JP4208284B2 - 核像形成方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に核医療のための、そして特に一致像形成を使用する核像形成の分野に係る。しかしながら、本発明は、検出された事象に重みを指定することが必要な他の用途にも適用できることが明らかである。
【0002】
【従来の技術】
核像形成においては、 99mTc又は 201Tlのような放射線医薬品が患者の身体に投与される。この放射線医薬品が減衰するときに、ガンマ線が発生される。これらのガンマ線が検出され、臨床学的に有用な像を構成するのに使用される。陽電子放出断層撮影法(PET)は、核医療の一部門であり、18F−フルオロデオキシグルコース(FDG)のような陽電子放出の放射線医薬品が患者の身体に導入される。放出された各陽電子は、消滅事象として知られている仕方で電子と反応し、一対の511keVのガンマ線を発生する。これらのガンマ線は、約180°離れた方向、即ち互いに逆方向に放出される。
【0003】
一対の検出器が各ガンマ線の位置及びエネルギーを登録し、これにより、消滅事象、ひいては、陽電子源の位置に関する情報を与える。ガンマ線は、互いに逆方向に進むので、陽電子消滅は、検出されたガンマ線を結ぶ一致線に沿って発生したと言える。多数のこのような事象が収集され、そして臨床学的に有用な像を再構成するのに使用される。
【0004】
臨床学的な陽電子消滅像形成のためのエネルギースペクトルは、511keVの光ピークを特徴とする。同様に、コンプトン散乱放射線は、コンプトンの縁と同程度に高いエネルギーを有するカウントに貢献する。一致像形成においては、二重エネルギー窓検出機構が時々使用される。光ピークのまわりの窓と、コンプトン領域付近の窓が識別される。両方の検出器が光ピーク窓内に時間的に同時に事象を検出した場合、又は一方の検出器が光ピーク窓内に事象を観察し、そして他方の検出器がコンプトン窓内に事象を同時に検出する場合に、一致事象がカウントされる。各々の場合に、メモリ位置が増加されて、事象及びその位置を記録し、各事象が等しく重み付けされる。両方の検出器がコンプトン事象を観察するところの事象は、破棄される。
【0005】
又、一致像形成のための多切片リバイニング(rebinning) 技術が米国特許第5,331,553号から知られている。この技術によれば、事象の軸方向角度に基づいて2つ以上のメモリ位置が増加される。しかしながら、米国特許第5,331,553号は、種々の事象を正規化し、ひいては、検出されたエネルギーに関わりなく等しく重み付けしなければならないことを教示している。
【0006】
より一般的に、核像形成においては、各検出事象に対して決定された位置座標に対応するメモリ位置を増加することにより像の投影即ちサイノグラムが形成される。メモリ位置は、事象エネルギーが特定のエネルギー窓内にあるときに増加される。或いは又、データがリストモードで収集される場合には、同様の増加が後処理で行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これら技術の共通点は、事象が2進形態で重み付けされ、即ち受け入れられるか拒絶されるかのいずれかであることである。その結果、これら技術は、各事象により表される相対的な重要性又は確実性を伝えることができない。例えば、コンプトン窓内に入る事象の位置の不確実性は、光ピーク窓内に入る事象より大きい。この不確実性を考慮できないことにより、検出事象に関する重要な情報が失われ、それ故、得られる像の情報に使用することができない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴によれば、陽電子消滅事象の特性であるガンマ線が検出され、そしてそれらのエネルギーが決定される。その決定されたエネルギーに基づいて少なくとも3つの異なる重みの1つが陽電子消滅事象に指定される。複数の陽電子消滅事象に対してこれらの段階が繰り返され、そして重み付けされた事象を表す像が形成される。
【0009】
本発明のより限定された特徴によれば、第1のエネルギー窓が確立される。この第1のエネルギー窓は、陽電子消滅により発生されたガンマ線の特徴であるエネルギーを含む。第1のエネルギー窓よりエネルギーの低い第2のエネルギー窓が確立され、そして検出されたガンマ線のエネルギーが第1及び第2の窓に対して決定される。両方のガンマ線の決定されたエネルギーが第1の窓内にある場合には第1の重みが事象に指定される。一方のガンマ線の決定されたエネルギーが第1の窓内にありそして他方のガンマ線の決定されたエネルギーが第2の窓内にある場合には第2の重みが事象に指定される。両方のガンマ線の決定されたエネルギーが第2の窓内にある場合には第3の重みが事象に指定される。
【0010】
本発明の更に別の限定された特徴によれば、第1の重みは、第2の重みより大きく、そして第3の重みは、ゼロである。第2のエネルギーの重みは、コンプトンの縁を含む。
本発明の別の限定された特徴によれば、検出されたガンマ線の位置が決定されそしてその位置に基づいてメモリアドレスが発生される。メモリアドレスに含まれた値に重みの値が加えられる。
【0011】
本発明の別の特徴によれば、放射性核種の減衰により発生されるガンマ放射線が検出される。検出事象の発生が通知され、そして事象の位置が決定される。決定された位置の精度を表すパラメータが測定され、そして測定されたパラメータの値に基づいて少なくとも3つの重み値の1つが事象に指定される。複数の放射性核種の減衰に対してこれらの段階が繰り返され、そして像が発生される。
【0012】
本発明の限定された特徴によれば、測定されるパラメータは、検出されるガンマ放射線のエネルギーである。本発明の別の限定された特徴によれば、検出される放射線は、陽電子消滅事象により発生される第1及び第2のガンマ線を含む。本発明の更に別の特徴においては、測定されるパラメータは、シンチレータの光パルスの空間分布である。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、放射性核種の減衰により発生されるガンマ放射線が検出される。検出事象の発生が通知され、そして検出された放射線のエネルギーが決定される。決定されたエネルギーに基づいて少なくとも3つの重みの1つが事象に指定される。
本発明の可変重み付けを用いた核像形成の第1の効果は、得られる像の質への事象のあり得べき貢献に関連した情報が保持されることである。別の効果は、検出事象が像の質へのあり得べき貢献に基づいて重み付けされることである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明による核像形成方法及び核像形成カメラは、添付図面を参照して一例として以下に詳細に説明する。
核像形成においては、検出された事象が、x、y位置及びエネルギーzにより特徴付けされる。一致像形成においては、一致事象が、時間的に同時に検出された2つの事象により特徴付けされる。多数のこのような一致事象が検出され、そして通常は、それにより得られる投影をフィルタしそして像空間を通る線を後方投影することにより像が再構成される。従って、像の精度は、投影の精度に関連し、これら投影は、個々の検出された事象の貢献を加算することにより構成される。
【0015】
しかし、検出された事象は、異なる不確実性をしばしば有する。例えば、シンチレーションクリスタルの光出力は、検出された放射線のエネルギーに関連している。低エネルギー事象は、位置を計算するところのシンチレーション光をあまり発生しないので、測定された位置を決定できる信頼性は低い。一方、高エネルギー事象は、より多くのシンチレーション光を発生し、比較的高い信頼性で位置を決定できる。
検出された事象の精度の信頼性は、散乱の影響も受ける。この技術で良く知られたように、散乱は、ガンマ線のエネルギーを変化させると共に、その方向も変化させる。
【0016】
検出された事象は、散乱の存在及び位置に基づいて種々の分類にグループ分けすることができる。例えば、散乱されることなくガンマ線が検出されたときに、真の事象が生じる。ガンマ線は、検出される前に直線路を進行すると仮定できるので、その基礎となる事象の実際の位置は、比較的高い精度で分かる。散乱されないと、これらのガンマ線は、使用する特定の放射性医薬品の主たる光ピークの領域のエネルギーにより特徴付けされる( 99mTcの場合には約140keV、 201Tlの場合には80keV、陽電子消滅により発生されたガンマ線の場合には511keV)。主たる光ピークの上部において検出された事象は、特に散乱されるおそれがない。それ故、これら事象の位置は、特に高度の信頼性で決定することができる。その結果、真の事象は、像の質に積極的に貢献する。
【0017】
シンチレータ散乱事象においては、例えば、ガンマ線が第1の相互作用においてシンチレータ結晶により部分的に吸収されるだけである場合には、シンチレータ結晶内にコンプトン散乱が生じる。これらの事象は、特定の放射性医薬品に対するコンプトンの縁のエネルギー( 99mTcの場合には約50keV、 201Tlの場合には19keV、陽電子消滅により発生されたガンマ線の場合には340keV)より低いエネルギーを有するものとして検出される。事象が検出される位置は、シンチレータ吸収(ひいては、散乱)が生じた位置であるから、その基礎となる事象の位置は、比較的高い精度で決定することができる。その結果、シンチレータの散乱事象は、像の質に積極的に貢献する傾向がある。シンチレータ散乱は、ヨウ化ナトリウムNaI(Tl)シンチレーション結晶を用いるときには陽電子消滅像形成において優勢な形態の相互作用であるが、ビスマスゲルマナイトBGOシンチレータが使用されるときには、あまり一般的ではない。シンチレータ散乱は、消滅像形成に関連した高いエネルギーにおいて特に重要となる。
【0018】
更に別の形式のシンチレータ散乱事象においては、入射するガンマ線は、そのエネルギーがシンチレーション結晶により吸収される前に、1つ以上のコンプトン相互作用を受ける。ガンマ線の全エネルギーが結晶により本質的に瞬時に吸収されるので、この形式の相互作用は、主たる光ピークの領域にエネルギーを有するものとして検出される。この形式の事象は、2つ以上の相互作用(異なる位置を各々有する)により特徴付けされるので、その基礎となる事象の位置は、単一のシンチレータ散乱相互作用の場合より若干低い精度で決定することができる。それにも関わらず、この形式の散乱事象は、像の質に積極的に貢献する傾向がある。
【0019】
身体散乱事象においては、被検査身体内に散乱が生じ、これにより、放出されるガンマ線の方向が変化する。散乱事象の位置は未知でありそして方向が変化するので、基礎となる事象の位置は、比較的低い精度でしか決定できない。これらのガンマ線は、特定の放射性医薬品のコンプトン領域のエネルギーを有するものとして検出される。従って、この形式の散乱事象は、像の質を低下する傾向がある。
【0020】
他の形式の散乱事象も生じる。例えば、後方散乱事象は、ガンマ線が相互作用なしにシンチレータを通過するときに生じ、検出器又は検出電子装置のガラスの裏板から後方散乱し、そして結晶を第2回目に通過する際に吸収される。陽電子消滅像形成においては、多数の検出される後方散乱ガンマ線は、170ないし200keVの範囲のエネルギーを特徴とする。
【0021】
一致事象も、同様に特徴付けすることができる。真の一致事象においては、各検出ガンマ線が真の事象として検出される。各ガンマ線は、同じ陽電子消滅から生じ、そしてガンマ線は、散乱を生じることなく検出される。従って、一致線に沿って減衰が生じるという仮定(同一直線性の仮定)は有効であり、この事象は像の質に積極的に貢献する。
【0022】
部分的に散乱する一致事象においては、ガンマ線の一方が真の事象として検出され、そしてその他方が、シンチレータ散乱事象又は身体散乱事象のいずれかとして検出される。前者の場合には、同一直線性の仮定がおそらく有効でありそしてその事象は、像の形成に積極的に貢献する。しかしながら、後者の場合には、同一直線性の仮定が無効であり、その事象は、像の質に対し悪影響を及ぼす傾向がある。
【0023】
二重散乱の一致事象では、両方のガンマ線が散乱事象として検出される。いずれの事象も真の事象として検出されないので、検出事象の少なくとも一方が身体散乱事象から生じる可能性は、一方が真の事象である場合よりも比較的高い。その結果、同一直線性の仮定が真である可能性は低く、そして事象が像の質に積極的に貢献する可能性も低い。
【0024】
以上の説明から明らかなように、核像形成は、不確実性の要素を各々含む多数の個別の事象の検出及び測定を伴う。統計学的な測定理論は、標準偏差σi をもつ個別の測定値xi を次の式に基づいて合成し、平均値(反転x)及び標準偏差σの最良の推定値が次の数1及び数2のように得られることを述べている。
【0025】
【数1】
Figure 0004208284
【0026】
【数2】
Figure 0004208284
【0027】
従って、平均値を決定するときには、小さな不確実性をもつ事象が、大きな不確実性をもつ事象よりも大きく重み付けされる。この原理を利用して、核像の質を最大にすることができる。
【0028】
図1を参照すれば、一致像形成に使用するためのガンマ線カメラは、検査領域11の周りの対向する位置に配置された検出器10a、10bを含む。検査領域11は、像形成される対象物、例えば、患者12を受け入れるサイズにされる。患者の寝台(図示せず)又は他の対象物支持体が、対象物12を検査領域11内に支持する。
各検出器10は、NaL(Tl)シンチレータ結晶、光電子増倍管(PMT)のx、yアレー、及び処理電子装置を含む。シンチレータ結晶に当たるガンマ線からのエネルギーは、光に変換され、この光は、1つ以上のPMTにより検出され、検出事象の信号を発生する。
【0029】
一致論理回路14は、両方の検出器10a、10bによって検出された事象が同時に生じたかどうか決定する。より詳細には、一致論理回路は、両検出器が、例えば、15ナノ秒程度の所定の一致時間間隔内にガンマ線を検出したかどうか決定する。もしそうであれば、一致論理回路14は、一致事象が生じたことを示すデジタルの一致信号16を発生する。一方、検出器10a、10bが一致時間間隔より時間的に離れた事象を検出した場合には、一致信号16は発生されず、事象はそれ以上処理されない。
【0030】
各検出器10a、10bには、検出された事象のエネルギーz及び位置x、yの両方を決定するエネルギー及び位置決定回路18a、18bが関連される。この回路18a、18bは、一致信号16によりトリガーされ、一致事象に対してのみエネルギーz及び位置x、yが決定される。各一致事象ごとに、検出器10a、10bにより検出された事象に対応して、位置及びエネルギーx1 、y1 、z1 及びx2 、y2 、z2 が発生される。非一致事象は処理されない。
【0031】
エネルギー弁別回路20a、20bは、検出された事象が、1つ以上の所定のエネルギー窓W1 、W2 、・・・Wn の1つに入るかどうか決定する。検出された事象の一方又は両方がエネルギー範囲Wn の1つから外れるような一致事象は拒絶され、その事象はそれ以上処理されない。
リストモードプロセッサ22は、複数の一致事象対の各々において検出された事象のエネルギーz及び位置x、yを含むリストを発生する。リストモードプロセッサ22の出力は、便利な時間、例えば、特定の患者のデータ収集が完了した後に、更に処理するために、メモリに記憶されるのが好ましい。
【0032】
更なる処理は、従来の像形成コンピュータ30により行われるのが好ましい。リバイニング(rebinning) プロセッサ24は、検出された事象の位置x1 、y1 及びx2 、y2 に基づいてリストモードデータを分類する。図2を参照すれば、像形成領域12の中心27のようなポイントが定義される。横座標x1 及びx2 は、中心27に対する横座標Xと、検出器10a、10bの1つの表面に対する横方向角度θとを計算するのに使用される。図3を参照すれば、リストモードデータは、良く知られた「単一切片リバイニング」アルゴリズムを使用して軸方向にもリバイニングされる。軸方向の位置座標y1 及びy2 は、平均軸方向座標Yを計算するのに使用され、そして軸方向角度φは、ゼロと仮定される。従って、各一致事象に対してリバイニングされた座標(X、Y、θ)は、検出された座標(x1 、x2 、y1 、y2 )に基づいて決定される。又、各リバイニングされた一致事象には、各検出事象のエネルギーを表すタグが関連される。このタグは、例えば、各検出事象に関連した各エネルギー窓Wn である。
【0033】
他のリバイニング技術も使用できることが明らかである。例えば、軸方向リバイニングを、横方向に使用されるものと同様に行い、検出された軸方向座標y1 及びy2 を使用して、軸方向座標Y及び軸方向角度φを計算することもできる。従って、リバイニングされた座標(X、Y、θ、φ)が各一致事象ごとに発生される。
事象重みプロセッサ26は、精度の信頼性に基づいて重みを各一致事象に指定する。より詳細には、好ましい実施形態では、重みプロセッサ26は、個々の検出事象のエネルギーに基づいて一致事象に重みδを指定する。このように、事象は、それらの位置精度の信頼性、ひいては、像の質への考えられる貢献に対して重み付けされる。像の質におそらく積極的に貢献する事象は、そうでない事象よりも強く重み付けされる。
【0034】
リバイニングされた座標(X、Y、θ)は、重みδと共に、投影マトリクスメモリ28を更新するのに使用される。メモリ28は、三次元アレーとして見ることができ、各エレメントは、横方向位置X、軸方向位置Y、及び横方向角度θに基づいて独特のアドレスを有する。各エレメント即ちメモリ位置は、カウントC(X、Y、θ)を含む。各一致事象ごとに、メモリ28の適切な位置が、次の関係式に基づき事象の発生及び重みを反映するように更新される。
updated (X、Y、θ)=Cprevious(X、Y、θ)+δ (3)
【0035】
再構成プロセッサ32は、フィルタ式後方投影又は反復再構成のような技術を使用してメモリ28のデータを処理し、像形成される対象物に対応する像を発生する。もちろん、本発明は、反復及び他の再構成技術にも等しく適用できる。オペレータインターフェイス34は、像の選択された部分を人間が読める形態へと変換するための映像プロセッサ及びモニタを含むのが好ましい。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでないことが当業者に明らかであろう。例えば、像形成領域12の周りに配置された3つ以上の検出器10を使用することもでき、各一致事象は、3つ以上の検出器のうちの2つで同時に検出されたガンマ線により特徴付けされる。同様に、検出器10は、データを収集するときに患者12の周りを容易に回転することができ、及び/又は患者に対して軸方向に移動することができる。ビスマスゲルマナイト(BGO)のような別のシンチレータを使用することもできる。
【0036】
又、上記した種々の機能を異なる順序で実行することもできる。例えば、一致事象のエネルギーの重み付けは、プロセスの種々のポイントで、例えば、リバイニングの前に決定されてもよい。同様に、エネルギーの弁別は、拒絶される事象の重みをゼロにセットすることにより、事象の重みが確立された後に行うこともできる。又、リストモード出力を種々の段階で発生できることも明らかである。或いは又、データをリアルタイムでリバイニング、重み付け及び記憶することもできる。
【0037】
同様に、本発明は、一致論理回路14を必要としないように、従来のSPECT(単一光子放出計算断層撮影)に適用することもできる。一致像形成の場合と同様に、使用する特定の放射線医薬品のエネルギースペクトルに対し、例えば、光ピーク及びコンプトンの縁の領域に、2つ以上のエネルギー窓が画成される。又、エネルギー窓は、2つの主たる光ピークを有するI−131のような放射性医薬品の光ピーク領域に確立されてもよい。この場合、高い方のエネルギー窓に入る事象は、低い方のエネルギー窓に入る事象よりも強く重み付けされる。又、各検出事象は、そのエネルギーに基づいて重み付けされ、そして像が再構成される。
【0038】
動作中に、FDGのような放射性医薬品が患者12の身体に導入され、そして患者は、像形成領域11に配置される。検出器の1つ、例えば、検出器10aにより事象が検出される。他方の検出器10bにより第2の事象が検出される。陽電子消滅の特性のように、2つの事象が時間的に一致時間間隔内に生じた場合には、一致論理回路14が一致信号16を発生する。一致信号によりトリガーされて、エネルギーレベル及び位置回路18a、18bは、各検出事象のエネルギーレベルz及びx、y位置を決定する。
【0039】
エネルギー弁別回路20a、20bは、各検出事象が予め選択された窓内に入るかどうか決定する。図4を参照すれば、陽電子消滅の特性である511keVの主たる光ピークの付近にエネルギー窓が確立される。この光ピーク窓の下端は約430keVに位置するのが好ましく、一方、その上端は、約590keVに位置するのが好ましい。同様に、約300keVのコンプトン領域にエネルギー窓が位置される。このコンプトン窓の下端は、約260keVに位置するのが好ましく、一方、その上端は、約340keVに位置するのが好ましい。
【0040】
検出された事象の一方又は両方が光ピーク窓及びコンプトン窓の両方から外れる場合には、弁別回路20a、20bは、両方の事象を拒絶させる。同様に、両事象がコンプトン窓内に入る場合にも、両事象は拒絶される。両方の事象が光ピーク窓内に入る場合、又は一方の事象が光ピーク窓内に入りそして他方がコンプトン窓内に入る場合には、各x、y位置及びエネルギーzの値がリストモードプロセッサ22により処理され、そしてデータ収集が完了するまで記憶される。
【0041】
リストされた一致事象の各々は、次いで、リバイニングプロセッサ24によりリバイニングされる。次いで、一致事象には、重みプロセッサ26により重みが指定される。両方の検出事象が光ピークエネルギー範囲内に入るような一致事象は、最も強く重み付けされ、検出事象の一方が光ピーク範囲内に入りそして他方の事象がコンプトンエネルギー範囲内に入るような一致事象は、あまり強く重み付けされない。上記したように、両方の検出事象がコンプトン範囲内に入るような一致事象は、拒絶回路21により拒絶され、従って、有効重みがゼロとなる。テーブルIは、個々の検出事象のエネルギーに基づいて各形式の一致事象に適用される重みを示す。
Figure 0004208284
この情報は、図5のグラフに示されている。
【0042】
整数及び非整数の両方である他の重みも考えられ、容易に実施することができる。又、拒絶回路21がコンプトン/コンプトン事象を拒絶する必要もない。この場合、コンプトン/コンプトン一致事象には、重みプロセッサ26によりゼロの重み(又は所望の非ゼロの重み)を与えることができる。
次いで、メモリ28の適切な位置が更新される。座標(X、Y、θ)を有し、各検出事象が光ピーク窓内に入るような一致事象の場合には、例えば、メモリ28の対応位置が次のように更新される。
updated (X、Y、θ)=Cprevious(X、Y、θ)+2 (4)
座標(X、Y、θ)を有し、一方の検出事象が光ピーク窓内に入りそして他方がコンプトン窓内に入るような一致事象の場合には、例えば、メモリ28の対応位置が次のように更新される。
【0043】
updated (X、Y、θ)=Cprevious(X、Y、θ)+1 (5)
【0044】
本発明は、2つのエネルギー窓に限定されるものでないことが当業者に明らかであろう。従って、例えば、3つ以上のエネルギー窓を使用してもよく、この場合も、一致事象は、検出されたガンマ線の各々に関連したエネルギーに基づいて重み付けされる。同様に、検出事象のエネルギーに基づいて4つ以上の重み値を確立することもできる。
【0045】
又、本発明は、エネルギー以外のパラメータに基づいて検出事象を重み付けするようにも使用できる。上記したように、あるシンチレータ散乱事象は、シンチレータ内の多数の相互作用を特徴とする。これら形式の事象に応答してシンチレータにより発生された光は、単一相互作用事象の場合よりも広い領域にわたって分布される傾向があり、従って、大きな位置的な不確実性を招く。例えば、単一のコンプトン相互作用の後に完全な吸収が続く場合には、一般的に楕円形のパターンで光を発生する傾向となり、楕円の焦点は、相互作用の場所となる。この事象には、通常、2つの焦点間の位置が指定される。
【0046】
従って、エネルギー及び位置決定回路18a、18bは、例えば、従来の第2モーメント計算を行うことにより、シンチレーション光パルスの空間分布を決定するように使用することもできる。次いで、事象には、空間分布に対して一般的に逆の重みが指定される。従って、比較的小さな空間分布を有する光を発生する事象は、大きな空間分布を有する事象よりも強く重み付けされる。このように、高い精度で位置を決定できる事象は、低い精度でしか位置を決定できない事象よりも強く重み付けされる。
【0047】
以上、好ましい実施形態について本発明を説明した。上記説明から種々の変更や修正がなされ得ることが明らかである。本発明は、特許請求の範囲内に入る全てのこのような変更や修正及びその等効物を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガンマ線カメラのブロック図である。
【図2】軸方向に見た検出器の図で、横方向リバイニングを示す図である。
【図3】横方向に見た検出器の図で、軸方向リバイニングを示す図である。
【図4】陽電子消滅により発生されるガンマ線のエネルギースペクトル特性を示す図である。
【図5】検出されたガンマ線のエネルギーレベルに基づいて検出された一致事象に適用される重み付けを示す図である。

Claims (6)

  1. 陽電子消滅事象の特性である対になった一致ガンマ線を検出するための手段(10a,10b)と、
    各陽電子消滅事象に対し検出されたガンマ線のエネルギーを決定するための手段(20a,20b)と、
    その決定されたエネルギーに基づいて少なくとも3つの異なる重みの1つを各陽電子消滅事象に指定するための手段(26)と、
    上記陽電子消滅事象及びそれらの指定された重みを表す像を形成するための手段(32)と
    両方の検出された一致ガンマ線のエネルギーが第1のエネルギー窓内にある場合には第1の重みを、一方の検出された一致ガンマ線のエネルギーが第1のエネルギー窓内にありそして他方の検出された一致ガンマ線のエネルギーが第2のエネルギー窓内にある場合には第2の重みを、そして両方の検出された一致ガンマ線のエネルギーが第2のエネルギー窓内にある場合には第3の重みを事象に指定するための手段と、
    を備え、
    上記第2のエネルギー窓がコンプトンの縁の特性であるエネルギーを含むことを特徴とするガンマ線カメラ。
  2. 上記検出手段(10a,10b)は、検査領域のまわりに配置された少なくとも2つのシンチレーション検出器を備えた請求項に記載のガンマ線カメラ。
  3. 上記検出手段(10a,10b)は、更に、上記検出器に電気的に通信する一致検出回路(14)を備え、この一致検出回路は、一致事象を検出した際に信号を発生する請求項に記載のガンマ線カメラ。
  4. 上記ガンマ線のエネルギーを決定するための手段 (20a,20b) は、
    陽電子消滅の特性であるエネルギーを含む第1のエネルギー窓を確立するための手段(20a,20b)と、
    この第1のエネルギー窓よりエネルギーの低い第2のエネルギー窓を確立するための手段(20a,20b)と、
    検出されたガンマ線のエネルギーを第1及び第2のエネルギー窓に対して決定するための手段(20a,20b)と、
    を含み、
    上記少なくとも3つの異なる重みの1つを各陽電子消滅事象に指定するための手段 (26) は、第1及び第2のエネルギー窓に対し上記検出されたガンマ線のエネルギーに基づく重みを事象に指定するための手段(26)を含む、
    請求項ないしのいずれかに記載のガンマ線カメラ。
  5. 検出された一致ガンマ線対のリストを記憶するリストモードプロセッサ(22)を更に備えた請求項1に記載のガンマ線カメラ
  6. 検出された一致ガンマ線対のリストをリバイニングするリバイニングプロセッサ(24)を更に備えた請求項5に記載のガンマ線カメラ
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