〔第1実施形態〕:車両分割
以下、図1等を参照して、本発明の第1実施形態に係るホームドア制御システムについて説明する。図1(A)は、本実施形態のホームドア制御システム100の一例を説明する概念的な平面図である。なお、以下では、単数または複数の車両によって編成されて線路上を走行するものを列車とする、すなわち見方を変えると、車両は、列車を構成する要素である。ただし、特に混同等が生じない場合には、例えば列車(車両)等と記載する。
また、例えば、図1(B)は、列車TRを構成する車両CAの様子を概念的に示す斜視図であり、図1(A)に示す列車TRのうち、中央付近の一部を拡大したものに相当する。図1(B)では、車両ドアCDの開閉に連動してホームドアを閉塞させた状態と、車両ドアCDの開閉に連動してホームドアを開放させた状態とが、示されている。
図示のように、ホームドア制御システム100は、駅のホームPFに到着した列車TRに設けた車両ドアCDの開閉に連動してホームドアの開閉制御を可能とすべく、駅のホームPFに設置されるホームドア装置90を有して構成されている。特に、本実施形態では、ホームドア制御システム100のホームドア装置90が設置された駅のホームPFにおいて、列車TR(あるいはこれを編成する車両)の分割が行われる場合の動作について示している(例えば、図3参照。)。なお、ここで、ホームドアについては、スクリーンドアのようなものに限らず、ホームゲート(可動柵)のようなもの、さらには、ロープ柵のようなものといった種々の形態のものまで含むものとする。また、例えば図1等において矢印で示すように、以下では、列車TRの進行方向を方向D1とする。
図2は、ホームドア制御システム100の各部や、列車TRに設けた設備すなわち車上側の設備の各部について一例を示すためのブロック図であり、主として、地上側と車上側との間での各種通信処理や、通信結果に基づく動作制御に関与する部分について示している。
図1及び図2に示すように、本実施形態のホームドア制御システム100は、列車TR側との通信を行うとともに通信内容に関する各種処理を行う処理部を含む地上伝送装置50と、ホームドア制御システム100における各種動作処理の制御を行う制御部としての総合制御部70と、複数のホームドアの実体部分として機能する複数のホームドア開口部(ホームドア開閉部)91で構成されるホームドア装置90とを備える。また、このほか、ホームドア制御システム100は、列車TRの停止位置を検知すべく、例えば赤外センサー等の各種センサー、あるいは列車TRから送信される近距離無線による信号を受信する受信部等で構成される位置検知装置80を備える。
地上伝送装置50は、図1(A)等に例示するように、列車TRに設けられた各車上装置10(車上装置10A,10B…)と通信し、入線する列車TRの情報あるいはこれを構成する車両の情報、すなわち列車TRの編成の数や停止位置、車両ドアの開閉箇所といった各種情報(車両情報)を取得し、取得した車両情報に基づいて、ホームドアに関する制御内容を判別する。すなわち、処理部としての地上伝送装置50は、入線する列車TR(車両)から送信される信号を、開閉の制御対象となるホームドア開口部91を特定するために利用する車両情報として取り扱う。
総合制御部70は、地上伝送装置50やホームドア装置90、さらには、位置検知装置80とそれぞれ接続され、ホームドア装置90に関する各種動作を制御する。特に、ここでは、総合制御部70は、地上伝送装置50及び位置検知装置80によって得られた車上側に関する各種情報に応じて、ホーム側におけるドア開閉を制御する。なお、ここでは、位置検知装置80によって正常な位置に列車TRが停止していることが確認済みであることを前提とし、その上で、地上伝送装置50において特定されたホームドア開口部91についての開閉制御が行われる。
ホームドア装置90は、図示のように、また、既述のように、駅のホームPFに設置されており、複数のホームドア開口部91を構成する開閉式の扉部材やその開閉駆動のための駆動部等の各部を収納するとともに各ホームドア開口部91間を接続する複数の筐体部92とを有して構成される。ホームドア装置90は、総合制御部70からの指令信号に従って、ホームドア開口部91の開閉動作の制御を行う。ここでは、上記のように、地上伝送装置50において特定されたホームドア開口部91の開閉を行う。
本実施形態では、車上側において、既述のように、列車TRの分割すなわち車両の切離しが行われる。図示の例についてより具体的に説明すると、図1に示す状態では、複数又は単数の車両で構成される列車TRが、1つの繋がった列車TRとして構成されているが、列車TRは、この状態から、連結部CNで切り離されて、進行方向D1について先方側に位置する先発列車TRfと、後方側に位置する後発列車TRsとに分割される。地上側であるホームドア制御システム100は、車上側での上記列車TRの切離しに応じたホームドア開口部91の開閉制御を可能にしている。
以上の動作を可能とするため、図1に示すように、まず、列車TRのうち、先発列車TRfの進行方向D1についての両端には、車上装置10A,10Bが設けられている。一方、後発列車TRsの両端には、車上装置10C,10Dが設けられている。さらに、各車上装置10(車上装置10A,10B…)には、車両の連結及び切離しを行うための車両解結スイッチ13a(図2参照)が設けられている。図1の場合、先発列車TRfの車上装置10Bと後発列車TRsの車上装置10Cとにおける車両解結スイッチ13a(図2参照)により、連結部CNでの連結状態から切離状態への切替えがなされる。また、車上装置10Bと車上装置10Cとから地上側に向けて、すなわちホームドア制御システム100に向けて、上記箇所で切離しを行うべく切替えの操作がなされた旨の情報が送信される。
本実施形態では、連結部CNでの切離しの際、車両解結スイッチ13aからの信号に応じて、ホームドア制御システム100において、特定の範囲で複数のホームドア開口部91を切り分けて開閉動作についての処理がなされることで、列車TRの分割に対応したホームドア開口部91の開閉がなされる。なお、分割時の動作に関する詳しい一例は、図3等を参照して後述する。
以下、図2のブロック図を参照して、地上側と車上側との間での通信等に関する各部について一例を説明する。
まず、地上側において、ホームドア制御システム100のうち、車上側との通信を司る地上伝送装置50は、通信部20と、地上伝送制御部30と、記憶部40とを備える。
通信部20は、アンテナ等で構成され、列車TRに、すなわち車上側に設けられた車上装置10から各種情報(車両情報)を取得するとともに、必要な応答信号を車上装置10に対して送信する。なお、通信態様としては、種々のものが適用可能である。
地上伝送制御部30は、地上伝送装置50における各種情報通信処理を司る処理部すなわち地上伝送装置50の本体部分であり、例えば各種制御回路基板あるいはCPU等で構成される。なお、地上伝送制御部30は、制御対象となるホームドア開口部91の特定結果等の各種処理結果を、ホームドア開口部91の開閉動作(ホームドア装置90の開閉動作)の制御を司る制御部である総合制御部70に対して出力する。
記憶部40は、各種ストレージデバイスで構成され、地上伝送制御部30での処理に必要となる各種情報を予め格納している。また、記憶部40は、通信部20を介して取得した車両情報等を一時的に格納する。
一方、車上側において、列車TRに搭載される各車上装置10(10A〜10D)は、車上における各種動作を制御するための装置である。図2の一例では、車上装置10のうち、地上側との通信に直接的または間接的に関与する部分を示している。具体的には、車上装置10(例えば車上装置10A)は、地上側との通信を行うための通信部11と、通信部11を介して地上側へ伝送する車両情報について処理を行う車上伝送制御部12とを備える。車上装置10は、上記のほか、例えば車両解結スイッチ13aや、車両ドアの開閉状態を切り替える車両ドアスイッチ13b等を有し、これらが車上伝送制御部12に接続されて、伝送する車両情報となるべき各種情報が車上伝送制御部12に出力される。つまり、車上伝送制御部12は、車両解結スイッチ13a等からの情報を集約して、地上側で必要となる列車TRに関する車両情報を、通信部11を介して送信する。
上記のうち、特に、車両解結スイッチ13aは、列車TRの分割や併合すなわち連結や切離しに際して作業員が線路上に降りずに運転室などから簡単な操作により作業を完了させるための装置(自動解結装置)の切替えを行うスイッチであり、列車TRの分割や併合に関する各種信号すなわち車両情報としての車両の分割・併合信号となるべき信号が、車両解結スイッチ13aから車上伝送制御部12へ出力される。本実施形態では、車上伝送制御部12は、車両解結スイッチ13aからの出力信号である車両の分割信号に基づいて、列車TRの分割箇所の情報を取得でき、取得した当該情報を地上側の地上伝送装置50に対して送信する。
以下、図3に示す図1の一部を省略してより簡略化した概念的な平面図を参照して、列車TRの分割に際するホームドア制御システム100の動作について具体的一例を説明する。
まず、図3(A)に示すように、また、既述のように、ここでは、先発列車TRfと後発列車TRsとが連結部CNにおいて連結されて1つの列車TRとなっている状態で停止しており、かつ、既定の位置で停止の状態にあることが確認済みであるものとし、この状態から、先発列車TRfと後発列車TRsとが切り離される。切離しに際して、ホームドア制御システム100のうち地上伝送装置50に対して、先発列車TRfの両端に設けられた車上装置10A,10Bと、後発列車TRsの両端に設けられた車上装置10C,10Dとから、それぞれ車両情報についての信号送信等がなされる。すなわち、地上側と車上側との間で情報のやり取りがなされ、地上側すなわちホームドア制御システム100が、先発列車TRfの範囲や後発列車TRsの範囲、併せてこれらの境界の位置等を把握する。
つまり、図3(B)に示すように、先発列車TRfと後発列車TRsとの切離し(分割)に際して、地上側のホームドア制御システム100は、車上側から取得した車両情報を利用して、図中において一点鎖線で示す位置AAを、連結部CNに対応する境界として定め、進行方向D1の前側と後側とで、別個独立にドア開閉の制御を行う。なお、ホームPFにおいて、先発列車TRfの停止位置範囲に対応する範囲を前方範囲DDaとし、後発列車TRsの停止位置範囲に対応する範囲を後方範囲DDbとする。
ホームドア制御システム100におけるドア開閉の制御については、先発列車TRfに対応する前方範囲DDaにあるホームドア開口部91については、先発列車TRfの車両ドアの開閉に連動するように開閉させ、先発列車TRfの出発前において、総合制御部70は、図3(B)に示すように、前方範囲DDaにあるホームドア開口部91を一斉に閉塞させ、図3(C)に示すように、先発列車TRfの出発に際して閉塞した状態を維持する。
一方、図3(C)において、切離し(分割)の完了後、例えば先発列車TRfが発車する時刻になるまでの一定時間、後発列車TRsは、その場に停車したままとなり、車両ドアが開放された状態が維持される。これに合わせて、後発列車TRsに対応する後方範囲DDbにあるホームドア開口部91も、開放される。つまり、乗降可能な状態となっている。
その後、後発列車TRsの発車時刻が近づくと、図3(D)に示すように、後方範囲DDbにあるホームドア開口部91は、後発列車TRsの車両ドアの開閉操作の後に連動して(同期して)後発列車TRsの出発前に閉塞され、この状態が維持される。そして、図3(E)に示すように、後発列車TRsが出発し、これが確認されると、図3(D)等に示した位置AAを境界として切り分けた別個独立のドア開閉制御が終了する。なお、図3(E)に示す後発列車TRsが出発した状況となった時点では、全てのホームドア開口部91が閉塞した状態(全閉の状態)となる、すなわち列車TRが入線する前の初期の状態に戻り、新たなドア開閉制御が可能となる。
以下、図4として示すシーケンス図を参照して、図3を参照して例示した上記車両の分割に応じたドア開閉の動作を含む駅での発着におけるホームドア制御システム100の各部等における一連の動作処理について説明する。
まず、列車TRの到着前においては、地上側(ホームドア側)では、初期の状態すなわち全てのホームドア開口部91が閉塞した状態となっている。これに対して、列車側すなわち車上側に関して、新たな列車(車両)の入線及びその停止がなされると(ステップS101)、例えば位置検知装置80による列車TRの停止位置検知がなされ(ステップS102)、必要に応じて、地上側のホームドア制御システム100と車上側の車上装置10との間で、適宜信号通信がなされる。例えば、車上からの各種情報の送信やこれに関する地上からの応答の処理が適宜行われる(ステップS103)。
上記のような列車TRの停止位置検知に基づく正常な停止の確認等がなされると、車上側では、車上装置10での制御に基づき車両ドアの開放操作がなされ(ステップS104a)、これに連動して(同期して)、地上側では、ホームドア制御システム100での制御に基づき全てのホームドア開口部91の開放操作がなされる(ステップS104b)。
次に、全てのホームドア開口部91の開放操作から所定時間経過後、総合制御部70により、全てのホームドア開口部91の閉塞がなされる。この場合も、車上側と地上側とで連動して(同期して)、動作が行われる(ステップS105a,S105b)。なお、図3(A)は、上記のような動作の結果として、全てのドアが閉塞された状態を示す図でもある。
この状態から、先発列車TRfと後発列車TRsとの切離し(分割)がなされるに際して、車上側つまり車上装置10において、車両解結スイッチ13aや、車両ドアスイッチ13b等から車上伝送制御部12に、地上側へ伝送する車両情報となるべき各種情報が出力される(ステップS106)。車上伝送制御部12は、これらの情報を集約し、車両情報として、地上側すなわちホームドア制御システム100の地上伝送装置50に送信する(ステップS107)。なお、本実施形態の場合、4つの車上装置10A〜10Dから、地上伝送装置50に対して、車両情報がそれぞれ送信される。
一方、地上側では、ホームドア制御システム100の地上伝送装置50において、車上側からの送信信号を受信することで、車両情報を取得し(ステップS108)、また、取得に関する応答を適宜行う(ステップS109)。ここで、ステップS108において、地上伝送装置50は、車上装置10A及び車上装置10Bの情報から、先発列車TRfについての各種情報、例えば車両の編成、停止位置及び車両ドアの開閉箇所等の情報を車両情報として取得する。同様に、車上装置10C及び車上装置10Dの情報から、後発列車TRsについての各種情報を取得する。
次に、車両情報を取得した地上伝送装置50の地上伝送制御部30は、各種情報処理を担う処理部として、当該車両情報に基づいて、複数のホームドア開口部91のうち開閉の制御対象となるホームドアを特定する(ステップS110)。すなわち、図3に示した一態様の場合、先発列車TRfに対応する範囲と、後発列車TRsに対応する範囲との境界である位置AAを設定する。地上伝送制御部30は、以上のような境界位置の設定に関する事項やこれに伴うホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御の切分けについての情報を総合制御部70に出力する(ステップS111)。総合制御部70は、制御部として、地上伝送装置50で特定されたホームドア開口部91に関する事項に対応したホームドア開口部91の開閉制御を行う(ステップS112b)。以上により、図3(B)〜図3(D)に例示したような車両の分割後において、これに対応した特定ホームドア(特定のホームドア開口部91)の開閉制御が可能となる。つまり、先発列車TRfや後発列車TRsの車両ドアの開閉と同期したホームドア開口部91の開閉が可能となる(ステップS112a,112b)。
以上のように、本実施形態に係るホームドア制御システム100は、ホームPFに複数のホームドア開口部91を有して構成されるホームドア装置90を備えるホームドア制御システム100であって、入線する車両の車両情報に基づいて、複数のホームドア開口部91のうち開閉の制御対象となるホームドア(ホームドア開口部)を特定する処理部としての地上伝送制御部30と、地上伝送制御部30で特定されたホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御を行う制御部としての総合制御部70とを備える。この場合、入線する車両の状況に応じてホームドア開口部91を特定していることで、適切な開閉制御が可能になる。上記の場合、入線する列車(車両)が分割されるという固有の状況に応じて、ホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされる。
上記実施形態において、車上側と地上側との通信方式については、種々のものが適用可能であり、例えば、LF等の相対的に狭域用となる長波誘導式無線通信や、UHF帯無線やHF帯無線通信、VHF帯無線通信、マイクロ波帯無線通信等のように、相対的に広域用となる無線通信を利用することが考えられる。さらに、これらを組み合わせて通信を確立するものとしてもよい。また、例えば列車TRの停止時における車上装置10の位置に合わせて通信部20を設けることで、近距離無線通信とすることも可能であり、さらに、停止後に有線で通信を行う態様とすることも考えられる。また、光通信を利用した態様とすることも考えられる。
また、図示の例では、位置検知装置80を列車TRの先端側と後端側とに設ける構成としているが、例えば停止位置や総編成数が種々異なる態様であれば、これに応じて適宜位置検知装置80を増やしてもよい。また、位置検知装置80として近距離無線を採用し、列車TRとの通信を行う場合、位置検知装置80を地上伝送装置50の一部として、車上側との通信あるいはその一部を担う構成としてもよい。逆に、地上伝送装置50において、編成数や停止位置を車両情報として取り扱う場合、例えば図示の位置検知装置80を構成するものとして各種センサーを設け、当該センサーでの検知と地上伝送装置50からの車両情報とを組み合わせることで、位置検知の適正を判定するものとしてもよい。
また、取り扱う車両情報についても種々の態様が考えられ、例えば、列車の停止位置、総編成数及び切離し位置が固定的で1つのパターンのみである場合には、列車の停止確認後、解結スイッチの作動有無のみを車両情報として車上側から地上側へ送信する態様とすることが考えられる。また、予めいくつかの切離しパターンが決まっている場合には、予め地上側において、切離しパターンに関する情報を記憶しておき、切離しに際してどのパターンであるかの情報を車上側から地上側へ送信する態様とすることも考えられる。
また、上記では、ホームドア制御システム100を地上側の設備で構成するものとしているが、車上側のうち、車両情報を送信するための設備まで含めてホームドア制御システム100と捉えることも可能である。
また、上記では、制御対象となるホームドアを特定する処理部としての機能を、地上伝送装置50の地上伝送制御部30が担い、処理部で特定されたホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御を行う制御部としての機能を、総合制御部70が担うものとしているが、これに限らず種々の態様とすることが可能である。例えば、総合制御部70が上記処理部としての機能の一部あるいは全部を担う構成とすることも考えられる。さらに、地上伝送制御部30と総合制御部70とが一体的な構成となっているものとすることも考えられる。
〔第2実施形態〕:車両併合
以下、図5及び図6を参照して、第2実施形態に係るホームドア制御システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態のホームドア制御システム100の変形例であり、入線する列車(車両)に固有の状況として、入線する複数の列車(車両)が1つに併合される、という状況にあり、これに応じて、ホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされることを除いて、第1実施形態の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明等については、省略する。
図5(A)〜図5(F)は、本実施形態に係るホームドア制御システムの動作について一例を説明するための概念的な平面図であり、図3に対応する図である。また、図6は、図4に対応する図であり、図5に例示する車両の併合に応じたドア開閉の動作を含む一連の処理について説明するためのシーケンス図である。
以下、図5の平面図を参照して、列車TRの併合(車両の連結)に際するホームドア制御システム100の動作について具体的一例を説明する。
まず、動作の概要を説明すると、図5(A)〜図5(C)に示すように、先着列車TRfaが地上側と各種情報のやり取りを行いつつ、駅に入線し、定位置に停止したことが検知される。この後、図5(D)及び図5(E)に示すように、後着列車TRsaが駅に入線し、定位置に停止したことが検知される。さらにその後、図5(F)に示すように、先着列車TRfaと後着列車TRsaとが、併合(連結)される。
以下、上記動作に関して、より具体的に説明すると、まず、図5(A)に示す先着列車TRfaの入線に際して、例えば車上側からすなわち先着列車TRfaの両端に搭載された車上装置10A,10Bからホームドア制御システム100の地上伝送装置50に対して、車両情報についての信号送信等がなされると、地上側すなわちホームドア制御システム100は、先着列車TRfaの停止範囲等を把握する。すなわち、ホームドア制御システム100は、車上側から取得した車両情報を利用して、図5(B)等において一点鎖線で示す位置AAを、ホームドア開口部91の開閉制御を行う境界として定め、特定外のものとは別個独立にドア開閉の制御を行う。つまり、ホームドア制御システム100は、位置AAよりも進行方向D1について前側である前方範囲DDaを先着列車TRfaに対応する範囲とし、図5(B)及び図5(C)に示すように、先着列車TRfaの車両ドアの開閉に応じて、前方範囲DDaにあるホームドア開口部91を特定のものとし、特定外の他のホームドア開口部91から独立して開閉させる。
次に、後着列車TRsaの入線に際して、例えば図5(D)に示すように、後着列車TRsaから入線の信号を受ける。ここで、本実施形態では、この後、先着列車TRfaと後着列車TRsaとが併合(連結)される。このため、後着列車TRsaの入線に際して、まず、車上側において、予め先着列車TRfaの車両ドアが一旦閉塞され、これに応じて、ホームドア制御システム100は、対応する前方範囲DDaにあるホームドア開口部91を閉塞させる。つまり、全てのホームドア開口部91が閉塞された状態となる。
ホームドア制御システム100において、後着列車TRsaの停止が確認されると、図5(E)に示すように、ホームドア制御システム100の地上伝送装置50と各車上装置10A〜10Dとの間で、すなわち地上側と車上側との間で情報のやり取りがなされる。この際、先着列車TRfaの車上装置10Bと後着列車TRsaの車上装置10Cとから上記箇所で車両の併合(連結)を行うために、車両解結スイッチ13a(図2参照)の切替えがなされた旨の情報が送信される。つまり、車上装置10B,10Cにおいて、車上伝送制御部12(図2参照)は、車両解結スイッチ13aからの出力信号である車両の併合信号に基づいて、列車TRの併合箇所の情報を取得でき、当該情報を地上側へ送信する。これにより、地上側すなわち地上伝送装置50は、後着列車TRsaの停止範囲等を把握するとともに、先着列車TRfaと後着列車TRsaが連結されることを把握する。連結することが確認されると、ホームドア制御システム100は、図5(D)等に示した位置AAを境界とする別個独立なドア開閉の制御を終了する。なお、この場合、先着列車TRfaと後着列車TRsaとの連結動作が完了した後、連結部CNで連結された1つの列車TRは、全体として、例えば一斉にすべての車両ドアの開閉を行い、これに応じるべく、例えば図5(F)に示すように、ホームドア制御システム100は、車両ドアの全開に合わせて、全てのホームドア開口部91を開放した状態にする。
以下、図6として示すシーケンス図を参照して、図5を参照して例示した上記車両の併合(連結)に応じたドア開閉の動作を含む駅での発着におけるホームドア制御システム100の各部等における一連の動作処理について説明する。
まず、先着列車TRfaの到着前においては、地上側(ホームドア側)では、初期の状態すなわち全てのホームドア開口部91が閉塞した状態となっている。これに対して、図5(A)に例示した新たな列車(車両)としての先着列車TRfaの入線及びその停止、さらにはこれらに対応した地上側と車上側との間での信号通信が適宜なされると(ステップS201,S202,S203)、車上装置10での制御に基づき車両ドアの開閉制御がなされ、これに連動して(同期して)、地上側では、図5(B)及び図5(C)に例示した制御対象となるホームドア開口部91の特定すなわち位置AAを境界とする前方範囲DDaの設定(制御範囲の切り分け境界設定)がなされ(ステップS204)、さらに、ホームドア制御システム100での制御に基づく特定のホームドア開口部91の開閉動作がなされる(ステップS205a,S205b)。
次に、図5(D)及び図5(E)に例示した後着列車TRsaの入線及びその停止、さらにはこれらに対応した地上側と車上側との間での信号通信が適宜なされ(ステップS206,S207,S208)、ホームドア制御システム100が先着列車TRfaの停止に加え、後着列車TRsaの停止を把握し、さらに、車両解結スイッチ13aの情報、すなわち先着列車TRfaと後着列車TRsaとの併合(連結)についての情報を取得する(ステップS209)。すると、ホームドア制御システム100は、図5(E)及び図5(F)に例示したように、ホームドア開口部91の特定(制御範囲の切り分け境界設定)を解除し(ステップS210)、すなわち位置AAを境界とする前方範囲DDaの設定に基づく特定のホームドア開口部91のみの開閉動作を取り止め、全てのホームドア開口部91を一括で管理する。また、上記のうち,例えばステップS209について、必要に応じて、地上側と車上側との間での信号通信が適宜なされる(ステップS209a,S209b)。
以上のように、本実施形態においても、ホームドア制御システム100は、入線する車両の状況に応じて開閉するホームドア開口部91を特定していることで、適切な開閉制御が可能になる。上記の場合、入線する列車(車両)が併合(連結)されるという固有の状況に応じて、ホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされる。
なお、本実施形態と第1実施形態とを組み合わせて、第1実施形態の状況すなわち列車の分割と、本実施形態の状況すなわち列車の併合との双方に応じたホームドア開口部91の開閉制御が可能なホームドア制御システム100を構成することも可能である。
〔第3実施形態〕:複数列車の独立併存
以下、図7を参照して、第3実施形態に係るホームドア制御システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態のホームドア制御システム100等の変形例であり、入線する列車に固有の状況として、1つのホーム(路線)に複数の列車が入線するが、列車の併合(車両の連結)がなされず、各列車がそれぞれ独立して併存する、端的には、複数の列車が同時に共通のホームに停車する、という状況にあり、これに応じて、ホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされることを除いて、第1実施形態等の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明等については、省略する。
図7(A)〜図7(F)は、本実施形態に係るホームドア制御システムの動作について一例を説明するための概念的な平面図であり、図3や図5に対応する図である。特に、本実施形態の場合、図5に例示した併合(連結)される場合と似た構成となっている。
以下、図7の平面図を参照して、2つの列車TRが共通のホームにおいて併合(連結)されることなく互いに独立して併存する場合におけるホームドア制御システム100の動作について具体的一例を説明する。
まず、図7(A)〜図7(D)に示すように、図5(A)〜図5(D)に例示した場合と同様に、先着列車TRfaが駅に入線して停止した後、後着列車TRsaが駅に入線する。ただし、後着列車TRsaは、先着列車TRfaと併合(連結)せず個別に停車したままとなるため、例えば図7(E)及び図7(F)に示すように、先着列車TRfaと後着列車TRsaとが、所定の間隔を空けた状態で停止する。この場合、例えば、図7(F)に示すように、先着列車TRfaの後端側の位置AAよりも進行方向D1について前側であり先着列車TRfaの停止範囲に対応する前方範囲DDaと、後着列車TRsaの先端側の位置BBよりも進行方向D1について後側であり後着列車TRsaの停止範囲に対応する後方範囲DDbとのほか、前方範囲DDaと後方範囲DDbとの間すなわち位置AAから位置BBまでの間に中間範囲DDcが設定される場合もあり得る。なお、この場合、前方範囲DDaでは、先着列車TRfaに応じてホームドア開口部91の開閉制御がなされ、後方範囲DDbでは、後着列車TRsaに応じてホームドア開口部91の開閉制御がなされる一方、中間範囲DDcについては、先着列車TRfaと後着列車TRsaとが停止している間において、終始閉塞した状態に維持される。
以上のように、本実施形態においても、ホームドア制御システム100は、入線する車両の状況に応じてホームドア開口部91を特定していることで、適切な開閉制御が可能になる。上記の場合、1つのホーム線上に複数入線した列車が併存するという固有の状況に応じて、各列車に応じたホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされる。
なお、本実施形態と上記した他の実施形態とを組み合わせてホームドア制御システム100を構成することも可能である。
〔第4実施形態〕:特定のホームドアの開閉
以下、図8を参照して、第4実施形態に係るホームドア制御システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態のホームドア制御システム100等の変形例であり、入線する列車(車両)に固有の状況として、特定の車両ドアの開閉に応じてホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされる、ということを除いて、第1実施形態等の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明等については、省略する。
図8(A)〜図8(C)は、本実施形態に係るホームドア制御システムの動作について一例を説明するための概念的な平面図であり、図3等に対応する図である。
以下、図8の平面図を参照して、特定の列車ドアすなわち特定の車両ドアの開閉に応じたホームドア制御システム100の動作について具体的一例を説明する。なお、図示の例では、複数の車両CAで編成される(車両CA1〜CA4による4両編成)1つの列車TRにおいて、各車両CAに設けた複数の車両ドアのうち特定の車両ドアのみが開閉する一方、特定外の車両ドアは閉塞のままとなる場合における地上側を含めた動作処理ついて説明する。
まず、図8(A)に示すように、列車TRの入線に際して、例えば車上側からすなわち列車TRからホームドア制御システム100の地上伝送装置50に対して、車両情報についての信号送信等がなされる(勿論、上記とは逆に、例えば地上側で列車TRを捉え、地上側から車上側に対して信号送信等がなされるようにしてもよい。)。特に、本実施形態では、車上側から特定車両ドアの開閉信号が送信される。すなわち、列車TRの停止後に開閉する車両ドアの場所についての情報が送信される。この情報を受けることにより、地上側すなわちホームドア制御システム100は、例えば列車TRの停止範囲や列車TRの編成数等の各種情報に加え、列車TRのうち、停止後に開閉する車両ドアの位置について把握する。ここでは、一例として、図8(B)及び図8(C)において、4両編成で列車TRを構成する車両CA1〜CA4のうち、2両目の車両CA2の進行方向D1に関して後方側の車両ドアDR2と4両目の車両CA4の後方側の車両ドアDR4のみが、列車TRの停止後に開閉し、図中において矢印AR2,AR4に示すように、これらに対応する地上側のホームドア開口部912,914のみが、列車TRの停止後、列車TRの車両ドアDR2,DR4の開閉動作に連動して(同期して)開閉動作をする。
なお、上記に関して、見方を変えて、例えば図8(C)に示すように、位置AA1〜AA4を境界とする5つの範囲R1〜R5で区切った場合に、前方から数えて、2つ目の範囲R2と4つ目の範囲R4とについてのみ開閉動作を行う態様としている、と捉えることもできる。
以上のように、本実施形態においても、ホームドア制御システム100は、入線する車両の状況に応じてホームドア開口部91を特定していることで、適切な開閉制御が可能になる。上記の場合、複数の車両ドアのうち特定の車両ドアのみが開閉するという固有の状況に応じて、ホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされる。
なお、本実施形態と上記した他の実施形態とを組み合わせてホームドア制御システム100を構成することも可能である。
〔第5実施形態〕:中央装置による統括制御
以下、図9等を参照して、第5実施形態に係るホームドア制御システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態のホームドア制御システム100等の変形例であり、中央装置CC及び駅装置SEのいずれかから送信される運行管理情報に基づいてホームドア制御システム100の制御を含む列車制御の全体が統括的になされていることを除いて、第1実施形態等の場合と同様であるので、同符号で示す各構成の詳しい説明等については、省略する。言い換えると、本実施形態では、地上側において管理される情報を列車情報(車両情報を含む)として利用している点において、車上側から伝送される列車情報に基づいて制御を行う他の実施形態と異なっている。
図9は、本実施形態に係るホームドア制御システムを含む列車制御の全体構成(列車制御システム)について説明するための概念図である。本実施形態では、例えば列車の自動運転等を可能とすべく、中央装置CCは、例えば管轄する全駅及び全列車のほか、線路上に設けた設備等の各種設備に対して、直接的・間接的に指令をすることで、列車制御の全体について、運行制御及び運行管理を行う。図示の一例では、ループ状の路線LL上にある全駅を駅ST(ST1〜ST4)とし、それぞれに設けた駅装置SE(SE1〜SE4)が中央装置CCと接続されている。駅装置SE1〜SE4は、中央装置CCからの指令に基づいて設置された駅ST1〜ST4におけるホームドア制御システム100を含む各種設備を管轄する装置である。このため、例えば、各駅装置SE(SE1〜SE4)は、対応する駅ST(ST1〜ST4)にそれぞれ設置されているホームドア制御システム100等に接続されている。以上のような構成により、本実施形態では、中央装置CCから各種信号が駅装置SE(SE1〜SE4)に出力され、各駅ST1〜ST4における各種動作制御がなされている。さらに、各列車TRは、各駅ST1〜ST4において中央装置CCからの指令信号を駅装置SE等を介して受け、受け付けた信号に従って走行する。
以上のような構成において、ホームドア制御システム100は、中央装置CC及び駅装置SEのいずれかから送信される運行管理情報を受信し、当該運行管理情報を、車両情報として取り扱う。
なお、図9に示す一例では、ループ状の路線LL上に設けられた4つの駅ST1〜ST4で全駅が構成されているものとしているが、路線LLの構成や駅の数については、これに限らず、種々の態様とすることができる。
以下、図10のブロック図を参照して、本実施形態に係るホームドア制御システム100の各部及び車上装置の各部について説明する。なお、図10は、図2に対応する図である。
まず、地上側において、ホームドア制御システム100は、図2に例示した場合と同様に、地上伝送装置50と、総合制御部70と、位置検知装置80と、ホームドア装置90とを備える。このうち、車上側との通信を司る地上伝送装置50は、通信部20と、地上伝送制御部30とを備える。
一方、総合制御部70は、ホームドア制御システム100における各種動作処理の制御を行う制御部であり、さらに、ここでは、各種情報を格納する記憶部40を備える。総合制御部70は、地上伝送装置50やホームドア装置90、さらには、位置検知装置80とそれぞれ接続されているのに加え、特に、本実施形態では、駅装置SEに接続されており、中央装置CCからの各種情報が含まれる運行管理情報のうち、ホームドア制御システム100の制御にかかわる情報や、ホームドア装置90が設置されたホームに入線する列車に対して送信すべき情報等の各種情報を抽出して取得し、これらの各種情報を記憶部40に一時的に格納する。総合制御部70は、取得した運行管理情報のうち、入線する車両の車両情報に基づいて、複数のホームドア開口部91のうち開閉の制御対象となるホームドアを特定する。さらに、総合制御部70は、特定されたホームドア開口部91の開閉制御を行う。また、総合制御部70は、取得した情報のうち、車上側へ送信すべきものを地上伝送装置50の地上伝送制御部30に出力する。地上伝送制御部30は、地上伝送装置50から出力された当該情報を、通信部20を介して列車に搭載された車上装置10に対して送信する。また、地上伝送装置50は、必要に応じて車上装置10との送受信を行い、車上装置10における応答結果を総合制御部70に出力する。例えば、地上伝送装置50は、通信対象である車上装置10が搭載された列車TRを識別するための列車IDの情報を取得する。総合制御部70は、取得した列車IDが、予め格納されている運行管理情報の内容と一致するか否かの確認すなわちIDの照合を行う。
以下、図11として示すシーケンス図を参照して、図10を参照して例示した中央装置CCからの運行管理情報に応じたドア開閉の動作を含む駅での発着におけるホームドア制御システム100の各部等における一連の動作処理について説明する。
まず、列車TRの到着前においては、地上側(ホームドア側)では、初期の状態すなわち全てのホームドア開口部91が閉塞した状態となっている。これに対して、ホームドア制御システム100の総合制御部70が、駅装置SEを介して中央装置CCから、運行管理情報に含まれる入線すべき列車TRに関する情報を取得すると(ステップS301)、列車TRの入線及びその停止に際して、地上側と車上側との間での信号通信が適宜なされる。具体的には、例えば、総合制御部70は、地上伝送装置50を介して車上装置10に対して列車ID等を要求し(ステップS302)、これに応じて車上装置10が自己のIDすなわち列車TRのIDの情報を出力することで応答すると(ステップS303)、総合制御部70は、当該応答の内容から運行管理情報の内容と一致するか否かの確認すなわちIDの照合を行う(ステップS304)。ステップS304の結果、入線する列車TRの確認がなされると、入線及び停止した列車TRでは、運行管理情報に基づく総合制御部70からの開閉指令信号(ステップS305)にしたがって、車上装置10による特定の車両ドアの開閉制御がなされ(ステップS306a)、これに連動して(同期して)、地上側では、制御対象となるホームドア開口部91の特定がなされ、さらに、ホームドア制御システム100での制御に基づく特定のホームドア開口部91の開閉動作がなされる(ステップS306b)。
以上のように、上記一例では、総合制御部70は、位置検知装置80や、中央装置CCあるいは駅装置SEによって得られた各種情報、さらには地上伝送装置50を介して得られる車上側の状況確認結果の情報等に応じて、ホームドア装置90を構成する複数のホームドア開口部91の開閉制御を行う。つまり、総合制御部70は、通信内容に関する各種処理を行う処理部としても機能しつつ、ホーム側におけるドア開閉を制御する制御部として機能する。
以上のように、本実施形態においても、ホームドア制御システム100は、入線する車両の状況に応じてホームドア開口部91を特定していることで、適切な開閉制御が可能になる。上記の場合、ホームドア制御システム100は、中央装置CC及び駅装置SEのいずれかから送信される運行管理情報に基づいて、種々の固有の状況に応じたホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御がなされる。
なお、本実施形態におけるホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御について、上記した他の実施形態に示した列車の分割や併合、併存あるいは車両ドアの一部開閉といった車上側の態様に応じたものとなるようにすることが可能である。図12は、ホームドア制御システム100の管理下で発着する列車TRに関するデータベースについて一例を示すデータ表である。ここでは、例えば、中央装置CCから駅装置SEを介してホームドア制御システム100に送信される運行管理情報のうちから、必要に応じて情報の抽出がなされ、総合制御部70の記憶部40に格納されるデータの一例が示されている。より具体的には、図示の例では、ID化された各列車の発着状況が時系列に並べられており、かつ、列車の併合や分割といった各列車の停止中におけるドア開閉の態様を決定する事項について、データベースとして管理され、常に更新されていて、把握可能となっている。総合制御部70は、入線する列車TRを検知しつつ識別し(ID化し)、図12のデータ表と照合し、このデータ表にしたがって、入線あるいは出発する列車TRの管理を行う。具体的には、例えば表中のNo.1,No.2に示す1番線に入線する列車が、併合されてNo.3に示す列車としてそれぞれ出発することや、表中のNo.4に示す2番線に入線する列車が、分割されてNo.5,No.6に示す列車として出発すること等が予め分かっている。なお、図示の例では、No.7,No.8は、列車TRの車両ドアのうち指定した一部のみ開閉する場合の一例を示しており、No.9〜No.12は、2つの列車TRが1つの線路上に併存する場合の一例を示している。
以上のように、ここでのホームドア制御システム100は、入線あるいは出発する各列車TRの停止位置の確認等をしつつ、入線した列車TRが図12のデータ表と一致しているかを確認し、このデータ表にしたがって、ホームドア開口部91の開閉制御を行う。すなわち、処理部としての総合制御部70は、入線する列車TR(車両)のID情報と、列車TRに関するデータベースとの照合に基づいて、制御対象となるホームドアを特定する。
なお、図12に例示した記憶部40に格納されるデータ表については、上述した一例以外にも種々の態様が考えられ、また、その更新についても、中央装置CC等からの指令等、必要に応じて適宜なされるものとすることができる。
また、中央装置CC、駅装置SE及び総合制御部70の間での信号通信の方法については、種々の態様が可能であり、有線で通信を行う場合のほか、各種無線通信を利用してもよい。
また、上記では、制御対象となるホームドアを特定する処理部としての機能や、処理部で特定されたホームドア(ホームドア開口部)の開閉制御を行う制御部としての機能を、総合制御部70が担うものとしているが、これに限らず種々の態様とすることが可能である。例えば、地上伝送装置50の地上伝送制御部30が上記処理部としての機能の一部あるいは全部を担う構成とすることも考えられる。さらに、地上伝送制御部30と総合制御部70とが一体的な構成となっているものとすることも考えられる。
また、本実施形態に関して、車上側における車両ドアの開閉制御や車両ドアとホームドアとの同期の手法やそのための情報通信の手法について、詳細な説明を省略しているが、これらについても、中央装置CCからの情報に基づき、地上側から車上側へ情報を提供することを原則としつつ、種々の態様とすることができる。
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
まず、上記実施形態において伝送される各種情報すなわち信号については、種々の態様とすることができるが、図13に例示するような形式及びデータ量の電文フォーマットとすることが考えられる。これにより、必要な情報の確実な伝達が可能となる。なお、図13は、LF無線通信を利用した電文フォーマットについての一例であり、この場合、40bitの情報とする部分に主要な各種情報(図示の例では、列車ID、ホームNo.、停止位置、分割・併合、指定ドアに関する情報)が格納されている。なお、図示の例では、電文フォーマットのデータ部や、全体のデータ長も固定数値になる場合を想定したものを示しているが、これに限らず、電文フォーマットは、例えば可変長になる部分を有する等、種々の態様にできる。
また、上記において、列車の分割や併合、あるいは一部開閉等における車両ドア及びホームドア(ホームドア開口部)の開閉タイミングや開閉順序は一例であり、必要に応じて開閉の仕方は、これら以外にも多種多様であり、上記以外のタイミングや順序でドア開閉を行う場合においても、本願を適用することができる。
また、上記において、取り扱う車両情報についても種々の態様が考えられるものとしており、例えば列車を構成する車両の単位に合わせて地上側におけるホームドア(ホームドア開口部)を開閉させたり、あるいは、車上側における車両ドアの3/4開閉(4ドア構成の車両において1つだけ開にし、残りの3つを閉にする開閉動作)に応じてホームドア(ホームドア開口部)を開閉させたりすることが考えられる。さらに、究極的には、例えば列車を構成する1つ1つの車両ドア単位でこれに応じて、地上側におけるホームドア(ホームドア開口部)の1つ1つについて開閉をするか否かを特定し、任意の開閉パターンに対応可能な態様とすることも考えられる。つまり、地上側における複数のホームドア(ホームドア開口部)のうち任意のホームドア(ホームドア開口部)を開閉可能とする態様としてもよい。
また、上記では、列車の駅に設けたホームドア(ホームドア開口部)を対象として説明をしているが、上記各実施形態に示した発明は、列車に限らず、車両を有して構成されるBRTやLRT、あるいはモノレール等、種々の交通システムにおいて、適用することが可能である。すなわち、本発明における車両については、列車を構成(編成)するための車両に限らない。
また、上記では、例えば第5実施形態において、列車の発着状況の確認に際して参照すべき基準となるデータベースを、中央装置CCからの情報に基づいて作成しているが、例えば、列車の発着状況等が固定的に決まっており、原則変化しないものである場合には、固定的なデータを予め記憶部40に格納しておき、適時データを更新したり、遅延発生等の異常が生じた場合にのみ変更を受け付けたりして対応する、といった態様としてもよい。また、上記のようにして、例えば第1実施形態に例示した分割や第2実施形態に例示した併合等の情報を、予め記憶部40(例えばROM、SDメモリ等の各種ストレージデバイス等)に格納しておく場合、これらの情報に関する車上側との通信を行わない態様とすることも可能である。また、地上側において管理される情報を車両情報として利用する態様については、第5実施形態の場合のように、中央装置CCによる統括的管理下にあるようなものに限らず、種々の態様において採用してもよい。