以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
また、以下に説明する実施の形態では、車両は、駆動源としてモータジェネレータを搭載した電動車両を一例として説明するが、車両としては、駆動源あるいは発電機の動力源としてエンジンをさらに搭載するハイブリッド車両であってもよいし、モータジェネレータに代えてエンジンのみを駆動源とする車両であってもよい。
図1は、本実施の形態に係る車両1の全体構成を概略的に示す図である。図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、電池パック20と、PCU(Power Control Unit)30と、ソーラーPCU40と、ソーラーパネル50と、ソーラーバッテリー60と、補機バッテリ70と、インレット130とを備える。
電池パック20は、再充電可能な直流電力を蓄電する蓄電装置を含む。蓄電装置としては、たとえば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池を含む。電池パック20は、車両1の駆動源であるモータジェネレータ6(図2参照。以下、MG6と記載する。)との間で電力を授受する。電池パック20の電力は、PCU30を経由してMG6に供給される。また、電池パック20は、MG6により発電された電力を用いて充電される。電池パック20は、インレット130を経由して車両1の外部の電源(図2参照)から供給される電力を用いて充電される。なお、蓄電装置としては、二次電池に限らず、MG6との間で直流電力を授受できるもの、たとえば、キャパシタ等であってもよい。電池パック20は、たとえば、車両1の後部座席よりも下方の位置であって、かつ、左右の後輪のホイールハウス間に設けられる。
PCU30は、電池パック20の直流電力を交流電力に変換してMG6に供給したり、MG6において生じた回生電力(交流電力)を直流電力に変換して電池パック20に供給したりする。
PCU30は、たとえば、複数個のスイッチング素子を有する、コンバータおよびインバータ(いずれも図示せず)を含む。コンバータやインバータは、スイッチング素子のオン・オフ制御によって動作する。コンバータは、電池パック20から受けた直流電力の電圧を昇圧してインバータに出力する。インバータは、コンバータが出力した直流電力を交流電力に変換してMG6に出力する。これにより、電池パック20に蓄えられた電力を用いてMG6が駆動される。
また、インバータは、MG6によって発電される交流電力を直流電力に変換してコンバータに出力する。コンバータは、インバータが出力した直流電力の電圧を降圧して電池パック20へ出力する。これにより、MG6により発電された電力を用いて電池パック20が充電される。なお、コンバータは、省略してもよい。
PCU30は、電池パック20の電圧を補機バッテリ70の充電に適した電圧に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)をさらに含む。DC/DCコンバータは、変換された電力を補機バッテリ70に供給することによって補機バッテリ70を充電する。
ソーラーパネル50は、光エネルギー(たとえば、太陽光の光エネルギー)を直流電力に変換する太陽電池である。本実施の形態において、ソーラーパネル50は、図1に示すように車両1の屋根の表面に設置される。ソーラーパネル50において発電された電力は、ソーラーPCU40を経由してソーラーバッテリー60に供給される。なお、ソーラーパネル50は、車両1の屋根以外の箇所(たとえば、ボンネット等)の表面に配置されてもよい。
ソーラーバッテリー60は、ソーラーパネル50において発電された電力を蓄電する蓄電装置である。本実施の形態において、ソーラーバッテリー60は、ニッケル水素電池によって構成される。ソーラーバッテリー60は、複数個(たとえば、3個)のセルまたは複数個のセルにより構成されたモジュールが直列に接続されて構成される。ソーラーバッテリー60は、車両1の室内の所定位置(たとえば、センターコンソールの下部)に設けられる。なお、車両1の室内とは、乗員が搭乗する車両1内の空間(たとえば、キャビン)および当該空間に連通する空間(たとえば、荷室等)を含むものとする。
ソーラーPCU40は、ECU(Electronic Control Unit)100(図2参照)からの制御信号に応じて、ソーラーパネル50から出力された直流電力をソーラーバッテリー60の充電が可能な電圧に変換したり、ソーラーバッテリー60の直流電力を電池パック20の充電が可能な電圧に変換したりする。具体的には、ソーラーPCU40は、たとえば、ソーラーバッテリー60のSOC(State Of Charge)が上限値に達するまで増加した場合に、ソーラーバッテリー60の電力を用いて電池パック20を充電したり、あるいは、補機バッテリ70を充電したりする。あるいは、ソーラーPCU40は、たとえば、ソーラーバッテリー60のSOCが下限値に達するまで減少した場合に、ソーラーパネル50から出力された電力を用いてソーラーバッテリー60を充電する。
補機バッテリ70は、補機負荷に対して電力を供給する。補機負荷は、たとえば、車両1の室内に設けられる電気機器(たとえば、カーナビゲーションシステムやオーディオ機器等)、および、車両1に搭載される各種ECU等を含む。
以下に、図2を用いて車両1に搭載される各構成について詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る車両1に搭載された機器の構成を示すブロック図である。図2に示すように、車両1は、駆動輪2と、動力伝達ギヤ4と、MG6と、ECU100とをさらに備える。
MG6は、たとえば、三相交流回転電機である。MG6の出力トルクは、減速機等によって構成された動力伝達ギヤ4を介して駆動輪2に伝達される。MG6は、車両1の回生制動動作時には、駆動輪2の回転力によって発電することも可能である。なお、図1および図2に示される車両1に、駆動源としてモータジェネレータが1つだけ設けられる構成が一例として示されるが、モータジェネレータの数はこれに限定されず、モータジェネレータを複数(たとえば2つ)設ける構成としてもよい。
電池パック20は、組電池22と、システムメインリレー(以下、SMRと記載する)24と、第1充電リレー(以下、CHRAと記載する)26と、第2充電リレー(以下、CHRBと記載する)28と、充電装置120とを含む。
組電池22は、複数個のセルにより構成されたモジュールが複数個直列に接続されて構成される。あるいは、組電池22は、複数個のセルが直列に接続されて構成されてもよい。組電池は、組電池22の電圧は、たとえば、200V程度である。
SMR24は、PCU30と組電池22とを接続する電力線PL1,NL1の途中に設けられる。SMR24は、ECU100からの制御信号C1に基づいて、PCU30と組電池22との間を電気的に接続状態(オン状態)にしたり、遮断状態(オフ状態)にしたりする。
CHRA26は、組電池22とSMR24とを接続する電力線PL1,NL1から分岐してソーラーPCU40に接続される電力線PL2,NL2の途中に設けられる。CHRA26は、ECU100からの制御信号C2に基づいて、電力線PL1,NL1と、ソーラーPCU40との間を電気的に接続状態(オン状態)にしたり、遮断状態(オフ状態)にしたりする。
ソーラーPCU40は、高圧DC/DCコンバータ42と、ソーラーDC/DCコンバータ44と、補機DC/DCコンバータ46と、監視回路48とを含む。
高圧DC/DCコンバータ42は、ECU100からの制御信号に基づいて、ソーラーバッテリー60の直流電力を組電池22の充電が可能な直流電力に変換する。高圧DC/DCコンバータ42は、変換した電力を組電池22に供給する。
ソーラーDC/DCコンバータ44は、ECU100からの制御信号に基づいて、ソーラーパネル50から供給される直流電力をソーラーバッテリー60の充電が可能な直流電力に変換する。ソーラーDC/DCコンバータ44は、変換した電力をソーラーバッテリー60に供給する。
補機DC/DCコンバータ46は、ECU100からの制御信号に基づいて、ソーラーバッテリー60の直流電力を補機バッテリ70の充電が可能な直流電力に変換する。補機DC/DCコンバータ46は、変換した電力を補機バッテリ70に供給する。
監視回路48は、ソーラーバッテリー60の状態を監視する。ソーラーバッテリー60には、温度センサ62と、電圧センサ64と、電流センサ66とが設けられる。温度センサ62は、ソーラーバッテリー60の温度(以下、電池温度と記載する)TBsを検出し、検出された電池温度TBsを示す信号を監視回路48に送信する。電圧センサ64は、ソーラーバッテリー60全体の電圧VBsを検出し、検出された電圧VBsを示す信号を監視回路48に送信する。電流センサ66は、ソーラーバッテリー60の電流IBsを検出し、検出された電流IBsを示す信号を監視回路48に送信する。
監視回路48は、ソーラーバッテリー60の状態についての情報をECU100に出力する。監視回路48は、たとえば、各センサから受信した検出結果をECU100に出力したり、あるいは、各センサから受信した検出結果に対して所定の演算処理を実行し、実行結果をECU100に出力したりする。具体的には、監視回路48は、ソーラーバッテリー60の温度TBs、電圧VBsおよび電流IBsに基づいてソーラーバッテリー60のSOCを算出し、算出されたSOCを示す情報をECU100に出力する。
監視回路48は、たとえば、ソーラーバッテリー60の電流IBsと、電圧VBsと、電池温度TBsとに基づいてOCV(Open Circuit Voltage)を推定し、推定されたOCVと所定のマップとに基づいてソーラーバッテリー60のSOCを推定してもよい。あるいは、監視回路48は、たとえば、ソーラーバッテリー60の充電電流と放電電流とを積算することによってソーラーバッテリー60のSOCを推定してもよい。
充電装置120の正極側出力端子および負極側出力端子は、電力線PL1,NL1から分岐した電力線PL3,NL3にそれぞれ接続される。充電装置120の入力端子は、インレット130に接続される。充電装置120は、ECU100からの制御信号C4に基づいて、後述する交流電源300からインレット130を経由して入力端子に供給される交流電力を直流電力に変換して出力端子から組電池22に供給する。
電力線PL3,NL3の途中には、CHRB28が設けられる。CHRB28は、ECU100からの制御信号C3に基づいて、電力線PL1,NL1と、充電装置120との間を電気的に接続状態(オン状態)にしたり、遮断状態(オフ状態)にしたりする。
ECU100は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置であるメモリ、および、入出力バッファ等を含んで構成される。ECU100は、各センサおよび機器からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1が所望の作動状態となるように各種機器を制御する。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
ECU100は、監視回路48からソーラーバッテリー60のSOCを取得する。なお、上述した監視回路48で実行されたSOCを算出する処理は、ECU100で実行されてもよい。ECU100は、ソーラーバッテリー60のSOCが下限値に達すると、ソーラーDC/DCコンバータ44を動作させてソーラーパネル50から出力される電力を用いてソーラーバッテリー60を充電する。
ECU100は、ソーラーバッテリー60のSOCが上限値に達すると、ソーラーバッテリー60の充電を停止するとともにCHRA26をオン状態にする。ECU100は、高圧DC/DCコンバータ42を動作させてソーラーバッテリー60の電力を用いて組電池22を充電する。なお、ECU100は、高圧DC/DCコンバータ42に加えてソーラーDC/DCコンバータ44を動作させて組電池22を充電してもよい。ECU100は、ソーラーバッテリー60のSOCが下限値に達したり、あるいは、組電池22のSOCが上限値に達したりする場合に、高圧DC/DCコンバータ42の動作を停止するとともにCHRA26をオフ状態にして、組電池22の充電を停止する。
ECU100は、上述のようにCHRA26およびソーラーPCU40を動作させることによってソーラーバッテリー60のSOCが上限値と下限値との間の範囲内に収まるようにソーラーバッテリー60の充放電を制御する。
ECU100には、接触センサ132が接続される。接触センサ132は、たとえば、インレット130に設けられる。接触センサ132は、インレット130にプラグ208が接続された場合に、インレット130にプラグ208が接続されたことを示す信号D1をECU100に送信する。
ECU100は、接触センサ132によってプラグ208がインレット130に接続されたことが検出された場合には、SMR24およびCHRB28の各々をオン状態にしつつ、充電装置120を動作させることによって、交流電源300から供給される交流電力を直流電力に変換して、組電池22を充電するプラグイン充電を実行する。
ECU100は、たとえば、ソーラーDC/DCコンバータ44を用いたソーラーバッテリー60の充電中においては、監視回路48から受信した充電電圧と充電電流とを用いて充電電力を算出する。ECU100は、たとえば、所定時間が経過する毎に充電電力を算出し、算出された充電電力をメモリ等に記憶させる。
このような構成を有する車両1において、ソーラーパネル50を用いた充電は通常太陽が出ている昼間に行なわれるため、ソーラーバッテリー60が車両1の室内に設けられていると、太陽光が室内に射し込むなどして、車両1の室内の温度が大きく上昇し、ソーラーバッテリー60の温度も上昇する場合がある。そのため、夏等の季節によってはソーラーバッテリー60が高温かつ高SOC状態となり、ソーラーバッテリー60の劣化が促進される可能性がある。
そこで、本実施の形態においては、ECU100は、ソーラーパネル50の出力履歴から算出される、所定期間におけるソーラーパネル50の充電電力量の最大値と平均値との差を用いてソーラーバッテリー60が高温状態となり得る高温環境であるか否かを判定し、高温環境であると判定される場合、ソーラーバッテリー60のSOCの上限値を低下させるものとする。
このようにすると、ソーラーバッテリー60が高温かつ高SOC状態となることを抑制することができる。そのため、ソーラーバッテリー60の劣化が促進されることを抑制することができる。
以下、図3を用いてECU100で実行される制御処理について説明する。図3は、本実施の形態に係る車両1に搭載されたECU100で実行される制御処理を示すフローチャートである。ECU100は、たとえば、ソーラーパネル50を用いたソーラーバッテリー60の充電中において所定時間が経過する毎に当該制御処理を実行するものとする。
ステップ(以下、ステップを「S」と記載する)100にて、ECU100は、1時間当たりの充電電力の平均値を算出する。ECU100は、前回の計算から今回の計算までの間に算出される充電電力を積算し、充電電力の算出回数で除算することにより充電電力の平均値を算出する。
S102にて、ECU100は、所定期間における最大充電電力量と所定期間における平均充電電力量とを算出する。ECU100は、たとえば、充電電力の履歴(すなわち、ソーラーパネル50の出力履歴)から過去1か月の期間における1日当たりの充電電力量の平均値(以下、平均充電電力量と記載する)を算出する。ECU100は、たとえば、上述のように算出される、1時間当たりの充電電力の平均値を積算することによって、1日当たりの充電電力量を算出する。ECU100は、算出された1日当たりの充電電力量をメモリに記憶する。ECU100は、前日までの1か月の充電電力量の総和を算出し、日数(たとえば、30日)で除算することによって平均充電電力量を算出する。ECU100は、前日までの1か月において記憶された1日当たりの充電電力量のうちの最大値を最大充電電力量として取得する。
S104にて、ECU100は、最大充電電力量と平均充電電力量との差がしきい値以下であるか否かを判定する。しきい値としては、たとえば、過去1か月の期間において晴れの日が多いことや、日射の量が多い時間が長く続いていることを判定できるように設定される。最大充電電力量と平均充電電力量との差がしきい値以下であると判定される場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。
S106にて、ECU100は、ソーラーバッテリー60が高温状態になり得る高温環境であると判定する。
S108にて、ECU100は、ソーラーバッテリー60の充電量を示すΔSOCを変更するとともに、SOCの上限値を小さくする。
ECU100は、たとえば、充電電力の平均値の履歴からΔSOCの変更係数(<1.0)を算出する。ECU100は、ΔSOCの初期値に算出された変更係数を乗算することによって変更後のΔSOCを設定する。ECU100は、たとえば、充電電力の平均値の履歴に加えて、最大充電電力量および平均充電電力量のうちの少なくともいずれかを用いてΔSOCの変更係数を算出してもよい。
ECU100は、たとえば、過去の所定期間(たとえば、現在までの過去数か月)の充電電力の平均値の履歴から充電電力の平均値の変動量を算出し、現在以降の所定期間における(たとえば、1日あたりの)充電電力量の推定値を算出する。ECU100は、算出された推定値に基づいてΔSOCの変更係数を算出する。ECU100は、たとえば、推定値が小さいほどΔSOCの変更係数が小さくなるようにΔSOCの変更係数を算出してもよいし、推定値が大きいほどΔSOCの変更係数が大きくなるようにΔSOCの変更係数を算出してもよい。
ECU100は、変更されたΔSOCの充電可能な範囲でソーラーバッテリー60のSOCの上限値を小さくする。ECU100は、たとえば、ソーラーバッテリー60のSOCの下限値にΔSOCを加算することによってSOCの上限値を設定してもよい。なお、ECU100は、ソーラーバッテリー60のSOCの上限値に加えて過放電にならない範囲でSOCの下限値を小さくしてもよい。このようにすると、SOCの上限値をより低下させることができる。
なお、最大充電電力量と平均充電電力量との差がしきい値よりも大きいと判定される場合(S104にてNO)、処理はS110に移される。S110にて、ECU100は、ΔSOCおよびSOCの上限値として初期値を設定する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく本実施の形態に係る車両1に動作について説明する。
たとえば、ソーラーパネル50を用いたソーラーバッテリー60の充電が開始されると、1時間あたりの充電電力の平均値が算出され(S100)、最大充電電力量と平均充電電力量とが算出される(S102)。算出された最大充電電力量と平均充電電力量との差がしきい値以下であると判定される場合には(S104にてYES)、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定され(S106)、ΔSOCが変更されるとともにソーラーバッテリー60のSOCの上限値が小さくされる(S108)。そのため、ソーラーバッテリー60が高温かつ高SOC状態になることが抑制される。
一方、算出された最大充電電力量と平均充電電力量との差がしきい値よりも大きいと判定される場合には(S104にてNO)、ΔSOCとSOCの上限値とが初期値に設定される(S110)。
以上のようにして、本実施の形態によると、蓄電装置が高温環境であると判定される場合、ソーラーバッテリー60のSOCの上限値が低下されるので、ソーラーバッテリー60が高温かつ高SOC状態となることを抑制することができる。そのため、蓄電装置の劣化が促進されることを抑制することができる。したがって、車両の室内に設けられる蓄電装置の充放電を適切に制御する車両を提供することができる。
以下、変形例について記載する。
<第1変形例>
上述の実施の形態では、最大充電電力量と平均充電電力量との差を用いてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定するものとして説明したが、たとえば、ソーラーパネル50の受光面における充電電力量の分布を用いてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定してもよい。
以下、第1変形例について、図4、図5および図6を用いて具体的に説明する。図4は、第1変形例に係る車両1に搭載された機器の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、第1変形例において、車両1は、図1と比較して、位置センサ102を備え、さらに、ソーラーパネル50に代えて第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54とを含み、第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54の各々において発電された電力がDC/DCコンバータ44に供給される点およびECU100の動作が異なる。それ以外の構成のうち、図1に示される車両1の構成と同じ構成については同じ参照符号が付与される。そのため、それらの構成についての詳細な説明は繰り返さない。
位置センサ102は、車両1の経度と緯度とを検出するセンサであって、たとえば、GPS(Global Positioning System)等を利用したセンサである。位置センサ102は、検出された車両1の経度と緯度とを示す信号をECU100に送信する。
第1ソーラーパネル52は、車両1の屋根の車両前方側に設けられる。第2ソーラーパネル54は、車両1の屋根の車両後方側に設けられる。なお、第1変形例において、第1ソーラーパネル52と第2ソーラーパネル54とは、それぞれソーラーDC/DCコンバータ44に接続され、ソーラーDC/DCコンバータ44の内部で直列に接続されるものとして説明するが、第1ソーラーパネル52と第2ソーラーパネル54とが直列に接続された状態で、ソーラーDC/DCコンバータ44に接続されるようにしてもよい。なお、第1変形例において、第1ソーラーパネル52の受光面の面積と、第2ソーラーパネル54の受光面の面積とは、たとえば、同じであるものとする。
ソーラーDC/DCコンバータ44は、第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54において生じた電力をソーラーバッテリー60の充電電力に変換してソーラーバッテリー60に供給する。ソーラーDC/DCコンバータ44には、第1ソーラーパネル52の出力電圧と出力電流とを検出する各種センサと、第2ソーラーパネル54の出力電圧と出力電流とを検出する各種センサが設けられる。各種センサは、ECU100に対して第1ソーラーパネル52の出力電圧と出力電流とを示す信号と、第2ソーラーパネル54の出力電圧と出力電流とを示す信号とを送信する。なお、各種センサは、第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54の各々に設けられるようにしてもよい。
ECU100は、所定期間における第1ソーラーパネル52の出力電圧と出力電流とから所定期間における(たとえば、1時間当たりの)第1ソーラーパネル52による充電電力量(以下、第1充電電力量と記載する)を算出する。
同様に、ECU100は、所定期間における第2ソーラーパネル54の出力電圧と出力電流とから所定期間における(たとえば、1時間当たりの)第2ソーラーパネル54による充電電力量(以下、第2充電電力量と記載する)を算出する。
第1変形例において、ECU100は、第1ソーラーパネル52の受光面と第2ソーラーパネル54の受光面とにおける所定期間における充電電力量の分布を用いてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定するものとする。
より具体的には、ECU100は、算出された第1充電電力量と第2充電電力量との比率を用いてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定する。第1充電電力量と第2充電電力量との比率は、太陽光の入射角度によって変化する。
図5は、第1変形例における第1充電電力量と第2充電電力量との比率と、太陽光の入射角度との関係を説明するための図である。
図5に示すように、たとえば、太陽光を車両1の前後方向で受けた場合を想定する。車両1の屋根が緩やかな山型形状を有していることから実線矢印に示すように斜め上方向から太陽光を受けた場合には、第1ソーラーパネル52への太陽光の入射角度が第2ソーラーパネル54への太陽光の入射角度よりも大きくなる。そのため、第1充電電力量の方が第2充電電力量よりも大きくなり、第1充電電力量と第2充電電力量とは異なる値を示す。
一方、たとえば、破線矢印に示すように直上方向から太陽光を受けた場合、第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54への太陽光の入射角度がほぼ同じになり、第1充電電力量と第2充電電力量とはほぼ同じ値を示す。すなわち、太陽光の入射角度が高くなるほど、第1充電電力量と第2充電電力量との比率が1に近づくように変化する。また、太陽光の入射角度が低くなるほど、第1充電電力量と第2充電電力量との比率が1から大きくなったり、あるいは、小さくなったりする。
そのため、第1変形例において、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率が1を含む所定範囲内である場合に、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定するものとする。
以下に、図6を用いて第1変形例におけるECU100で実行される制御処理の一例を説明する。図6は、第1変形例に係る車両1に搭載されたECU100で実行される制御処理を示すフローチャートである。
S200にて、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量とを算出する。なお、第1充電電力量および第2充電電力量の算出方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
S202にて、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率を算出する。
S204にて、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率が所定範囲内であるか否かを判定する。所定範囲は、上述したとおり1を含む範囲である。第1充電電力量と第2充電電力量との比率が所定範囲内であると判定される場合(S204にてYES)、処理はS206に移される。
S206にて、ECU100は、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定する。
S208にて、ECU100は、ソーラーバッテリー60のΔSOCを変更するとともに、SOCの上限値を小さくする。
ECU100は、たとえば、緯度と経度と第1充電電力量と第2充電電力量とからソーラーバッテリー60のΔSOCの変更係数(<1.0)を算出する。ECU10は、たとえば、位置センサ102によって検出される緯度と経度とから地域毎に設定された変更係数の基準値を取得し、取得された基準値を第1充電電力量および第2充電電力量のうちの少なくともいずれかを用いて補正することによってΔSOCの変更係数を算出してもよい。
ECU100は、変更されたΔSOCが充電可能な範囲でソーラーバッテリー60のSOCの上限値を小さくする。変更されたΔSOCに基づくSOCの上限値の設定方法については、上述したとおりであり、その詳細な説明は繰り返さない。
なお、第1充電電力量と第2充電電力量との比率が所定範囲内でないと判定される場合(S204にてNO)、処理はS210に移される。S210にて、ECU100は、ΔSOCとSOCの上限値として初期値を設定する。
以上のような制御処理を実行することによって、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定される場合、ソーラーバッテリー60のSOCの上限値が低下させられるので、ソーラーバッテリー60が高温かつ高SOC状態となることを抑制することができる。
なお、第1変形例においては、第1充電電力量と第2充電電力量との比率が所定範囲内である場合にソーラーバッテリー60が高温環境であると判定するものとして説明したが、たとえば、第1充電電力量と第2充電電力量との比率を用いて太陽光の入射角度を推定し、推定された太陽光の入射角度がしきい値以上である場合にソーラーバッテリー60が高温環境であると判定してもよい。
ECU100は、たとえば、比率と入射角度との関係を示すマップ等を用いて比率から入射角度を推定してもよい。あるいは、ECU100は、比率に加えて、現在の日時、車両の向き、路面の勾配、車両の位置(緯度、経度)、天候情報、第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54の傾斜角度等に基づいて入射角度を推定してもよい。
<第2変形例>
上述の実施の形態では、最大充電電力量と平均充電電力量との差を用いてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定するものとして説明したが、たとえば、ソーラーパネル50の受光面における充電電力量の分布の変化態様に基づいてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定してもよい。
以下、第2変形例について図7を用いて具体的に説明する。第2変形例に係る車両1は、図4で示した第1変形例に係る車両1の構成と同じ構成である。そのため、それらの詳細な説明については繰り返さない。
第2変形例において、ECU100は、第1ソーラーパネル52の受光面と第2ソーラーパネル54の受光面とにおける所定期間における充電電力量の分布の変化態様に基づいてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定するものとする。
より具体的には、ECU100は、所定時間毎の第1充電電力量と第2充電電力量との比率の変化態様に基づいてソーラーバッテリー60が高温環境であるか否かを判定する。
季節が夏の場合と、冬の場合とで、現在位置から特定できる太陽の軌跡が異なる。そのため、1日において第1充電電力量と第2充電電力量との比率が変化する時間(たとえば、第1充電電力量および第2充電電力量の双方がゼロよりも大きくなる時点からいずれかがゼロになるまでの時点までの時間)は、季節が冬の場合よりも季節が夏の場合の方が長い。
そのため、第2変形例において、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率の1日当たりの変化時間がしきい値以上である場合に、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定するものとする。
以下に、図7を用いて第2変形例におけるECU100で実行される制御処理の一例を説明する。図7は、第2変形例に係る車両1に搭載されたECU100で実行される制御処理を示すフローチャートである。
S300にて、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量とを算出する。なお、第1充電電力量および第2充電電力量の算出方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
S302にて、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率を算出する。
S304にて、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率の1日当たりの変化時間がしきい値以上であるか否かを判定する。ECU100は、たとえば、前日の1日当たりの変化時間がしきい値以上であるか否かを判定してもよいし、現在時点以降の比率の変化を前日の同時刻以降の比率の変化に置き換えて、1日当たりの変化時間がしきい値以上であるか否かを判定してもよい。第1充電電力量と第2充電電力量との比率の1日当たりの変化時間がしきい値以上であると判定される場合(S304にてYES)、処理はS306に移される。
S306にて、ECU100は、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定する。
S308にて、ECU100は、ソーラーバッテリー60のΔSOCを変更するとともに、SOCの上限値を小さくする。
ECU100は、たとえば、緯度と経度と第1充電電力量と第2充電電力量とからソーラーバッテリー60のΔSOCの変更係数(<1.0)を算出する。算出方法については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。
ECU100は、変更されたΔSOCが充電可能な範囲でソーラーバッテリー60のSOCの上限値を小さくする。変更されたΔSOCに基づくSOCの上限値の設定方法については、上述したとおりであり、その詳細な説明は繰り返さない。
なお、ECU100は、第1充電電力量と第2充電電力量との比率の1日当たりの変化時間がしきい値よりも短いと判定される場合(S304にてNO)、処理はS310に移される。S310にて、ECU100は、ΔSOCとSOCの上限値として初期値を設定する。
以上のような制御処理を実行することによって、ソーラーバッテリー60が高温環境であると判定される場合、ソーラーバッテリー60のSOCの上限値を低下させられるので、ソーラーバッテリー60が高温かつ高SOC状態となることを抑制することができる。
なお、第2変形例においては、第1充電電力量と第2充電電力量との比率の1日当たりの変化時間がしきい値以上である場合にソーラーバッテリーが高温環境であると判定するものとして説明したが、たとえば、第1充電電力量と第2充電電力量との比率の変化態様に基づいて現在位置で観測できる太陽の軌跡が夏に対応する軌跡であるか否かを判定し、夏に対応する軌跡である場合にソーラーバッテリー60が高温環境であると判定してもよい。太陽の軌跡は、たとえば、南中高度、日の出の方角および時刻、および日の入りの方角および時刻等の情報を含む。
ECU100は、たとえば、比率の変化態様と軌跡との関係を示すマップ等を用いて比率の変化態様から太陽の軌跡を推定してもよい。あるいは、ECU100は、比率の変化態様に加えて、現在の日時、車両の向き、路面の勾配、車両の位置(緯度、経度)、天候情報、第1ソーラーパネル52および第2ソーラーパネル54の傾斜角度等に基づいて太陽の軌跡を推定してもよい。
上述の第1および第2変形例においては、車両1の屋根に設けられ、独立して充電電力量の検出が可能なソーラーパネルの数として2枚を一例として説明したが、3枚以上であってもよい。このようにすると、特に太陽光の入射角度や太陽の軌跡を推定する場合に推定精度の向上が図れる。
また、上述の第1および第2変形例においては、第1ソーラーパネル52と第2ソーラーパネル54とは受光面の面積が同じであるものとして説明したが、異なる面積を有するものであってもよい。
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。