JP6844313B2 - 連続鋳造機及び連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)について説明する。次いで、実施例について説明する。
以下、本実施形態について説明する。まず、本実施形態の連続鋳造機10(図1参照)の構成について説明する。次いで、本実施形態の連続鋳造機10を用いた鋳片S(図1参照)の鋳造方法について説明する。次いで、本実施形態の効果について説明する。なお、本実施形態は、後述する実施例における実施例5(図5の表参照)に相当する。
本実施形態の連続鋳造機10は、鋳片Sを鋳造する機能を有する。連続鋳造機10は、図1に示されるように、搬送部20と、鋳型30と、撹拌装置40と、大圧下ロール50と、を含んで構成されている。以下、図1の連続鋳造機10は、正面側から見た状態を示すものとして説明する。図1において、+Y方向は装置高さ方向上側(又は高さ方向上側)、−Y方向は装置高さ方向下側(又は高さ方向下側)を意味し、+X方向は装置幅方向右側、−X方向は装置幅方向左側を意味し、+Z方向は装置奥行き方向奥側、−Z方向は装置奥行き方向手前側を意味する。すなわち、「正面側から見た状態」とは、装置奥行き方向手前側から見た状態を意味する。
本実施形態の搬送部20は、鋳片Sを冷却しながら、鋳片Sを鋳片Sの移動方向(図1中の矢印A方向)に沿って搬送する機能を有する。搬送部20は、図1に示されるように、複数のロール22と、冷却装置24と、を含んで構成されている。
鋳型30は、図示を省略したタンディッシュ(溶鋼を貯蔵する容器)から排出された溶鋼を、鋳型30の内面に接した溶鋼の側面(液面)を凝固させて、搬送部20に受け渡す機能を有する。鋳型30を下側から見ると、鋳型30には、矩形状に貫通している貫通孔(図示省略)が形成されている。そのため、鋳型30は、その内側を通過し断面が矩形状の溶鋼を搬送部20に受け渡すようになっている。なお、タンディッシュには、図示を省略した取鍋から排出された溶鋼が受け渡されるようになっている。以下、本明細書では、鋳片Sの鋳造時における、鋳型30内の溶鋼の液面をメニスカスMという。
撹拌装置40は、鋳片Sの内部の未凝固部を電磁撹拌する機能を有する。撹拌装置40は、図1に示されるように、第1撹拌装置42と、第2撹拌装置44とを含んで構成されている。なお、本明細書において、「鋳片Sの内部の未凝固部を電磁撹拌する」とは、未凝固部を構成する溶鋼を電磁撹拌することを意味する。
第1撹拌装置42は、鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、鋳片Sの内部の未凝固部を電磁撹拌する機能を有する。本実施形態の第1撹拌装置42は、図1に示されるように、正面側から見ると、移動経路(及び搬送部20)の上側(及び右側)の位置であって、移動経路における左上側から中央下側に亘り左下側に向けて凸状に湾曲している部分の略中央に配置されている。具体的には、第1撹拌装置42は、正面側から見ると、その中心42Aの位置がメニスカスMから鋳片Sの移動経路に沿って10.0m下流側となるように配置されている。なお、第1撹拌装置42が配置されている位置は、移動経路において、内部(中央部分)に未凝固部を含む鋳片Sが移動する位置とされている。
第2撹拌装置44は、鋳片Sに矩形波の電磁力をかけて、鋳片Sの内部の未凝固部を電磁撹拌する機能を有する。本実施形態の第2撹拌装置44は、図1に示されるように、正面側から見ると、移動経路の上側の位置、かつ、移動経路における左上側から中央下側に亘り左下側に向けて凸状に湾曲している部分であって、第1撹拌装置42よりも下流側に配置されている。具体的には、第2撹拌装置44は、正面側から見ると、その中心44Aの位置がメニスカスMから鋳片Sの移動経路に沿って15.0m下流側(第1撹拌装置42の中心42Aの位置から移動経路に沿って5.0m下流側)となるように配置されている。すなわち、第2撹拌装置44が配置されている位置は、移動経路において、内部に未凝固部を含む鋳片Sが移動する位置であって、第1撹拌装置42よりも移動経路に沿う下流側の位置とされている。
大圧下ロール50は、移動経路に沿って移動する鋳片Sを鋳片Sの厚み方向から挟んで、鋳片Sを大圧下する機能を有する。大圧下ロール50は、図1に示されるように、装置奥行き方向に沿って配置されている一対のロールで構成されている。大圧下ロール50を構成する一対のロールは、設定された一定の対向間隔で離れた状態で、軸周りに回転可能とされている。ここで、大圧下ロール50は、圧下装置の一例である。また、本明細書において、「大圧下する」とは、移動経路に沿って大圧下ロール50を通過する前の鋳片Sの厚みを、30(mm)以上薄くする(圧下量が30(mm)以上となるように圧下する)ことを意味する。なお、本実施形態の大圧下ロール50は、移動経路に沿って移動する鋳片Sを鋳片Sの厚み方向から挟んで圧下することにより、移動経路に沿って大圧下ロール50を通過する前の鋳片Sの厚みを、40(mm)薄くするようになっている(圧下量が40(mm)となるように圧下する)。
次に、本実施形態の連続鋳造機10を用いた鋳片Sの鋳造方法について、図面を参照しつつ説明する。
次に、本実施形態の効果(第1及び第2の効果)について説明する。
第1の効果とは、大圧下ロール50が、移動経路における第2撹拌装置44の中心44Aの位置よりも鋳片Sの移動方向に沿った下流側の5(m)以内に配置され、かつ、鋳片Sを大圧下すること(以下、構成Aという。)の効果である。構成Aについて別言すると、大圧下ロール50が、鋳片Sにおける、撹拌装置40の電磁撹拌の影響により装置奥行き方向に移動している未凝固部を大圧下することの効果である。以下、第1の効果について、本実施形態を、以下に説明する第1比較形態(図示省略)と比較しつつ、図面を参照して説明する。なお、第1比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いて行う。
第2の効果とは、前述の構成Aを前提として、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44が一定の電磁力を発生している期間と、発生していない期間とを交互に繰り返して矩形状の電磁力を発生し、第2撹拌装置44によりかけられる電磁力が、第1撹拌装置42によりかけられる電磁力に対し、向きが同じで同期又は一部同期していることの効果である。以下、第2の効果について、本実施形態を、以下に説明する第2比較形態(図示省略)と比較しつつ、図面を参照して説明する。なお、第2比較形態の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いて行う。
次に、実施例及び比較例について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、本実施形態で用いた部品等と同じ部品等を用いる場合、その部品等の符号をそのまま用いて行う。
図5の表に示される、実施例1〜27と、比較例1〜9とについて、図5の表の条件で鋳片Sを鋳造して、最大偏析度の値を求めた。そして、最大偏析度の値が1.30未満の場合を合格、最大偏析度の値が1.30以上の場合を不合格として評価した。なお、各実施例及び各比較例の鋳片Sは、本実施形態の連続鋳造機10の条件を変更して鋳造した。具体的には、各実施例及び各比較例における大圧下ロール50の位置となるように、大圧下ロール50を配置して、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の電磁力の波形を設定して、鋳片Sを鋳造した。
ここで、図5の表について説明する。図5の表に示されるように、各実施例及び各比較例における、鋳造された鋳片Sの厚みを鋳片厚(mm)、鋳造された鋳片Sの幅を鋳片幅(mm)とした。
式(2) u=7500・Sh/(1−Sh)・V
式(3) Sh=(Ke−1)/(K0−1)
式(4) Ke=Cp/C0
ここで、Keは実効分配係数、Cpは鋳片深さ方向位置でのEPMA測定による各元素濃度、C0は溶鋼の溶質濃度、K0は平衡分配係数でK0 C=0.19、K0 Si=0.77、K0 Mn=0.23、K0 S=0.05である。
なお、平均溶鋼流速(m/min)とは、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44での未凝固部内の同じ向きの溶鋼流速(m/min)の平均である。
第1グループは、電磁撹拌の欄の各項目において、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の撹拌モードが交番(交番モード)で、タイミングの項目が同期((τ2/T2)/(τ1/T1)×100%の欄が100%)とされているグループである。第1グループは、実施例1、5、7、11及び13並びに比較例4が属する。第1グループにおける実施例5及び比較例4以外は、本実施形態に対して、デューティ比τ1/T1及びデューティ比τ2/T2並びに後述する溶鋼速度が異なる点以外は、同じ条件とされている。
第2グループは、電磁撹拌の欄の各項目において、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の撹拌モードが交番で、タイミングの項目が一部同期((τ2/T2)/(τ1/T1)×100%の欄が100%以外)とされているグループである。第2グループは、実施例19、23及び25が属する。第2グループの場合、第2撹拌装置44により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ2/T2が、第1撹拌装置42により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ1/T1と異なる。ここで、本明細書でいう一部同期とは、第2撹拌装置44が鋳片Sの未凝固部における第1撹拌装置42により電磁撹拌された部分に、第1撹拌装置42が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力を異なる時間かけて、当該部分を電磁撹拌することを意味する。
第3グループは、電磁撹拌の欄の各項目において、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の撹拌モードが並進(並進モード)で、タイミングの項目が同期とされているグループである。第3グループは、実施例4、6、10及び14並びに比較例5及び6が属する。ここで、並進モードとは、図6に示されるように、装置奥行き方向奥側に向く矩形状の電磁力を発生し、次いで一定期間、電磁力の発生を停止する動作を繰り返すモードをいう。
第4グループは、電磁撹拌の欄の各項目において、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の撹拌モードが並進(並進モード)で、タイミングの項目が一部同期とされているグループである。第2グループは、実施例22及び24が属する。第4グループの場合、第2撹拌装置44により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ2/T2が、第1撹拌装置42により鋳片Sにかけられる電磁力のデューティ比τ1/T1と異なる。
第5グループは、電磁撹拌の欄の各項目において、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の撹拌モードの一方が交番(交番モード)で、他方が並進(並進モード)とされているグループである。第5グループは、実施例2、3、8、9、12、15、16、20、21、26及び27並びに比較例1、2、3、7、8及び9が属する。
第6グループは、電磁撹拌の欄の各項目において、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の撹拌モードが連続(前述の連続モード)とされているグループである。第6グループは、実施例17及び18が属する。
図5の表に示される、実施例1〜27と、比較例1〜9とについて、図5の表の条件で、鋳片Sを鋳造して、最大偏析度の値を求めた。そして、最大偏析度の値が1.30未満の場合を合格、最大偏析度の値が1.30以上の場合を不合格として評価した。最大偏析度の値は、本実施形態の説明した方法により求めた。
図5の表によれば、実施例1〜27は、すべて合格であった。これに対して、比較例1〜9は、すべて不合格であった。
以下、評価結果についての考察を説明する。
上記の評価結果のとおり、実施例1〜27は、比較例1〜9に比べて、鋳造された鋳片Sの品質が優れているといえる。ここで、実施例1〜27の場合、大圧下ロール50の距離(鋳片Sの移動経路における撹拌装置40から大圧下ロール50までの距離)は、図5の表のとおり、2.0(m)以上5.0(m)以下の範囲内であった。これに対して、比較例1〜9の場合、大圧下ロール50の距離は、5.5(m)以上7.0(m)以下の範囲内であった。この評価結果から、実施例1〜4及び6〜27の場合、本実施形態(実施例5)の場合と同様に、前述の第1の効果を奏すると考えられる。なお、何れの実施例にも大圧下ロール50の距離が2.0(m)未満の例はないが、前述の第1の効果の説明において推考したメカニズムを勘案すると、大圧下ロール50の距離が2.0(m)未満であっても前述の第1の効果を奏すると考えられる。実施例において大圧下ロール50の距離が2.0(m)未満の例がないのは、第2撹拌装置44との関係で大圧下ロール50を配置することができなかったに過ぎない。
第1グループ及び第2グループに属する実施例は、本実施形態(実施例5)と同様に、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌が交番モードであった。別の見方をすれば、第1グループ及び第2グループに属する実施例以外の実施例は、少なくとも第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌の一方が交番モードで電磁撹拌をしていなかった。例えば、実施例2では、第1撹拌装置42による電磁撹拌が交番モードであるが、第2撹拌装置44による電磁撹拌が並進モードであった。実施例14では、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌が並進モードであった。また、実施例17及び18は、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌が連続モードであった。すなわち、実施例17及び18は、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44が交番モードで電磁撹拌をしていなかった。しかしながら、第1グループ及び第2グループに属する実施例以外の実施例は、図5の表に示されるとおり、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44の一方又は両方による電磁撹拌が交番モードでなくても合格であった。以上のことから、前述の第1の効果は、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌のモードに関わらず、奏するといえる。
第1グループ及び第2グループに属する実施例は、図5の表に示されるとおり、何れの場合も評価結果が合格である。ここで、第1グループ及び第2グループに属する実施例は、本実施形態(実施例5)の場合と同様に、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌が交番モードである場合の例に相当する。第6グループに属する実施例は、第1撹拌装置42及び第2撹拌装置44による電磁撹拌が連続モードである場合の例(前述の第2比較形態の例)に相当する。そして、第1グループ及び第2グループに属する実施例と、第6グループに属する実施例とを比較すると、第1グループ及び第2グループに属する実施例は、第6グループに属する実施例に比べて、最大偏析度の値が小さい(1.0に近い)。この評価結果から、第1グループ及び第2グループに属する実施例の場合、本実施形態(実施例5)の場合と同様に、前述の第2の効果を奏すると考えられる。
40 撹拌装置
42 第1撹拌装置
44 第2撹拌装置
50 大圧下ロール(圧下装置の一例)
Claims (2)
- 内部に未凝固部を含む鋳片の移動経路に配置され、前記鋳片に矩形波の電磁力をかけて、前記未凝固部を電磁撹拌する第1撹拌装置と、
前記移動経路における前記第1撹拌装置よりも前記鋳片の移動方向の下流側に配置され、前記鋳片に矩形波の電磁力をかけて、前記未凝固部を電磁撹拌する第2撹拌装置と、
前記移動経路における前記第2撹拌装置よりも前記鋳片の移動方向に沿った下流側の5(m)以内に配置され、前記鋳片を30(mm)以上の圧下量で圧下する圧下装置と、
を備え、
前記第2撹拌装置は、前記未凝固部における前記第1撹拌装置により電磁撹拌された部分に、前記第1撹拌装置が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力をかけて、前記部分を電磁撹拌する、
連続鋳造機。 - 鋳片の移動経路を移動する前記鋳片に、第1撹拌装置によって矩形波の電磁力をかけて、前記鋳片の未凝固部を電磁撹拌する工程と、
前記移動経路における前記第1撹拌装置よりも前記鋳片の移動方向の下流側の位置で、第2撹拌装置によって前記鋳片に矩形波の電磁力をかけて、前記未凝固部を電磁撹拌する工程と、
前記移動経路において、前記第2撹拌装置によって前記未凝固部を電磁撹拌した位置よりも前記鋳片の移動方向に沿った下流側の5(m)以内の位置で、前記鋳片を30(mm)以上の圧下量で圧下する工程と、
を含み、
前記第2撹拌装置は、前記未凝固部における前記第1撹拌装置により電磁撹拌された部分に、前記第1撹拌装置が当該部分にかけた電磁力と同じ向きの電磁力をかけて、前記部分を電磁撹拌する、
連続鋳造方法。
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