JP6765850B2 - 分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体現像剤からトナーとキャリア液とを分離する分離装置に関する。
従来から、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて画像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、画像形成工程で使用されなかった液体現像剤を回収し、リサイクルすることが行われている。このような液体現像剤のリサイクル処理においては、液体現像剤(液体材料)中の分散質であるトナー粒子と分散媒であるキャリア液を分離し、キャリア液を再利用する。
例えば、電極ローラと、堰止ローラと、ブレード部材と、液体収容容器とを備えた構成が提案されている(特許文献1)。この特許文献1に記載の構成では、図15(a)に示すように、電極ローラ942と液体収容容器941との間に液体現像剤を供給している。そして、電極ローラ942と液体収容容器941との間にトナーが電極ローラ942側に引き寄せられるように電圧を印加しつつ電極ローラ942を回転させている。ここで、液体現像剤が供給される供給口946aは略水平方向に位置し、電極ローラ942と液体収容容器941との間を通過した液体現像剤は、供給口946aよりも重力方向上方に位置する排出口946bから排出され、キャリアタンク(不図示)に送られる。
排出口946bよりも電極ローラ942の回転方向下流側には、堰止ローラ943が接触配置され、電極ローラ942により搬送される液体現像剤をこの堰止ローラ943で堰止める。堰止ローラ943の更に下流にはブレード部材944が接触配置され、堰止ローラ943によって堰き止めされずに電極ローラ942の回転に伴って搬送される液体現像剤を電極ローラ942の表面から掻き取る。
なお、供給口946aと排出口946bとの間には、供給口946aとの間で液体現像剤を循環させるための別の排出口946cが設けられている。そして、キャリア液中のトナー濃度が所定値以下となるまで、別の排出口946cと供給口946aとの間で液体現像剤を循環させ、その後、排出口946bから液体現像剤を排出するようにしている。
特開2008−242436号公報
上述の特許文献1に記載の構成の場合、図15(b)に示すように、液体収容容器941と電極ローラ942の間を通過している間に、電極ローラ942の表面には付勢されたトナーT層とトナーT層の外側にキャリア液C層が形成される。電極ローラ942の回転に伴って搬送されるトナーT層及びキャリア液C層は、電極ローラ942と堰止ローラ943の間を通過する。
このとき、図15(c)に示すように、キャリア液C層は堰止ローラ943側と電極ローラ942側に所定の割合で分割される。電極ローラ942と堰止ローラ943との間を通過したトナーT層は、ブレード部材944により回収される。
キャリア液の再利用効率を高めるべく、電極ローラ942に対して現像剤を供給する位置を電極ローラの表面が上方から下方に向かう領域(時計の位置で0時から6時の位置)に配置することが考えられる。この場合、電極ローラ上のトナーを直接ブレードで掻き取る構成にした場合、ブレードの当接位置が時計の位置で6時以降となる。通常、ブレードは回収性向上の為、電極ローラの回転方向に対してカウンター方向に当接するように設けられる。このため、ブレードの先端が下向きになりやすく、ブレードで回収したトナーがブレードに沿って電極ローラに逆流したりする。また、ブレードの当接位置が制約されるため、ブレードの水平方向に対する傾斜角度を大きく設定しにくい。この結果、ブレード上にトナーが滞留し、トナー回収性が低下してしまう虞があった。
本発明は、このような事情に鑑み、キャリア液とトナーの分離性の向上を図ることを目的とする。
本発明は、電界を用いて、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤からトナーとキャリア液とを分離するための分離装置であって、回転する導電性の電極ローラと、前記電極ローラの外表面と隙間を介して配置され、前記電極ローラとの間に、前記電極ローラ側にトナーが移動する電界が生じるような電圧が印加可能で、前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部が、前記隙間の前記電極ローラの回転方向下流端部よりも重力方向上方に配置される電極部材と、前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部から、前記隙間に液体現像剤を供給する供給部と、前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部よりも重力方向下方で、前記電極ローラの回転方向に関して、前記電極部材の下流側に隣接して設けられ、前記電極ローラからキャリア液を回収するキャリア回収部と、前記電極ローラの回転方向に関して、前記キャリア回収部よりも下流側で、前記電極部材よりも上流側に位置され、前記電極ローラに接触するとともに、前記電極ローラと対向する位置で互いに順方向に回転する回収ローラであって、前記回収ローラと前記電極ローラとの間に、前記回収ローラ側にトナーが移動する電界が生じるような電圧が印加可能な前記回収ローラと、前記回収ローラの回転方向に対してカウンター方向に当接して前記回収ローラ上のトナーを回収するブレード部材と、を備え、前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部は、前記電極ローラの回転中心と前記電極ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記電極ローラの回転方向に0°以上180°未満の範囲に位置され、前記ブレード部材は、前記回収ローラの回転中心と前記回収ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記回収ローラの回転方向に35°以上であって、前記回収ローラと前記電極ローラとが接触する位置よりも上流側の範囲に位置されていることを特徴とする分離装置にある。
本発明によれば、キャリア液とトナーの分離性の向上を図ることができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 本実施形態に係る画像形成装置の液体現像剤の搬送経路を示す概略構成図。 本実施形態に係る画像形成装置の液体現像剤の搬送動作の制御ブロック図。 本実施形態に係る画像形成装置の液体現像剤の搬送動作の制御を示すフローチャート。 本実施形態に係る分離抽出装置の斜視図。 本実施形態に係る分離抽出装置の一部を切断して示す斜視図。 本実施形態に係る分離抽出装置の一部を示す断面図。 図7のA部拡大図。 本実施形態に係る分離抽出装置の一部を抜き出して示す斜視図。 本実施形態に係る分離抽出装置の一部を抜き出して、図9とは異なる角度で示す斜視図。 本実施形態に係る液体現像剤の分離、抽出の動作の制御を示すフローチャート。 本実施形態に係る分離抽出装置の一部を抜き出して、トナーの流れを説明するための断面図。 本実施形態に係る分離抽出装置の別例で、回収ローラの周囲部分を抜き出して示す断面図。 (a)本実施形態に係る分離抽出装置の第1例を、(b)第2例を、(c)第3例を、それぞれ回収ローラの周囲部分を抜き出して示す断面図。 (a)従来例の分離抽出装置の断面図、(b)(a)のB部を拡大して、(c)(a)のC部を拡大して、それぞれトナーとキャリア液との関係を示す模式図。
本発明の実施形態について、図1ないし図14を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
本実施形態の画像形成装置100は、記録材(用紙、OHPシートなどのシート材など)にトナー画像を形成する電子写真方式のデジタルプリンタである。画像形成装置100は、画像信号に基づいて動作し、カセット11a、11bから順次搬送される記録材としてのシートSに、画像形成部12で形成したトナー像を転写し、その後、定着することで画像を得ている。画像信号は、不図示のスキャナやパーソナルコンピュータなどの外部端末などから画像形成装置100に送られる。
画像形成部12は、像担持体としての感光ドラム13、帯電器14、レーザ露光装置15、現像器16、およびドラムクリーナ19を備えている。帯電器14により表面が帯電された感光ドラム13上に、画像信号に応じてレーザ露光装置15からレーザ光Eが照射され、感光ドラム13上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器16によりトナー像として現像される。本実施形態では、現像器16には、分散媒であるキャリア液に分散質である粉体のトナーを分散させた液体材料としての液体現像剤Dが収容されており、この液体現像剤Dを用いて現像を行う。
液体現像剤Dは、混合器としてのミキサー31において、キャリア液CにトナーTを所定の比率で混合、分散させて生成され、現像器16へ供給される。キャリア液Cはキャリア容器(回収容器)としてのキャリアタンク32に、トナーTはトナー容器としてのトナータンク33にそれぞれ収容されている。そして、ミキサー31内のキャリア液CとトナーTの混合状態に応じて、それぞれのタンクからキャリア液C又はトナーTがミキサー31へ供給される。ミキサー31は、不図示のモータにより駆動される攪拌羽根が収容されており、供給されたキャリア液CとトナーTとを攪拌することで混合し、キャリア液C中にトナーTを分散させている。
ミキサー31から現像器16へ供給された液体現像剤Dは、現像器16の供給区画16aにおいてコートローラ17によって、現像剤担持体としての現像ローラ18にコートされ(供給され)、現像に使用される。現像ローラ18は、表面に液体現像剤を担持して搬送し、感光ドラム13上(像担持体上)に形成された静電潜像をトナーで現像する。現像後に現像ローラ18に残留したキャリア液CとトナーTは、現像器16の回収区画16bへ回収される。ここで、コートローラ17から現像ローラ18への液体現像剤Dのコート、及び、現像ローラ18から感光ドラム13上の静電潜像への現像は、それぞれ電界を用いて行う。
感光ドラム13上に形成されたトナー像は、電界を用いて中間転写ローラ20に転写され、中間転写ローラ20と転写ローラ21とで形成されたニップ部へ搬送される。中間転写ローラ20へのトナー像転写後に感光ドラム13上に残留したトナーTとキャリア液Cはドラムクリーナ19によって回収される。なお、中間転写ローラ20と転写ローラ21とは、少なくとも何れかが無端状のベルトであっても良い。
カセット11a、11bに収容されたシートSは、搬送ローラなどにより構成される給送部22a、22bによりレジスト搬送部23へ向けて搬送される。レジスト搬送部23は、中間転写ローラ20に転写されたトナー像のタイミングに合わせて、中間転写ローラ20と転写ローラ21とのニップ部へシートSを搬送する。
中間転写ローラ20と転写ローラ21とのニップ部では、通過するシートSにトナー像が転写され、トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト24によって定着装置25へ搬送され、シートSに転写されたトナー像を定着する。トナー像が定着したシートSは、機外へ排出され、画像工程が完了する。
中間転写ローラ20と転写ローラ21には、それぞれ、残留したトナーTとキャリア液Cを回収する中間転写ローラクリーナ26、転写ローラクリーナ27が設けられている。
[液体現像剤]
次に、液体現像剤Dについて説明する。液体現像剤Dとしては、従来から使用されている液体現像剤を使用しても良いが、本実施形態では、紫外線硬化型の液体現像剤Dを用いている。ここで、紫外線硬化型の液体現像剤Dについて説明する。
液体現像剤Dは、カチオン重合性液状モノマー、光重合開始剤、カチオン重合性液状モノマーに不溶なトナー粒子を含む紫外線硬化型液体現像剤である。また、カチオン重合性液状モノマーがビニルエーテル化合物であり、光重合開始剤が、次の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006765850
より具体的に説明する。まず、トナー粒子は、色を発する色材をトナー樹脂で内包している。また、トナー樹脂と色材とともに、帯電制御剤等、他の材料を含有しても良い。トナー粒子の製造方法としては、色材を分散させ、樹脂を徐々に重合内包させるコアシェルベーションや、樹脂等を溶融させ、色材を樹脂内部へ内包させる内粉砕法などの公知技術を用いても良い。トナー樹脂は、エポキシ、スチレンアクリル系等を用いている。色を発する色材は、一般有機無機顔料で良い。また、製造上、トナー分散性を高めるため、分散剤を用いているが、シナジストも可能である。
次に、キャリア液である硬化性液体は、トナー表面の電荷をもたせる荷電制御剤と、紫外線であるUV照射で酸を発生する光重合剤、さらに酸により結合するモノマーで構成されている。モノマーは、カチオン重合反応により、ポリマー化するビニルエーテル化合物である。また、光重合剤とは別に、増感剤を含有しても良い。光重合により、保存性が低下するため、カチオン重合禁止剤を10〜5000ppm入れても良い。他に、帯電制御補助剤、他添加材等を用いる場合もある。
この現像剤の紫外線硬化剤(モノマー)は、ビニルエーテル基が一つある一官能モノマー(式2)が約10%(重量%)とビニルエーテル基が二つある二官能モノマー(式3)を約90%混合したものである。
Figure 0006765850
Figure 0006765850
光重合開始剤としては下記の(式4)で表されるものを0.1%混合している。この光重合開始剤を用いることにより、良好な定着を可能にしつつも、イオン性の光酸発生剤を用いる場合と異なり、高抵抗な液体現像剤が得られる。
Figure 0006765850
なお、カチオン重合性液状モノマーが、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールジビニルエーテル、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル及び1,2−デカンジオールジビニルエーテルからなる群より選ばれる化合物であることが望ましい。
更に、帯電制御剤としては、公知のものが利用できる。具体的な化合物としては、亜麻仁油、大豆油などの油脂;アルキド樹脂、ハロゲン重合体、芳香族ポリカルボン酸、酸性基含有水溶性染料、芳香族ポリアミンの酸化縮合物、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸亜鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸ニッケル、ドデシル酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸コバルトなどの金属石鹸類;石油系スルホン酸金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩などのスルホン酸金属塩類;レシチンなどの燐脂質;t−ブチルサリチル酸金属錯体などのサリチル酸金属塩類;ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミド樹脂、スルホン酸含有樹脂、ヒドロキシ安息香酸誘導体などが挙げられる。
[液体現像剤の搬送]
次に、本実施形態における液体現像剤Dの搬送について、図2ないし図4を用いて説明する。まず、上述のようにドラムクリーナ19、中間転写ローラクリーナ26、および、転写ローラクリーナ27などの画像形成部12で回収した現像剤は、分離装置としての分離抽出装置34でトナーとキャリア液とを分離して、キャリア液を再利用する。なお、現像後に現像ローラ18上に残留し、現像器16の回収区画16bへ回収した現像剤は、ミキサー31に戻されるが、分離抽出装置34に搬送するようにしても良い。
分離抽出装置34は、詳しくは後述するが、キャリア液とトナーとを分離する際に、再利用可能なキャリア液と、トナー及び紙粉などの不純物を含む廃液Wとを分離し、分離された廃液Wは廃液回収容器35に回収される。
より具体的に説明する。キャリアタンク32とトナータンク33からミキサー31への輸送管には、それぞれ、電磁弁41,42が設けられ、ミキサー31へのキャリア液CとトナーTの供給量を調整する。ミキサー31からは、ポンプ44を用いて現像に必要な液体現像剤Dが現像器16へ供給される。
現像器16の回収区画16bへ回収した現像剤は、ポンプ43によってミキサー31に戻される。回収区画16bで回収された現像剤は、現像などに使用されておらず殆ど劣化していないためである。
ドラムクリーナ19、中間転写ローラクリーナ26、および、転写ローラクリーナ27で回収した残留キャリア液およびトナーは、それぞれ、ポンプ48,49,50によって、分離抽出装置34に搬送される。
分離抽出装置34で分離された再利用可能なキャリア液は、電磁弁45によってキャリアタンク32へ搬送される。一方、分離抽出装置34で分離された廃液は自重落下で輸送管に設けられた電磁弁47によって廃液回収容器35へ適宜搬送される。
なお、液体現像剤などの搬送は、ポンプを用いる以外に、例えば、自重落下で搬送できる場合はポンプを設けず自重を用いた搬送方式としても良い。
図3に示すように、上述のポンプ43,44,48,49,50及び電磁弁41,42,45,47は、制御部としてのCPU200により、それぞれポンプドライバ201、電磁弁ドライバ202を介して制御されている。CPU200は、後述する剤量検出装置160、固形成分濃度検出装置310、キャリア液濃度検出装置34aの検出値に基づいて、各ポンプなどを制御している。
このような液体現像剤の搬送動作について、図2、3を参照しつつ図4を用いて説明する。まず、図2、3に示すように、現像器16には、剤量検出装置160が設けられ、剤量検出装置160によって、現像器16内の液体現像剤の量を検出している。また、ミキサー31には、固形成分濃度検出装置310が設けられ、ミキサー31内のトナーなどの固形成分の濃度を検出している。固形成分濃度検出装置310としては、例えば、発光部と受光部とを備え、ミキサー31内の液体が通過する部分に発光部から光を照射し、この部分を透過した光を受光部により受光する。この部分の固形成分の量によって受光部で受光する光量が変化するため、この光量の変化によりミキサー31内の固形成分の濃度を検出できる。
図4に示すように、現像器16内の現像剤量を剤量検出装置160により検出する(S1)。そして、現像器16内の現像剤量が所定量(例えば200±10cc)以下である場合には、CPU200がポンプ44を駆動し(S2)、現像器16内の液体現像剤量の調整を行う。調整後は、ポンプ44の駆動を停止する(S3)。
次いで、ミキサー31内の固形成分の濃度を固形成分濃度検出装置310により検出する(S4)。ミキサー31内の固形成分の濃度の所定の範囲(例えば10±0.5%)から外れる場合には、固形成分の濃度が10.5%以上であるか否かを判断する(S5)。そして、固形成分の濃度が10.5%以上である場合には、電磁弁41を開き、キャリアタンク32からミキサー31内にキャリア液を供給する(S6)。一方、固形成分の濃度が10.5%以上ではない、即ち、9.5%以下である場合には、電磁弁42を開き、トナータンク33からミキサー31内にトナーを供給する(S7)。これにより、ミキサー31内の液体現像剤の濃度調整が行われる。
即ち、トナー濃度(固形成分の濃度)が高い場合には、キャリアタンク32からキャリア液が電磁弁41によってミキサー31に供給される。また、トナー濃度が低い場合には、トナータンク33からミキサー31で用いる液体現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤が電磁弁42によってミキサー31に供給される。
ミキサー31内の固形成分の濃度が所定の範囲になると、必要に応じてポンプ44を駆動し、ミキサー31から現像器16に濃度調整がなされた液体現像剤を供給する(S8)。そして、画像形成が開始されると共に(S9)、各ポンプ43、48、49、50の駆動も開始され(S10)、分離抽出装置34の駆動も開始される(S11)。
[分離抽出装置]
次に図5ないし図11を用いて、分離装置としての分離抽出装置34について詳細に説明する。分離抽出装置34は、電界を用いて、液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離し、キャリア液とトナーとを別々に抽出する装置である。
上述のようにドラムクリーナ19などの画像形成部12で回収された液体現像剤は、図5及び図6に矢印で示すように、分離抽出装置34の入口34bから液体収容容器346内に搬送される。そして、液体収容容器346内のバッファ容器348に供給される。本実施形態では、バッファ容器348を分離抽出装置34に備えさせているが、容器単体で設けても良い。バッファ容器348に供給された液体現像剤は、ポンプ34cにより搬送され、フィルタ34dを通過する。
フィルタ34dを通過した液体現像剤は、図6に示すように、供給部としての供給トレイ346aに投入される。詳しくは後述するように、供給トレイ346aに投入された液体現像剤は、分離抽出装置34においてトナーとキャリア液に分けられる。そして、抽出されたトナーは廃液回収容器35に送られ、抽出されたキャリア液はキャリアタンク32へ搬送される。
次に、このような分離抽出装置34におけるトナーとキャリア液との分離、抽出の構成について詳しく説明する。図6及び図7に示すように、液体収容容器346内には、電極部材としてのコート電極部材341、導電性のローラとしての電極ローラ342、トナー回収装置350などが配置されている。液体収容容器346は、液体現像剤を収容可能な容器であって、上述の供給トレイ346aと、後述するように再利用可能となったキャリア液が排出されるキャリア回収部としての排出部346bと、廃液となった現像剤を回収する回収部354とを有している。
電極ローラ342は、例えば中実ステンレスによって外径がφ40mmに形成された芯金表層にウレタンゴム弾性層を一体成型により形成した導電性のローラである。図3に示すように、電極ローラ342は、駆動モータ205によって外部から駆動が入力され、所定方向(図6、7の矢印方向)に回転する。本実施形態では、駆動モータ205の回転速度は2000rpmとしている。そして、電極ローラ342は、駆動モータ205の回転を減速機により減速させて、例えば、400rpmの回転速度で回転する。なお、電圧印加装置345は高圧ドライバ204を介して、駆動モータ205は、モータドライバ203を介して、それぞれCPU200により制御される。
コート電極部材341は、図7及び図8に示すように、電極ローラ342の外表面の一部と隙間347を介して配置される。隙間347の電極ローラ342の回転方向上流端部347aには、供給トレイ346aが接続されている。そして、上述のように供給トレイ346aに投入された液体現像剤は、上流端部347aから隙間347内に供給される。隙間347の電極ローラ342の回転軸線方向両端部は封止されており、隙間347に供給された液体現像剤は、電極ローラ342の回転に伴って隙間347内を回転方向下流側に搬送される。隙間347の電極ローラ342の回転方向下流端部347bには、キャリア回収部としての排出部346bが接続されている(図6参照)。上流端部347aは、下流端部347bよりも重力方向上方に配置される。また、排出部346bは、隙間347の電極ローラ342の回転方向上流端部347aよりも重力方向下方で、電極ローラ342の回転方向に関して、コート電極部材341の下流側に隣接して設けられ、電極ローラ342からキャリア液を回収する。そして、隙間347を通過した液体現像剤が排出部346bから輸送管346cを介してキャリアタンク32に送られる(図2、6参照)。
なお、輸送管346cは、排出された液体現像剤を再度、分離抽出装置34に戻す経路にも接続されている。排出部346bには、キャリア液濃度検出装置34aが設けられ、排出部346b内に送られた液体現像剤のキャリア液中のトナー濃度を検出するようにしている。キャリア液濃度検出装置34aの構成は、前述の固形成分濃度検出装置310と同じである。そして、排出部346bに送られた液体現像剤のトナー濃度が所定値(例えば、0.02%)よりも大きい場合には、再度、分離抽出装置34に戻して、トナーとキャリア液との分離を行うようにしている。
これは、例えば、分離抽出装置34の作動中に電源が落とされるなどの異常事態が生じ、分離抽出装置34で十分にキャリア液とトナーとを分離できない場合を想定しているためである。このような場合、排出部346bに送られる液体現像剤のトナー濃度は所定値よりも大きくなるので、この場合には、分離抽出装置34に戻す。通常は、後述するように、液体現像剤が隙間347を通過することでトナーとキャリア液とが分離され、抽出されたキャリア液が排出部346bに送られる。したがって、排出部346bに送られた液体現像剤のトナー濃度は所定値以下であり、分離抽出装置34に戻されることなく、キャリアタンク32に送られる。なお、このように分離抽出装置34に戻す経路は、省略しても良い。
上述のように、電極ローラ342と隙間347を介して配置されるコート電極部材341は、少なくとも液体が通過する部分341xの表面が導電性素材によって形成されていている。また、コート電極部材341は、例えば中実ステンレスによって幅400mmに形成されている。また、液体が通過する部分341xは、電極ローラ342の一部を収容する形状を有し、この部分341xの電極ローラ342と対向する面は、電極ローラ342の表面と所定距離(即ち、隙間347)を保つように湾曲した形状となっている。この所定距離は、例えば0.2mmである。
図3に示すように、コート電極部材341と電極ローラ342とには、電圧印加手段としての電圧印加装置345に接続されている。そして、コート電極部材341と電極ローラ342との間に、電圧印加装置345によってトナーが電極ローラ342側(電極ローラ側)に移動する電界が生じるように電圧が印加可能である。即ち、隙間347には、トナーが電極ローラ342に引き寄せられるような電界が生じるような電圧が印加されている。
本実施形態では、荷電制御剤によりトナーがマイナス帯電するため、例えば、電極ローラ342にはマイナス300V、コート電極部材341にはマイナス1000Vを印加する。そして、隙間347を通過している液体現像剤中のトナーがコート電極部材341から電極ローラ342へ移動するようにしている。この結果、液体現像剤が隙間347を通過している間に、トナーが電極ローラ342に担持され、トナーとキャリア液とが分離される。分離されたキャリア液は、隙間347の下流端部347bに接続される排出部346bに排出され、上述のように回収容器としてのキャリアタンク32に送られる。
トナー回収装置350は、電極ローラ342の回転方向に関してコート電極部材341の下流側に位置し、電極ローラ342に担持されたトナーを回収する。トナー回収装置350は、回収ローラ351と、回収電圧印加手段としての電圧印加装置345と、掻き取り部材としてのブレード部材352とを有する。
回収ローラ351は、例えば中実ステンレスによって外径がφ20mmに形成された導電性のローラであり、電極ローラ342に当接するように配置されている。そして、回収ローラ351は、電極ローラ342に接触して、図6、7の矢印方向に従動回転する。なお、回収ローラ351の回転速度は、例えば、800rpmである。即ち、回収ローラ351は、電極ローラ342の回転方向に関して、排出部346bよりも下流側で、コート電極部材341よりも上流側に位置され、電極ローラ342に接触するとともに、電極ローラ342と対向する位置で互いに順方向に回転する。
電極ローラ342及び回収ローラ351は、図9及び図10に示すように、互いに略平行に配置されて回転軸線方向両端部を、液体収容容器346を構成するフレーム346eに回転自在に支持されている。また、回収ローラ351の両端部には、バネなどの付勢機構353が設けられている。回収ローラ351は、付勢機構353により電極ローラ342に向けて付勢され、電極ローラ342を弾性変形させている。付勢機構353による回収ローラ351の電極ローラ342への押圧力は、例えば、3kgf(29.4N)である。
なお、コート電極部材341及び回収ローラ351は、電極ローラ342を基準に位置決めされており、電極ローラ342はこれらの部材の位置基準となっている。
電圧印加装置345は、図3に示すように、電極ローラ342と回収ローラ351とに接続されており、回収ローラ351と電極ローラ342との間に、回収ローラ側にトナーが移動する電界が生じるように電圧を印加する。本実施形態では、電極ローラ342と回収ローラ351とに接続する電圧印加装置と、電極ローラ342とコート電極部材341とに接続する電圧印加装置とを共通にしているが、別にしても良い。本実施形態では、例えば、電極ローラ342にはマイナス300V、回収ローラ351にはマイナス200Vを印加する。そして、電極ローラ342に担持され、回収ローラ351まで搬送されたトナーが、電極ローラ342から回収ローラ351に移動するようにしている。
ブレード部材352は、回収ローラ351に接触して回収ローラ上のトナーを掻き取る。ブレード部材352は、電極ローラ342と回収ローラ351とが接触している位置に対して回収ローラ351の回転方向下流側で、回収ローラ351に対してカウンター方向に接触するように配置されている。ブレード部材352は、先端部352aが回収ローラ351の表面に接触するように付勢されている。なお、カウンター方向とは、ブレード部材352の回収ローラ351に接触する先端部分が向かう方向が、回収ローラ351の回転方向に沿う接線方向と逆方向になる方向である。また、ブレード部材352は、回収ローラ351の長手方向(回転軸線方向)に沿って延びる板状の部材で、例えばステンレスが用いられる。
上述のように電極ローラ342から回収ローラ351に移動したトナーは、ブレード部材352により掻き取られ、トナー回収部としての回収部354に送られる。回収部354により回収されたトナーは、上述したように、廃液回収容器35に送られる。なお、回収ローラ351からトナーを掻き取る掻き取り部材は、ブレード部材に限らない。例えば、ブレード状以外の構成、或いは、ブラシなどであっても良い。
[隙間の両端部の位置関係]
本実施形態の場合、上述のように画像形成部12で回収され、供給トレイ346aから隙間347に供給された液体現像剤は、この隙間347を通過することで、トナーとキャリア液とに分離される。ここで、液体は重力方向に沿って上方から下方へ流れる。このため、隙間347の液体現像剤が供給される上流端部347a(入口)よりも隙間347を通過した液体現像剤が排出される下流端部347b(出口)の方が重力方向上方に位置することは好ましくない。同様の理由で、隙間347の液体現像剤が供給される上流端部347a(入口)よりも排出部346bの方が重力方向上方に位置することは好ましくない。
特に、キャリア液の再利用率を上げるためには、トナーを掻き取り部分(ブレード部材352の接触位置)の現像剤のT/D比(トナーとキャリア液との混合比)を極力高くすること好ましい。しかしながら、T/D比の高い液体現像剤は、より高粘度になり、現像剤の搬送性が低下するため、隙間347の入口よりも出口の方が重力方向上方に位置すると、リサイクル効率が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、図7に示すように、隙間347の上流端部347aを、電極ローラ342の中心Oと重力方向上端部とを通る線αを0°とした場合に、電極ローラ342の回転方向に0°以上180°未満の範囲に位置させている。言い換えれば、隙間347の上流端部347aと中心Oとを通る線βと線αとのなす角度をθとした場合、θが0°以上180°未満となるように、上流端部347aを位置させている。より好ましくは、隙間347の上流端部347aは、電極ローラ342の回転方向に60°以上120°以下の範囲に位置させる。本実施形態では、上流端部347aを電極ローラ342の回転方向に90°から120°の範囲に位置させている。
また、隙間347の下流端部347bは、上流端部347aより重力方向下方に位置させている。より好ましくは、隙間347の下流端部347bは、電極ローラ342の回転方向に関して0°よりも大きく180°以下の範囲に位置させる。即ち、下流端部347bを180°の位置を含み、この位置よりも電極ローラ342の回転方向上流に位置させることが好ましい。これにより、隙間347を通過する液体現像剤が重力に逆らって搬送されることがなく、より効率を高めることができる。本実施形態では、下流端部347bを電極ローラ342の回転方向に180°の位置としている。
なお、隙間347の長さ、即ち、上流端部347aから下流端部347bまでの電極ローラ342に沿った長さは、電極ローラ342の外周面の周長の1/5以上とすることが好ましい。この隙間347の長さは、電極ローラ342の回転速度に応じて設定しても良い。例えば、電極ローラ342の回転速度が遅い場合には、隙間347の長さを短くできる。要は、液体現像剤が隙間347を通過する間に、トナーとキャリア液とが分離されるだけの長さが確保されていれば良い。
[液体現像剤の分離、抽出の動作の制御フロー]
次に、上述のように構成される本実施形態における液体現像剤の分離、抽出の動作の制御フローについて、図11及び図12を用いて説明する。まず、各ポンプ48、49、50が駆動されることで、ドラムクリーナ19、中間転写ローラクリーナ26、および、転写ローラクリーナ27で回収した現像剤が分離抽出装置34に搬送される。そして、所定量の現像剤が分離抽出装置34に送られた後、ポンプ48、49、50は停止される(S21)。
次いで、駆動モータ205の駆動を開始して、電極ローラ342を回転させる(S22)。これにより、液体現像剤が電極ローラ342の回転に伴って搬送される。この際、回収ローラ351が電極ローラ342に従動して回転する。また、電圧印加装置345をONする(S23)。これにより、コート電極部材341と電極ローラ342との間にトナーが電極ローラ342側に移動する電界が、回収ローラ351と電極ローラ342との間にトナーが回収ローラ側に移動する電界が生じるように電圧が印加される。このために、液体現像剤中のトナーは、まず電極ローラ342側に移動した後、回収ローラ351側に移動する。電荷を有さないキャリア液はコート電極部材341側に残留する。
即ち、図12に示すように、隙間347を通過する液体現像剤中のトナーT(図12の実線)は、電極ローラ342に電気的に引き寄せられると共にコート電極部材341から電気的な反発力を受ける。これにより、トナーTは、電極ローラ342側に電気的に付勢される。このとき、前述の図15(b)に示した場合と同様に、電極ローラ342側にトナーT層があり、トナーT層の上にキャリア液Cの層がある。電極ローラ342の回転によりトナーT層とキャリア液C層を有する液体は、回収ローラ351まで搬送され、電界によりトナーT層が回収ローラ351に移動する。
このように隙間347を通過して電極ローラ342により回収ローラ351まで搬送された液体現像剤中のトナーTは、回収ローラ351に電気的に引き寄せられると共に電極ローラ342から電気的な反発力を受ける。これにより、トナーは、電極ローラ342に対して離れる方向、即ち回収ローラ351側に電気的に付勢される。このとき、キャリア液Cは、所定の割合で電極ローラ342側と回収ローラ351側とに分割され、電極ローラ342側に分割されたキャリア液C層(図12の鎖線)は、電極ローラ342の回転により、隙間347の上流端部347aに搬送される。即ち、回収ローラ351との間で電極ローラ342側に分割されたキャリア液Cは、隙間347の入口に戻される。そして、供給トレイ346aから供給される液体現像剤と合流し、再度、隙間347に搬送される。
回収ローラ351に電気的に付着したトナーは、ブレード部材352によって掻き取られる。ここで、電磁弁47を開放させておく(S24)。これにより、ブレード部材352によって掻き取られたトナーは、自重落下して回収部354より廃液回収容器35へ回収される。なお、トナーは廃棄しても良いし、再利用しても良い。
また、隙間347の下流端部347bから排出部346bに排出されたキャリア液は、キャリア液濃度検出装置34aによりトナー濃度が検出され、検出されたトナー濃度が所定値(例えば、0.02%)以下であるか否かが判断される(S25)。トナー濃度が所定値以下であれば、電磁弁45を開放し、キャリア液をキャリアタンク32に送る(S26)。
そして、分離抽出装置34内からのキャリア液の分離抽出が完了すると(S27)、電磁弁45、47が閉鎖され(S28)、電圧印加装置345及び駆動モータ205も順次停止される(S29、S30)。
次いで、ポンプ48、49、50により所定量の残留現像剤が再び分離抽出装置34に搬送されて、次の分離処理が行われる。そして、このような動作が繰り返し行われる。
なお、本実施形態の分離抽出装置34では、液体現像剤100.0cc(キャリア液90.0cc、トナー10.0cc含有)から88.0ccのキャリア液を抽出することができる。また、1回の分離処理における所要時間は例えば30秒であり、この場合、800mm/sのプロセススピードまで対応することが可能である。
このように本実施形態の場合、分離抽出装置34によって廃棄される固形成分中から極力キャリア液を除去することで、高効率でキャリア液のリサイクルを行うことができる。
即ち、本実施形態の場合、隙間347の上流端部347aを電極ローラ342の回転方向に0°以上180°未満の範囲に位置させているため、供給トレイ346aから隙間347の上流端部347aに重力により効率良く液体現像剤を供給できる。また、隙間347の下流端部347bを上流端部347aより重力方向下方に位置させているため、供給された液体現像剤を重力により効率良く隙間347で搬送できる。この結果、液体現像剤中のトナーとキャリア液とを分離する構成で、液体現像剤のリサイクルを効率良く行える。
[ブレード部材の配置]
ブレード部材352の配置について、図12ないし図14を用いて説明する。上述のように、ブレード部材352は、回収ローラ351に移動したトナーを掻き取る。ブレード部材352は、回収ローラ351にカウンター方向で、且つ、回収ローラ351の接線方向に当接するように設けられている。ブレード部材352の回収ローラ351に接触する先端部352aが回収ローラ351の重力方向上側の面(上半部)にある場合には、ブレード部材352を次のように配置する。即ち、ブレード部材352上でトナーTを重力で移動させるために、重力方向に関してブレード部材352の先端部352aが上側、支持される基端側が下側になるように配置する。言い換えれば、ブレード部材352は、先端部352aが基端側よりも重力方向上方に位置するように配置されている。
このとき、ブレード部材352が回収ローラ351に対して当接する角度によっては、トナーT層がブレード部材352上に滞留する可能性がある。例えば、図13に示すように、ブレード部材352が、水平方向に対する角度θ1が略35°以下(略θ1≦35°)の姿勢にある場合、トナーTはブレード部材352に乗り上げにくい。そして、図13の矢印方向(反時計回り)に回転する回収ローラ351上で、ブレード部材352の先端部352aより上流において、トナーTは塊T−tを作りつつ滞留し易くなる。
このようなトナーTの滞留を抑制するためには、ブレード部材352の先端部352aが回収ローラ351の重力方向に上側の面にある時、ブレード部材352は、水平方向に対する角度が35°よりも大きくなるように配置することが好ましい。言い換えれば、ブレード部材352の姿勢は、重力方向において、水平方向と略35°よりも垂直側(θ1>35°)となるように配置することが好ましい。
ここで、ブレード部材352の先端部352aの回収ローラ351に対する当接位置が、図14(a)に示すような位置にある場合に、ブレード部材352の姿勢が水平方向に対して略35°となる。図14(a)に示す位置は、回収ローラ351の中心O1と重力方向上端部とを通る線α1(図12参照)を0°とした場合に、回収ローラ351に接触する先端部352aの位置が、回収ローラ351の回転方向に35°の位置となる。言い換えれば、先端部352aと回収ローラ351との当接位置と中心O1とを通る線β1と線α1とのなす角度をθ2(図12参照)とした場合、θ2が35°となる場合に、ブレード部材352の姿勢が水平方向に対して略35°となる。したがって、ブレード部材352は、回収ローラ351に接触する先端部352aの位置が、回収ローラ351の回転方向に35°以上の位置となるように配置することが好ましい。
また、図14(b)に示すように、回収ローラ351に接触する先端部352aの位置が、回収ローラ351の回転方向に90°の位置である場合、ブレード部材352の姿勢が水平方向に対して略90°(垂直)となる。したがって、ブレード部材352の先端部352aが回収ローラ351の重力方向に上側の面(上半分)にある場合には、先端部352aの位置が、回収ローラ351の回転方向に35°以上90°以下の位置となるようにすることが好ましい。この場合には、ブレード部材352は、水平方向に対する角度が略35°よりも大きくなるように配置されるため、ブレード部材352の先端部352aの近傍で回収ローラ351上にトナーTが滞留することを抑制できる。この結果、ブレード部材352によるトナーの掻き取りを良好に行える。
一方、ブレード部材352の回収ローラ351に接触する先端部352aが回収ローラ351の重力方向下側の面(下半部)にある場合には、ブレード部材352を次のように配置する。即ち、先端部352aが回収ローラ351の下半部で接触する場合、先端部352aの位置は、回収ローラ351と電極ローラ342とが接触する位置までの範囲であれば、どの位置であっても良い。この場合には、どの位置であってもブレード部材352で掻き取られたトナーTは重力に従って、下へ落ちていく。したがって、回収ローラ351に接触する先端部352aが、回収ローラ351の回転方向に90°以上で、回収ローラ351と電極ローラ342とが接触する位置までの範囲に位置すれば、ブレード部材352によるトナーの掻き取りを良好に行える。
以上より、ブレード部材352によるトナーTの掻き取りを良好に行うためには、まず、ブレード部材352を回収ローラ351のカウンター方向、且つ、接線方向に配置する。そして、回収ローラ351に接触する先端部352aを、回収ローラ351の回転方向に35°以上で、回収ローラ351と電極ローラ342とが接触する位置までの範囲に位置させることが好ましい。より好ましくは、ブレード部材352の姿勢が水平方向に対して略90°(垂直)となる位置、即ち、回収ローラ351に接触する先端部352aが、回収ローラ351の回転方向に略90°の位置とする。
また、回収ローラ351は、電極ローラ342の中心Oと重力方向上端部とを通る線αを0°とした場合(図7参照)に、例えば、電極ローラ342の回転方向に180°以上360°以下(好ましくは270°以上360°以下)の範囲に位置させる。
[トナー回収部]
次に、上述のようにブレード部材352により掻き取られたトナーを回収する回収部354について、図12を用いて説明する。回収部354は、ブレード部材352の基端側が固定され、ブレード部材352により掻き取られたトナーを重力方向下方に案内する壁部354aを有する。壁部354aは、ブレード部材352の重力方向に対する角度を所定角度とした場合、重力方向に対して所定角度以下の角度で配置されている。例えば、ブレード部材352が重力方向に対して30°(=所定角度)傾いていた場合、壁部354aは、重力方向に対して30°以下(即ち、0〜30°)の角度で配置される。好ましくは、壁部354aを重力方向に対して略0°(垂直)となるように配置する。
これにより、ブレード部材352により掻き取られ、ブレード部材352の表面に沿って移動したトナーが円滑に壁部354aに沿って案内される。即ち、壁部354aがブレード部材352よりも重力方向に対して傾斜していた場合、ブレード部材352の表面に沿って移動したトナーがブレード部材352と壁部354aとの接続部で滞留する可能性がある。これに対して本実施形態のように、壁部354aをブレード部材352よりも垂直に近づけることで、このようなトナーの滞留を抑制でき、掻き取ったトナーを円滑に回収できる。なお、トナーの滞留を抑制するためには、トナーを案内する面が、ブレード部材352より掻き取る位置からトナーを回収する方向(回周方向)下流側に向かう程垂直に近づくことが好ましく、このような構成であれば、上述の構成以外であっても良い。例えば、壁部354aをブレード部材352の回収方向下流端部から徐々に垂直に近づくように湾曲していていも良い。
このような本実施形態の場合、キャリア液の回収率を高くできる。即ち、図12に示したように、電極ローラ342とコート電極部材341との隙間347に供給された液体現像剤中のトナーTは、電界により、まず電極ローラ342側に移動する。このとき、トナーTと共にキャリア液Cの一部が電極ローラ342側に移動し、残りのキャリア液Cは排出部346bに排出される。
電極ローラ342に移動したトナーTと一部のキャリア液Cは、電極ローラ342の回転により回収ローラ351まで搬送され、電界によりトナーT層が回収ローラ351に移動する。このとき、キャリア液Cは、所定の割合で電極ローラ342側と回収ローラ351側とに分割され、電極ローラ342側に分割されたキャリア液Cは、電極ローラ342の回転により隙間347の上流端部347aに搬送される。即ち、回収ローラ351との間で電極ローラ342側に分割されたキャリア液Cは、隙間347の入口に戻される。そして、供給トレイ346aから供給された液体現像剤と合流して、再度、隙間347を通過する。この際、上述のように、トナーTと共にキャリア液Cの一部が電極ローラ342側に移動し、残りのキャリア液Cは排出部346bに排出される。
したがって、本実施形態の場合、回収ローラ351と電極ローラ342との間に搬送されるキャリア液Cが殆ど増えていかない。即ち、回収ローラ351まで搬送され、その後に電極ローラ342側に残ったキャリア液が隙間347に再度搬送される。このため、隙間347を通過して電極ローラ342の回転により、コート電極部材341の下流側に位置する回収ローラ351に搬送されるキャリア液Cの量は、殆ど増えていかない。このため、回収ローラ351にトナーTと共に移動するキャリア液の増加も抑えられる。この結果、トナーと共に掻き取られるキャリア液の量が増加することも抑えられ、キャリア液の回収率を高くできる。
また、回収ローラ351に移動したトナーは、ブレード部材352により掻き取られるが、ブレード部材352が上述のように配置されているため、トナーの掻き取りを良好に行える。また、ブレード部材352の基端側を固定する回収部354の壁部354aの重力方向に対する角度も上述のようにしているため、掻き取られたトナーの回収も円滑に行うことができる。
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態では、分散質としてトナーを、分散媒としてキャリア液を用いた例について説明したが、電界により分離可能な分散質と分散媒であれば、本発明を適用可能である。例えば、分散質が荷電制御剤、分散媒がキャリア液であっても良い。
12・・・画像形成部/32・・・キャリアタンク(回収容器)/34・・・分離抽出装置(分離装置)/100・・・画像形成装置/341・・・コート電極部材(外部電極部材)/342・・・電極ローラ(ローラ)/345・・・電圧印加装置(電圧印加手段、回収電圧印加手段)/346a・・・供給トレイ(供給部)/346b・・・排出部/347・・・隙間/347a・・・上流端部/347b・・・下流端部/351・・・回収ローラ/352・・・ブレード部材(掻き取り部材)/352a・・・先端部/354・・・回収部(トナー回収部)/354a・・・壁部/C・・・キャリア液/D・・・液体現像剤/T・・・トナー

Claims (8)

  1. 電界を用いて、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤からトナーとキャリア液とを分離するための分離装置であって、
    転する導電性の電極ローラと、
    前記電極ローラの外表面と隙間を介して配置され、前記電極ローラとの間に、前記電極ローラ側にトナーが移動する電界が生じるような電圧が印加可能で、前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部が、前記隙間の前記電極ローラの回転方向下流端部よりも重力方向上方に配置される電極部材と、
    前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部から、前記隙間に液体現像剤を供給する供給部と、
    前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部よりも重力方向下方で、前記電極ローラの回転方向に関して、前記電極部材の下流側に隣接して設けられ、前記電極ローラからキャリア液を回収するキャリア回収部と、
    前記電極ローラの回転方向に関して、前記キャリア回収部よりも下流側で、前記電極部材よりも上流側に位置され、前記電極ローラに接触するとともに、前記電極ローラと対向する位置で互いに順方向に回転する回収ローラであって、前記回収ローラと前記電極ローラとの間に、前記回収ローラ側にトナーが移動する電界が生じるような電圧が印加可能な前記回収ローラと、
    前記回収ローラの回転方向に対してカウンター方向に当接して前記回収ローラ上のトナーを回収するブレード部材と、を備え、
    前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部は、前記電極ローラの回転中心と前記電極ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記電極ローラの回転方向に0°以上180°未満の範囲に位置され、
    前記ブレード部材は、前記回収ローラの回転中心と前記回収ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記回収ローラの回転方向に35°以上であって、前記回収ローラと前記電極ローラとが接触する位置よりも上流側の範囲に位置されている、
    ことを特徴とする分離装置。
  2. 前記回収ローラは、前記電極ローラの回転中心と前記電極ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記電極ローラの回転方向に180°以上360°以下の範囲に位置される、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の分離装置。
  3. 前記ブレード部材は、前記ブレード部材が前記回収ローラに接触する位置の、水平方向に対する角度が35°よりも大きくなるように配置されている、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分離装置。
  4. 前記隙間の前記電極ローラの回転方向下流端部は、前記電極ローラの回転中心と前記電極ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記電極ローラの回転方向に0°よりも大きく180°以下の範囲に位置する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の分離装置。
  5. 前記ブレード部材の先端部が基端側よりも重力方向上方に位置する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の分離装置。
  6. 前記ブレード部材により掻き取られたトナーを回収するトナー回収部を有し、
    前記トナー回収部は、前記ブレード部材の基端側が固定され、前記ブレード部材の重力方向に対する角度を所定角度とした場合、重力方向に対して前記所定角度以下の角度で配置され、前記ブレード部材により掻き取られたトナーを重力方向下方に案内する壁部を有する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし5のうちの何れか1項に記載の分離装置。
  7. 前記隙間の前記電極ローラの回転方向上流端部は、前記電極ローラの回転中心と前記電極ローラの重力方向上端部とを通る線を0°とした場合に、前記電極ローラの回転方向に60°以上120°以下の範囲に位置する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし6のうちの何れか1項に記載の分離装置。
  8. 前記液体現像剤は、紫外線によって硬化される紫外線硬化型の液体現像剤である、
    ことを特徴とする、請求項1ないし7のうちの何れか1項に記載の分離装置。
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