特許文献1の電気かみそりによれば、その全体が棒状に形成されているので、本体ケースを親指と人差し指と中指で把持することで、自在に電気かみそりを移動操作でき、軽快にひげ切断を行える。また、網状外刃が円筒状に保形されているため、網状外刃の任意の周面でひげ切断を行える。しかし、特許文献1の電気かみそりでは、内刃体によるひげ切断しか行うことができず、例えばひげ切断に続いて襟足などの毛先を整えたい場合には、別途かみそりなどを用意する必要がある。さらに、1種の網状外刃で粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断を行う必要上、網状外刃の網目を細かくして仕上げ剃りを行えるようにしているため、長毛やくせ毛が多いユーザーの場合には、長毛やくせ毛を細かな網目の網状外刃で捕捉するのが難しく、ひげ切断を効率よく行うことができない。とくに肌面に倒れこんだ長毛やくせ毛は、細かな網目の網状外刃で捕捉することが困難であり、ひげ切断に手間と時間を要する。また、網状外刃内に溜まった毛屑を清掃する際には、都度網状外刃および内刃体を本体ケースから分離し、清掃後に再度組付ける必要があり、簡便に毛屑の清掃を行うことができない。
本発明の目的は、全体が棒状に構成されている電気かみそりにおいて、かみそりヘッドに機能構造を追加して、短毛切断とは別に機能構造による付加的機能を発揮させて、操作性を維持しつつ実用利便性を向上させた電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、長毛やくせ毛の切断を容易化して、粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断を効率よく行うことができる電気かみそりを提供することにある。
本発明の目的は、かみそりヘッドの内部の毛屑室に溜まった毛屑の清掃を容易化して、手軽に毛屑室の清掃を行うことができる電気かみそりを提供することにある。
本発明に係る電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、かみそりヘッド2を備える電気かみそりの全体が、本体ケース1の中心軸線P1に沿って棒状に構成されている。かみそりヘッド2のヘッドケース9の外周面に、可動刃15を有する主として短毛を切断するための短毛切断部10を備えた短毛切断エリアF1が設けられている。そして、短毛切断エリアF1を除くヘッドケース9の外面側に、ひげ切断、切断前処理、あるいは肌処理などを行うための機能構造を備えた機能構造エリアF2が設けられていることを特徴とする。なお、機能構造としては、長毛切断構造、毛起こし構造、冷却構造、加熱構造、イオン導入出構造、毛屑排出構造などがある。
本体ケース1の中心軸線P1と、かみそりヘッド2の中心軸線P2を平行に配置する。かみそりヘッド2の断面の外郭形状を、本体ケース1の断面の外郭形状よりも小さく形成し、かみそりヘッド2の中心軸線P2を、本体ケース1の中心軸線P1に対して径方向へ偏寄する状態で配置する。ヘッドケース9の外偏寄周面9aに短毛切断エリアF1を設け、外偏寄周面9aと対向する内偏寄周面9bの側に、かみそりヘッド2の断面の外郭形状と、本体ケース1の断面の外郭形状で規定される仮想空間Sを設ける。ヘッドケース9の先端面9cおよび/または仮想空間Sに臨んで機能構造エリアF2を設ける。
短毛切断部10を、ヘッドケース9で保持された固定刃14と、固定刃14に摺接する可動刃15を備えたせん断刃構造で構成する。機能構造を、長毛やくせ毛を切断するための長毛切断部37で構成する。
長毛切断部37に帯板状のかみそり刃38を配置する。
2個のかみそり刃38を、各かみそり刃38の切刃39が外向きになる状態で背中合わせ状に設ける。
かみそり刃38は、短毛切断エリアF1を除くヘッドケース9の外周面に設ける。かみそり刃38の切刃39を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置する。
かみそり刃38を、短毛切断部10に隣接する状態でヘッドケース9の外周面に設ける。
かみそり刃38と短毛切断部10は、ヘッドケース9の対向する外周面に設ける。
かみそり刃38を、かみそりヘッド2の先端面9cに設ける。
かみそり刃38を備えたヘッドケース9の先端面9cを、かみそりヘッド2の中心軸線P2に対して傾斜させる。
ヘッドケース9の先端面9cを、ヘッドケース9の外偏寄周面9aの側から内偏寄周面9bの側に向かって下り傾斜させる。
かみそり刃38の切刃39と対向するヘッドケース9の外面に肌保護部44を形成する。
肌保護部44は、ヘッドケース9の外面に形成されたリブ状突起、または溝で構成する。
肌保護部44に、凹凸からなる毛起こし体59を形成する。
かみそり刃38の外面に、かみそり刃38の切刃39と交差する保護ワイヤー60を設ける。
保護ワイヤー60を、毛起こし体59で移動不能に保持する。
かみそり刃38を、ヘッドケース9に対して着脱自在に設ける。
機能構造を、毛起こし機能を有するリブ状突起62と、凹凸突起群49と、棒状体のいずれかひとつで構成する。
肌接触体48を毛起こし棒69で構成する。毛起こし棒69をヘッドケース9の外周面と隙間を介して対向させる。
毛起こし棒69に、凹凸からなる毛起こし体59を形成する。
毛起こし棒69の一端にL字状の支持アーム70を設ける。支持アーム70をヘッドケース9で回動可能に支持して、毛起こし棒69がヘッドケース9の周囲を回転できるようにする。
毛起こし棒69が仮想空間S内に位置している状態において、毛起こし棒69を本体ケース1の断面の外郭形状の内部に収まるようにする。
機能構造エリアF2に設けた長毛切断部37に帯板状のかみそり刃38を配置する。ヘッドケース9と支持アーム70との間に、毛起こし棒69を位置保持する節度構造を設ける。節度構造は、かみそり刃38と正対する状態の毛起こし棒69を位置保持できるように構成する。
毛起こし棒69とかみそり刃38とを正対させた状態における両者38・69の対向隙間E1を、毛起こし棒69と短毛切断部10を正対させた状態における両者10・69の対向隙間E2より小さく設定する。
かみそりヘッド2を支持する本体ケース1の端部に、かみそりヘッド2を照らす照明体55を設ける。
照明体55の光軸を、機能構造に向かって指向させる。
ヘッドケース9の先端側の内部に、かみそりヘッド2を振動させる起振構造を設ける。
短毛切断部10を、ヘッドケース9で保持された薄板状の固定刃14と、固定刃14に摺接する可動刃15を備えたせん断刃構造で構成する。起振構造は、起振軸51と、起振軸51に固定される偏心おもり52とを含む。起振軸51を、固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分を含む振動が生起されるよう配置する。
固定刃14はヘッドケース9でアーチ状に保持する。図4に示すように、固定刃14のアーチ断面における頂部の接線T、およびかみそりヘッド2の中心軸線P2に直交する仮想基準線Qを想定するとき、起振軸51を、前記仮想基準線Qに直交する状態で配置する。なお、起振軸51が仮想基準線Qに直交する状態とは、例えば起振軸51がかみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置したと仮定するとき、この状態から仮想基準線Qまわりに回転させたどの方向に起振軸51が配置されていてもよいことを意味する。
短毛切断部10の可動刃15を、回転刃軸17を有する回転刃で構成する。回転刃軸17は、本体ケース1に固定した支持フレーム22で回転自在に支持し、支持フレーム22に起振構造を設ける。
支持フレーム22は、回転刃軸17の先端側を回転自在に軸支する先端支持枠23と、本体ケース1に連結固定されて先端支持枠23を支持する連結枠24を備える。ヘッドケース9の内偏寄周面9bを間にして連結枠24と正対するように、機能構造を配置する。
回転刃軸17は、起振構造の起振軸51を兼ねる。偏心おもり52および回転刃軸17を回転駆動するモーター3を、本体ケース1の内部に配置する。
機能構造エリアF2に臨むヘッドケース9の周囲壁に、かみそりヘッド2の内部の毛屑室Rに連通する排出窓80を開口する。機能構造を、前記排出窓80と、排出窓80を開閉する開閉体81を含んで構成する。
開閉体81は、排出窓80をスライド開閉するシャッター82で構成する。シャッター82の外面に、指掛け用の操作片83を設ける。
シャッター82を、かみそりヘッド2の中心軸線P2方向にスライド開閉できるように設ける。排出窓80を開放した状態において、ヘッドケース9の先端からシャッター82の一部を突出させる。
開閉体81は、ヘッドケース9で軸支される揺動軸90を備える。開閉体81をヘッドケース9で揺動開閉可能に支持する。
開閉体81を支持する揺動軸90を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と直交し、かつヘッドケース9の本体ケース1側の端部に位置する状態で配置する。
開閉体81は開放位置で位置保持されるように構成する。開閉体81が開放位置に位置保持された状態において、かみそりヘッド2の中心軸線P2と開閉体81の中心軸線P3が挟む角度θ1を鋭角に設定する。
開閉体81の断面形状を樋状に形成する。
本体ケース1に、開閉体81を開閉操作するための操作具96を設ける。
ヘッドケース9は、短毛切断部10が備える固定刃14を着脱自在に保持する固定刃ホルダー102と、排出窓80を開閉する開閉体81を備える。固定刃ホルダー102と開閉体81は、ヒンジ部104を介して揺動開閉可能に連結する。ヘッドケース9の内部に、本体ケース1に固定されて可動刃15およびヘッドケース9の先端ケース101を支持する支持フレーム22を設ける。ヘッドケース9は、固定刃ホルダー102および開閉体81が、可動刃15および支持フレーム22の周囲を覆う閉じ姿勢と、固定刃ホルダー102および開閉体81が、可動刃15および支持フレーム22の周囲を開放する開放姿勢との間で揺動開閉できる。ヘッドケース9を閉じ姿勢にした状態において、ヒンジ部104の内面を支持フレーム22で受止め、固定刃ホルダー102および開閉体81の揺動先端に設けた係合部106を支持フレーム22と係合させる。
本発明においては、本体ケース1とかみそりヘッド2を備える電気かみそりの全体を、本体ケース1の中心軸線P1に沿って棒状に構成し、かみそりヘッド2のヘッドケース9の外周面に、短毛切断部10を備えた短毛切断エリアF1を設けた。また、短毛切断エリアF1を除くヘッドケース9の外面側に、機能構造を備える機能構造エリアF2を設けた。こうした電気かみそりによれば、短毛切断とは別に機能構造による付加的機能を発揮させて、短毛切断部10における短毛切断動作と、機能構造におけるひげ切断、切断前処理、肌処理などの動作を、他の器具に持ち替えることなく一連の動作として行うことができる。従って、全体が棒状に構成されている電気かみそりにおいて、操作性を維持しつつ実用利便性を向上できる。
本体ケース1とかみそりヘッド2の中心軸線P1・P2を平行に配置し、かみそりヘッド2の断面の外郭形状を、本体ケース1の断面の外郭形状よりも小さく形成して、かみそりヘッド2の中心軸線P2を、本体ケース1の中心軸線P1に対して径方向へ偏寄する状態で配置した。また、ヘッドケース9の外偏寄周面9aに短毛切断エリアF1を設けた。さらに、外偏寄周面9aと対向する内偏寄周面9bの側に、かみそりヘッド2の断面の外郭形状と、本体ケース1の断面の外郭形状で規定される仮想空間Sを設け、ヘッドケース9の先端面9cおよび/または仮想空間Sに臨んで機能構造エリアF2を設けた。こうした電気かみそりによれば、電気かみそりを載置台上に横臥姿勢で載置した状態において、内偏寄周面9bに設けた機能構造が載置面に接するのを回避できるので、載置面との接触や衝突による機能構造の破損を防止できる。
短毛切断部10をせん断刃構造で構成し、機能構造を長毛切断部37で構成すると、長毛やくせ毛を長毛切断部37で容易に切断できるので、長毛切断部37で長毛やくせ毛を粗剃りしたのち短毛切断部10で仕上げ剃りを行って、粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断を効率よく行うことができる。また、ひげ切断に続いて襟足などの毛先を整えることもできる。
長毛切断部37に帯板状のかみそり刃38を配置すると、長毛切断部37の構造を簡素化して長毛切断部37を設けたことによる電気かみそりのコスト上昇を抑制できる。
2個のかみそり刃38を、各かみそり刃38の切刃39が外向きになる状態で背中合わせ状に設けると、長毛や肌面に倒れこんだくせ毛の状況に応じて各かみそり刃38を使い分けて切断することにより、粗剃りを素早く行うことができる。
短毛切断エリアF1を除くヘッドケース9の外周面に設けたかみそり刃38の切刃39を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置すると、かみそりヘッド2をその中心軸線P2と交差する向きに操作することで、長毛やくせ毛をかみそり刃38で的確に切断できる。
短毛切断部10に隣接する状態でヘッドケース9の外周面にかみそり刃38を設けると、電気かみそりを持ち変える必要もなく手首を軽くひねるだけで、かみそり刃38と短毛切断部10を肌面にあてがって粗剃りと仕上げ剃りを行えるので、短時間で効果的なひげ切断を行うことができる。また、かみそり刃38を使用する際に短毛切断部10が下向きにならないので、短毛切断部10で切断した毛屑がこぼれ落ちるのを防止できる。
ヘッドケース9の対向する外周面にかみそり刃38と短毛切断部10を設けると、電気かみそりの姿勢を半回転させることで、かみそり刃38による粗剃りと短毛切断部10による仕上げ剃りを使い分けてひげ切断を行うことができる。
かみそりヘッド2の先端面9cにかみそり刃38を設けると、電気かみそりを把持した状態におけるかみそりヘッド2の先端面9cは、肌面に対してより自在に移動操作しやすいので、狙った部位の長毛やくせ毛を的確に切断できる。また、かみそり刃38の細かな操作が可能な分、狭い領域の長毛やくせ毛を的確に切断できる利点もある。
かみそり刃38を備えたヘッドケース9の先端面9cを、かみそりヘッド2の中心軸線P2に対して傾斜させると、かみそり刃38を肌面にあてがうとき、かみそりヘッド2を肌面に対して傾斜させることができる。従って、狙った位置が見やすく的確に先端面9cを移動させることができ、ピンポイントに先端面9cを肌面に密着させて長毛やくせ毛をより的確に切断できる。
ヘッドケース9の先端面9cが、外偏寄周面9aの側から内偏寄周面9bの側へ向かって下り傾斜させてあると、かみそり刃38で長毛やくせ毛を切断する際に、短毛切断部10を肌面から遠ざけることができる。従って、電気かみそりを駆動していない状態において、誤って長毛やくせ毛が短毛切断部10に捕捉されてひげが引っ張られるおそれがなく、痛みを伴うことなく長毛やくせ毛を切断できる。
かみそり刃38の切刃39と対向するヘッドケース9の外面に肌保護部44を形成すると、かみそり刃38の切刃39に臨む空間に肌が垂れ込むのを防止できるため、切刃39によって肌を傷つけるのを防止しながら長毛やくせ毛を切断することができる。
ヘッドケース9の外面に形成されたリブ状突起、または溝で肌保護部44を構成すると、別途肌を保護する部材を設けることなく簡単な構成で肌保護部44を形成できるので、肌保護部44を設けたことによる電気かみそりのコスト上昇を抑制できる。
肌保護部44に、凹凸からなる毛起こし体59を形成すると、長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を毛起こし体59で起こし、かみそり刃38との接触機会を増やして、長毛やくせ毛の切断をより効率よく行うことができる。
かみそり刃38の外面に、かみそり刃38の切刃39と交差する保護ワイヤー60を設けると、切刃39が肌面に不必要に押し付けられるのを保護ワイヤー60で阻止できるので、かみそり刃38の肌あたりをソフトなものにできる。従って、かみそり刃38が肌面に与えるダメージを小さくできる。
保護ワイヤー60を毛起こし体59で移動不能に保持すると、別途保護ワイヤー60を保持する部材を設ける必要がなく、簡単な構成で保護ワイヤー60のずれ動きを阻止して、かみそり刃38が肌面に与えるダメージをより小さくできる。
ヘッドケース9に対してかみそり刃38を着脱自在に設けると、切れ味の落ちたかみそり刃38を新規なかみそり刃38に交換することができ、常に切れ味のよいかみそり刃38で長毛やくせ毛を効率よく切断できる。
毛起こし機能を有するリブ状突起62と、凹凸突起群49と、棒状体のいずれかひとつで構成された肌接触体48からなる機能構造によれば、肌接触体48で長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を起こして、短毛切断部10で捕捉し易くできるので、短毛切断部10による粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断を効率よく行うことができる。なお、前記リブ状突起62は、シリコンゴムやニトリルゴムなどの柔軟なゴム素材からなるフィン状体で構成することができる。
肌接触体48を毛起こし棒69で構成し、毛起こし棒69をヘッドケース9の外周面と隙間を介して対向させると、ヘッドケース9より先に毛起こし棒69を肌面に接触させて長毛やくせ毛を起こすことができる。従って、狙った位置の長毛やくせ毛を的確に起こして、短毛切断部10による粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断をより効率よく行うことができる。
毛起こし棒69に、凹凸からなる毛起こし体59を形成すると、長毛やくせ毛を毛起こし体59でより的確に起こして、短毛切断部10による粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断をさらに効率よく行うことができる。
毛起こし棒69の一端に設けたL字状の支持アーム70をヘッドケース9で回動可能に支持して、毛起こし棒69がヘッドケース9の周囲を回転できるようにした。こうした毛起こし棒69によれば、短毛切断部10の近傍に毛起こし棒69を位置させることにより、電気かみそりの姿勢を大きく変更することもなく、毛起こし棒69による毛起こしと短毛切断部10によるひげ切断を行うことができる。また、短毛切断部10の遠方に毛起こし棒69を位置させることにより、毛起こし棒69による毛起こしと短毛切断部10によるひげ切断を明確に使い分けることができる。従って、毛起こし棒69の位置により使用形態を択一的に選択できるので、ユーザーが好む使用形態で電気かみそりを使用できる。
毛起こし棒69が仮想空間S内に位置している状態において、毛起こし棒69が本体ケース1の断面の外郭形状の内部に収まっていると、電気かみそりを載置台上に横臥姿勢で載置した状態において、毛起こし棒69が載置面に接するのを回避できるので、載置面との接触や衝突による毛起こし棒69の破損を防止できる。
機能構造エリアF2に設けた長毛切断部37に帯板状のかみそり刃38を配置した。また、毛起こし棒69を位置保持する節度構造を設けて、節度構造が、かみそり刃38と正対する状態の毛起こし棒69を位置保持できるように構成した。これによれば、かみそり刃38を毛起こし棒69でカバーできるので、短毛切断部10でのひげ切断の最中に、誤って長毛切断部37のかみそり刃38で肌面を傷つけるのを防止できる。
毛起こし棒69とかみそり刃38とを正対させた状態における両者38・69の対向隙間E1を、毛起こし棒69と短毛切断部10を正対させた状態における両者10・69の対向隙間E2より小さく設定すると、かみそり刃38を毛起こし棒69でより確実に保護できる。また、毛起こし棒69を短毛切断部10に正対させた状態では、電気かみそりを駆動していない状態において、長毛やくせ毛が短毛切断部10に捕捉されてひげが引っ張られるおそれがない。
かみそりヘッド2を支持する本体ケース1の端部に、かみそりヘッド2を照らす照明体55を設けると、照明体55から照射された照明光でかみそりヘッド2および肌面を照らして、ひげの状態や肌面の状態を適確に把握しながら機能構造におけるひげ切断、切断前処理、あるいは肌処理などの動作を行える。
光軸を機能構造に向かって指向させた照明体55によれば、例えば機能構造が長毛切断部37や肌接触体48である場合には、長毛やくせ毛の状態を明確に把握しながらひげ切断あるいは毛起こしを行うことができる。また、機能構造が冷却構造、加熱構造、またはイオン導入出構造などである場合には、肌面の状況を明確に把握しながら肌処理を行うことができる。
ヘッドケース9の先端側の内部に、かみそりヘッド2を振動させる起振構造を設けると、起振構造で生起された振動で短毛切断部10の可動刃15を振動させて切れ味を向上し、ひげ切断を効率的に行うことができる。また、可動刃15と摺接する固定刃14を備えている短毛切断部10においては、固定刃14もともに振動するので、ひげの導入効果が向上し、ひげの切断を効果的に行うことができる。起振構造は、グリップを兼ねる本体ケース1から離れたヘッドケース9の先端側に設けることで、起振構造で生起した振動が電気かみそりを把持する手指に伝わるのを可及的に小さくできる。
短毛切断部10を、薄板状の固定刃14と可動刃15を備えたせん断刃構造で構成する。また、起振軸51と、起振軸51に固定される偏心おもり52とを含んで起振構造を構成し、固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分を含む振動が生起されるよう起振軸51を配置した。こうした電気かみそりによれば、肌面に対して直交する向きに固定刃14を振動させることができる。これにより、断続的に固定刃14を肌面に押し付けることができるので、固定刃14の内方にひげをより深く導入して、仕上げ剃りにおいて深ぞりすることができる。
ヘッドケース9でアーチ状に保持した固定刃14のアーチ断面における頂部の接線T、およびかみそりヘッド2の中心軸線P2に直交する仮想基準線Qを想定するとき、前記仮想基準線Qに直交する状態で起振軸51を配置した。こうした電気かみそりによれば、接線Tの接点部分における固定刃14を厚み方向に振動させることができる。従って、肌面に対して直交する向きに固定刃14を振動させることができ、これにより、断続的に固定刃14を肌面に押し付けることができるので、固定刃14の内方にひげをより深く導入して、仕上げ剃りにおいて深ぞりすることができる。
短毛切断部10の可動刃15を、回転刃軸17を有する回転刃で構成した。また、回転刃軸17は、本体ケース1に固定した支持フレーム22で回転自在に支持して、支持フレーム22に起振構造を設けた。これによれば、起振構造で生起された振動を支持フレーム22を介して効率よく可動刃15に伝動できるので、可動刃15の切れ味をより向上できる。また、可動刃15と摺接する固定刃14を備えている短毛切断部10の場合には、振動により固定刃14も振動するので、ひげの導入効果がより向上し、ひげの切断をより効果的に行うことができる。
支持フレーム22は、先端支持枠23と先端支持枠23を支持する連結枠24を備え、ヘッドケース9の内偏寄周面9bを間にして連結枠24と正対するように機能構造を配置すると、起振構造で生起された振動を連結枠24およびヘッドケース9を介して機能構造に作用させることができる。従って、機能構造がかみそり刃38を配置した長毛切断部37の場合には、かみそり刃38の切れ味を向上し、長毛やくせ毛の切断をより効率よく行うことができる。また、機能構造が肌接触体48の場合には、より素早く長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を起こすことができる。また、機能構造が肌面の冷却あるいは加熱などを行う肌処理構造の場合には、振動によるマッサージ作用を発揮しながら肌面を冷却あるいは加熱することができる。
回転刃軸17が起振構造の起振軸51を兼ねるように構成し、偏心おもり52および回転刃軸17を回転駆動するモーター3を本体ケース1の内部に配置した。これによれば、1個のモーター3で回転刃軸17および偏心おもり52を回転駆動するので、電気かみそりの構造を簡素化し、起振構造を設けたことによる電気かみそりのコスト上昇を抑制できる。また、モーター3を本体ケース1内に設けた分、かみそりヘッド2の小型化および構造の簡素化を図ることができる。
機能構造エリアF2に臨むヘッドケース9の周囲壁に、かみそりヘッド2の内部の毛屑室Rに連通する排出窓80を開口し、機能構造を、排出窓80と排出窓80を開閉する開閉体81を含んで構成すると、開閉体81を開放して排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口させることにより、毛屑室R内の毛屑を簡便に排出できる。また、短毛切断部10から洗浄水を供給することで、毛屑室R内を水洗いしながら、毛屑を洗浄水とともに排出窓80から排出できる。従って、毛屑室R内に溜まった毛屑の清掃を容易化して、手軽に毛屑室Rの清掃を行うことができる。
排出窓80をスライド開閉するシャッター82で開閉体81を構成すると、開閉体81の構造を簡素化でき、さらにシャッター82をスライドするだけの簡単な操作で、排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口させることができる。また、シャッター82の外面に指掛け用の操作片83を設けると、操作片83を利用してシャッター82のスライド操作を片手で的確に行うことができる。
かみそりヘッド2の中心軸線P2方向にスライド開閉できるようにシャッター82を設け、排出窓80を開放した状態において、ヘッドケース9の先端からシャッター82の一部を突出させると、排出窓80が開放されていることをシャッター82で表示できる。また、排出窓80が開放されていることを目視で確認できるので、排出窓80が開放されたままひげ切断が行われるのを効果的に防止できる。
開閉体81はヘッドケース9で軸支される揺動軸90を備え、開閉体81をヘッドケース9で揺動開閉可能に支持した。こうした開閉体81によれば、排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって大きく開口することができるので、毛屑室R内の毛屑を素早く排出できる。また、開閉体81を開放した状態で開閉体81の内面を洗浄水で洗い流すことができるので、毛屑の洗浄をより確実に行って、毛屑室Rをより清潔に保つことができる。
開閉体81を支持する揺動軸90を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と直交し、かつヘッドケース9の本体ケース1側の端部に位置する状態で配置した。こうした開閉体81によれば、排出窓80から排出される毛屑や洗浄水が本体ケース1側に飛び散るのを開閉体81で受け止めて、本体ケース1を把持する手指などに毛屑や洗浄水が付着するのを抑制できる。
開閉体81は開放位置で位置保持されるように構成し、開閉体81が開放位置に位置保持された状態において、かみそりヘッドの中心軸線P2と開閉体81の中心軸線P3が挟む角度θ1を鋭角に設定した。これによれば、電気かみそりの洗浄姿勢において、排出窓80の下方に開閉体81を位置させ、排出窓80から排出された洗浄水を開閉体81で受け止めて、開閉体81の内面を同時に洗浄することができる。従って、別途開閉体81を洗浄する手間を掛けることもなく、毛屑を的確に洗い流して毛屑室R内をより清潔に保つことができる。
開閉体81の断面形状を樋状に形成すると、開閉体81で受け止めた洗浄水をガイドして、揺動先端から毛屑や洗浄水を捨てることができるので、洗浄時に毛屑や洗浄水が周囲に飛散するのを防止できる。
本体ケース1に開閉体81を開閉操作するための操作具96を設けると、本体ケース1を把持した状態のまま指先で開閉体81を開閉操作できるので、開閉体81の開閉を片手でしかも容易に行うことができる。
短毛切断部10の固定刃14を着脱自在に保持する固定刃ホルダー102と、排出窓80を開閉する開閉体81を備えるようにヘッドケース9を構成し、固定刃ホルダー102と開閉体81は、ヒンジ部104を介して揺動開閉可能に連結した。また、ヘッドケース9の内部に、可動刃15および先端ケース101を支持する支持フレーム22を設け、ヘッドケース9は、固定刃ホルダー102および開閉体81が、閉じ姿勢と開放姿勢との間で揺動開閉できるように構成した。さらに、ヘッドケース9を閉じ姿勢にした状態において、ヒンジ部104の内面を支持フレーム22で受止め、固定刃ホルダー102および開閉体81の揺動先端に設けた係合部106を支持フレーム22と係合するようにした。こうした電気かみそりによれば、開閉体81のみを開放姿勢にすることで排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口させ、毛屑や短毛切断部10から供給した洗浄水を排出窓80から排出できる。また、固定刃ホルダー102を開放姿勢にすることで、固定刃ホルダー102で着脱自在に保持される固定刃14を取外し、新規な固定刃14と交換することができる。さらに、固定刃ホルダー102および開閉体81を開放姿勢にした状態においては、両者81・102はヒンジ部104の内面が支持フレーム22で受止められているだけであるので、固定刃ホルダー102および開閉体81を先端ケース101から分離することができる。これにより、可動刃15および支持フレーム22を露呈させた状態で毛屑室Rを洗浄でき、さらに固定刃ホルダー102および開閉体81の内面も洗浄することができるので、毛屑を的確に洗い流して毛屑室Rをより清潔に保つことができる。
(実施例1) 図1ないし図4に、本発明における電気かみそりの実施例1を示す。なお、本実施例における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2および図3に示すように、本実施例に係る電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1で支持されるかみそりヘッド2を備えており、本体ケース1およびかみそりヘッド2はそれぞれ円柱状に形成されている。本体ケース1の中心軸線P1と、かみそりヘッド2の中心軸線P2は平行に配置されており、電気かみそりの全体は本体ケース1の中心軸線P1に沿って棒状に構成される。電気かみそりを使用するときには、例えば本体ケース1を親指と人差し指と中指の3本の手指で鉛筆を持つよう把持できる。本体ケース1の内部には、減速機を一体に備えたモーター3と、電気かみそりの電源となる電池4と、電気かみそりの動作を制御する制御基板5などの電装品が配置されている。本体ケース1の前面には、モーター3への給電状態をオンオフするスイッチボタン6が設けられている。
図1および図4に示すように、かみそりヘッド2は下側に開口を有するキャップ状に形成されており、本体ケース1に対して上下方向に着脱自在に固定される。かみそりヘッド2の円形の断面外郭形状は、本体ケース1の円形の断面外郭形状よりも小さく形成されており、かみそりヘッド2の中心軸線P2は、本体ケース1の中心軸線P1に対して径方向の後側へ偏寄する状態で配置されている。このようにかみそりヘッド2を本体ケース1に対して偏寄配置することにより、図3に示すようにヘッドケース9の前半側の内偏寄周面9bは、本体ケース1の断面外郭形状より後側に位置し、ヘッドケース9の後半側の外偏寄周面9aは、本体ケース1の断面外郭形状の後周面上に位置する。これに伴い、かみそりヘッド2を平面から見た状態では、本体ケース1の断面外郭形状と内偏寄周面9bの間に、三日月状の仮想空間Sが形成される。ヘッドケース9の先端面9cは、かみそりヘッド2の中心軸線P2に対して傾斜させてあり、ヘッドケース9の外偏寄周面9aの側(後端)から内偏寄周面9bの側(前端)へ向かって下り傾斜している。
上記の中心軸線P1、および中心軸線P2とは、本体ケース1およびかみそりヘッド2の断面外郭形状が円形または楕円形の場合には、その中心を通る軸線を意味し、本体ケース1およびかみそりヘッド2の断面外郭形状が四角形あるいは多角形の場合には、断面外郭形状に外接する円の中心を通る軸線を意味する。また、電気かみそりの全体が棒状とは、緩やかな弓状の湾曲棒状を含む意味であり、この場合の中心軸線P1・P2は本体ケース1およびかみそりヘッド2に沿って湾曲する。
ヘッドケース9の外周面には、主として短毛を切断するための短毛切断部10を備えた短毛切断エリアF1が設けられており、短毛切断エリアF1を除くヘッドケース9の外面側には、長毛やくせ毛を切断するための機能構造を備えた機能構造エリアF2が設けられている。具体的には、図1および図3に示すように短毛切断エリアF1は、外偏寄周面9aに設けられており、機能構造エリアF2は、ヘッドケース9の先端面9cおよび仮想空間Sに臨んで設けられている。
図1および図4に示すように短毛切断部10は、ヘッドケース9でアーチ状に保持された固定刃14と、固定刃14に摺接する可動刃15を備えたせん断刃構造で構成されている。固定刃14は一群の刃孔を備えた網刃からなり、ヘッドケース9の外偏寄周面9aに開口された刃窓16に刃孔が臨むように、固定刃14の左右縁がヘッドケース9に着脱自在に固定されている。可動刃15は先のモーター3の動力で回転駆動される回転刃軸17と、回転刃軸17に外嵌固定される4個のディスク18と、ディスク18に固定される、一群の小刃を備えた円筒切刃19で構成されている。可動刃15は円筒切刃19が固定刃14の内面に摺接しながら回転する。固定刃14の刃孔で捕捉されたひげは、刃孔内周面と円筒切刃19の小刃で切断(せん断)される。切断された毛屑は、ヘッドケース9と固定刃14で区画されたかみそりヘッド2の内部の毛屑室Rに保持される。なお、ヘッドケース9への固定刃14の固定は、無端枠状の固定刃カセットで固定刃14をアーチ状に支持し、この固定刃カセットがヘッドケース9に対して着脱自在に保持される形態であってもよい。
回転刃からなる可動刃15は、回転刃軸17が本体ケース1に固定した支持フレーム22で回転自在に支持されている。図1および図4に示すように支持フレーム22は、回転刃軸17の先端側を回転自在に軸支する先端支持枠23と、本体ケース1に連結固定されて先端支持枠23を支持する連結枠24を備えている。連結枠24は、平面視において円筒切刃19と同心円の部分円弧状に形成されており、可動刃15の前面側に臨むように配置されている。また、支持フレーム22は、回転刃軸17の基端側を回転自在に軸支する基端支持枠25を備えており、これにより、可動刃15は支持フレーム22で回転自在に保持される。先端支持枠23および基端支持枠25により回転自在に支持される回転刃軸17は、その中心がかみそりヘッド2の中心軸線P2より後側に偏寄する状態で平行に配置されている。図1において符号27はベアリングを示している。連結枠24の下端と基端支持枠25の後端には、支持フレーム22を本体ケース1に連結固定するための連結片26がそれぞれ下向きに突設されている。
図1に示すように本体ケース1の上端には、ヘッドケース9および支持フレーム22が固定される連結ボス29が設けられている。連結ボス29の上面の前後には支持フレーム22の連結片26が差し込まれる連結孔30が凹み形成されており、この連結孔30に連結片26を差し込むことにより、支持フレーム22は本体ケース1に対して上下方向に着脱自在に固定される。また、連結ボス29の上面中央には、本体ケース1の内部に連通する連通孔31が設けられており、連通孔31に臨むようにモーター3の出力軸に固定した駆動筒3aが配置されている。支持フレーム22を本体ケース1に固定した状態においては、回転刃軸17の下端が連通孔31に差し込まれて駆動筒3aと係合しており、これにより、モーター3の動力が回転刃軸17に伝動されるようになっている。回転刃軸17と連通孔31の間にはリング状のシール体32が配置されており、毛屑が本体ケース1内に侵入するのを防止している。ヘッドケース9はその下端部を連結ボス29に外嵌装着することにより、本体ケース1に対して着脱自在に固定されている。連結ボス29の周面と、ヘッドケース9の下端内面には、互いに係合してヘッドケース9を回動不能に保持する凸部33と凹部34が形成されている。ヘッドケース9を本体ケース1から分離することにより、固定刃14を新規なものと交換することができ、また、支持フレーム22を本体ケース1から分離することにより、可動刃15を支持フレーム22ごと新規なものと交換することができる。
本実施例では、機能構造エリアF2に設けられる機能構造は、長毛やくせ毛を切断するための長毛切断部37で構成されている。図4に示すように長毛切断部37は、ヘッドケース9の短毛切断部10と対向する内偏寄周面9b(外周面)に設けられている。長毛切断部37には、2個の帯板状のかみそり刃38が配置されており、かみそり刃38は切刃39の対向縁に折り曲げ形成される装着部40を備えている。かみそり刃38の切刃39は、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置されており、各切刃39が外向きになる状態で背中合わせ状に設けられている。かみそり刃38は、装着部40がヘッドケース9に設けた装着スリット41に差し込み装着されて、ヘッドケース9に対して着脱自在に設けられている。なお、かみそり刃38の切刃39は、正面視においてかみそりヘッド2の中心軸線P2に対して、15度程度傾いた状態で配置されていてもよい。また、かみそり刃38は、装着部40に固定した樹脂を介して装着スリット41に差し込み装着することができる。
上記のように、短毛切断部10をせん断刃構造で構成し、機能構造を長毛切断部37で構成すると、長毛やくせ毛を長毛切断部37で容易に切断できるので、長毛切断部37で長毛やくせ毛を粗剃りしたのち短毛切断部10で仕上げ剃りを行って、粗剃りから仕上げ剃りまでのひげ切断を効率よく行うことができる。また、長毛切断部37に帯板状のかみそり刃38を配置すると、長毛切断部37の構造を簡素化して、長毛切断部37を設けたことによる電気かみそりのコスト上昇を抑制できる。
2個のかみそり刃38を、各かみそり刃38の切刃39が外向きになる状態で背中合わせ状に設けると、長毛や肌面に倒れこんだくせ毛の状況に応じて各かみそり刃38を使い分けて切断することにより、粗剃りを素早く行うことができる。
かみそり刃38の切刃39を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置すると、かみそりヘッド2をその中心軸線P2と交差する向きに操作することで、長毛やくせ毛をかみそり刃38で的確に切断できる。また、より上下寸法の大きなかみそり刃38を設けることができる。従って、かみそり刃38の使い勝手を向上して、粗剃りをより素早く行うことができる。
ヘッドケース9の対向する外周面にかみそり刃38と短毛切断部10を設けると、把持した電気かみそりの姿勢を半回転させることで、かみそり刃38による粗剃りと短毛切断部10による仕上げ剃りを使い分けてひげ切断を行うことができる。
ヘッドケース9に対してかみそり刃38を着脱自在に設けると、切れ味の落ちたかみそり刃38を新規なかみそり刃38に交換することができ、常に切れ味のよいかみそり刃38で長毛やくせ毛を効率よく切断できる。
ヘッドケース9の外周面には、かみそり刃38の切刃39と向かい合うように肌保護部44が形成されており、本実施例の肌保護部44は、ヘッドケース9に凹み形成した溝の各かみそり刃38の切刃39と対向する尖端部45で構成した。前後方向における切刃39と尖端部45の高さ位置は一致している。このように、かみそり刃38の切刃39と対向するヘッドケース9の外面に肌保護部44を形成すると、かみそり刃38の切刃39に臨む空間に肌が垂れ込むのを防止できるため、切刃39によって肌を傷つけるのを防止しながら長毛やくせ毛を切断することができる。また、ヘッドケース9の外周面に凹み形成した溝の尖端部45で肌保護部44を構成すると、別途肌を保護する部材を設けることなく簡単な構成で肌保護部44を形成できるので、肌保護部44を設けたことによる電気かみそりのコスト上昇を抑制できる。
上記の機能構造は、長毛切断部37に加え、毛起こし機能を有する肌接触体48からなる機能構造を備えている。肌接触体48は、ヘッドケース9の先端面9cに設けられており、先端面9cに形成した部分球面状の突起群(凹凸突起群)49として構成されている。先に説明したように、かみそりヘッド2の中心軸線P2に対してヘッドケース9の先端面9cが傾斜しているので、かみそり刃38を肌面にあてがうとき、かみそりヘッド2を肌面に対して傾斜させることができる。これにより、狙った位置が見やすく的確に先端面9cを移動させることができるので、ピンポイントに先端面9cを移動させて長毛やくせ毛を的確に起こすことができる。また、ヘッドケース9の外偏寄周面9aの側から内偏寄周面9bの側に向かってヘッドケース9の先端面9cが下り傾斜させてあるので、肌接触体で毛起こしする際に短毛切断部10を肌面から遠ざけることができ、電気かみそりを駆動していない状態において、誤って長毛やくせ毛が短毛切断部10に捕捉されてひげが引っ張られるおそれがない。
上記のように本実施例の電気かみそりにおいては、かみそりヘッド2の先端面9cおよび仮想空間Sに臨んで機能構造エリアF2を設けたので、電気かみそりを載置台上に横臥姿勢で載置した状態において、内偏寄周面9bに設けた長毛切断部37が載置面に接するのを回避できるので、載置面との接触や衝突による長毛切断部37の破損を防止できる。
ヘッドケース9の先端側の内部には、かみそりヘッド2を振動させる起振構造が設けられている。起振構造は支持フレーム22に設けられており、起振軸51と、起振軸51に固定される偏心おもり52などで構成されている。こうした起振構造においては、起振軸51と直交する平面上の振動が生起される。起振軸51は、固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分を含む振動が生起されるよう配置するが、本実施例においては、起振軸51はかみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置した。因みに、起振構造で生起される振動に固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分を含まない場合とは、平板状に保持した固定刃14に対して、その厚み方向に沿う状態で起振軸51を設けた時であり、前記条件を満たさない場合には、生起された振動には僅かであっても固定刃14の厚み方向の振動成分が含まれる。従って、本実施例のように固定刃14をアーチ状に保持した場合には、起振軸51をいずれの向きに配置した場合でも、生起された振動に固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分が含まれる。
起振軸51は、図4に示すようにヘッドケース9でアーチ状に保持した固定刃14のアーチ断面における頂部の接線T、およびかみそりヘッド2の中心軸線P2に直交する仮想基準線Qを想定するとき、前記仮想基準線Qに直交する状態で配置する。具体的には、本実施例の起振構造は回転刃軸17が起振軸51を兼ねており、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置されている。偏心おもり52は、支持フレーム22の先端支持枠23より上側に突出した回転刃軸17に外嵌固定されている。モーター3を起動すると可動刃15とともに偏心おもり52が回転駆動され、水平面に倣う(起振軸51に直交する平面に倣う)振動が生起される。生起された振動により、アーチ状に保持された固定刃14は、その全周部分において厚み方向に振動する。このとき、回転刃軸17はかみそりヘッド2の中心軸線P2よりも後側に配置しているので、短毛切断部10側に振動がより伝動されやすい。このように、起振軸51を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行、つまり固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分を含む振動が生起されるよう配置すると、肌面にあてがいやすくメインでよく使用する固定刃14の周面部分の頂部において、固定刃14を厚み方向に振動させることができる。従って、肌面に対して直交する向きに固定刃14を振動させて、断続的に固定刃14を肌面に押し付けることができるので、固定刃14の内方にひげをより深く導入して、仕上げ剃りにおいて深ぞりすることができる。また、可動刃15の回転刃軸17が起振軸51を兼ねるようにしたので、起振構造専用のモーターを設ける必要がなく、電気かみそりの構造を簡素化し、起振構造を設けたことによる電気かみそりのコスト上昇を抑制できる。モーター3を本体ケース1内に設けた分、かみそりヘッド2の小型化および構造の簡素化を図ることができる。
上記のように、ヘッドケース9の先端側の内部に、かみそりヘッド2を振動させる起振構造を設けると、起振構造で生起された振動で短毛切断部10の可動刃15を振動させて切れ味を向上し、ひげ切断を効率的に行うことができる。また、グリップを兼ねる本体ケース1から離れたヘッドケース9の先端側に起振構造を設けることで、起振構造で生起した振動が電気かみそりを把持する手指に伝わるのを可及的に小さくできる。
支持フレーム22を設けた起振構造によれば、起振構造で生起された振動を効率よく可動刃15に伝動できるので、可動刃15の切れ味をより向上できる。また、振動により可動刃15と固定刃14の接触圧が大小に変化するので、回転刃からなる可動刃15の摺接抵抗を低減することができ、モーター3の負荷の低減および消費電力の抑制を図ることができる。
かみそり刃38が配置される長毛切断部37は、図4に示すようにヘッドケース9の内偏寄周面9b側のヘッドケース9を間にして連結枠24と正対している。また、内偏寄周面9bの内面側と連結枠24の前面とは接触するように配置されている。このように、長毛切断部37と連結枠24を配置すると、起振構造で生起された振動を連結枠24およびヘッドケース9を介してかみそり刃38に作用させることができるので、かみそり刃38の切れ味を向上し、長毛やくせ毛の切断をより効率よく行うことができる。なお、内偏寄周面9bの内面側と連結枠24の前面とは、必ずしも接触させる必要はなく、僅かな隙間を介して配置してあってもよい。
図3に示すように、仮想空間Sに臨む本体ケース1の前部上端に、かみそりヘッド2を照らす照明体55が設けられている。照明体55は砲弾型のLEDで構成し、その光軸が長毛切断部37に向かって指向するようにした。照明体55の先端には拡散ブロック56を配置して、照明体55から照射された光を拡散させるようにしている。電気かみそりの使用時には、照明体55から照射された照明光でかみそりヘッド2、長毛切断部37および肌面を照らしながらひげ切断を行えるので、ひげの状態やひげの切断状況などを適確に把握しながら的確にひげ切断を行うことができる。
電気かみそりを使用する場合には、まず、ヘッドケース9の先端面9cを肌面にあてがい、長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を肌接触体48で起こして切断し易い状態にする。次いで、長毛やくせ毛をかみそり刃38を配置した長毛切断部37で粗剃りし、さらに短毛切断部10で仕上げ剃りを行う。このように、毛起こし、粗剃り、仕上げ剃りの一連のひげ剃り動作をひとつの電気かみそりのみで効率よく行うことができる。
(実施例2) 図5および図6に本発明に係る電気かみそりの実施例2を示す。本実施例では、図5に示すように、肌保護部44に沿って、肌面にポイント的に圧力を加えることができる一群の突起(凹凸)からなる毛起こし体59が形成されている。毛起こし体59は、肌保護部44の一部として機能しており、肌保護部44と肌面との接触機会を増やしている。また、図6に示すようにかみそり刃38は、その切刃39が毛起こし体59の頂部と向かい合う状態で、各装着部40が装着スリット41に接着固定されている。かみそり刃38の外面には、かみそり刃38の切刃39と交差する状態で、多数個の保護ワイヤー60が等間隔おきに配置されて、その両端部がヘッドケース9に埋設固定されている。この状態の保護ワイヤー60の左右両端部は、上下に隣接する毛起こし体59で上下動不能に保持されるので、かみそり刃38が肌面に接触するとき、保護ワイヤー60が切刃39に対して上下にずれ動くのを阻止できる。他は実施例1と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の説明においても同じとする。
上記のように、肌保護部44に毛起こし体59を形成すると、長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を毛起こし体59で起こし、かみそり刃38との接触機会を増やして、長毛やくせ毛の切断をより効率よく行うことができる。
かみそり刃38の外面に保護ワイヤー60を設けると、切刃39が肌面に不必要に押し付けられるのを保護ワイヤー60で阻止できるので、かみそり刃38の肌あたりをソフトなものにできるので、かみそり刃38が肌面に与えるダメージを小さくできる。
保護ワイヤー60を毛起こし体59で移動不能に保持すると、別途保護ワイヤー60を保持する部材を設ける必要がなく、簡単な構成で保護ワイヤー60のずれ動きを阻止して、かみそり刃38が肌面に与えるダメージをより小さくできる。
(実施例3) 図7に本発明に係る電気かみそりの実施例3を示す。本実施例では、かみそり刃38からなる長毛切断部37が、短毛切断部10に隣接する状態でヘッドケース9の外周面に設けられている。このように、短毛切断部10とかみそり刃38を隣接させると、電気かみそりを持ち変える必要もなく手首を軽くひねるだけで、かみそり刃38と短毛切断部10を肌面にあてがって粗剃りと仕上げ剃りを行えるので、短時間で効果的なひげ切断を行うことができる。また、かみそり刃38を使用する際に短毛切断部10が下向きにならないので、短毛切断部10で切断した毛屑がこぼれ落ちるのを防止できる。
(実施例4) 図8に本発明に係る電気かみそりの実施例4を示す。本実施例では、ヘッドケース9の短毛切断部10と対向する内偏寄周面9b(外周面)に、ヘッドケース9(かみそりヘッド2)の軸方向に長い複数のリブ状突起62からなる肌接触体48が設けられており、ヘッドケース9の先端面9cに、1個のかみそり刃38からなる長毛切断部37が設けられている。ヘッドケース9は円筒ケース63と、円筒ケース63の先端に外嵌装着される先端ピース64とで構成されており、かみそり刃38は、切刃39が左右方向に沿うように装着部40が装着スリット41に接着固定されている。かみそり刃38の切刃39に向かい合う肌保護部44は、ヘッドケース9の先端面9cに突出形成したリブ状の突起で構成されており、かみそり刃38は、その切刃39が肌保護部44の頂部と向かい合うように設けられている。本実施例のかみそり刃38は、ヘッドケース9の先端ピース64ごと交換するようになっている。上記のリブ状突起62は、複数の薄いフィン状体を近接して設けたものであってもよく、その場合、フィン状体は、弾性、かつ柔軟性を発揮させるため、シリコンゴムやニトリルゴムなどの柔軟なゴム素材で形成することが好ましい。
起振構造は、起振構造専用の起振モーター65と、起振モーター65の出力軸に固定される偏心おもり52で構成されており、起振モーター65の出力軸が起振軸51を兼ねている。起振モーター65の出力軸は、仮想基準線Qに直交するかみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に配置されており、円筒ケース63の前側上部の内面に設けたモーター固定座66に装着されている。この状態において起振モーター65の下端面は先端支持枠23の上面に密着している。これにより、起振構造で生起された振動は、ヘッドケース9および支持フレーム22に伝動される。このように、起振軸51を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と平行、つまり固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分を含む振動が生起されるよう配置すると、肌面にあてがいやすくメインでよく使用する固定刃14の周面部分の頂部において、固定刃14を厚み方向に振動させることができる。従って、肌面に対して直交する向きに固定刃14を振動させることができる。これにより、断続的に固定刃14を肌面に押し付けることができるので、固定刃14の内方にひげをより深く導入して、仕上げ剃りにおいて深ぞりすることができる。また、起振モーター65はかみそりヘッド2の中心軸線P2よりも前側に配置しているので、肌接触体48側に振動がより伝動されやすい。従って、起振構造で生起された振動を効率よく肌接触体48に作用させ、より素早く長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を起こすことができる。なお、起振モーター65を備えた起振構造によれば、起振構造の配設位置の自由度が向上し、また、振動の付与方向を自在に設定することができる利点がある。先の実施例1と同様に、本実施例においても固定刃14をアーチ状に保持しているので、起振軸51をいずれの向きに配置した場合でも、生起された振動に固定刃14を厚み方向に振動させるための振動成分が含まれる。
起振モーター65は、例えば起振モーター65の出力軸(起振軸51)がかみそりヘッド2の中心軸線P2に直交するように、本実施例の状態から仮想基準線Qまわりに90度回転させた状態で配置することができる。この場合には、固定刃14の周面部分の頂部において、固定刃14を厚み方向に振動させつつ、かみそりヘッド2をその中心軸線P2方向に振動させることができる。従って、断続的に固定刃14を肌面に押し付けながら、可動刃15およびかみそり刃38でひげを引き切りできるので、両刃15・38の切れ味を向上できる。なお、起振軸51は上記のようにかみそりヘッド2の中心軸線P2に直交する状態だけでなく、仮想基準線Qまわりに回転させたどの位置に配置しても、固定刃14の頂部において厚み方向に振動させることができる。
本実施例における起振モーター65は、円筒ケース63の頂部後側にモーター固定座66を形成して配置することができる。この場合には、固定刃14近傍に起振モーター65を配置するので、固定刃14へ効果的に振動を付与できる。このとき、起振モーター65の出力軸をかみそりヘッド2の中心軸線P2と同一方向にすれば、固定刃14の周方向のすべての面において厚み方向に振動を付与できるので、深ぞりを効果的に行うことができる。また、起振モーター65は、支持フレーム22に設けた固定座に固定することもできる。この場合には、起振構造は可動刃15を介して固定刃14の頂部を厚み方向に効果的に振動させることができ、固定刃14により振動を伝えやすくして、より一層引き切り効果を高めることができる。なお、本発明における「支持フレーム22に起振構造が設けられている」とは、実施例1のように起振構造が支持フレーム22に組付けられている形態、あるいは本実施例のように支持フレーム22以外の部品に起振モーター65が固定されその一部を支持フレーム22に接触させている形態も含む意味である。
(実施例5) 図9および図10に本発明に係る電気かみそりの実施例5を示す。本実施例では、図9に示すようにヘッドケース9の先端面9cに、2個の平板状のかみそり刃38を設け、先端面9cに対して傾斜する状態で、切刃39の対向縁の装着部40を装着スリット41に装着して長毛切断部37としている。図10に示すように、装着スリット41に装着したかみそり刃38の切刃39は、それぞれ左右の肌保護部44と対向する状態で配置されている。
上記の実施例4および5のように、かみそりヘッド2の先端面9cにかみそり刃38を設けると、かみそりヘッド2の先端面9cは、肌面に対してより自在に移動操作しやすいので、狙った部位の長毛やくせ毛を的確に切断できる。また、かみそり刃38の細かな操作が可能な分、狭い領域の長毛やくせ毛を的確に切断できる。
(実施例6) 図11から図13に本発明に係る電気かみそりの実施例6を示す。本実施例では、図11に示すように機能構造は、毛起こし棒69からなる肌接触体48で構成されており、毛起こし棒69の上端(一端)にはL字状の支持アーム70が一体に設けられている。ヘッドケース9の先端面9cは水平面で形成されており、毛起こし棒69は、支持アーム70の垂直軸部の中途部がヘッドケース9のアーム支持孔71で回動可能に支持されて、ヘッドケース9の周囲を回転できるようになっている。毛起こし棒69は、ヘッドケース9の周囲のいずれの位置においてもヘッドケース9の外周面と隙間を介して対向しており、少なくとも毛起こし棒69が長毛切断部37と正対して仮想空間S内に位置している状態においては、毛起こし棒69が本体ケース1の断面の外郭形状の内部に収まっている。また、毛起こし棒69とかみそり刃38とを正対させた状態における両者38・69の対向隙間E1は、毛起こし棒69と短毛切断部10を正対させた状態における両者10・69の対向隙間E2より小さく設定されている。図12に示すように毛起こし棒69には、ヘッドケース9の外周面と対向する周面を除いて、毛起こし棒69の軸方向に長く形成された3個のリブ状突起62からなる毛起こし体59が設けられている。
ヘッドケース9と支持アーム70との間に、毛起こし棒69を所定位置で位置保持する節度構造が設けられており、毛起こし棒69がかみそり刃38と正対する状態と、短毛切断部10と正対する状態とに位置保持できるように構成されている。図13に示すように節度構造は、ヘッドケース9側に設けられる節度凹部72と、支持アーム70側に設けられる節度突起73と、節度凹部72と節度突起73とを係合状態に保持する付勢ばね74などを備えている。ヘッドケース9の先端内面には支持ボス75が設けられており、同ボス75の下面側の前後に節度凹部72が凹み形成されている。また、支持ボス75の中央には、支持アーム70の垂直軸部を回転自在に支持するアーム支持孔71が形成されている。支持アーム70の垂直軸部の中途部には、回転不能に固定されるフランジ体76が設けられており、フランジ体76の上面前側に節度突起73が突出形成されている。節度構造は支持ボス75に外嵌固定される有底筒状のカバー体77で覆われており、フランジ体76とカバー体77の底壁内面との間に付勢ばね74が配置されている。支持アーム70の垂直軸部下端は、カバー体77の底壁でも回転自在に支持されている。
節度構造で長毛切断部37に正対する位置に位置保持された毛起こし棒69は、支持アーム70を下方に押し込むことにより、前側の節度凹部72と節度突起73の係合状態が解除されて回動可能な状態となる。この状態で、短毛切断部10側に回動操作し、支持アーム70の押し込みを解除することにより、後側の節度凹部72に節度突起73が係合され、毛起こし棒69は短毛切断部10に正対する位置に位置保持される。再度毛起こし棒69を長毛切断部37側に位置保持する場合には、支持アーム70を下方に押し込んで後側の節度凹部72と節度突起73の係合を解除し、節度突起73を前側の節度凹部72に係合させればよい。このように、支持アーム70の押し込み操作と回動操作で毛起こし棒69の保持位置を変更できる。なお、図13において符号78は、支持アーム70の押し込み限界を規定する規制フランジである。本実施例においても、かみそりヘッド2に肌接触体48、長毛切断部37、および短毛切断部10を備えているので、毛起こし、粗剃り、仕上げ剃りの一連のひげ剃り動作をひとつの電気かみそりのみで効率よく行うことができる。
上記のように、毛起こし棒69をヘッドケース9の外周面と隙間を介して対向させると、ヘッドケース9より先に毛起こし棒69を肌面に接触させて長毛やくせ毛を的確に起こすことができる。また、毛起こし棒69にリブ状突起62からなる毛起こし体59を形成すると、毛起こし棒69と肌面との接触機会を増やして長毛やくせ毛をより的確に起こすことができる。
毛起こし棒69がヘッドケース9の周囲を回転できるようにすると、短毛切断部10、または長毛切断部37の近傍に毛起こし棒69を位置させることにより、電気かみそりの姿勢を大きく変更することもなく、毛起こし棒69による毛起こしと短毛切断部10あるいは長毛切断部37によるひげ切断を行うことができる。また、短毛切断部10あるいは長毛切断部37の遠方に毛起こし棒69を位置させることにより、毛起こし棒69による毛起こしと短毛切断部10あるいは長毛切断部37によるひげ切断を明確に使い分けることができる。従って、毛起こし棒69の位置により使用形態を択一的に選択できるので、ユーザーが好む使用形態で電気かみそりを使用できる。例えば、毛起こし棒69を短毛切断部10に正対させた状態で、可動刃15(モーター3)を駆動して積極的に毛起こし棒69と短毛切断部10を使用した使い方をすることができる。この場合、毛起こし棒69でひげを起こしながら短毛切断部10でひげ切断を行える。よって効果的にひげの切断が可能となる。このとき、毛起こし棒69を固定刃14の周方向の任意場所(例えば固定刃14の周方向の中央部および両端部分の3か所)に位置保持できるように節度構造を設定すれば、毛起こし棒69が不用意に回動することがない。
毛起こし棒69が仮想空間S内に位置している状態において、毛起こし棒69が本体ケース1の断面の外郭形状の内部に収まっていると、電気かみそりを載置台上に横臥姿勢で載置した状態において、毛起こし棒69が載置面に接するのを回避できるので、載置面との接触や衝突による毛起こし棒69の破損を防止できる。
毛起こし棒69とかみそり刃38とを正対させた状態における両者38・69の対向隙間E1を、毛起こし棒69と短毛切断部10を正対させた状態における両者10・69の対向隙間E2より小さく設定すると、かみそり刃38を毛起こし棒69でより確実に保護できる。また、毛起こし棒69を短毛切断部10に正対させた状態では、電気かみそりを駆動していない状態において、長毛やくせ毛が短毛切断部10に捕捉されてひげが引っ張られるおそれがない。
短毛切断部10、またはかみそり刃38からなる長毛切断部37と正対する状態で毛起こし棒69を位置保持できるように節度構造を設けると、短毛切断部10の使用中はかみそり刃38を毛起こし棒69でカバーできるので、誤って長毛切断部37のかみそり刃38で肌面を傷つけるのを防止できる。また、長毛切断部37の使用中は短毛切断部10を毛起こし棒69でカバーできるので、誤って衣服等が短毛切断部10に巻き込まれるのを防止できる。
(実施例7) 図14から図16に本発明に係る電気かみそりの実施例7を示す。本実施例では、図14に示すように、仮想空間Sに臨むヘッドケース9の内偏寄周面9bに、毛屑室R内に保持された毛屑の排出を容易化する毛屑排出構造(機能構造)を設けるようにした。詳しくは、ヘッドケース9の周囲壁に、かみそりヘッド2の内部の毛屑室Rに連通する排出窓80を開口し、排出窓80を開閉体81で開閉できるようにして、先の機能構造を構成するようにした。開閉体81は、排出窓80を上下、すなわちかみそりヘッド2の中心軸線P2方向にスライド開閉するシャッター82で構成されている。図15に示すようにシャッター82は、ヘッドケース9の周面に沿う外突湾曲状に形成されており、その下端外面には、シャッター82の開閉操作時に指を掛けるための操作片83が設けられている。シャッター82の左右の縁部には、L字状の一対のガイド片84が設けられており、ガイド片84は、ヘッドケース9と同ケース9に固定した四角枠状のシャッター枠85とで形成されるガイド溝86でスライド案内されている。図示していないが、シャッター82は、開放位置と閉じ位置とで位置保持される保持構造を備えている。排出窓80と正対する支持フレーム22の連結枠24には排出開口87が形成されており、毛屑室Rの毛屑や洗浄水を効率よく排出窓80から排出できるようにしている。本実施例では、ヘッドケース9の先端面9cに、1個のかみそり刃38からなる長毛切断部37を設けるようにした。
毛屑室R内を清掃する場合には、図16に示すようにシャッター82を開放し、電気かみそりの姿勢を排出窓80が下向きになる状態に保持する。この状態で、短毛切断部10から洗浄水を毛屑室Rに供給し、排出開口87および排出窓80を介して洗浄水とともに毛屑を排出し毛屑室Rを洗浄する。このとき、モーター3を起動しておくことで、毛屑室Rで洗浄水を攪拌してより効果的に毛屑室Rが洗浄できる。洗浄後もシャッター82を開放しておけば、毛屑室Rの乾燥が促進される。なお、排出窓80から洗浄水を供給して短毛切断部10からひげ屑とともに洗浄水を排出することができる。すなわち排出窓80は洗浄水の導入窓とすることができる。また、洗浄水を用いずに、シャッター82を開放した状態で電気かみそりを振り動かすことでも毛屑を排出することができる。
上記のように、機能構造エリアF2に臨むヘッドケース9の周囲壁に、排出窓80と排出窓80を開閉する開閉体81を含む機能構造を設けると、開閉体81を開放して排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口させることにより、毛屑室R内の毛屑を簡便に排出できる。また、短毛切断部10から洗浄水を供給することで、毛屑室R内を水洗いしながら、洗浄水とともに毛屑を排出できる。従って、毛屑室R内に溜まった毛屑の清掃を容易化して、手軽に毛屑室Rの清掃を行うことができる。また、開閉体81をシャッター82で構成すると、開閉体81の構造を簡素化でき、さらにシャッター82をスライドするだけの簡単な操作で、排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口させることができる。指掛け用の操作片83を設けたシャッター82によれば、操作片83を利用してシャッター82のスライド操作を片手で的確に行うことができる。
(実施例8) 図17および図18に本発明に係る電気かみそりの実施例8を示す。本実施例では、ヘッドケース9に実施例7と同様の開閉体81を設けるが、ガイド溝86の上端をヘッドケース9の先端面9cに露出させる点が実施例7と異なる。こうした開閉体81によれば、シャッター82をスライド操作して排出窓80を開放した状態において、ヘッドケース9の先端からシャッター82の大部分(一部)を突出できる。なお、正面から見たシャッター枠85はコ字状に形成してある。このように、ヘッドケース9の先端からシャッター82の大部分を突出させると、排出窓80が開放されていることをシャッター82で表示できる。また、排出窓80が開放されていることを目視で確認できるので、排出窓80が開放されたままひげ切断が行われるのを効果的に防止できる。
(実施例9) 図19に本発明に係る電気かみそりの実施例9を示す。本実施例では、シャッター82をヘッドケース9の周方向にスライド開閉できるように構成した。これに伴い、ガイド片84はシャッター82の上下の縁部に設けられ、操作片83はシャッター82の右端外面に設けられている。図19に示す状態から、シャッター82を図19に向かって左側へスライド操作すると、排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口して毛屑を排出できる。このように、シャッター82のスライド方向は、かみそりヘッド2の中心軸線P2に沿う方向だけでなく、かみそりヘッド2の周方向であってもよい。
(実施例10) 図20に本発明に係る電気かみそりの実施例10を示す。本実施例では、開閉体81は、ヘッドケース9で軸支される揺動軸90を備えており、開閉体81がヘッドケース9で揺動開閉可能に支持されている。揺動軸90は、開閉体81の右端上下にかみそりヘッド2の中心軸線P2と平行に設けられており、開閉体81は揺動軸90を中心にして前後方向に揺動開閉できる。操作片83は開閉体81の左端外面に設けられている。なお、符号91は、開閉体81を閉姿勢に保持するロック爪である。このように、揺動開閉可能に支持した開閉体81によれば、排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって大きく開口することができるので、毛屑室R内の毛屑を素早く排出できる。また、開閉体81を開放した状態で開閉体81の内面を洗浄水で洗い流すことができるので、毛屑の洗浄をより確実に行って、毛屑室Rをより清潔に保つことができる。
(実施例11) 図21および図22に本発明に係る電気かみそりの実施例11を示す。本実施例では、図21に示すように開閉体81は、外突湾曲状の主壁93と、主壁93の左右縁部から後向きに延出される一対の側壁94とで構成されて、その断面形状はU字型の樋状に形成されている。主壁93の本体ケース1側の端部には、ヘッドケース9で軸支される揺動軸90が設けられている。揺動軸90はかみそりヘッド2の中心軸線P2と直交しており、開閉体81は側面視において前後方向に揺動開閉できる。開閉体81は、ヘッドケース9と開閉体81の本体ケース1側の端部とが当接することで揺動限界が規定され、開放位置で位置保持されるようになっている。開閉体81が開放位置に位置保持された状態においては、かみそりヘッドの中心軸線P2と開閉体81の中心軸線P3が挟む角度θ1が鋭角に設定されている。本実施例では角度θ1は17度に設定している。上記の「U字型の樋状」とは、例えば主壁93から同じ曲率で連続する一対の側壁94を備える形態、換言すれば、部分円弧状断面の開閉体81も含む意味である。
上記のように、揺動軸90を、かみそりヘッド2の中心軸線P2と直交し、かつヘッドケース9の本体ケース1側の端部に位置する状態で配置すると、排出窓80から排出される毛屑や洗浄水が本体ケース1側に飛び散るのを開閉体81で受け止めて、本体ケース1を把持する手指などに毛屑や洗浄水が付着するのを抑制できる。また、開閉体81の断面形状を樋状に形成すると、開閉体81で受け止めた洗浄水をガイドして、揺動先端から毛屑や洗浄水を捨てることができるので、洗浄時に毛屑や洗浄水が周囲に飛散するのを防止できる。
開閉体81が開放位置に位置保持された状態において、かみそりヘッドの中心軸線P2と開閉体81の中心軸線P3が挟む角度θ1を鋭角に設定すると、電気かみそりの洗浄姿勢において、排出窓80の下方に開閉体81を位置させ、排出窓80から排出された洗浄水を開閉体81で受け止めて、開閉体81の内面を同時に洗浄することができる。従って、毛屑を的確に洗い流して毛屑室R内を清潔に保つことができる。
(実施例12) 図23に本発明に係る電気かみそりの実施例12を示す。本実施例では、主壁93が平坦に形成されて、開閉体81の断面形状が横臥コ字型の樋状に形成されている。このように、開閉体81の断面形状は先の実施例11のようにU字型の樋状に限られない。
(実施例13) 図24に本発明に係る電気かみそりの実施例13を示す。本実施例では、ヘッドケース9で揺動開閉可能に支持した開閉体81を開閉操作するための操作具96が、本体ケース1に設けられている。操作具96は、本体ケース1の前面に上下スライド可能に設けられる操作ノブ97と、操作ノブ97と開閉体81とを接続するL字状の接続アーム98とからなり、接続アーム98の上端が開閉体81の主壁93の下端外面に、相対回動自在に接続されている。閉姿勢にある開閉体81は、操作ノブ97を下側にスライド操作することで開放姿勢へと開操作される。逆に開放姿勢にある開閉体81は、操作ノブ97を上側にスライド操作することで閉姿勢へと閉じ操作される。このように、本体ケース1に操作具96を設けると、本体ケース1を把持した状態のまま指先で開閉体81を開閉操作できるので、開閉体81の開閉を片手でしかも容易に行うことができる。
(実施例14) 図25および図26に本発明に係る電気かみそりの実施例14を示す。本実施例では、ヘッドケース9は、支持フレーム22の上端に固定される先端ケース101と、固定刃14を着脱自在に保持する固定刃ホルダー102と、排出窓80を開閉する開閉体81を備えている。開閉体81と固定刃ホルダー102はそれぞれ半筒状に形成されており、ヒンジピン103が内挿されるヒンジ部104を介して相対揺動可能に連結されている。開閉体81と固定刃ホルダー102の揺動先端どうしを接触させた状態では、円筒を呈している。固定刃ホルダー102はヘッドケース9の外偏寄周面9aを構成しており、開閉体81はヘッドケース9の内偏寄周面9bを構成している。図25に想像線で示すように、ヘッドケース9は、固定刃ホルダー102および開閉体81が、可動刃15および支持フレーム22の周囲を覆う閉じ姿勢と、開閉体81および固定刃ホルダー102が、可動刃15および支持フレーム22の周囲を開放する開放姿勢との間でそれぞれ揺動開閉できる。本実施例においては、開閉体81を開放姿勢としたときのヘッドケース9の前面側が排出窓80となっている。固定刃ホルダー102および開閉体81を閉じ姿勢にした状態においては、ヒンジ部104の内面が支持フレーム22の連結枠24の右側面に設けた支持凹部105で受止められている。また、開閉体81および固定刃ホルダー102の揺動先端に設けられた係合爪(係合部)106が、支持フレーム22の連結枠24の左側面に設けられた係合溝107とそれぞれ係合している。図示していないが、開閉体81と固定刃ホルダー102のそれぞれは、図25に示す閉じ姿勢から180度回転させた位置で位置保持される保持構造を備えている。本体ケース1の連結ボス29には、支持フレーム22の装着部分を隠蔽するための目隠しリング108が外嵌装着されている。
上記の電気かみそりによれば、開閉体81のみを開放姿勢にすることで排出窓80をヘッドケース9の外面に向かって開口させ、毛屑や短毛切断部10から供給した洗浄水を排出窓80から排出できる。また、開閉体81を閉じ姿勢のまま固定刃ホルダー102を開放姿勢にすることで、固定刃ホルダー102で着脱自在に保持される固定刃14を取外し、新規な固定刃14と交換することができる。さらに、固定刃ホルダー102および開閉体81を開放姿勢にした状態においては、両者81・102はヒンジ部104の内面が支持フレーム22で受止められているだけであるので、図26に示すように、固定刃ホルダー102および開閉体81を先端ケース101から分離することができる。これにより、可動刃15および支持フレーム22を露呈させた状態で洗浄でき、さらに固定刃ホルダー102および開閉体81の内面も洗浄することができるので、毛屑を的確に洗い流して毛屑室Rをより清潔に保つことができる。
上記の実施例では、固定刃ホルダー102で固定刃14を着脱自在に保持したが、固定刃14を固定刃ホルダー102に分離不能に固定する形態を採ることができる。この場合には、固定刃14の交換は、開閉体81と固定刃ホルダー102のすべてをまるごと交換することになる。
(実施例15) 図27に本発明に係る電気かみそりの実施例15を示す。本実施例では、短毛切断部10の可動刃15は往復刃で構成されている。可動刃15は、一群のスリット刃を備える内切刃110と、内切刃110をU字状に保持する内切刃ホルダー111と、内切刃ホルダー111の上下端に設けられる一対の可動刃軸112で構成されている。上下の可動刃軸112は、支持フレーム22の先端支持枠23および基端支持枠25で摺動自在に支持されている。モーター3と可動刃15の間には、フェースギヤ113とリンクアーム114とが設けられており、下側の可動刃軸112とリンクアーム114とは、相対回動自在に連結されている。モーター3を起動すると、フェースギヤ113およびリンクアーム114で回転動力が往復動力に変換され、可動刃15が上下に往復駆動される。なお、図27において符号115はブッシュを示している。機能構造エリアF2には、かみそり刃38を配置した長毛切断部37と、毛起こし機能を有する肌接触体48とが設けられている。
上記のかみそり刃38を配置した長毛切断部37に換えて、かみそりヘッド2の中心軸線P2方向に伸びる、櫛状固定刃と櫛状可動刃からなる長毛切断部37を設けることができる。櫛状可動刃は可動刃軸112と接続されており、可動刃軸112から往復動力を受けることで伸び方向に沿って往復動され、櫛状固定刃と協同して長毛やくせ毛を切断できる。本実施例において、先の実施例4と同様の起振モーター65を含む起振構造を設けることができる。起振構造を設けることで肌面に対して直交する向きに固定刃14を振動させることができ、これにより、断続的に固定刃14を肌面に押し付けることができるので、固定刃14の内方にひげをより深く導入して、仕上げ剃りにおいて深ぞりすることができる。
機能構造エリアF2に設けられる機能構造としては、上記で説明した長毛切断部37、肌接触体48、毛屑排出構造以外に、冷却構造、加熱構造、イオン導入出構造などの肌処理構造を挙げることができる。機能構造エリアF2に冷却構造または加熱構造を設ける場合には、ヘッドケース9の外面に伝熱板を設け、伝熱板の内面側にペルチェ素子およびヒートシンクを搭載する。ペルチェ素子は印加する電圧の正逆を切り替えることで伝熱板を冷却し、あるいは加熱できる。冷却した伝熱板を肌面にあてがうことにより、肌面を冷やしてひげ剃り後のヒリ付きを緩和することができる。また、加熱した伝熱板でひげを温めることにより、ひげを柔らかくしてひげ切断を容易化することができる。機能構造エリアF2にイオン導入出構造を設ける場合には、ヘッドケース9の外面に肌電極を設け、本体ケース1にグリップ電極を設ける。グリップ電極に触れるように本体ケース1を手で把持し肌電極を肌面に接触させた状態で、肌電極に正逆の電圧を印加することにより、毛穴内の汚れを肌電極で吸着し、あるいは肌面上の水分等を肌内部に導入できる。
以上のように、上記の各実施例のように構成した電気かみそりによれば、短毛切断エリアF1に設けた短毛切断部10による短毛切断に加え、機能構造エリアF2に設けた機能構造による付加的機能を発揮させて、短毛切断動作と、機能構造におけるひげ切断、切断前処理、あるいは肌処理などの動作を、他の器具に持ち替えることなく一連の動作として行うことができる。従って、全体が棒状に構成されている電気かみそりにおいて、操作性を維持しつつ実用利便性を向上できる。
上記の実施例では、本体ケース1およびかみそりヘッド2の断面の外郭形状を円状に形成したが、楕円状、四角形状、あるいは多角形状などに形成することができる。本体ケース1とかみそりヘッド2の断面外郭形状は、同一形状である必要はなく、例えば、本体ケース1の断面外郭形状を六角形に形成し、かみそりヘッド2の断面外郭形状を楕円形に形成してもよい。