脂が、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとの共重合体であるとき、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとの重量割合は、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキルとの合計100重量%を基準として、メタクリル酸アルキルは40〜90重量%であり、アクリル酸アルキルは10〜60重量%であることが好ましく、メタクリル酸アルキルは50〜85重量%であり、アクリル酸アルキルは50〜15重量%であることがより好ましい。
メタクリル酸アルキルとしては、そのアルキル基の炭素数が1〜8程度のものでよく、 例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリ ル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、中でも、メタクリル 酸メチルが好ましい。メタクリル酸アルキルは、必要に応じてそれらの2種以上を用いて もよい。
アクリル酸アルキルとしては、そのアルキル基が炭素数1〜8程度のものでよく、例え ば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチ ル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、中でも、アクリル酸メチル、アクリ ル酸n−ブチルが好ましい。アクリル酸アルキルは、必要に応じてそれらの2種以上を用 いてもよく、アクリル酸n−ブチルを主成分として用い、さらにアクリル酸n−ブチル以 外のアクリル酸アルキルを1種以上用いるのが好ましく、アクリル酸n−ブチルとアクリ ル酸メチルを用い、かつアクリル酸n−ブチルが主成分であるのがより好ましい。ここで 、アクリル酸n−ブチルが主成分であるとは、2種以上のアクリル酸アルキルの合計10 0重量%を基準として、アクリル酸n−ブチルの重量割合が50重量%を超えることを意味する。
メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル、芳香族ビニル単量体を含まない他の単量体の例としては、単管能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する化合物であってもよいし、多官能単量体、すなわち分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する化合物であってもよいが、単官能単量体を用いることができる。
この単官能単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化アルケニル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどが挙げられる。
また、多官能単量体の例としては、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの多価アルコール のポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、ケイ皮酸ア リルなどの不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジア リル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多塩基酸のポリアル ケニルエステルなどが挙げられる 。メタクリル酸アルキルおよびアクリル酸アルキル、芳香族ビニル以外の単量体は、必要に応じてそれら の2種以上を用いてもよい。
メタクリル樹脂は、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。2種以上のメタ クリル樹脂としては、メタクリル樹脂を構成する単量体の種類が異なるものであってもよ いし、単量体の種類は同じであるが、各単量体の重量割合が異なるものであってもよい。
メタクリル樹脂の重合方法は特に限定されず、通常の塊状重合、懸濁重合、乳化重合等 の方法で行うことができる。
これらの内、本発明のメタクリル樹脂(B)としては、メタクリル酸メチルの単独重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル−アクリル酸n−ブチル共重合体の使用が好ましく、メタクリル酸メチルの単独重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチルの使用が更に好ましい。
また、メタクリル樹脂には予めゴム粒子を配合した、所謂、高衝撃メタクリル樹脂を使用することもできる。一般に、これらの高衝撃メタクリル樹脂はゴム成分を5〜40重量%含有するものである。
配合されるゴム成分は、特に限定されるものではないが、メタクリル樹脂と屈折率の近いものが好適で、ブタジエン等を主成分とするジエン系グラフト共重合体や、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル類を主成分とするコアシェル型グラフト構造を 有するゴム状重合体、肥大化粒子にグラフトしたゴム状重合体などを挙げることができる。
本発明のメタクリル樹脂(B)のMFR値(230℃、3.8kg荷重)は、5〜25g/10分であることが好ましく、10〜20g/10分であることが更に好ましい。メタクリル樹脂のMVR値がこの範囲のとき、本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の外観が発現され易い。
本発明のポリオレフィン系樹脂(A)とメタクリル樹脂(B)からなる樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂(A)の配合割合は50〜97重量%、好ましくは65〜90重量%、更に好ましくは70〜85重量%、メタクリル樹脂(B)の配合割合は3〜50重量%、好ましくは10〜35重量%、更に好ましくは15〜30重量%である。
ポリオレフィン系樹脂(A)の配合割合が50重量%よりも少なくなる、即ち、メタクリル樹脂の配合割合が50重量%よりも多くなると本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の衝撃強度が低下し、更に外観が悪化するようになる。
ポリオレフィン系樹脂(A)の配合割合が97重量%よりも多くなる、即ち、メタクリル樹脂(B)の配合割合が3重量%よりも少なくなると本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の耐傷付性が低下し、更に外観が悪化するようになる。
<スチレン系熱可塑性エラストマー(C)>
本発明で用いるスチレン系熱可塑性エラストマー(C)としては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添イソプレン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−水添ブタジエンジブロック共重合体、スチレン−水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン−イソプレンジブロック共重合体等を挙げることができる。これらスチレン系熱可塑性エラストマーのISO7619に準拠して測定した硬度(タイプA)の値は、通常、30〜100の値を示すものであり、ポリスチレン樹脂やHIPS樹脂等の硬質樹脂とは異なるものである。
上記の内、本発明のスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体が最も好適である。
また、下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体も好適に用いられる。
X−(Y−X)n …(I)
(X−Y)n …(II)
一般式(I)および(II)におけるXはスチレン重合体ブロックで、式(I)においては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。Yはイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロックおよび水添されたイソプレン重合ブロックの中から選ばれた少なくとも1種である。また、nは1以上の整数である。
前記ブロック共重合体におけるY成分即ち、ゴム成分の含有量は25〜90重量%であることが好ましく、30〜50重量%であることが更に好ましい。ゴム成分の含有量が25重量%よりも少ない時、また90重量%よりも多くなると耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の相溶性改良効果が低下する傾向があり、外観が悪化する傾向となる為、好ましくない。
スチレン系熱可塑性エラストマーのMFR値は特に限定されるものではないが、0.01〜8g/10分(230℃、2.16kg荷重)であることが好ましく、0.1〜5g/10分であることがより好ましい。MFR値が0.01g/10分よりも小さくなるとポリオレフィン系樹脂(A)への相溶性が悪化し、相溶性改善効果が低下するようになり好ましくない。また、8g/10分よりも大きくなると機械物性が低下するようになり好ましくない。
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C)の配合割合はポリオレフィン系樹脂(A)とメタクリル樹脂(B)からなる樹脂組成物100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは4〜11重量部である。スチレン系熱可塑性エラストマー(C)の配合割合が1重量部よりも少なくなると相溶性改善効果が低くなり外観が悪化するようになり、15重量部よりも多くなると曲げ弾性率等の機械的強度が低下するようになる。
<(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル−芳香 族ビニル共重合体(D)としては(メタ)アクリル酸エステル単量体及び芳香族ビニル単量体を 共重合して得られる重合体を使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては下式一般式(1)で表される化合物を用いることが可能である。
Figure 0006767842
(式中、R1は水素またはメチル基であり、R2は水素、炭素数1〜18のアルキル基、 炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である 。R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭 素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
(メタ)アクリル酸エステル単量体はコスト等の点から、R1として水素又はメチル基、R2として炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基であることが好ましい。一般式(1)で表される単量体の具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n −ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチル、アク リル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア クリル酸t−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル等があげられ、これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。これらのうち、耐傷付性の面からメタクリル酸メチルが好ましい。
芳香族ビニル単量体としてはスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、またはク ロロスチレン、α−メチルスチレン等の非置換または置換スチレン系化合物およびビニル ナフタレン、ビニルフルオレン等の置換または非置換の多環芳香族ビニル化合物等があげ られるが、相溶性改善効果の面からスチレンが好ましい。
また、本発明の単量体混合物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、これら単量体 と共重合可能なエチレン系不飽和単量体およびアクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N −シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合することも可能である。
上記(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体の構造は、特に限定されるも のではなく、リニアー(線状)ポリマー、ブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐 ポリマー、ラダーポリマー、および架橋ポリマー等のいずれであってもよい。
ブロックポリマーの場合、A−B型、A−B−C型、A−B−A型、およびこれら以外 のタイプのブロックポリマーのいずれであってもよい。コアシェルポリマーの場合、ただ 一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであってもよいし、それぞれが多層 からなるものであってもよい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)中の(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルの構成比は、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることが更に好ましい。構成比が20/80〜80/20の範囲を超えると相溶性改善効果が小さくなる為、好ましくない。
上記の内、本発明の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)としては、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の使用が最も好ましい。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)の配合割合はポリオレフィン系樹脂(A)とメタクリル樹脂(B)からなる樹脂組成物100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは3〜9重量部である。(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)の配合割合が1重量部よりも少なくなると相溶性改善効果が低くなり外観が悪化するようになり、15重量部よりも多くなると衝撃強度等の機械的強度が低下するようになる。
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)、メタクリル樹脂(B)、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)1〜15重量部、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)より実質的に形成される。しかしながら、本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物に例えば、抗菌性を付与する為に抗菌剤、熱安定性を向上する為に熱安定剤、更には、ポリオレフィン系樹脂(A)、メタクリル樹脂(B)、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)以外の熱可塑性樹脂等のその他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含むことができる。
本発明で使用可能な抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化亜鉛や銀、銅、亜鉛等 の抗菌性金属を、結晶性アルミノケイ酸塩、無定形アルミノケイ酸塩、シリカゲル、活性 アルミナ、けいそう土、活性炭、リン酸ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト、酸化マグ ネシウム、過塩素酸マグネシウム、ガラス等に担持せしめたもの等の無機系抗菌剤が好ましく、中でも酸化亜鉛(D)がより好ましい。
本発明で使用が好ましい無機系抗菌剤である酸化亜鉛(D)は、特に限定されるものではない。酸化亜鉛は、市販されているものであってもよいし、例えば、金属亜鉛を熱して気化させ、空気中で燃焼させたものや、硫酸亜鉛または硝酸亜鉛を加熱して調製されたものであってもよい。本発明に用いる酸化亜鉛は、各種形状のものが使用できる、例えば、繊維状、板状、粒子状、テトラポッド状などが挙げられる。本発明に用いる酸化亜鉛は、酸化ケイ素、シリコーンオイル、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物などで表面処理されているものでもよい。
市販されている酸化亜鉛としては、例えば、JIS K−1410で区分される「1種酸化亜鉛」、「2種酸化亜鉛」、「3種酸化亜鉛」や、日本薬局方に規定された局方酸化亜鉛、水熱合成工程を経て調製した異方性(柱状、板状、テトラポット状)の酸化亜鉛(形状異方性を有する酸化亜鉛)が挙げられる。これらの酸化亜鉛の内、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定して得られた粒度分布において、積算重量分布が50%となる粒径を示される平均粒径が50〜200nmの粒子状酸化亜鉛が好ましく、特に100〜150nmの粒子状酸化亜鉛が好ましい。当該、酸化亜鉛の配合量は耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部、更に好ましくは0.1〜0.3重量部である。
<熱安定剤>
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物は、製造時等の熱安定性を向上するため、任意成分として熱安定剤を含むことができる。
熱安定剤は、1種または2種以上用いることができる。
熱安定剤としては、リン系安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、これらの併用がより好ましい。
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物中のリン系安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加量は特に制限されない。
熱安定性の向上効果が効果的に得られ、かつ、上記の各必須成分の配合量に影響を与えないことから、耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.01〜0.6質量部である。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、およびこれらのエステル、ホスホナイト化合物および、第3級ホスフィン等が挙げられる。
亜リン酸エステル(ホスファイト化合物)としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
亜リン酸エステル(ホスファイト化合物)としては、上記の他、二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。
例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、および2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
リン酸エステル(ホスフェート化合物)としては、トリフェニルホスフェート、およびトリメチルホスフェート等が挙げられる。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、およびビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられる。
ホスホナイト化合物は、アルキル基を2以上置換したアリール基を有する上記のホスファイト化合物との併用可能であり、好ましい。
ホスホン酸エステル(ホスホネイト化合物)としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記リン系安定剤の中でも、ホスホナイト化合物、もしくは下記一般式(XI)で表されるホスファイト化合物が好ましい。
Figure 0006767842
(式(XI)中、RおよびR’は炭素数6〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記の如く、ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
上記式(XI)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
ヒンダードフェノール化合物としては、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、および3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物は必要に応じて、リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外のその他の熱安定剤を含むことができる。
他の熱安定剤は、リン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤のうち少なくとも一方と併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。
他の熱安定剤としては、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(この安定剤の詳細については特開平7−233160号公報を参照されたい)が挙げられる。
上記ラクトン系安定剤に関しては、Irganox HP−136(登録商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)等が市販されている。
上記ラクトン系安定剤、ホスファイト化合物、およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤として、Irganox HP−2921(登録商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)等が市販されている。
ラクトン系安定剤の添加量は、耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.0005〜0.05質量部、より好ましくは0.001〜0.03質量部である。
その他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート等のイオウ含有安定剤が挙げられる。
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物中のリン系安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の安定剤の添加量は特に制限されず、耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.0005〜0.1質量部、より好ましくは0.001〜0.08質量部、特に好ましくは0.001〜0.05質量部である。
<その他の熱可塑性樹脂>
本発明で使用可能なその他の熱可塑性樹脂として、例えば、下記の熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂は加熱により溶融ないし軟化する樹脂材料であれば特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などの樹脂材料を挙げることができる。これらの中から単独で又は2種以上混合したアロイとして採用することができる。更にはそれぞれの樹脂材料を構成する単量体を共重合させた共重合体とすることも可能である。
これらの内、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂は、特にスチレン系熱可塑性エラストマー(C)との相溶性に優れるので、スチレン系熱可塑性エラストマーのゴム成分量を調節し、本発明の目的である好適な耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物とする為に配合することが可能である。
本発明で使用が可能なポリスチレン樹脂とは、芳香族ビニル単量体を重合して得られる樹脂であり、ゴム状重合体やメチル(メタ)アクリレート単量体、シアン化ビニル単量体を本質的に含まない重合体である。使用可能な芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、およびメトキシスチレンなどが挙げられ、特にスチレンが好ましい。これらは単独または2種以上用いることができる。
ポリスチレン樹脂の重量平均分子量は、10,000〜300,000であり、好ましくは100,000〜300,000である。(B)ポリスチレン樹脂の重量平均分子量が10,000より小さくなると衝撃強度が低下するようになり、また、300,000を超えると流動性が低下するようになり好ましくない。
本発明で使用可能なHIPS樹脂とは、ゴム状重合体存在下で芳香族ビニル単量体を重合して得られるゴム補強スチレン樹脂であり、下記に示す様に、ゴム状重合体を分散粒子とし、芳香族ビニル単量体の重合物を連続相とする樹脂である。
HIPS樹脂成分中のゴム含有率は3〜20重量%である。ゴム状重合体としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリルゴムおよびブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとの共重合体、並びにシリコーン系ゴムなどが挙げられ、好ましくはブタジエン、スチレン・ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体である。ゴム成分のガラス転移温度は10℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
かかるゴム成分に共重合される芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン、P−t−ブチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。
また、ゴム状重合体の重量平均粒子径は、好ましくは0.3〜0.9μm、更に好ましくは0.4〜0.8μmで、全分散ゴム粒子中の80重量%以上がサラミ構造を有している。ゴム粒子が0.3μm未満又は0.9μmを超える場合、或いはサラミ構造が全分散ゴム粒子中の80重量%未満の場合は衝撃改質の効果が小さく不適である。かかるゴム粒子径の分布は単一の分布であるもの及び2山以上の複数の山を有するもののいずれもが使用可能であり、特に制限はない。
本発明で使用可能なHIPS樹脂は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物中のポリスチレン樹脂、HIPS樹脂の添加量は、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)のゴム量とポリスチレン樹脂、HIPS樹脂のゴム量を併せて25〜90重量%であることが好ましく、30〜50重量%であることが更に好ましい。
<他の任意成分>
本発明で使用可能な他の任意成分としては、着色の為の染料、顔料、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、および難燃剤等が挙げられる。
<耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造について>
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造には、任意の方法が採用される。例えばポリオレフィン系樹脂(A)、メタクリル樹脂(B)、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)および任意に他の添加剤の混合(いわゆるドライブレンド)物を押出機等で溶融混練しペレット化し耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物を得る方法、予めメタクリル樹脂(B)と(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)の混合(いわゆるドライブレンド)物とポリオレフィン系樹脂(A)、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)をそれぞれ別々に押出機等へ供給し溶融混練しペレット化し耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物を得る方法等が挙げられる。
尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
本発明によれば、優れた耐傷付性を有するポリオレフィン系樹脂組成物及びそれらからなる樹脂成形品を得ることができる。本発明の耐傷付性を有するポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂の優れた特性を保持し、改善された耐傷付性、外観を有している実用的な樹脂組成物及び、それからなる成形品を得ることができる。
本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物は、特に制限されるものではなく、IT機器、家電、電気機器、光学機器、事務用機器、空調機、住設部材、化粧品容器、トイレタリー用品、サニタリー用品、家庭用品、スポーツ用品、学用品、玩具等の様々な製品や分野に成形品の形態や紡糸工程による繊維の形態等で使用することが可能であり、工業的に非常に有用である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら
限定されるものではない。評価項目および組成物中の各成分の記号は下記の内容を意味する。
(耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造)
尚、以後の説明は、後述する原材料の符号に基づく。
表1及び2記載の各成分を各配合量で、ドライブレンドした後、ブレンダーにて混合し、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX−30XSST(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は240℃とした。
得られたペレットを80℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した、また成形温度は240℃とした。各評価結果を表1、表2に示した。
[実施例1〜11、比較例1〜10]
[1]評価項目
1)耐傷付性の評価
評価用試験片にて往復動摩擦摩耗試験機((株)オリエンテック製AFT−15M)を使用し、ワイピングクロス(帝人(株)製「あっちこっちふきん」)に対する傷付性を評価した。試験条件はストローク15mm、往復回数50回、試験荷重900gとした。
なお、判定は試験後の試料表面を目視にて確認し、下記に従って行った。
「○」:拭き傷が認められない
「△」:少し拭き傷が確認できる
「×」:多数の拭き傷が発生し、容易に確認できる
2)成形品外観評価−1(フローマークの評価)
90×50×2mmの平板状(サイドゲート:5×2mm)の評価用試験片のゲート部付近のフローマークを目視で観察し、外観の評価を行った。評価結果は、下記基準に従って行った。
「○」:フローマークの発生が認められない。
「△」:フローマークの発生が僅かに認められる。
「×」:フローマークの発生が認められる。
成形品外観評価−2(鏡面性の評価)
90×50×2mmの平板状の評価用試験片の鏡面性を下記基準により判断した。
「○」:試験片に映り込んだ像の歪みが殆どない
「△」:試験片に映り込んだ像の歪みが小さい。
「×」:試験片に映り込んだ像の歪みが大きい。
3)耐衝撃性の評価
試験方法はISO179に準じて行い、シャルピー衝撃強さの測定を行った。
4)曲げ弾性率の測定
試験方法はISO178に従い、曲げ速度10mm/minで曲げ弾性率の測定を行った。
[II]成物中の各成分の記号
表1及び表2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
[ポリオレフィン系樹脂]
PP1:ポリプロピレン(ホモ):プライムポリマー社製、J137M、結晶核剤を約0.1%の割合で含むホモポリプロピレン、MFR=30g /10分(230℃/2.16kgf)。
PP2:ポリプロピレン(ブロック):プライムポリマー社製、J830HV、共重合の形態がブロックコポ リマー、MFR=30g /10分(230℃/2.16kgf)。
[メタクリル樹脂]
PMMA1:メタクリル樹脂:三菱レイヨン社製、アクリペットMF001、 メタクリル酸メチル/メタクリル酸=89/11(質量比、NMRで測定)、MFR=14g/10分(230℃/3.8kgf)。
PMMA2:高衝撃メタクリル樹脂:三菱レイヨン社製、アクリペットIRS204、アクリル樹脂マトリックス成分と、アクリルゴム成分からなるアクリル樹脂、MFR=13g /10分(230℃/3.8kgf)。
[スチレン系熱可塑性エラストマー]
TPS1:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体:クラレ社製、セプトン2104、ゴム成分含有量=35重量%、MFR=0.4g/10分(230℃/2.16kgf)。
TPS2:スチレン−エチレン・ブタジエン−スチレン共重合体:旭化成ケミカルズ社製、タフテックH1221、ゴム成分含有量=88重量%、MFR=4.5g/10分(230℃/2.16kgf)。
[(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体]
MS:メチルメタアクリレート−スチレン共重合体:電気化学工業社製、TX−100S:スチレン含有量=40mol%。
[ポリスチレン]
PS:ポリスチレン樹脂(GPPS):日本ポリスチレン社製、PSJ−ポリスチレンH。F77、MFR=7.5g/10分(200℃/5kgf)。
Figure 0006767842
Figure 0006767842
表1及び表2の結果より、本発明の耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物である実施例1〜11は、本発明の範囲外であるポリオレフィン系樹脂組成物である比較例1〜10が、耐傷付性、外観が良好で、更に衝撃強度、曲げ弾性率等の機械特性がポリオレフィン系樹脂のそれを保持している良好な状態とはならないのに対し、何れも良好な状態となることが確認できる。更に、比較例6、7、10より本発明の成分を配合しない場合には、全ての評価項目が良好な状態ならないことが確認できる。

Claims (6)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)を50〜97重量%、メタクリル樹脂(B)3〜50重量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)1〜15重量部、(メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)1〜15重量部配合してなることを特徴とする耐傷付性ポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. ポリオレフィン系樹脂(A)のMFR値(230℃、2.16kg荷重)が、20〜40g/10分である、請求項1記載の組成物。
  3. メタクリル樹脂(B)のMFR値(230℃、3.8kg荷重)が、5〜25g/10分である、請求項1または2記載の組成物。
  4. スチレン系熱可塑性エラストマーのISO7619に準拠して測定した硬度(タイプA)の値が、30〜100である、請求項1から3のいずれか1項記載の組成物。
  5. スチレン系熱可塑性エラストマーのMFR値が、0.01〜8g/10分(230℃、2.16kg荷重)である、請求項1から4のいずれか1項記載の組成物。
  6. (メタ)アクリル酸エステル−芳香族ビニル共重合体(D)中の(メタ)アクリル酸エステルと芳香族ビニルの構成比は、20/80〜80/20である、請求項1から5のいずれか1項記載の組成物。
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