JP7160671B2 - 液体仕上げ剤組成物 - Google Patents
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Description
特許文献7には、特定の親水基位置分布を有する内部オレフィンスルホン酸塩、水酸基を有する有機溶剤及び水を含有する繊維製品用液体洗浄剤組成物が記載されている。
該液体仕上げ剤組成物は、カリウムイオン、及び任意にナトリウムイオンを含有し、
該液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上9以下である、
液体仕上げ剤組成物に関する。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
混合成分が、水中でカリウムイオンを放出する物質(I)、及び水中でナトリウムイオンを放出する任意の物質(II)を含み、
ここで、物質(I)には(A)成分が含まれていてもよく、また、物質(II)には(A)成分が含まれていてもよく、
物質(I)及び物質(II)を、液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上0.9以下となるように混合する、
液体仕上げ剤組成物の製造方法に関する。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
例えば、本発明によれば、低温での固形物の析出の程度が低下できる液体仕上げ剤組成物が提供される。本発明の液体仕上げ剤組成物は、低温環境下に曝露されても、該組成物中に固形物の発生を抑制できる。
また、例えば、本発明によれば、低温で長期間保管された後も、繊維の仕上げ効果に優れる、例えば、低温で保管された後に低温で繊維を処理しても、繊維表面のざらつきの低下が抑制できる液体仕上げ剤組成物が提供される。
本発明者らは、(A)成分、(B)成分、及び水を含有する液体仕上げ剤組成物において、カリウムイオンとナトリウムイオンのモル比を特定範囲に制御することで、(A)成分のクラフト点が低下し、液体仕上げ剤組成物の固形物の析出の程度が低下できることを見出した。非特許文献1にあるように、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩では、対イオンがカリウムイオンである場合はナトリウムイオンである場合よりもクラフト点が高くなり、水に対する溶解性、更には低温での安定性は劣ると考えられる。しかし、本発明の(A)成分では、このような挙動とは異なり、本発明の(B)成分の存在下で、対イオンをカリウムイオンとすると、(A)成分のクラフト点が低くなることが判明した。本発明は、この知見に基づいて組成物全体のカリウムイオンとナトリウムイオンのモル比を特定範囲に規定したものである。
本発明の(A)成分は、炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩であり、繊維に付着した汚れを洗浄する作用を有する。また、繊維を処理すると繊維を柔らかく仕上げる作用を有する。また、後述する(B)成分のClogPが-2以上2以下である水酸基を有する有機溶剤との併用により、繊維に柔らかい風合いを付与する効果を高めることができる。とりわけ、本発明の液体仕上げ剤組成物が低温での処理に用いられても、繊維に柔らかい風合いだけでなく、繊維のざらつきが少ない風合いを付与する効果を高めることができる。(A)成分は、炭素数17以上24以下の内部オレフィンをスルホン化して得ることができる。
ここで、HASは、内部オレフィンスルホン酸のスルホン化により生成する化合物のうち、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、すなわち、内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体である。
本発明において、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-1S)とは、炭素数17以上24以下のHAS体における、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する炭素数17以上24以下のスルホン酸塩を意味する。
また、スルホン酸基が5位以上に存在する炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-2S)とは、炭素数17以上24以下のHAS体における、スルホン酸基が5位以上に存在する炭素数17以上24以下のスルホン酸塩を意味する。
なお、(A)成分を得るための内部オレフィンは、二重結合が1位以上3位以下に存在する炭素数17以上24以下のオレフィン(IO-1)と、二重結合が4位に存在する炭素数17以上24以下のオレフィンと、二重結合が5位以上に存在する炭素数17以上24以下のオレフィン(IO-2)とで構成される。オレフィン(IO-2)における二重結合の位置の最大値は、炭素数により異なる。
本明細書では、これらの各生成物及びそれらの混合物を総称して内部オレフィンスルホン酸塩((A)成分)という。また、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のヒドロキシ体(HAS)、オレフィンスルホン酸塩を内部オレフィンスルホン酸塩のオレフィン体(以下、IOSともいう。)という。
なお、(A)成分中の化合物の質量比は、HPLC-MSにより測定できる。具体的には、(A)成分のHPLC-MSピーク面積から質量比を求めることができる。
該液体仕上げ剤組成物は、カリウムイオン、及び任意にナトリウムイオンを含有し、
該液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上0.9以下である、
液体仕上げ剤組成物が挙げられる。この液体仕上げ剤組成物には、本発明の液体仕上げ剤組成物について述べた事項を適宜適用することができる。
(A1)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩であって、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-1S)とスルホン酸基が5位以上に存在する炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-2S)との質量比が(IO-1S)/(IO-2S)で0.50以上6.0以下である、炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
(B)成分は、ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤である。(B)成分には、一般的に溶解剤として用いられているものがある。当業者は、液体仕上げ剤組成物に含まれる界面活性剤の種類や含有量によって、最適な有機溶剤を探索している。本発明では、(A)成分を含有する液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比を調整することで、有機溶剤の選択肢が広がり、当業者は液体仕上げ剤組成物の処方設計の自由度を拡大できる。
(B1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコール
(B2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコール
(B3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤(但し、炭化水素基は芳香族基を除く。)
(B4)成分:部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤
以下に(B1)成分~(B4)成分の具体例を示す。尚( )内の数字は、Perkin Elmer社のChemBio Draw Ultraver.14.0のChemPropertyを用いて算出した各成分の計算値(CLogP)である。
本発明の液体仕上げ剤組成物は水を含有する。例えば、本発明の組成物の4℃以上40℃以下における性状を液体状態とする為に、水を含有することが出来る。水は脱イオン水(イオン交換水とも言う場合もある)や次亜塩素酸ソーダをイオン交換水に対して1mg/kg以上5mg/kg以下、添加した水を使用することが出来る。また、水道水も使用できる。
本発明の液体仕上げ剤組成物は、カリウムイオン、及び任意にナトリウムイオンを含有し、該液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上9以下である。本発明の液体仕上げ剤組成物が、低温で保管された後に低温で繊維を処理しても、繊維をざらつきが少ない風合いに仕上げる観点又は、当該組成物が低温環境下に置かれても、当該組成物中に固形物の析出を抑制する観点で(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比は、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下であり、そして、好ましくは0である。ナトリウムイオンが存在する場合、下限値は0.01以上が好ましい。本発明では、液体仕上げ剤組成物中のナトリウムイオンの含有量及びカリウムイオンの含有量は、それぞれ、液体仕上げ剤組成物中に存在するイオンの量に基づいて前記モル比を算出するものとする。
尚、液体仕上げ剤組成物に含まれる(A)成分の含有量は、対イオンを水素イオンに置き換えた化合物、すなわち酸型化合物に換算して算出した値に基づくものとする。
本発明の液体仕上げ剤組成物は、繊維用液体仕上げ剤組成物であることが好ましい。本発明の組成物は、繊維用風合い改善剤組成物などとして利用できる。本発明の液体仕上げ剤組成物で処理する繊維を構成する繊維は、疎水性繊維、親水性繊維のいずれでも良い。疎水性繊維としては、例えば、タンパク質系繊維(牛乳タンパクガゼイン繊維、プロミックスなど)、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート系繊維(ベンゾエートなど)、ポリフルオロエチレン系繊維(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコーンカーバイト繊維、岩石繊維(ロックファーイバー)、鉱滓繊維(スラッグファイバー)、金属繊維(金糸、銀糸、スチール繊維)等が例示される。親水性繊維としては、例えば、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)等が例示される。
繊維は木綿繊維を含む繊維であることが好ましい。
本発明におけるざらつきの少ない風合いとは、柔らかさのみならず、繊維の表面を手で触った時のざらついた感触が少ない感触を意味することができる。
本発明の液体仕上げ剤組成物は、カリウムイオンによる低温保管での析出抑制効果をより高める点で、(C)成分として、総炭素数7以上10以下の安息香酸誘導体、及び総炭素数6以上10以下のベンゼンスルホン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
(d1)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(d2)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(d3)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤(但し、(A)成分を除く)
(d4)成分:脂肪酸又はその塩
(c3)成分として、より具体的には、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニル基の炭素数が10以上18以下のアルケニルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が10以上18以下のアルカンスルホン酸塩、脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下のα-スルホ脂肪酸塩、及び脂肪酸部分の炭素数が10以上18以下であり、エステル部分の炭素数が1以上5以下であるα-スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩、炭素数が12以上16以下の内部オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。
(e1)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロースなどの再汚染防止剤及び分散剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(e2)過酸化水素、過炭酸ナトリウム又は過硼酸ナトリウム等の漂白剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下
(e3)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6-316700号の一般式(I-2)~(I-7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤を組成物中0.01質量%以上10質量%以下、
(e4)セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ及びリパーゼから選ばれる1種以上の酵素、好ましくはアミラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素を組成物中0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、そして、2質量%以下、好ましくは1質量%以下
(e5)蛍光染料、例えばチノパールCBS(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(商品名、住友化学社製)として市販されている蛍光染料を組成物中0.001質量%以上1質量%以下
(e6)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤を組成物中0.01質量%以上2質量%以下
(e7)色素、香料、抗菌防腐剤、シリコーン等の消泡剤を適量。
<pHの測定法>
pHメーター(HORIBA製pH/イオンメーター F-23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入する。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33モル/L)を使用する。次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mLビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬する。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行う。測定対象となるサンプルを25℃に調整し、前記のpHメーターの電極をサンプルに浸漬し、1分後のpHを測定する。
このドイツ硬度のためのカルシウム及びマグネシウムの濃度は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を使用したキレート滴定法で求められる。
本明細書における水のドイツ硬度の具体的な測定方法を下記に示す。
<水のドイツ硬度の測定方法>
〔試薬〕
・0.01mol/l EDTA・2Na溶液:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムの0.01mol/l水溶液(滴定用溶液、0.01 M EDTA-Na2、シグマアルドリッチ(SIGMA-ALDRICH)社製)
・Universal BT指示薬(製品名:Universal BT、(株)同仁化学研究所製)
・硬度測定用アンモニア緩衝液(塩化アンモニウム67.5gを28w/v%アンモニア水570mlに溶解し、イオン交換水で全量を1000mlとした溶液)
〔硬度の測定〕
(1)試料となる水20mlをホールピペットでコニカルビーカーに採取する。
(2)硬度測定用アンモニア緩衝液2ml添加する。
(3)Universal BT指示薬を0.5ml添加する。添加後の溶液が赤紫色であることを確認する。
(4)コニカルビーカーをよく振り混ぜながら、ビュレットから0.01mol/l EDTA・2Na溶液を滴下し、試料となる水が青色に変色した時点を滴定の終点とする。
(5)全硬度は下記の算出式で求める。
硬度(°dH)=T×0.01×F×56.0774×100/A
T:0.01mol/l EDTA・2Na溶液の滴定量(mL)
A:サンプル容量(20mL、試料となる水の容量)
F:0.01mol/l EDTA・2Na溶液のファクター
本発明は、下記(A)成分、下記(B)成分及び水を含む成分(以下、混合成分という)を混合する液体仕上げ剤組成物の製造方法であって、
混合成分が、水中でカリウムイオンを放出する物質(I)、及び水中でナトリウムイオンを放出する任意の物質(II)を含み、
ここで、物質(I)には(A)成分が含まれていてもよく、また、物質(II)には(A)成分が含まれていてもよく、
物質(I)及び物質(II)を、液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上0.9以下となるように混合する、
液体仕上げ剤組成物の製造方法を提供する。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
本発明は、カリウムイオンからなる、液体仕上げ剤組成物中の水和固体の融点の低下剤であって、
前記液体仕上げ剤組成物が、下記(A)成分、下記(B)成分、及び水を含有する、
融点の低下剤に関する。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
この融点の低下剤における(A)成分、(B)成分の好ましい態様は、それぞれ、本発明の液体仕上げ剤組成物及びその製造方法と同じである。また、この融点の低下剤には、本発明の液体仕上げ剤組成物及びその製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明は、下記(A)成分、下記(B)成分、及び水を含有する液体仕上げ剤組成物中の(A)成分の水和固体の融点の低下方法であって、
該液体仕上げ剤組成物に、カリウムイオン、及び任意にナトリウムイオンを含有させ、
該液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比を0以上9以下とする、
水和固体の融点の低下方法に関する。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
この融点の低下方法における(A)成分、(B)成分の好ましい態様は、それぞれ、本発明の液体仕上げ剤組成物及びその製造方法と同じである。(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比の好ましい態様なども、本発明の液体仕上げ剤組成物及びその製造方法と同じである。また、この融点の低下方法には、本発明の液体仕上げ剤組成物及びその製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。
攪拌装置付きフラスコに1-オクタデカノール(製品名:カルコール8098、花王株式会社製)7000g(25.9モル)、固体酸触媒としてγ-アルミナ(STREM Chemicals,Inc社)700g(原料アルコールに対して10質量%)を仕込み、攪拌下、280℃にて系内に窒素(7000mL/min.)を流通させながら反応時間を適宜調整して反応を行った。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、148-158℃/0.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数18の内部オレフィンを得た。得られた内部オレフィンの二重結合分布を示す。該内部オレフィン中の二重結合分布(質量%)は、1位/2位/3位/4位/5位/6位/7位/8位/9位=0.9/25/21.9/19/13.6/8.6/5.6/2.7/2.7であった。
なお、炭素数18のオレフィンでは、二重結合が8位に存在する内部オレフィンと二重結合が9位に存在する内部オレフィンは構造上区別できないが、スルホン化された場合には区別されるため、便宜的に、二重結合が8位に存在する内部オレフィンの量を2で割った値を、8位、9位のそれぞれの欄に示した。
前記原料の製造例で得られた内部オレフィンを、外部にジャケットを有する薄膜式スルホン化反応器を使用して三酸化硫黄ガス、反応器外部ジャケットに20℃の冷却水を通液することでスルホン化反応を行った。スルホン化反応の際のSO3/内部オレフィンのモル比は1.09に設定した。得られたスルホン化物を、理論酸価に対し1.5モル倍量の水酸化カリウムで調製したアルカリ水溶液へ添加し、攪拌しながら30℃、1時間中和した。中和物をオートクレーブ中で160℃、1時間加熱することで加水分解を行い、内部オレフィンスルホン酸カリウム生成物である(a-1)を得た。スルホン酸基が結合している内部オレフィンスルホン酸塩の含有割合(質量%)を示す。1位/2位/3位/4位/5~9位=1.4/22.1/17.2/21.8/37.5。(IO-1S)/(IO-2S)=1.6であった。(a-1)は、内部オレフィンスルホン酸の酸型100gに対するカリウムイオンの質量が12.8gであった。
前記の製造例1において、スルホン化物の中和に用いた水酸化カリウムを水酸化ナトリウムに置き換えた以外は、製造例1と同様の操作を行い(a-2)を得た。スルホン酸基が結合している内部オレフィンスルホン酸塩の含有割合(質量%)を示す。1位/2位/3位/4位/5~9位=1.4/22.1/17.2/21.8/37.5。(IO-1S)/(IO-2S)=1.6であった。(a-2)は、内部オレフィンスルホン酸の酸型100gに対するナトリウムイオンの質量が7.6gであった。
尚、測定に使用した装置及び条件は次の通りである。HPLC装置「LC-20ASXR」((株)島津製作所製)、カラム「ODS Hypersil(登録商標)」(4.6×250mm、粒子サイズ:3μm、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、サンプル調製(メタノールで1000倍希釈)、溶離液A(10mM酢酸アンモニウム添加水)、溶離液B(10mM酢酸アンモニウム添加 メタクリロニトリル/水=95/5(v/v)溶液)、グラジェント(0分(A/B=60/40)→15.1~20分(30/70)→20.1~30分(60/40)、MS装置「LCMS-2020」((株)島津製作所製)、ESI検出(陰イオン検出m/z:349.15(炭素数18の(A)成分)、カラム温度(40℃)、流速(0.5mL/min)、インジェクション容量(5μL)。
{(A)成分}
(a-1):前記製造例1で得られた内部オレフィンスルホン酸カリウム塩
(a-1)は、(A)成分であり、物質(I)でもある。
(a-2):前記製造例2で得られた内部オレフィンスルホン酸ナトリウム塩
(a-2)は、(A)成分であり、物質(II)でもある。
(A)成分は、表には酸型化合物換算の質量%を示した。
(b-1):ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ClogP=0.67)
(b-2):フェノキシエタノール(ClogP=1.2)
(c-1):p-クメンスルホン酸
{水}
イオン交換水
前記成分のうち、(a-1)は、物質(I)に相当する。(a-1)は、酸型化合物100gあたり、カリウムイオンを12.8g放出する。
前記成分のうち、(a-2)は、物質(II)に相当する。(a-2)は、酸型化合物100gあたり、ナトリウムイオンを7.6g放出する。
上記の配合成分を用いて、表1、2に示す液体仕上げ剤組成物を製造し、以下の項目について評価を行った。結果を表1、2に示す。表1、2に示す液体仕上げ剤組成物は、具体的には次の通り製造した。200mL容量のガラス製ビーカーに長さ5cmのテフロン(登録商標)製スターラーピースを投入し質量を測定した。次に20℃のイオン交換水を出来上がり質量が100gになるのに必要量の90質量%、必要量の(A)成分、(B)成分、任意の(C)成分を投入し、ビーカーの上面をサランラップ(登録商標)で封をした。内容物が入ったビーカーをマグネチックスターラーに設置した60℃のウォーターバスに入れ、ウォーターバス内の水の温度が60±2℃の温度範囲内で、100r/minで30分間撹拌した。次に、ウォーターバス内の水を5℃の水道水に替え、ビーカー内の該組成物の温度が20℃になるまで冷却した。次に液体仕上げ剤組成物の20℃でのPHが7.5になるように、モノエタノールアミンで調整した。pHはガラス電極を用いたpHメーターで測定した。次に、サランラップ(登録商標)を外し、内容物の質量が100gになるように、イオン交換水を入れ、再度、100r/minで30秒間撹拌し、表1、2に記載の液体仕上げ剤組成物を得た。
No.4のスクリュー管(アズワン製)に、表1の液体仕上げ剤組成物10g投入し、栓をした。次に、液体仕上げ剤が入ったNo.4のスクリュー管を-30℃のディープフリーザーに3時間放置し、その後氷浴中に2時間放置した。その後、12℃/hourの速度で昇温しスクリュー管内の結晶物が溶け切る様子を目視観察し、結晶物が溶けきった温度を測定した。その温度を水和固体の融点とした。
表2の組成物30gをNo.6のガラス製規格瓶に入れ、規格瓶の内面の底面から液体仕上げ剤組成物の液面までの高さX(cm)を測定した。次に表2の組成物が充填された規格瓶を-5℃の恒温器で20日間保管した。20日後の規格瓶を恒温槽から取り出して20秒後に、内容物内に沈殿した白色の固体物の高さY(cm)を、規格瓶の内側の底面から測定した。保存前の液体仕上げ剤組成物の高さXと、-5℃で20日間保存後の沈殿した白色物の高さYとの比である、Y/Xを算出した。
(1)評価繊維製品の前処理
あらかじめ、木綿メリヤス1.7kg((株)色染社製、綿ニット未シル(シルケット加工されていないもの)、木綿100%)を、全自動洗濯機(National製NA-F702P)の標準コースで2回累積洗濯(洗浄時にエマルゲン108(花王(株)製)4.7g、水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)後、水のみで3回累積洗濯(水量47L、洗い9分・すすぎ2回・脱水3分)を行い、23℃、45%RHの環境下で24時間乾燥させた。また、木綿タオル1.7kg(武井タオル製木綿タオル、TW220、58g/1枚、綿100%)についても、上記の木綿メリヤスと同じ方法で前処理した。
(2-1)方法1
National製電気バケツ式洗濯機(型番「N-BK2」)に、0℃に温度調整した市水(3.5°dH)を6.0L注水した。次に、-5℃の恒温器で20日間保管し、恒温器から取り出した直後の-5℃の表2に記載の液体仕上げ剤組成物を、(A)成分の浴中濃度が200mg/kgとなる量で、前記の方法で前処理した木綿メリヤス4枚(約140g)の内、1枚に直接付着させた。この木綿メリヤス1枚と残りの木綿メリヤス3枚の計4枚の木綿メリヤスを、前記電気バケツ式洗濯機に投入し、2分間処理した。処理後、日立製二層式洗濯機(型番「PS-H35L」)を用いて1分間脱水を行った後、20℃、43%RHの条件下で12時間放置し乾燥させた。
National製電気バケツ式洗濯機(型番「N-BK2」)に、0℃に温度調整した市水(3.5°dH)を6.0L注水した。次に、-5℃の恒温器で20日間保管し、恒温器から取り出した直後の-5℃の表2に記載の液体仕上げ剤組成物を、(A)成分の浴中濃度が200mg/kgとなる量で、前記の方法で前処理した木綿タオル2枚(約116g)の内、1枚に付着させた。この木綿タオル1枚と残りの木綿タオル1枚の計2枚の木綿タオルを、前記電気バケツ式洗濯機投入し、2分間処理した。処理後、日立製二層式洗濯機(型番「PS-H35L」)を用いて1分間脱水を行った後、20℃、43%RHの条件下で12時間放置し乾燥させた。また、表2の各液体仕上げ剤組成物において、20℃の恒温器で20日間保管し、20日後に20℃の恒温器から取り出した直後の20℃の液体仕上げ剤組成物を用いて、同様な操作を行い基準タオルとした。
(3-1)柔らかさの評価
前記の方法1で処理し乾燥後の4枚の木綿メリヤスを重ねて柔らかさを、繊維の風合い評価の熟練者6名で下記の基準で点数づけし、6人の平均点を四捨五入により有効数字2桁で算出した。
-1…比較例5の組成物で処理した木綿メリヤスよりも柔らかく仕上がらない
0…比較例5の組成物で処理した木綿メリヤスと同等の柔らかさに仕上がった。
1…比較例5の組成物で処理した木綿メリヤスと比較して柔らかく仕上がった。
前記の方法2で処理し乾燥後の2枚の木綿タオルから1枚を選択し、木綿タオルの表面を手でなぞる触り方をした時のざらつき感を、繊維の風合い評価の熟練者6名で下記の基準で点数づけした。残り1枚の木綿タオルについても同じ評価者が同様に評価した。すなわち1人の評価者から2つの評価点を取得した。6人の平均点を四捨五入により有効数字2桁で算出した。
-1…各組成物において、20℃の組成物で処理した基準タオルよりも、ざらついた仕上がりになった。
0…各組成物において、20℃の組成物で処理した基準タオルと同等の風合いであり、ざらついた仕上がりにならなかった。
ざらつき感の評価は、-0.2以上を合格とした。
Claims (7)
- 下記(A)成分、下記(B)成分、及び水を含有する液体仕上げ剤組成物であって、
該液体仕上げ剤組成物は、カリウムイオン、及び任意にナトリウムイオンを含有し、
該液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上9以下である、
液体仕上げ剤組成物。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤 - 液体仕上げ剤組成物中に含まれる全アニオン界面活性剤中の(A)成分の割合が60質量%以上100質量%以下である、請求項1に記載の液体仕上げ剤組成物。
- (B)成分が下記(B1)~(B4)成分から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の液体仕上げ剤組成物。
(B1)成分:炭素数2以上6以下の1価のアルコール
(B2)成分:炭素数2以上12以下、且つ2価以上12価以下のアルコール
(B3)成分:炭素数1以上8以下の炭化水素基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤(但し、炭化水素基は芳香族基を除く。)
(B4)成分:部分的に置換していても良い芳香族基、エーテル基及び水酸基を有する有機溶剤 - (A)成分として、スルホン酸基が2位以上4位以下に存在する炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-1S)と、スルホン酸基が5位以上に存在する炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩(IO-2S)とを含み、(IO-1S)と(IO-2S)の質量比が(IO-1S)/(IO-2S)で0.50以上6.0以下である、請求項1~3の何れか1項記載の液体仕上げ剤組成物。
- 下記(A)成分、下記(B)成分及び水を含む成分(以下、混合成分という)を混合する液体仕上げ剤組成物の製造方法であって、
混合成分が、水中でカリウムイオンを放出する物質(I)、及び水中でナトリウムイオンを放出する任意の物質(II)を含み、
ここで、物質(I)には(A)成分が含まれていてもよく、また、物質(II)には(A)成分が含まれていてもよく、
物質(I)及び物質(II)を、液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比が0以上0.9以下となるように混合する、
液体仕上げ剤組成物の製造方法。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤 - カリウムイオンからなる、液体仕上げ剤組成物中の水和固体の融点の低下剤であって、
前記液体仕上げ剤組成物が、下記(A)成分、下記(B)成分、及び水を含有する、
融点の低下剤。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤 - 下記(A)成分、下記(B)成分、及び水を含有する液体仕上げ剤組成物中の(A)成分の水和固体の融点の低下方法であって、
該液体仕上げ剤組成物に、カリウムイオン、及び任意にナトリウムイオンを含有させ、
該液体仕上げ剤組成物中の(ナトリウムイオンの含有量)/(カリウムイオンの含有量)のモル比を0以上9以下とする、
水和固体の融点の低下方法。
(A)成分:炭素数17以上24以下の内部オレフィンスルホン酸塩
(B)成分:ClogPが-2以上2以下の水酸基を有する有機溶剤
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