JP6761543B2 - 解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置 - Google Patents

解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6761543B2
JP6761543B2 JP2019517515A JP2019517515A JP6761543B2 JP 6761543 B2 JP6761543 B2 JP 6761543B2 JP 2019517515 A JP2019517515 A JP 2019517515A JP 2019517515 A JP2019517515 A JP 2019517515A JP 6761543 B2 JP6761543 B2 JP 6761543B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pixel
pixels
contrast
value
ctf
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019517515A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018207535A1 (ja
Inventor
完司 永島
完司 永島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JPWO2018207535A1 publication Critical patent/JPWO2018207535A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6761543B2 publication Critical patent/JP6761543B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01MTESTING STATIC OR DYNAMIC BALANCE OF MACHINES OR STRUCTURES; TESTING OF STRUCTURES OR APPARATUS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G01M11/00Testing of optical apparatus; Testing structures by optical methods not otherwise provided for
    • G01M11/02Testing optical properties
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04NPICTORIAL COMMUNICATION, e.g. TELEVISION
    • H04N1/00Scanning, transmission or reproduction of documents or the like, e.g. facsimile transmission; Details thereof

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Facsimiles In General (AREA)

Description

本発明は、解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置に係り、特に、光学読取装置のコントラスト伝達関数(CTF:Contrast Transfer Function)の測定に好適なデータ処理技術に関する。
光学読取装置の解像力を測定する方法の1つとして、白黒縞のように濃度端面が矩形状に変化する矩形波パターンを含むCTF測定用チャートを光学読取装置によって読み取り、得られた読取画像のデータからCTF特性を解析する方法が知られている(特許文献1及び特許文献2)。
一般に、CTF測定用チャートの読取画像のデータを処理してCTF値を求める場合、CTF測定用チャートの読取画像のデータから、読取値の最大値と最小値(つまり、白黒のピークとボトム)を求め、次式に示すMichelsonコントラストの定義式を用いてCTF値を計算する。
CTF=(Max−Min)/(Max+Min) 式[1]
式[1]中のMaxは読取値の最大値であり、Minは読取値の最小値である。
特開2007−259360号公報 特開2007−158846号公報
CTFを測定するために用意された専用のCTF測定用チャートのように、白黒縞に関して欠陥のないチャートを用い、チャートの細かさよりも十分に高い読取解像度の光学読取装置を用いてチャートを読み取る場合には、読取画像のデータから読取値の最大値及び最小値の探索が必要な程度で、CTFの計算処理は難しくない。
しかし、例えば、インクジェット印刷装置に搭載されているインラインスキャナの性能状態を市場において検査する場合に、そのインクジェット印刷装置の印刷機能を用いて印刷したチャートからCTFを測定するには、下記の課題1〜3に示すように、通常のCTF測定とは異なる課題がある。
課題1:インクジェットヘッドにおける複数のノズルのうち、吐出しない不吐ノズルが存在し、チャートの線欠けが発生する場合がある。チャートの線欠けには、一部の線が欠落する場合の他、線が細くなったり、或いは、線が短くなったりなど、線の一部分が欠ける場合があり得る。
課題2:インクジェット印刷装置を用いて描画するチャートの線幅、若しくは描画解像度と、インラインスキャナにおける読取画素の解像度(読取解像度)とが近い関係にあると、チャートの読取位置の位相によって読取データは周期的に変化する。具体的には、線幅と読取画素の大きさが近いと、線が2つの読取画素に跨った場合には、濃度が薄い線として読み取られる。このような読取値をつかって直接にCTF値を算出すると、CTF値が小さくなり、正確なCTF値を求めることができない。なお、チャートにおける縞の位置と読取画素との位置関係の位相によって読取データが周期的に変化する現象はモアレ現象と呼ばれる。
課題3:インクジェット印刷装置では、ジョブの実行中、又は、ジョブの開始前、若しくはジョブ間において、インクジェットヘッドの各ノズルの吐出状態を検査するためのノズル検査用チャートが描画される。ノズル検査用チャートの描画結果から、不吐、吐出曲がり、又は滴量異常などの吐出不良を検知することができる。ノズル検査用チャートは、例えば、いわゆる1オンNオフ型のラダーチャートであり、個々のノズルが単独で描画するラインパターンを含む。例えば、シングルパス方式のインクジェット印刷装置によって描画されるノズル検査用チャートでは、ライン型インクジェットヘッドのノズル並び方向である主走査方向に隣接するノズルによって描画した線が、主走査方向に1画素ずれて隣接して描画される。このようなノズル検査用チャートをCTF測定用チャートに利用しようとする場合、隣り合うノズルによって描画された線と線とが近接している部分(階段状に描画されたラインパターンの段のつなぎ目部分)では、線幅が広くなったような状態になっているため、インラインスキャナによる読取値が線幅の影響を受けた値になる。したがって、正確なCTF値を求めるには、この線と線とが近接している部分(つなぎ目部分)の読取データによる影響を除外することが望ましい。読取画像から一部の特定箇所のデータを除外しながら計算処理を進めようとすると、アルゴリズムが複雑になる。
上述の課題1〜3は、インラインスキャナについて顕著な課題である一方、インラインスキャナに限らず、オフラインスキャナも含む各種の光学読取装置に共通の課題である。また、課題1は、インクジェット印刷装置についての課題であるが、インクジェット方式以外の画像形成方式においても、何らかの要因により、チャートの線が欠ける可能性がある。したがって、各種方式の印刷装置について、課題1に類する課題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上述した複数の課題のうち少なくとも1つの課題を、比較的簡単なアルゴリズムによって解決でき、正確なCTFを算出することができる解像力測定方法及び装置、プログラム、並びに印刷装置を提供することを目的とする。
課題を解決するために、次の発明態様を提供する。
態様1に係る解像力測定方法は、少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データを取得する読取画像データ取得工程と、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出工程と、画素間コントラスト算出工程によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出工程と、を含み、特定画素数は、読取画像の画像データにおいて濃淡縞の特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、特定画素数をd、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、画素間コントラスト算出工程は、次式、
CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
に従って、画素間のコントラストを算出する処理と、画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、を含む。
態様1によれば、画素間のコントラストの計算と、最大値探索とを組み合わせた簡単なアルゴリズムによって、CTFを求めることができる。また、態様1によれば、チャートに線欠けが発生した場合であっても、その線欠けの位置に対応する画素に対して算出されるコントラストは低い値となるため、最大値を選ぶ際に除外され、計算結果に残らない。したがって、態様1による処理には、線欠けへの対処処理が含まれている。
態様2は、態様1の解像力測定方法であって、画素間コントラスト算出工程において、画素Xに対して、1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす全てのmについて、CTF(X,Xn+m)を算出し、かつ、全てのmのうち、CTF(X,Xn+m)の最大値を、画素Xにおける画素のコントラスト値とする処理を行う解像力測定方法である。
態様3は、態様2の解像力測定方法であって、解像力算出工程は、濃淡縞の間隔方向に並ぶ画素に対して、縞間隔画素数以上の画素のグループを設定し、かつ、グループごとの各画素について算出された画素のコントラスト値のうち、最大の値を、グループに属する各画素位置でのコントラスト値とする処理を含む解像力測定方法である。
態様4は、態様2又は態様3の解像力測定方法であって、解像力算出工程は、画素Xに対して、濃淡縞に平行な線方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された画素のコントラスト値のうち、最大の値を、画素Xが属する画素列の位置でのコントラスト値とする処理を含む解像力測定方法である。
態様5は、態様2から態様4のいずれか一態様の解像力測定方法であって、チャートは、濃淡縞に平行な線方向に、濃淡縞が2つ以上並んでいる複数の濃淡縞を含み、複数の濃淡縞は、縞の間隔が等しく、かつ、互いに濃淡縞の間隔方向に特定距離だけ縞の位置がずれており、解像力算出工程は、複数の濃淡縞を含むチャートの読取画像の画像データから、画素Xに対して、線方向に平行な方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された画素のコントラスト値のうち、最大の値を、画素Xが属する画素列の位置でのコントラスト値とする処理を含む解像力測定方法である。
態様6は、態様5の解像力測定方法であって、濃淡縞の間隔方向の特定距離は、縞間隔画素数の正の整数分の1であり、線方向に並ぶ濃淡縞の数は、(縞間隔画素数/特定距離)の正の整数倍である解像力測定方法である。
態様7は、態様3から態様6のいずれか一態様の解像力測定方法であって、解像力算出工程は、画素Xに対して、濃淡縞に平行な線方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された画素のコントラスト値のうち、線方向の画素のコントラスト平均値に比べて、規定割合以上大きい値を異常値として除外する処理を含む解像力測定方法である。
態様8は、態様3から態様6のいずれか一態様の解像力測定方法であって、解像力算出工程は、画素Xに対して、濃淡縞に平行な線方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された画素のコントラスト値のうち、線方向の画素のコントラスト平均値に比べて、規定割合以上大きい値を異常値とし、異常値を示す画素のコントラスト値を、周囲の規定画素数の範囲のうち異常値に該当しない画素のコントラスト値の平均値に置き換える処理を含む解像力測定方法である。
態様9は、態様1から態様8のいずれか一態様の解像力測定方法であって、濃淡縞の間隔をPミリメートル、チャート上における光学読取装置の読取画素の間隔をSミリメートルとする場合に、P≧2×Sであって、特定画素数は、d≧P/(2×S)を満たす最小の整数dである解像力測定方法である。
態様10は、態様1から態様8のいずれか一態様の解像力測定方法であって、濃淡縞の間隔をPミリメートル、チャート上における光学読取装置の読取画素の間隔をSミリメートルとする場合に、P≧Sであって、特定画素数は、d≧P/Sを満たす最小の整数dである解像力測定方法である。
態様11は、態様1から態様8のいずれか一態様の解像力測定方法であって、濃淡縞の間隔をPミリメートル、チャート上における光学読取装置の読取画素の間隔をSミリメートルとする場合に、P≧2×Sであって、特定画素数は、d≧P/(2×S)を満たす最小の整数以上、かつ、d≧P/Sを満たす最小の整数以下の整数dである解像力測定方法である。
態様12は、態様1から態様11のいずれか一態様の解像力測定方法であって、チャートには、複数の異なる特定間隔の濃淡縞のパターンが含まれている解像力測定方法である。
態様13は、態様1から態様12のいずれか一態様の解像力測定方法において、チャートに含まれる濃淡縞の方向は、第1方向、又は第1方向に交差する第2方向、若しくは、第1方向と第2方向の両方である解像力測定方法である。
態様14は、態様1から態様13のいずれか一態様の解像力測定方法であって、光学読取装置の読取範囲全体の画素について算出したコントラスト伝達関数の算出結果から光学読取装置のピント状態を判断する工程を含む解像力測定方法である。
ピント状態を判断するとは、コントラスト伝達関数の算出結果が光学読取装置で規定された所定範囲内にあるかどうかを判断し、光学読取装置のピント状態が正常であるかどうかを判断することを意味する。
態様15は、態様1から態様14のいずれか一態様の解像力測定方法であって、チャートは、印刷装置を用いて記録媒体に濃淡縞が印刷されたチャートである解像力測定方法である。
態様16は、態様1から態様15のいずれか一態様の解像力測定方法であって、光学読取装置を用いてチャートを読み取るチャート読取工程を含む解像力測定方法である。
態様17は、態様16の解像力測定方法であって、光学読取装置の光学系は、単一の光軸を持つ結像レンズ、又は複数の光軸を持つレンズアレイを含む解像力測定方法である。
態様18は、態様1から態様17のいずれか一態様の解像力測定方法であって、印刷装置を用いて濃淡縞を含むチャートを印刷するチャート印刷工程を含む解像力測定方法である。
態様19は、態様18の解像力測定方法であって、印刷装置は光学読取装置を備えており、印刷装置によってチャートを印刷し、かつ、印刷装置内において光学読取装置によってチャートの読み取りを行う解像力測定方法である。
態様20は、態様18又は態様19の解像力測定方法であって、印刷装置は、インクジェット印刷装置である解像力測定方法である。
態様21は、態様20の解像力測定方法であって、濃淡縞の各線はそれぞれ、インクジェットヘッドにおける単一のノズルからの打滴によって記録される解像力測定方法である。
態様22は、態様20又は態様21の解像力測定方法であって、光学読取装置は、インクジェット印刷装置に搭載されたインラインスキャナである解像力測定方法である。
態様23に係る解像力測定装置は、少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データを取得する読取画像データ取得部と、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出部と、画素間コントラスト算出部によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出部と、を備え、特定画素数は、読取画像の画像データにおいて濃淡縞の特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、特定画素数をd、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、画素間コントラスト算出部は、次式、
CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
に従って、画素間のコントラストを算出する処理と、画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、を行う解像力測定装置である。
態様23に係る解像力測定装置において、態様2から態様22にて特定した特定事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、解像力測定方法の発明において特定される処理や動作の工程(ステップ)は、これに対応する処理や動作を担う手段としての処理部や機能部の要素として把握することができる。
態様24に係るプログラムは、少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データから光学読取装置の解像力を測定するデータ処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータに、チャートの読取画像のデータを取得する読取画像データ取得工程と、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出工程と、画素間コントラスト算出工程によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出工程と、を実行させるプログラムであり、特定画素数は、読取画像の画像データにおいて濃淡縞の特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、特定画素数をd、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、画素間コントラスト算出工程は、次式、
CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
に従って、画素間のコントラストを算出する処理と、画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、を含むプログラムである。
態様24に係るプログラムにおいて、態様2から態様22にて特定した特定事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。なおこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含む非一時的有形媒体は本発明の態様に含まれる。
態様25に係る印刷装置は、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、画像形成部を用いて記録媒体に形成された画像を光学的に読み取る光学読取装置と、光学読取装置によって用いて読み取られた読取画像の画像データを演算処理するデータ処理装置と、を備え、画像形成部は、少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを印刷し、光学読取装置は、チャートを読み取り、データ処理装置は、光学読取装置によって読み取られたチャートの読取画像の画像データを取得する読取画像データ取得部と、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出部と、画素間コントラスト算出部によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出部と、を備え、特定画素数は、読取画像の画像データにおいて濃淡縞の特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、特定画素数をd、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、画素間コントラスト算出部は、次式、
CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
に従って、画素間のコントラストを算出する処理と、画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、を行う印刷装置である。
態様25に係る印刷装置において、態様2から態様22にて特定した特定事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、解像力測定方法の発明において特定される処理や動作の工程(ステップ)は、これに対応する処理や動作を担う手段としての処理部や機能部の要素として把握することができる。
態様26は、態様25の印刷装置において、画像形成部は、複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたライン型のインクジェトヘッドを含み、データ処理装置は、解像力算出部で算出されたコントラスト伝達関数を用いて、ヘッドモジュールのインク吐出量の局所的不均一を検出する処理を行う印刷装置である。
また、他の態様として、次の発明態様を開示する。
光学読取装置の解像力を測定する解像力測定装置であって、少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データを取得し、取得した読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出し、かつ、画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する少なくとも1つのプロセッサを有し、特定画素数は、読取画像の画像データにおいて濃淡縞の特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、特定画素数をd、読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、プロセッサは、次式、
CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
に従って、画素間のコントラストを算出する処理と、画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、を行う解像力測定装置である。
本発明によれば、チャートの線欠けが発生する場合であっても、比較的簡単なアルゴリズムでCTFを求めることができる。
図1は、CTF検査に用いるチャートに表示されるチャート画像の例を示す図である。 図2は、光学読取装置を用いてチャートを読み取ることによって得られた読取画像のデジタル画像データの模式図である。 図3は、図2に示したデジタル画像データの画素の一部に、各画素の位置を識別するための識別符号を付したものである。 図4は、図3に示した3行15列のデジタル画像データの模式図である。 図5は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を左に2画素ずらしたC位置を示す図である。 図6は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を左に3画素ずらしたD位置を示す図である。 図7は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を左に4画素ずらしたE位置を示す図である。 図8は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を右に1画素ずらしたF位置を示す図である。 図9は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を右に2画素ずらしたG位置を示す図である。 図10は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を右に3画素ずらしたH位置を示す図である。 図11は、図4に示したA位置に対し、画像データの位置を右に4画素ずらしたI位置を示す図である。 図12は、探索幅で区切られた短冊状行列の一例を示す図である。 図13は、階段状の白黒縞を含むチャート画像の例を示す図である。 図14は、図3に示した読取画像のデータにおける画素グループの一例を示す図である。 図15は、図3に示した読取画像のデータにおいてチャートの線に平行な列方向に一列に並んだ読取画素の一例を示す図である。 図16は、実施形態に係るインクジェット印刷装置におけるCTF測定処理に関する全体的な処理の流れを示すフローチャートである。 図17は、印刷画像データ生成処理の内容を示すフローチャートである。 図18は、印刷処理工程の処理内容を示すフローチャートである。 図19は、読み取り処理工程の処理内容を示すフローチャートである。 図20は、CTF算出処理の内容を示すフローチャートである。 図21は、コントラスト算出処理の内容を示すフローチャートである。 図22は、コントラスト算出処理の内容を示すフローチャートである。 図23は、チャート画像としての濃淡縞の画像の一例である。 図24は、読取画像のデータ配列IM(L,C)の例を示す図表である。 図25は、CTF途中計算配列CTFT(L,C)の例を示す図表である。 図26は、CTF計算配列CTF(BC)の例を示す図表である。 図27は、CTF途中計算配列における矩形範囲の例を示す図である。 図28は、実施形態に係る解像力測定方法に従ってCTFの計算を実行するデータ処理装置の機能を示すブロック図である。 図29は、実施形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示す側面図である。 図30は、インクジェット印刷装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。 図31は、CTFの算出結果の例を示すグラフである。
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について詳説する。
《用語の説明》
本開示において使用する用語について説明する。
「分解能」とは、光学系を用いた光学読取装置において、読み取り対象の接近した2つの点が2つの点として再現して読み取れる最も近い距離をいう。
「解像力」とは、分解能の距離の逆数をいう。解像力は、2つの点が2つの点として再現して読み取れる程度を2つの点の距離毎に定量化すれば、様々な細かさの画像の明暗の度合い(コントラスト)を正しく読み取れる能力の度合いである。
「CTF」は、Contrast Transfer Functionの略語表記であり、コントラスト伝達関数を指す。CTFは、解像力を表す指標の一つである。CTFは、特定周波数の矩形状明暗パターンで測定した解像力である。明暗の度合いを正しく読み取れればCTF=1とし、全く読み取れなければCTF=0とする。なお、正弦波状明暗パターンで測定したものは変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)である。
CTFについてのMichelsonコントラストによる定義式は、式[1]のとおりである。
「濃淡縞」は、濃度断面が矩形状に変化するパターンであり、特定周波数の矩形状明暗パターンに相当する。「白黒縞」は濃淡縞の一例である。濃淡縞における縞の並び方向を縞の間隔方向といい、縞に平行な方向を線方向という。
「チャート」は、少なくとも濃淡縞を含むチャート画像が表示された読取対象物である。
「解像度」とは、プリンタでは、描画するドットの間隔の逆数である。読み取り側のスキャナ(光学読取装置)では、読取画素間隔の逆数である。被写体(読取対象物)とスキャナが相対的に静止している場合、レンズと撮像センサとを用いたスキャナでは、レンズの結像倍率と、撮像センサの画素間隔とから解像度が定まる。スキャナの解像度を「読取解像度」若しくはスキャナ解像度という。プリンタが描画するドットについての解像度を「描画解像度」という。解像度は、描画解像度及び読取解像度のいずれも、通常、1インチ当たりのドット数(dpi:dot per inch)で表される。1インチは、25.4ミリメートルである。「スキャナ」は「光学読取装置」に相当する。「プリンタ」は「印刷装置」に相当する。撮像センサは、読取センサと同義である。
《実施形態に係る解像力測定方法の概要》
図1は、CTF測定に用いるチャートに表示されるチャート画像の例を示す図である。図1に示すチャート10は、白黒縞のチャートであり、黒色の縦線が横方向に一定の間隔で並んだ縦縞のパターンを含んでいる。図1は、チャート10に表示される白黒縞の一部を拡大して示している。なお、実際のチャートは、図1の縦方向及び横方向にさらに広がっており、横方向にさらに多数の縦線が並び、かつ、図1の縦方向に縦線がさらに長く延びている。
チャート画像における黒色の線12と線12の間の白い部分を白部14と呼ぶ。チャート10の白黒縞は、白と黒の間隔がそれぞれ等しく、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する。すなわち、白部14の白幅Wwと、線12の太さ(線幅)である黒幅Wbは、等しい。また、線12と線12の間隔Pbは、白部14と白部14の間隔Pwと等しい。間隔Pbは線12の繰り返し周期に相当する。線12を「黒線」又は「縞」と呼ぶ場合がある。なお、白幅Wwと黒幅Wbが等幅である白黒縞を含むチャートに限らず、白幅Wwと黒幅Wbが異なる幅の白黒縞を含むチャートを用いてもよい。
図2は、光学読取装置を用いてチャートを読み取ることによって得られた読取画像のデジタル画像データの模式図である。CTF測定用のチャートを光学読取装置によって読み取り、画像情報を数値化してデジタル画像データとする。図2は、図1に示したチャート画像を光学読取装置で読み取ることで得られた読取画像20の画像データの一部を拡大し、濃淡で表示したものである。なお、実際のチャートを読み取った読取画像の画像データは、縦方向及び横方向ともに、より多い数の画素がある。読取画像20の画像データを「読取データ」と表記する場合がある。
図2中、左上に表示した小さな正方形22は、デジタル画像データの一画素の大きさを示している。デジタル画像データの一画素の大きさは、光学読取装置の読取画素の大きさに相当する。つまり、白黒縞の線幅よりも小さい幅の読取画素の光学読取装置を用いてチャート10の読み取りが行われる。チャート10の白い部分は明るく読み取られ、読取値は、相対的に大きな値となる。チャート10の黒い部分は暗く読み取られ、読取値は相対的に小さな値となる。読取値は、読取画像のデータにおける画素の値である。画素の値は、「画素の信号値」或いは「画素値」と同義である。
光学読取装置の光学系の特性により、チャート10の白黒縞は少しぼけて読み取られ、コントラストが低下するため、図2では、チャートの黒線部位置中央24に近い画素が濃く表示され、黒線部位置周辺26の画素がやや薄い灰色によって表示されている。ここでは、説明を簡単にするために、線の間隔が読取画素の間隔の整数倍になっている例が示されている。図2の例は、線の間隔が読取画素の間隔の4倍、つまり、線の間隔を読取画素の画素数で表すと、4画素となっている例である。線の間隔が読取画素の間隔の整数倍になっていない場合、線の位置と読取画素の位置の位相関係がずれて読取画像の濃淡が複雑に変化するモアレが発生する。線の間隔が読取画素の間隔の整数倍になっていれば、線の位置と読取画素の位置の位相が揃い、図2に示したように、線の並び方向の画素位置ごとに、黒、グレー、白、グレー、黒、グレー、白・・・の一定の繰り返しパターンで濃淡が変化する読取画像になる。モアレへの対処方法については、後述する。
図3は、図2に示したデジタル画像データの画素の一部に、各画素の位置を識別するための識別符号を付したものである。図3では、図2に示したデジタル画像データの一部の画素範囲に属する各画素に、それぞれの位置が分かるようにアルファベット記号と数字とを組み合わせた識別符号を対応付けた例を示す。すなわち、「a1」のように、列と行に対応した記号と数字の組み合わせにより、画素の位置を表記する。識別符号のアルファベット記号は「列」の位置を表し、数字は「行」の位置を表す。
図3の場合、例えば、b1、b2、及びb3の画素によって、チャートの縦線の内の1本の中央付近が読み取られている。したがって、b1、b2、及びb3の画素の位置は、濃く表示されている。本例の場合、線の間隔は、読取画素の画素数で表すと4画素となっているため、列方向に並ぶ4画素ごとに、線の位置が到来する関係になっている。
図3に示した読取データは、w1〜k3までの3行15列の画素を含むデジタル画像データである。以下の説明では、各画素の位置を示す識別符号を用いてデジタル画像データを模式的に表し、本開示の解像力測定方法によるCTFの計算手順を説明する。
《実施形態に係るCTFの計算手順の概要》
本例では、図3におけるa1〜g3までの3行7列の四角の範囲を「A位置」とし、この「A位置」に注目して説明する。A位置として示した画素群のように、CTF計算の演算対象とする注目画素範囲を「計算対象範囲」という。
図4は、図3に示した3行15列のデジタル画像データの模式図である。図4の上段において、a1〜g3までの3行7列の四角の範囲を枠線で囲み「A位置」の範囲を表示した。このA位置に対し、画像データの位置を図4の左に1画素ずつずらした各位置を、B位置、C位置、D位置及びE位置とする。また、A位置に対し、画像データの位置を図4の右に1画素ずつずらした各位置を、F位置、G位置、H位置及びI位置とする。
図4の下段は、A位置に対し、画像データの位置を図の左に1画素ずらしたB位置を示している。すなわち、A位置を図4の左に1画素ずらしてB位置とする。
図5は、A位置に対し、画像データの位置を図の左に2画素ずらしたC位置を示している。すなわち、A位置を図4の左に2画素ずらしてC位置とする。同様に、A位置を左に3画素ずらしてD位置とする。また、A位置を左に4画素ずらしてE位置とする。
図6は、A位置に対し、画像データの位置を左に3画素ずらしたD位置を示している。
図7は、A位置に対し、画像データの位置を左に4画素ずらしたE位置を示している。
右方向への画像データのシフトについても同様に、図4の上段に示したA位置を右に1画素ずらしてF位置、2画素ずらしてG位置、3画素ずらしてH位置、並びに、4画素ずらしてI位置とそれぞれ定める。
図8は、A位置に対し、画像データの位置を右に1画素ずらしたF位置を示している。
図9は、A位置に対し、画像データの位置を右に2画素ずらしたG位置を示している。
図10は、A位置に対し、画像データの位置を右に3画素ずらしたH位置を示している。
図11は、A位置に対し、画像データの位置を右に4画素ずらしたI位置を示している。
なお、図4に示したA位置から左に画像データをずらすと、画像データの右側に、画像データが無い位置ができ、A位置から右に画像データをずらすと、画像データの左側に、画素の値が無い位置ができるため、そのデータ不足位置は、図4〜図11の各図面において「u」を付して示した。画素の値が不足する特異部分の取り扱いについては後述する。
本実施形態に係るCTFの計算方法では、A位置に対し、画像データの位置を図4の左に1画素ずつずらしたB位置〜E位置、及び、画像データの位置を図4の右に1画素ずつずらしたF位置〜I位置の、同じ行位置かつ列位置の画素同士の各組み合わせについて、画素間のコントラストを計算する。
画素間のコントラストは、2つの画素の値を用い、CTFの定義式に準じた計算式に従って算出されるコントラスト評価値である。画素間のコントラストを「画素間CTF」と呼ぶ。
〈CTF計算比較範囲〉
画素間CTFを求める際の比較する画素の範囲をCTF計算比較範囲という。CTF計算比較範囲は、比較する画素のうち最も離れた位置の画素との画素間距離をdとして、各画素について右に「+d」画素まで、左に「−d」画素までの範囲である。dは画素のずらし量の最大値を示しており、正の整数である。図4〜図11に示す本例は、d=4の場合である。dの好ましい条件については後述する。dは、特定画素数に相当する。
〈各画素間CTFの計算について〉
画素間CTFは、次の式[2]に従って計算される。
CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)} 式[2]
X(n)は、画素Xの値である。
X(n+m)は、画素Xから濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値である。
nは、計算対象範囲に属する各画素の濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号である。
mは、1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる。
光学読取装置の撮像センサが白黒センサである場合、X(n)とX(n+m)のそれぞれは単一の値(色情報を含まない1チャンネルの値)である。
光学読取装置の撮像センサがカラーセンサである場合、X(n)とX(n+m)のそれぞれは、例えば、R,G,Bの各チャンネルの値を持つため、式[2]によるCTF(X,Xn+m)は、R,G,Bごとに計算される。
図3の例で説明した各画素の識別符号は画素番号nに相当している。また、画素の識別符号は、その識別符号で表される画素の値の表記としても用いられる。図3の例に式[2]を適用して具体的に説明すると、例えば、図3に示した画素a1に対して、A位置とB位置の組み合わせにより、以下の計算を行う。
CTF(a1,b1)=(b1-a1)/(b1+a1) 式[3]
式[3]の右辺において、画素a1の値をa1、画素b1の値をb1と表記した。画素の識別符号は、その識別符号で表される画素の値の表記としても用いられる。
また、A位置とC位置の組み合わせにより、以下の計算を行う。
CTF(a1,c1)=(c1-a1)/(c1+a1) 式[4]
以下、同様にD位置からI位置まで、以下の計算を行う。
CTF(a1,d1)=(d1-a1)/(d1+a1) 式[5]
CTF(a1,e1)=(e1-a1)/(e1+a1) 式[6]
CTF(a1,z1)=(z1-a1)/(z1+a1) 式[7]
CTF(a1,y1)=(y1-a1)/(y1+a1) 式[8]
CTF(a1,x1)=(x1-a1)/(x1+a1) 式[9]
CTF(a1,w1)=(w1-a1)/(w1+a1) 式[10]
本例ではA位置に対して左右それぞれ4ポジションの合計8ポジション(B位置〜I位置)のシフト(ずらし)位置が存在し、計算対象範囲に属する各画素に対して、それぞれ左右4画素ずつの合計8画素との間でそれぞれ画素間CTFの計算が行われる。
つまり、画素a1に対して説明した式[3]〜式[10]と同様の計算が、画素a1〜g3の全ての画素について行われる。
〈画素間CTFの最大値探索、及び、各画素に対するコントラストの決定〉
式[2]に従い、各画素Xに対して、1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす全てのmについて、CTF(X,Xn+m)を算出し、これら全てのmのCTF(X,Xn+m)の内で最大の値を、画素Xに対するコントラスト、CTF(X)とする。例えば、画素a1に対して、式[3]〜式[10]により計算された8つの画素間CTFの計算結果CTF(a1,b1)〜CTF(a1,w1)のうち、最大の値を画素a1に対するコントラストとし、その最大値をCTF(a1)とする。同様の計算を画素a2及び画素a3の各画素に対しても行う。さらに、b列から計算対象範囲であるg列まで同様の計算を行う。これによって、計算対象範囲に属する画素a1から画素g3までの各画素に対するコントラスト、つまり、CTF(a1)からCTF(g3)までを求めることができる。画素Xに対するコントラストをCTF(X)と表す。このようにして、画素ごとに特定されるCTF(X)を「画素のCTF値」と呼ぶ。
さらに、同じ縦方向の列(a列)に属する画素a1〜a3の各CTF値であるCTF(a1)、CTF(a2)、及びCTF(a3)のうち、最大の値をa列のCTF値とし、CTF(a)とする。同様に、b列からg列まで列ごとに、各画素のCTF値の最大値を求め、それぞれの列のCTF(b)〜CTF(g)とする。こうして、a列からg列までの各列位置のCTF値を求めることができる。
〈チャートの線方向について〉
図1に例示したCTF測定用のチャート10は、縦線のパターンを含むチャートであるので、各画素のCTF値を計算する場合の比較対象画素には、チャート10の線と直交方向の横方向にある画素を用い、各画素のCTF値の計算結果から、最大値を求める際の比較範囲は線と平行な縦方向の画素である。
これに対し、横線のチャートに対してCTFを計算する場合は、上述した説明の縦横の関係が90度変わる。すなわち、仮に、CTF測定用のチャートが横線のチャートの場合は、各画素のCTF値を計算する場合の比較対象画素には、チャートの線と直交方向の縦方向にある画素を用い、各画素のCTF値の計算結果から、最大値を求める際の比較範囲は、線と平行な横方向の画素となる。
〈CTF計算における正負の符号について〉
本開示によるCTF計算方法によれば、各画素のCTF値の計算結果が負にならない。式[2]のような計算式を用いて値を計算する場合、一般的には、右辺の分数部分の分子が負にならないように、引かれる数が引く数より大きくなるようにする制約を設ける。しかし、本開示によるCTF計算方法においては、この点は特別考慮する必要が無い。それは、チャートの各線の位置(例えばb1)では、画像が暗いため、読取データが相対的に小さな値になり(例えば、b1とd1の関係)、式[2]の右辺の分子は正になるためである。
一方、チャート各線の間の位置(例えばd1)では逆に式[2]の右辺の分子が負になる(例えばd1とb1の場合)。しかし、式[2]の計算式からb1に対してd1との画素間CTFを求めたCTF(b1,d1)と、d1に対してb1との画素間CTFを求めたCTF(d1,b1)は、CTF(b1,d1)=-CTF(d1,b1)となり、絶対値では同じ大きさの計算結果が存在する。
つまり、画素間CTFの計算は、計算に用いる画素の対(ペア)同士で計算対象の入れ換えが必ず発生するため、計算対象範囲に属する各画素について画素間CTFを計算すると、絶対値が同じ正の値と負の値が対で発生する。
計算対象範囲に属する全ての画素についてそれぞれ画素のCTF値を求めた後、以降の計算では、チャートの線間隔内の画素範囲における各画素のCTF値のうち最大の値を求め、このCTF最大値を線付近のCTF値とするため、上記の負号を考慮しなくとも、CTF最大値の算出結果に影響しない。つまり、チャートの線間隔内でのCTF最大値を求める際に、負の値は無視され、結局、線付近のCTF値は、式[1]の定義どおりに、正の値になる。
〈最大値を探索する探索幅について〉
計算対象範囲に属する各画素のCTF値を求めた計算の段階、又は、各列のCTF値を求めた計算の段階では、式[1]に定義されるような白黒のMax,Minの組み合わせによって計算される保証はない。Max,Minの組み合わせから計算された部分はCTF値が最大になる。
例えば、チャートの縞の間隔が読取画素の間隔の整数倍の関係にない場合、線の位置と読取画素の位置の位相関係が少しずつずれていき、どこかの線のところで、線の位置と読取画素の位置が最も一致する。線の位置と読取画素の位置が最も一致した場所は、読取値が最小の値になる。
つまり、縞の間隔方向にある程度広い範囲で、CTFを計算すると、位相関係が少しずれた場合でも、Max,Minに近い組み合わせのCTF値を求めることができる。
例えば、以下に示す短冊状行列の画素範囲内の全ての画素について各画素のCTF値を計算すると、その中のどこかには、Max,Minに近い組み合わせから計算された部分が含まれるので、それを最大値探索で見つける。
最大値探索の探索範囲となる探索幅は、チャート画像上の白黒縞の周期を基に定める。白黒縞の周期とは、縞の繰り返し空間周期であり、一定の間隔で並ぶ縞の間隔と同義である。例えば、図1〜図3に示す例のように白黒の周期が4画素ならば、探索幅は4画素幅とする。図4で説明した位置Aに対し、探索幅ごとに縦に短冊状に行列を区切り、その短冊状行列の中で画素のCTF値の最大値を求める。こうして求めた最大値が、その短冊幅内の縦線のCTFである。
図12は、探索幅で区切られた短冊状行列の一例である。ここでは、探索幅4画素で区切られたb列からe列の3行4列の短冊状行列が示されている。図12に示した短冊所状行列の画素範囲から最大のCTF値を探索する。こうして求めた最大のCTF値が、この短冊状行列の位置のCTFである。なお、各列のCTF値が得られている場合、CTF(b)〜CTF(e)のうち最大の値が、この短冊状行列の位置を代表するCTFの値である。
〈チャートの線欠けが発生した場合〉
例えば、インクジェット印刷装置を用いて濃淡縞のチャートを印刷した場合、インクジェットヘッドに不吐出ノズルがあると、濃淡縞の一部が欠ける。この場合、読取画像において、その欠落部分は白くなって、欠けた線位置に対応する画素のCTF値=0となる。つまり、線が欠落した位置を読み取った画素のCTF値は0になるので、最大値の探索において除外(無視)されることになる。
〈測定ノイズの影響を低減するための処理〉
上記の短冊状行列において、測定ノイズの影響を低減する目的で、次のような処理を実施してもよい。すなわち、図1のような白黒縞の線画像を読み取った画素について、短冊状行列の縦が3行なら、この3行は同じ線を読み取っていると考え、短冊状行列内の最大値から大きい方の3個のデータを平均し、その平均値を列のCTF値とする。ただし、不吐出が線の描画の途中から起きた場合、不吐出による線の欠落部分を読み取った画素のCTF値はCTF=0になるので、大きい方から3個のデータには、0付近のデータは含めないものとする。
〈モアレ対策〉
一般には、チャートの縞の間隔は、読取画素の間隔の整数倍とはならず、チャートの線の間隔と光学読取装置の読取解像度との関係から、チャートの読取画像でモアレを引き起こす。例えば、インラインスキャナを搭載したインクジェット印刷装置の印刷機能によって印刷した濃淡縞のチャートをインラインスキャナによって読み取ると、チャートの描画解像度とインラインスキャナの読取解像度との関係から、読取画像においてモアレが発生する。CTF計算に際して、このモアレの影響を除くために下記の3つの対策処理のうち、いずれかの処理を行うことが好ましい。
モアレ対策処理1:モアレの周期は事前に分かっているので、モアレの周期の正の整数倍をCTFの算出周期とする。さらに、列方向に、CTFを算出したいプリント上の間隔に近い読取データ画素数を求め、その読取データ画素数により規定される距離の画素範囲のCTF計算結果から最大値を求める。なお、プリント上の濃淡縞の間隔をPb、読取画像の画素の間隔をPrとすると、Pb>Prであり、モアレの間隔は、2×Pb×Pr/(Pb−Pr)である。
CTFの算出周期とは、CTFの値を算出する1区画あたりの幅である。例えば、モアレの周期が10mmであるとすると、CTFの算出周期を10mmにする。これにより、モアレの周期が一巡する範囲の細かさでCTFを求めることができる。モアレの周期の正の整数倍の算出周期でCTFを算出すれば、モアレの濃淡の最大のところの情報を取り出すことができる。
既に説明したとおり、本開示によるCTF計算方法によれば、チャートの読取画像のデータを、線の間隔方向にシフトして、対応する画素間で値の差と和を計算して、差/和の割り算を行うという単純な演算処理と、その計算結果から最大値を探すという単純な処理とを組み合わせて、読取画像とほぼ同じ大きさの画素範囲の各画素に対するコントラストのデータ群を得ることができる。このデータ群は、モアレの影響を含んでいるため、予め把握されているモアレの周期で画素範囲の区間ごとに最大値(モアレの影響が最も小さい値)を探して、その最大値を該当区間の代表値とする。
モアレ対策処理2:各画素のコントラストのデータ群である各画素のCTF値のうち、極端に離れた値(異常値)を除いて平均値を求める。
モアレ対策処理3:各画素のコントラストのデータ群である各画素のCTF値のうち、統計演算の手法として知られる「平均値±2σ」内のデータだけを用いて平均値を求める。σは標準偏差である。
上述のモアレ対策処理1〜3のいずれかを行うことにより、モアレの影響を排除して、読み取り幅に渡ってCTFを求めることができる。
〈階段状の白黒縞を含むチャートの利用について〉
図13は、階段状の白黒縞を含むチャート画像の例である。図13に示すチャート画像30は、縦の線12が横方向に一定の間隔Pbで並んだ複数の白黒縞31、32、33を含む。ここでは、3つの白黒縞31、32、33が線方向に階段状に位置をずらして配列された3段の白黒縞の例が示されている。線方向とは、白黒縞の線に平行な方向であり、図13に例示の縦縞の白黒縞の場合、縦方向に相当する。
白黒縞31、32、33の各々は、縞の間隔Pbと白部14の間隔Pwが等しい。また、図1で説明した例と同様に、白黒縞31、32、33の各々において、黒幅Wbと白幅Wwは等しい。
図13において最上段に表示された第1段目の白黒縞31の位置に対して、第2段目の白黒縞32は、縞の間隔方向に規定距離rだけ位置をずらした位置に配置される。第3段目の白黒縞33は、第2段目の白黒縞32の位置に対して、縞の間隔方向にさらに規定距離rだけ位置をずらした位置に配置される。規定距離rは「特定距離」の一例である。「間隔方向」とは、縞が一定の間隔Pbで並ぶ方向である。本例の場合、線12の線方向に直交する方向(図13において横方向)を指す。図13では、3段の白黒縞を例示したが、2段以上、任意の段数の階段状の白黒縞を用いることができる。
図13では3段の例を示したが、縞の間隔方向の規定距離rは、縞の間隔Pbの正の整数分の1であり、線方向に並ぶ白黒縞の数、すなわち段数は、(間隔Pb/規定距離r)の正の整数倍であることが望ましい。
図13に示したチャート画像は、規定距離=1、白黒縞の間隔Pb=4であるので、線方向の白黒縞の数(段数)=(4/1)=4が望ましい。規定距離rの単位と白黒縞の間隔Pbの単位は、ミリメートルである。なお、規定距離と白黒縞の間隔Pbは、それぞれ読取画素の1画素の大きさを単位として画素数によって表されてもよい。
このような階段状の白黒縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取り、得られた読取画像のデータから、本実施形態によるCTF計算方法を適用して、各画素のCTF値を計算する。こうして得られた各画素のCTF値の計算結果に対して、チャートの線にほぼ平行な方向に一列に並んだ画素のCTF値の計算結果のうち、最大の値を画素XのCTF値とすることができる。
一般に、チャートの縞の間隔は、読取画素の間隔の整数倍とはなっておらず、チャートの縞の間隔と、光学読取装置の読取解像度との関係から、線の位置と読取画素の位置との位相関係がずれたデータが得られる。図13のような、階段状の白黒縞を含むチャートを読み取ると、複数段の白黒縞のうち、どこかの段の線の中心と読取画素の中心とがより一致する位置関係となる場所が存在する確率が高くなる。
したがって、階段状の白黒縞を含むチャートを用いて、本実施形態のCTF計算方法を適用することにより、光学読取装置の読取画素の大きさが、チャートの縞の間隔に近い場合であっても、実際のCTFに近い値を求めることができる。
図13に示した白黒縞の各々の線は、インクジェットヘッドの各ノズル1個ずつ記録することができる。つまり、白黒縞の各線は、それぞれ単一のノズルによって記録することができる。
また、図13では、各段の白黒縞31〜33が線方向に接して繋がっている例を示しているが、異なる段の白黒縞同士は、必ずしも繋がっている必要はなく、互いに離間していてもよい。
〈CTF計算の前準備と両端特異部分の扱い〉
図4に示したA位置のa〜g(n=1,2,3)に対して、B位置〜I位置は、それぞれ画素をずらした後も同じ列と行に画素がある。一方、画像データの内、A位置の1〜4列及び12〜15列の4画素列は、画素をずらす方向によって、B位置〜I位置で「u」で示す対応する位置の画素データが無くなる。したがって、このままでは、画素間CTFを計算できないので、両端4列は計算から除外するか、若しくは、画素をずらした結果、画素データが無い位置には、周辺範囲の画素の平均値のデータを当てはめて、画素間CTFの計算を行う。
例えば、図4に示したB位置の最右列に示した1行目の「u」には、h1〜k1の平均値が入る。図4に示したB位置の最右列に示した2行目の「u」には、h2〜k2の平均値が入る。図4に示したB位置の最右列に示した3行目の「u」には、h3〜k3の平均値が入る。図5に示したC位置の右端2列に示した「u」についても、1行目の「u」には2列ともh1〜k1の平均値が入る。以下、同様であるので説明を省略する。
周辺画素の画素値の平均値は、画像として濃淡縞画像の濃い部分と薄い部分のデータを平均するため、中間の明るさの値となる。白黒縞であれば「グレー」の値となるため、画素間コントラストの計算結果は比較的小さい値になる。つまり、画素をずらすことによって画素データが無くなる特異部分の画素位置に対して、周辺画素の平均値のデータを当てはめる方法を採用した場合、その平均値を当てはめた画素を用いた画素間CTFの計算結果は最大値にはならないため、各画素のCTF値の計算結果に残らず、最大値を求める計算結果に影響しない。
画素をずらすことによって画素データが無くなる端部の特異部分を計算の処理から除外するという例外処理を加えると、計算アルゴリズムが複雑化する。
これに対し、特異部分に周辺画素の平均値のデータを当てはめる方法は、例外処理が不要であり、計算アルゴリズムが簡略化できる点でより好ましい。
〈チャートの両端及び線欠けを考慮した処理〉
白黒縞のチャートにおける両端の線の外側、及び、チャート内で線が欠落した部分など、線がない部分では、白地が広くなるため、白黒のコントラストが上がる。よって、周辺の画素に対して特異的に解像力が高く計算された画素は、不吐出による線欠け、又は、チャートの外側の影響を疑い、その画素のデータを除外するか、若しくは、特異的でない周辺の画素のCTF値の平均値とする。
〈画素グループの設定例〉
図12で説明した短冊状行列のようなグループ分けに限らず、計算対象範囲に属する各画素のCTF値の計算結果に対して、白黒縞の線の並び方向(間隔方向)に、縞の間隔に相当する画素数(縞間隔画素数)以上の画素のグループを設定し、グループごとに、グループ内の計算結果のうち最大の値を、その画素グループに属する各画素位置でのCTFとして定めてもよい。
図14は、図3に示した読取画像のデータにおける画素グループの一例である。図14には、画素a1〜e1の5画素の範囲を1つのグループとして設定した例が示されている。このグループ内の各画素のCTF値のうち、最大の値、例えばCTF(b1)を、a1〜e1の各画素のCTF値としてもよい。
〈チャートの線方向に並ぶ画素の扱いの例〉
計算対象範囲に属する各画素のCTF値の計算結果に対して、又は、図14で説明した画素グループの設定を行って求めた各画素のCTF値の計算結果に対して、各画素位置でチャートの線にほぼ平行な方向に一列に並んだ読取画素の計算結果のうち、最大の値を、その一列の画素列位置に属する各画素位置でのCTFとして定めてもよい。
図15は、図3に示した読取画像のデータにおいてチャートの線に平行な列方向に一列に並んだ読取画素の一例である。図15には、画素b1〜b3が縦方向に並んだb列の画素列が示されている。これら画素b1〜b3のそれぞれのCTF値のうち、最大の値、例えばCTF(b2)を、画素b1〜b3の各画素のCTF値としてもよい。
この方法は、図13で説明した階段状の白黒縞を用いる場合や、測定ノイズの影響で画素値が変動している場合、或いは、チャートの読取画素が白黒縞の線の方向に対して僅かに傾いている場合などに、有益である。
〈異常値の除外処理について〉
図13及び図14を用いて説明した処理などにおいて、各画素のCTF値のデータ群の中のある画素XのCTF(X)の値が、少なくとも、その前後の画素のCTF値に比べて、所定割合以上大きい場合、その画素XのCTF値を異常値として除外する処理を行ってもよい。「その前後の画素のCTF値」は、例えば、線方向に並ぶ画素のCTF(X)の平均値、すなわち、線方向の画素のコントラスト平均値であってよい。所定割合として、例えば、10%とすることができる。予め定められている所定割合が「規定割合」に相当する。
また、異常値として除外する処理に代えて、画素XのCTF値を、その前後の所定画素数のうち、異常値でない画素のCTF値の平均値に置き換える処理を行ってもよい。所定画素数として、例えば10画素とすることができる。前後の所定画素数の範囲が、「周囲の規定画素数の範囲」に相当する。
《光学読取装置について》
光学読取装置の光学系は、単一の光軸を持つ結像レンズであってもよいし、複数の光軸を持つレンズアレイであってもよい。複数の光軸を持つレンズアレイとして、例えば、セルフォック(登録商標)レンズアレイを用いることができる。また、単一の光軸を持つ結像レンズを用いた光学読取装置を複数台用いて、より広い範囲を読み取る光学読取装置でもよい。
光学読取装置の撮像センサには、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサなどの2次元アレイセンサ、若しくは1次元ラインセンサを用いることができる。1次元ラインセンサを用いた光学読取装置では、チャートと光学読取装置の光学系を相対的に移動し、チャートの2次元画像を取得する走査装置を備える。走査装置は、光学読取装置に対してチャートを搬送する搬送装置であってよい。
《CTF計算に関連するパラメータについて》
本開示のCTF計算方法に関連する主なパラメータと好ましい条件について説明する。
・チャートの濃淡縞の間隔:P(mm) ここで P>0である。
・チャート上での読取画素の間隔:S(mm) ここで S>0である。
・チャートの読み取りデータから、各画素に対して縞の並び方向(間隔方向)に離れた画素との間で濃淡縞のコントラストを計算する際に、最も離れた画素との間隔:d(画素)
ここで d≧1 かつ、画素数なので正の整数である。
以下、P、S、及びdについて、見やすくするため単位を省略して記述する場合がある。
PとSの関係について、仮にS>Pとすると、読み取りの1画素中に、縞の一部分の場合も含めて複数の濃淡縞が含まれてしまうので、S<Pでなければならない。
よって、
P/S≧1 式[11]
である。
一方、サンプリング定理から、周期的な縞を読むためには、少なくとも、2×S≦Pが必要である。よって、
P/S≧2 式[12]
である。
式[11]と式[12]を合わせると、結果的に、
P/S≧2 式[13]
である。
光学読取装置による読み取りは、式[13]を満たす必要が有るが、コストを考えると、実用上、式[13]式の等号の条件を大幅に越えて、P/S≫1となるほど、Sを小さくできない。
一方、Pは解像力を測りたい空間周波数から規定されるため自由に大きくすることはできない。
よって、結果的に、式[13]を満たし、光学読取装置として必要な解像度を得られるなるべく大きなSを選択することになる。
〈特定画素数としての「d」の望ましい値について〉
仮に、濃淡縞を十分に高い解像度(Sが非常に小さい。S≪P、つまり、P/S≫1)で読み取った理想的な状態を想定し、読取画像の各画素を縞の並び方向(間隔方向)に比較した場合、最も濃い読取値となる濃い縞の中央の画素位置と、最も薄い読取値となる薄い縞の中央の画素位置の間隔はP/2(mm)であり、読取画素数で表すと、
P/(2×S)(画素) 式[14]
となる。
CTFの計算の定義(式[1])から、これらの読取画素数の画素範囲のうち、最も濃い読取値と最も薄い読取値を計算に用いることで、CTFを求めることができる。
本開示のCTF計算方法では、読み取った画像データの各画素について、「1つの画素」(以下「画素α」という。)に注目して、これとは「別の画素」(以下「画素β」という。)との間でコントラストを計算し、濃淡縞のコントラストを求めようとするものである。「別の画素」とは、縞の並び方向の隣の画素から、所定画素数(dとする)離れた画素までをいう。
よって、この計算において、次の条件1が必要である。
条件1:画素αと画素βの間に、上記の濃い縞の中央の位置を含む画素と、薄い縞の中央の位置を含む画素が含まれていることが必要である。なお、濃い縞の中央の位置を含む画素と、薄い縞の中央の位置を含む画素の間隔は式[14]である。
また、本開示のCTF計算方法では、計算量を減らすために、dをできるだけ小さくすることを考える。計算量を減らす観点から次の条件2を加える。
条件2:画素αが、上記の濃い縞の中央の位置を含む画素である場合、この濃い縞に隣接する薄い縞の中央の位置を含む画素が所定画素数d内に含まれるようにする。
ここで、濃い縞の中央の位置を含む画素と薄い縞の中央の位置を含む画素の間隔は、式[14]からP/(2×S)なので、d=P/(2×S)であればよいが、dは正の整数であるから、「d≧ P/(2×S)を満たす最小の整数d」が適切な値となる(方法1)。図1〜図3の例では、P=4、S=1であるから、d=2となる。
この計算では、画素αが、上記の「濃い縞の中央の位置を含む画素である場合」、としたが、そうでない場合の画素を用いた計算では、本開示のCTF計算方法の計算結果は大きな値とならないので、図14で説明した画素グループの設定による処理によって除外される。
ただし、画素αが、上記の薄い縞の中央の位置を含む画素である場合は、濃い縞の中央の位置を含む画素である場合と途中の計算結果の符号が異なるだけで、同じ計算結果となり、図14で説明した画素グループの設定による処理に影響を与えない。
以上は、読み取りが理想的な場合(レンズ設計値から求める場合)について述べたが、実際の光学読取装置では、結像レンズの設計上の収差、及び製造誤差、若しくは調整の誤差、さらには、装置の設置環境の温度変化などにより、像高誤差(歪曲収差及び/又はディストーションによって発生する)が生じ、読み取りの範囲内の各場所において、読取画素の間隔Sが異なる。これを考慮して、像高誤差により、Sが最も小さくなる値を用いてdを求める。この場合、Sが最も小さいので、dは最も大きくなる(画素数が多くなる)。
そこで、実際の誤差も含めて、最も小さなSをどう求めるかであるが、個々の光学読取装置に対して、特性測定として実測して、「方法1」の式から求めても良い(方法2)。
また、設計上の収差の大きさや製造誤差、若しくは調整の誤差の仕様値から考え得る最も小さなSと「方法1」の式から求めても良い(方法3)。
さらに、通常、本実施形態で説明したような、検査のために用いられる光学読取装置の像高誤差は比較的小さいので、dをやや大きめに設定してしまう簡便な方法も用いられる。実測に寄らない方法では測定コストを削減できる。
簡便な方法として、次の方法が考えられる。
濃淡縞に対する読取画素の位置、つまり、縞と画素の位相の関係は任意なので、「条件1」を満たすには、d画素の長さ(d×S(mm))について、
d×S≧P 式[15]
であれば、画素αからd(画素)離れた画素βまでの間に、濃淡縞1周期以上を含むことができる。ここで、式[15]において、d×S=Pの場合でも、画素αからd(画素)離れた画素βまでの間にはd+1(画素)が存在するので濃淡縞1周期を確実に含むことができる。
一方、dをさらに大きくしていくと、濃淡縞2周期目、3周期目・・・というように、画素αから離れた縞が含まれてしまうので、濃淡縞の隣り合った濃い部分と薄い部分の読取値からCTFを求めるには、dは大きすぎては不適切である。式[15]は、d≧P/Sと書けるので、dは、式[15]から、「d≧P/Sとなるdの内、最小の整数を選択する。」としてもよい(方法4)。
図1〜図3の例では、P=4、S=1であるから、d=4となる。
この「方法4」を「方法1」と比較すると、局所的な像高誤差は、大きくとも2倍を超えない、として設定していることになる。また、それは、画素αに対して、レンズ設計値として、離れた位置の濃淡縞を計算対象としないように設定したものである。
以上から、簡便には、「方法1」以上「方法4」以下にdを設定することが望ましい。すなわち、d≧P/(2×S)を満たす最小の整数以上、かつ、d≧P/Sを満たす最小の整数以下の整数dとする。また、計算量を考えると、この範囲で、より小さい「方法1」に近い方が好ましい。
この「方法4」のdを用いた場合、かつ、インクジェット印刷装置での不吐出でチャート線欠けがあった場合、線欠けの部分は濃淡縞の淡部分がより薄く読み取られる。この結果、この欠け部分の画素を使って求めた値はCTFが高く計算され異常値である。
一方、光学読取装置のCTFは局所的に急激に変化することは無いので、求めたCTFに対し、異常値の除外処理を組み合わせることが望ましい。
《実施形態に係るインクジェット印刷装置におけるCTF測定処理フローの例》
図16は、実施形態に係るインクジェット印刷装置におけるCTF測定処理に関する全体的な処理の流れを示すフローチャートである。実施形態に係るインクジェット印刷装置は、インラインスキャナが搭載されており、印刷処理と、印刷後の読み取り処理とが一連の動作として実行される。
本例のインクジェット印刷装置におけるCTF測定方法は、印刷画像データ生成工程(ステップS1)と、印刷処理工程(ステップS2)と、ステップS2と並列処理で実行する読み取り処理工程(ステップS3)と、CTF算出処理工程(ステップS4)と、を含む。
〈S1:印刷画像データ生成工程〉
インクジェット印刷装置は、ステップS1において、CTF測定用チャートを印刷するための印刷画像データを生成する。
図17は、印刷画像データ生成処理の内容を示すフローチャートである。図17に示す印刷画像データの生成処理は、インクジェット印刷装置の制御装置によって実行される。
ステップS11において、制御装置は、チャートサイズ情報を取得する。チャートサイズ情報は、チャート画像の主走査方向サイズ及び副走査方向サイズの情報を含む。チャートサイズ情報は、プログラムによって予め指定されていてもよし、ユーザインターフェースを介して入力されてもよい。チャートサイズ情報は、ミリメートルの単位で表わされてもよいし、記録解像度に基づく画素の単位で表わされてもよい。
ステップS12において、制御装置は、チャート配置座標情報を取得する。チャート配置座標情報は、チャート画像を構成する濃淡縞の各縞の位置を特定する座標情報を含む。
チャート配置座標情報は、各縞の位置、長さ及び太さを規定する情報を含む。チャート配置座標情報は、プログラムによって予め指定されていてもよいし、ユーザインターフェースを介して入力されてもよい。チャート配置座標情報の座標軸は、ミリメートルの単位で表わされてもよいし、記録解像度に基づく画素の単位で表わされてもよい。
ステップS13において、制御装置は、チャート濃淡縞間隔情報を取得する。チャート濃淡縞間隔情報は、プログラムによって予め指定されていてもよいし、ユーザインターフェースを介して入力されてもよい。また、チャート濃淡縞間隔は、ステップS12にて取得したチャート配置座標の情報から算出されてもよい。
ステップS14において、制御装置は、チャート印刷用の印刷画像データを生成する。制御装置は、ステップS11からステップS13の各工程にて取得した情報を基に、これら情報に規定されたCTF測定用チャートの印刷を行うためのチャート印刷用の印刷画像データを生成する。
ステップS15において、制御装置は、印刷画像データを保存する。制御装置は、ステップS14にて生成したチャート印刷用の印刷画像データをメモリ等のデータ記憶部に保存する処理を行う。
ステップS15にて印刷画像データを保存したら、図17のフローチャートを終了して、図16のメインフローに復帰する。
〈S2:印刷処理工程〉
インクジェット印刷装置は、ステップS1の印刷画像データ生成工程にて生成された印刷画像データに基づき、印刷を実行する。
図18は、印刷処理工程(S2)の処理内容を示すフローチャートである。
ステップS21において、制御装置は、印刷条件の設定を行う。印刷条件には、用紙種、印刷枚数、印刷モードなど、が含まれる。
ステップS22において、制御装置は、印刷画像データの読み込みを行う。制御装置は、図17のステップS15にて保存した印刷画像データをデータ記憶部から読み込む。
ステップS23において、制御装置は、ページシンクの入力を待つ。ページシンクは、記録媒体に対する1ページ分の印刷の開始タイミングを制御する同期信号である。例えば、ページシンクは、記録媒体を搬送するドラムの回転角度を検出するロータリエンコーダから出力されるエンコーダ信号を基に生成される。或いはまた、ページシンクは、記録媒体の先端位置を検出するセンサから出力される用紙先端検出信号を基に生成されてもよい。
制御装置は、ページシンクを受信後、ステップS24において、印刷を実行する。制御装置は、ステップS22にて読み込んだ印刷画像データに従い、印刷を実行する。
ステップS25において、制御装置は、印刷を完了させるか否かを判定する。印刷を継続する場合には、ステップS21に戻り、ステップS21〜ステップS24の処理を繰り返す。ステップS25にて制御装置が、印刷を完了させると判定した場合、図18のフローチャートを終了して図16のメインフローに復帰する。印刷処理工程(S2)はチャート印刷工程の一例である。
〈ステップS3:読み取り処理工程〉
インクジェット印刷装置は、印刷処理工程(ステップS2)によって印刷されたチャートをインラインスキャナによって読み取る。
図19は、読み取り処理工程(ステップS3)の処理内容を示すフローチャートである。ステップS31において、制御装置は、記録媒体の記録領域のうち、インラインスキャナを用いて読み取りを行う読み取り範囲座標を算出する。制御装置は、チャート配置位置座標の情報を基に、読み取り範囲座標を算出する。
ステップS32において、制御装置は、ページシンクの入力を待つ。制御装置は、ページシンクを受信後、ステップS33において、印刷後のチャート画像の読み取りを行う。制御装置は、インラインスキャナから読取画像のデータを受信すると、ステップS34において、読み取ったデータに対してシェーディング補正の処理を行う。
ステップS35において、制御装置は、シェーディング補正後の読取画像のデータを保存する。読取画像のデータは、制御装置の内部メモリ及び/外部記憶装置などのデータ記憶部に保存される。
ステップS2とステップS3は並列処理であり、並行して処理が行われている。よって、ステップS36において、制御装置は、印刷が完了したか否かの判定を行う。印刷が継続されている場合には、ステップS31に戻り、ステップS31〜ステップS36の処理を繰り返す。
ステップS36にて制御装置が、印刷が完了したと判定した場合、図19のフローチャートを終了して図16のメインフローに復帰する。
なお、読み取り処理工程における処理の一部又は全部は、光学読取装置の内部で実行されてもよい。読み取り処理工程(ステップS3)はチャート読取工程の一例である。
〈ステップS4:CTF算出処理工程〉
制御装置は、読み取り処理工程(ステップS3)の後、CTF算出処理を行う。
図20は、CTF算出処理の内容を示すフローチャートである。
ステップS41において、制御装置は、読取画像の読み込みを行う。制御装置は、図19のステップS35にて保存した読取画像のデータをデータ記憶部から読み込む。ステップS41は読取画像データ取得工程の一例である。
図20のステップS42において、制御装置は、読み込んだ読取画像のデータを用いてコントラスト算出処理を行う。コントラスト算出処理の内容は後述する。
ステップS43において、制御装置は、コントラスト算出処理工程(ステップS42)にて算出されたCTF算出結果のデータを保存する。CTF算出結果のデータは、制御装置の内部メモリ及び/外部記憶装置などのデータ記憶部に保存される。
ステップS44において、制御装置は、全画像の処理を完了したか否かを判定する。制御装置は、未処理の画像が残っている場合は、ステップS41に戻り、ステップS41〜ステップS44の処理を繰り返す。
ステップS44にて制御装置が、全画像の処理を完了したと判定した場合、図20のフローチャートを終了して図16のメインフローに復帰する。
〈ステップS42:コントラスト算出処理工程〉
図21及び図22は、コントラスト算出処理の内容を示すフローチャートである。
ステップS51において、制御装置は、画素間隔dを決定する。画素間隔dは、縞の並び方向に離れた2つの画素間でコントラストを計算する際に最も離れた画素の組み合わせとなる画素の間隔である。画素間隔dを比較画素最大間隔という。
ステップS52において、制御装置は、行のインデックスLIを、初期値のLI=1に設定する。
ステップS53において、制御装置は、列のインデックスCIを、初期値のCI=1+dに設定する。
ステップS54において、制御装置は、計算対象画素値APを、AP=IM(LI,CI)とする。ここで、IM(LI,CI)は、行のインデックスLI、列のインデックスCIで表わされる画素位置の読み取りデータを表わす。
図23は、チャート画像としての濃淡縞の画像の一例である。図23に示す縦縞の濃淡縞を読み取ったデータ配列をIM(L,C)とする。Lは行方向の位置を表わすインデックスであり、Cは列方向の位置を表わすインデックスである。(L,C)によって読取画像の画素の位置が特定される。
図24は、読取画像のデータ配列IM(L,C)の一例を示す図表である。図24には、列方向に1〜C列の画素、行方向に1〜L行の画素を含むデータ配列の例が示されている。
図21のステップS55において、制御装置は、計算相手画素値OPに、OP=IM(LI,CL−d)〜IM(LI,CL−1)、及びOP=IM(LI、CI+1)〜IM(LI,CL+d)のこれら2×d個の画素の値を、それぞれ代入して、次式、
(OP−AP)/(OP+AP)
を計算し、各画素(LI,CI)の計算結果の内、最大の値をCTFT(LI,CI)に保存する。ステップS55は、画素間コントラスト算出工程の一例である。
図25は、ステップS55に示したCTF途中計算結果を格納するCTF途中計算配列CTFT(L,C)の例である。
図21のステップS56において、制御装置は、列のインデックスCIがCI=C−dを満たしているか否かを判定する。
ステップS56の判定において、CI<C−dである場合は、ステップS57に移行し、列のインデックスCIを「+1」インクリメントして、ステップS54に戻り、ステップS54〜ステップS56の処理を繰り返す。
ステップS56の判定において、CI=C−dを満たしていると、ステップS58に移行し、行のインデックスがLI=Lを満たしているか否かを判定する。
ステップS58の判定において、LI<Lである場合は、ステップS59に移行し、行のインデックスLIを「+1」インクリメントして、ステップS53に戻り、ステップS53〜ステップS58の処理を繰り返す。
ステップS58の判定において、LI=Lを満たしていると、図22のステップS61に移行する。
ステップS61において、制御装置は、CTF計算配列の列のインデックスBCIを、初期値のBCI=1に設定する。
図26は、CTF計算配列CTF(BC)の例を示す図表である。
CTF計算配列CTF(BC)は、列方向に1〜BC列の画素を含むデータ配列である。BCは(L−2×d)/dの小数部を切り捨てた値を示す。BCIは、1〜BCの範囲の画素位置を示すインデックスである。
図22のステップS62において、制御装置は、CTFT(1,BCI×d+1)〜CTFT(L,BCI×d+d)の矩形範囲のCTFTの値に対し、異常値を除外し、かつ、0付近の値(例えば、0.05以下)を除外した上で、値の大きい方から3個の値の平均値を求め、CTF(BC)に保持する。ステップS62は、解像力算出工程の一例である。
図27には、CTF途中計算配列における「矩形範囲」の例が示されている。図27のグレーパターンで塗りつぶし範囲(1,3)〜(L,4)は、d=2、BCI=1の場合の「矩形範囲」の例である。ここでは2列の矩形範囲を示しているが、矩形範囲は、図12で説明した短冊状行列の範囲とすることができる。
図22のステップS63において、制御装置は、BCI=BCを満たしているか否かを判定する。ステップS63の判定処理にて、BCI<BCである場合、制御装置は、ステップS64に移行する。ステップS64において、制御装置は、列のインデックスBCIを「+1」インクリメントして、ステップS62に戻り、ステップS62〜ステップS63の処理を繰り返す。
ステップS63の判定処理にて、BCI=BCを満たす場合、CTF算出結果が得られたことになり、図22のフローチャートを終了し、図20のフローに復帰する。
図22のフローチャートによって得られたCTF計算結果は、図20のステップS43にて保存される。
〈データ処理装置の構成〉
図28は、実施形態に係る解像力測定方法に従ってCTFの計算を実行するデータ処理装置の機能を示すブロック図である。図28に示すデータ処理装置110の機能は、インクジェット印刷装置の制御装置に組み込むことができる。データ処理装置110の各機能は、コンピュータのハードウェアとソフトウェアによって実現できる。本実施形態に係る解像度評価方法は、光学読取装置のCTFを測定する計算方法と理解することができる。実施形態に係る解像度評価方法では、CTFを測定するためにチャート102を用い、かつ、チャート102を読み取る光学読取装置100と、光学読取装置100が読み取った読取画像データを演算処理するデータ処理装置110とを用いる。
光学読取装置100は、白黒の濃淡縞のチャート102を光学的に読み取り、読取画像の画像データを生成する。すなわち、光学読取装置100は、チャート102の少なくとも濃淡縞の表示された部分を読み取り、読み取った濃淡縞の画像情報を生成する。光学読取装置100によって読み取った濃淡縞の画像情報は数値化されてデータ処理装置110に入力される。画像情報が「数値化される」とは、デジタル画像データに変換されることを意味する。データ処理装置110は、光学読取装置100によって読み取られたチャート102の読取画像の画像データを取得し、データ処理を行う。
データ処理装置110は、データ取得部112と、データ記憶部114と、コントラスト算出処理部116と、データ出力部118とを含む。また、データ処理装置110には、入力装置120と表示装置122とが接続されている。
データ取得部112は、光学読取装置100を介して読み取られたチャート102の読取画像の画像データを取得するインターフェースである。データ取得部112は、データ入力端子、通信インターフェース、及びメディアインターフェースのうちいずれか1つ又は複数の組み合わせによって構成され得る。データ取得部112は、読取画像データ取得部の一例である。
データ記憶部114は、メモリ及び/又はハードディスクなどの記憶装置によって構成される。データ記憶部114は、読取画像記憶部132と、画素間CTF記憶部134と、CTF算出結果記憶部136と、を含んでいる。読取画像記憶部132には、図24で説明した読取画像のデータ配列IM(L,C)が記憶される。画素間CTF記憶部134には、図25で説明したCTF途中計算配列CTFT(L,C)が記憶される。CTF算出結果記憶部136には、図26で説明したCTF計算配列CTF(BC)が記憶される。読取画像記憶部132と、画素間CTF記憶部134と、CTF算出結果記憶部136とのそれぞれは、1つの記憶装置の中の記憶領域であってもよいし、異なる記憶装置であってもよい。
コントラスト算出処理部116は、図21で説明したコントラスト算出処理を実行する。コントラスト算出処理部116は、画素間隔決定部142と、画素間CTF算出部144と、CTF算出部146と、を含む。
画素間隔決定部142は、画素間CTFを求める際に比較する画素のうち最も離れた位置の画素との画素間隔dを決定する。画素間隔決定部142は、チャートの縞間隔を基に適切なdを決定する。dは予めプログラムによって規定されていてもよいし、入力装置120を通じてユーザが適宜指定した情報に基づいて決定されてもよい。
画素間CTF算出部144は、図21のステップS55の処理を実行する。画素間CTF算出部144は、画素間コントラスト算出部の一例である。画素間CTF算出部144の計算結果は、画素間CTF記憶部134に保存される。
CTF算出部146は、図22のステップS62の処理を実行する。CTF算出部146は、解像力算出部の一例である。CTF算出部146の計算結果は、CTF算出結果記憶部136に記憶される。
データ出力部118は、データ記憶部114に記憶された各データをデータ処理装置110の内部の処理部又は装置外部に出力するインターフェースである。
入力装置120には、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボールなど、各種の入力装置を採用することができ、これらの適宜の組み合わせであってもよい。表示装置122には、液晶ディスプレイなどの各種の表示装置を採用することができる。入力装置120と表示装置122は、ユーザインターフェースとして機能する。ユーザは、表示装置122の画面に表示される内容を確認しながら、入力装置120を使って各種パラメータの設定及び各種情報の入力並びに編集が可能である。
また、表示装置122は、CTF測定結果をユーザに提供する測定結果情報提供手段として機能する。例えば、表示装置122には、CTFの測定結果の情報及び/又は評価結果の情報が表示される。データ処理装置110は、解像力測定装置の一例である。
データ処理装置110は、濃淡縞の縞間隔の情報を外部から入力する機能、または、読取画像から所定間隔を検出する機能を持つ。データ処理装置110は、取得した縞間隔の値を、濃淡縞の読取画像での画素数に変換する。縞間隔を読取画像での画素数によって表したものを縞間隔画素数という。
データ処理装置110は、読取画像のデータから各画素に対して縞の並び方向に離れた画素との間で濃淡縞のコントラストを計算する際に、縞の並び方向に最も離れた画素となる画素間距離(比較画素最大間隔)を規定する。比較画素最大間隔は、画素数で表され、1以上、かつ、縞間隔画素数以下の値に定められる。比較画素最大間隔は、特定画素数のことであり、これをd[画素]とする。
データ処理装置110は、既に説明した計算式(式[2])に従い、読取画像の少なくとも一部の各画素Xに対して、1以上d以下の画素数mだけ縞の間隔方向に離れた画素との間で画素間CTFを算出して、それらのうちの最大値から各画素Xのコントラスト値(CTF(X))を求め、各画素Xについて算出したCTF(X)の最大値から各縞位置でのCTFを算出する。データ処理装置110は、解像力測定装置の一例である。なお、「1以上d以下」は、1以上特定画素数以下のことである。
《CTF測定結果の活用例》
光学読取装置100の読取範囲全体の画素について上記の方法によってCTFを算出し、その算出結果を基にCTFが光学読取装置で規定された所定範囲内にあるかどうかを判断し、光学読取装置100のピント状態が正常であるかどうかを判断することができる。データ処理装置110は、CTFの算出結果から光学読取装置100のピント状態を判断する処理を実施し、その判断結果を表示装置122に表示させる。
《インクジェット印刷装置の装置構成例》
図29は、実施形態に係るインクジェット印刷装置201の構成を示す側面図である。インクジェット印刷装置201は、印刷装置の一例である。インクジェット印刷装置201は、給紙部210と、処理液塗布部220と、処理液乾燥部230と、描画部240と、インク乾燥部250と、集積部260と、を備える。
給紙部210は、用紙Pを1枚ずつ自動で給紙する。給紙部210は、給紙装置212と、フィーダボード214と、給紙ドラム216と、を備える。用紙Pの種類は、特に限定されないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする印刷用紙を用いることができる。用紙Pは、画像が記録される媒体の一形態に相当する。用紙Pは、多数枚が積層された束の状態で給紙台212Aに載置される。
給紙装置212は、給紙台212Aにセットされた束の状態の用紙Pを上から順に1枚ずつ取り出して、フィーダボード214に給紙する。フィーダボード214は、給紙装置212から受け取った用紙Pを給紙ドラム216へと搬送する。
給紙ドラム216は、フィーダボード214から給紙される用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液塗布部220へと搬送する。
処理液塗布部220は、用紙Pに処理液を塗布する。処理液は、インク中の色材成分を凝集、不溶化ないし増粘させる機能を備えた液体である。処理液塗布部220は、処理液塗布ドラム222と、処理液塗布装置224と、を備える。
処理液塗布ドラム222は、給紙ドラム216から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液乾燥部230へと移送する。処理液塗布ドラム222は、周面にグリッパ223を備え、そのグリッパ223で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
処理液塗布装置224は、処理液塗布ドラム222によって搬送される用紙Pに処理液を塗布する。処理液はローラで塗布される。
処理液乾燥部230は、処理液が塗布された用紙Pを乾燥処理する。処理液乾燥部230は、処理液乾燥ドラム232と、温風送風機234と、を備える。処理液乾燥ドラム232は、処理液塗布ドラム222から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを描画部240へと移送する。処理液乾燥ドラム232は、周面にグリッパ233を備える。処理液乾燥ドラム232は、グリッパ233で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを搬送する。
温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232の内部に設置される。温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てて、処理液を乾燥させる。
描画部240は、描画ドラム242と、ヘッドユニット244と、インラインスキャナ248と、を備える。描画ドラム242は、処理液乾燥ドラム232から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pをインク乾燥部250へと移送する。描画ドラム242は、周面にグリッパ243を備え、グリッパ243で用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。描画ドラム242は、図示しない吸着機構を備え、周面に巻き付けられた用紙Pを周面に吸着させて搬送する。吸着には、負圧が利用される。描画ドラム242は、周面に多数の吸着穴を備え、この吸着穴を介して内部から吸引することにより、用紙Pを周面に吸着させる。
ヘッドユニット244は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kを備える。インクジェットヘッド246C、シアン(C)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Mは、マゼンタ(M)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Yは、イエロー(Y)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Kは、ブラック(K)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれには、対応する色のインク供給源である不図示のインクタンクから不図示の配管経路を介して、インクが供給される。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、用紙幅に対応したラインヘッドで構成され、各々のノズル面が描画ドラム242の周面に対向して配置される。ここでいう用紙幅は、用紙Pの搬送方向と直交する方向の用紙幅を指す。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kは、描画ドラム242による用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
図には示さないが、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々のノズル面には、インクの吐出口である複数個のノズルが二次元配列されている。「ノズル面」とは、ノズルが形成されている吐出面をいい、「インク吐出面」或いは「ノズル形成面」などの用語と同義である。二次元配列された複数個のノズルのノズル配列を「二次元ノズル配列」という。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、複数個のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に関して用紙Pの全記録領域を1回の走査で規定の記録解像度による画像記録が可能なノズル列を有するフルライン型の記録ヘッドである。フルライン型の記録ヘッドはページワイドヘッドとも呼ばれる。規定の記録解像度とは、インクジェット印刷装置201によって予め定められた記録解像度であってもよいし、ユーザの選択により、若しくは、印刷モードに応じたプログラムによる自動選択により設定される記録解像度であってもよい。記録解像度として、例えば、1200dpiとすることができる。用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向をラインヘッドのノズル列方向と呼び、用紙Pの搬送方向をノズル列垂直方向と呼ぶ場合がある。
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズルをノズル列方向に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、ノズル列方向について、最大の記録解像度を達成するノズル密度で各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。「概ね等間隔」とは、インクジェット印刷装置で記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差や着弾干渉による媒体上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列(「実質的なノズル列」ともいう。)を考慮すると、ノズル列方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々におけるノズルの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
描画ドラム242によって搬送される用紙Pに向けて、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kからインクの液滴が吐出され、吐出された液滴が用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像が記録される。
描画ドラム242は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kと用紙Pとを相対移動させる手段として機能している。描画ドラム242は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kに対して用紙Pを相対的に移動させ、相対移動手段の一形態に相当する。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの吐出タイミングは、描画ドラム242に設置されたロータリエンコーダから得られるロータリエンコーダ信号に同期させる。図29においてロータリエンコーダの図示は省略されており、図30においてロータリエンコーダ382として記載されている。吐出タイミングとは、インクの液滴を吐出するタイミングであり、打滴タイミングと同義である。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特色インクなどを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成や、緑色やオレンジ色などの特色のインクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kは、画像形成部の一例である。
インラインスキャナ248は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kによって用紙Pに記録された画像を光学的に読み取り、その読取画像を示す電子画像データを生成する光学読取装置である。インラインスキャナ248は、用紙P上に記録された画像を撮像して画像情報を示す電気信号に変換する撮像デバイスを含む。インラインスキャナ248は、撮像デバイスの他、読み取り対象を照明する照明光学系及び撮像デバイスから得られる信号を処理してデジタル画像データを生成する信号処理回路を含んでよい。
インラインスキャナ248は、例えば、CCDラインセンサを用いたラインスキャナで構成される。インラインスキャナ248は、図28に示した光学読取装置100に相当する。インラインスキャナ248は、カラー画像の読み取りが可能な構成であることが好ましい。本例のインラインスキャナ248は、例えば、撮像デバイスとしてカラーCCDリニアイメージセンサが用いられる。カラーCCDリニアイメージセンサはR(赤),G(緑),B(青)各色のカラーフィルタを備えた受光素子が直線状に配列したイメージセンサである。なお、カラーCCDリニアイメージセンサに代えて、カラーCMOSリニアイメージセンサを用いることもできる。なお、インラインスキャナ248は、描画ドラム242による用紙Pの搬送中に用紙P上の画像の読み取りを行う。描画ドラム242は、インラインスキャナ248とチャートを相対的に移動させる走査装置の役割を果たす。
インラインスキャナ248によって読み取られた読取画像のデータを基に、CTFの測定が行われる。また、インラインスキャナ248によって読み取られた読取画像のデータを基に、画像の濃度やインクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの吐出不良などの情報が得られる。
インク乾燥部250は、描画部240で画像が記録された用紙Pを乾燥処理する。インク乾燥部250は、チェーンデリバリ310と、用紙ガイド320と、温風送風ユニット330と、を備える。
チェーンデリバリ310は、描画ドラム242から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを集積部260へと移送する。チェーンデリバリ310は、規定の走行経路を走行する一対の無端状のチェーン312を備え、その一対のチェーン312に備えられたグリッパ314で用紙Pの先端部を把持して、用紙Pを規定の搬送経路に沿って搬送する。グリッパ314は、チェーン312に一定の間隔で複数備えられる。
用紙ガイド320は、チェーンデリバリ310による用紙Pの搬送をガイドする部材である。用紙ガイド320は、第1用紙ガイド322と第2用紙ガイド324で構成される。第1用紙ガイド322はチェーンデリバリ310の第1搬送区間を搬送される用紙Pをガイドする。第2用紙ガイド324は、第1搬送区間の後段の第2搬送区間を搬送される用紙をガイドする。温風送風ユニット330は、チェーンデリバリ310によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てる。
集積部260は、チェーンデリバリ310によってインク乾燥部250から搬送されてくる用紙Pを受け取り、集積する集積装置262を備える。
チェーンデリバリ310は、所定の集積位置で用紙Pをリリースする。集積装置262は、集積トレイ262Aを備え、チェーンデリバリ310からリリースされた用紙Pを受け取り、集積トレイ262Aの上に束状に集積する。集積部260は排紙部に相当する。
〈システム構成〉
図30は、インクジェット印刷装置201の制御系の要部構成を示すブロック図である。インクジェット印刷装置201は、制御装置202によって制御される。制御装置202は、システムコントローラ350と、通信部352と、表示装置122と、入力装置120と、画像処理部358と、CTF測定装置360と、搬送制御部362と、画像記録制御部364と、を備える。これらの各部の要素は、1台又は複数台のコンピュータによって実現することが可能である。つまり、制御装置202は、コンピュータのハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって構成することができる。
システムコントローラ350は、インクジェット印刷装置201の各部を統括制御する制御手段として機能し、かつ、各種演算処理を行う演算手段として機能する。システムコントローラ350は、CPU(Central Processing Unit)370と、ROM(read-only memory)372と、RAM(random access memory)374と、を備えており、所定のプログラムに従って動作する。ROM372には、システムコントローラ350が実行するプログラム、及び、制御に必要な各種データが格納される。
通信部352は、所要の通信インターフェースを備える。インクジェット印刷装置201は、通信部352を介して図示せぬホストコンピュータと接続され、ホストコンピュータとの間でデータの送受信を行うことができる。ここでいう「接続」には、有線接続、無線接続、又はこれらの組み合わせが含まれる。通信部352には、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。
通信部352は、印刷対象の画像を表す画像データを取得するための画像入力インターフェース部としての役割を果たす。
画像処理部358は、印刷対象の画像データに対する各種の変換処理や補正処理、並びにハーフトーン処理を行う。変換処理には、画素数変換、階調変換、色変換などが含まれる。補正処理には、濃度補正や、不吐出ノズルによる画像欠陥の視認性を抑制するための不吐出補正などが含まれる。画像処理部358は、インラインスキャナ248から得られる読取画像を基に補正処理を行う。ハーフトーン処理は、ディザ法や誤差拡散法に代表されるデジタルハーフトーニングの処理である。また、画像処理部358は、CTF測定に用いるチャートを印刷するための印刷画像データを生成する。
CTF測定装置360は、図28で説明したデータ処理装置110の装置構成と同等のものである。なお、CTF測定装置360の機能は、システムコントローラ350を含んだ制御装置とは別のコンピュータで構成してもよいし、システムコントローラ350を含んだ制御装置の中の機能ブロックとして内包する構成としてもよい。
搬送制御部362は、媒体搬送機構380を制御する。媒体搬送機構380は、図29で説明した給紙部210から集積部260までの用紙Pの搬送に関わる用紙搬送部の機構の全体を含んでいる。媒体搬送機構380には、図29で説明した給紙ドラム216、処理液塗布ドラム222、処理液乾燥ドラム232、描画ドラム242、チェーンデリバリ310などが含まれる。また、媒体搬送機構380には、図示せぬ動力源としてのモータ及びモータ駆動回路などの駆動部が含まれる。
搬送制御部362は、システムコントローラ350からの指令に応じて、媒体搬送機構380を制御し、給紙部210から集積部260まで用紙Pが搬送されるように制御する。
インクジェット印刷装置201は、媒体搬送機構380における描画ドラム242(図29参照)の回転角度を検出する手段としてのロータリエンコーダ382を備えている。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれは、ロータリエンコーダ382が出力するロータリエンコーダ信号から生成される吐出タイミング信号にしたがって吐出タイミングが制御される。
画像記録制御部364は、システムコントローラ350からの指令に応じてインクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの駆動を制御する。画像記録制御部364は、画像処理部358のハーフトーン処理を経て生成された各インク色のドットデータに基づき、描画ドラム242により搬送される用紙Pに所定の画像を記録するように、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの吐出動作を制御する。また、画像記録制御部364は、CTF測定に用いるチャートを印刷する制御を行う。
制御装置202は、図示せぬハードディスクドライブなどの記憶装置を備えている。記憶装置にはCPU370が実行するプログラムや演算に必要な各種のデータを記憶しておくことができる。記憶装置は制御装置202に内蔵されていてもよいし、通信回線を介して制御装置202に接続された構成であってもよい。
〈各処理部及び制御部のハードウェア構成について〉
図28で説明したデータ処理装置110のコントラスト算出処理部116、画素間隔決定部142、画素間CTF算出部144、及びCTF算出部146、並びに、図30に示した制御装置202の搬送制御部362、画像記録制御部364、画像処理部358、CTF測定装置360などの各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、例えば、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。
各種のプロセッサには、プログラムを実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されていてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサで構成されてもよい。例えば、1つの処理部は、複数のFPGA、或いは、CPUとFPGAの組み合わせによって構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第一に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第二に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)である。
《インクジェットヘッドの吐出方式について》
インクジェットヘッドのイジェクタは、液体を吐出するノズルと、ノズルに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。イジェクタのノズルから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。インクジェットヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
《本実施形態によるCTF測定方法の利点》
(1)本実施形態によれば、各画素のコントラスト計算と最大値探索を組み合わせた簡単なアルゴリズムによって、正確なCTFを求めることができる。
(2)従来の方法は、ノズルの不吐などによりチャートの線が欠けていると、線の探索アルゴリズムが複雑になる。この点、本実施形態によれば、不吐出などによって線が欠けると、読取画像の画像データは白なのでCTF=0となり、特別に区別することなく、計算できる。すなわち、本実施形態によれば、簡単なアルゴリズムによって線欠けに対処した処理を行うことができる。また、本実施形態によれば、線の最大濃度や線間の最小濃度位置などを探索する処理が不要である。
(3)また、本実施形態によれば、チャートの線幅若しくは描画解像度と、読取画素の解像度が近く、読取位置の位相によって読取データが周期的に変化するような場合にも、CTFを求めることができる。
〈その他の効果〉
実際のインクジェット印刷装置を用いて印刷したCTF測定用チャートでは、各線を記録したインクジェットヘッドのインク吐出量ばらつきにより、CTF測定用チャートの線の濃さ、及び/又は幅が微妙に変化する。インク吐出量が少なければ、濃さが薄くなり、幅が狭くなる。
この実際のインクジェット印刷装置を用いて印刷したCTF測定チャートを読み取り、本開示のCTF測定方法を用いて、CTFの値を算出すると、上記のインク吐出量のばらつき影響がCTF計算結果に影響する。つまり、インク吐出量が少なければ、CTF計算結果が小さくなる。
図31は、インクジェット印刷装置201を用いて印刷したチャートの読取画像のデータから算出したCTFの例を示すグラフである。横軸は、光学読取装置の読取センサ(撮像センサ)の画素番号を表し、縦軸はCTF値を表す。図31に示したグラフにおいて画素番号4000付近にCTF値が不連続に見える部分がある。不連続に見える部分は、複数のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたライン型のインクジェットヘッドにおける2つのヘッドモジュールの境界部分である。各ヘッドモジュールでインク吐出量に差があり、2つのヘッドモジュールの境界部分で、CTF計算結果にその差が表れている。
光学読取装置のCTFは、読み取り範囲内において高低があるが、レンズの脈理(ガラス成分の不均一性による欠陥)などがなければ、局所的に急激に変化することはない。したがって、図31に示すような、CTFの計算結果から、各ヘッドモジュールのインク吐出量の局所的不均一を捉えることができる。なお、図31のグラフ中のところどころに見られるピーク状の高い数値については、異常値として除外する処理、及び/又は移動平均などの平滑化の処理を行い、適宜利用目的に沿ったデータに加工してもよい。
データ処理装置110として機能する制御装置202は、CTFの計算結果を用いて、ライン型のインクジェットヘッドにおけるヘッドモジュールのインク吐出量の局所的不均一を検出する処理を行う検出処理部を含んでいてもよい。インク吐出量の局所的不均一を検出する処理には、インク吐出量のばらつきの検出と不吐検出の少なくとも一方の検出処理が含まれる。
《変形例1》
チャートは、読取対象画像領域の少なくとも一部に濃淡縞が含まれていればよく、白黒縞に限らない。濃淡縞は、用途によっては、白赤縞、白青縞、白緑縞、白シアン縞、白マゼンタ縞、又は白イエロー縞などでも適用可能である。印刷装置で用いるインクの色ごとにチャートを印刷してもよい。
また、予め用意された専用のCTF測定用チャートを用いても、本開示のCTF測定方法を適用してCTFを算出することができる。
《変形例2》
1つのチャートには、複数の異なる縞間隔の濃淡縞が含まれていてもよい。つまり、縞間隔がP1である第1の濃淡縞と、縞間隔がP2である第2の濃淡縞とが1つのチャートに含まれていてもよい。また、チャートに表示された濃淡縞の方向は、縦縞に限らず、横縞であってもよく、また、縦縞と横縞の両方であってもよい。例えば、第1の濃淡縞は縦縞、第2の濃淡縞は横縞であってよい。第1の濃淡縞と第2の濃淡縞のそれぞれの濃淡縞について、本開示のCTF測定方法によってCTFを算出することができる。縦縞の線方向が第1方向の一例であり、横縞の線方向が第2方向の一例である。
《変形例3》
上述の実施形態では、印刷装置の一例として、シングルパス方式のインクジェット印刷装置を説明したが、本発明は、様々な形態の印刷装置に適用し得る。例えば、短尺のインクジェットヘッドを往復走査させて画像を形成するマルチスキャン方式のインクジェット印刷装置についても本発明を適用することができる。また、本発明の実施に際して記録媒体に画像を形成する手段は、インクジェット印刷装置に限らず、電子写真装置でもよく、また、オフセット印刷装置などの有版型の印刷装置であってもよい。
《変形例4》
図28に示したデータ処理装置110の構成は、印刷装置から切り離して、CTF測定の演算処理を行う解像力測定装置として把握することができる。また、図30に示した制御装置202の構成は、解像力測定装置の一形態と理解することができる。
《コンピュータを解像力測定装置として機能させるプログラムについて》
上述の実施形態で説明したCTF計算方法を実施する解像力測定装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムを光ディスクや磁気ディスクその他のコンピュータ可読媒体(有体物たる非一時的な情報記憶媒体)に記録し、この情報記憶媒体を通じてプログラムを提供することが可能である。
また、情報記憶媒体にプログラムを記憶させてプログラムを提供する態様に代えて、インターネットなどの通信ネットワークを利用してプログラムのデータをダウンロードサービスとして提供することも可能である。
このプログラムをコンピュータに組み込むことにより、コンピュータに解像力測定装置の機能を実現させることができる。また、本実施形態で説明したCTF計算処理の機能を含む印刷装置の制御を実現するためのプログラムの一部又は全部を、ホストコンピュータなどの上位制御装置に組み込む態様や、印刷装置のCPUの動作プログラムとして適用することも可能である。
《記録媒体について》
「用紙」は、画像の記録に用いられる媒体であり、記録媒体の概念に含まれる。記録媒体という用語は、記録用紙、印用紙、印刷媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものの総称である。記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、シール用紙、樹脂シート、フィルム、布、不織布、その他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。記録媒体は枚葉の媒体に限らず、連続紙などの連続媒体であってもよい。また、枚葉の記録媒体は、予め規定のサイズに整えられたカット紙に限らず、連続媒体から随時、規定のサイズに裁断して得られるものであってもよい。
《用語について》
「印刷装置」という用語は、印刷機、プリンタ、印字装置、印刷装置、画像形成装置、画像記録装置、画像出力装置、或いは、描画装置などの用語と同義である。
「画像」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、その他の各種パターン、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。
画像の「記録」とは、画像の形成、印刷、印字、描画、及びプリントなどの用語の概念を含む。「印字」には、デジタルデータに基づくデジタル印刷の概念が含まれる。
本明細書における「直交」又は「垂直」という用語には、90°未満の角度、又は90°を超える角度をなして交差する態様のうち、実質的に90°の角度をなして交差する場合と同様の作用効果を発生させる態様が含まれる。また、「平行」という用語は、実質的に平行とみなして扱うことができる程度の許容範囲を含む。
《像高(Image height)について》
像高は、光学系の評価面上(通常、結像面上でピントが合っている位置)で像位置を光軸からの距離で表した値である。像高には理想像高と実像高がある。理想像高は近軸倍率で求められる理想的な像高である。一方、通常の光学系の像高はレンズの収差のため、理想像高からずれる。実像高は評価面で実際に結像している位置であり、収差も含めた像高である。近軸倍率は次のように定義される。
近軸倍率γ:近軸光線追跡で求めたレンズ倍率である。
γ=y’/y
y':像高
y:物体高
《歪曲収差とディストーションについて》
歪曲収差とディストーションは、光学収差の一つであり、像の幾何学的な歪み(位置誤差)である。歪曲収差とディストーションは、像の倍率が場所によって変化することで生じ、像高誤差となる。単純には、糸巻型(正の歪曲収差)と、樽型(負の歪曲収差)とがある。
《実施形態及び変形例等の組み合わせについて》
上述の実施形態で説明した構成や変形例で説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、又は削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で同等関連分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。
10 チャート
12 線
14 白部
20 読取画像
22 正方形
24 黒線部位置中央
26 黒線部位置周辺
30 チャート画像
31 白黒縞
32 白黒縞
33 白黒縞
100 光学読取装置
102 チャート
110 データ処理装置
112 データ取得部
114 データ記憶部
116 コントラスト算出処理部
118 データ出力部
120 入力装置
122 表示装置
132 読取画像記憶部
134 画素間CTF記憶部
136 CTF算出結果記憶部
142 画素間隔決定部
144 画素間CTF算出部
146 CTF算出部
201 インクジェット印刷装置
202 制御装置
210 給紙部
212 給紙装置
212A 給紙台
214 フィーダボード
216 給紙ドラム
220 処理液塗布部
222 処理液塗布ドラム
223、233、243 グリッパ
224 処理液塗布装置
230 処理液乾燥部
232 処理液乾燥ドラム
234 温風送風機
240 描画部
242 描画ドラム
244 ヘッドユニット
246C、246M、246Y、246K インクジェットヘッド
248 インラインスキャナ
250 インク乾燥部
260 集積部
262 集積装置
262A 集積トレイ
310 チェーンデリバリ
312 チェーン
314 グリッパ
320 用紙ガイド
322 第1用紙ガイド
324 第2用紙ガイド
330 温風送風ユニット
350 システムコントローラ
352 通信部
358 画像処理部
360 CTF測定装置
362 搬送制御部
364 画像記録制御部
380 媒体搬送機構
382 ロータリエンコーダ
P 用紙
Ww 白幅、
Wb 黒幅
Pb 間隔
Pw 間隔
r 規定距離
S1〜S4 CTF測定処理のステップ
S11〜S15 印刷画像データ生成処理のステップ
S21〜S25 印刷処理のステップ
S31〜S36 読み取り処理のステップ
S41〜S44 CTF算出処理のステップ
S51〜S64 コントラスト算出処理のステップ

Claims (27)

  1. 少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データを取得する読取画像データ取得工程と、
    前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、前記濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出工程と、
    前記画素間コントラスト算出工程によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、前記濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出工程と、を含み、
    前記特定画素数は、前記読取画像の画像データにおいて前記濃淡縞の前記特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、前記特定画素数をd、前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の前記濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから前記濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、
    前記画素間コントラスト算出工程は、次式、
    CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
    に従って、前記画素間のコントラストを算出する処理と、
    画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、
    を含む解像力測定方法。
  2. 前記画素間コントラスト算出工程において、画素Xに対して、1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす全てのmについて、CTF(X,Xn+m)を算出し、
    かつ、
    前記全てのmのうち、CTF(X,Xn+m)の最大値を、画素Xにおける画素のコントラスト値とする処理を行う請求項1に記載の解像力測定方法。
  3. 前記解像力算出工程は、
    前記濃淡縞の間隔方向に並ぶ画素に対して、前記縞間隔画素数以上の画素のグループを設定し、かつ、
    前記グループごとの各画素について算出された前記画素のコントラスト値のうち、最大の値を、前記グループに属する各画素位置でのコントラスト値とする処理を含む請求項2に記載の解像力測定方法。
  4. 前記解像力算出工程は、画素Xに対して、前記濃淡縞に平行な線方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された前記画素のコントラスト値のうち、最大の値を、前記画素Xが属する画素列の位置でのコントラスト値とする処理を含む請求項2又は3に記載の解像力測定方法。
  5. 前記チャートは、前記濃淡縞に平行な線方向に、前記濃淡縞が2つ以上並んでいる複数の前記濃淡縞を含み、前記複数の濃淡縞は、縞の間隔が等しく、かつ、互いに前記濃淡縞の間隔方向に特定距離だけ縞の位置がずれており、
    前記解像力算出工程は、
    前記複数の濃淡縞を含む前記チャートの前記読取画像の画像データから、画素Xに対して、前記線方向に平行な方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された前記画素のコントラスト値のうち、最大の値を、画素Xが属する画素列の位置でのコントラスト値とする処理を含む請求項2から4のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  6. 前記濃淡縞の間隔方向の前記特定距離は、前記縞間隔画素数の正の整数分の1であり、
    前記線方向に並ぶ前記濃淡縞の数は、(縞間隔画素数/特定距離)の正の整数倍である請求項5に記載の解像力測定方法。
  7. 前記解像力算出工程は、画素Xに対して、前記濃淡縞に平行な線方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された前記画素のコントラスト値のうち、前記線方向の画素のコントラスト平均値に比べて、規定割合以上大きい値を異常値として除外する処理を含む請求項3から6のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  8. 前記解像力算出工程は、画素Xに対して、前記濃淡縞に平行な線方向に一列に並んだ複数の画素についてそれぞれ算出された前記画素のコントラスト値のうち、前記線方向の画素のコントラスト平均値に比べて、規定割合以上大きい値を異常値とし、前記異常値を示す画素のコントラスト値を、周囲の規定画素数の範囲のうち前記異常値に該当しない画素のコントラスト値の平均値に置き換える処理を含む請求項3から6のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  9. 前記濃淡縞の間隔をPミリメートル、前記チャート上における前記光学読取装置の読取画素の間隔をSミリメートルとする場合に、P≧2×Sであって、
    前記特定画素数は、d≧P/(2×S)を満たす最小の整数dである請求項1から8のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  10. 前記濃淡縞の間隔をPミリメートル、前記チャート上における前記光学読取装置の読取画素の間隔をSミリメートルとする場合に、P≧Sであって、
    前記特定画素数は、d≧P/Sを満たす最小の整数dである請求項1から8のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  11. 前記濃淡縞の間隔をPミリメートル、前記チャート上における前記光学読取装置の読取画素の間隔をSミリメートルとする場合に、P≧2×Sであって、
    前記特定画素数は、d≧P/(2×S)を満たす最小の整数以上、かつ、d≧P/Sを満たす最小の整数以下の整数dである請求項1から8のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  12. 前記チャートには、複数の異なる前記特定間隔の濃淡縞のパターンが含まれている請求項1から11のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  13. 前記チャートに含まれる前記濃淡縞の方向は、第1方向、又は前記第1方向に交差する第2方向、若しくは、前記第1方向と前記第2方向の両方である請求項1から12のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  14. 前記光学読取装置の読取範囲全体の画素について算出したコントラスト伝達関数の算出結果から前記光学読取装置のピント状態を判断する工程を含む請求項1から13のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  15. 前記チャートは、印刷装置を用いて記録媒体に前記濃淡縞が印刷されたチャートである請求項1から14のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  16. 前記光学読取装置を用いて前記チャートを読み取るチャート読取工程を含む請求項1から15のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  17. 前記光学読取装置の光学系は、単一の光軸を持つ結像レンズ、又は複数の光軸を持つレンズアレイを含む請求項16に記載の解像力測定方法。
  18. 印刷装置を用いて前記濃淡縞を含む前記チャートを印刷するチャート印刷工程を含む請求項1から17のいずれか一項に記載の解像力測定方法。
  19. 前記印刷装置は前記光学読取装置を備えており、
    前記印刷装置によって前記チャートを印刷し、かつ、前記印刷装置内において前記光学読取装置によって前記チャートの読み取りを行う請求項18に記載の解像力測定方法。
  20. 前記印刷装置は、インクジェット印刷装置である請求項18又は19に記載の解像力測定方法。
  21. 前記濃淡縞の各線はそれぞれ、インクジェットヘッドにおける単一のノズルからの打滴によって記録される請求項20に記載の解像力測定方法。
  22. 前記光学読取装置は、前記インクジェット印刷装置に搭載されたインラインスキャナである請求項20又は21に記載の解像力測定方法。
  23. 少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データを取得する読取画像データ取得部と、
    前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、前記濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出部と、
    前記画素間コントラスト算出部によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、前記濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出部と、を備え、
    前記特定画素数は、前記読取画像の画像データにおいて前記濃淡縞の前記特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、前記特定画素数をd、前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の前記濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから前記濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、
    前記画素間コントラスト算出部は、次式、
    CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
    に従って、前記画素間のコントラストを算出する処理と、
    画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、
    を行う解像力測定装置。
  24. 少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを光学読取装置によって読み取ることにより得られる読取画像の画像データから前記光学読取装置の解像力を測定するデータ処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    コンピュータに、
    前記チャートの読取画像のデータを取得する読取画像データ取得工程と、
    前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、前記濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出工程と、
    前記画素間コントラスト算出工程によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、前記濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出工程と、を実行させるプログラムであり、
    前記特定画素数は、前記読取画像の画像データにおいて前記濃淡縞の前記特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、前記特定画素数をd、前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の前記濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから前記濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、
    前記画素間コントラスト算出工程は、次式、
    CTF(Xn,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
    に従って、前記画素間のコントラストを算出する処理と、
    画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、
    を含むプログラム。
  25. 請求項24に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  26. 記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
    前記画像形成部を用いて前記記録媒体に形成された画像を光学的に読み取る光学読取装置と、
    前記光学読取装置によって用いて読み取られた読取画像の画像データを演算処理するデータ処理装置と、を備え、
    前記画像形成部は、少なくとも一部に、濃度断面が特定間隔で矩形状に変化する濃淡縞を含むチャートを印刷し、
    前記光学読取装置は、前記チャートを読み取り、
    前記データ処理装置は、前記光学読取装置によって読み取られた前記チャートの読取画像の画像データを取得する読取画像データ取得部と、
    前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素に対して、前記濃淡縞の間隔方向に1以上特定画素数以下の画素数だけ離れた画素との間で画素間のコントラストを算出する画素間コントラスト算出部と、
    前記画素間コントラスト算出部によって画素ごとに算出されたコントラストの値の最大値から、前記濃淡縞の各縞位置でのコントラスト伝達関数を算出する解像力算出部と、を備え、
    前記特定画素数は、前記読取画像の画像データにおいて前記濃淡縞の前記特定間隔に相当する画素数である縞間隔画素数以下かつ1以上の条件を満たす画素数として規定され、前記特定画素数をd、前記読取画像の画像データのうち少なくとも一部の計算対象範囲に属する各画素の前記濃淡縞の間隔方向の位置を表す画素番号をn、画素番号nで表される画素Xの値をX(n)、画素Xから前記濃淡縞の間隔方向にm画素離れた画素Xn+mの値をX(n+m)とし、mが1≦m≦d、又は、−d≦m≦−1を満たす整数の値をとる場合に、
    前記画素間コントラスト算出部は、次式、
    CTF(X,Xn+m)={X(n+m)−X(n)}/{X(n+m)+X(n)}
    に従って、前記画素間のコントラストを算出する処理と、
    画素Xに対して異なるmについて求めたCTF(X,Xn+m)のうちの最大値を求める処理と、
    を行う印刷装置。
  27. 前記画像形成部は、複数個のヘッドモジュールを繋ぎ合わせて構成されたライン型のインクジェトヘッドを含み、
    前記データ処理装置は、前記解像力算出部で算出されたコントラスト伝達関数を用いて、前記ヘッドモジュールのインク吐出量の局所的不均一を検出する処理を行う請求項26に記載の印刷装置。
JP2019517515A 2017-05-12 2018-04-10 解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置 Active JP6761543B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017095756 2017-05-12
JP2017095756 2017-05-12
PCT/JP2018/015043 WO2018207535A1 (ja) 2017-05-12 2018-04-10 解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018207535A1 JPWO2018207535A1 (ja) 2020-05-28
JP6761543B2 true JP6761543B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=64104474

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019517515A Active JP6761543B2 (ja) 2017-05-12 2018-04-10 解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6761543B2 (ja)
WO (1) WO2018207535A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6900884B2 (en) * 2001-10-04 2005-05-31 Lockheed Martin Corporation Automatic measurement of the modulation transfer function of an optical system
JP2007147438A (ja) * 2005-11-28 2007-06-14 Fuji Xerox Co Ltd レンズアレイの評価方法、評価装置、レンズアレイ、および画像形成装置
JP4480739B2 (ja) * 2007-06-14 2010-06-16 三菱電機株式会社 画像読取装置
JP2011166568A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Canon Inc 画像読取装置用の調整基準チャート及びそれを用いた光学評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2018207535A1 (ja) 2020-05-28
WO2018207535A1 (ja) 2018-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3305532B1 (en) Image inspection device, image inspection method, program, and ink jet printing system
JP6694362B2 (ja) 画像検査方法及び装置、プログラム並びに画像記録システム
US9944104B2 (en) Method and apparatus for detecting streak, and printing apparatus
JP5158992B2 (ja) 不良記録素子の検出装置及び方法、画像形成装置
JP5619041B2 (ja) 吐出不良検出方法及び装置、画像処理装置、プログラム、並びに印刷システム
US9792514B2 (en) Image inspection method and apparatus, and ink jet printing apparatus
US8472069B2 (en) Dot position measurement method and apparatus, and computer readable medium
US10166761B2 (en) Image forming apparatus and image correcting method with correction technology for improvement of defective images
JP2012206323A (ja) 記録位置誤差の測定装置及び方法、画像形成装置及び方法、並びにプログラム
WO2020179743A1 (ja) 画像処理方法及び装置、プログラム並びに画像形成装置
JP6422405B2 (ja) 画像処理装置および画像処理方法
JP6220029B2 (ja) インクジェット印刷システム及びその不吐補正方法並びにプログラム
JP6265502B2 (ja) 透明液吐出量決定装置及び方法、並びに画像形成装置及び方法
JP5681476B2 (ja) 不良記録素子の検出装置及び方法、並びに画像形成装置及び方法
US8911055B2 (en) Dot position measurement method and dot position measurement apparatus
JP6562754B2 (ja) 画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
WO2015146212A1 (ja) 位置ズレオーダの検出方法、画像の位置ズレの補正方法、スジムラ補正テーブルの作成方法、及びスジムラ補正方法
JP6814883B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP6761543B2 (ja) 解像力測定方法及び装置、プログラム並びに印刷装置
JP5308735B2 (ja) 印刷画像検査装置および印刷方法
JP6018994B2 (ja) インクジェット印刷システム及びその不吐補正方法並びにプログラム
JP2018026751A (ja) 印刷領域検出方法およびそれを用いた印刷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6761543

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250