以下、図面を参照して実施形態を説明する。
図1は、実施形態に係る振動装置の概念的な構成を示した図である。本実施形態に係る振動装置は、MEMS(micro electromechanical systems)技術を用いて半導体基板上に形成され、ジャイロセンサ(角速度検出装置)として用いられる。
図1に示した振動装置は、連成振動機構(coupled oscillation mechanism)10と、捕捉及び解放機構(catch and release mechanism)20と、制御ユニット30と、位置検出ユニット40と、振動情報検出ユニット50と、角速度算出ユニット60とを備えている。
連成振動機構10は、マスユニット11と、固定ユニット12と、接続ユニット(第2の接続ユニット)13と、接続ユニット(第1の接続ユニット)14とを含んでいる。
マスユニット11は、複数のマス部11xによって構成されている。これらのマス部11xは連成振動機構10のマス(mass)を構成するものであり、これらのマス部11xの振動によって連成振動機構10の振動が実行される。
固定ユニット12は、複数のマス部11xに対応して設けられた複数の固定部(固定端)12xによって構成されている。これらの固定部12xは基板上に固定されている。
接続ユニット(第2の接続ユニット)13は、複数のマス部11xと複数の固定部12xとを接続するものである。接続ユニット13は、複数のマス部11xに対応して設けられた複数の接続バネ部13xによって構成されている。各接続バネ部13xの一端は対応するマス部11xに接続され、各接続バネ部13xの他端は対応する固定部12xに接続されている。したがって、マス部11xの振動に応じて接続バネ部13xが伸縮する。
接続ユニット(第1の接続ユニット)14は、複数のマス部11xを接続するものである。図1に示した例では、接続ユニット14は複数の接続部材14xによって構成されている。接続ユニット14を設けることにより、各マス部11xの振動が他のマス部11xによって制約される。接続部材14xは、バネのような伸縮性を有する部材で形成されていてもよいし、伸縮性の無い部材(長さが不変の部材)で形成されていてもよい。
上述したマス部11x、固定部12x及び接続バネ部13xによって1つの振動子ユニット15が構成されており、複数の振動子ユニット15によって連成振動機構10が構成されている。
捕捉及び解放機構20は、振動中のマスユニット11を捕捉し且つ捕捉されたマスユニット11を解放して振動を開始させるものである。この捕捉及び解放機構20は、マスユニット11を捕捉するための電圧が印加される電極ユニット21と、マスユニット11を捕捉する際にマスユニット11が電極ユニット21に接触することを阻止するストッパーユニット22と、マスユニット11を加振させる加振ユニット23とを含んでいる。
電極ユニット21は、複数のマス部11xに対応して設けられた複数の捕捉電極部21xによって構成されている。ストッパーユニット22は、複数のマス部11xに対応して設けられた複数のストッパー部22xによって構成されている。マス部11xと捕捉電極部21xとの間に所定の電圧が印加されると、静電引力によってマス部11xが捕捉電極部21xに近づく。このとき、ストッパー部22xによってマス部11xが捕捉電極部21xに接触することが阻止される。加振ユニット23は、複数のマス部11xに対応して設けられた複数の加振電極部23xによって構成されている。マス部11xが振動している最中に、マス部11xと加振電極部23xとの間に所定の電圧が印加されると、静電引力によってマス部11xが加振される。すなわち、マス部11xの振幅が増大する。
上述した捕捉電極部21x、ストッパー部22x、加振電極部23xによって1つの電極/ストッパーユニット24が構成されており、複数の電極/ストッパーユニット24によって捕捉及び解放機構20が構成されている。
なお、上述した加振ユニット23を構成する加振電極部23xは、加振用の電極である。しかし、加振ユニット23がマスユニット11を加振させることができれば、必ずしも電極でなくてもよい。以下の説明では、加振ユニット23は、図1で示すように複数の加振電極部23x(加振用の電極)で構成されるとして説明する。
制御ユニット30は、マスユニット11の捕捉及び解放をマスユニット11と電極ユニット21との間に印加される電圧によって制御するものである。具体的には、制御ユニット30から電極ユニット21に制御電圧を印加することで、マスユニット11の捕捉及び解放が行われる。この制御ユニット30の動作の詳細は後述する。また、制御ユニット30は、後述する位置検出ユニット40、振動情報検出ユニット50、及び角速度算出ユニット60の動作の開始/停止を制御する。
位置検出ユニット40は、マスユニット11の位置(振動状態)を検出するものである。位置検出ユニット40は、マスユニット11の振動に応じて変化する所定物理量を検出する。所定物理量は、静電容量に基づく物理量、抵抗に基づく物理量、又は圧電効果に基づく物理量等である。静電容量に基づく物理量は可変キャパシタ素子によって、抵抗に基づく物理量は可変抵抗素子によって、圧電効果に基づく物理量は圧電素子によって検出される。制御ユニット30は、位置検出ユニット40で検出されたマスユニット11の位置(振動状態)に基づいて、マスユニット11を捕捉するための電圧をマスユニット11と電極ユニット21との間に印加する。すなわち、位置検出ユニット40は、マスユニット11が振動している最中にマスユニット11の位置を検出し、制御ユニット30は、最適なタイミングでマスユニット11が捕捉されるように制御電圧を電極ユニット21に印加する。
振動情報検出ユニット50は、マスユニット11の振動情報を検出するものである。具体的には、振動情報検出ユニット50は、位置検出ユニット40と同様にマスユニット11の振動に応じて変化する所定物理量を検出する。本実施形態では、振動情報検出ユニット50は、マスユニット11に働くコリオリ力(Coriolis force)に基づくマスユニット11の振動情報を可変キャパシタ素子によって検出する。具体的には、マスユニット11が振動している最中にマスユニット11に回転運動が加わると、マスユニット11にコリオリ力が働く。振動情報検出ユニット50では、コリオリ力に基づくマスユニット11の振動情報を、可変キャパシタ素子の静電容量変化から検出する。
角速度算出ユニット60は、振動情報検出ユニット50で検出された振動情報に基づいてマスユニット11の角速度を算出するものである。すなわち、角速度の変調信号であるコリオリ力に基づくマスユニット11の振幅情報を復調することで、角速度を取得できる。したがって、コリオリ力に基づくマスユニット11の振幅情報を振動情報検出ユニット50によって検出することで、マスユニット11の角速度を角速度算出ユニット60によって算出することができる。
なお、捕捉及び解放機構20によって解放されることでマスユニット11が振動する方向をドライブ方向と呼ぶ。また、マスユニット11に働くコリオリ力に基づく振動の方向をセンス方向と呼ぶ。ここで、ドライブ方向とセンス方向とは互いに垂直である。
図2は、本実施形態に係る振動装置の第1の具体的構成例を模式的に示した図である。基本的な概念は、図1に示した振動装置と同様である。
図2に示した振動装置では、連成振動機構が2つの振動子ユニット15xa及び15xbで構成され、捕捉及び解放機構が2つの電極/ストッパーユニット24xa及び24xbによって構成されている。
振動子ユニット15xaは、マス部11xaと、固定部12xaと、接続バネ部13xaとを含んでいる。同様に、振動子ユニット15xbは、マス部11xbと、固定部12xbと、接続バネ部13xbとを含んでいる。
電極/ストッパーユニット24xaは、捕捉電極部21xaと、ストッパー部22xaと、加振電極部23xaとを含んでいる。同様に、電極/ストッパーユニット24xbは、捕捉電極部21xbと、ストッパー部22xbと、加振電極部23xaとを含んでいる。
マス部(第1のマス部)11xa及びマス部(第2のマス部)11xbは、振動方向(第1の方向)に平行な方向に配列されており、接続ユニット14によって接続されている。本実施形態では、接続ユニット14は単一の接続部材14xによって構成されている。
マス部11xaの近傍には電極部18aが設けられており、マス部11xaと電極部18aとによって第1の可変キャパシタが構成されている。同様に、マス部11xbの近傍には電極部18bが設けられており、マス部11xbと電極部18bとによって第2の可変キャパシタが構成されている。マス部11xa及び11xbが振動することで、マス部11xaと電極部18aとの距離並びにマス部11xbと電極部18bとの距離が変化する。その結果、第1の可変キャパシタのキャパシタンス及び第2の可変キャパシタのキャパシタンスが変化する。これらのキャパシタンスの変化に基づいて、図1の振動情報検出ユニット50で振動情報が検出される。
マス部11xa及びマス部11xbは、互いに逆位相(anti-phase)で振動する。すなわち、マス部11xaが固定部12xaから遠ざかるときには、マス部11xbも固定部12xbから遠ざかる。逆に、マス部11xaが固定部12xaに近づくときには、マス部11xbも固定部12xbに近づく。このように、マス部11xa及びマス部11xbが逆位相で振動することにより、加速度等の並進運動の影響を排除することができ、回転運動を的確に抽出することができる。
図3は、マス部11xa及び11xbをそれぞれ、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbで捕捉しているときの状態を模式的に示した図である。
捕捉電極部21xa及び21xbに所定の電圧を印加することで、捕捉電極部21xaとマス部11xaとの間及び捕捉電極部21xbとマス部11xbとの間に静電引力が働く。このとき、ストッパー部22xa及び22xbにより、捕捉電極部21xaとマス部11xaとの接触及び捕捉電極部21xbとマス部11xbとの接触を阻止することができる。すなわち、ストッパー部22xaとマス部11xaとの距離は、捕捉電極部21xaとマス部11xaとの距離よりも小さい。同様に、ストッパー部22xbとマス部11xbとの距離は、捕捉電極部21xbとマス部11xbとの距離よりも小さい。したがって、捕捉電極部21xaとマス部11xaとの接触及び捕捉電極部21xbとマス部11xbとの接触を阻止することができる。
マス部11xa及び11xbを電極/ストッパーユニット24xa及び24xbで捕捉するタイミングは、図1に示した制御ユニット30及び位置検出ユニット40によって決定される。具体的には、マス部11xa及び11xbがそれぞれ固定部12xa及び12xbに最接近した状態を位置検出ユニット40で検出し、位置検出ユニット40の検出結果に基づいて制御ユニット30から所定の電圧が捕捉電極部21xa及び21xbに印加される。これにより、マス部11xa及び11xbがそれぞれ、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbによって捕捉される。
次に、マス部11xa及び11xbを電極/ストッパーユニット24xa及び24xbから解放するタイミングについて説明する。
図3に示したように、マス部11xa及び11xbが振動を開始する前は、マス部11xa及び11xbは電極/ストッパーユニット24xa及び24xbによって捕捉されている。この状態で、捕捉電極部21xa及び21xbに印加する電圧を変化させることで、マス部11xaとマス部11xbとをそれぞれ電極/ストッパーユニット24xaと電極/ストッパーユニット24xbから解放することができ、マス部11xa及び11xbが振動を開始する。以下、詳細に説明する。
すでに述べたように、本実施形態の振動装置では、マス部11xa及び11xbが互いに逆位相(anti-phase)で振動するため、加速度等の並進運動の影響を排除することができ、回転運動を的確に抽出することができる。しかしながら、マス部11xa及び11xbを電極/ストッパーユニット24xa及び24xbに捕捉した状態から解放して振動を開始させると、マス部11xaとマス部11xbとの共振周波数の違いや、マス部11xaとマス部11xbとの解放タイミングの違いにより、同位相(in-phase)モードの振動成分も発生する。その結果、逆位相モードの振動と同位相モードの振動とが重畳し、うなり(beat)が生じる。うなりが生じると、マス部11xa及び11xbの振動の振幅が許容範囲を超えてしまい、振動の最中にマス部11xa及び11xbがストッパー部22xa及び22xbに接触するおそれがある。その結果、マス部11xa及び11xbの振動が悪影響を受け、正確な検出動作をできなくなってしまう。
本実施形態では、上述したような問題を防止するため、以下に述べるような方法を採用している。
図4は、本実施形態に係る振動装置の振動制御方法を示したタイミングチャートである。横軸は、時間を示している。縦軸は、マス部11xa及び11xbそれぞれの位置と、捕捉電極部21xa及び21xbに印加される電圧(捕捉電極部21xaとマス部11xaとの間に印加される電圧、捕捉電極部21xbとマス部11xbとの間に印加される電圧)とを示している。
図4に示すように、本実施形態では、マス部11xaとマス部11xbをそれぞれが捕捉されている電極/ストッパーユニット24xaと電極/ストッパーユニット24xbから解放する際に、保持(hold)電圧VH から解放(release)電圧VL に直接移行するのではなく、保持電圧VH の印加期間と解放電圧VL の印加期間との間に中間電圧VM の印加期間を設けている。本実施形態では、中間電圧VM は、保持電圧VH よりも小さく、解放電圧VL よりも大きい。
図4に示したように、マスユニット11の解放タイミングの直後に中間電圧VM を印加するようにすれば、マス部の振動エネルギーが下がり、マス部の振幅を小さくすることができる。このような中間電圧VM の役割から考えると、中間電圧VM を印加するタイミングは、必ずしもマスユニット11の解放タイミングの直後である必要はない。
また、図4では、中間電圧VM の大きさは、保持電圧VH よりも小さく且つ解放電圧VLよりも大きくしていた。しかしながら、上述した中間電圧VM の役割から考えると、中間電圧VM は、解放電圧VL よりも大きければよく、必ずしも保持電圧VH より小さい必要はない。すなわち、中間電圧VM は必ずしも解放電圧VL と保持電圧VH との間の電圧ある必要はない。
以上のことから、一般的には、制御ユニット30は、マスユニット11が捕捉及び解放機構20から解放された後からマスユニット11と電極ユニット21との間に定常電圧が印加される前までの期間の少なくとも一部で、マスユニット11と電極ユニット21との間に定常電圧よりも大きい電圧が印加されるように、印加電圧を制御すればよい。定常電圧とは、マスユニット11が振動している最中に、マスユニット11と電極ユニット21との間に定常的に印加される電圧である。通常は、マスユニット11が振動している最中に、マスユニット11と電極ユニット21との間に最終的に印加される電圧である。図4に示した例では、解放電圧VL が定常電圧に対応する。定常電圧は、例えば、0(ボルト)である。
このように、中間電圧VMの印加期間を設けることで、解放時のマス部11xa及び11xbの振動エネルギーを下げることができる。以下では中間電圧VMを印加する動作を減衰振動動作と呼ぶ。これにより、マス部11xa及び11xbの振動の振幅(特に、逆位相モードの振幅)を小さくすることができ、うなりの振幅も小さくすることができる。したがって、振動の最中にマス部11xa及び11xbがストッパー部22xa及び22xbに接触することを防止することができ、正確な検出動作を行うことが可能となる。
しかしながら、上述した方法でマス部11xaの振動の振幅を小さくした場合、マス部11xaと捕捉電極部21xaとの距離が離れてしまい、電極/ストッパーユニット24xaによるマス部11xaを捕捉するための条件(捕捉条件)を満たさない可能性がある。捕捉条件は以下の式で表される。
kx<αV2/(A−x) (1)
kは接続バネ部13xaのバネ定数、xはマス部11xaの振幅値である。αは捕捉電極部21xaとマス部11xaの構造に起因する構造係数、Aは電極間距離(捕捉電極部21xaの位置)、Vは捕捉動作時にマス部11xaと捕捉電極部21xaとの間に印加される電圧である。ここで、振幅値xは、0≦x<B<Aを満たす。Bはストッパー距離(ストッパー部22xaの位置)である。なお、捕捉動作とは、マス部11xa(マスユニット11)と捕捉電極部21xa(電極/ストッパーユニット24)との間に、制御ユニット30がマス部11xa(マスユニット11)を捕捉するための電圧を印加する動作を言う。また、後述するが、解放動作とは、マス部11xa(マスユニット11)と捕捉電極部21xa(電極/ストッパーユニット24)との間に保持電圧VH が印加されている状態から、制御ユニット30が印加電圧を保持電圧VH よりも小さい電圧に切り替える動作を言う。
マス部11xaが捕捉電極部21xaに最接近した状態において、マス部11xaに働く復元力(式(1)の左辺)よりも、マス部11xaに働く静電引力(式(1)の右辺)が大きい場合には、電極/ストッパーユニット24xaは、マス部11xaを捕捉することができる。他方、マス部11xaに働く復元力(式(1)の左辺)が、マス部11xaに働く静電引力(式(1)の右辺)よりも大きい場合には、電極/ストッパーユニット24xaは、マス部11xaを捕捉することができない。これは、電極/ストッパーユニット24xbによるマス部11xbの捕捉動作においても同様である。
そこで、本実施形態では、捕捉及び解放機構20(電極/ストッパーユニット24xa及び24xb)がマスユニット11(マス部11xa及びマス部11xb)を解放した後、マスユニット11(マス部11xa及びマス部11xb)を捕捉するために、制御ユニット30によって以下のような制御を行っている。
制御ユニット30は、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbそれぞれによるマス部11xa及びマス部11xbの捕捉が成功したか失敗したかを判定する捕捉判定を行い、捕捉判定の結果が失敗であった場合、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbそれぞれによるマス部11xa及びマス部11xbの捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御を行う。
捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御には、例えば以下の方法がある。
(1)捕捉及び解放機構20によるマスユニット11の捕捉が失敗したときにマスユニット11と電極ユニット21との間に印加された電圧よりも大きい電圧をマスユニット11と電極ユニット21との間に印加することである。これにより、電極/ストッパーユニット24xaとマス部11xaとの間及び電極/ストッパーユニット24xbとマス部11xbとの間に働く静電引力が増加する。したがって、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbそれぞれによるマス部11xa及びマス部11xbの捕捉可能性(捕捉確率)が高まる。
(2)加振ユニット23によりマスユニット11を加振させることである。具体的には、制御ユニット30により、加振電極部23xaとマス部11xaとの間に、マス部11xaの振動に同期した電圧を印加する。また、制御ユニット30により、加振電極部23xbとマス部11xbとの間に、マス部11xbの振動に同期した電圧を印加する。これにより、電圧印加に起因した静電引力を受けてマス部11xa及びマス部11xaの振幅は増加する。よって、マス部11xaが捕捉電極部21xaに最接近した状態におけるマス部11xaと捕捉電極部21xaとの距離、及びマス部11xbが捕捉電極部21xbに最接近した状態におけるマス部11xbと捕捉電極部21xbとの距離が短くなる。これにより、電極/ストッパーユニット24xaとマス部11xaとの間、及び電極/ストッパーユニット24xbとマス部11xbとの間に働く静電引力が増加する。したがって、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbそれぞれによるマス部11xa及びマス部11xbの捕捉可能性(捕捉確率)が高まる。
上述した捕捉可能性(捕捉確率)を高めてマスユニット11を捕捉する動作を実現するための振動装置の構成について以下で説明する。
図5は、本実施形態に係る振動装置が備える各ユニットの構成例を示す図である。
図5に示した振動装置は、連成振動機構10と、捕捉及び解放機構20と、制御ユニット30と、位置検出ユニット40とを備えている。
図5では、連成振動機構10は、2つの振動子ユニット15xa及び15xbを含んでいる。振動子ユニット15xaは、マス部11xaと、固定部12xaと、接続バネ部13xaと、ダンパ部16xaとを含んでいる。
マス部11xaは、可動体70xaの一部である。可動体70xaは、マス部11xa、接続部71xa、平行平板型電極部72xa、櫛歯型電極部73xaにより構成されている。接続バネ部13xaの一端は、対応するマス部11xaに接続され、接続バネ部13xaの他端は、対応する固定部12xaに接続されている。したがって、マス部11xaの振動に応じて接続バネ部13xaが伸縮する。
なお、振動子ユニット15xbも、振動子ユニット15xaと同様に構成されている。
捕捉及び解放機構20は、電極/ストッパーユニット24xa及び24xbを含んでいる。電極/ストッパーユニット24xaは、捕捉電極部21xaと、ストッパー部22xaと、加振電極部23xaとを含んでいる。
捕捉電極部21xaは、平行平板型の電極である。捕捉電極部21xaは、平行平板型電極部72xaとともに平行平板型アクチュエータとして機能し、可動体70xaの捕捉及び解放を行う。ストッパー部22xaは、可動体70xaが捕捉電極部21xa及び加振電極部23xaに接触することを阻止する。加振電極部23xaは櫛歯型の電極である。加振電極部23xaは、可動体70xaの櫛歯型電極部73xaに静電引力を与えるための加振用の電極であり、後述する加振回路35によって制御される。
なお、電極/ストッパーユニット24xbも電極/ストッパーユニット24xaと同様に構成されている。
位置検出ユニット40は、複数のトランスデューサ素子41と、変位量変換回路42とを含んでいる。トランスデューサ素子41は、振動子ユニット15xa及び15xbそれぞれに対応して設けられる。トランスデューサ素子41は、例えば、可動体70xaのドライブ方向の振動に応じてキャパシタンスが変化する可変キャパシタによって構成される。変位量変換回路42には、増幅器43とインピーダンス素子44とが含まれる。位置検出ユニット40では、トランスデューサ素子41及び変位量変換回路42によって、マス部11xaのドライブ方向における振動に応じて変化する物理量(キャパシタンス)と、マス部11xbのドライブ方向における振動に応じて変化する物理量(キャパシタンス)とがそれぞれ電圧に変換される。そして、変換された電圧を示す信号が位置検出ユニット40から制御ユニット30に出力される。
制御ユニット30は、比較器31と、振動制御部32と、捕捉判定部33と、電圧選択部34と、加振回路35と、動作停止部36とを含んでいる。
位置検出ユニット40から出力された信号は、比較器31を介して、振動制御部32、捕捉判定部33、及び加振回路35に送られる。
振動制御部32は、位置検出ユニット40から出力される信号に基づいて、後述する電圧選択部34による電圧の選択を制御することで、マス部11xaの振動状態を制御する。振動制御部32は、制御情報を電圧選択部34に出力する。制御情報には、捕捉電極部21xaと平行平板型電極部72xaとの間に印加すべき電圧、すなわち電圧選択部34が選択すべき電圧の情報が含まれる。捕捉動作が実行される場合、振動制御部32は、マス部11xaが捕捉電極部21xaに最接近するタイミングで、上述した保持電圧の情報を含む制御情報を電圧選択部34に送る。
捕捉判定部33は、位置検出ユニット40から出力される信号(マスユニット11の振動状態)に基づいて電極/ストッパーユニット24xaがマス部11xaの捕捉に成功したか失敗したかを判定する。捕捉に成功したとは、電極/ストッパーユニット24xaがマス部11xaを捕捉できたことを言い、捕捉に失敗したとは、電極/ストッパーユニット24xaがマス部11xaを捕捉できなかったこと言う。
具体的には、捕捉判定部33は、位置検出ユニット40から出力される信号に基づいてマス部11xaが振動状態にあるか振動停止状態にあるかを判定することで、電極/ストッパーユニット24xaによるマス部11xaの捕捉が成功したか失敗したかを判定する。また、捕捉判定部33は、捕捉判定の結果を電圧選択部34、加振回路35、及び動作停止部36に出力する。
電圧選択部34は、捕捉電極部21xaと可動体70xaの平行平板型電極部72xaとの間に印加する電圧を選択する。このとき、電圧選択部34は、振動制御部32から出力された制御情報又は捕捉判定部33による捕捉判定の結果に基づいて印加電圧を選択する。捕捉動作時には、電圧選択部34は、振動制御部32から出力される制御情報に基づいて制御電圧を選択する。一方、捕捉判定が失敗であった場合における捕捉制御時には、電圧選択部34は、捕捉判定部33による捕捉判定の結果に基づいてマス部11xaの捕捉可能性を高めるための電圧選択を行う。
選択対象の電圧値には、保持電圧VH、解放電圧VL、中間電圧VM、変更保持電圧V0(>VH)がある。保持電圧VH、解放電圧VL、中間電圧VMは、上述した通りである。変更保持電圧V0は、捕捉判定部33による捕捉判定の結果が失敗であった場合に印加される電圧である。
マス部11xaを捕捉する場合、電圧選択部34は、マス部11xaが捕捉電極部21xaに最接近するタイミングで捕捉電極部21xaに印加する電圧を保持電圧VHに切り替える。マス部11xaを解放する場合、電圧選択部34は、マス部11xaを解放するタイミングで捕捉電極部21xaに印加する電圧を中間電圧VMに切り替え、その後解放電圧VLに切り替える。
捕捉判定部33による捕捉判定の結果が失敗であった場合、マス部11xaの捕捉動作時に、電圧選択部34は、捕捉電極部21xaに印加される電圧を保持電圧VHに代えて変更保持電圧V0 に切り替える。これにより、電極/ストッパーユニット24xaによるマス部11xaの捕捉可能性が高まる。
加振回路35は、位置検出ユニット40から出力される信号に基づいてマス部11xaの振動状態に同期してマス部11xaを加振する。これによりマス部11xaの振幅は大きくなる。具体的には、加振回路35は、加振電極部23xaに位置検出ユニット40から出力される信号に同期した信号を入力すること、すなわち加振電極部23xaと櫛歯型電極部73xaとの間にマス部11xaの振動に同期した電圧を印加することで、マス部11xaに静電引力を与える。これにより、マス部11xaは電圧印加に起因した静電引力を受けるため、マス部11xaの振幅は大きくなる。これにより、電極/ストッパーユニット24xaによるマス部11xaの捕捉可能性が高まる。
動作停止部36は、捕捉判定部33からの捕捉判定の結果に基づいて位置検出ユニット40の動作を停止する。すなわち、捕捉が成功した場合には、動作停止部36は、位置検出ユニット40の動作を停止する。なお、動作停止部36は、振動情報検出ユニット50及び角速度算出ユニット60の動作も停止するようにしてもよい。
なお、加振電極部23xaに代えて捕捉電極部21xaを用いてマス部11xaを加振させることもできる。この場合、捕捉時における印加電圧(保持電圧VH )に重畳して、捕捉電極部21xaと平行平板型電極部72xaとの間にマス部11xaの振動に同期した電圧が印加される。加振電極部23xaに代えて捕捉電極部21xaを加振動作に用いれば、加振電極部23xaを電極/ストッパーユニット24xaに設けなくてよい。
一方、捕捉電極部21xaは平行平板型の電極であるため、マス部11xaの位置に依存して捕捉電極部21xaと平行平板型電極部72xaとの距離が変わる。捕捉電極部21xaと平行平板型電極部72xaとの間に印加される電圧に起因する静電引力の大きさは、捕捉電極部21xaと平行平板型電極部72xaとの距離が長いほど小さくなる。このため、マス部11xaが捕捉電極部21xaから離れた場合、マス部11xaに与える静電引力が弱まってしまう。
他方、加振電極部23xaは櫛歯型の電極であるため、加振電極部23xaと櫛歯型電極部73xaとの間の櫛歯の配列方向における距離は一定である。このため、加振電極部23xaと櫛歯型電極部73xaとの間に印加される電圧に起因する静電引力の大きさは、マス部11xaの位置に依存しない。したがって、捕捉電極部21xaを用いるよりも加振電極部23xaを用いた方が、加振動作の制御が容易である。
なお、上述した例では、捕捉可能性(捕捉確率)を高める処理として捕捉電極部21xaと平行平板型電極部72xaとの間の印加電圧を高める処理、及び加振電極部23xaと櫛歯型電極部73xaとの間にマス部11xaの振動に同期した電圧を印加する処理の両方を行うようにしたが、いずれか一方の処理のみを行うようにしてもよい。
図6は、本実施形態に係る解放及び捕捉動作を示す第1の具体的なシーケンス図である。
なお、図6には、捕捉可能性を高めるために加振動作が実行されることを示しているが、加振動作に代えてマスユニット11と電極ユニット21との間の印加電圧を増加させる動作が実行されてもよいし、両方が実行されてもよい。
(A)のシーケンスは、捕捉及び解放機構20による捕捉動作及び解放動作についての制御状態を示す。捕捉期間において、制御ユニット30はマスユニット11と電極ユニット21との間に保持電圧VH を印加している。解放期間において、制御ユニット30はマスユニット11と電極ユニット21との間に中間電圧VMを印加した後、解放電圧VL を印加している。
(B)のシーケンスは、位置検出ユニット40の動作状態を示す。On状態において、位置検出ユニット40は動作しており、Off状態において、位置検出ユニット40は動作を停止している。(C)のシーケンスは、マスユニット11の振動状態を示している。マスユニットの状態には、無振動と、振動と、不定とがある。図6のシーケンスでは、マスユニット11の振動状態が不定である期間において、捕捉判定部33はマスユニット11の振動状態に基づいて捕捉判定を行っている。このため、不定の期間中、マスユニット11は振動しているか否か不明である。(D)のシーケンスは、制御ユニット30の各制御状態(減衰振動動作状態、捕捉判定動作状態、加振動作状態)、及び振動装置における計測動作状態を示す。
次に、図6のシーケンスに基づいた振動装置の動作の説明を行う。
(B)において、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を解放する直前に、制御ユニット30は位置検出ユニット40を動作させる。これにより、位置検出ユニット40は、Off状態からOn状態に遷移する。これはマスユニット11の位置情報を位置検出ユニット40が検出するためのスタートアップ期間を確保するためである。
(A)において、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を解放すると、(C)に示すようにマスユニット11は振動する(無振動から振動へ遷移)。このとき、(D)に示すように、制御ユニット30はまず減衰振動動作を行う。すなわち、VM の電圧印加を行う。減衰振動動作が完了した後、振動情報検出ユニット50及び位置検出ユニット40は物理量の計測動作を行う。この計測動作はドライブ方向及びセンス方向でのマスユニット11の位置情報(振動情報)を計測する動作である。計測動作時において、振動情報検出ユニット50は、第1の可変キャパシタのキャパシタンス及び第2の可変キャパシタのキャパシタンスの変化に基づいてマスユニット11の振動情報を検出する。
減衰振動動作及び計測動作の後、(A)に示すように捕捉及び解放機構20はマスユニット11の捕捉動作を行う。捕捉及び解放機構20がマスユニット11の捕捉に成功することが望ましいが、制御ユニット30が減衰振動動作を行っているため、マスユニット11の振幅が小さくなり、捕捉条件が満たされていない場合がある。
そこで、(D)に示すように捕捉及び解放機構20によるマスユニット11の捕捉動作とともに、制御ユニット30は捕捉判定を行う。(C)に示すように、捕捉判定中、マスユニット11の振動状態は不定である。すなわち、捕捉が成功している場合もあれば、捕捉が失敗している場合もある。制御ユニット30は、捕捉判定を位置検出ユニット40によって検出されるマスユニット11の振動状態(位置情報)に基づいて行う。このため、(B)に示すように、捕捉動作開始後、しばらくの間位置検出ユニット40は動作している。マスユニット11を構成する振動子ユニット15がストッパーユニット22に接触して振動が完全に停止するまでの時間は、マスユニット11の振動の1周期程度以下である。よって、制御ユニット30による捕捉判定期間は、少なくともマスユニット11の振動の1周期分である。そして、少なくともこの期間中、位置検出ユニット40は捕捉判定の結果待ちの状態である。
捕捉判定期間中、位置検出ユニット40からの信号に含まれる電圧の振動の振幅が所定値以下であった場合、マスユニット11が停止していると判断できる。よって、この場合、制御ユニット30は捕捉動作の結果が成功であると判定する。他方、捕捉判定期間中、位置検出ユニット40からの信号に含まれる電圧に変動がある場合、マスユニット11は振動していると判断できるため、制御ユニット30は捕捉動作の結果が失敗であると判定する。
捕捉判定の結果が成功であった場合、(C)に示すようにマスユニット11は振動していない状態にあることが確定する。また、捕捉判定の結果が成功であった場合、(B)に示すように、制御ユニット30は位置検出ユニット40の動作を停止する。これにより、位置検出ユニット40の不要な動作を停止することができるため、消費電力を下げることができる。なお、振動情報検出ユニット50及び角速度算出ユニット60の動作は、上述した計測動作が終了した時(捕捉動作の開始時)に停止される。
マスユニット11が捕捉された後、上述したように、(B)において、マスユニット11の解放直前に位置検出ユニット40を起動する。その後、(A)において、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を解放するため、(C)に示すようにマスユニット11が振動する。そして、(D)に示すように減衰振動動作及び物理量の計測動作が実行された後、(A)に示すように捕捉及び解放機構20はマスユニット11の捕捉動作を行う。また、(D)に示すように捕捉及び解放機構20によるマスユニット11の捕捉動作とともに、制御ユニット30は捕捉判定を行う。
捕捉判定の結果が失敗であった場合、(C)に示すようにマスユニット11は振動状態にあることが確定する。その場合、(D)に示すように、制御ユニット30は加振動作を行いながら、捕捉判定を行う。制御ユニット30によって加振動作及び捕捉判定が実行されている期間中は、マスユニット11の振動状態は不定である。
上述したように、制御ユニット30は、マスユニット11の振動状態に同期して、マスユニット11を加振させる。また、制御ユニット30はマスユニット11の振動状態に基づいて捕捉判定を行う。さらに、マスユニット11の振動状態は、位置検出ユニット40によって検出される。このため、(B)に示すように加振動作時及び捕捉判定時には、位置検出ユニット40が動作している。
制御ユニット30は、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を捕捉するまで加振動作及び捕捉判定を続ける。捕捉及び解放機構20がマスユニット11の捕捉に成功すると、(C)に示すようにマスユニット11は振動していない状態(無振動)にあることが確定する。この場合、制御ユニット30は位置検出ユニット40の動作を停止する。なお、振動情報検出ユニット50及び角速度算出ユニット60の動作は、計測動作の終了時、すなわち捕捉動作の開始時に停止される。
図6に示すシーケンスに基づいて、捕捉判定及び捕捉可能性(捕捉確率)を高める動作を実行することで、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を確実に捕捉することが可能になる。従って、減衰振動動作に起因して捕捉動作が不完全となることを未然に防ぐことができる。
なお、捕捉判定結果が失敗であった場合、制御ユニット30は加振動作を行った後に捕捉判定を実行してもよい。すなわち、加振動作と捕捉判定とが同時に実行されなくてもよい。この場合、加振動作の開始、加振動作の停止、捕捉判定の順序でそれらの動作が繰り返される。
また、図6に示すシーケンスおいて、制御ユニット30は捕捉動作の開始時(捕捉判定の開始時)から加振動作を行ってもよい。言い換えると、制御ユニット30は捕捉判定が完了する前から加振動作を行ってもよい。
しかし、捕捉条件が満たされている場合には、捕捉判定期間中に不要な加振動作を実行することになるため、不要な消費電力が発生する。したがって、捕捉判定の完了後であって、捕捉判定の結果が失敗であった場合に加振動作を実行する方が、消費電力を抑制できる。
ただし、捕捉判定を実行する前において、捕捉動作時に捕捉条件が満たされないと判断できる場合、制御ユニット30が捕捉動作の開始時から加振動作を実行することで、捕捉及び解放機構20は早期にマスユニット11を捕捉することができる。例えば、マスユニット11の解放及び捕捉に関する実験データを振動装置に記憶しておくことで、その実験データとマスユニット11の解放時の条件等とに基づいて、マスユニット11の解放後の捕捉時に捕捉条件が満たされるか否かを判断することができる。
なお、マスユニット11と電極ユニット21との間の印加電圧を増加させる動作が実行される場合、保持電圧VH よりも大きい電圧V0 を印加して捕捉判定を行い、その捕捉判定結果が失敗であったならば、電圧V0よりも大きい電圧V1 を印加してもよい。すなわち、捕捉判定結果が失敗である度に、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を捕捉するまで、マスユニット11と電極ユニット21との間に印加する電圧を徐々に増加させてもよい。また、捕捉及び解放機構20がマスユニット11の捕捉に成功した後は、マスユニット11と電極/ストッパーユニット24との間に印加される電圧を、捕捉成功時に印加していた電圧から保持電圧VH に低下させてもよい。
図6に示すシーケンスでは、捕捉及び解放機構20がマスユニット11の捕捉に成功した後、スタートアップ期間の開始時までの間、位置検出ユニット40の動作を停止することで振動装置全体の省電力化を図っていた。しかし、捕捉判定結果が失敗であった場合、捕捉及び解放機構20がマスユニット11の捕捉に成功するまで捕捉可能性(捕捉確率)を高める制御及び捕捉判定が実行される。また、捕捉判定期間中、位置検出ユニット40の動作を停止できないため、位置検出ユニット40の動作期間が長引いてしまう。
そこで、位置検出ユニット40の動作期間を長引かせないため、以下に述べるような方法を採用してもよい。以下に述べる方法によれば、捕捉及び解放周期に対して位置検出ユニット40の動作を停止する割合を増加させることで、さらなる位置検出ユニット40の省電力化、そして振動装置全体の省電力化を図ることができる。
図7は、本実施形態に係る、解放及び捕捉動作を示す第2の具体的なシーケンス図である。図7は、図6に示すシーケンスと比べてさらに消費電力を下げるため改良されたシーケンスを示す。なお、(A)、(B)、(C)、及び(D)の意味は、図6と同様である。また、図7には、捕捉可能性を高めるために加振動作が実行されることを示しているが、加振動作に代えてマスユニット11と電極ユニット21との間の印加電圧を増加させる動作が実行されてもよいし、両方が実行されてもよい。
図6に示すシーケンスでは、捕捉判定を開始するタイミングが捕捉動作の開始時であるため、捕捉動作の開始時からマスユニット11が捕捉されるまでの期間中、捕捉判定が行われる。そして、その期間中、位置検出ユニット40は動作している。
図7では、(D)に示すように制御ユニット30は、捕捉及び解放機構20によってマスユニット11の解放動作が実行される直前に捕捉判定を行う。保持電圧VH が印加されている状態で、マスユニット11が捕捉及び解放機構20に捕捉されていれば、保持電圧VH よりも小さい電圧を印加することで、マスユニット11は解放され、振動し始める。他方、保持電圧VH が印加されている状態でマスユニット11が捕捉及び解放機構20に捕捉されていなければ、解放動作の前後いずれにおいてもマスユニット11は振動した状態である。
捕捉及び解放機構20が解放動作を実行する直前に、(B)に示すように制御ユニット30は位置検出ユニット40を動作させている。捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行される直前であれば、捕捉判定時間はマスユニット11の振動周期の半分程度以下となる。よって、捕捉判定時間が図6の場合と比べて短くできる。
捕捉判定の結果、捕捉が成功であった場合、(A)に示すような捕捉及び解放機構20による解放動作によって、(C)に示すようにマスユニット11は振動する(無振動から振動へ遷移)。このとき、まず(D)に示すように制御ユニット30は減衰振動動作を実行する。減衰振動動作が完了した後、振動情報検出ユニット50及び位置検出ユニット40によって物理量の計測動作が行われる。このとき、捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行される直前に実行された捕捉判定結果に関係なく、計測動作中において制御ユニット30は加振動作を行わない。制御ユニット30は、この捕捉判定の結果に基づいて、計測動作の直後の捕捉及び解放機構20による捕捉動作の開始時に、加振動作を実行する又は非実行とする。
捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行されてからしばらくすると、(A)に示すように捕捉及び解放機構20は捕捉動作を実行する。このとき、捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行される直前に実行された捕捉判定結果が成功であった場合、制御ユニット30は加振動作を行わない。また、(B)に示すように制御ユニット30は位置検出ユニット40の動作を停止する。ここで、制御ユニット30は振動情報検出ユニット50と角速度算出ユニット60との動作も停止する。捕捉判定は実行されないため、(C)に示すようにマスユニット11は振動しているか否か不定である。そして、(D)に示すように捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行される直前に制御ユニット30は捕捉判定を行う。捕捉判定期間中は、(B)に示すように制御ユニット30は位置検出ユニット40を動作させている。
(A)に示すように捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行された後は、(C)に示すようにマスユニット11は振動している状態であるといえる。
捕捉判定の結果、捕捉が失敗であった場合、マスユニット11は捕捉及び解放機構20に捕捉されていなかったことになる。すなわち捕捉が失敗であった場合、(C)の中央部に示す不定の期間は、マスユニット11は振動していたことになり、捕捉及び解放機構20による解放動作の前後いずれにおいてもマスユニット11は振動している状態である。
また、捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行された後、(D)に示すように減衰振動動作及び物理量の計測動作が実行される。その後しばらくすると、(A)に示すように捕捉及び解放機構20は捕捉動作を実行する。
もし、捕捉及び解放機構20が解放動作を実行する直前に実行された捕捉判定結果が失敗であった場合、(D)に示すように、捕捉及び解放機構20が解放動作を実行した後であって次に捕捉及び解放機構20がマスユニット11の捕捉動作を実行するときに、制御ユニット30は加振動作を行う。加振動作は、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を捕捉できる程度の時間、実行される。その加振時間は予め定められている。
加振動作中、制御ユニット30は捕捉判定を行わない。このため、捕捉及び解放機構20はマスユニット11を捕捉できたか否かが不明であり、(C)に示すように、マスユニット11は振動しているか否か不定である。捕捉判定は、次の捕捉及び解放機構20による解放動作の直前に実行される。このように、解放動作の直前まで、捕捉判定は実行されないため、(B)に示すように、加振動作が終了した時に制御ユニット30は位置検出ユニット40の動作を停止することができる。
上述したように、捕捉及び解放機構20による解放動作の直前に行った捕捉判定結果に基づいて次の捕捉動作時における加振動作の実行の有無を決めることが可能である。特に、マスユニット11の捕捉及び解放の周期において、ほぼ振幅が変わらない程度にマスユニット11の振動のQ値が高い場合に、このような制御は有効である。
なお、図7に示すシーケンスにおいて、捕捉判定結果が失敗であったときに制御ユニット30は減衰振動動作を行わずに、振動情報検出ユニット50及び位置検出ユニット40が物理量の計測動作を実行することも可能である。マスユニット11が捕捉されていなかった場合、その後の振動によってマスユニット11がストッパーユニット22に接触する可能性が低いからである。
また、図7に示すシーケンスにおいて、捕捉判定結果が失敗である場合に加振動作ではなく、マスユニット11と電極ユニット21との間の印加電圧を増大する動作を行う場合、制御ユニット30は捕捉動作が開始されたときに位置検出ユニット40の動作を直ちに停止できる。加振動作を実行する場合には、マスユニット11の振動周期に同期した電圧を加振ユニット23に印加するために、制御ユニット30は位置検出ユニット40を動作させている。しかしながら、マスユニット11と電極ユニット21との間の印加電圧を増大する動作を実行する場合、そのような同期は不要であるからである。
なお、マスユニット11と電極ユニット21との間の印加電圧を増加させる動作が実行される場合、捕捉及び解放機構20がマスユニット11を捕捉できる程度の電圧V0 (>VH)を予め定めておき、捕捉判定結果が失敗であった後の捕捉動作時に、制御ユニット30がその予め定めた電圧を印加することにしてもよい。また、制御ユニット30が電圧V0 を印加した後に捕捉判定を実行し、その捕捉判定結果が失敗であった場合、その捕捉判定後の捕捉動作時に電圧V0 よりも大きい電圧V1 を印加してもよい。すなわち、捕捉に成功するまで、制御ユニット30は、捕捉動作が実行される毎にその捕捉動作時に印加される電圧を増加させてもよい。
図7に示すシーケンスにおいては、捕捉及び解放機構20による解放動作が実行される直前に捕捉判定を行うことで、捕捉判定時間を短くすることができる。また、捕捉判定の結果が失敗である場合、捕捉可能性を高める制御動作を次の捕捉動作時に持ち越す。このため、捕捉判定時間中における位置検出ユニット40の動作を停止する時間を増やし、位置検出ユニット40の低消費電力化を図ることができる。
図8は、本実施形態に係る振動装置の第2の具体的構成例を模式的に示した図である。
基本的な概念は、図1に示した振動装置と同様である。また、基本的な構成は図2及び図3に示した第1の具体的構成例と類似しているため、第1の具体的構成例で説明した事項の説明は省略する。
図8に示した振動装置では、連成振動機構が4つの振動子ユニット15xa、15xb、15xc及び15xdで構成され、捕捉及び解放機構が4つの電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdによって構成されている。
振動子ユニット15xaは、マス部11xaと、固定部12xaと、接続バネ部13xaとを含んでいる。振動子ユニット15xbは、マス部11xbと、固定部12xbと、接続バネ部13xbとを含んでいる。振動子ユニット15xcは、マス部11xcと、固定部12xcと、接続バネ部13xcとを含んでいる。振動子ユニット15xdは、マス部11xdと、固定部12xdと、接続バネ部13xdとを含んでいる。
電極/ストッパーユニット24xaは、捕捉電極部21xaと、ストッパー部22xaと、加振電極部23xaとを含んでいる。電極/ストッパーユニット24xbは、捕捉電極部21xbと、ストッパー部22xbと、加振電極部23xbとを含んでいる。電極/ストッパーユニット24xcは、捕捉電極部21xcと、ストッパー部22xcと、加振電極部23xcとを含んでいる。電極/ストッパーユニット24xdは、捕捉電極部21xdと、ストッパー部22xdと、加振電極部23xdとを含んでいる。
マス部(第1のマス部)11xa及びマス部(第2のマス部)11xbは、それらの振動方向(第1の方向)に平行な方向に配列されている。マス部(第3のマス部)11xc及びマス部(第4のマス部)11xdは、それらの振動方向(第2の方向)に平行な方向に配列されている。第2の方向は第1の方向に対して垂直である。
マス部11xa、マス部11xb、マス部11xc及びマス部11xdは、接続ユニット14によって接続されている。具体的には、接続ユニット14は、マス部11xa及びマス部11xcを接続する接続部材14x1と、マス部11xa及びマス部11xdを接続する接続部材14x2と、マス部11xb及びマス部11xcを接続する接続部材14x3と、マス部11xb及びマス部11xdを接続する接続部材14x4とによって構成されている。
マス部11xaの近傍には電極部18aが設けられており、マス部11xaと電極部18aとによって第1の可変キャパシタが構成されている。マス部11xbの近傍には電極部18bが設けられており、マス部11xbと電極部18bとによって第2の可変キャパシタが構成されている。マス部11xcの近傍には電極部18cが設けられており、マス部11xcと電極部18cとによって第3の可変キャパシタが構成されている。マス部11xdの近傍には電極部18dが設けられており、マス部11xdと電極部18dとによって第4の可変キャパシタが構成されている。
図2及び図3に示した第1の具体的構成例と同様に、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdと対応する電極部18a、18b、18c及び18dとの距離が変化することで、第1、第2、第3及び第4の可変キャパシタのキャパシタンスが変化する。これらのキャパシタンスの変化に基づいて、図1の振動情報検出ユニット50で振動情報が検出される。
マス部11xa及びマス部11xbは、互いに逆位相で振動する。すなわち、マス部11xaが固定部12xaから遠ざかるときには、マス部11xbも固定部12xbから遠ざかる。逆に、マス部11xaが固定部12xaに近づくときには、マス部11xbも固定部12xbに近づく。同様に、マス部11xc及びマス部11xdも、互いに逆位相で振動する。このように、マス部11xa及びマス部11xbが逆位相で振動し、マス部11xc及びマス部11xdが逆位相で振動することにより、加速度等の並進運動の影響を排除することができ、回転運動を的確に抽出することができる。
また、マス部11xa及びマス部11xbのペアとマス部11xc及びマス部11xdのペアとは、互いに逆位相で振動する。すなわち、マス部11xaとマス部11xbとが互いに近づくとき、マス部11xcとマス部11xdとは互いに遠ざかる。マス部11xaとマス部11xbとが互いに遠ざかるとき、マス部11xcとマス部11xdとは互いに近づく。
マス部11xa、11xb、11xc及び11xdをそれぞれ、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdで捕捉するときの基本的な原理及び基本的な動作は、図2及び図3に示した第1の具体的構成例と同様である。本構成例では、マス部11xa及び11xbのペアとマス部11xc及び11xdのペアとが互いに逆位相で振動するため、マス部11xa及び11xbがそれぞれ電極/ストッパーユニット24xa及び24xbによって捕捉されるタイミングで、マス部11xc及び11xdがそれぞれ電極/ストッパーユニット24xc及び24xdによって捕捉される。
マス部11xa、11xb、11xc及び11xdを電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdから解放するときの基本的な原理及び基本的な動作も、図2、図3及び図4に示した第1の具体的構成例と同様である。すなわち、本構成例でも、第1の具体的構成例の図4と同様に、保持電圧VH の印加期間と解放電圧VL の印加期間との間に中間電圧VM の印加期間を設けている。これにより、本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、うなりの振幅も小さくすることができ、振動の最中にマス部11xa、11xb、11xc及び11xdがストッパー部22xa、22xb、22xc及び22xdに接触することを防止することができ、正確な検出動作を行うことが可能となる。
マス部11xa、11xb、11xc及び11xdを加振電極部23xa、23xb、23xc及び23xdによって加振させるときの基本的な原理及び基本的な動作も、図2、図3に示した第1の具体的構成例と同様である。また、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdをそれぞれ、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdで捕捉するときに、捕捉電極部21xa、21xb、21xc及び21xdに印加される電圧を増加する基本的な原理及び基本的な動作は、図2及び図3に示した第1の具体的構成例と同様である。すなわち、本構成例でも、第1の具体的構成例の図5と同様に、制御ユニット30は、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdによるそれぞれマス部11xa、11xb、11xc及び11xdの捕捉が成功したか失敗したかを判定し、判定の結果が失敗であった場合、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdの捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御を行う。捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御には、上述したように、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdを加振させることと、マス部11xaと捕捉電極部21xaとの間、マス部11xbと捕捉電極部21xbとの間、マス部11xcと捕捉電極部21xcとの間、及びマス部11xdと捕捉電極部21xdとの間に印加する電圧を増加させることとが含まれる。さらに、捕捉判定のタイミング及び捕捉可能性(確率)を高める制御に関して図6に示すシーケンスを適用することができる。
これにより、本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdがマス部11xa、11xb、11xc及び11xdを確実に捕捉することが可能になる。したがって、減衰振動動作に起因して捕捉動作が不完全となることを未然に防ぐことができる。
また、本構成例に図7に示すシーケンスを適用することもできる。これにより、本構成例でも、捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行される直前に捕捉判定を行うことで捕捉判定時間を短くすることができる。また、捕捉判定の結果が失敗である場合、捕捉可能性を高める制御動作を次の捕捉動作時に持ち越すため、捕捉判定時間中における位置検出ユニット40の動作を停止する時間を増やし、位置検出ユニット40のさらなる低消費電力化を図ることができる。
図9は、本実施形態に係る振動装置の第3の具体的構成例を模式的に示した図である。基本的な概念は、図1に示した振動装置と同様である。また、基本的な構成は、図2及び図3に示した第1の具体的構成例並びに図8に示した第2の具体的構成例と類似している。したがって、第1の具体的構成例及び第2の具体的構成例で説明した事項の説明は省略する。
図8に示した第2の具体的構成例と同様、本構成例でも、マス部11xa及びマス部11xbは互いに逆位相で振動し、マス部11xc及びマス部11xdも互いに逆位相で振動する。ただし、本構成例では、マス部11xa及びマス部11xbのペアとマス部11xc及びマス部11xdのペアとは、互いに同位相で振動する。すなわち、マス部11xaとマス部11xbとが互いに近づくとき、マス部11xcとマス部11xdも互いに近づき、マス部11xaとマス部11xbとが互いに遠ざかるとき、マス部11xcとマス部11xdも互いに遠ざかる。
マス部11xa、11xb、11xc及び11xdをそれぞれ、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdで捕捉するときの基本的な原理及び基本的な動作は、図2及び図3に示した第1の具体的構成例と同様である。本構成例では、マス部11xa及び11xbのペアとマス部11xc及び11xdのペアとが互いに同位相で振動するため、マス部11xa及び11xbがそれぞれ電極/ストッパーユニット24xa及び24xbによって捕捉されるタイミングで、マス部11xc及び11xdがそれぞれ電極/ストッパーユニット24xc及び24xdによって捕捉される。
マス部11xa、11xb、11xc及び11xdを電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdから解放するときの基本的な原理及び基本的な動作も、図2、図3及び図4に示した第1の具体的構成例と同様である。すなわち、本構成例でも、第1の具体的構成例の図4と同様に、保持電圧VH の印加期間と解放電圧VL の印加期間との間に中間電圧VM の印加期間を設けている。これにより、本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、うなりの振幅を小さくすることができ、振動の最中にマス部11xa、11xb、11xc及び11xdがストッパー部22xa、22xb、22xc及び22xdに接触することを防止することができ、正確な検出動作を行うことが可能となる。
マス部11xa、11xb、11xc及び11xdを加振電極部23xa、23xb、23xc及び23xdによって加振させるときの基本的な原理及び基本的な動作も、図2、図3に示した第1の具体的構成例と同様である。また、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdをそれぞれ、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdで捕捉するときに、捕捉電極部21xa、21xb、21xc及び21xdに印加される電圧を増加する基本的な原理及び基本的な動作は、図2及び図3に示した第1の具体的構成例と同様である。すなわち、本構成例でも、第1の具体的構成例の図5と同様に、制御ユニット30は、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdによるそれぞれマス部11xa、11xb、11xc及び11xdの捕捉が成功したか失敗したかを判定し、判定の結果が失敗であった場合、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdの捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御を行う。捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御には、上述したように、マス部11xa、11xb、11xc及び11xdを加振させることと、マス部11xaと捕捉電極部21xaとの間、マス部11xbと捕捉電極部21xbとの間、マス部11xcと捕捉電極部21xcとの間、及びマス部11xdと捕捉電極部21xdとの間に印加する電圧を増加させることとが含まれる。さらに、捕捉判定のタイミング及び捕捉可能性(確率)を高める制御に関して図6に示すシーケンスを適用することができる。
これにより、本構成例でも、第1の具体的構成例と同様に、電極/ストッパーユニット24xa、24xb、24xc及び24xdがマス部11xa、11xb、11xc及び11xdを確実に捕捉することが可能になる。従って、減衰振動動作に起因して捕捉動作が不完全となることを未然に防ぐことができる。
また、本構成例に図7に示すシーケンスを適用することもできる。これにより、本構成例でも、捕捉及び解放機構20によって解放動作が実行される直前に捕捉判定を行うことで、捕捉判定時間を短くすることができる。また、捕捉判定の結果が失敗である場合、捕捉可能性を高める制御動作を次の捕捉動作時に持ち越すため、捕捉判定時間中における位置検出ユニット40の動作を停止する時間を増やし、位置検出ユニット40のさらなる低消費電力化を図ることができる。
なお、上述した本実施形態の説明では減衰振動動作を実行する場合について説明したが、必ずしも減衰振動動作が実行されなくてもよい。すなわち、減衰振動動作を実行しない振動装置に対しても、捕捉判定を行い、捕捉判定の結果が失敗であった場合に捕捉及び解放機構20によるマスユニット11の捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御を行うことを適用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、連成振動機構を有する振動装置において、捕捉及び解放機構によるマスユニットの捕捉が成功したか失敗したかを判定する捕捉判定を行い、その捕捉判定の結果が失敗であった場合、捕捉及び解放機構によるマスユニットの捕捉可能性(捕捉確率)を高める捕捉制御を行うことで、捕捉及び解放機構がマスユニットを捕捉することが可能になる。このため、マスユニットの解放後において、減衰振動動作の実行又はその他の理由によりマスユニットの振幅が小さくなった場合でもマスユニットを捕捉することができる。よって、適正な捕捉及び解放動作を行うことが可能な振動装置を得ることができる。したがって、このような振動装置をジャイロセンサに適用することで、正確な検出動作を行うことが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。