JP6761610B2 - 吸収係数画像推定方法、吸収係数画像推定プログラム並びにそれを搭載したポジトロンct装置 - Google Patents

吸収係数画像推定方法、吸収係数画像推定プログラム並びにそれを搭載したポジトロンct装置 Download PDF

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Description

本発明は、ポジトロンCT装置(陽電子放射断層撮影装置)の計測データから吸収係数画像を推定する、吸収係数画像推定方法、吸収係数画像推定プログラム並びにそれを搭載したポジトロンCT装置に関する。
ポジトロンCT装置、すなわちPET(Positron Emission Tomography)装置は、陽電子(Positron)の消滅によって発生する2本のγ線を、複数個の検出器で同時に検出したときのみ(つまり同時計数したときのみ)有効な信号と見なして計測し、計測データに基づいて被検体の断層画像を再構成するように構成されている。具体的には、陽電子放出核種を含んだ放射性薬剤を被検体に投与して、投与された被検体から放出される511keVの対消滅γ線を多数の検出器素子(例えばシンチレータ)群からなる検出器で検出する。そして、2つの検出器で一定時間内にγ線を検出した場合に“同時”に検出したとして、それを一対の対消滅γ線として計数し、さらに対消滅発生位置を検出した2つの検出器を結ぶ直線(LOR: Line Of Response)を特定する。このように検出された同時計数情報を蓄積して再構成処理を行って、陽電子放出核種画像(すなわち断層画像)を得る。
ポジトロンCT(PET)において、被検体内の放射能濃度を定量計測するためには、様々なデータ補正処理が必要である。代表的な補正処理には、感度補正,散乱補正,ランダム補正,減衰補正,デッドタイム補正,吸収補正がある。本発明は、放射性薬剤(ラジオアイソトープ)から放出されるγ線の吸収による画像の定量性低下を防止するための吸収補正に関する。吸収補正を行うためには被検体内の吸収係数分布を画像化した吸収係数画像を推定する必要がある。
吸収補正では、推定した吸収係数画像からγ線の透過率を求め、PETの計測データから透過率を除算することでγ線の吸収の影響が排除されたデータに変換する。もしくは、推定した吸収係数画像を画像再構成の計算式に組み込んでγ線の吸収の影響が排除された再構成画像を取得する。
吸収係数画像を推定するためには、陽電子放出核種の外部線源を照射して得られたトランスミッション(Transmission)データが必要である。もしくは、トランスミッションデータの替わりにX線CT(Computed Tomography)装置から得られたCTデータを用いて、吸収係数画像を推定することが可能である。
近年では、このようなトランスミッションデータが不要な再構成アルゴリズムがある(例えば、非特許文献1,2参照)。非特許文献1,2では、消滅放射線の検出時間差(「飛行時間差」とも呼ばれる)(TOF: Time Of Flight)情報を計測するPET(以下、「TOF-PET」と表記する)の計測データから、吸収係数サイノグラムの分布形状を推定することができる。そして、放射能画像および吸収係数サイノグラムを同時に推定することができる。非特許文献1,2における再構成アルゴリズムは、放射能画像および吸収係数に関するデータ(例えば吸収係数サイノグラム)を同時に推定することから「同時再構成アルゴリズム」とも呼ばれている。特に、放射能画像および吸収係数サイノグラムを同時に推定する同時再構成アルゴリズムは、MLACF法とも呼ばれている。
MLACF法における原理について、図9の概念図を参照して定性的に説明する。被検体の対象領域において放射能濃度が、図9に示すように分布しているとする。TOF情報t,半径方向sからなる2次元分布に放射能分布を展開すると、投影方向θ=0°のときには図9の上図のようになり、投影方向θ=90°のときには図9の右図のようになる。投影方向θを0°-180°の範囲で、それぞれの投影角度θ毎の2次元分布が計測データとして得られる。
もしγ線の吸収がなければ、投影角度θ毎の2次元分布を復元すると元の放射能分布に変換することができる。しかし、実際にはγ線の吸収により、元の放射能分布と異なる放射能分布に復元されてしまう。また、投影方向に応じてγ線の吸収の度合いが異なる。図9に示すように、投影方向θ=0°のときの吸収の度合いをAとし、投影方向θ=90°のときの吸収の度合いをA'とすると、通常はA≠A'となる。そこで、TOF情報の計測データを利用して、その計測データと、未知の吸収係数値と投影データとの乗算で得られた推定データとの誤差を最小にすることで、放射能画像と同時に、吸収係数値をサイノグラム形式に変換した吸収係数サイノグラムを推定することができる。
ただし、推定できるのは分布形状(つまり、相対値)のみで、絶対値を推定できない。吸収係数サイノグラムの絶対値が判らないと吸収補正を正しく行えない。したがって、定量的な放射能画像を取得できない。これは臨床上問題であり、実用化の大きな障壁となる。
同時再構成アルゴリズムに基づくPETイメージング技術を実用化するためには、下記のような技術が必要不可欠である。すなわち、分布形状は正しいが、絶対値が誤っている吸収係数サイノグラムから、絶対値が正しい吸収係数画像を推定する技術が必要不可欠である。
そこで、非特許文献2の従来技術として、吸収係数サイノグラムの直接的な定量化を行わずに、放射能画像を直接的に定量化するという方法がある。処理ステップは以下の通りである。
(1)吸収補正なしの放射能画像を作成し、当該放射能画像から被検体マスク画像を作成する。
(2)被検体マスク画像の各画素値に既知の吸収係数(例えば、水の吸収係数や骨の吸収係数)を代入し、疑似的な吸収係数画像(以下、「疑似吸収係数画像」と略記する)を作成する。
(3)疑似吸収係数画像を用いて、従来の再構成アルゴリズムで放射能画像を作成し、体軸方向スライス毎に合計画素値を計算する。図10に示すようにzを体軸方向とし、xy平面を体軸方向zに直交する平面(アキシャル面)とし、P(x,y)を画素値とし、S(z)を体軸方向zスライス毎の合計画素値とすると、S(z)=ΣyΣxP(x,y)となる。横軸を体軸方向z,縦軸を合計画素値S(z)とすると、図10の右図のようなプロファイルが作成される。
(4)同時再構成アルゴリズムによって、定量的でない放射能画像および定量的でない吸収係数サイノグラムを推定する。
(5)手順(4)で求めた定量的でない放射能画像に対しても、手順(3)と同様にして、体軸方向スライス毎に合計画素値を計算する。ここでは、S'(z)を体軸方向zスライス毎の合計画素値とする。
(6)手順(5)で求めた合計画素値S'(z)と手順(3)で求めた合計画素値S(z)とが体軸方向スライス毎に一致するように、手順(4)で求めた定量的でない放射能画像をスケーリングし、定量化する。具体的には、手順(4)で求めた定量的でない放射能画像の各画素値にS(z)/ S'(z)を体軸方向スライス毎にそれぞれ乗算することで、当該放射能画像をスケーリングする。
A. Rezaei, M. Defrise and J. Nuyts, "ML-reconstruction for TOF-PET with simultaneous estimation of the Attenuation Factors", IEEE Trans. Med. Imag., 33 (7), 1563-1572, 2014
V. Y. Panin, H. Bal, M. Defrise, C. Hayden and M. E. Casey, "Transmission-less Brain TOF PET Imaging using MLACF", 2013 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference, Seoul, Republic of Korea, 2013.
しかしながら、上述した非特許文献2の従来技術では、最終的に求まる放射能画像が定量的であることを原理的に保証できないという問題点がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、定量的な吸収係数画像を作成することができる吸収係数画像推定方法、吸収係数画像推定プログラム並びにそれを搭載したポジトロンCT装置を提供することを目的とする。
発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、上述した従来技術は、手順(3)で求めた体軸方向スライス毎の合計画素値が真である(すなわち正しい)ということを仮定している。
しかし、手順(3)で求めた体軸方向スライス毎の合計画素値が正しいという保証はない。その正しい保証のない結果に基づいて定量化しようとしているので、手順(6)で求まる放射能画像の定量性も当然ながら保証できない。したがって、従来技術では定量的な放射能画像を作成することができないという問題点が生じる。つまり、従来技術の問題の根源は、経験的な方法であり、吸収係数の定量化という課題の背景にある数学的な理論に基づいていないことであるという知見を得た。
このような知見に基づく本発明は、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る吸収係数画像推定方法は、消滅放射線の飛行時間差(Time Of Flight)情報を含んだポジトロンCTの計測データから吸収係数画像を推定する方法であって、μ'を定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像とし、前記計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、前記画像μ'を計算する再構成計算工程と、前記計測データに基づいて投影データ空間における被検体マスクデータである被検体マスク投影データを算出するマスク算出工程と、μoffを不均一なオフセット画像としたときに、オフセット画像μoffの順投影データが被検体マスク投影データを近似するように構成された再構成アルゴリズムによって、前記オフセット画像μoffを推定するオフセット推定工程と、Ωを既知の吸収係数値で近似可能な領域としたときに、前記計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、前記領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する参照領域抽出工程と、αを係数としたときに、前記領域Ωにおける前記画像μ'の値と既知の吸収係数値との誤差を減少させる前記係数αを算出する係数算出工程と、前記画像μ'の値に、前記オフセット画像μoffを前記係数α倍したα×μoffを加算して得られた値を吸収係数値として補正する吸収係数値補正工程とを備えるものである。
本発明に係る吸収係数画像推定方法によれば、再構成計算工程では、消滅放射線の飛行時間差(Time Of Flight)情報を含んだポジトロンCTの計測データ(TOF-PETの計測データ)に関する評価関数の最適化に基づいて、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像を計算する。それと同時に、λ'を非定量的な放射能画像としたときに、再構成計算工程では放射能画像λ'を計算する。ここでの再構成計算工程における再構成アルゴリズムは、上述した同時再構成アルゴリズムである。ここで、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像をμ'とすると、画像μ'も吸収係数画像となるが、最終的に求まる定量的な吸収係数画像と区別して、単に「画像μ'」とする。
一方、マスク算出工程では、計測データに基づいて投影データ空間における被検体マスクデータ(以下、「被検体マスク投影データ」と呼ぶ)を算出する。μoffを不均一なオフセット画像としたときに、オフセット推定工程では、オフセット画像μoffの順投影データが被検体マスク投影データを近似するように構成された再構成アルゴリズムによって、オフセット画像μoffを推定する。
一方、Ωを既知の吸収係数値で近似可能な領域としたときに、計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、参照領域抽出工程では、領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する。
ここで、「計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像」とは、例えば、上述した画像μ',上述した放射能画像λ',上述した再構成計算工程における再構成アルゴリズム(同時再構成アルゴリズム)とは異なる再構成アルゴリズムで推定した非定量的な画像,上述した被検体マスク投影データから推定した被検体マスク画像である。もちろん、これらの例示した画像に限定されず、計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像であればよい。また、「計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する」ことは、単一の画像情報を用いて領域Ωを抽出することのみならず、複数の画像情報の組み合わせ(例えば論理和や論理積)を用いて領域Ωを抽出することも含まれる。
上述した各工程で得られた画像μ',オフセット画像μoffおよび領域Ωを用いて、下記の係数算出工程および吸収係数値補正工程を実施する。μを未知の真の吸収係数画像の値(吸収係数値)とし、αを係数としたときに、係数算出工程では、領域Ωにおける画像μ'の値と既知の吸収係数値との誤差を減少させる係数αを算出する。そして、吸収係数値補正工程では、画像μ'の値に、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffを加算して得られた値を吸収係数値として補正する。このように、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能である(つまり、μ≒μ'+α×μoff)という数学的な関係に基づいて、吸収係数値補正工程で吸収係数値を補正する。したがって、吸収係数値補正工程で補正された吸収係数値を有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
上述した再構成計算工程を、(a)画像μ'を未知数に含む計算アルゴリズムで実施してもよい。または、上述した再構成計算工程を、(b)吸収係数投影データを未知数に含む計算アルゴリズムおよび吸収係数投影データを再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムの組み合わせで実施してもよい。
前者の(a)のアルゴリズムは、非定量的な放射能画像λ'および画像μ'(非定量的な吸収係数画像)を同時に再構成するMLAA法である。後者の(b)のアルゴリズムは、非定量的な放射能画像λ'および非定量的な吸収係数投影データ(例えば吸収係数サイノグラム)を同時に推定する、非特許文献1で述べたMLACF法と、吸収係数投影データを再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムとの組み合わせである。後者の(b)における、吸収係数投影データを再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムについては、再構成アルゴリズムであれば特に限定されない。
上述したマスク算出工程の一例は、画像μ'の二値化画像を被検体マスク画像として算出する工程と、被検体マスク画像の投影データを算出する工程と、被検体マスク画像の投影データの二値化データを被検体マスク投影データとして算出する工程とからなる((A)の態様)。また、マスク算出工程は、画像μ'の投影データを算出する工程と、画像μ'の投影データの二値化データを被検体マスク投影データとして算出する工程とからなる(B)の態様でもよい。上記(A)の態様では、画像μ'を先に二値化した後に投影データを算出し、その投影データを二値化した。上記(B)の態様では、画像μ'の投影データを先に算出した後に二値化する。画像μ'は定量的でない吸収係数画像であるが、吸収係数画像以外の画像や、投影データを二値化しても、被検体マスク投影データを算出することができる。
マスク算出工程の他の一例は、上述したTOF-PETの計測データを投影データ形式に変換したものを二値化したデータを被検体マスク投影データとして算出する工程からなる。この一例の場合には、TOF-PETの計測データを直接的に用いて、投影データ形式に変換したものを二値化したデータを被検体マスク投影データとして算出することができる。
また、マスク算出工程のさらなる他の一例は、(上述した)TOF-PETの計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を算出する工程と、放射能画像の投影データを算出する工程と、(放射能画像の)投影データを二値化したデータを被検体マスク投影データとして算出する工程とからなる((C)の態様)。また、マスク算出工程は、(上述した)TOF-PETの計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を算出する工程と、放射能画像の二値化画像を算出する工程と、二値化画像の投影データを算出する工程と、二値化画像の投影データを二値化したデータを被検体マスク投影データとして算出する工程とからなる(D)の態様でもよい。上記(C)の態様では、放射能画像の投影データを先に算出した後に二値化していた。上記(D)の態様では、放射能画像を先に二値化した後に投影データを算出し、その投影データを二値化する。上記(C)の態様または上記(D)の態様のいずれにおいても、この一例の場合には、放射能画像を算出する再構成アルゴリズムについては、特に限定されない。上述した同時再構成アルゴリズム(MLACF法やMLAA法)を用いた場合には、同時再構成アルゴリズムで推定した上述の放射能画像λ'を利用して、被検体マスク投影データを算出することができる。また、上述した同時再構成アルゴリズム(MLACF法やMLAA法)とは異なる再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)で推定した放射能画像を利用して、被検体マスク投影データを算出してもよい。
上述したオフセット推定工程で実施する再構成処理は、解析的再構成,統計的再構成,代数的再構成のいずれかの計算方式で実施すればよい。解析的再構成として例えばFBP(Filtered Back Projection)法がある。統計的再構成として例えば上述したML-EM(Maximum Likelihood - Expectation Maximization)法がある。代数的再構成として例えばART(Algebraic Reconstruction Technique)法がある。
上述した参照領域抽出工程において抽出される少なくとも1つ以上の領域Ωは、吸収係数を既知と見なせる組織の領域である。ここで、「吸収係数を既知と見なせる組織の領域」とは、例えば、水で近似可能な領域,空気で近似可能な領域,脳組織で近似可能な領域,骨で近似可能な領域,肺組織で近似可能な領域,軟部組織で近似可能な領域などである。もちろん、これらの例示した組織に限定されず、吸収係数の近似値が判る組織であればよい。なお、脳組織の場合には水で近似可能な領域と見なされるので、水の吸収係数値である0.0096/mmを用いることができる。
上述した係数算出工程における係数αについては、下記のように代表値に基づいて算出する手法(前者の手法)と、下記のように誤差評価関数に基づいて算出する手法(後者の手法)とがある。
前者の手法においては、K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、Ωをn番目の領域Ωとし、μ known(n=1,…,K)を領域Ωの既知の吸収係数値とし、S(X;Ω)を、領域Ωにおける画像Xの統計量または統計量から算出される値の代表値とし、T(x1,x2,…,xK)を任意のK個の値x1,x2,…,xKの統計量または統計量から算出される値の代表値とし、αを領域Ωにおける係数αとする。ここで、代表値としては、例えば、平均値,中央値,トリムド平均値,トリムド中央値またはそれらの2つ以上の値の重み付き平均値である。もちろん、これらの例示した値に限定されず、「統計量または統計量から算出される値」であればよい。
画像Xを画像μ'に置き換えれば、S(μ';Ωn)は領域Ωnにおける画像μ'の代表値であり、画像Xをオフセット画像μoff'に置き換えれば、S(μoffn)は領域Ωnにおけるオフセット画像μoff'の代表値である。領域Ωnの既知の吸収係数値μn knownは、領域Ωnにおける画像μ'の代表値S(μ';Ωn)に、領域Ωnにおけるオフセット画像μoff'の代表値S(μoffn)に領域Ωnにおける係数αnを乗算したαn×S(μoffn)を加算して得られた値と等しい。つまり、μn known=S(μ';Ωn)+αn×S(μoffn)が成立する。したがって、αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn)によって、領域Ωnにおける係数αnをそれぞれ算出する。K個の値x1,x2,…,xKをα12,…,αKにそれぞれ置き換えれば、T(α12,…,αK)は係数α12,…,αKの代表値である。以上をまとめると、n=1,…,Kで各領域Ω1,…,ΩKにおける係数α1,…,αKをそれぞれ算出した後に、係数α1,…,αKの代表値T(α12,…,αK)を係数αとすることで、係数αを算出することができる。
後者の手法においては、K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、Ωnをn番目の領域Ωとし、μn known (n=1,…,K)を領域Ωn内に既知の吸収係数を設定した画像とし、DΩn(X,Y)を領域Ωn内に関する画像Xおよび画像Yの誤差評価関数とし、wn (n=1,…,K)を0以上1以下の係数とする。画像Xを領域Ωn内に既知の吸収係数を設定した画像μn knownに置き換え、画像Yを、オフセット画像μoff'に係数α倍したα×μoffを画像μ'に加算して得られた値(μ'+α×μoff)に置き換えれば、DΩnn known,μ'+α×μoff)は、領域Ωn内に関する既知の吸収係数を設定した画像μn knownと、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像(μ'+α×μoff)との誤差評価関数となる。n=1,…,Kで各領域Ω1,…,ΩK毎の係数w1,…,wKによるDΩ11 known,μ'+α×μoff),…,DΩKK known,μ'+α×μoff)の重み付き加算で得られた、係数αを変数とした関数f(α)(=Σn=1,…,K [wn×DΩnn known,μ'+α×μoff)])を最小化するαを算出することで、係数αを算出することができる。
また、本発明に係る吸収係数画像推定プログラムは、本発明に係る吸収係数画像推定方法をコンピュータに実行させるものである。
本発明に係る吸収係数画像推定プログラムによれば、本発明に係る吸収係数画像推定方法をコンピュータに実行させることによって、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、吸収係数値補正工程で吸収係数値を補正する。したがって、吸収係数値補正工程で補正された吸収係数値を有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
また、本発明に係るポジトロンCT装置は、本発明に係る吸収係数画像推定プログラムを搭載したポジトロンCT装置において、当該吸収係数画像推定プログラムを実行する演算手段を備えるものである。
本発明に係るポジトロンCT装置によれば、本発明に係る吸収係数画像推定プログラムを実行する演算手段を備えることによって、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、吸収係数値補正工程で吸収係数値を補正する。したがって、吸収係数値補正工程で補正された吸収係数値を有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
本発明に係る吸収係数画像推定方法、吸収係数画像推定プログラム並びにそれを搭載したポジトロンCT装置によれば、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、吸収係数値補正工程で吸収係数値を補正する。したがって、吸収係数値補正工程で補正された吸収係数値を有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
各実施例に係るPET装置の概略斜視図およびブロック図である。 γ線検出器の概略斜視図である。 実施例1に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。 実施例2に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。 MLACF法で推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データを算出する場合における、実施例3に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。 MLACF法とは異なる再構成アルゴリズムで推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データを算出する場合における、実施例3に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。 実施例4に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。 実施例5に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。 MLACF法における原理の説明に供する概念図である。 体軸方向スライス毎の合計画素値、および横軸を体軸方向,縦軸を合計画素値としたときのプロファイルの概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は、各実施例に係るPET装置の概略斜視図およびブロック図であり、図2は、γ線検出器の概略斜視図である。また、図1および図2は各実施例とも共通の構成である。
図1に示すように、PET装置1は、被検体の周囲を取り囲む検出器リング2を被検体の体軸方向に積層配置して備えている。検出器リング2内には複数のγ線検出器3が埋設されている。PET装置1は、本発明におけるポジトロンCT装置に相当する。また、γ線検出器3は、本発明における検出器に相当する。
その他にも、PET装置1は、同時計数回路4と演算回路5とを備えている。図1では、γ線検出器3から同時計数回路4への結線を2つのみ図示しているが、実際には、γ線検出器3の光電子増倍管(PMT: Photo Multiplier Tube)33(図2を参照)の総チャンネル数分、同時計数回路4に接続されている。演算回路5は、吸収係数画像推定プログラム6による、後述する図3に示す吸収係数画像推定方法の処理を実行する。演算回路5は、本発明における演算手段に相当する。
放射性薬剤が投与された被検体(図示省略)から発生したγ線をγ線検出器3のシンチレータブロック31(図2を参照)が光に変換して、変換されたその光をγ線検出器3の光電子増倍管(PMT)33(図2を参照)は増倍させて電気信号に変換する。その電気信号を同時計数回路4に送り込み、カウント値の検出信号データを生成する。
具体的には、被検体(図示省略)に放射性薬剤を投与すると、ポジトロン放出型のRIのポジトロンが消滅することにより、2本のγ線が発生する。同時計数回路4は、シンチレータブロック31(図2を参照)の位置とγ線の入射タイミングとをチェックし、被検体の両側にある2つのシンチレータブロック31でγ線が同時に入射したときのみ、送り込まれた電気信号を適正なデータと判定する。一方のシンチレータブロック31のみにγ線が入射したときには、同時計数回路4は棄却する。つまり、同時計数回路4は、上述した電気信号に基づいて、2つのγ線検出器3においてγ線が同時観測(すなわち同時計数)されたことを検出する。
同時計数回路4により同時計数と判定された適正なデータにより構成された検出信号データ(カウント値)を、演算回路5に送り込む。演算回路5は、後述するステップS1〜S8(図3を参照)を行って、PET装置1によって得られた被検体(図示省略)の検出信号データから吸収係数画像を推定する。演算回路5の具体的な機能については後述する。
なお、ROM(Read-only Memory)などに代表される記憶媒体(図示省略)に吸収係数画像推定プログラム6が記憶されており、当該吸収係数画像推定プログラム6を記憶媒体から演算回路5に読み出して、吸収係数画像推定プログラム6を演算回路5が実行することで、図3のフローチャートに示す吸収係数画像推定方法の処理を行う。演算回路5は、GPU(Graphics Processing Unit),中央演算処理装置(CPU)あるいはプログラムデータに応じて内部の使用するハードウェア回路(例えば論理回路)が変更可能なプログラマブルデバイス(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))などで構成されている。
γ線検出器3は、図2に示すようにシンチレータブロック31と、そのシンチレータブロック31に対して光学的に結合されたライトガイド32と、そのライトガイド32に対して光学的に結合された光電子増倍管(以下、単に「PMT」と略記する)33とを備えている。シンチレータブロック31を構成する各シンチレータ素子は、γ線の入射に伴って発光することでγ線から光に変換する。この変換によってシンチレータ素子はγ線を検出する。シンチレータ素子において発光した光がシンチレータブロック31で十分に拡散されて、ライトガイド32を介してPMT33に入力される。PMT33は、シンチレータブロック31で変換された光を増倍させて電気信号に変換する。その電気信号は画素値として同時計数回路4(図1を参照)に送り込まれる。
また、γ線検出器3は、図2に示すように、3次元的に配置されたシンチレータ素子からなり、深さ方向に複数の層からなるDOI検出器である。図2では、4層のDOI検出器を図示しているが、層の数については、複数であれば特に限定されない。
ここで、DOI検出器は、各々のシンチレータ素子を放射線の深さ方向に積層して構成されたものであり、相互作用を起こした深さ(DOI: Depth of Interaction)方向と横方向(入射面に平行な方向)との座標情報を重心演算により求める。DOI検出器を用いることにより深さ方向の空間分解能をより一層向上させることができる。よって、DOI検出器の層の数は、深さ方向に積層されたシンチレータ素子の層の数である。
次に、演算回路5の具体的な機能について、図3を参照して説明する。図3は、実施例1に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。
先ず、図1に示すPET装置1によって被検体の撮影を行い、同時計数回路4(図1を参照)によってリストモードデータを取得する。リストモードデータには、検出した光子のエネルギー情報が記録されている。
通常のエネルギーウィンドウ(例えば400keV-600keV)、すなわち再構成データ用のエネルギーウィンドウ、およびTOF計測データのTOF方向の計測範囲とビン幅とをそれぞれ設定する。なお、ここで、ビン(bin)とは、離散化すること(区切ること)を意味する。画像の場合には画素がビンに対応する。TOFビンはTOF情報の時間的区切りを意味し、例えばTOFビンが100[ps]の場合には、検出時間差は100[ps]の精度で時間的に区切られる。
その設定にしたがって、リストモードデータから、TOF-PETの計測データを作成する。
(ステップS1)MLACF
μ'を定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像とし、λ'を非定量的な放射能画像とする。計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、画像μ'および放射能画像λ'を同時に計算する。「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、画像μ'も吸収係数画像となるが、最終的に求まる定量的な吸収係数画像と区別して、単に「画像μ'」とする。
ステップS1での再構成アルゴリズムは、非特許文献1での同時再構成アルゴリズムである。後述する実施例2,3も含めて、本実施例1では、同時再構成アルゴリズムとして、非特許文献1で述べたMLACF法を適用する。MLACF法の具体的な手法については、上述した非特許文献1を参照されたい。
A'を吸収係数サイノグラムとする。MLACF法によって、放射能画像λ'および吸収係数サイノグラムA'を推定する。吸収係数サイノグラムA'は、本発明における吸収係数投影データに相当する。
(ステップS2)ML-TR or ML-EM
吸収係数サイノグラムA'を再構成アルゴリズム(例えばML-TR法やML-EM法)で再構成し、定量的でない画像μ'を作成する。ML-EM法を利用する場合は、吸収係数サイノグラムA’を事前にログ変換する。ML-TR法の具体的な手法については、参考文献1を参照されたい(参考文献1:Erdo?an H, Fessler JA: Ordered subsets algorithms for transmission tomography. Phys Med Biol 44: 2835-2851, 1999)。また、ML-EM法の具体的な手法については、参考文献2を参照されたい(参考文献2:L.A. Shepp and Y. Vardi. Maximum likelihood reconstruction for emission tomography. IEEE Trans. Med. Imaging, Vol. 1, pp. 113-122, 1982)。ステップS1,S2は、本発明における再構成計算工程に相当する。
(ステップS3)Binarization Processing
閾値処理によって画像μ'を二値化処理(Binarization Processing)する。そして、被検体領域を“1”,その他の領域を“0”となる二値化画像を被検体マスク画像として算出する。mimgを被検体マスク画像とする。
(ステップS4)Projection + Binarization Processing
被検体マスク画像mimgの線積分データ(投影データ)を算出する(Projection)。そして、閾値処理によって被検体マスク画像mimgの投影データを二値化処理(Binarization Processing)することで、被検体を通過する投影線を“1”,その他の投影線を“0”となる二値化データを被検体マスク投影データとして算出する。mprojを被検体マスク投影データとする。ステップS3,S4は、本発明におけるマスク算出工程に相当する。
(ステップS5)ML-EM
μoffを不均一なオフセット画像とする。オフセット画像μoffの順投影データが被検体マスク投影データmprojを近似するように構成された再構成アルゴリズムによって、オフセット画像μoffを推定する。つまり、被検体マスク投影データmprojを再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)で画像データに変換する。この画像データをオフセット画像μoffとする。ステップS5は、本発明におけるオフセット推定工程に相当する。
(ステップS6)Extraction
Ωを既知の吸収係数値で近似可能な領域とする。計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する(Extraction)。後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、Ωnをn番目の領域Ωとしたときに、n=1,…,Kで各領域Ω1,…,ΩKをそれぞれ抽出する。例えば、被検体の頭部を撮影する場合には、空気で近似可能な領域,脳組織で近似可能な領域,骨で近似可能な領域で各領域Ω1,…,ΩKをそれぞれ抽出する。
計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像としては、例えば、ステップS2で作成した画像μ',ステップS1で求まった放射能画像λ',ステップS1での再構成アルゴリズム(同時再構成アルゴリズム)とは異なる再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)で推定した非定量的な画像,上述した被検体マスク投影データmprojから推定した被検体マスク画像mimgである。ステップS6は、本発明における参照領域抽出工程に相当する。
(ステップS7)αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn), α=T(α12,…,αK)
μn known(n=1,…,K)を領域Ωnの既知の吸収係数値とし、S(X;Ωn)を、領域Ωnにおける画像Xの統計量または統計量から算出される値を代表値とし、T(x1,x2,…,xK)を任意のK個の値x1,x2,…,xKの統計量または統計量から算出される値を代表値とし、αnを領域Ωnにおける係数αとする。なお、αは係数である。ここで、代表値としては、例えば、平均値,中央値,トリムド平均値,トリムド中央値またはそれらの2つ以上の値の重み付き平均値である。ここで、「トリムド平均値」とは、値が極端に大きい/小さいデータを取り除いた残りのデータの平均値を意味する。「トリムド中央値」とは、値が極端に大きい/小さいデータを取り除いた残りのデータの中央値を意味する。
画像Xを画像μ'に置き換えれば、S(μ';Ωn)は領域Ωnにおける画像μ'の代表値であり、画像Xをオフセット画像μoff'に置き換えれば、S(μoffn)は領域Ωnにおけるオフセット画像μoff'の代表値である。領域Ωnにおける係数αnは下記(1)式のように表される。
αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn) …(1)
K個の値x1,x2,…,xKをα12,…,αKにそれぞれ置き換えれば、T(α12,…,αK)は係数α12,…,αKの代表値である。したがって、係数αは下記(2)式のように表される。ステップS7は、本発明における係数算出工程に相当する。
α=T(α12,…,αK) …(2)
(ステップS8)μ=μ'+α×μoff
μを未知の真の吸収係数画像の値(吸収係数値)とする。吸収係数値μは下記(3)式のように表される。
μ=μ'+α×μoff …(3)
上記(3)式のように、画像μ'の値に、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffを加算して得られた値を吸収係数値μとして補正する。ステップS8は、本発明における吸収係数値補正工程に相当する。
ステップS8で求まった吸収係数値μを有する吸収係数画像を用いて吸収補正を行う。「背景技術」の欄でも述べたように、推定した吸収係数画像からγ線の透過率を求め、PETの計測データから透過率を除算することでγ線の吸収の影響が排除されたデータに変換することによって、吸収補正を行う。もしくは、推定した吸収係数画像を画像再構成の計算式に組み込んでγ線の吸収の影響が排除された再構成画像を取得することによって、吸収補正を行う。
本実施例1に係る吸収係数画像推定方法によれば、ステップS1,S2では、消滅放射線の飛行時間差(Time Of Flight)情報を含んだポジトロンCTの計測データ(TOF-PETの計測データ)に関する評価関数の最適化に基づいて、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像μ'を計算する。それと同時に、ステップS1では放射能画像λ'を計算する。ステップS1における再構成アルゴリズムは、上述した同時再構成アルゴリズムである。
一方、ステップS3,S4では、計測データに基づいて投影データ空間における被検体マスクデータ(すなわち、被検体マスク投影データmproj)を算出する。ステップS5では、オフセット画像μoffの順投影データが被検体マスク投影データを近似するように構成された再構成アルゴリズムによって、オフセット画像μoffを推定する。
一方、計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、ステップS6では、領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する。
ここで、「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、「計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像」とは、例えば、ステップS2で作成した画像μ',ステップS1で求まった放射能画像λ',ステップS1での再構成アルゴリズム(同時再構成アルゴリズム)とは異なる再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)で推定した非定量的な画像,上述した被検体マスク投影データmprojから推定した被検体マスク画像mimgである。もちろん、これらの例示した画像に限定されず、計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像であればよい。また、「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、「計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する」ことは、単一の画像情報を用いて領域Ωを抽出することのみならず、複数の画像情報の組み合わせ(例えば論理和や論理積)を用いて領域Ωを抽出することも含まれる。
上述した各ステップS1〜S6で得られた画像μ',オフセット画像μoffおよび領域Ωを用いて、ステップS7,S8を実施する。ステップS7では、領域Ωにおける画像μ'の値と既知の吸収係数値との誤差を減少させる係数αを算出する。そして、ステップS8では、上記(3)式のように、画像μ'の値に、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffを加算して得られた値を吸収係数値μとして補正する。このように、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能である(つまり、μ≒μ'+α×μoff)という数学的な関係に基づいて、ステップS8で吸収係数値を補正する。したがって、ステップS8で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
後述する実施例2,3も含めて、本実施例1では、上述した再構成計算工程に相当するステップS1,S2を、(b)吸収係数投影データを未知数に含む計算アルゴリズムおよび吸収係数投影データを再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムの組み合わせで実施している。
(b)のアルゴリズムは、非定量的な放射能画像λ'および非定量的な吸収係数投影データ(各実施例1〜3では吸収係数サイノグラムA')を同時に推定する、非特許文献1で述べたMLACF法と、吸収係数投影データ(吸収係数サイノグラムA')を再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムとの組み合わせである。「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、(b)における、吸収係数投影データ(吸収係数サイノグラムA')を再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムについては、再構成アルゴリズムであれば特に限定されない。図3では、ステップS2で述べたように、ML-TR法またはML-EM法で吸収係数サイノグラムA'を再構成し、画像μ'を作成する。
本実施例1では、上述したマスク算出工程に相当するステップS3,S4を実施している。すなわち、マスク算出工程は、画像μ'の二値化画像を被検体マスク画像mimgとして算出する工程(ステップS3)と、被検体マスク画像mimgの投影データを算出する工程(ステップS4の前半の「Projection」)と、被検体マスク画像mimgの投影データの二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出する工程(ステップS4の後半の「Binarization Processing」)とからなる。画像μ'は定量的でない吸収係数画像であるが、後述する実施例2,3のように、吸収係数画像以外の画像(例えば実施例3の放射能画像λ',または放射能画像λ')や、投影データを二値化しても、被検体マスク投影データmprojを算出することができる。
上述したオフセット推定工程に相当するステップS5で実施する再構成処理は、本実施例1ではML-EM(Maximum Likelihood - Expectation Maximization)法等に代表される統計的再構成の計算方式で実施している。もちろん、ステップS5で実施する再構成処理は、本実施例1のような統計的再構成に限定されない。解析的再構成,統計的再構成,代数的再構成のいずれかの計算方式で実施すればよい。解析的再構成として例えばFBP(Filtered Back Projection)法がある。代数的再構成として例えばART(Algebraic Reconstruction Technique)法がある。
上述した参照領域抽出工程に相当するステップS6において抽出される少なくとも1つ以上の領域Ωは、吸収係数を既知と見なせる組織の領域である。ここで、「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、「吸収係数を既知と見なせる組織の領域」とは、例えば、水で近似可能な領域,空気で近似可能な領域,脳組織で近似可能な領域,骨で近似可能な領域,肺組織で近似可能な領域,軟部組織で近似可能な領域などである。もちろん、これらの例示した組織に限定されず、吸収係数の近似値が判る組織であればよい。なお、脳組織の場合には水で近似可能な領域と見なされるので、水の吸収係数値である0.0096/mmを用いることができる。
本実施例1では、上述した係数算出工程に相当するステップS7を実施している。すなわち、後述する実施例2〜4も含めて、本実施例1では、代表値に基づいて係数αを算出している。上述したように、代表値としては、例えば、平均値,中央値,トリムド平均値,トリムド中央値またはそれらの2つ以上の値の重み付き平均値である。「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、これらの例示した値に限定されず、「統計量または統計量から算出される値」であればよい。
画像Xを画像μ'に置き換えれば、S(μ';Ωn)は領域Ωnにおける画像μ'の代表値であり、画像Xをオフセット画像μoff'に置き換えれば、S(μoffn)は領域Ωnにおけるオフセット画像μoff'の代表値である。領域Ωnの既知の吸収係数値μn knownは、領域Ωnにおける画像μ'の代表値S(μ';Ωn)に、領域Ωnにおけるオフセット画像μoff'の代表値S(μoffn)に領域Ωnにおける係数αnを乗算したαn×S(μoffn)を加算して得られた値と等しい。つまり、μn known= S(μ';Ωn)+αn×S(μoffn)が成立する。したがって、上記(1)式のように、αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn)によって、領域Ωnにおける係数αnをそれぞれ算出する。K個の値x1,x2,…,xKをα12,…,αKにそれぞれ置き換えれば、T(α12,…,αK)は係数α12,…,αKの代表値である。以上をまとめると、n=1,…,Kで各領域Ω1,…,ΩKにおける係数α1,…,αKをそれぞれ算出した後に、上記(2)式のように、係数α1,…,αKの代表値T(α12,…,αK)を係数αとすることで、係数αを算出することができる。
本実施例1に係る吸収係数画像推定プログラム6(図1を参照)によれば、本実施例1に係る吸収係数画像推定プログラムをコンピュータ(各実施例では図1に示す演算回路5を構成するGPU,CPUまたはプログラマブルデバイス)に実行させることによって、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、ステップS8で吸収係数値を補正する。したがって、ステップS8で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
本実施例1に係るPET装置1(図1を参照)によれば、本実施例1に係る吸収係数画像推定プログラム6を実行する演算手段(各実施例では図1に示す演算回路5を構成するGPU,CPUまたはプログラマブルデバイス)を備えることによって、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、ステップS8で吸収係数値を補正する。したがって、ステップS8で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。図4は、実施例2に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。
上述した実施例1では、画像μ'の二値化画像を被検体マスク画像mimgとして算出し、被検体マスク画像mimgの投影データを算出し、被検体マスク画像mimgの投影データの二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出していた。これに対して、本実施例2では、TOF-PETの計測データを投影データ形式に変換したものを二値化したデータを被検体マスク投影データmprojとして算出する。
(ステップS11)MLACF
図4のステップS11は、上述した実施例1のステップS1と同じであるので、その説明については省略する。
(ステップS12)ML-TR or ML-EM
図4のステップS12は、上述した実施例1のステップS2と同じであるので、その説明については省略する。ステップS11,S12は、本発明における再構成計算工程に相当する。
(ステップS14)Projection + Binarization Processing
上述した実施例1では、画像μ'から被検体マスク画像mimgを算出するのに、図3のステップS3,S4を実施していた。本実施例2では、画像μ'の替わりに、計測データから被検体マスク画像mimgを算出するために、図4のステップS14を実施する。先ず、計測データを投影データ形式に変換する(Conversion)。そして、閾値処理によって計測データの投影データを二値化処理(Binarization Processing)することで、被検体を通過する投影線を“1”,その他の投影線を“0”となる二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出する。ステップS14は、本発明におけるマスク算出工程に相当する。
(ステップS15)ML-EM
図4のステップS15は、上述した実施例1のステップS5と同じであるので、その説明については省略する。ステップS15は、本発明におけるオフセット推定工程に相当する。
(ステップS16)Extraction
図4のステップS16は、上述した実施例1のステップS6と同じであるので、その説明については省略する。ステップS16は、本発明における参照領域抽出工程に相当する。
(ステップS17)αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn), α=T(α12,…,αK)
図4のステップS17は、上述した実施例1のステップS7と同じであるので、その説明については省略する。ステップS17は、本発明における係数算出工程に相当する。
(ステップS18)μ=μ'+α×μoff
図4のステップS18は、上述した実施例1のステップS8と同じであるので、その説明については省略する。ステップS18は、本発明における吸収係数値補正工程に相当する。
本実施例2に係る吸収係数画像推定方法によれば、上述した実施例1と同様に、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、ステップS18で吸収係数値を補正する。したがって、ステップS18で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
本実施例2では、上述したマスク算出工程に相当するステップS14を実施している。すなわち、マスク算出工程は、上述したTOF-PETの計測データを投影データ形式に変換したものを二値化したデータを被検体マスク投影データとして算出する工程(ステップS14)からなる。本実施例2の場合には、TOF-PETの計測データを直接的に用いて、投影データ形式に変換したものを二値化したデータを被検体マスク投影データmprojとして算出することができる。
本実施例2に係る吸収係数画像推定プログラム6(図1を参照)や本実施例2に係るPET装置1(図1を参照)の作用・効果については、上述した実施例1と同じであるので、その説明については省略する。
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。図5は、MLACF法で推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データを算出する場合における、実施例3に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートであり、図6は、MLACF法とは異なる再構成アルゴリズムで推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データを算出する場合における、実施例3に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。
上述した実施例1では、画像μ'の二値化画像を被検体マスク画像mimgとして算出し、被検体マスク画像mimgの投影データを算出し、被検体マスク画像mimgの投影データの二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出していた。また、上述した実施例2では、TOF-PETの計測データを投影データ形式に変換したものを二値化したデータを被検体マスク投影データmprojとして算出していた。これに対して、本実施例3では、TOF-PETの計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を算出し、放射能画像の投影データを算出し、(放射能画像の)投影データを二値化したデータを被検体マスク投影データmprojとして算出する。
先ず、MLACF法で推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データmprojを算出する場合について、図5を参照して説明する。
(ステップS21)MLACF
図5のステップS21は、上述した実施例1のステップS1,上述した実施例2のステップS11と同じであるので、その説明については省略する。
(ステップS22)ML-TR or ML-EM
図5のステップS22は、上述した実施例1のステップS2,上述した実施例2のステップS12と同じであるので、その説明については省略する。ステップS21,S22は、本発明における再構成計算工程に相当する。
(ステップS24)Projection + Binarization Processing
上述した実施例1では、画像μ'から被検体マスク画像mimgを算出するのに、図3のステップS3,S4を実施していた。また、上述した実施例2では、計測データから被検体マスク画像mimgを算出するのに、図4のステップS14を実施していた。本実施例3では、実施例1の画像μ',実施例2の計測データの替わりに、計測データに関する評価関数の最適化に基づいて推定した放射能画像から被検体マスク画像mimgを算出するために、図5のステップS24を実施する。
先ず、図5では、MLACF法における計測データに関する評価関数の最適化に基づいて推定した放射能画像λ'の線積分データ(投影データ)を算出する(Projection)。つまり、図5では、ステップS21のMLACF法で推定した放射能画像λ'を利用して放射能画像λ'の投影データを算出すればよい。そして、閾値処理によって放射能画像λ'の投影データを二値化処理(Binarization Processing)することで、被検体を通過する投影線を“1”,その他の投影線を“0”となる二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出する。ステップS24は、本発明におけるマスク算出工程に相当する。
(ステップS25)ML-EM
図5のステップS25は、上述した実施例1のステップS5,上述した実施例2のステップS15と同じであるので、その説明については省略する。ステップS25は、本発明におけるオフセット推定工程に相当する。
(ステップS26)Extraction
図5のステップS26は、上述した実施例1のステップS6,上述した実施例2のステップS16と同じであるので、その説明については省略する。ステップS26は、本発明における参照領域抽出工程に相当する。
(ステップS27)αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn), α=T(α12,…,αK)
図5のステップS27は、上述した実施例1のステップS7,上述した実施例2のステップS17と同じであるので、その説明については省略する。ステップS27は、本発明における係数算出工程に相当する。
(ステップS28)μ=μ'+α×μoff
図5のステップS28は、上述した実施例1のステップS8,上述した実施例2のステップS18と同じであるので、その説明については省略する。ステップS28は、本発明における吸収係数値補正工程に相当する。
次に、MLACF法とは異なる再構成アルゴリズムで推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データmprojを算出する場合について、図6を参照して説明する。
(ステップS31)MLACF
図6のステップS31は、図5のステップS21と同じであるので、その説明については省略する。
(ステップS32)ML-TR or ML-EM
図6のステップS32は、図5のステップS22と同じであるので、その説明については省略する。ステップS31,S32は、本発明における再構成計算工程に相当する。
(ステップS33)ML-EM
図5ではMLACF法で推定した放射能画像λ'を利用して被検体マスク投影データmprojを算出するのに、図5のステップS24を実施していた。図6では、MLACF法とは異なる再構成アルゴリズムで推定した放射能画像を利用して被検体マスク投影データmprojを算出するために、図6のステップS33,S34を実施する。
先ず、図6では、MLACF法とは異なる再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)における計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を推定する。図6ではMLACF法で推定した放射能画像λ'と区別して、MLACF法とは異なる再構成アルゴリズムで推定した放射能画像をλ2'とする。
(ステップS34)Projection + Binarization Processing
MLACF法とは異なる再構成アルゴリズムにおける計測データに関する評価関数の最適化に基づいて推定した放射能画像λ2'の線積分データ(投影データ)を算出する(Projection)。そして、閾値処理によって放射能画像λ2'の投影データを二値化処理(Binarization Processing)することで、被検体を通過する投影線を“1”,その他の投影線を“0”となる二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出する。ステップS33,S34は、本発明におけるマスク算出工程に相当する。
(ステップS35)ML-EM
図6のステップS35は、図5のステップS25と同じであるので、その説明については省略する。ステップS35は、本発明におけるオフセット推定工程に相当する。
(ステップS36)Extraction
図6のステップS36は、図5のステップS26と同じであるので、その説明については省略する。ステップS36は、本発明における参照領域抽出工程に相当する。
(ステップS37)αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn), α=T(α12,…,αK)
図6のステップS37は、図5のステップS27と同じであるので、その説明については省略する。ステップS37は、本発明における係数算出工程に相当する。
(ステップS38)μ=μ'+α×μoff
図6のステップS38は、図5のステップS28と同じであるので、その説明については省略する。ステップS38は、本発明における吸収係数値補正工程に相当する。
本実施例3に係る吸収係数画像推定方法によれば、上述した実施例1,2と同様に、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、図5のステップS28,または図6のステップS38で吸収係数値を補正する。したがって、図5のステップS28,または図6のステップS38で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
本実施例3では、上述したマスク算出工程に相当する図5のステップS24,または図6のステップS33,S34を実施している。すなわち、マスク算出工程は、(上述した)TOF-PETの計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像(図5ではλ',図6ではλ2')を算出する工程(図5ではステップS21,図6ではステップS33)と、放射能画像(図5ではλ',図6ではλ2')の投影データを算出する工程(図5ではステップS24の前半の「Projection」,図6ではステップS34の前半の「Projection」)と、(放射能画像の)投影データを二値化したデータを被検体マスク投影データmprojとして算出する工程(図5ではステップS24の後半の「Binarization Processing」,図6ではステップS34の後半の「Binarization Processing」)とからなる。本実施例3の場合には、放射能画像を算出する再構成アルゴリズムについては、特に限定されない。図5のように、上述した同時再構成アルゴリズム(MLACF法やMLAA法)を用いた場合には、同時再構成アルゴリズムで推定した上述の放射能画像λ'を利用して、被検体マスク投影データmprojを算出することができる。また、図6のように、上述した同時再構成アルゴリズム(MLACF法やMLAA法)とは異なる再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)で推定した放射能画像λ2'を利用して、被検体マスク投影データmprojを算出してもよい。
本実施例3に係る吸収係数画像推定プログラム6(図1を参照)や本実施例3に係るPET装置1(図1を参照)の作用・効果については、上述した実施例1,2と同じであるので、その説明については省略する。
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。図7は、実施例4に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。
上述した実施例1〜3では、MLACF法と、吸収係数投影データ(各実施例1〜3では吸収係数サイノグラムA')を再構成した画像を画像μ'とするアルゴリズムとの組み合わせで、上述した再構成計算工程を実施していた。これに対して、本実施例4では、(a)画像μ'を未知数に含む計算アルゴリズム(MLAA法)で実施する。
(ステップS41)MLAA
上述した実施例1〜3では、画像μ'および放射能画像λ'を同時に計算するために、MLACF法によって、放射能画像λ'および吸収係数サイノグラムA'を推定したステップS1(実施例2ではステップS11,実施例3ではステップS21またはS31)の後に、吸収係数サイノグラムA'を再構成した画像を画像μ'とするステップS2(実施例2ではステップS12,実施例3ではステップS22またはS32)を実施していた。本実施例4では、MLAA法によって、放射能画像λ'および画像μ'を同時に計算する。
つまり、MLACF法を用いた2つのステップS1・S2(実施例2ではステップS11・S12,実施例3ではステップS21・S22またはS31・S32)が、本実施例4では、MLAA法を用いた場合には1つのステップS41に統合される。MLAA法の具体的な手法については、参考文献3を参照されたい(参考文献3:A. Rezaei (K.U. Leuven), M. Defrise, G. Bal et. al., “Simultaneous reconstruction of activity and attenuation in time-of-flight PET”, IEEE Trans. Med. Imag., 31 (12), 2224-2233, 2012)。ステップS41は、本発明における再構成計算工程に相当する。
(ステップS43)Binarization Processing
図7のステップS43は、上述した実施例1のステップS3と同じであるので、その説明については省略する。
(ステップS44)Projection + Binarization Processing
図7のステップS44は、上述した実施例1のステップS4と同じであるので、その説明については省略する。ステップS43,S44は、本発明におけるマスク算出工程に相当する。
(ステップS45)ML-EM
図7のステップS45は、上述した実施例1のステップS5,上述した実施例2のステップS15,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS25,図6ではステップS35)と同じであるので、その説明については省略する。ステップS45は、本発明におけるオフセット推定工程に相当する。
(ステップS46)Extraction
図7のステップS46は、上述した実施例1のステップS6,上述した実施例2のステップS16,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS26,図6ではステップS36)と同じであるので、その説明については省略する。ステップS46は、本発明における参照領域抽出工程に相当する。
(ステップS47)αn=(μn known-S(μ';Ωn))/S(μoffn), α=T(α12,…,αK)
図7のステップS47は、上述した実施例1のステップS7,上述した実施例2のステップS17,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS27,図6ではステップS37)と同じであるので、その説明については省略する。ステップS47は、本発明における係数算出工程に相当する。
(ステップS48)μ=μ'+α×μoff
図7のステップS48は、上述した実施例1のステップS8,上述した実施例2のステップS18,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS28,図6ではステップS38)と同じであるので、その説明については省略する。ステップS48は、本発明における吸収係数値補正工程に相当する。
なお、図7は、上述した実施例1の図3におけるステップS1・S2をステップS43に統合した場合に適用したときの実施例4のフローチャートである。もちろん、上述した実施例2の図4におけるステップS11・S12をステップS43に統合した場合に実施例4を適用してもよいし、上述した実施例3の図5におけるステップS21・S22または図6におけるステップS31・S32に統合した場合に実施例4を適用してもよい。
本実施例4に係る吸収係数画像推定方法によれば、上述した実施例1〜3と同様に、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、ステップS48で吸収係数値を補正する。したがって、ステップS48で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
本実施例4では、上述した再構成計算工程に相当するステップS41を、(a)画像μ'を未知数に含む計算アルゴリズムで実施している。(a)のアルゴリズムは、非定量的な放射能画像λ'および画像μ'(非定量的な吸収係数画像)を同時に再構成するMLAA法である。
本実施例4に係る吸収係数画像推定プログラム6(図1を参照)や本実施例4に係るPET装置1(図1を参照)の作用・効果については、上述した実施例1〜3と同じであるので、その説明については省略する。
次に、図面を参照して本発明の実施例5を説明する。図8は、実施例5に係る吸収係数画像推定方法の処理手順およびデータの流れを示したフローチャートである。
上述した実施例1〜4では、代表値に基づいて係数αを算出していた。これに対して、本実施例5では、誤差評価関数に基づいて係数αを算出する。
(ステップS51)MLACF
図8のステップS51は、上述した実施例1のステップS1,上述した実施例2のステップS11,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS21,図6ではステップS31)と同じであるので、その説明については省略する。
(ステップS52)ML-TR or ML-EM
図8のステップS52は、上述した実施例1のステップS2,上述した実施例2のステップS12,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS22,図6ではステップS32)と同じであるので、その説明については省略する。ステップS51,S52は、本発明における再構成計算工程に相当する。
(ステップS53)Binarization Processing
図8のステップS53は、上述した実施例1のステップS3,上述した実施例4のステップS43と同じであるので、その説明については省略する。
(ステップS54)Projection + Binarization Processing
図8のステップS54は、上述した実施例1のステップS4,上述した実施例4のステップS44と同じであるので、その説明については省略する。ステップS53,S54は、本発明におけるマスク算出工程に相当する。
(ステップS55)ML-EM
図8のステップS55は、上述した実施例1のステップS5,上述した実施例2のステップS15,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS25,図6ではステップS35),上述した実施例4のステップS45と同じであるので、その説明については省略する。ステップS55は、本発明におけるオフセット推定工程に相当する。
(ステップS56)Extraction
図8のステップS56は、上述した実施例1のステップS6,上述した実施例2のステップS16,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS26,図6ではステップS36),上述した実施例4のステップS46と同じであるので、その説明については省略する。ステップS56は、本発明における参照領域抽出工程に相当する。
(ステップS57)f(α)=DΩknown,μ'+α×μoff)
上述した実施例1〜4では、代表値に基づいて係数αを算出していた。本実施例5では、誤差評価関数に基づいて係数αを算出する。なお、K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、wn (n=1,…,K)を0以上1以下の係数としたときに、図8では、K=1(つまり、n=1のみ)として領域数を1つのみとし、係数w1=1として説明する。一般化した式については、後述する。
具体的には、μknownを領域Ω内に既知の吸収係数を設定した画像とし、DΩ(X,Y)を領域Ω内に関する画像Xおよび画像Yの誤差評価関数とする。画像Xを領域Ω内に既知の吸収係数を設定した画像μknownに置き換え、画像Yを、オフセット画像μoff'に係数α倍したα×μoffを画像μ'に加算して得られた値(μ'+α×μoff)に置き換えれば、DΩknown,μ'+α×μoff)は、領域Ω内に関する既知の吸収係数を設定した画像μknownと、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像(μ'+α×μoff)との誤差評価関数となる。f(α)を、係数αを変数とした関数とすると、関数f(α)は下記(4)式のように表される。
f(α)=DΩknown,μ'+α×μoff) …(4)
上記(4)式で表された関数f(α)を最小化するαを算出する。誤差評価関数DΩ(X,Y)は、例えば、二次関数DΩ(X,Y)=Σn∈Ω(X-Y)2である。もちろん、画像Xおよび画像Yの誤差を評価する関数であれば、絶対値の差分和DΩ(X,Y)=Σn∈Ω|X-Y|に例示されるように、誤差評価関数DΩ(X,Y)については特に限定されない。ステップS57は、本発明における係数算出工程に相当する。
(ステップS58)μ=μ'+α×μoff
図8のステップS48は、上述した実施例1のステップS8,上述した実施例2のステップS18,上述した実施例3のステップ(図5ではステップS28,図6ではステップS38),上述した実施例4のステップS48と同じであるので、その説明については省略する。ステップS58は、本発明における吸収係数値補正工程に相当する。
なお、図8は、上述した実施例1の図3におけるステップS7による代表値に基づく係数αの算出を、ステップS57による誤差評価関数に基づく係数αの算出に置き換えた場合に適用したときの実施例5のフローチャートである。もちろん、上述した実施例2の図4におけるステップS17による代表値に基づく係数αの算出を、ステップS57による誤差評価関数に基づく係数αの算出に置き換えた場合に実施例5を適用してもよいし、上述した実施例3の図5におけるステップS27または図6におけるステップS37による代表値に基づく係数αの算出を、ステップS57による誤差評価関数に基づく係数αの算出に置き換えた場合に実施例5を適用してもよいし、上述した実施例4の図7におけるステップS47による代表値に基づく係数αの算出を、ステップS57による誤差評価関数に基づく係数αの算出に置き換えた場合に実施例5を適用してもよい。
本実施例5に係る吸収係数画像推定方法によれば、上述した実施例1〜4と同様に、領域Ωにおける定量的でない画像μ'の値と既知の吸収係数値(真の吸収係数画像の値)との差分は、オフセット画像μoffを係数α倍したα×μoffで近似可能であるという数学的な関係に基づいて、ステップS58で吸収係数値を補正する。したがって、ステップS58で補正された吸収係数値μを有する吸収係数画像は、系統誤差が小さくなる。その結果、定量的な吸収係数画像を作成することができるので、放射能画像の正確な吸収補正が可能となる。
本実施例5では、誤差評価関数に基づいて係数αを算出している。上記(4)式を一般化した場合について説明する。K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、Ωnをn番目の領域Ωとし、μn known(n=1,…,K)を領域Ωn内に既知の吸収係数を設定した画像とし、DΩn(X,Y)を領域Ωn内に関する画像Xおよび画像Yの誤差評価関数とし、wn(n=1,…,K)を0以上1以下の係数とする。画像Xを領域Ωn内に既知の吸収係数を設定した画像μn knownに置き換え、画像Yを、オフセット画像μoff'に係数α倍したα×μoffを画像μ'に加算して得られた値(μ'+α×μoff)に置き換えれば、DΩnn known,μ'+α×μoff)は、領域Ωn内に関する既知の吸収係数を設定した画像μn knownと、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像(μ'+α×μoff)との誤差評価関数となる。このとき、係数αを変数とした関数f(α)は、n=1,…,Kで各領域Ω1,…,ΩK毎の係数w1,…,wKによるDΩ11 known,μ'+α×μoff),…,DΩKK known,μ'+α×μoff)の重み付き加算で表される。すなわち、一般化した場合には、関数f(α)は下記(5)式のように表される。
f(α)=Σn=1,…,K[wn×DΩnn known,μ'+α×μoff)] …(5)
上記(5)式で表された関数f(α)を最小化するαを算出する。
本実施例5に係る吸収係数画像推定プログラム6(図1を参照)や本実施例5に係るPET装置1(図1を参照)の作用・効果については、上述した実施例1〜4と同じであるので、その説明については省略する。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した各実施例において撮影対象については、特に限定されない。被検体の全身を撮影する装置や、被検体の頭部を撮影する装置や、被検体の乳房を撮影する装置に適用してもよい。
(2)上述した各実施例では、DOI検出器であったが、深さ方向を弁別しない検出器に適用してもよい。
(3)上述した各実施例では、検出器リングを被検体の体軸方向に積層配置する構成であったが、検出器リングが1つのみの構成であってもよい。
(4)上述した各実施例では、データ形式がサイノグラムのときであったが、サイノグラムに限定されない。投影データであれば、例えばデータ形式がヒストグラムであってもよい。したがって、上述した実施例1〜3では、MLACF法で推定した吸収係数投影データは吸収係数サイノグラムA'であったが、MLACF法で推定した吸収係数投影データは吸収係数ヒストグラムであってもよい。
(5)上述した実施例1では、画像μ'を先に二値化した後に投影データを算出し、その投影データを二値化したが、下記のように被検体マスク投影データmprojを算出してもよい。すなわち、マスク算出工程は、画像μ'の投影データを算出する工程と、画像μ'の投影データの二値化データを被検体マスク投影データmprojとして算出する工程とからなる態様でもよい。この態様の場合には、画像μ'の投影データを先に算出した後に二値化している。
(6)上述した実施例3では、放射能画像(図5ではλ',図6ではλ2')の投影データを先に算出した後に二値化していたが、下記のように被検体マスク投影データmprojを算出してもよい。すなわち、マスク算出工程は、(上述した)TOF-PETの計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を算出する工程と、放射能画像の二値化画像を算出する工程と、二値化画像の投影データを算出する工程と、二値化画像の投影データを二値化したデータを被検体マスク投影データmprojとして算出する工程とからなる態様でもよい。この態様の場合には、放射能画像を先に二値化した後に投影データを算出し、その投影データを二値化している。上述した実施例3と同様に、この態様の場合においても、放射能画像を算出する再構成アルゴリズムについては、特に限定されず、図5のような同時再構成アルゴリズム(MLACF法やMLAA法)あるいは、図6のような同時再構成アルゴリズム(MLACF法やMLAA法)とは異なる再構成アルゴリズム(例えばML-EM法)を用いてもよい。
以上のように、本発明は、TOF計測型PET装置で計測された計測データを用いた吸収係数画像の推定に適している。
1 … PET装置
3 … γ線検出器
5 … 演算回路
6 … 吸収係数画像推定プログラム
λ',λ2' … 放射能画像
A' … 吸収係数サイノグラム
μ' … (定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された)画像
mimg … 被検体マスク画像
mproj … 被検体マスク投影データ
μoff … (不均一な)オフセット画像
Ω … (既知の吸収係数値で近似可能な)領域
K … 既知の吸収係数値で近似可能な領域数
Ωn … n番目の領域Ω
μn known … 領域Ωnの既知の吸収係数値
S(μ';Ωn) … 領域Ωnにおける画像μ'の代表値
S(μoffn) … 領域Ωnにおけるオフセット画像μoff'の代表値
α … 係数
αn … 領域Ωnにおける係数α
T(α12,…,αK) … 係数α12,…,αKの代表値
μ … 真の吸収係数画像の値(吸収係数値)
DΩknown,μ'+α×μoff) … 領域Ω内に既知の吸収係数を設定した画像μknownと、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像(μ'+α×μoff)との誤差評価関数
DΩnn known,μ'+α×μoff) … 領域Ωn内に既知の吸収係数を設定した画像μn knownと、定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像(μ'+α×μoff)との誤差評価関数
wn … (0以上1以下の)係数
f(α) … (係数αを変数とした)関数

Claims (11)

  1. 消滅放射線の飛行時間差(Time Of Flight)情報を含んだポジトロンCTの計測データから吸収係数画像を推定する方法であって、
    μ’を定量的な吸収係数画像に対して不均一なオフセット値が加算された画像とし、前記計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、前記画像μ’を計算する再構成計算工程と、
    前記計測データに基づいて投影データ空間における被検体マスクデータである被検体マスク投影データを算出するマスク算出工程と、
    μoffを不均一なオフセット画像としたときに、オフセット画像μoffの順投影データが被検体マスク投影データを近似するように構成された再構成アルゴリズムによって、前記オフセット画像μoffを推定するオフセット推定工程と、
    Ωを既知の吸収係数値で近似可能な領域としたときに、前記計測データに基づいて計算された、被検体領域が認識可能な画像を用いて、前記領域Ωを少なくとも1つ以上抽出する参照領域抽出工程と、
    αを係数としたときに、前記領域Ωにおける前記画像μ’の値と既知の吸収係数値との誤差を減少させる前記係数αを算出する係数算出工程と、
    前記画像μ’の値に、前記オフセット画像μoffを前記係数α倍したα×μoffを加算して得られた値を吸収係数値として補正する吸収係数値補正工程と
    を備える、
    吸収係数画像推定方法。
  2. 請求項1に記載の吸収係数画像推定方法において、
    前記再構成計算工程を、(a)前記画像μ’を未知数に含む計算アルゴリズムで実施する、または(b)吸収係数投影データを未知数に含む計算アルゴリズムおよび前記吸収係数投影データを再構成した画像を前記画像μ’とするアルゴリズムの組み合わせで実施する、
    吸収係数画像推定方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の吸収係数画像推定方法において、
    (A)前記マスク算出工程は、
    前記画像μ’の二値化画像を被検体マスク画像として算出する工程と、
    前記被検体マスク画像の投影データを算出する工程と、
    前記被検体マスク画像の投影データの二値化データを前記被検体マスク投影データとして算出する工程と
    からなる、
    または
    (B)前記マスク算出工程は、
    前記画像μ’の投影データを算出する工程と、
    前記画像μ’の投影データの二値化データを前記被検体マスク投影データとして算出する工程と
    からなる、
    吸収係数画像推定方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の吸収係数画像推定方法において、
    前記マスク算出工程は、
    前記計測データを投影データ形式に変換したものを二値化したデータを前記被検体マスク投影データとして算出する工程からなる、
    吸収係数画像推定方法。
  5. 請求項1または請求項2に記載の吸収係数画像推定方法において、
    (C)前記マスク算出工程は、
    前記計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を算出する工程と、
    前記放射能画像の投影データを算出する工程と、
    前記投影データを二値化したデータを前記被検体マスク投影データとして算出する工程と
    からなる、
    または
    (D)前記マスク算出工程は、
    前記計測データに関する評価関数の最適化に基づいて、放射能画像を算出する工程と、
    前記放射能画像の二値化画像を算出する工程と、
    前記二値化画像の投影データを算出する工程と、
    前記二値化画像の投影データを二値化したデータを前記被検体マスク投影データとして算出する工程と
    からなる、
    吸収係数画像推定方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸収係数画像推定方法において、
    前記オフセット推定工程で実施する再構成処理は、解析的再構成,統計的再構成,代数的再構成のいずれかの計算方式で実施する、
    吸収係数画像推定方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の吸収係数画像推定方法において、
    前記参照領域抽出工程において抽出される少なくとも1つ以上の領域Ωは、吸収係数を既知と見なせる組織の領域である、
    吸収係数画像推定方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収係数画像推定方法において、
    K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、Ωをn番目の前記領域Ωとし、μ known(n=1,…,K)を前記領域Ωの既知の吸収係数値とし、S(X;Ω)を、前記領域Ωにおける画像Xの統計量または統計量から算出される値の代表値とし、T(x1,x2,…,xK)を任意のK個の値x1,x2,…,xKの統計量または統計量から算出される値の代表値とし、αを前記領域Ωにおける前記係数αとしたときに、前記係数算出工程における前記係数αは、α= T(α12,…,αK),α=(μ known-S(μ’; Ω))/S(μoff; Ω) (n=1,…,K)である、
    吸収係数画像推定方法。
  9. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の吸収係数画像推定方法において、
    K(≧1)を既知の吸収係数値で近似可能な領域数とし、Ωをn番目の前記領域Ωとし、μ known(n=1,…,K)を前記領域Ω内に既知の吸収係数を設定した画像とし、DΩ(X,Y)を前記領域Ω内に関する画像Xおよび画像Yの誤差評価関数とし、w(n=1,…,K)を0以上1以下の係数としたときに、前記係数算出工程における前記係数αは、関数f(α)= Σn=1,…,K[w×DΩ known,μ’+α×μoff)]を最小化するαである、
    吸収係数画像推定方法。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の吸収係数画像推定方法をコンピュータに実行させる、吸収係数画像推定プログラム。
  11. 請求項10に記載の吸収係数画像推定プログラムを搭載したポジトロンCT装置において、
    当該吸収係数画像推定プログラムを実行する演算手段を備える、ポジトロンCT装置。
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