JP6761334B2 - スイッチング電源装置 - Google Patents

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本発明は、安定型コンバータの出力に非安定型コンバータの入力を接続して構成し、入力電圧を所望の電圧に変換して電子機器等の負荷に供給するスイッチング電源装置に関する。
従来、安定型コンバータの出力に非安定型コンバータの入力を接続した構成を持つ高効率な絶縁型スイッチング電源装置が知られている。このスイッチング電源装置は、安定型コンバータが出力電圧を所定の値に安定化するための機能を持ち、非安定型コンバータが電圧変換を行う機能を持つもので、各コンバータの役割を分離することで、高効率を実現している。
このスイッチング電源装置は、安定型コンバータとして、昇圧チョッパー回路や降圧チョッパー回路等の非絶縁型コンバータが用いられることが一般的であり、スイッチング素子のデューティを制御することで出力電圧の制御を行う。
また、非安定型コンバータは、ハーフブリッジコンバータやフルブリッジコンバータ等の内部にトランスを備えた絶縁型コンバータが用いられることが一般的であり、スイッチング素子を固定のデューティで動作させることで非安定型コンバータに入力された電圧を所定の比率で変換して出力するコンバータ回路として動作させる。
安定型の非絶縁型コンバータである昇圧チョッパー回路と、非安定型コンバータであるハーフブリッジコンバータ回路を組み合わせて構成されたスイッチング電源装置が特許文献1に開示されている。これらのスイッチング電源装置は、出力電圧を所定の電圧に安定化するために安定型コンバータに対してフィードバック制御を行うための出力電圧制御回路を備えている。
特開平7−337001号公報
(スイッチング電源装置の小型化に対する課題)
安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置を小型化する場合を考える。安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置では、非安定型コンバータの出力側のコンデンサがスイッチング電源装置としての出力リップルの大小を決定するため、安定型コンバータの出力側のコンデンサと非安定型コンバータの入力側のコンデンサの容量を小さくしても、スイッチング電源装置としての出力電圧リップルが大きくなることが無い。
特許文献1の図4を例にすると、安定型コンバータの出力側に使用している電解コンデンサであるコンデンサ405と、非安定型コンバータ入力側に使用しているコンデンサ421、422を小容量のコンデンサに変更することで、スイッチング電源装置の小型化を行うことが可能となる。
また、安定型コンバータの出力側のコンデンサ405と非安定型コンバータの入力側のコンデンサ421、422とが並列に接続されている形となるので、これらを共用して動作させるように、安定型コンバータの出力側のコンデンサ405の削除を検討しても良い。
ところで、これらのコンデンサは、安定型コンバータのスイッチング素子がオンオフする際に発生するチョークコイルの電流の振動が流れ込むコンデンサであるため、大きなリップル電流が流れるコンデンサとなる。そこで、これらのコンデンサとして容量の小さなものを使用する場合には、電解コンデンサを使用することができなくなる。これは、電解コンデンサは素子の内部に等価的に存在する直列抵抗(以下「等価直列抵抗」という)をもっており、等価直列抵抗は容量が小さくなるに従って大きくなる特性を持っているためである。
このように容量の小さな電解コンデンサに大きなリップル電流を流すと、この等価直列抵抗が発熱することになり、素子を故障させてしまう。そこで、電解コンデンサに代えてフィルムコンデンサやセラミックコンデンサ等の等価直列抵抗の小さなコンデンサを使用する必要がある。
しかし、安定型コンバータの出力側コンデンサとしてフィルムコンデンサやセラミックコンデンサを使用した場合には、出力電圧制御回路の設計の難易度が高くなり、スイッチング電源装置の設計を困難にしてしまうため、設計に多大な時間を要し、設計コストが高くなる問題が発生する。また、スイッチング電源装置の過渡応答特性が悪くなる問題も発生する。これらの問題の原因を以下で説明する。
(安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置の出力電圧制御)
図5は、安定型コンバータの出力コンデンサと非安定型コンバータの入力コンデンサとの共用化を行ってしているスイッチング電源装置を示した回路ブロック図である。
(電力変換部の構成)
図5に示すように、スイッチング電源装置は、安定型コンバータ10と非安定型コンバータ12を組み合わせてスイッチング電源装置を構成しており、安定型コンバータ10の入力をスイッチング電源装置の入力とし、安定型コンバータ10の出力を非安定型コンバータ12の入力とし、非安定型コンバータ12の出力をスイッチング電源装置の出力としている。
この例では、安定型コンバータ10として非絶縁型の降圧チョッパーを用い、非安定型コンバータ12として絶縁型のフルブリッジコンバータを用いている。安定型コンバータ10として機能する非絶縁型の降圧チョッパーは、スイッチング素子TR11とダイオードD11を備えたスイッチング回路16とチョークコイルL210とコンデンサC210を備えた出力フィルタ回路18で構成される。非安定型コンバータ12として機能する絶縁型のフルブリッジコンバータは、スイッチング素子TR31〜TR34、トランスT1、ダイオードD31,D32を備えたスイッチング回路20と、コンデンサC41,C42とチョークコイルL41を備えた出力フィルタ回路22で構成される。
安定型コンバータ10として機能する降圧チョッパーにおいて、スイッチング回路16はスイッチング素子TR11がオンオフすることで入力コンデンサCinを介して入力する入力電源14からの入力電圧Vinを断続電圧に変換し、ダイオードD11で整流する。ダイオードD11で整流した後の電圧はチョークコイルL210とコンデンサC210で構成される出力フィルタ回路18に入力されることで平滑され、直流電圧である安定型コンバータ10の出力電圧Vregが出力される。降圧チョッパーは、後述の制御部によりスイッチング素子TR11のオンデューティが制御されることで、出力電圧Vregが所定の電圧になるように安定化される。
非安定型コンバータ12として機能するフルブリッジコンバータは、スイッチング回路20に安定型コンバータ10の出力電圧Vregが入力されており、スイッチング素子駆動回路26によりスイッチング素子TR31、TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32、TR33の組み合わせが相補的にオンオフするように制御されており、これらのオンデューティを約50%で動作させている。
フルブリッジコンバータは、安定型コンバータ10の出力電圧VregをトランスT1の巻数比N1:N2で変換した断続電圧に変換し、ダイオードD31、D32で整流する。整流後の電圧はチョークコイルL41とコンデンサC41,C42で構成される出力フィルタ回路22に入力されることで平滑され、直流電圧である出力電圧Voが出力される。このように非安定型コンバータ12では、トランスT1の巻数比で決定される比率で安定型コンバータ10の出力電圧Vregが出力電圧Voに変換される。
(安定型コンバータの出力電圧制御回路)
安定型コンバータ10の出力電圧制御回路は、フィードバック制御回路28、絶縁回路30及びPWM制御回路32で構成される。
フィードバック制御回路28は、出力電圧Voが入力され、フィードバック信号VFB1を出力する。フィードバック制御回路28は、誤差アンプ34と基準電圧源36で構成されており、出力電圧Voと基準電圧Vrefを比較し、Vo>Vrefの時はフィードバック信号VFB1を低下させ、Vo<Vrefの時はフィードバック信号VFB1を上昇させる。
絶縁回路30はフォトカプラ38で構成され、フィードバック信号VFB1が入力され、フィードバック信号VFB2を出力する。絶縁回路30は、フィードバック信号VFB1に比例した電圧信号であるフィードバック信号VFB2を出力する回路であり、フィードバック信号VFB1が上昇すればフィードバック信号VFB2も上昇し、フィードバック信号VFB1が低下すればフィードバック信号VFB2も低下する。
PWM制御回路32は、フィードバック信号VFB2が入力され、スイッチング素子駆動信号Vswを出力する。スイッチング素子駆動信号VswはHレベルとLレベルの状態を持つ電圧信号である。PWM制御回路32は、PWMコンパレータ40と三角波生成回路42で構成されており、三角波信号Vtriとフィードバック信号VFB2を比較し、Vtri>VFB2の時はスイッチング素子駆動信号VswがLレベルとなり、Vtri<VFB2の時はスイッチング素子駆動信号VswがHレベルとなる。
三角波信号Vtriは所定の周期と振幅を持つ三角波信号であるので、スイッチング素子駆動信号Vswは所定の周期でHレベルとLレベルが出力される電圧信号となり、Hレベルを出力している時のデューティがフィードバック信号VFB2の電圧レベルで制御される。フィードバック信号VFB2の電圧レベルが高いときはデューティが大きくなり、フィードバック信号VFB2の電圧レベルが低いときはデューティが小さくなる。
スイッチング回路16のスイッチング素子TR11は、スイッチング素子駆動信号VswがHレベルのときオン、Lレベルのときオフするように制御されることで、入力電圧Vinが所定の周期とデューティを持つ断続電圧に変換される。断続電圧は、非安定型コンバータ12を介してスイッチング電源装置の出力電圧Voに変換される。
以上の制御により、スイッチング電源装置の出力電圧Voが基準電圧Vrefで決定される所定の電圧になるように、出力電圧制御回路が動作する。
(スイッチング電源装置の出力電圧制御回路に対する要求)
図5に示したスイッチング電源装置の出力電圧Voは、出力電圧制御回路の構成で示した経路の各回路ブロックにおいて信号の変換と受け渡しが行われ、この信号が一巡することで出力電圧Voが所定の値になるように制御が行われる。
フィードバック制御回路28の入力を起点にすると、制御信号は、(非安定型コンバータ12の出力電圧Vo)→(フィードバック制御回路28のフィードバック信号VFB1)→(絶縁回路30のフィードバック信号VFB2)→(PWM制御回路32のスイッチング素子駆動信号Vsw)→(安定型コンバータ10の出力電圧Vreg)→(非安定型コンバータ12の出力電圧Vo)のように変換されて一巡することで、基準電圧Vrefで決定される所定の電圧値になるように制御が行われる。
各回路ブロックでは、信号を変換する際に所定の増幅率で信号の増幅が行われる。信号が各回路ブロックを通過する際に、信号の増幅が行われ、信号が一巡したときの制御ループの増幅率は、各回路ブロックの増幅率が掛算された値となる。
ここで、出力電圧Voが各回路ブロックを通過して一巡してきた際の制御ループの増幅率は、スイッチング電源装置の出力電圧Voを制御する際の電圧設定精度に影響し、増幅率が高いほど、出力電圧Voは基準電圧Vrefに近づくように制御を行うことができる。従って、スイッチング電源装置の出力電圧Voを制御する際には、制御信号が一巡したときの増幅率が高いことが求められる。
この増幅率は、スイッチング電源装置の過渡特性にも影響を及ぼす。例えば、スイッチング電源装置の負荷電流が急峻に変化すると、スイッチング電源装置の出力電圧Voに過渡的な変動が発生し、出力電圧Voが急峻に変動する。スイッチング電源装置の制御では、過渡的な電圧変動も小さいことが望ましい。従って、出力電圧Voの急峻な変化に対しても制御ループの増幅率が高いことが求められることになり、出力電圧制御回路は、高い周波数帯域まで増幅率が高いといった特性を持つことが求められる。
ここで、実例を挙げると、スイッチング電源装置に接続されている負荷電流が100μsecといった速い時間で大きく変動する場合、スイッチング電源装置の出力電圧制御がこの速度に対して応答しなければ出力電圧Voを安定化できないため、スイッチング電源装置の出力電圧制御回路は10kHz(100μsecの逆数)まで増幅率が高くなるように設計されていることが求められる。
(スイッチング電源装置の出力電圧制御回路の設計)
出力電圧制御回路の各回路ブロックでは制御信号を変換する際に遅れ時間が発生する。制御信号が各ブロックを通過する際に、この遅れ時間が蓄積されるため、制御信号が一巡したときの制御ループの遅れ時間は、各ブロックの遅れ時間が足し算された値となる。そして、信号の遅れ時間は、制御回路の周波数特性に対して位相遅れとなって現れる。信号の遅れ時間が大きいと、高い周波数では位相遅れが大きくなることになる。
スイッチング電源装置の出力電圧制御において、制御信号が一巡して戻ってきた際に、位相遅れが360°かつ増幅率が1以上の周波数帯域があると、出力電圧を安定に制御することができない。
従って、スイッチング電源装置の出力電圧制御を安定化するためには、位相遅れが360°以上になる周波数帯域では増幅率が1以下になるように設計を行う必要がある。この時、スイッチング電源装置は、過渡応答特性等の観点から、高い周波数帯域まで増幅率が高く、且つ、位相遅れが小さい制御回路を設計しなければならない。
図5に示した安定型コンバータ10と非安定型コンバータ12を組み合わせたスイッチング電源装置は、2つのコンバータが直列になっている構成を持つことから、1つのコンバータで構成されているスイッチング電源装置と比較すると、制御信号が通過する回路ブロックの数が多くなり、制御信号が一巡してきた時の制御ループの遅れ時間が大きくなる性質を持っているため、各回路ブロックの遅れ時間が小さくなるような設計を行う必要があり、制御回路の設計の難易度が高い。
(安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置の出力電圧制御回路の設計)
図5に示したスイッチング電源装置において、安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18に設けたコンデンサC210の容量を小さなものに変更する場合を考える。前述のように、コンデンサC210には電解コンデンサを使用することができないため、フィルムコンデンサもしくはセラミックコンデンサを使用することになる。以下では、コンデンサC210に電解コンデンサを用いた場合とフィルムコンデンサを用いた場合の比較を行っている。
チョークコイルL210を500μHとした場合の安定型コンバータ10に設けた出力フィルタ回路18に対応した回路ブロックの周波数に対する増幅率と位相の関係を比較した結果を図6及び図7に示す。図6及び図7は、一般的にボード線図と呼ばれるもので、増幅率はゲインに置き換えて表記しており、x軸を周波数の対数、y軸の左側をゲイン、y軸の右側を位相として表記している。
図6は、図5の安定型コンバータの出力フィルタ回路に400μFの電解コンデンサを使用した場合の周波数に対するゲイン特性70と位相特性80を示したボード線図である。
図6に示すように、コンデンサC210が電解コンデンサの場合、周波数が低い帯域では、ゲイン0dB、位相0°となっており、信号の増幅率は1であり、また、位相遅れも発生していない。
約50Hzからゲインが高くなり始めると同時に位相が遅れ始め、約300Hzでゲインが最大値の約3.4dBを示し、このときの位相が−36°となり、これよりも周波数が高い帯域ではゲインが低下すると同時に位相遅れが大きくなり、−90°付近までの位相遅れが見られる。
図7は、図5の安定型コンバータの出力フィルタ回路に10μFのフィルムコンデンサを使用した場合の周波数に対するゲイン特性90と位相特性100を示したボード線図である。
図7に示すように、コンデンサC210がフィルムコンデンサの場合では、図6に示した電解コンデンサの場合と同様に、周波数が低い帯域ではゲイン0dB、位相0°となっている。約2.3kHzでゲインが急激に上昇して、最大値が約37dBとなり、また、この近傍の周波数で急激に位相が変化し、−180°付近までの位相遅れが見られる。
以上より、安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18に対応した回路ブロックは、2.3kHz以上の周波数においては、フィルムコンデンサを使用した場合には、電解コンデンサを使用した場合よりも−90°だけ大きい位相遅れが発生していることが分かる。
安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18に対応した回路ブロックにおいて、電解コンデンサとフィルムコンデンサを用いた場合の周波数に対するゲインと位相の特性差は、それぞれのコンデンサが持っている等価直列抵抗の違いによる。
例えば400μFの電解コンデンサでは、1000mΩ程度の等価直列抵抗を持っているのに対し、10μFのフィルムコンデンサでは、10mΩ程度の等価直列抵抗しか持っていない。セラミックコンデンサもフィルムコンデンサと同様に等価直列抵抗が小さい特性を持っているため、コンデンサC210をセラミックコンデンサに換えても同じような特性となる。
チョークコイルL210とコンデンサC210で構成される安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18は、LC共振回路を構成する。LC共振回路は、電流経路にエネルギー損失が無いと共振回路の選択度が上昇し、共振周波数での大きな位相遅れとゲインの上昇が発生する。
安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18のコンデンサC210を電解コンデンサからフィルムコンデンサやセラミックコンデンサに変更すると、等価直列抵抗の減少により電流経路のエネルギー損失が減少してしまって共振回路の選択度が上昇し、共振周波数での大きな位相遅れとゲインの上昇が発生することになる。
スイッチング電源装置の出力電圧制御を安定化するためには、位相遅れが−360°になる周波数帯域では増幅率が1(ゲインが0dB)以下になるように設計を行う必要がある。また、例えば、負荷電流の100μsecの変動に対して応答できるスイッチング電源装置を設計する場合は、出力電圧制御回路の10kHzのゲインを高く設計しなければならない。
安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18に電解コンデンサを使用した場合は、10kHzにおけるこの回路ブロックの位相遅れが−90°なので、信号が一巡する経路の他の回路ブロックでの位相遅れとして270°が許容されるため、信号が一巡する経路の他の回路ブロックの設計が容易になる。
しかし、フィルムコンデンサを使用した場合は、10kHzにおける位相遅れが−180°なので、信号が一巡する経路の他の回路ブロックでの位相遅れとして180°しか許容できなくなり、設計が難しくなる。即ち、安定型コンバータ10と非安定型コンバータ12を組み合わせたスイッチング電源装置は、2段のコンバータを組み合わせたことで、出力電圧制御回路の位相遅れの発生個所が多くあるため、フィルムコンデンサを使用すると設計の難易度が高くなってしまう。
また、フィルムコンデンサを使用した場合は、図7に示したように、ゲインが37dBまで上昇する特性となっているが、ゲインが上昇する周波数の付近で位相遅れが−180°となるため、他の回路ブロックを普通に設計した場合には、ゲインが上昇する周波数付近で位相遅れが−360°以上となる設計になってしまう場合が多い。
位相遅れが−360°となる周波数では、ゲインが0dB以下になるように設計を行う必要があるが、普通の設計では、この周波数のゲインだけを下げるといった設計を行うことができないため、全周波数帯域のゲインを大きく下げるように設計を行う必要があり、出力電圧精度や過渡応答特性が悪いスイッチング電源装置になってしまう問題が発生する。以下、問題点を再度まとめると次のようになる。
第1に、安定型コンバータにおける出力フィルタ回路の回路ブロックに電解コンデンサを使用した場合は、電解コンデンサの等価直列抵抗が大きいため、この回路ブロックの位相遅れが小さく、また、位相遅れが発生する周波数でのゲインの上昇も少ない。しかし、電解コンデンサは大容量のものが必要になりスイッチング電源装置が大型化する。
第2に、安定型コンバータにおける出力フィルタ回路の回路ブロックを小型化するためにフィルムコンデンサを使用した場合は、フィルムコンデンサの等価直列抵抗が小さいため、この回路ブロックの位相遅れが大きく、また、位相遅れが発生する周波数でのゲインが大きく上昇する。
第3に、出力電圧制御回路において、制御信号が一巡する経路に、位相遅れが大きくなる回路ブロックが有ると、他の回路ブロックの位相遅れを小さくしなければならないため、設計難易度が高くなる。
第4に、出力電圧制御回路において、制御信号が一巡する経路に、ゲインが大きく上昇する回路ブロックが有ると、全周波数帯域のゲインを大きく下げるように設計を行う必要があり、スイッチング電源装置としての出力電圧精度や過渡応答特性が悪くなる。
以上より、安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置の小型化を行う場合において、スイッチング電源装置を構成するコンデンサを小容量のものに変更するために、フィルムコンデンサやセラミックコンデンサを用いようとすると、出力電圧制御回路の設計難易度が高くなることで設計コストが増大し、また、スイッチング電源装置としての出力電圧精度や過渡応答特性が悪くなるといった問題が発生する。
本発明は、安定型コンバータと非安定型コンバータを組み合わせたスイッチング電源装置を小型化するために、安定型コンバータの出力フィルタ回路のコンデンサを等価直列抵抗の小さなものに変更する場合の設計の難易度を低減し、出力電圧の制御精度や過渡応答特性を改善するスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
(スイッチング電源装置)
本発明は、安定型コンバータと非安定型コンバータを直列に接続し、出力電圧制御回路により安定型コンバータのスイッチング素子を制御することで非安定型コンバータの出力電圧が所定の電圧に安定化されるように制御するスイッチング電源装置であって、
安定型コンバータは、チョークコイルとコンデンサ部で構成された出力フィルタ回路を持ち、コンデンサ部は、第1のコンデンサと、抵抗と第2のコンデンサの直列回路が第1のコンデンサに並列に接続され
第1のコンデンサをフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサとし、第2のコンデンサを電解コンデンサとしたことを特徴する。
(電位障壁素子)
第2のコンデンサに直列に接続している抵抗に電位障壁素子を並列に接続する。
(電位障壁素子の直列抵抗)
電位障壁素子と直列に抵抗を接続する。
(基本的な効果)
本発明は、安定型コンバータと非安定型コンバータを直列に接続し、出力電圧制御回路により安定型コンバータのスイッチング素子を制御することで非安定型コンバータの出力電圧が所定の電圧に安定化されるように制御するスイッチング電源装置であって、安定型コンバータは、チョークコイルとコンデンサ部で構成された出力フィルタ回路を持ち、コンデンサ部は、第1のコンデンサと、抵抗と第2のコンデンサの直列回路が第1のコンデンサに並列に接続されたため、安定型コンバータの出力フィルタ回路のコンデンサと非安定型コンバータの入力コンデンサを共用化して容量を小さくした場合に、安定型コンバータの出力側の平滑用の第1のコンデンサに対して第2のコンデンサと抵抗の直列回路を並列接続することで、第1のコンデンサを等価直列抵抗の小さなものにした場合の出力フィルタ回路の位相遅れとゲインの上昇を抑制し、安定型コンバータの出力フィルタ回路以外の出力電流制御回路の回路ブロックにおける位相遅れの許容範囲が増大することで出力電圧制御回路の設計を容易にし、設計検証に要する時間を短縮することが可能となり、また、ゲイン上昇を抑制することで、全周波数帯域のゲインを下げなくても出力電流を安定に制御できることから、出力電圧精度や過渡応答特性を悪化させることなく、小型で低コストのスイッチング電源装置を実現できる。
(第1のコンデンサの具体例1による効果)
また、第1のコンデンサを、容量の小さなフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサとした場合は、安定型コンバータのリップルは大きくなるが、後段の非安定型コンバータの出力フィルタ回路でリップルを小さくできるので、第1のコンデンサに加わるリップル電流が大きくても良く、第1のコンデンサを小型化しても、直列等価抵抗の小さいフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサとしたことで発熱を防止できるが、第1のコンデンサの直列等価容量が小さくなると出力フィルタ回路の位相遅れとゲイン上昇が大きくなる問題があり、これに対し第1のコンデンサと並列に第2のコンデンサと抵抗の直列回路を接続したことで、出力フィルタ回路におけるLC共振回路の電流経路に第2のコンデンサに直列接続した抵抗が入って共振電流に対しエネルギー損失を発生し、これにより共振回路の選択度を下げることで、位相遅れとゲイン上昇を抑えることができる。
(第1及び第2のコンデンサの具体例2による効果)
また、第1のコンデンサをフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサとし、第2のコンデンサを電解コンデンサとしたため、第2のコンデンサの直列等価抵抗は同じ容量のフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサに比較して、電解コンデンサを使用したことで大きくなるが、第2のコンデンサは、等価直列抵抗の小さい第1のコンデンサに並列に接続されているため、出力フィルタ回路のチョークコイルに発生するリップル電流は第1のコンデンサに流れ、第2のコンデンサにはほとんど流れず、従って、第2のコンデンサに直列等価抵抗の大きい電解コンデンサを使用しても発熱等の問題はなく、電解コンデンサは同じ容量のフィルムコンデンサやセラミックコンデンサと比較すると体積が小さくなることから、スイッチング電源装置の小型化が可能となる。
(電位障壁素子の効果)
また、第2のコンデンサに直列に接続されている抵抗に電位障壁素子を並列に接続したため、負荷電流が急峻に変化して第1のコンデンサと第2のコンデンサとの間に電位差が生じても、電位障壁素子が導通して抵抗を流れる電流がバイパスされるため、熱損失の問題を起こすことなく抵抗の値を大きくすることができるため、フィルタ回路の位相遅れ(位相回転)とゲインの上昇を抑制可能とする。
(電位障壁素子の直列抵抗による効果)
また、電位障壁素子と直列に抵抗を接続したため、負荷電流が急峻に変化したときの出力フィルタ回路における共振電流経路のエネルギー損失を電位障壁素子と直列に接続した抵抗により調整し、出力電圧制御回路の安定化を図ることできる。
本発明によるスイッチング電源装置の第1実施形態を示した回路ブロック図 図1の安定型コンバータの出力フィルタ回路における周波数に対するゲイン特性と位相特性を示したボード線図 本発明によるスイッチング電源装置の第2実施形態を示した回路ブロック図 図3の安定型コンバータの出力フィルタ回路の他の実施形態を示した回路図 安定型コンバータの出力コンデンサと非安定型コンバータの入力コンデンサの共用化を行ったスイッチング電源装置を示した回路ブロック図 図5の安定型コンバータの出力フィルタ回路に電解コンデンサを使用した場合の周波数に対するゲイン特性と位相特性を示したボード線図 図5の安定型コンバータの出力フィルタ回路にフィルムコンデンサを使用した場合の周波数に対するゲイン特性と位相特性を示したボード線図
[スイッチング電源装置の第1実施形態]
図1は本発明によるスイッチング電源装置の第1実施形態を示した回路ブロック図である。
(電力変換部の構成)
図1に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、図5と同様に、安定型コンバータ10と非安定型コンバータ12を組み合わせてスイッチング電源装置を構成しており、安定型コンバータ10の入力をスイッチング電源装置の入力とし、安定型コンバータ10の出力を非安定型コンバータ12の入力とし、非安定型コンバータ12の出力をスイッチング電源装置の出力としている。
安定型コンバータ10として非絶縁型の降圧チョッパーを用い、非安定型コンバータ12として絶縁型のフルブリッジコンバータを用いている。安定型コンバータ10として機能する非絶縁型の降圧チョッパーは、スイッチング素子TR11とダイオードD11を備えたスイッチング回路16と出力フィルタ回路18で構成される。非安定型コンバータ12として機能する絶縁型のフルブリッジコンバータは、スイッチング素子TR31〜TR34、トランスT1、ダイオードD31,D32を備えたスイッチング回路20と、コンデンサC41,C42とチョークコイルL41を備えた出力フィルタ回路22で構成される。
非安定型コンバータ12として機能するフルブリッジコンバータは、スイッチング素子駆動回路26によりスイッチング素子TR31、TR34の組み合わせとスイッチング素子TR32、TR33の組み合わせが相補的にオンオフするように制御されており、これらのオンデューティを約50%で動作させている。
(安定型コンバータの出力電圧制御回路)
安定型コンバータ10の出力電圧制御回路は、フィードバック制御回路28、絶縁回路30及びPWM制御回路32で構成され、各回路ブロックの構成と動作は図5と同じになる。
安定型コンバータ10の出力電圧制御回路は、フィードバック制御回路28の入力を起点にすると、制御信号は、(非安定型コンバータ12の出力電圧Vo)→(フィードバック制御回路28のフィードバック信号VFB1)→(絶縁回路30のフィードバック信号VFB2)→(PWM制御回路32のスイッチング素子駆動信号Vsw)→(安定型コンバータ10の出力電圧Vreg)→(非安定型コンバータ12の出力電圧Vo)のように変換されて一巡することで、基準電圧Vrefで決定される所定の電圧値になるように制御が行われる。
(安定型コンバータの出力フィルタ回路)
図1に示すように、安定型コンバータ10に設けられた出力フィルタ回路18は、チョークコイルL21とコンデンサ部で構成されており、コンデンサ部は第1のコンデンサとして機能するコンデンサC21と、コンデンサC21に対して、抵抗R20と第2のコンデンサとして機能するコンデンサC20の直列回路を並列に接続したことが特徴となる。
ここで、第1のコンデンサとなるコンデンサC21及び第2のコンデンサとなるコンデンサC20は、同じ容量の電解コンデンサと比較して等価直列抵抗の小さいフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサとしている。
このようにチョークコイルL21に発生するリップル電流が流れる平滑用のコンデンサC21と並列に、抵抗R20とコンデンサC20の直列回路を接続したことで、安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18の位相が遅れる特性とゲインが上昇する特性を改善することができる。
図2は図1の安定型コンバータの出力フィルタ回路における周波数に対するゲイン特性と位相特性を示したボード線図である。
図2にあっては、図7と比較できるように、チョークコイルL21を図5のチョークコイルL210と同じ500μHとしている。また、コンデンサC21およびコンデンサC20の容量をそれぞれ5μFのフィルムコンデンサとすることで、コンデンサC21,C20の合計容量が図5のコンデンサC210の場合と一致するようにしている。
図2では、抵抗R20の抵抗値を2Ω、4Ω、6Ω、8Ω、および、10Ωと変化させた場合のボード線図を示している。何れの場合もゲイン特性50としてゲインが最大となる周波数が約2.3kHzで図7のゲイン特性90と一致している。これは、コンデンサC20とコンデンサC21の容量の合計値が10μFであることと、チョークコイルL21が500μHであることによる。
ゲイン特性50に示すように、共振周波数におけるゲインの上昇は、抵抗R20の値が大きくなると低下する特性を示し、最大値は、22dB〜10dBとなっている。また、位相特性60は、10kHzにおける位相遅れも抵抗R20が大きくなることで低減し、−168°〜−152°となっている。
これは、抵抗R20を大きくすることで、安定型コンバータ10に設けた出力フィルタ回路18の位相遅れと共振周波数におけるゲインの上昇を抑制できることを示している。
前述したように、出力フィルタ回路18を構成するLC共振回路は、電流経路にエネルギー損失が無いと共振回路の選択度が上昇し、共振周波数での大きな位相遅れと共振周波数におけるゲインの上昇が発生する。
本発明の第1実施形態では、直列等価抵抗の小さなフィルムコンデンサを用いたコンデンサC21に、損失を発生させるための抵抗R20を並列に接続する。この際、チョークコイルL21とコンデンサC21に共振電流が流れたときにのみ抵抗R20が作用するように、抵抗R20と直列にコンデンサC20を接続する。この構成により、共振電流経路にエネルギー損失を発生し、共振回路の選択度を低下させて位相遅れと共振周波数におけるゲインの上昇を抑制している。
出力フィルタ回路18の位相遅れを抑制できると、制御信号が一巡する出力電圧制御回路による経路の他のブロックでの位相遅れの許容値を増やすことができるため、信号が一巡する経路の他の回路ブロックとなる非安定型コンバータ12、フィードバック制御回路28、絶縁回路30、PWM制御回路32、及び安定型コンバータ10のスイッチング回路16の設計が容易になる。
また、共振周波数におけるゲインの上昇を抑制することができると、全周波数帯域のゲインを下げなくても出力電圧を安定に制御できるようになるため、出力電圧精度や過渡応答特性を悪化させることが無い。
このような出力フィルタ回路18を用いた図1に示す安定型コンバータ10と非安定型コンバータ12を組み合わせたスイッチング電源装置において、安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18のチョークコイルL21に発生したリップル電流が流れる平滑用のコンデンサC21を小型化するために小さな容量のコンデンサに変更し、更に、リップル電流による熱損失を低減するためにコンデンサC21に等価直列抵抗の小さい例えばフィルムコンデンサを使用しても、コンデンサC21に抵抗R20とコンデンサC20の直列回路を並列に接続したことで、出力フィルタ回路18の位相遅れと共振周波数におけるゲイン上昇が抑制され、出力電圧制御回路の設計難易度が高くなることが無く、また、共振周波数におけるゲイン上昇が抑制されることで、全周波数帯域のゲインを下げなくても出力電流を安定に制御できることから、スイッチング電源装置としての出力電圧精度や過渡応答特性が悪くなるといった問題も発生しない。これにより、小型で設計コストが低く、特性の良いスイッチング電源装置を作ることができる。
(コンデンサC20を電解コンデンサとした実施形態)
図1に示したスイッチング電源装置の第1実施形態では、出力フィルタ回路18に設けたコンデンサC20に等価直列抵抗の小さいフィルムコンデンサを使用した例を示したが、抵抗R20を大きくすることで、コンデンサC20に容量の小さな電解コンデンサを使用しても構わない。
前述したように、電解コンデンサは容量が小さくなると等価直列抵抗が大きくなることでリップル電流が流れた時の熱損失が増大するため、図5に示した安定型コンバータ10に設けられた出力フィルタ回路18のコンデンサC210に電解コンデンサは使用できない。
これに対し図1の実施形態にあっては、コンデンサC20には抵抗R20が直列に接続されており、また、等価直列抵抗が小さなフィルムコンデンサやセラミックコンデンサを用いたコンデンサC21が並列に接続されていることから、安定型コンバータ10のチョークコイルL21に発生するリップル電流は、等価直列抵抗が小さなコンデンサC21に流れることになり、抵抗R20を大きくすると、コンデンサC20にはリップル電流がほとんど流れない。
従って、コンデンサC20に等価直列抵抗が大きくリップル電流耐量の小さい電解コンデンサを使用しても発熱等の問題が発生しない。
また、コンデンサC20に電解コンデンサを使用した場合、電解コンデンサは同じ容量のフィルムコンデンサやセラミックコンデンサと比較すると体積が小さくなることから、スイッチング電源装置の小型化が可能になる。
[スイッチング電源装置の第2実施形態]
図3は本発明によるスイッチング電源装置の第2実施形態を示した回路ブロック図である。
図3に示すように、図1に示した第1実施形態との違いは、安定型コンバータ10の出力フィルタ回路18に設けた抵抗R20に対して、電位障壁素子として機能するダイオードD20を並列に接続していることである。ダイオードD20は、スイッチング電源装置の負荷電流が急峻に変化した際の抵抗R20の損失を低減するために用いる。なお、それ以外の構成及び動作は図1の実施形態と同じになる。
図1に示した第1実施形態のスイッチング電源装置において、出力電圧制御を安定化するためには抵抗R20が大きいことが望ましいが、負荷電流を急激に変化させた場合、コンデンサC21とコンデンサC20の電位差が抵抗R20に印加されることになるため、抵抗R20を大きくすると抵抗の損失が大きくなり発熱等の問題が発生する。
この問題を解決するため、図3の第2実施形態では、抵抗R20にダイオードD20を並列に接続することで、抵抗R20にダイオードD20の順方向の電位障壁以上の電圧が加わることが無くなり、抵抗R20の損失を低減して発熱の問題を解決することが可能となる。これにより抵抗R20の抵抗値を大きくすることで、出力フィルタ回路18の位相遅れとゲイン上昇を更に抑制可能とする。以下、動作の詳細を述べる。
スイッチング電源装置が定常状態で動作している場合、ダイオードD20は機能していない。これは、ダイオードD20の順方向の電位障壁の働きによる。ここで、ダイオードD20は一般的なPN接合のもので、約0.6ボルトの電位障壁を持っている。
本実施形態では、コンデンサC21と並列に、抵抗R20とコンデンサC20の直列回路が並列に接続されているため、出力電流が変動しない定常状態では、コンデンサC21とコンデンサC20の電圧がほとんど同じ値となっており、抵抗R20の発生電圧は、ダイオードD20の電位障壁以下の電圧になっている。従って、定常状態では、ダイオードD20は存在していないのと同じ状態となるため、図2に示した安定型コンバータ10に設けられた出力フィルタ回路18のボード線図に影響を及ぼすことが無く、ボード線図は変化することが無いので、図1の実施形態と同じ特性が得られる。
ダイオードD20は、スイッチング電源装置の負荷電流が急峻に変化した際に作用する。ダイオードD20の極性を図3に示した方向で用いる場合では、負荷電流が急激に大きく増加した場合に作用する。スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きくなると、非安定型コンバータ12に設けた出力フィルタ回路22のコンデンサC41やコンデンサC42から負荷24に向かって電流が供給され、出力電圧Voが低下する。
コンデンサC41やコンデンサC42の電圧が低下すると、安定型コンバータ10のコンデンサC21からも非安定型コンバータ12を経由して負荷24に電流が供給される。このためコンデンサC21が電流を供給することで電圧が低下すると、コンデンサC20との電位差が生じる。この電位差が抵抗R20に印加されることになり、電位差がダイオードD20の順方向の電位障壁を超えるとダイオードD20が導通する。このとき、コンデンサC20が放出する電流はダイオードD20を流れる。
また、ダイオードD20が導通する場合、図3の実施形態では、コンデンサC20の放電方向に対してのみの導通となり、充電方向に対しては抵抗R20が作用する。
この構成により、スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きく増加しても、抵抗R20にダイオードD20の電位障壁以上の電圧が加わることが無いため、抵抗R20の抵抗値を大きくしても発熱等の問題がなくなる。抵抗R20の抵抗値を大きくできることで、チョークコイルL21とコンデンサC21で構成されるLC共振回路の共振電流経路に位置する抵抗R20のエネルギー損失を増加させることできるため、共振回路の選択度を低下させて位相遅れとゲインの上昇の抑制を実現し、出力電圧制御回路の安定化を図ることができる。
[安定型コンバータの出力フィルタ回路の他の実施形態]
図4は図3の安定型コンバータの出力フィルタ回路の他の実施形態を示した回路図である。
図3の実施形態では、ダイオードD20の極性をコンデンサC20が電流を放出する方向としているが、図4(A)に示すように、ダイオードD20の極性を逆方向としコンデンサC20に電流を充電する方向としても構わない。
図4(A)に示すように、図3とは逆方向にダイオードD20を接続した場合には、コンデンサC20に電流が流れ込む方向でダイオードD20が作用するようになるため、負荷電流が急激に減少した場合にコンデンサC21とコンデンサC20との間に生ずる電位差で、コンデンサC20の充電方向に対してのみ導通となり、コンデンサC20の放電方向に対しては抵抗R20が作用する。
この構成により、スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きく減少しても、抵抗R20にダイオードD20の電位障壁以上の電圧が加わることが無いため、抵抗R20の抵抗値を大きくしても発熱等の問題がなく、抵抗R20の抵抗値を大きくできることで、チョークコイルL21とコンデンサC21で構成されるLC共振回路の共振電流経路に位置する抵抗R20にエネルギー損失を発生し、共振回路の選択度を低下させて位相遅れとゲインの上昇の抑制を実現し、出力電圧制御回路の安定化を図ることができる。
また、図4(B)に示すように、ダイオードD20と直列に抵抗R22を接続しても構わない。ダイオードD20に直列接続した抵抗R22により、スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きく増加して、コンデンサC21とコンデンサC20の電位差が加わってダイオードD20が導通した際のエネルギー損失を所望の値に調整することで、出力フィルタ回路18の共振回路としての選択度を調整することができる。
また、図4(C)に示すように、抵抗R20と並列にツェナーダイオードZD20を接続しても構わない。抵抗R20に並列接続したツェナーダイオードZD20により、スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きく増加した際には、ツェナーダイオードZD20は順方向で導通するため、抵抗R20にはダイオードのPN接合の電位障壁が印加されるが、スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きく減少した際には、ツェナーダイオードZD20は逆方向で導通するため、抵抗R20に印加される電位障壁をツェナーダイオードZD20のツェナー電圧に調整できる。この実施形態は、スイッチング電源装置が定常動作しているときに抵抗R20に発生する電圧が大きい場合に適している。
更に、図4(D)に示すように、抵抗R20と並列にツェナーダイオードZD20,ZD21を逆極性に直列接続した回路を接続しても構わない。抵抗R20に並列接続したツェナーダイオードZD20,ZD21により、スイッチング電源装置の負荷電流が急激に大きく増加又は減少し、コンデンサC21とコンデンサC20の電位差が加わってツェナーダイオードZD20又はZD21が導通するための電位障壁をツェナーダイオードZD20又はZD21のツェナー電圧に調整できる。この実施形態は、図4(C)と同様、スイッチング電源装置が定常動作しているときに抵抗R20に発生する電圧が大きい場合に適している。
[本発明の変形例]
本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:安定型コンバータ
12:非安定型コンバータ
14:入力電源
16,20:スイッチング回路
18,22:出力フィルタ回路
24:負荷
26:スイッチング素子駆動回路
28:フィードバック制御回路
30:絶縁回路
32:PWM制御回路
34:誤差アンプ
36:基準電圧源
38:フォトカプラ
40:PWMコンパレータ
42:三角波生成回路
L21:チョークコイル
C20,C21:コンデンサ
R20,R22:抵抗
D20:ダイオード
ZD20,ZD21:ツェナーダイオード

Claims (3)

  1. 安定型コンバータと非安定型コンバータを直列に接続し、出力電圧制御回路により前記安定型コンバータのスイッチング素子を制御することで前記非安定型コンバータの出力電圧が所定の電圧に安定化されるように制御するスイッチング電源装置であって、
    前記安定型コンバータは、チョークコイルとコンデンサ部で構成された出力フィルタ回路を持ち、前記コンデンサ部は、第1のコンデンサと、抵抗と第2のコンデンサの直列回路が前記第1のコンデンサに並列に接続され
    前記第1のコンデンサをフィルムコンデンサ又はセラミックコンデンサとし、前記第2のコンデンサを電解コンデンサとしたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  2. 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記第2のコンデンサに直列に接続している抵抗に電位障壁素子を並列に接続したことを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 請求項記載のスイッチング電源装置に於いて、前記電位障壁素子と直列に抵抗を接続したことを特徴とするスイッチング電源装置。
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