JP6760657B2 - タイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物 - Google Patents

タイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物 Download PDF

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Description

本発明は、タイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物に関するものである。
体内の恒常性を維持するためには、水分、糖分、イオンなどを体内に封じ込めることが重要である。上皮細胞は外界と内部を隔てる役割を担っている細胞であり、細胞同士をつなぐ細胞接着装置が発達している。いくつか存在する細胞接着装置のうち最も外側に存在するのがタイトジャンクションである。タイトジャンクションは上皮細胞間で膜タンパク質クローディンが強固に相互作用することで形成されており、水やイオンの自由な透過を妨げている。このようなタイトジャンクションの機能は、皮膚の保湿や、脳内への異物混入を防いでいる血液脳関門において特に重要である。したがって、タイトジャンクション形成を制御する物質は、化粧品や医療品開発のターゲットとして注目を浴びている。
タイトジャンクション形成の促進剤としては、下記式(1)で表わされる化合物のナトリウム塩及びカリウム塩を配合したタイトジャンクション形成促進剤が知られている(特許文献1参照)。
また、下記式(2)で表わされる化合物を含む医薬組成物も知られている(特許文献2参照)。
[式中、L、MおよびNは、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン原子、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソであり、ここでLおよびMの少なくとも1つは水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよく;Aは、−CH、または−CHOH、−COCHOH、−COOHまたはそれらの官能性誘導体であり;Bは、単結合、−CH−CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH−CH−CH−、−CH=CH−CH−、−CH−CH=CH−、−C≡C−CH−または−CH−C≡C−であり;Zは、
または単結合であり、
ここでRおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシ(低級)アルキルであり、RおよびRが同時にヒドロキシおよび低級アルコキシであることはなく;
は、非置換、またはハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環基により置換された、二価の飽和または不飽和の低または中級の脂肪族炭化水素残基であり、脂肪族炭化水素中の少なくとも1つの炭素原子は所望により酸素、窒素または硫黄により置換されており;そして
Raは、非置換、またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基または複素環オキシ基により置換された、飽和または不飽和の低または中級の脂肪族炭化水素残基;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;シクロ(低級)アルキル;シクロ(低級)アルキルオキシ;アリール;アリールオキシ;複素環基;複素環オキシ基である]。
更に、漏出性または損傷を受けたタイトジャンクションの処置および細胞外マトリクスの増強をするため、体液の移動を予防もしくは制限するか、組織もしくは細胞を安定化するか、または汚染を予防することが必要な部位に投与されたときに、それらを達成する、有効量の自己組織化ペプチドを含む処方物であって、該自己組織化ペプチドは、同じペプチド鎖内の、正に帯電した残基の配列および負に帯電した残基の配列;正に帯電した残基の一続きの1つ以上および負に帯電した残基の一続きの1つ以上;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される処方物、も知られている(特許文献3参照)。
逆に、タイトジャンクションを緩和する調製剤としては、LSR(lipolysis−stimulated receptor)と相互作用する物質、すなわちLSR遺伝子の発現抑制物質またはLSRの機能阻害物質をトリセルラージャンクションなどのタイトジャンクションに導入することにより、トリセルリンの導入が抑制され、細胞間の結合が緩和されることが知られている。そして、細胞間の結合が緩和されることで、タイトジャンクションを通る物質の透過性、とりわけトリセルラージャンクションを通る物質の透過性が増加し、経皮、経粘膜的に非侵襲的、非観血的に多くの薬剤を体内へ移行できることも知られている(特許文献4参照)。
特許第4684906号公報 国際公開第2010/137731号 国際公開第2008/113030号 特許第5429736号公報
上記のとおり、タイトジャンクションを強化、又は緩和することは知られている。特に、タイトジャンクションを緩和すると、経皮、経粘膜的に非侵襲的、非観血的に薬剤を体内に移行できることから、ドラッグデリバリー系への応用が期待される。
ところで、上記特許文献4に記載されている発明は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、阻害ペプチド、ドミナントネガティブ変異体等のLSR遺伝子の発現抑制物質またはLSRの機能阻害物質を用いてLSRを抑制し、その結果、トリセルリンの誘導を阻害し、トリセルラージャンクションを通る物質の透過性を増加している。しかしながら、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、阻害ペプチド、ドミナントネガティブ変異体等を量産化するにはコスト面の問題もあり、また、抗体や阻害ペプチドは安定性の問題がある。一方、低分子化合物はコストや安定性の面で優れているが、タイトジャンクションを緩和する化合物は知られていない。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、タイトジャンクション形成を制御する因子であるLNX1のクローディン認識部位に作用する低分子化合物の探索を行ったところ、(1)同じ認識部位をターゲットとしたが、驚くべきことに、タイトジャンクションの形成を強化する化合物、及びタイトジャンクションの形成を緩和する化合物が得られること、(2)下記式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物がタイトジャンクションを緩和できることを新たに見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の目的は、タイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物を提供することである。
本発明は、以下に示す、タイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物に関する。
(1)下記式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物を少なくとも1種含むタイトジャンクションの緩和剤。
(2)上記(1)に記載のタイトジャンクションの緩和剤を含む薬剤吸収補助剤。
(3)上記(1)に記載のタイトジャンクションの緩和剤を含む医薬組成物。
本発明のタイトジャンクションの緩和剤は、タイトジャンクションを緩和することができる。したがって、本発明のタイトジャンクションの緩和剤を薬剤吸収補助剤として使用、又は、薬剤を含む医薬組成物にタイトジャンクションの緩和剤を混合しておくことで、体内に移行させることが不可能、あるいは不十分にしかできなかった薬剤を、大量かつ速やかに、しかも非侵襲的、非観血的に体内へ移行させることができる。
図1は、細胞接着装置の概要を説明する図である。 図2は、本発明のタイトジャンクション形成の制御概要を説明する図である。 図3は、LNX1の構造を示している。 図4は、図面代用写真で、式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)、(36−1)、(13)及び(14)で表される化合物、並びにコントロール(DMSO)をMDCKIIに暴露して得られた免疫染色の写真である。
以下に、本発明のタイトジャンクションの緩和剤(以下、単に「緩和剤」と記載することがある。)、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物について詳しく説明する。
図1は、細胞接着装置の概要を説明する図である。上皮細胞は、隣り合う細胞と相互に接着したシートを形成することで、体の内部と外界の環境が分けられているが、細胞間の接着には、細胞膜に存在する細胞接着装置が重要な役割を果たしている。脊椎動物の上皮には、頂端面から基底面に向かって密着結合(tight junction;TJ)、接着結合(adherens junction; AJ)、デスモソーム、ギャップ結合と呼ばれる細胞接着装置が存在する。それぞれの細胞接着装置は機能が異なっており、タイトジャンクションは上皮層の隣接する細胞同士を密着させ、分子が細胞の間から漏れないように機能している。AJは隣接する細胞のアクチンの束同士、デスモソームは隣接する細胞の中間径フィラメント同士をつなぎ、どちらも上皮細胞同士の結合に関与している。ギャップ結合は細胞間チャネルを形成し、無機イオンや水溶性小分子を通過させる機能を担っている。
このうち、最も頂端面に位置するタイトジャンクションは、空間の区画化や恒常性の維持に重要な役割を果たしている。タイトジャンクションは細胞間を通過する物質を大きさや電荷選択的に制御するバリア機能を担っている他、細胞膜上に存在するタンパク質や脂質の拡散を防ぎ、細胞極性を維持するフェンス機能を担っている。このため、タイトジャンクションの機能障害は炎症性腸疾患(IBD)や感染症、がん、血管性浮腫、血行性転移等の様々な疾病を引き起こすと考えられ、タイトジャンクション形成を適切に制御することで、医療に応用することができる。
図2は、タイトジャンクション形成の制御概要を説明する図である。タイトジャンクションは4回膜貫通型タンパク質クローディン(CLD)と膜裏打ちタンパク質であるZO−1が相互作用することで形成される。一方、生体内ではクローディンを消失させるタンパク質であるLigand of Numb binding protein X−1(LNX1)も発現しており、(図2(1))クローディンとLNX1が相互作用するとクローディンが細胞内に取り込まれタイトジャンクションが消滅する。このような状況でLNX1よりZO−1の相互作用が優位になると、細胞内に取り込まれるクローディンよりZO−1と複合体を形成するクローディンの方が多くなるため、タイトジャンクションの形成が亢進する(図2(2))。逆に、ZO−1よりLNX1の相互作用が優位になると、ZO−1と複合体を形成するクローディンより細胞内に取り込まれるクローディンの方が多くなるため、タイトジャンクションは消滅する(図2(3))。本発明においては、式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)、(36−1)で表される化合物を加えることでタイトジャンクションが緩和(消失)することから、ZO−1よりLNX1の相互作用が優位になるように化合物が作用していると考えられる。なお、上記の化合物を有効成分としてタイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物として用いる場合は、上記化合物から選択される1種を用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
図3は、LNX1の構造を示している。LNX1は、細胞運命決定とエンドサイトーシスに関わるタンパク質Numbと相互作用するタンパク質として知られている。LNX1は2つのスプライシング変異体p70(分子量約70kDa)とp80(分子量約80kDa)が存在し、共通の構造としてNumb結合領域NPAYモチーフと、タンパク質−タンパク質相互作用モジュールとして機能するPDZドメインを4つ有する。また、LNX1p80のみN末端側にRINGフィンガードメインを持ち、E3活性を有している。本発明においては、LNX1p80のPDZ2ドメインに結合する化合物を探索したが、LNX1p80及びLNX1p70の他のドメインもクローディンと結合することが知られていることから、他のドメインに結合する低分子化合物を探索してもよい。LNX1p80及びLNX1p70のアミノ酸配列は公知であり、UniProt(O70263)等から入手することができる。
本発明の緩和剤に含まれる低分子化合物は、in silicoスクリーニング法を用い、化合物の候補リストを作成し、各候補化合物の有用性について確認をすることで得られる。具体的には、化合物の候補リストは、(1)クローディンと相互作用するLNX1の領域を同定し、(2)上記(1)で同定した領域について、単体の立体構造をX線結晶構造解析にて決定し、(3)クローディン由来ペプチドと相互作用する領域の相互作用面を溶液NMR法にて同定し、(4)同定した相互作用面に結合しうる低分子化合物の候補について、DOCK、AutoDock、GOLD、FlexX等の公知のドッキングソフトウェアを用いて探索する、ことで作成することができる。また、各候補化合物の有用性は、NMR、in vitro、動物実験等、公知の有用性確認実験により確認をすればよい。
本発明の緩和剤は、薬剤吸収補助剤、医薬組成物、医薬部外品等に用いることができる。その剤型としては、例えば、薄膜剤、散剤、丸剤、錠剤、注射剤、座剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤等を含む)等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば油性成分、乳化剤、保湿剤、増粘剤、薬効成分、防腐剤、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤等を適宜配合することができる。
本発明の緩和剤を薬剤吸収補助剤として用いる場合は、吸収させたい薬剤と併せて使用すればよい。なお、本発明において「薬剤吸収補助剤」とは、薬剤の吸収効率を向上させるための剤を意味する。また「薬剤」とは、投与された場合に所望の治療効果または予防効果を有する、あるいは有することが期待される物質を意味する。本発明の薬剤吸収補助剤と共に用いられる薬剤としては、例えば、公知の経皮投与薬、経鼻・経腸等の経粘膜投与薬、注射投与薬、点眼投与薬、吸入投与薬等が挙げられる。本発明の薬剤吸収補助剤は、公知の薬剤と同時に用いてもよいし、先に薬剤吸収補助剤を皮膚や粘膜に塗布、又は点眼や吸入することでタイトジャンクションを緩和し、その後に薬剤を使用してもよい。
また、本発明の緩和剤は、公知の経皮投与薬、経鼻・経腸等の経粘膜投与薬、注射投与薬、点眼投与薬、吸入投与薬等に予め添加しておくことで薬剤吸収性を高めた医薬組成物として用いることもできる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
[候補化合物リストの作成]
まず、Protein Data Bank(PDB)からマウスLNX1p80のPDZ2ドメインのPDBファイル(PDB ID:3VQF)を入手した。次に、ナミキ商事株式会社のオンライン化合物構造検索サイトChemCupid(登録商標、http:://www.namiki‐s.co.jp/chemcupid/)において、アントラニル酸部位をもつ化合物の検索を行った。その結果得られた化合物について、LigandBox(http:www.ligandbox.protein.osaka−u.ac.jp/ligandbox/)とデータの照合を行い、当該化合物のMOL2ファイルを入手し、フォーカストライブラリーを構築した。タンパク質−リガンド・ドッキングソフトウェアGOLD Suiteに付属する分子ビューワーHermesを立ち上げ、GOLDのWizardを選択し、Load Proteinボタンで目的タンパク質のPDBファイルを開き、その後は、マニュアルにしたがって、操作をした。以下に、候補化合物リストを記載する。なお、式(4)〜(32)、式(33−1)〜(33−11)、式(34−1)〜(34−14)、式(35−1)〜(35−2)、式(36−1)〜(36−2)で表す化合物はナミキ商事株式会社から購入することができる。

[化合物の細胞アッセイ]
候補化合物から化合物をピックアップし、以下の手順でタイトジャンクション形成に与える影響についてアッセイを行った。
(1)細胞の培養
細胞は、イヌ腎臓尿細管上皮細胞株MDCKII(Madin−Darby Canine Kidny Cell StrainII;本研究では神戸大学の古瀬幹夫教授から入手した細胞を用いたが、DSファーマバイオメディカル株式会社からも購入可能である)を用いた。この細胞は10%FBS(gibco)、penicillin/streptomycin(gibco)を含むD−MEM培地(Wako)で培養した。
(2)抗体と試薬
ウサギ抗CLD2抗体はシグマアルドリッチ社より購入した。2次抗体であるCy3標識抗ウサギIgG抗体、FITC標識抗マウスIgG抗体はシグマアルドリッチ社より購入した。
(3)細胞の免疫染色
6well dishの各ウェルにカバーガラスを入れ、そこに30×104のMDCKII細胞を播種し、37℃、5%CO2環境で24hインキュベートした。その後、D−MEM培地に100μM、DMSO濃度0.1%になるように式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)、(36−1)、(13)及び(14)で表される化合物を混合し、細胞に添加した後、37℃、5%CO2環境で48hインキュベートした。
インキュベート後、FBS、抗生物質を含有していないD−MEM培地で2回洗浄後、−20℃の冷メタノールをかけ、−20℃で20min静置することでカバーガラスに細胞を固定化した。その後、TBS−T(100mM Tris−HCl,150mM NaCl,pH7.5,0.1%Tween 20)で洗浄後、ブロッキング溶液(5%スキムミルク in TBS−T)を加え、室温で1hインキュベートした。その後、ブロッキング溶液で希釈した1次抗体希釈液をパラフィルム上に乗せ、そこに細胞固定面が向くようにカバーガラスをかぶせ、4℃、湿潤環境で23hインキュベートした。その後、カバーガラスを回収し、TBS−Tで2回洗浄した。そして、ブロッキング溶液で希釈した2次抗体希釈液をパラフィルム上に乗せ、そこに細胞固定面が向くようにカバーガラスをかぶせ、室温、遮光環境で1hインキュベートした。その後、カバーガラスを回収しTBS−Tで2回洗浄後、TBS−Tで希釈したDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩)溶液(DOJINDO,(1:1000))をかけ、室温、遮光条件で5minインキュベートした。その後、TBS−Tで3回洗浄後、封入剤によりカバーガラスを封入した。これらのサンプルはOLYMPUS社の顕微鏡IX71を用いて顕微鏡観察した。なお、コントロールとして、0.1%ジメチルスルホキシド(DMSO)に暴露した細胞を用いた。
図4は、上記式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)、(36−1)、(13)及び(14)で表される化合物、並びにコントロール(DMSO)をMDCKIIに暴露して得られた免疫染色の写真である。図4の写真から、式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物を細胞に暴露するとコントロールより細胞と細胞の間の白色部分が明らかに薄くなっており、タイトジャンクションの緩和(消滅)が確認された。一方、式(13)及び(14)で表される化合物を細胞に暴露すると、細胞と細胞の間の白色部分が明らかに濃くなっており、クローディンのタイトジャンクションへの増蓄が確認された。
以上の結果より、式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物がタイトジャンクションを緩和することが明らかとなった。
また、ヒト、マウス、イヌのLNX1PDZ2ドメインのクローディンが相互作用する面に位置するアミノ酸配列について調べた。調べたアミノ酸配列は、何れもUniProtから入手した次の部分である。
<ヒト> ID:Q8TBB1のアミノ酸番号377−463(87配列)
<マウス> ID:O70263のアミノ酸番号381−467(87配列)
<イヌ> ID:E2RBE8のアミノ酸番号381−467(87配列)
ヒト、マウス、イヌのLNX1PDZ2ドメインのアミノ酸配列(上記87配列)の相同性は、ヒトとマウスは95%、ヒトとイヌは94%、マウスとイヌは94%と非常に高かった。また、クローディンが相互作用する面に位置するアミノ酸の配列(上記87配列の18番目のグリシン〜23番目のアルギニン、及び66番目のプロリン〜74番目のグルタミン)は、ヒト、マウス、イヌで完全に一致していた。したがって、式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物は、ヒトのタイトジャンクションの緩和にも用いることができる。
本発明の式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物は、タイトジャンクションを緩和することができる。したがって、薬剤吸収補助剤や、医薬組成物等への応用が可能である。

Claims (2)

  1. 下記式(33−1)、(33−9)、(34−1)、(34−2)、(34−6)及び(36−1)で表される化合物を少なくとも1種含むタイトジャンクションの緩和剤。
  2. 請求項1に記載のタイトジャンクションの緩和剤を含む薬剤吸収補助剤。
JP2017520717A 2015-05-26 2016-05-24 タイトジャンクションの緩和剤、該緩和剤を含む薬剤吸収補助剤、及び該緩和剤を含む医薬組成物 Active JP6760657B2 (ja)

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