JP6766908B2 - 作物生産用施設への二酸化炭素含有ガスと熱の供給装置及び供給方法 - Google Patents
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Description
燃焼炉1は、バイオマスの供給を受け、バイオマスを燃焼して排ガスを排出する。バイオマスには、木質系バイオマス(例えば木質チップ、木屑、間伐材、製材廃材、建築廃材等)が用いられる。典型的な燃焼炉1は、火格子式燃焼炉であり、火格子を有する燃焼室と、火格子上にバイオマスを供給するための供給口と、燃焼室に燃焼空気を供給する送風機と、を備える。火格子上のバイオマスに燃焼空気を供給して燃焼する火格子式燃焼炉は、燃焼効率が高く好ましいが、炉形式はこれに限定されるものではない。
熱交換器2は、燃焼炉1の燃焼排ガス(以下、単に排ガスという)と水との熱交換により水を加熱して温水を得て、暖房、温度管理のための熱を作物生産用施設11に供給する。熱交換器2と作物生産用施設11とは、温水配管12で接続され温水が供給される。熱交換器2で得られた温水を別に設ける蓄熱槽に貯留することにより、作物生産用施設11の熱需要により効果的に対応して熱を供給することができる。例えば、昼間に得られ貯留された温水(蓄熱された温熱)を、熱需要の大きい夜間に使用するようにするなど、柔軟な対応が可能となる。
硫黄酸化物除去装置3は、熱交換器2で熱回収された排ガスに重曹(炭酸水素ナトリウム)粉末を吹き込む重曹吹込み装置を備える。重曹吹込み装置は、重曹を貯留する重曹貯留槽と、重曹貯留槽から重曹粉末を切り出す切出し装置と、切り出された重曹粉末を圧縮空気とともに排ガス中に吹き込むノズルと、を備える。ノズルは、熱交換器2の下流側かつ集塵装置4の上流側のダクト13に配置される。
(式1)
2NaHCO3+SO2+1/2O2→Na2SO4+H2O+2CO2
集塵装置4は、排ガスに含まれる粉塵を捕集するとともに、重曹粉末と硫黄酸化物(SOx)との反応生成物粒子を捕集する。バグフィルタ等の濾過式集塵装置を用いることが、粉塵と硫黄酸化物の反応生成物粒子を捕集する効率が高く好ましい。バグフィルタのフィルタ表面に付着した未反応の重曹粉末が、硫黄酸化物と反応することも行われる。
窒素酸化物除去装置5は、集塵装置4で粉塵が除去された排ガスにアンモニアガスを吹き込むアンモニア供給装置6と、脱硝触媒を収容した脱硝触媒装置7と、を備える。脱硝触媒装置7は、窒素酸化物(NOx)をアンモニアとの反応によりN2とH2Oとに分解し窒素酸化物を除去する。アンモニア(NH3)と窒素酸化物(NOx)との反応式は、式2のとおりである。
(式2)
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O
一酸化炭素及びエチレン除去装置8は、窒素酸化物除去装置5で窒素酸化物が除去された排ガスを、酸化触媒を収容した酸化触媒装置に導入し、触媒の作用により一酸化炭素とエチレンを酸化し、作物又は作業者に無害なCO2、H2O等の物質にする。酸化に使用される酸素は、排ガスに含まれる酸素である。燃焼炉1には燃焼空気が吹き込まれるので、排ガスには十分な酸素が存在する。酸化触媒は限定されないが、担体に白金やロジウムを担持させた触媒を用いることが好ましい。一酸化炭素及びエチレンを酸化触媒により酸化して除去する際の温度は特に限定されないが、硫黄酸化物除去を行う温度である170〜200℃の温度範囲で運転することが再加熱を行う必要がないため好ましい。この温度範囲で好適な酸化触媒を用いるようにする。
浄化ガス供給装置9は、上記の除去装置3,4,5,8によって浄化された燃焼排ガスを作物生産用施設11へ供給する。浄化ガス供給装置9は、熱交換器10を備える。一酸化炭素及びエチレン除去装置8で一酸化炭素及びエチレンが除去された排ガスは、熱交換器10で例えば100〜130℃まで冷却され、さらに空気で希釈され、例えば30〜50℃まで冷却され、作物生産用施設11へ二酸化炭素含有ガスとして供給される。二酸化炭素含有ガスを常温に近い温度にすることで、作物生産用施設11内の作物に悪影響を与えないようにする。熱交換器10は、浄化ガスと水との熱交換により水を加熱して温水を得て、暖房、温度管理のための熱を作物生産用施設11に供給するようにしてもよい。
以下に本発明の実施例を比較例と比較しつつ説明する。燃焼炉から排出される排ガスを作物生産用施設に供給する際に、作物の生育に悪影響を及ぼさないような排ガス中の成分の許容上限濃度を以下の表1に示すように定めた。
2…熱交換器
3…硫黄酸化物除去装置
4…集塵装置
5…窒素酸化物除去装置
6…アンモニア供給装置
7…脱硝触媒装置
8…一酸化炭素及びエチレン除去装置
9…浄化ガス供給装置
10…熱交換器
12…温水配管
13…ダクト
21…ガス成分濃度計
22…制御装置
23…循環流路
24…調整弁
31…循環流路(触媒活性回復手段)
32…ガス加熱装置(触媒活性回復手段)
Claims (5)
- 作物生産用施設へ二酸化炭素含有ガスと熱を供給する供給装置であって、
燃料を燃焼する燃焼炉と、
前記燃焼炉から排出された燃焼排ガスとの熱交換により熱を得て作物生産用施設へ熱を供給する熱交換器と、
燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する硫黄酸化物除去装置と、
燃焼排ガスに含まれる煤塵を捕集する集塵装置と、
燃焼排ガスにアンモニアガスを吹き込み、脱硝触媒により燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去装置と、
燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素とエチレンを酸化触媒により除去する一酸化炭素及びエチレン除去装置と、
浄化された燃焼排ガスを作物生産用施設へ供給する浄化ガス供給装置と、
前記一酸化炭素及びエチレン除去装置から排出された循環ガスをガス加熱装置によって加熱し、前記一酸化炭素及びエチレン除去装置の上流側に戻し、前記一酸化炭素及びエチレン除去装置の前記酸化触媒を180℃〜300℃に加熱して前記一酸化炭素及びエチレン除去装置の前記酸化触媒に付着したタールミストを除去する触媒活性回復手段と、を備える二酸化炭素含有ガスと熱の供給装置。 - 前記ガス加熱装置に反応用空気を供給することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素含有ガスと熱の供給装置。
- 前記燃料がバイオマスであり、
前記硫黄酸化物除去装置が、燃焼排ガスに重曹粉末を吹込み、硫黄酸化物との反応生成物を生成し、反応生成物を前記集塵装置により煤塵とともに捕集可能とする除去装置であり、
前記浄化ガス供給装置が、浄化ガスを冷却する熱交換器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の二酸化炭素含有ガスと熱の供給装置。 - 作物生産用施設へ二酸化炭素含有ガスと熱を供給する供給方法であって、
燃焼炉で燃料を燃焼する工程と、
前記燃焼炉から排出された燃焼排ガスとの熱交換により熱を得て作物生産用施設へ熱を供給する工程と、
燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物を除去する硫黄酸化物除去工程と、
燃焼排ガスに含まれる煤塵を捕集する集塵工程と、
燃焼排ガスにアンモニアガスを吹き込み、脱硝触媒により燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物を除去する窒素酸化物除去工程と、
燃焼排ガスに含まれる一酸化炭素とエチレンを酸化触媒により除去する一酸化炭素及びエチレン除去工程と、
浄化された排ガスを作物生産用施設へ供給する浄化ガス供給工程と、
前記一酸化炭素及びエチレン除去装置から排出された循環ガスをガス加熱装置によって加熱し、前記一酸化炭素及びエチレン除去装置の上流側に戻し、前記一酸化炭素及びエチレン除去装置の前記酸化触媒を180℃〜300℃に加熱して前記一酸化炭素及びエチレン除去装置の前記酸化触媒に付着したタールミストを除去する工程と、を備える二酸化炭素含有ガスと熱の供給方法。 - 前記燃料がバイオマスであり、
前記硫黄酸化物除去工程が、燃焼排ガスに重曹粉末を吹込み、硫黄酸化物との反応生成物を生成し、反応生成物を前記集塵工程において煤塵とともに捕集可能とする除去工程であり、
前記浄化ガス供給工程が、浄化ガスを冷却する熱交換工程を有することを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素含有ガスと熱の供給方法。
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