JP6766688B2 - 連続鋳造機 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造機に関する。
特許文献1には、鋼材用鋳片の連続鋳造方法が記載されている。特許文献1の連続鋳造方法では、メニスカス下3m及びクレーターエンド近傍で、横方向撹拌の可能なスターラーを電源周波数を商用又は低周波(2〜30Hz)に選定し、未凝固鋳片に含まれる溶鋼を撹拌する。
特許文献2には、鋳片の未凝固圧下方法が記載されている。特許文献2の未凝固圧下方法では、鋳片の連続鋳造において、鋳型内で電磁撹拌を施し、さらに鋳片の中心固相率が0〜0.1となる未凝固域で未凝固溶鋼の電磁撹拌を施す。次いで、鋳片の中心固相率が0.1〜0.4となる未凝固域で、少なくとも1対のロールにより未凝固部厚さの50〜90%の圧下量を与える。なお、特許文献2の未凝固圧下方式における、未凝固溶鋼の電磁撹拌は、回転移動方式により行われる。
特許文献3には、未凝固部の溶鋼を撹拌するための電磁力を付与する移動磁界を発生する電磁撹拌装置として、第一の電磁撹拌装置と、第二の電磁撹拌装置とを備えた連続鋳造機が記載されている。ここで、特許文献1の連続鋳造機では、第一の電磁撹拌装置が通常の撹拌を行い、第二の電磁撹拌装置が偏析成分濃化溶鋼を鋳片幅方向に撹拌し希釈するように構成されている。
特公昭64−4868号公報 特許第3119203号公報 特許第5083241号公報
ところで、連続鋳造機により鋳片を鋳造する際、移動する鋳片は、その外側から凝固して、鋳片における板厚方向の中央側かつ幅方向の中央側の部分(以下、中央部分という。)が遅れて凝固する。すなわち、連続鋳造機により鋳片を鋳造する過程では、鋳片は、中央部分に溶鋼の未凝固部を含んだ状態で移動する。また、中心固相率が0.3〜0.7で溶鋼のマクロ流動が局所的に発生すると、板厚方向の中央部分におけるP(リン)、Mn(マンガン)等の不純物の濃度が鋳片における他の部分(例えば、外側の部分)に比べて高くなり、中央部分が偏析した状態となる。このような状態は、中心偏析と呼ばれている。加えて、この中心偏析は、中央部分の組織が柱状晶の場合に極端に悪化する場合があることが知られている。
本発明は、鋳片の中心偏析を低減することができる連続鋳造機の提供を目的とする。
本発明に係る連続鋳造機は、内部に未凝固部を含む鋳片の移動経路に配置され、鋳片に矩形波の電磁力をかけて、前記鋳片の未凝固部を電磁撹拌する第1撹拌装置と、前記第1撹拌装置よりも前記移動経路における鋳片の移動方向の下流側に配置され、前記第1撹拌装置により前記矩形波の電磁力がかけられた前記鋳片に前記矩形波と周期及び向きが同じでデューティ比の異なる矩形波の電磁力をかけて、前記鋳片の未凝固部を電磁撹拌する第2撹拌装置と、を備えている。
本発明に係る連続鋳造機を用いれば、鋳片の移動経路における複数の位置で、矩形波の電磁力が鋳片にかけられることにより、鋳片の未凝固部が鋳片の幅方向に対して交互に又は間欠的に電磁撹拌されて、鋳片が鋳造される。そして、本発明に係る連続鋳造機を用いて鋳造される鋳片は、鋳片の移動経路における鋳片に電磁力をかける複数の位置の少なくとも何れかの位置で鋳片に連続的な一定の電磁力がかけられて鋳造される鋳片に比べて、中央部分における上面等軸晶率が増加する。その結果、本発明に係る連続鋳造機を用いて鋳造される鋳片は、中心偏析が低減される。
本発明に係る連続鋳造機を用いれば、鋳造される鋳片の中心偏析を低減することができる。
第1実施形態の連続鋳造機を示す概略図(正面図)である。 第1実施形態の連続鋳造機を構成する第1撹拌装置の矩形波の電磁波と、第2撹拌装置の矩形波の電磁波との関係を示すタイミングチャートである。 鋳片の中心部分に生じる中心偏析を説明するための図であって、鋳片の幅方向に切った鋳片の断面における等軸晶帯の位置と、等軸晶帯の一部を拡大して等軸晶帯に形成された偏析粒とを表す模式図である。 第2実施形態の連続鋳造機を構成する第1撹拌装置の矩形波の電磁波と、第2撹拌装置の矩形波の電磁波との関係を示すタイミングチャートである。 実施例(実施例1〜11)の連続鋳造機及び比較例(比較例1及び2)の連続鋳造機を用いて鋳片を鋳造する条件と、各条件により鋳造された鋳片の測定結果(上面等軸晶率及び最大偏析厚み)とを示す表である。 実施例(実施例1〜11)の連続鋳造機及び比較例(比較例1及び2)の連続鋳造機を用いて鋳造された鋳片における、上面等軸晶率と、鋳片の幅方向最大偏析厚みとの関係を示すグラフである。 実施例(実施例1〜11)の連続鋳造機及び比較例(比較例1及び2)の連続鋳造機を用いて鋳造された鋳片における、平均溶鋼流速(第1撹拌装置を通過する際の鋳片の幅方向中央での溶鋼流速及び第1撹拌装置を通過する際の鋳片の幅方向中央での溶鋼流速の平均流速)と、上面等軸晶率との関係を示すグラフである。 変形例の連続鋳造機を説明するための概略図(正面図)である。破線内P1及びP2は第1撹拌装置を配置してもよい領域、破線内P3及びP4は第2撹拌装置を配置してもよい領域を示す。
≪概要≫
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について、2つの実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)を例示して説明する。次いで、実施例について説明する。
≪第1実施形態≫
以下、第1実施形態について説明する。まず、本実施形態の連続鋳造機10(図1参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態の連続鋳造機10を用いた鋳片S(図1参照)の鋳造方法について説明する。次いで、本実施形態の効果について説明する。なお、本実施形態は、後述する実施例における実施例5(図5の表参照)に相当する。
<構成>
本実施形態の連続鋳造機10は、鋳片Sを鋳造する機能を有する。連続鋳造機10は、図1に示されるように、搬送部20と、鋳型30と、第1撹拌装置40と、第2撹拌装置50と、大圧下ロール60と、を含んで構成されている。以下、図1の連続鋳造機10は、正面側から見た状態を示すものとして説明する。図1において、+Y方向は装置高さ方向上側(又は高さ方向上側)、−Y方向は装置高さ方向下側(又は高さ方向下側)を意味し、+X方向は装置幅方向右側、−X方向は装置幅方向左側を意味し、+Z方向は装置奥行き方向奥側、−Z方向は装置奥行き方向手前側を意味する。すなわち、「正面側から見た状態」とは、装置奥行き方向手前側から見た状態を意味する。
[搬送部]
本実施形態の搬送部20は、鋳片Sを冷却しながら、鋳片Sを鋳片Sの移動方向(図1中の矢印A方向)に沿って搬送する機能を有する。搬送部20は、図1に示されるように、複数のロール22と、冷却装置24と、を含んで構成されている。
各ロール22は、それぞれ軸周りに回転可能とされている。複数のロール22は、正面側から見ると、2列に並べられている。各列は、正面側から見て、左上側から中央下側に亘り左下側に向けて凸状に湾曲し、中央下側から右下側に亘り幅方向右側に延びるように、互いに沿っている。なお、各列の間は、鋳造される鋳片Sの移動経路とされている。そして、搬送部20は、後述する鋳型30を通過した溶鋼を、複数のロール22のうち最も上側の一対のロール22の間から受け入れて、鋳片Sを移動経路に沿って搬送するようになっている。
また、冷却装置24は、正面側から見ると、左上側から中央下側に亘って2列に並べられている複数のロール22の各列に沿って配置され、移動経路を移動する鋳片Sに冷却水を浴びせて、鋳片Sを冷却するようになっている。そのため、搬送部20は、後述する鋳型30から受け渡された溶鋼を徐々に冷却しながら搬送するようになっている。なお、搬送部20に受け渡された溶鋼は、その外側から徐々に凝固しながら、内部に未凝固部(溶鋼が凝固していない状態の部分)を含む鋳片Sとなって、移動経路を移動するようになっている。
[鋳型]
鋳型30は、図示を省略したタンディッシュ(溶鋼を貯蔵する容器)から排出された溶鋼を、鋳型30の内面に接した溶鋼の側面(液面)を凝固させて、搬送部20に受け渡す機能を有する。鋳型30を下側から見ると、鋳型30には、矩形状に貫通している貫通孔(図示省略)が形成されている。そのため、鋳型30は、その内側を通過し断面が矩形状の溶鋼を搬送部20に受け渡すようになっている。なお、タンディッシュには、図示を省略した取鍋から排出された溶鋼が受け渡されるようになっている。以下、本明細書では、鋳片Sの鋳造時における、鋳型30内の溶鋼の液面をメニスカスMという。
[第1撹拌装置]
第1撹拌装置40は、鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、鋳片Sの内部の未凝固部を電磁撹拌する機能を有する。本実施形態の第1撹拌装置40は、図1に示されるように、正面側から見ると、移動経路(及び搬送部20)の上側(及び右側)の位置であって、移動経路における左上側から中央下側に亘り左下側に向けて凸状に湾曲している部分の略中央に配置されている。具体的には、第1撹拌装置40は、正面側から見ると、その中心40Aの位置がメニスカスMから鋳片Sの移動経路に沿って10.0m下流側となるように配置されている。なお、第1撹拌装置40が配置されている位置は、移動経路において、内部(中央部分)に未凝固部を含む鋳片Sが移動する位置とされている。なお、明細書において、「未凝固部を電磁撹拌する」とは、未凝固部内の溶鋼を電磁撹拌することを意味する。
本実施形態の第1撹拌装置40は、長尺状とされている。そして、第1撹拌装置40は、その長手方向を装置奥行き方向に沿わせた状態で配置されている。また、第1撹拌装置40は、移動経路を移動する鋳片Sの幅方向全域に亘って矩形波の電磁力をかけるようになっている。具体的には、第1撹拌装置40は、図2に示されるように、鋳片Sの鋳造時において、期間t1aとして15(s)間、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで期間t1bとして5(s)間、電磁力の発生を停止し、次いで期間t1cとして15(s)間、装置奥行き方向手前側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで期間t1dとして5(s)間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すようになっている。すなわち、本実施形態の第1撹拌装置40は、電磁力を発生している時間が電磁力を発生していない時間よりも長い。また、第1撹拌装置40により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T1は、期間t1aと、期間t1bと、期間t1cと、期間t1dとの和、すなわち、40(s)とされている。ここで、期間t1aと、期間t1cとの和を矩形波のパルス幅τ1と定義すると、第1撹拌装置40により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ1/T1は、0.75である。本明細書では、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで一定期間、電磁力の発生を停止し、次いで一定期間、装置奥行き方向手前側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで一定期間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すモードを、交番モードという。なお、図2のグラフでは、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を正の値とし、装置奥行き方向手前側に向く矩形状の電磁力を負の値としている(以下同様)。
[第2撹拌装置]
第2撹拌装置50は、鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、鋳片Sの内部の未凝固部を電磁撹拌する機能を有する。本実施形態の第2撹拌装置50は、図1に示されるように、正面側から見ると、移動経路の上側の位置、かつ、移動経路における左上側から中央下側に亘り左下側に向けて凸状に湾曲している部分であって、第1撹拌装置40よりも下流側に配置されている。具体的には、第2撹拌装置50は、正面側から見ると、その中心50Aの位置がメニスカスMから鋳片Sの移動経路に沿って一例として15.0m下流側(第1撹拌装置50の中心40Aの位置から移動経路に沿って5.0m下流側)となるように配置されている。すなわち、第2撹拌装置50が配置されている位置は、移動経路において、内部に未凝固部を含む鋳片Sが移動する位置であって、第1撹拌装置40よりも移動経路に沿う下流側の位置とされている。
本実施形態の第2撹拌装置50は、第1撹拌装置40と同じ形状とされている。そして、第2撹拌装置50は、その長手方向を装置奥行き方向に沿わせた状態で配置されている。第2撹拌装置50は、鋳片Sの鋳造時において、移動経路を移動する鋳片Sの幅方向全域に亘って、交番モードの矩形波の電磁力をかけるようになっている(図2のグラフ参照)。具体的には、第2撹拌装置50は、図2に示されるように、鋳片Sの鋳造時において、期間t2aとして12.9(s)間、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで期間t2bとして7.1(s)間、電磁力の発生を停止し、次いで期間t2cとして12.9(s)間、装置奥行き方向手前側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで期間t2dとして7.1(s)間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すようになっている。すなわち、本実施形態の第2撹拌装置50は、電磁力を発生している時間が電磁力を発生していない時間よりも長い。また、第2撹拌装置50により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T2は、期間t2aと、期間t2bと、期間t2cと、期間t2dとの和、すなわち、40(s)とされている。ここで、期間t2aと、期間t2cとの和を矩形波のパルス幅τ2と定義すると、第2撹拌装置50により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ2/T2は、約0.65である。
以上のとおりであるから、第2撹拌装置50により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T2は、一例として、第1撹拌装置40により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T1と同じとされている。また、第2撹拌装置50のパルス幅τ2は、第1撹拌装置40のパルス幅τ1の0.86倍、別言すれば、パルス幅τ2は、パルス幅τ1の86%とされている。すなわち、本実施形態では、パルス幅τ2は、パルス幅τ1の0.85倍以上1.15倍以下の範囲、別言すれば、パルス幅τ1の85%以上115%以下の範囲とされている。
また、図2に示されるように、第2撹拌装置50が発生する電磁力は、第1撹拌装置40が発生する電磁力に対して位相が異なっている。具体的には、第2撹拌装置50は、第1撹拌装置40の電磁力がかけられた鋳片Sの未凝固部に対して、移動する鋳片Sにおける第1撹拌装置40により電磁力がかけられた部分に向き及び周期が同じでデューティ比が異なる矩形波の電磁力がかかるように設定されている。本実施形態では、デューティ比τ1/T1が0.75、デューティ比τ2/T2が約0.65であることから、本実施形態の第2撹拌装置50は、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分に、第1撹拌装置50よりも短い期間に第1撹拌装置50が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力をかけて当該部分を電磁撹拌するようになっている。別言すれば、本実施形態の第2撹拌装置50は、移動する鋳片Sに対して、第1撹拌装置40の電磁力に一部同期する電磁力をかけて、鋳片Sの未凝固部を電磁撹拌するようになっている。なお、第2撹拌装置50の電磁力における、第1撹拌装置40の電磁力に対する位相に相当する時間Δt(図2のグラフ参照)は、第1撹拌装置40の中心40Aの位置と第2撹拌装置50の中心50Aの位置との移動経路に沿う間隔を、移動経路を移動する鋳片Sの移動速度(m/min)、すなわち、鋳造速度(m/min)で除した値とされている。
[大圧下ロール]
大圧下ロール60は、移動経路に沿って移動する鋳片Sを鋳片Sの厚み方向から挟んで圧下する機能を有する。大圧下ロール60は、図1に示されるように、装置奥行き方向に沿って配置されている一対のロールで構成されている。大圧下ロール60を構成する一対のロールは、設定された一定の対向間隔で離れた状態で、軸周りに回転可能とされている。ここで、大圧下ロール60は、圧下装置の一例である。
大圧下ロール60は、図1に示されるように、移動経路における第2撹拌装置50よりも鋳片Sの移動方向下流側に配置されている。具体的には、大圧下ロール60は、第2撹拌装置50の中心50Aの位置から大圧下ロール60の最近接位置(一対のロール同士が最も近くに向かい合う位置)までの移動経路に沿った間隔が一例として2(m)とされる位置に配置されている。すなわち、本実施形態の大圧下ロール60は、移動経路に沿う第1撹拌装置40の中心40Aの位置と第2撹拌装置50の中心50Aの位置との間隔よりも、移動経路に沿う第2撹拌装置50の中心40Aの位置との間隔が短い位置に配置されている。
本実施形態の大圧下ロール60は、移動経路に沿って移動する鋳片Sを鋳片Sの厚み方向から挟んで圧下することにより、移動経路に沿って大圧下ロール60を通過する前の鋳片Sの厚みを、一例として10(mm)以上20(mm)以下の範囲で薄くするようになっている(圧下量が10(mm)以上20(mm)以下となるように圧下する)。
以上が、本実施形態の連続鋳造機10の構成についての説明である。
<鋳片Sの鋳造方法>
次に、本実施形態の連続鋳造機10を用いた鋳片Sの鋳造方法について、図面を参照しつつ説明する。
まず、オペレータは、図示を省略した移動装置を用いて溶鋼が収容されている取鍋(図示省略)を、連続鋳造機10にセットする。そして、オペレータが連続鋳造機10を作動させると、連続鋳造機10は取鍋の底の開閉蓋を開放する。その結果、取鍋から排出された溶鋼は、タンディッシュを通過して鋳型30に送り込まれる。
また、連続鋳造機10の作動に伴い、搬送部20の冷却装置24は鋳片Sの移動経路に向けて冷却水の放出を開始する。さらに、図2に示されるように、第1撹拌装置40は、交番モードの矩形波の電磁力を発生させる。また、第2撹拌装置50は、交番モードであって、第1撹拌装置40が発生させる電磁力の矩形波に一部同期し、第1撹拌装置40が発生させる電磁力の矩形波と向き及び周期が同じで、デューティ比が異なる(本実施形態の場合はデューティ比が小さい)矩形波の電磁力を発生させる。
鋳型30に送り込まれた溶鋼は、鋳型30から搬送部20に受け渡され、移動経路に沿って移動する。この際、溶鋼は、冷却装置24から放出される冷却水が浴びせられて、その外側から徐々に凝固しながら、内部に未凝固部を含む鋳片Sとなって、移動経路を移動する。また、移動経路を移動しながら、第1撹拌装置40を通過する鋳片Sは、第1撹拌装置40により、図2に示される交番モードの矩形波の電磁力がかけられる。その結果、鋳片Sの未凝固部は、装置奥行き方向の定められた方向に沿って電磁撹拌される。
次いで、第1撹拌装置40により交番モードの矩形波の電磁力がかけられ、第2撹拌装置50を通過する鋳片Sは、第2撹拌装置50により、第1撹拌装置40にかけられた電磁力と一部同期した交番モードの矩形波の電磁力がかけられる。その結果、第1撹拌装置40により電磁撹拌された鋳片Sの未凝固部は、装置奥行き方向の定められた方向(第1撹拌装置40を通過する際の方向と同じ方向)に沿ってさらに電磁撹拌される。
次いで、第2撹拌装置50により電磁力がかけられた鋳片Sは、大圧下ロール60により鋳片Sの厚み方向から挟まれて圧下されながら、大圧下ロール60を通過する。その結果、鋳片Sにおける未凝固部は、大圧下ロール60により移動方向の上流側に押し出される。未凝固部が押し出された鋳片Sは、大圧下ロール60の通過に伴い薄くされて、本実施形態の鋳片Sの鋳造方法が終了する。なお、大圧下ロール60を通過した鋳片Sは、さらに移動方向の下流側に移動して、図示を省略した切断機により定められた長さに切断される(鋳片Sがスラブとなる)。
以上が、本実施形態の鋳片Sの鋳造方法についての説明である。
<効果>
次に、本実施形態の効果(第1〜第3の効果)について説明する。
[第1の効果]
第1の効果とは、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50により、鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、未凝固部を電磁撹拌することによる効果である。以下、第1の効果について、本実施形態を、以下に説明する比較形態と比較しつつ、図面を参照して説明する。なお、比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、図示しなくてもその部品等の符号をそのまま用いて行う。
比較形態の連続鋳造機(図示省略)は、本実施形態の連続鋳造機10(図1参照)と同じ構造とされている。ただし、比較形態の連続鋳造機は、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50が、鋳片Sに一定の大きさで正の値の電磁力を連続でかけて、未凝固部を電磁撹拌する点のみが異なる。以下、本明細書では、鋳片Sに一定の大きさの電磁力を連続でかけて、鋳片Sの未凝固部を電磁撹拌するモードを、連続モードという。なお、比較形態は、後述する比較例1(図5の表参照)に相当する。
比較形態の連続鋳造機を用いた鋳片Sについて、上面等軸晶率(%)、最大偏析厚み(mm)及び最大ポロシティ体積(cm/g)を評価した。鋳片Sの品質の観点では、上面等軸晶率(%)は高い方がよく、最大偏析厚み(mm)は低い方がよく、最大ポロシティ体積(cm/g)は低い方がよい。
ここで、上面等軸晶率(%)とは、鋳片Sにおける幅方向の断面において、鋳片Sの厚みの中心とされる幅方向の仮想線(図3の一点鎖線CL)よりも上面側の等軸晶帯(図3参照)での等軸晶の割合(百分率)をいう。上面等軸晶率(%)は、鋳片Sの幅方向の断面全体において、ピクリン酸及び塩化第2銅から成る水溶液を使って現出する凝固組織を目視観察し、凝固組織の厚み(等軸晶厚み)を測定して求めた。
また、最大偏析厚み(mm)とは、鋳片Sにおける幅方向の断面において、等軸晶帯に形成された偏析粒の鋳片Sの厚み方向の厚みのうち最大値をいう(図3参照)。
また、ポロシティ体積は(cm/g)とは、下記の式(1)で表されるVpをいう。
式(1) Vp=(1/ρ)−(1/ρ
ここで、ρは、鋳片Sの移動方向において、鋳片Sの厚みの1/4の厚みの部分でポロシティのない部分における鋳片Sの密度ρを平均化した値である。また、ρは、鋳片Sの厚みの1/2の厚みの部分でポロシティがある部分における鋳片Sの密度を、鋳片Sの幅方向の断面においてそれぞれ測定した値であり、最大ポロシティ体積は、幅方向における最大値を示している。なお、ρはJIS Z8807の測定原理に従う市販の比重測定装置によって測定した。
そして、比較形態の連続鋳造機を用いた鋳片Sについて、上面等軸晶率(%)、最大偏析厚み(mm)及び最大ポロシティ体積(cm/g)を評価したところ、以下のとおりとなった。すなわち、比較形態の場合、上面等軸晶率は20.6(%)、最大偏析厚みは0.45(mm)、最大ポロシティ体積は4.1×10−4(cm/g)であった(図5の表の比較例1を参照)。
これに対して、本実施形態の連続鋳造機10を用いた鋳片Sについて、上面等軸晶率(%)、最大偏析厚み(mm)及び最大ポロシティ体積(cm/g)を評価したところ、上面等軸晶率は26.5(%)、最大偏析厚みは0.35(mm)、最大ポロシティ体積は2.5×10−4(cm/g)であった(図5の表の実施例5を参照)。すなわち、本実施形態の場合、比較形態の場合に比べて、上面等軸晶率(%)が高く、最大偏析厚み(mm)が低く、最大ポロシティ体積が低い。別言すれば、本実施形態の鋳片Sは、比較形態の鋳片Sに比べて、品質の観点で優れているといえる。
以上のように本実施形態と比較形態との評価の結果に差異が生じた理由は、以下のとおりと推考される。すなわち、本実施形態の場合、図2に示されるように、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により矩形波の電磁力がかけられた部分に、第2撹拌装置50により第1撹拌装置40による矩形波と同じ向きでデューティ比の異なる矩形波の電磁力がかけられて、未凝固部が電磁撹拌される。そのため、第1撹拌装置40を通過する鋳片Sの未凝固部内の等軸晶を含む溶鋼は、第1撹拌装置40を通過する期間において、まず矩形波の電磁力がかかっている期間(図2における期間t1a)に装置奥行き方向奥側(手前側)に沿って移動し、次に矩形波の電磁力がかかっていない期間(図2における期間t1b)に慣性力により装置奥行き方向奥側(手前側)移動し、次に矩形波の電磁力がかかっている期間(図2における期間t1c)に装置奥行き方向手前側(奥側)に沿って移動し、次に矩形波の電磁力がかかっていない期間(図2における期間t1d)に慣性力により装置奥行き方向手前側(奥側)に沿って移動する動作を、周期的に繰り返す。なお、この場合、未凝固部内の溶鋼が電磁力により周期的に移動することに伴い、溶鋼に含まれる等軸晶も周期的に移動する動作を繰り返す。そのため、未凝固部内の溶鋼が、電磁力による一方向への移動と、慣性力による(減速した状態での)移動と、電磁力による他方向への移動とを交互に繰り返すことで、未凝固部内において、等軸晶が鋳片Sの表層から中心に向かって成長する柱状晶に衝突し易くなる(衝突頻度が増える)。その結果、等軸晶の起源となる柱状晶の先端部が切断されて、等軸晶厚みが増加すると考えられる。また、本実施形態の場合、第1撹拌装置40による柱状晶の等軸晶化の作用が、第2撹拌装置50によっても行われる。このような作用は、常に同じ方向に連続的に等軸晶を循環させる比較形態の場合では生じ難いと考えられる。以上が、本実施形態と比較形態との評価の結果に差異が生じた理由についての推考である。なお、本実施形態及び後述する実施例1〜11の場合、パルス幅τ2はパルス幅τ1の85%以上115%以下の範囲となっている(図5参照)。
したがって、本実施形態の連続鋳造機10で鋳造された鋳片Sは、比較形態の連続鋳造機で鋳造された鋳片Sに比べて、中央部分における上面等軸晶率(%)が高い。これに伴い、本実施形態の鋳片Sは、比較形態の鋳片Sに比べて、最大偏析厚み(mm)が小さい。また、本実施形態の鋳片Sは、比較形態の鋳片Sに比べて、最大ポロシティ体積(cm/g)も低い。なお、本実施形態の鋳片Sは、最大偏析厚み(mm)が小さいことから、中心偏析が低減される。
[第2の効果]
第2の効果とは、第2撹拌装置50が、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分に、第1撹拌装置50が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力をかけて、当該部分を電磁撹拌することの効果である。
本実施形態の場合、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分には、第2撹拌装置50により同じ向きの電磁力がかけられて電磁撹拌される。そのため、第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分の等軸晶は、第2撹拌装置50による電磁力により同じ向きに加速される。このような作用は、例えば、第2撹拌装置50が、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分に、第1撹拌装置50が当該部分にかけた電磁力と逆向きの電磁力をかける場合には期待できない。
したがって、本実施形態の連続鋳造機10で鋳造された鋳片Sは、第2撹拌装置50が、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分に、第1撹拌装置50が当該部分にかけた電磁力と逆向きの電磁力をかける場合に比べて、中央部分における上面等軸晶率が高い。
[第3の効果]
第3の効果とは、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50により、鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、未凝固部を電磁撹拌したうえで、鋳片Sの移動経路における第1撹拌装置40と第2撹拌装置50との間隔よりも、移動経路における第2撹拌装置50との間隔が短い位置に、大圧下ロール60が配置されていることの作用である。
本実施形態の大圧下ロール60は、鋳片Sの移動経路に沿う第1撹拌装置40と第2撹拌装置50との間隔よりも、移動経路に沿う第2撹拌装置50との間隔が短い位置に、配置されている。そのため、本実施形態の場合、大圧下ロール60が鋳片Sの移動経路に沿う第1撹拌装置40と第2撹拌装置50との間隔よりも移動経路に沿う第2撹拌装置50との間隔が長い位置に配置されている場合に比べて、未凝固部の割合(後述する中心fs)が大きい状態の鋳片Sを圧下する。しかも、本実施形態の場合、前述の第1の作用又は第2の作用を奏することにより、移動経路に沿って第2撹拌装置50を通過した後の鋳片Sの上面等軸晶率(%)を高い状態にすることができる。これに伴い、本実施形態の場合、第2撹拌装置50を通過した後の鋳片Sの等軸晶帯におけるポロシティ体積を低減した状態にすることができる。
したがって、本実施形態の連続鋳造機10により鋳造された鋳片Sは、ポロシティ体積が低減される。
以上が、本実施形態の効果についての説明である。また、以上が、第1実施形態についての説明である。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態について説明する。
<構成>
本実施形態の連続鋳造機(図示省略)は、第1実施形態の連続鋳造機10(図1参照)と同じ構造とされている。ただし、本実施形態の連続鋳造機は、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50が発生する電磁力の波形のみが異なる。なお、本実施形態は、後述する実施例における実施例10(図5の表参照)に相当する。
具体的には、第1撹拌装置40は、図4のグラフに示されるように、鋳片Sの鋳造時において、期間t1aとして23(s)間、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで期間t1bとして10(s)間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すようになっている。すなわち、本実施形態の第1撹拌装置40は、電磁力を発生している時間が電磁力を発生していない時間よりも長い。また、第1撹拌装置40により鋳片Sに2回に亘ってかけられる電磁力の周期T1は、期間t1aと、期間t1bとの和、すなわち、33(s)とされている。ここで、期間t1aを矩形波のパルス幅τ1と定義すると、第1撹拌装置40により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ1/T1は、約0.70である。本明細書では、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで一定期間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すモードを、並進モードという。
また、第2撹拌装置50は、鋳片Sの鋳造時において、移動経路を移動する鋳片Sの幅方向全域に亘って、並進モードの矩形波の電磁力をかけるようになっている(図4のグラフ参照)。そして、本実施形態の第2撹拌装置50は、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分の一部に、第1撹拌装置50が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力をかけて、当該部分を電磁撹拌するようになっている。具体的には、第2撹拌装置50は、図4に示されるように、鋳片Sの鋳造時において、期間t2aとして20(s)間、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで期間t2bとして13(s)間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すようになっている。すなわち、本実施形態の第2撹拌装置50は、電磁力を発生している時間が電磁力を発生していない時間よりも長い。また、第2撹拌装置50により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T2は、期間t2aと、期間t2bとの和、すなわち、33(s)とされている。ここで、期間t2aを矩形波のパルス幅τ2と定義すると、第2撹拌装置50により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ2/T2は、約0.61である。
以上のとおりであるから、第2撹拌装置50により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T2は、一例として、第1撹拌装置40により鋳片Sにかけられる電磁力の周期T1と同じとされている。また、第2撹拌装置50のパルス幅τ2は、第1撹拌装置40のパルス幅τ1の約0.86倍、別言すれば、パルス幅τ2は、パルス幅τ1の約86%とされている。すなわち、本実施形態では、パルス幅τ2は、パルス幅τ1の0.85倍以上1.15倍以下の範囲、別言すれば、パルス幅τ1の85%以上115%以下の範囲とされている。
また、図4に示されるように、第2撹拌装置50が発生する電磁力は、第1撹拌装置40が発生する電磁力に対して位相が異なっている。具体的には、第2撹拌装置50の電磁力における、第1撹拌装置40の電磁力に対する位相は、移動する鋳片Sにおける第1撹拌装置40により電磁力がかけられた部分に同じ向きであって、同じ周期でデューティ比が異なる矩形波の電磁力がかかるように設定されている。本実施形態では、デューティ比τ1/T1が約0.70、デューティ比τ2/T2が約0.61であることから、本実施形態の第2撹拌装置50は、鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置40により電磁撹拌された部分に、第1撹拌装置50よりも短い期間に第1撹拌装置50が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力をかけて、当該部分を電磁撹拌するようになっている。別言すれば、本実施形態の第2撹拌装置50は、移動する鋳片Sに対して、第1撹拌装置40の電磁力に一部同期する電磁力をかけて、鋳片Sの未凝固部を電磁撹拌するようになっている。なお、第2撹拌装置50の電磁力における、第1撹拌装置40の電磁力に対する位相に相当する時間Δt(図4のグラフ参照)は、第1撹拌装置40の中心40Aの位置と第2撹拌装置50の中心50Aの位置との移動経路に沿う間隔を、移動経路を移動する鋳片Sの移動速度(m/min)、すなわち、鋳造速度(m/min)で除した値とされている。
<鋳片Sの鋳造方法>
本実施形態の連続鋳造機による鋳片Sの鋳造方法は、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50が鋳片Sにかける電磁力の波形が異なる点以外、第1実施形態の場合と同じである。なお、本実施形態の場合、未凝固部内の等軸晶を含む溶鋼が、電磁力による一方向への移動と、慣性力による(減速した状態での)移動とを間欠的に繰り返すことで、未凝固部内において、等軸晶が鋳片Sの表層から中心に向かって成長する柱状晶に衝突し易くなる(衝突頻度が増える)と考えられる。その結果、等軸晶の起源となる柱状晶の先端部が切断されて、等軸晶厚みが増加すると考えられる。
<効果>
本実施形態は、第1実施形態の場合と同様の作用により、第1実施形態と同様の効果を奏する。
以上が、第2実施形態についての説明である。
≪実施例≫
次に、実施例及び比較例について図面を参照しつつ説明する。
<評価の概要>
実施例1〜11と、比較例1及び2とについて、図5の表の条件で、鋳片Sを鋳造して、上面等軸晶率(%)、最大偏析厚み(mm)及び最大ポロシティ体積(cm/g)を評価した。なお、各実施例及び各比較例で用いた連続鋳造機は、第1実施形態の連続鋳造機10を用いて行った。その際、各実施例及び各比較例における、電磁撹拌の条件に合うように、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50の電磁力の波形を設定した。なお、すべての実施例のうち、実施例1、3、5、7、9及び11は前述の第1実施形態に含まれる形態であり、これら以外の実施例、すなわち、実施例2、4、6、8及び10は前述の第2実施形態に含まれる形態である。
<図5の表についての説明>
ここで、図5の表について説明する。各実施例及び各比較例における、鋳造された鋳片Sの厚みを鋳片厚(mm)、鋳造された鋳片Sの幅を鋳片幅(mm)とした。また、中心fsとは、中心固相率であり、鋳片Sの板厚方向の中央部における凝固部の割合(百分率)を意味する。例えば、中心fsが0.1の場合、鋳片Sにおける凝固部の割合が10%で未凝固部の割合が90%であることを意味する。
電磁撹拌の欄には、オン、オフが記載されている。オンは各撹拌装置40、50が電磁力を発生している時間を意味し、オフは各撹拌装置40、50が電磁力の発生を停止している時間を意味する。
また、電磁撹拌の欄には、第1撹拌装置40の項目及び第2撹拌装置50の項目にそれぞれ溶鋼流速(m/s)が記載されている。ここで、各溶鋼流速(m/s)は、鋳片Sの移動方向において、各撹拌装置40、50が配置されている位置での最大の流速(m/s)である。各溶鋼流速(m/s)は、直接測定することができない物理量であることから、鋳造後の鋳片Sの横断面に対してEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)による面分析を行い、高橋らの論文(鉄と鋼 61(1975)p.50)の式(下記の式(2)、式(3)及び式(4))に基づいて算出して求めた。
式(2) u=7500・S/(1−S)・V
式(3) S=(K−1)/(K−1)
式(4) K=C/C
ここで、Kは実効分配係数、Cは鋳片深さ方向位置でのEPMA測定による各元素濃度、Cは溶鋼の溶質濃度、Kは平衡分配係数でK =0.19、K Si=0.77、K Mn=0.23、K =0.05である。
なお、平均溶鋼流速(m/s)とは、第1撹拌装置40及び第2撹拌装置50での未凝固部内の同じ向きの溶鋼流速(m/s)の平均である。
第1と第2との関係における間隔の欄には3(m)〜7(m)の何れかの値が記載されている。ここでいう間隔とは、鋳片Sの移動経路に沿う、第1撹拌装置40の中心40Aの位置と第2撹拌装置50の中心50Aの位置との間隔を意味する。
なお、比較例1及び2では各撹拌装置40、50による電磁撹拌を連続モードとしているが、比較例1の場合は電磁力の向きが装置奥行き方向手前側から奥側の方向に、比較例2の場合は電磁力の向きが装置奥行き方向奥側から手前側の方向に向いている。
<評価方法>
図5の表に示される、実施例1〜11と、比較例1及び2とについて、図5の表の条件で、鋳片Sを鋳造して、上面等軸晶率(%)、最大偏析厚み(mm)及び最大ポロシティ体積(cm/g)を求めた。その後、本評価では、求めた3つの値から、以下のように評価した。上面等軸晶率の評価では、22.0(%)以上を良好とした。最大偏析厚みの評価では、0.4(mm)以下を良好とした。最大ポロシティ体積の評価では、3.0×10ー4(cm/g)以下を良好とした。そして、総合評価では、以上の3つの評価においてすべて良好となった場合のみを合格とし、1つでも良好でなかった場合を不合格とした。
<評価の結果>
図5の表によれば、実施例1〜11は、総合評価においてすべて合格であった。これに対して、比較例1及び2は、総合評価において何れも不合格であった。なお、比較例1及び2は、何れも上記3つの評価すべてで良好でなかった。
<考察>
以上のとおり、実施例1〜11は、比較例1及び2に比べて、鋳造された鋳片Sの品質が優れているといえる。
また、図6のグラフは、図5の表に基づいて、各実施例及び各比較例について、上面等軸晶率(%)に対する最大偏析厚み(mm)をプロットしたものである。ここで、図6のグラフにおける○内の数字が1の点は比較例1の場合であり、○内の数字が2の点は比較例2の場合である。これら以外の数字(1〜11)は、それぞれ実施例1〜11の場合である。図6のグラフから、上面等軸晶率(%)が高くなることに伴い、最大偏析厚み(mm)が薄くなる傾向にあるといえる。また、各実施例は、各比較例に比べて、上面等軸晶率(%)が高い。これらの観点から、各実施例は、第1及び第2の作用を奏すると考えられる。
また、図7のグラフは、図5の表に基づいて、各実施例及び各比較例について、平均溶鋼流速(m/s)に対する上面等軸晶率(%)をプロットしたものである。図7の表によれば、平均溶鋼流速(m/s)が速いほど、上面等軸晶率(%)が高い。そしてすべての実施例は、比較例1及び2よりも、平均溶鋼流速(m/s)が速く、上面等軸晶率(%)が高い。以上のことから、実施例1〜11は、比較例1及び2に比べて、溶鋼流速(m/s)を速くすることができると考えられる。これらの観点から、実施例1〜11は、前述の第1の作用を奏すると考えられる。
以上の考察を加味して図5の表の条件及び評価の結果を勘案すると、移動経路に沿う第1撹拌装置40と第2撹拌装置50との間隔に関係なく、実施例1〜11は、比較例1及び2に比べて、鋳造された鋳片Sの品質が優れているといえる。また、鋳造される鋳片Sの厚み(mm)、鋳片Sの幅(mm)、鋳造速度(m/min)、溶鋼過熱度(℃)等に関係なく、実施例1〜11は、比較例1及び2に比べて、鋳造された鋳片Sの品質が優れているといえる。
以上のとおり、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲には前述した実施形態以外の形態も含まれる。例えば、本発明の技術的範囲には、下記のような形態も含まれる。
第1及び第2実施形態並びに実施例では、周期T1及びT2並びにデューティ比τ1/T1及びτ2/T2を実施例1〜11のように例示して説明した。しかしながら、第2撹拌装置50が第1撹拌装置40が発生させる電磁力の矩形波と向き及び周期が同じでデューティ比の異なる矩形波の電磁力をかければ、実施例1〜11の例示と異なっていてもよい。
また、第1及び第2実施形態並びに実施例では、時間Δt(図2のグラフ参照)は、第1撹拌装置40の中心40Aの位置と第2撹拌装置50の中心50Aの位置との移動経路に沿う間隔を、鋳造速度(m/min)で除した値であるとして説明した。しかしながら、第2撹拌装置50が第1撹拌装置40が発生させる電磁力の矩形波と向き及び周期が同じでデューティ比の異なる矩形波の電磁力をかければ、時間Δtは、第1撹拌装置40の中心40Aの位置と第2撹拌装置50の中心50Aの位置との移動経路に沿う間隔を鋳造速度(m/min)で除した値でなくてもよい。
また、第1及び第2実施形態並びに各実施例では、連続鋳造機10を正面側から見ると、各撹拌装置40、50は移動経路の上側の位置に配置されているとして説明した(図1参照)。しかしながら、各撹拌装置40、50が鋳片Sの移動方向において大圧下ロール60よりも上流側に配置され、かつ、各撹拌装置40、50が鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、未凝固部を電磁撹拌することができる構成であれば、各撹拌装置40、50の位置は移動経路の上側でなくてもよい。すなわち、各実施形態では、図8に示されるように、第1撹拌装置40が破線内P1に、第2撹拌装置50が破線内P3に配置されているが、第1撹拌装置40が破線内P2に、第2撹拌装置50が破線内P4に配置されていてもよい。また、第1撹拌装置40が破線内P1に、第2撹拌装置50が破線内P4に配置されていてもよい。また、第1撹拌装置40が破線内P2に、第2撹拌装置50が破線内P3に配置されていてもよい。
10 連続鋳造機
40 第1撹拌装置
50 第2撹拌装置
60 大圧下ロール(圧下装置の一例)
T2 周期
τ2/T2 デューティ比

Claims (3)

  1. 内部に未凝固部を含む鋳片の移動経路に配置され、鋳片に矩形波の電磁力をかけて、前記鋳片の未凝固部を電磁撹拌する第1撹拌装置と、
    前記第1撹拌装置よりも前記移動経路における鋳片の移動方向の下流側に配置され、前記第1撹拌装置により前記矩形波の電磁力がかけられた前記鋳片に前記矩形波と周期及び向きが同じでデューティ比の異なる矩形波の電磁力をかけて、前記鋳片の未凝固部を電磁撹拌する第2撹拌装置と、
    を備えた連続鋳造機。
  2. 前記デューティ比は、前記第1撹拌装置により前記鋳片にかけられる前記矩形波のデューティ比の0.85倍以上、1.15倍以下とされている、
    請求項1に記載の連続鋳造機。
  3. 前記第2撹拌装置よりも前記移動方向の下流側に配置され、鋳片を前記鋳片の厚み方向から挟んで圧下する圧下装置を備え、
    前記圧下装置は、前記移動経路に沿う前記第1撹拌装置と前記第2撹拌装置との間隔よりも、前記移動経路に沿う前記第2撹拌装置との間隔が短い位置に配置されている、
    請求項1又は2に記載の連続鋳造機。
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