第1の発明は、水素を含有する燃料ガス及び酸素を含有する酸化剤ガスが供給され、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池スタックと、燃料電池スタックから排出された燃料ガスを再び燃料電池スタックへ供給する燃料ガス循環経路と、燃料ガス循環経路内の燃料ガスを外部へ排出するパージ弁と、パージ弁の下流に接続された燃料ガス排出経路と、制御部と、を備え、制御部は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合、燃料ガス循環経路の圧力を燃料電池スタックの正常発電時よりも高い第一設定圧力に高めて、燃料ガス排出経路から燃料ガスを排出するパージ動作を行うように設定されていることにより、パージ弁又は燃料ガス排出経路に水詰まりが発生して、燃料ガス排出動作を正常に行うことが出来ない場合でも、燃料ガス循環経路の圧力を正常発電時よりも高くすることで、水詰まり部位の上流と下流とで正常発電時よりも大きな圧力差をつけることが可能となり、パージ動作により詰まっている水を排出でき、水詰まりを解消することができる。
「燃料電池スタックの正常発電時」は、例えば、燃料ガス排出動作又はパージ動作を行っている間を除いた燃料電池スタックの発電時を意味する。
第2の発明は、特に、第1の発明の燃料電池システムにおいて、制御部は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合、パージ弁を閉じて、燃料ガス循環経路の圧力を第一設定圧力に高めてから、パージ弁を開放して、パージ動作を行うように設定されていることにより、燃料ガス循環経路の圧力を燃料電池スタックの正常発電時よりも高い第一設定圧力に上げる際、パージ弁を通じて燃料ガスが流出することがなくなり、燃料ガス循環経路の圧力を上昇させ易くすることができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路に対して供給されている燃料ガスの供給圧力が、第一設定圧力よりも高い燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料ガス供給経路に流通する燃料ガスの流量を燃料電池スタックの正常発電時よりも少なくすることで、燃料ガス循環経路の圧力を第一設定圧力に高めることにより、燃料ガス循環経路の圧力を正常発電時よりも高めることになり、パージ弁又は燃料ガス排出経路の水詰まりを解消することができる。
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路に対して供給されている燃料ガスの供給圧力が、第一設定圧力よりも高い燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料電池スタックの発電量を下げることで、燃料ガス循環経路の圧力を第一設定圧力に高めることにより、燃料ガス循環経路の圧力を正常発電時よりも高めることになり、パージ弁又は燃料ガス排出経路の水詰まりを解消することができる。
第5の発明は、特に、第3または第4の発明の燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料電池スタックの発電を停止することで、燃料ガス循環経路の圧力を第一設定圧力に高めることにより、燃料ガス供給経路に流通するガスをさらに減少させ、又は、停止させることになり、燃料ガス循環経路の圧力を上昇させ易くすることができる。
第6の発明は、特に、第5の発明の燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路に設けられた燃料ガス遮断弁を備え、制御部は、燃料電池スタックの発電を通常に停止した場合には、燃料ガス遮断弁を閉止することにより、通常に発電を停止した場合は、燃料ガス遮断弁を閉止して燃料ガスが流通し続けることを防止することになり、燃料ガスの消費量を抑制することができる。
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料ガス排出経路からの燃料ガス排出動作としてのパージ弁の開放動作を、所定周期で実施することにより、燃料ガス循環経路に不純物が濃縮され続けることを防止することとなり、燃料電池スタックの電圧が低下したり、燃料電池スタックが劣化することを防ぐことができる。
第8の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料ガス排出経路からの燃料ガス排出動作としてのパージ弁の開放動作を、燃料電池スタックのスタック電圧が第一所定電圧まで低下したときに実施することにより、燃料ガス循環経路に流通する燃料ガス中の不純物の濃度が上昇し、燃料電池スタックに影響を及ぼす場合には、不純物を含んだ燃料ガスを排出することとなり、燃料電池スタックに多量の不純物が供給されることを防止することができる。
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、制御部は、パージ弁を開放しても燃料電池スタックのスタック電圧が第二所定電圧まで上昇しない場合は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合であると判断して、パージ動作を行うことにより、燃料ガスの排出動作を行っても、水詰まりにより燃料ガスの排出が正常に行われていない場合には、水詰まりを解消するためにパージ動作を行うこととなり、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
第10の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックに燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路に流通する燃料ガスの流量を計測する燃料ガス流量計を備え、制御部は、パージ弁を開放しても燃料ガス流量計の出力値が第一所定流量まで上昇しない場合は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合であると判断して、パージ動作を行うことにより、燃料ガスの排出動作を行っても排出動作が正常に行われないことを燃料ガス流量計で検知できるようになり、パージ弁または燃料ガス循環経路の水詰まりを解消するパージ動作を行うことができるため、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
第11の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、燃料ガス排出経路に流通する燃料ガスの流量を計測する排出ガス流量計を備え、制御部は、パージ弁を開放しても排出ガス流量計の出力値が第二所定流量まで上昇しない場合は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合であると判断して、パージ動作を行うことにより、燃料ガスの排出動作を行っても排出動作が正常に行われないことを排出ガス流量計で検知できるようになり、パージ弁又は燃料ガス循環経路の水詰まりを解消するパージ動作を行うことができるため、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
第12の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、燃料ガス排出経路の圧力を計測する排出経路ガス圧力計を備え、制御部は、パージ弁を開放しても排出経路ガス圧力計の出力値が第一所定圧力まで上昇しない場合は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合であると判断して、パージ動作を行うことにより、燃料ガスの排出動作を行っても排出動作が正常に行われないことを排出経路ガス圧力計で検知できるようになり、パージ弁又は燃料ガス循環経路の水詰まりを解消するパージ動作を行うことができるため、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
第13の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、燃料ガス循環経路の圧力を計測する循環経路ガス圧力計を備え、制御部は、パージ弁を開放しても循環経路ガス圧力計の出力値が第二所定圧力まで下降しない場合は、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合であると判断して、パージ動作を行うことにより、燃料ガスの排出動作を行っても排出動作が正常に行われないことを循環経路ガス圧力計で検知できるようになり、パージ弁又は燃料ガス循環経路の水詰まりを解消するパージ動作を行うことができるため、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
第14の発明は、特に、第1〜第13のいずれか1つの発明の燃料電池システムにおいて、制御部は、燃料ガス循環経路の圧力を第一設定圧力に高めて、パージ動作を行っても、燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合、燃料ガス循環経路の圧力を第一設定圧力よりも高い第二設定圧力に高めて、再度パージ動作を行うことにより、燃料ガス循環経路の圧力を所定圧力に上げてパージ動作を行っても水詰まりが解消しない場合には、さらに燃料ガス循環経路の圧力を上昇させてパージ動作を行うこととなり、水詰まりの異常を解消させ易くなるため、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。
第15の発明は、水素を含有する燃料ガス及び酸素を含有する酸化剤ガスが供給され、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池スタックと、燃料電池スタックから排出された燃料ガスを再び燃料電池スタックへ供給する燃料ガス循環経路と、燃料ガス循環経路内の燃料ガスを外部へ排出するパージ弁と、パージ弁の下流に接続された燃料ガス排出経路と、を備えた燃料電池システムの運転方法であって、パージ弁を開放しても燃料ガスが燃料ガス排出経路から正常に排出されない場合、燃料ガス循環経路の圧力を燃料電池スタックの正常発電時よりも高い第一設定圧力に高めて、燃料ガス排出経路から燃料ガスを排出するパージ動作を行うように設定されていることにより、パージ弁又は燃料ガス排出経路に水詰まりが発生して、燃料ガス排出動作を正常に行うことが出来ない場合でも、燃料ガス循環経路の圧力を正常発電時よりも高くすることで、水詰まり部位の上流と下流とでのガス圧力差を正常発電時よりも大きくすることが可能となり、パージ動作により詰まっている水を排出でき、水詰まりを解消することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における燃料電池システムの構成のブロック図を示すものである。
図1において、燃料電池システム100は、燃料電池スタック1と、燃料ガス供給経路2と、燃料ガス循環経路3と、パージ弁4と、燃料ガス排出経路5と、燃料ガス遮断弁6と、ポンプ7と、制御部8とを備える。
燃料電池スタック1は、水素を含有する燃料ガス及び酸素を含有する酸化剤ガスを用いて発電するものである。燃料ガスと酸化剤ガスとは、それぞれの供給装置(図示せず)により供給する。本実施の形態では、燃料ガスとして純水素ガスを用い、燃料電池システム内で発生する圧力損失よりも高い圧力で供給する。また、酸化剤ガスとして空気を用いた。燃料電池スタック1には、例えば、固体高分子型燃料電池を用いる。
燃料ガス供給経路2は、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給するための経路である。
燃料ガス循環経路3は、燃料電池スタック1から排出された燃料ガスを再び燃料電池スタック1へ供給するための経路である。
パージ弁4は、燃料ガス循環経路内の燃料ガスを外部へ排出するために経路を開閉する開閉弁である。本実施の形態では、電磁弁を使用する。
燃料ガス排出経路5は、パージ弁4の下流に接続され、パージ弁4を開放した際に、燃料ガス循環経路3からパージ弁4を通過して燃料ガスが排出される経路である。本実施の形態では、排出した燃料ガスを空気で希釈することで、燃料ガスに含まれる水素の濃度を可燃範囲以下に下げて、大気に放出する。
燃料ガス遮断弁6は、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路2に設けられ、燃料ガスの供給を遮断する弁である。本実施の形態では、電磁弁を用いた。燃料電池システム100の運転停止時に、燃料ガス遮断弁6を閉止することで、燃料電池スタック1に燃料ガスが供給され続けることを防止する。
ポンプ7は、燃料ガス循環経路3に燃料ガスを循環させるために、燃料ガス循環経路3に設置したポンプである。
制御部8は、燃料電池システム100を制御するための制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部には、CPUが例示される。記憶部には、メモリーが例示される。
固体高分子型燃料電池の構成は、一般的に、MEAをセパレータで挟持した構造となっている。MEAは、一般的には、ガス拡散層、カソード触媒層、固体高分子電解質膜、アノード触媒層及びガス拡散層が積層した構造を有する。電池反応は、触媒、触媒を担持する担体及びアイオノマー(イオン伝導性高分子)からなる触媒層において進行する。
燃料電池スタック1は、燃料電池スタック1内のガス流路のガス拡散の性能などから、供給された燃料ガスを全て発電に使用することが困難であり、燃料電池スタック1からは燃料ガスが排出される。この排出された燃料ガスを捨ててしまうと、燃料ガスを無駄にしてしまうため、燃料電池システム100の効率が低下してしまう。そこで、燃料電池スタック1から排出された燃料ガスを、燃料ガス循環経路3を通して、ポンプ7により、再び燃料電池スタック1に供給することで、燃料ガスの無駄をなくし、燃料電池システム100を高効率化することができる。
しかしながら、燃料ガスを燃料ガス循環経路3にて循環させると、燃料ガスに元々含まれていた不純物が、燃料電池システム100の運転を継続するにつれ、濃縮されてしまう。
このように、燃料ガス中に不純物が濃縮されると、燃料電池スタック1での発電を阻害する原因となり、燃料電池スタック1の発電時のスタック電圧が低下して、燃料電池システム100の発電効率が低下する。さらに、燃料ガス中の不純物の濃度によっては、燃料電池スタック1が発電出来なくなり、燃料電池システム100が運転出来なくなってしまう。
そこで、燃料ガス循環経路3の燃料ガス中の不純物濃度を所定濃度以下に低減するために、燃料ガス循環経路3内の不純物を燃料ガスとともに、燃料ガス排出経路5から排出する。燃料ガス排出動作は、パージ弁4を開放し、燃料ガス排出経路5から燃料ガスを排出する動作である。本実施の形態では、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作を実施するか否かを燃料電池スタック1のスタック電圧により決定する。スタック電圧が第一所定電圧以下であれば、燃料電池スタック1が燃料ガス中の不純物により性能低下していると考えられるため、燃料ガス排出動作を実施する。燃料ガス排出動作を実施し、正常に燃料ガス循環経路3の燃料ガス中の不純物濃度が低下したならば、燃料電池スタック1のスタック電圧は、第二所定電圧以上に回復するが、燃料電池スタック1のスタック電圧が第二所定電圧未満であれば、燃料ガス排出動作は、燃料ガス排出経路5又はパージ弁4での水詰まりにより正常に実施出来ていない。その場合は、以下で述べる水詰まりを解消する動作を実施する。本実施の形態では、第一所定電圧を13Vとし、第二所定電圧を15Vとした。燃料電池システム100の定格運転時における燃料電池スタック1の定格出力電圧がV0であるとき、第一所定電圧V1は、例えば、0.8V0≦V1≦0.9V0の範囲内で定められる閾値電圧である。第二所定電圧V2は、第一所定電圧よりも高い閾値電圧であり、例えば、0.9V0<V2≦V0の範囲内で定められる。
ここで、燃料電池スタック1内には発電に伴い生成する水が存在し、その水が燃料電池スタック1のアノード側にも水蒸気として存在する。そのため、燃料ガス循環経路3を流通する燃料ガス中には水蒸気が存在し、燃料ガス循環経路3における配管での放熱などで内部に流通する燃料ガスの温度が低下すると、水蒸気が凝縮し、液体となる可能性がある。この液体である水が、燃料ガス排出動作を行う際、パージ弁4又は燃料ガス排出経路5に流通することになる。パージ弁4又は燃料ガス排出経路5に水滴が1つ付着しても、燃料ガス循環経路3の圧力と燃料ガス排出経路5の排出先の圧力との圧力差により、水滴を下流に飛ばして排出するように設計したとしても、水滴の付着状態によっては、例えば、液層と気層とが交互に複数個存在するような状態も起こりうる。そのようになると、パージ弁4又は燃料ガス排出経路5内のガス流路と水滴との間で発生する表面張力の力が液層の数だけ増すことになり、通常運転時の燃料ガス循環経路3の圧力では水滴を排出出来なくなる。水滴を排出出来なくなると、パージ弁4を開放する燃料ガス排出動作を行っても、燃料ガスを排出出来ないため、燃料ガス循環経路3内の不純物濃度は時間経過とともに上昇してしまい、いずれ燃料電池システム100は、発電を行うことが出来なくなる。このような異常発生を防止するために、燃料ガス排出動作が正常に実施出来ていない場合には、燃料ガス循環経路3の圧力を通常運転時の圧力よりも高い第一設定圧力に上げる。本実施の形態では通常運転時の圧力を5kPaとし、第一設定圧力を10kPaとした。燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPa以上として、燃料ガス循環経路3の圧力と燃料ガス排出経路5の排出先の圧力との圧力差を通常運転時よりも高くすることで、水滴の表面張力を上回る力を水滴に加え、水滴を燃料ガス排出経路5から外部へ排出することが可能となる。
これにより、燃料ガスを燃料ガス排出経路5から安定して排出することができるようになり、燃料電池システム100を安定して運転することが可能となる。このように、水滴を排出した上で燃料ガス中の不純物を排出する動作をパージ動作と呼ぶ。すなわち、本実施形態では、燃料ガス排出動作にて所定の動作が実現しない場合、燃料ガス循環経路3の圧力を高め、パージ動作を行っている。本実施の形態では、燃料ガス排出動作を30秒間継続し、パージ動作を60秒間継続することとした。パージ動作は、水滴を排出する時間と、燃料ガスを排出する時間とが必要なため、燃料ガス排出動作よりも時間を長く設定した。
ここで、燃料電池システム100が燃料ガス排出動作を実施しても、所定の動作として燃料電池スタック1の電圧が回復しない場合には、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上昇させるが、その際、パージ弁4を閉止しておく。そうすることで、燃料ガス循環経路3の圧力を上昇させている間に、燃料ガス排出経路5を通して、燃料ガスが流れ出ることを防止することができる。燃料ガスが燃料ガス循環経路3から外部に流通することがなくなるため、燃料ガス循環経路3の圧力をより上昇させ易くすることが出来る。そして、燃料ガス循環経路3の圧力が第一設定圧力10kPaを上回った場合に、パージ弁4を開放することで、水詰まりを解消させるパージ動作を実施することができる。
燃料ガス循環経路3内の圧力を上昇させる方法は、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガス流量を正常発電時よりも少なくすることである。そうすることで、燃料ガス供給経路2の配管や部品類の流路にて発生する圧力損失を低減することが出来る。ここで、燃料電池スタック1に供給される燃料ガスの圧力は、燃料ガス供給経路2に供給された燃料ガスが保有していた圧力から燃料ガス供給経路2での圧力損失により失われた圧力を引いた圧力である。燃料ガス供給経路2に供給される燃料ガスは一定の圧力を保有しているため、燃料ガス流量を減らすことで、燃料ガス供給経路2での圧力損失が減り、燃料電池スタック1に供給される燃料ガスの圧力を正常発電時よりも高めることができる。燃料ガス流量を減らす手段として、燃料電池スタック1にて通常時よりも少ない発電電力を生み出すように運転することで、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスを減らすことが出来る。燃料電池スタックが発電する電力の量のことを本実施の形態では発電量と呼ぶ。本実施の形態では、通常700Wで発電する燃料電池スタック1を100Wで発電することとした。
以上のように構成された燃料電池システム100について、以下その動作、作用を、図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態1の燃料電池システムの運転方法のフローチャートである。この動作は、制御部8の制御によって実行される。
図2に示すように、制御部8は、燃料電池システム100が発電を開始した時点をスタートとし、常時以下の動作を行う。
制御部8は、燃料電池スタック1のスタック電圧を確認する(S101)。次に、スタック電圧が第一所定電圧13V以下であるか否かを判定する(S102)。スタック電圧が第一所定電圧13Vより大きければS101に戻り、スタック電圧が第一所定電圧13V以下であれば、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作としてパージ弁4を開放する(S103)。30秒間継続後、スタック電圧が第二所定電圧未満か否かを確認し(S104)、スタック電圧が第二所定電圧15V以上であれば、パージ弁4を閉止して(S105)、S101に戻る。次に、スタック電圧が第二所定電圧15V未満であれば、パージ弁4を閉止する(S106)。次に、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガス流量を正常発電時よりも少なくするために、燃料電池スタック1の発電量を下げる(S107)。具体的には、燃料電池スタック1から取り出す電力を低下させる。次に、パージ動作としてパージ弁4を開放し、60秒間継続する(S108)。その後、パージ弁4を閉止して(S109)、S101に戻る。各ステップは、各ステップを実施完了後、待機時間を設けずに瞬時に移行するようにする。
以上のように、本実施の形態において、燃料電池スタック1のスタック電圧に基づき、燃料ガス排出動作を実施することで、燃料ガス循環経路3の燃料ガス中の不純物が燃料電池スタック1に影響していることを検知し、不純物を排出することが出来る。また、不純物の排出が不十分なために燃料電池スタック1への影響があることを、燃料電池スタック1の電圧により検知可能となり、パージ動作を実施することで、改善することが出来る。さらに、燃料ガス循環経路3の燃料ガスを排出する燃料ガス排出動作が水詰まりなどにより正常に行えず、燃料電池スタック1の電圧が第一所定電圧13V以下に低下する場合には、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上げることで、パージ動作にて水詰まりを解消することができ、燃料ガス循環経路3から安定して燃料ガスを排出することが可能となり、燃料ガス循環経路3の燃料ガス中の不純物濃度が上昇し過ぎて、燃料電池システム100が発電出来なくなることを防止することが出来る。
これらの動作により、燃料電池システム100を安定して運転させることが可能となる。
なお、スタック電圧は、燃料電池スタック1全体の電圧であっても構わないし、ある特定のセルの電圧であっても構わない。
また、本実施の形態では、スタック電圧の値そのもので判定したが、正常時のスタック電圧に対する変化率、変化幅などで判定しても構わない。
なお、燃料ガス循環経路3に燃料ガスを循環させるために、燃料ガス循環経路3にポンプを設置せず、燃料ガス供給経路2と燃料ガス循環経路3とが合流する部位にエジェクタ又はインジェクタを設置しても構わない。
なお、燃料ガス排出動作を継続する時間は、燃料ガス循環経路3から不純物を排出することが出来れば、いかなる時間であっても構わない。
また、パージ動作を継続する時間は、パージ弁4又は燃料ガス排出経路5での水詰まりを解消し、燃料ガス循環経路3内の不純物を排出することが出来れば、いかなる時間であっても構わない。
なお、第一設定圧力10kPaは、通常運転時の圧力よりも高く、パージ動作により、液滴が抜け易くなれば、いかなる圧力であっても構わない。
なお、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上昇させても、パージ動作により水詰まりが解消しない場合には、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaよりも高い第二設定圧力に上昇させて、再度パージ動作を実施してもよい。さらに、第二設定圧力に上昇させても水詰まりを解消出来ない場合には、燃料ガス循環経路3の圧力を第二設定圧力よりも高い第三設定圧力に上昇させて、再度パージ動作を実施しても構わない。このように設定圧力を上昇させるパージ動作を水詰まりが解消されるまで繰り返し行っても構わない。
また、第一所定電圧13V及び第二所定電圧15Vは、燃料電池システム100を安定して運転できれば、いかなる設定値であってもかまわない。
(実施の形態2)
実施の形態2における燃料電池システムの構成について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態2における燃料電池システムの構成のブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については同一符号を付与し、その説明はここでは省略する。
図3に示す燃料電池システム100は、燃料ガス供給経路2に、燃料ガスの流れ方向に対して燃料ガス遮断弁6の下流側に、燃料ガス流量計9を備える点で実施の形態1と異なっている。
燃料ガス流量計9は、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスの流量を計測する流量計である。
本実施の形態における燃料電池システム100を構成する各機器の動作にて、実施の形態1と異なる点について述べる。
本実施の形態では、制御部8は、燃料ガス排出動作をある所定時間おきに周期的に実施する。所定時間は、30分とする。
燃料ガス排出動作が正常に行われたか否かは、制御部8が、燃料ガス流量計9により計測された流量値をもとに検知する。燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われると、燃料ガス排出経路5から燃料ガスが排出されるため、燃料ガス供給経路2を流れる燃料ガスは、排出された燃料ガスに相当する流量分増加する。その流量の変化を燃料ガス流量計9で計測することにより、燃料ガスがどれくらい排出されたかを検知することができる。本実施の形態では、燃料ガス排出動作が正常に行われると、燃料ガス流量計9の値が第一所定流量以上に増加するように設定されている。そこで、燃料ガス流量計9の値が第一所定流量未満であるときに、燃料ガス排出動作が正常に行われなかったとして、パージ動作を実施する。本実施の形態では、第一所定流量を8L/minと設定したが、燃料電池システム100を安定に運転できれば、いかなる値でもかまわない。
燃料電池システム100が燃料ガス排出動作を実施しても、所定の動作が実現しない場合には、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上昇させる。燃料ガス循環経路3内の圧力を上昇させる方法は、燃料電池スタック1に燃料ガスを供給する燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガス流量を正常発電時よりも少なくすることである。そうすることで、燃料ガス供給経路2の配管又は部品類の流路にて発生する圧力損失を低減することが出来る。ここで、燃料電池スタック1に供給される燃料ガスの圧力は、燃料ガス供給経路2に供給された燃料ガスが保有していた圧力から燃料ガス供給経路2での圧力損失により失われた圧力を引いた圧力である。燃料ガス供給経路2に供給される燃料ガスは一定の圧力を保有しているため、燃料ガス流量を減らすことで、燃料ガス供給経路2での圧力損失が減り、燃料電池スタック1に供給される燃料ガスの圧力を正常発電時よりも高めることができる。
そこで、燃料ガスの供給量を低減するために、燃料電池スタック1にて、通常時よりも少ない発電電力を生み出すように運転することで、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスを減らすことが出来る。燃料電池スタックが発電する電力の量のことを本実施の形態では発電量と呼ぶ。本実施の形態では、通常700Wで発電する燃料電池スタック1を200Wで発電することとした。
以上のように構成された燃料電池システム100について、以下その動作、作用を、図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態2の燃料電池システムの運転方法のフローチャートである。この動作は制御部8の制御によって実行される。図4に示すように、制御部8は、燃料電池システム100の発電が開始された時点をスタートとし、常時以下の動作を行う。
制御部8は、燃料ガス排出動作タイマをリセットする(S201)。
次に、燃料ガス排出動作タイマをスタートする(S202)。次に、燃料ガス排出動作タイマが所定時間を経過したか否かを判定する(S203)。所定時間は、30分とした。所定時間が経過した場合には、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作としてパージ弁4を開放する(S204)。60秒経過後、燃料ガス流量計9の値を確認する(S205)。次に、燃料ガス流量計9の値が第一所定流量8L/min未満であるか否かを確認する(S206)。燃料ガス流量計9の値が第一所定流量8L/min以上であれば、パージ弁4を閉止し(S207)、S201に戻る。また、第一所定流量8L/min未満であれば、パージ弁4を閉止する(S208)。次に、燃料電池スタック1が発電する発電量を下げる(S209)。次に、パージ動作としてパージ弁4を開放し、120秒間継続する(S210)。次に、パージ弁4を閉止する(S211)。その後、S201に戻る。各ステップは、各ステップを実施完了後、瞬時に移行するようにする。
以上のように、本実施の形態において、燃料ガス循環経路3の燃料ガスを排出する燃料ガス排出動作を所定の周期で実施することが出来るため、燃料ガス循環経路3の燃料ガス中に不純物が濃縮され続けることを防止することが出来る。さらに、燃料ガス流量計9で計測する燃料ガスの流量値にもとづき、燃料ガス排出動作により燃料ガスがどれくらい排出されたか分かるため、より確実に燃料ガス排出動作の異常を検知することが可能となり、燃料電池システム100の信頼性を高めることができる。さらに、燃料ガス循環経路3の燃料ガスを排出する燃料ガス排出動作が水詰まりなどにより正常に行えない場合には、パージ弁4を閉止した上で、燃料電池スタック1の発電量を下げ、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上げることで、圧力を高め易くし、パージ動作を実施する前に、パージ弁4を開放することで、パージ動作にて水詰まりを解消することができ、燃料ガス循環経路3から安定して燃料ガスを排出することが可能となり、燃料ガス循環経路3の燃料ガス中の不純物濃度が上昇し過ぎて、燃料電池システム100が発電出来なくなることを防止することが出来る。
なお、第一所定流量8L/minは、燃料電池システム100の構成によって、異なってくるため、燃料ガス排出動作が正常かどうかを確認することができれば、いかなる流量値であってもかまわない。第一所定流量は、固定値である必要はなく、燃料電池システム100の発電量に応じて変化させてもかまわない。
また、第一所定流量は絶対値でなくてもよく、例えば、燃料ガス排出動作前後での燃料ガス流量計9の流量値の変化量であっても構わない。
なお、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上昇させるために、発電量をどの程度下げる必要があるかは、燃料電池システム100の設計による。本実施の発電量に限るものではなく、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上昇でき、かつ、燃料電池スタック1の発電が安定すれば、いかなる発電量であっても構わない。
(実施の形態3)
実施の形態3における燃料電池システムの構成について、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態3における燃料電池システムの構成のブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については同一符号を付与し、その説明はここでは省略する。
図5に示す燃料電池システム100は、燃料ガス排出経路5に排出ガス流量計10を備える点で実施の形態1と異なっている。
排出ガス流量計10は、燃料ガス排出経路5に流通する燃料ガスの流量を計測する流量計である。
本実施の形態における燃料電池システム100を構成する各機器の動作は、実施の形態1と同様であるため説明を省略するが、制御部8が、排出ガス流量計10により計測された流量値をもとに、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われたか否かを検知する点が異なっている。燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われると、燃料ガス排出経路5に燃料ガスが流通するため、その流量を排出ガス流量計10で計測することにより、燃料ガスがどれくらい排出されたかを計測することができる。本実施の形態では、燃料ガス排出動作が正常に行われると、排出ガス流量計10の値が第二所定流量以上に増加するように設定されている。そこで、排出ガス流量計10の値が第二所定流量未満であるときに、燃料ガス排出動作が正常に行われなかったとして、パージ動作を実施する。
本実施の形態では、第二所定流量を1L/minとしたが、燃料電池システム100を安定に運転できれば、いかなる値であってもかまわない。
以上のように構成された燃料電池システム100について、以下その動作、作用を、図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態3の燃料電池システムの運転方法のフローチャートである。この動作は、制御部8の制御によって実行される。図6に示すように、制御部8は、燃料電池システム100に発電が開始された時点をスタートとし、常時以下の動作を行う。
制御部8は、燃料ガス排出動作タイマをリセットする(S301)。次に、燃料ガス排出動作タイマをスタートする(S302)。次に、燃料ガス排出動作タイマが所定時間を経過したか否かを判定する(S303)。所定時間は、1時間とした。所定時間が経過した場合には、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作としてパージ弁4を開放する(S304)。15秒経過後に、排出ガス流量計10の値を確認する(S305)。次に、排出ガス流量計10の値が第二所定流量1L/min未満であるか否かを確認する(S306)。排出ガス流量計10の値が第二所定流量1L/min以上であれば、パージ弁4を閉止し(S307)、S301に戻る。また、第二所定流量1L/min未満であれば、パージ弁4を閉止する(S308)。次に、燃料電池スタック1の発電を停止する(S309)。燃料電池スタック1の発電を停止することで、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスの流量を減らし、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaまで上昇させる。次に、燃料ガス遮断弁6の開放を継続する(S310)。燃料ガス遮断弁6を閉止すると、燃料ガス供給経路2を通した燃料電池スタック1への燃料ガスの移動が無くなるため、燃料ガス循環経路3の圧力を上昇させることが出来なくなる。それを防止するために、燃料ガス遮断弁6を開放し続ける。次に、パージ動作としてパージ弁4を開放し、30秒間継続する(S311)。次に、パージ弁4を閉止する(S312)。その後、S301に戻る。各ステップは、各ステップを実施完了後、即、移行するようにする。
以上のように、本実施の形態において、排出ガス流量計10で計測する燃料ガスの流量値にもとづき、燃料ガス排出動作により燃料ガスがどれくらい排出されたかを計測できるため、より確実に燃料ガス排出動作の異常を検知することが可能となり、燃料電池システム100の信頼性を高めることができる。さらに、燃料ガス排出動作が水詰まりなどにより正常に行えない場合には、パージ弁4を閉止した上で、燃料電池スタック1の発電を停止することで、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスの流量を低減し、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaに上げ易くなり、燃料ガス循環経路3の燃料ガス中の不純物濃度が上昇し過ぎて、燃料電池システム100が発電出来なくなることを防止することが出来る。
なお、燃料ガス排出動作タイマの時間は、燃料電池システム100の構成によって異なるため、燃料電池システム100が安定した発電を継続出来るならば、いかなる時間であってもかまわない。
(実施の形態4)
実施の形態4における燃料電池システムの構成について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態4における燃料電池システムの構成のブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については同一符号を付与し、その説明はここでは省略する。
図7に示す燃料電池システム100は、燃料ガス排出経路5に排出経路ガス圧力計11を備える点で実施の形態1と異なっている。
排出経路ガス圧力計11は、燃料ガス排出経路5に流通する燃料ガスの圧力を計測する圧力計である。
本実施の形態における燃料電池システム100を構成する各機器の動作は、実施の形態1と同様であるため説明を省略するが、制御部8が、排出経路ガス圧力計11により計測された圧力値をもとに、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われたか否かを検知する点が異なっている。燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われると、燃料ガス排出経路5に燃料ガスが流通するため、燃料ガス排出経路5内のガスの圧力が上昇する。この圧力変化は、燃料ガスの流通量により変化し、流通量が多いほど圧力が高くなる。そこで、この圧力の変化を排出経路ガス圧力計11で計測することにより、燃料ガスが正常に排出されたかを検知することができる。本実施の形態では、燃料ガス排出動作が正常に行われると、排出経路ガス圧力計11の値が第一所定圧力以上に増加するように設定されている。そこで、排出経路ガス圧力計11の値が第一所定圧力未満であるときに、燃料ガス排出動作が正常に行われなかったとして、パージ動作を実施する。
本実施の形態では、第一所定圧力を1kPaと設定したが、燃料電池システム100を安定に動作できれば、いかなる値であってもかまわない。
以上のように構成された燃料電池システム100について、以下その動作、作用を、図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態4の燃料電池システムの運転方法のフローチャートである。この動作は、制御部8の制御によって実行される。図8に示すように、制御部8は、燃料電池システム100に発電が開始された時点をスタートとし、常時以下の動作を行う。
制御部8は、燃料ガス排出動作タイマをリセットする(S401)。次に、燃料ガス排出動作タイマをスタートする(S402)。次に、燃料ガス排出動作タイマが所定時間を経過したか否かを判定する(S403)。所定時間は、15分とした。所定時間が経過した場合には、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作としてパージ弁4を開放した後(S404)、20秒経過後に、排出経路ガス圧力計11の値を確認する(S405)。次に、排出経路ガス圧力計11の値が第一所定圧力1kPa未満であるか否かを確認する(S406)。排出経路ガス圧力計11の値が第一所定圧力1kPa以上であれば、パージ弁4を閉止し(S407)、S401に戻る。また、第一所定圧力1kPa未満であれば、パージ弁4を閉止する(S408)。次に、燃料電池スタック1の発電を停止する(S409)。燃料電池スタック1の発電を停止することで、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスの流量を減らし、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaまで上昇させる。次に、燃料ガス遮断弁6の開放を継続する(S410)。燃料ガス遮断弁6を閉止すると、燃料ガス供給経路2を通した燃料電池スタック1への燃料ガスの移動が無くなるため、燃料ガス循環経路3の圧力を上昇させることが出来なくなる。それを防止するために、燃料ガス遮断弁6を開放し続ける。次に、パージ動作としてパージ弁4を開放し、40秒間継続する(S411)。次に、パージ弁4を閉止する(S412)。その後、S401に戻る。各ステップは、各ステップを実施完了後、瞬時に移行するようにする。
以上のように、本実施の形態において、排出経路ガス圧力計11で計測する燃料ガスの圧力値にもとづき、燃料ガス排出動作により燃料ガスが正常に排出出来たか否かを検知できるため、燃料ガス排出動作の異常を検知することが可能となり、燃料電池システム100の信頼性を高めることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5における燃料電池システムの構成について、図9を用いて説明する。図9は、実施の形態5における燃料電池システムの構成のブロック図である。なお、実施の形態1と同様の構成要素については同一符号を付与し、その説明はここでは省略する。
図9に示す燃料電池システム100は、燃料ガス循環経路3に循環経路ガス圧力計12を備える点で実施の形態1と異なっている。
循環経路ガス圧力計12は、燃料ガス循環経路3に流通する燃料ガスの圧力を計測する圧力計である。
本実施の形態における燃料電池システム100を構成する各機器の動作は、実施の形態1と同様であるため説明を省略するが、制御部8が、循環経路ガス圧力計12により計測された圧力値をもとに、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われたか否かを検知する点が異なっている。燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作が正常に行われると、燃料ガス排出経路5から放出される燃料ガスに相当する量の燃料ガスが燃料ガス供給経路2から燃料電池スタック1に供給されることになり、燃料電池スタック1に流通する燃料ガス流量は過渡的に増加する。燃料電池スタック1に流通する燃料ガス流量が増加すると、燃料電池スタック1及びその周辺配管などで発生する圧力損失が増加する。そのため、燃料電池スタック1の下流側にある燃料ガス循環経路4内の燃料ガスの圧力は、燃料ガス流量が増加すると低下する。この圧力低下を循環経路ガス圧力計12により検知することで、燃料ガス排出動作が正常に行われたか否かを検知する。本実施の形態では、燃料ガス排出動作が正常に行われると、循環経路ガス圧力計12の値が第二所定圧力以下に低下するように設定されている。そこで、循環経路ガス圧力計12の値が第二所定圧力より大きいときに、燃料ガス排出動作が正常に行われなかったとして、パージ動作を実施する。
以上のように構成された燃料電池システム100について、以下その動作、作用を、図10を参照しながら説明する。
本実施の形態では、第二所定圧力を4kPaと設定したが、燃料電池システム100を安定に運転できれば、いかなる値であってもかまわない。
図10は、本実施の形態5の燃料電池システムの運転方法のフローチャートである。この動作は制御部8の制御によって実行される。図10に示すように、制御部8は、燃料電池システム100の発電が開始された時点をスタートとし、常時以下の動作を行う。
制御部8は、燃料ガス排出動作タイマをリセットする(S501)。次に、燃料ガス排出動作タイマをスタートする(S502)。次に、燃料ガス排出動作タイマが所定時間を経過したか否かを判定する(S503)。所定時間は、40分とした。所定時間が経過した場合には、燃料ガス排出経路5からの燃料ガス排出動作としてパージ弁4を開放する(S504)。120秒経過後に、循環経路ガス圧力計12の値を確認する(S505)。次に、パージ弁4を閉止する(S506)。次に、循環経路ガス圧力計12の値が第二所定圧力4kPaより大きいか否かを確認する(S507)。循環経路ガス圧力計12の値が第二所定圧力4kPa以下であれば、S501に戻り、第二所定圧力4kPaより大きければ、燃料電池スタック1の発電を停止する(S508)。燃料電池スタック1の発電を停止することで、燃料ガス供給経路2に流通する燃料ガスの流量を減らし、燃料ガス循環経路3の圧力を第一設定圧力10kPaまで上昇させる。次に、燃料ガス遮断弁6の開放を継続する(S509)。燃料ガス遮断弁6を閉止すると、燃料ガス供給経路2を通した燃料電池スタック1への燃料ガスの移動が無くなるため、燃料ガス循環経路3の圧力を上昇させることが出来なくなる。それを防止するために、燃料ガス遮断弁6を開放し続ける。次に、パージ動作としてパージ弁4を開放し、180秒間継続する(S510)。次に、パージ弁4を閉止する(S511)。その後、S501に戻る。各ステップは、各ステップを実施完了後、待機時間なく即移行するようにする。
以上のように、本実施の形態において、循環経路ガス圧力計12で計測する燃料ガスの圧力値にもとづき、燃料ガス排出動作により燃料ガスが正常に排出出来たか否かを検知できるため、燃料ガス排出動作の異常を検知することが可能となり、燃料電池システム100の信頼性を高めることができる。
本実施の形態及び上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良及び他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。