JP6767778B2 - 繊維製品用着香剤組成物 - Google Patents
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Description
(A)成分:炭素数14以上16以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(C)成分:分子量が200以上500以下の香料化合物
本発明の(A)成分は、炭素数14以上16以下の内部オレフィンスルホン酸塩である。
また、本発明の(B)成分は、炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩である。
(A)成分及び(B)成分の炭素数は、スルホン酸塩が共有結合した内部オレフィンの炭素数を表す。
(A)成分の炭素数は、分子量が200以上500以下の香料化合物の繊維製品への吸着率がより高まる点で16が好ましい。また、(B)成分の炭素数は18が好ましい。本発明では、(A)成分として炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩を含むことが好ましい。(B)成分を用いる場合には炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩が好ましく、その場合、(A)成分が炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩である組み合わせがより好ましい。
本発明の内部オレフィンスルホン酸塩は、原料として、炭素数14以上16以下又は炭素数17以上24以下の内部オレフィン(二重結合をオレフィン鎖の内部に有するオレフィン)をスルホン化、中和及び加水分解することにより得られるスルホン酸塩である。
かかる内部オレフィンには、二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在する、いわゆるアルファオレフィン(以下、α−オレフィンともいう。)を微量に含有するものも含まれる。
また、内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ−サルトンが生成し、β−サルトンの一部は、γ−サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩と、オレフィンスルホン酸塩へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。ここで、得られるヒドロキシアルカンスルホン酸塩のヒドロキシ基は、アルカン鎖の内部にあり、オレフィンスルホン酸塩の二重結合はオレフィン鎖の内部にある。また、得られる生成物は、主にこれらの混合物であり、またその一部には、炭素鎖の末端にヒドロキシ基を有するヒドロキシアルカンスルホン酸塩、又は炭素鎖の末端に二重結合を有するオレフィンスルホン酸塩が微量に含まれる場合もある。
本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩((A)成分又は(B)成分)という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(以下、HASともいう。)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(以下、IOSともいう。)という。
また、(A)成分と(B)成分とを含有する混合物として内部オレフィンスルホン酸塩が得られる場合も、該混合物中の化合物の割合を同様に求め、本発明の条件を満たすものであれば、(A)成分と(B)成分として使用することができる。
(A)成分中又は(B)成分中、スルホン酸基がオレフィン鎖又はアルカン鎖の2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、好ましくは10質量%以上60質量%以下である。
また、(A)成分中又は(B)成分中、スルホン酸基がオレフィン鎖又はアルカン鎖の5位以上に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、分子量が200以上500以下の香料化合物の繊維製品への吸着率がより高くなる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下である。
また、(A)成分中又は(B)成分中、スルホン酸基がオレフィン鎖又はアルカン鎖の1位に存在するオレフィンスルホン酸塩の含有量は、分子量が200以上500以下の香料化合物の繊維製品への吸着率がより高くなる観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である。そして生産コストの低減、及び生産性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上である。
これらの化合物のスルホン酸基の位置は、オレフィン鎖又はアルカン鎖における位置である。
<ヒドロキシ体/オレフィン体の質量比の測定方法>
ヒドロキシ体/オレフィン体の質量比は、HPLC−MSにより測定する。具体的には、HPLCにより、測定対象の内部オレフィンスルホン酸塩からヒドロキシ体とオレフィン体を分離し、それぞれをMSにかけることで同定する。そのHPLC−MSピーク面積から各々の割合を求める。
尚、測定に使用する装置および条件は次の通りである。
HPLC装置(商品名:アジレントテクノロジー1100、アジレントテクノロジー社製)、
カラム(商品名:L−columnODS4.6×150mm、一般財団法人化学物質評価研究機構製)、
サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、
溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、
溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加メタノール)、
グラジェント(0min.(A/B=30/70%)→10min.(30/70%)→55min.(0/100%)→65min.(0/100%)→66min.(30/70%)→75min.(30/70%))、
MS装置(商品名:アジレントテクノロジー1100MS SL(G1946D))、
MS検出(陰イオン検出 m/z60−1600、UV240nm)
スルホン化は、例えば、内部オレフィン1モルに対し三酸化硫黄ガスを1.0〜1.2モル反応させることにより行うことができる。反応温度は、20〜40℃で行うことができる。
中和は、例えば、スルホン酸基の理論値に対し1.0〜1.5モル倍量の水酸化ナトリウム、アンモニア、2−アミノエタノール等のアルカリ水溶液を反応させることにより行なわれる。
加水分解は、例えば、水の存在下90〜200℃で30分〜3時間反応を行えばよい。
これらの反応は、連続して行うことができる。また反応終了後は、抽出、洗浄等により精製することができる。
原料内部オレフィン中、二重結合が5位以上に存在する内部オレフィンの含有量は、分子量が200以上500以下の香料化合物の繊維製品への吸着率がより高くなる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、そして好ましくは60質量%以下である。なお、原料内部オレフィンにおける二重結合の位置の最大値は、炭素数により異なる。
原料内部オレフィン中における二重結合の分布は、ガスクロマトグラフ質量分析計(以下、GC−MSと省略)により測定することができる。具体的には、ガスクロマトグラフ分析計(以下、GCと省略)により炭素鎖長及び二重結合位置の異なる各成分を正確に分離し、それぞれを質量分析計(以下、MSと省略)にかけることで、その二重結合位置を同定することができ、そのGCピーク面積から各々の割合を求めることができる。以下に、原料内部オレフィンの二重結合位置の測定方法を示す。
<原料内部オレフィンの二重結合位置の測定方法>
内部オレフィンの二重結合位置は、ガスクロマトグラフィー(以下、GCと省略)により測定する。具体的には、内部オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、各成分をGCで分離した。結果、それぞれのピーク面積より内部オレフィンの二重結合位置を求める。
尚、測定に使用した装置及び分析条件は次の通りである。
GC装置「HP6890」(HEWLETT PACKARD社製)、
カラム「Ultra−Alloy−1HTキャピラリーカラム」(30m×250μm×0.15μm、フロンティア・ラボ株式会社製)、
検出器(水素炎イオン検出器(FID))、
インジェクション温度300℃、
ディテクター温度350℃、
He流量4.6mL/分
(C)成分は分子量が200以上500以下の香料化合物である。(C)成分に関して、香料化合物は、書籍や文献などの刊行物において香料成分(香料素材)として記載されている化合物を指すことができる。その他に、当該技術分野に属する者が、経験的に香料素材として使用できることを知っている化合物を含むことができる。例えば、特許文献に記載された香料化合物、「香料と調香の基礎知識」中島基貴著、産業図書(株)発行 第2刷(1996年5月30日)、「香料の実際の知識」印藤元一著、東洋経済新報社などの書籍に記載された化合物を挙げることができる。
(C)成分の分子量は、繊維製品への(C)成分の吸着率がより高くなる点で、200以上であり、好ましくは210以上、そして、500以下であり、好ましくは450以下、より好ましくは300以下、更に好ましくは290以下、より更に好ましくは270以下である。
i)β−カリオフィレン(204)、β−ファルネセン(204)から選ばれる炭化水素系香料
本発明の繊維製品用着香剤組成物は、水及び/又は有機溶剤を含有することが好ましい。本発明の繊維製品用着香剤組成物は、水を含有することがより好ましい。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下、添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。水は、組成物を、液体状態、例えば4℃〜40℃における性状を液体状態とする為に用いられる。水は、組成物中の水以外の成分の残部を占める成分であり、通常、組成物全体の組成が100質量%となる量で用いられる。
本発明の繊維製品用着香剤組成物は、任意に(B)成分を含有する。
本発明の繊維製品用着香剤組成物は、組成物中の(B)成分の含有量と(A)成分の含有量との質量比である、〔(B)成分の含有量〕/〔(A)成分の含有量〕が0以上2.5以下である。質量比〔(B)成分の含有量〕/〔(A)成分の含有量〕は、分子量が200以上500以下の香料化合物の繊維製品への吸着率がより高まる観点から、2.5以下であり、好ましくは2.3以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.8以下、より更に好ましくは1.6以下、より更に好ましくは1.4以下、より更に好ましくは1.3以下、より更に好ましくは1.1以下、より更に好ましくは1.0以下、より更に好ましくは0.8以下、より更に好ましくは0.7以下、より更に好ましくは0.6以下、より更に好ましくは0.5以下、より更に好ましくは0.4以下、より更に好ましくは0.3以下、そして好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上である。質量比〔(B)成分の含有量〕/〔(A)成分の含有量〕は、0であってもよい。
繊維製品への(C)成分の吸着率がより高くなる観点から、繊維は木綿繊維を含む繊維製品であることが好ましい。同様の観点で、繊維製品中の木綿繊維の含有量は5質量%以上が好ましく、10質量%以上が好ましく、15質量%以上が好ましく、20質量%以上が好ましく、上限値は100質量%である。
(A)成分と(B)成分とを、(A)成分/(B)成分=0以上2.5以下の質量比で用いる、
繊維製品用着香剤組成物の製造方法を提供する。
(A)成分:炭素数14以上16以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(C)成分:分子量が200以上500以下の香料化合物
この製造方法の各成分の好ましい態様は、本発明の繊維製品用着香剤組成物と同じである。また、前記質量比も、繊維製品用着香剤組成物における質量比の好ましい値を適用できる。
(1)炭素数16の内部オレフィンの製造
攪拌装置付きフラスコに1−ヘキサデカノール(製品名:カルコール6098、花王株式会社製)7000g(28.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREM Chemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/min.)を流通させながら反応時間を変化させて反応を行った。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、136−160℃/4.0mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数16の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布を表1に示す。
(1)で得られた炭素数16の内部オレフィンを、外部にジャケットを有する薄膜式スルホン化反応器を使用して三酸化硫黄ガス、反応器外部ジャケットに20℃の冷却水を通液することでスルホン化反応を行った。スルホン化反応の際のSO3/内部オレフィンのモル比は1.09に設定した。得られたスルホン化物を、理論酸価に対し1.5モル倍量の水酸化ナトリウムで調製したアルカリ水溶液へ添加し、攪拌しながら30℃、1時間中和した。中和物をオートクレーブ中で160℃、1時間加熱することで加水分解を行い、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム粗生成物を得た。該粗生成物300gを分液漏斗に移し、エタノール300mLを加えた後、1回あたり石油エーテル300mLを加えて油溶性の不純物を抽出除去した。この際、エタノールの添加により油水界面に析出した無機化合物(主成分は芒硝)も、油水分離操作により水相から分離除去した。この抽出除去操作を3回おこなった。水相側を蒸発乾固することで、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムを得た。
製造例A1の(1)で、1−オクタデカノールを原料として用い、製造条件を適宜変更して炭素数18の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布を表1に示す。この炭素数18の内部オレフィンを用いて、製造例A1の(2)と同様にして、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムを得た。
実施例及び比較例で用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
(A)成分
(a−1):製造例A1で得られた、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム
(a’−1):アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−65(花王(株)製)
(b−1):製造例B1で得られた、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウム
(c−1):パールライド(分子量:280)
(c−2):α−ヘキシルシンナミックアルデヒド(分子量:216)
(c−3):リリアール(分子量:204)
(c’−1):シクラメンアルデヒド(分子量:190)
(c’−2:エストラゴール(分子量:148)
(c’−3):フェニルエチルアルコール(分子量:122)
以下に示す方法で、表2〜5に示す組成の繊維製品用着香組成物を調製した。得られた繊維製品用着香組成物を下記に示す評価方法で、繊維製品に対する吸着率の評価を行った。結果を表2〜5に示す。
スクリュー管No.2に、繊維製品用着香組成物の出来上がり質量が2.0gになるのに必要な(A)成分又は(A)成分、(B)成分、(C)成分又は(C’)成分及びイオン交換水を入れ、ボルテックスミキサーで撹拌した。得られた混合物を恒温槽60℃で24時間放置した後、25℃で3日間静置し、繊維製品用着香組成物を得た。
(1)評価用木綿タオルの前処理
市販の木綿タオル(綿100%、武井タオル製、TW−220)24枚を、日立自動洗濯機NW−6CYで、5回繰り返し洗濯した。洗浄のための界面活性剤としてノニオン性界面活性剤(ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物(平均付加モル数8))を用いた。また、1回の洗濯条件は、ノニオン性界面活性剤使用量4.5g、標準コース、水量45L、水温20℃、洗浄時間10分、ため濯ぎ2回とした。最後の洗濯の後、20℃、43%RHの条件下で1日間、乾燥した。
上記(1)の方法で前処理をした木綿タオルを8.5cm×8.5cmの大きさに裁断した評価布を複数用意した。
100mlビーカーに、必要量の4°dHの水と表2〜5の繊維製品用着香剤組成物とを入れ、前記の評価布2枚を入れた。
4°dHの水はイオン交換水に塩化カルシウムと塩化マグネシウムを質量比で8:2の割合で投入し、硬度を4°dHに調製したものを使用した。
繊維製品用着香組成物の必要量及び4°dHの水の必要量は、(A)成分と(B)成分の合計量が300ppm、処理液が20L/繊維1kgとなる条件に基づいて算出された。
3cmのスターラーチップとデジタル式スターラー(AS ONE製マグネチックスターラー、REXIMシリーズ、RS−4DN)を用いて、500rpmにてビーカーの内容物を10分間撹拌した。この処理での処理浴は4°dHの水と表2〜5の繊維製品用着香剤組成物の混合物である。
香料化合物〔(C)成分又は(C’)成分〕の吸着率は、処理前の処理浴中の香料化合物含有量(x)と処理後の処理浴中の香料化合物含有量(y)の差分〔(x)−(y)〕を評価布に吸着している量として、処理前の香料化合物含有量(x)に対する割合(百分率)、すなわち、〔(x)−(y)〕/(x)×100とした。
なお、処理前後の処理浴中の香料化合物の含有量は、下記の液体クロマトグラフィー装置を用いて測定した。
液体クロマトグラフィー装置:HITACHI L−2455
カラム:L−column ODS 4.6×150mm、L−C18、5μm、12nm
カラム温度:40℃
溶離剤:アセトニトリル/水=6/4(質量比)の混合溶液
流速:1.0mL/min
検出器:UV(220nm)
Claims (3)
- 下記(A)成分、任意に(B)成分及び(C)成分を含有し、組成物中の(B)成分の含有量と(A)成分の含有量との質量比である、〔(B)成分の含有量〕/〔(A)成分の含有量〕が0以上2.5以下である、繊維製品用着香剤組成物。
(A)成分:炭素数14以上16以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(C)成分:4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロシクロペンタベンゾピラン、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、及びリリアールから選ばれる香料化合物 - 〔(B)成分の含有量〕/〔(A)成分の含有量〕が0以上2.0以下である、請求項1に記載の繊維製品用着香剤組成物。
- 水及び/又は有機溶剤を含有する、請求項1又は2に記載の繊維製品用着香剤組成物。
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