本出願は、日本国特許出願2016−202941号(2016年10月14日出願)、日本国特許出願2016−202957号(2016年10月14日出願)、及び日本国特許出願2016−202961号(2016年10月14日出願)の優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
例えば災害が発生した場合等の非常時には、平常時とは異なる方法で電力供給が行われれば有用な場合がある。本開示に係る受電機、送受電機及び送電システムによれば、有用性を向上可能である。
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る送電システム1の概略構成を示す図である。送電システム1は、複数の電子機器と、送電機300とを備える。図1では、複数の電子機器の一例として、携帯電話機10と、時計(壁掛け時計)20とを図示している。
複数の電子機器は、受電機又は送受電機のいずれかをそれぞれ内部に収容している。本実施形態では、携帯電話機10は、受電機を収容している。本実施形態では、時計20は、送受電機を収容している。複数の電子機器は、例えば自機内の電池ホルダ内に、当該電池ホルダに収容可能な形状の受電機又は送受電機を収容していてよい。この場合、受電機又は送受電機は、外観が、例えば乾電池又はボタン型電池等の形状であってもよい。
複数の電子機器は、それぞれ内部に収容する受電機又は送受電機から供給される電力によって駆動する。図1では、電子機器の例として、携帯電話機10及び時計20が図示されている。しかし、電子機器は、図1に示されるものに限られず、受電機又は送受電機によって駆動可能な任意の電子機器とすることができる。例えば、電子機器は、ラジオ、リモコン、マウス又は電子辞書等であってもよい。
図2は、送電システム1の概略構成を示す機能ブロック図である。送電システム1は、受電機100と、送受電機200と、送電機300とを有する。送受電機200は、詳細については後述するように、受電機としての受電機能及び送電機としての送電機能の双方の機能を有する。送受電機200は、所定の条件に応じて、受電機又は送電機のいずれかとして機能する。ここでは、説明を簡潔にするため、受電機100、送受電機200及び送電機300をそれぞれ1つずつ記載しているが、送電システム1は、受電機100、送受電機200及び送電機300をそれぞれ複数有していてもよい。
受電機100は、送電機300から無線電力を受電する。受電機100は、送電機として機能する送受電機200から無線電力を受電する。具体的には、受電機100は、送電機300から、電力供給のための電磁波を受信する。受電機100は、送信機として機能する送受電機200から、電力供給のための電磁波を受信する。受電機100は、受信した電磁波を直流電力に変換する。このようにして、受電機100は、無線電力を受電する。
受電機100は、受電した電力を、自機を収容している電子機器(ここでは携帯電話機10)に供給する。受電機100は、正極端子と負極端子とを備える。正極端子は、電子機器の正極側の端子に接続される。負極端子は、電子機器の負極側の端子に接続される。受電機100は、正極端子と負極端子とを介して、電子機器に電力を供給する。
受電機100は、受電部120と、通信部121と、記憶部130と、制御部131と、蓄電部140とを備える。
受電部120は、無線電力を受電する。具体的には、受電部120は、制御部131の制御に基づき、外部から受信した電磁波に基づいて発電することにより、無線電力を受電する。受電部120は、発電した電力を、正極端子及び負極端子を介して、電子機器に供給する。正極端子と負極端子との間の電位差は、例えば電力が供給される電子機器に応じた電位差であってよい。
受電部120は、アンテナ120Aと整流回路120Bとを備える。アンテナ120Aは、送電機300又は送電機として機能する送受電機200から、電磁波を受信する。整流回路120Bは、アンテナ120Aが受信した電磁波を直流電力に変換する。整流回路120Bは、変換後の直流電力を、正極端子及び負極端子を介して、電子機器に供給する。
通信部121は、制御部131の制御に基づき、外部の機器と無線通信を行う。通信部121は、例えば送電機300及び送受電機200と通信する。通信部121は、受電機100を収容する携帯電話機10と通信してよい。受電機100は、通信部121の代わりに、アンテナ120Aを用いて無線通信を行ってもよい。通信部121は、平常時に送電を要求する送電要求と、非常時に送電を要求する非常送電要求とを送信する。送電要求及び非常送電要求の詳細については後述する。
記憶部130は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部130は、各種情報及び/又は受電機100を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部130は、ワークメモリとしても機能してもよい。
制御部131は、受電機100の各機能ブロックをはじめとして、受電機100の全体を制御及び管理するプロセッサである。制御部131は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
蓄電部140は、受電機100の正極端子及び負極端子と電気的に接続され、受電部120と電気的に接続される。蓄電部140は、受電部120が受電した電力のうち、電子機器に供給されなかった電力(以下「余剰電力」という)を蓄えることができる。蓄電部140が蓄電した電力は、例えば、受電機100が送電機300及び送受電機200から無線電力を受電できない場合に、正極端子及び負極端子を介して、電子機器に供給されてよい。
送電機300は、例えばホームゲートウェイ及び無線送電システム等であり、例えば屋内に設置される。送電機300は、受電機100及び送受電機200に無線電力を送電する。具体的には、送電機300は、電力供給のための電磁波を生成する。送電機300は、生成した電磁波を、例えば同一屋内に設置される、電子機器内の受電機100又は送受電機200に対して送信する。送電機300は、図1に示す例では、携帯電話機10内の受電機100及び時計20内の送受電機200に対して、電磁波を送信する。
送電機300は、受電機100及び送受電機200との間で認証を行い、認証が成功した受電機100及び送受電機200に対してのみ、電力供給のための電磁波を送信してもよい。これにより、送電機300が意図しない電子機器(例えば隣家の電子機器)に搭載された受電機又は送受電機に、電力を供給することを防ぐことができる。
ここで認証処理について説明する。まず、送電機300は、受電機100又は送受電機200から、認証を要求するパイロット信号を受信する。すると、送電機300は、当該受電機100又は送受電機200に対し、識別情報を要求する信号を送信する。受電機100又は送受電機200は、送電機300から識別情報を要求する信号を受信すると、送電機300に当該受電機100又は送受電機200の識別情報を含む信号を送信する。送電機300は、受電機100又は送受電機200から、受電機100又は送受電機200の識別情報を含む信号を取得すると、当該受電機100又は送受電機200の識別情報が認証されているか否か判定する。送電機300は、当該受電機100又は送受電機200の識別情報が認証されていると判定した場合、当該受電機100又は送受電機200に対し、認証成功を通知する信号を送信する。このようにして、送電機300と、受電機100又は送受電機200との間で、認証が行われる。認証は、受電機100と送受電機200との間で行われてもよい。
送電機300は、受電機100及び送受電機200との間で認証を行うことなく、受電機100及び送受電機200に対して、電力供給のための電磁波を送信してもよい。これにより、送電機300を公共の場所に設置させ、送電機300によって任意の電子機器に電力を供給することが可能になる。
送電機300は、送電部320と、通信部321と、記憶部330と、制御部331と、蓄電部340とを備える。
送電部320は、無線電力を送電する。具体的には、送電部320は、制御部331の制御に基づき、例えば配電設備等の電源から供給された電力を、電磁波として出力することにより、無線電力を送電する。
送電部320は、アンテナ320Aと発振器320Bとを備える。発振器320Bは、電源から供給された電力に基づき、アンテナ320Aから電磁波を送信することにより、無線電力を送電する。
通信部321は、制御部331の制御に基づき、外部の機器と無線通信を行う。本実施形態では、通信部321は、受電機100及び送受電機200と通信する。送電機300は、通信部321の代わりに、アンテナ320Aを用いて無線通信を行ってもよい。通信部321は、例えば受電機100から送信される送電要求及び非常送電要求等を受信する。
記憶部330は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部330は、各種情報及び/又は送電機300を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部330は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部330は、例えば、認証を行った受電機100及び送受電機200の識別情報等を記憶してよい。
制御部331は、送電機300の各機能ブロックをはじめとして、送電機300の全体を制御及び管理するプロセッサである。制御部331は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
蓄電部340は、電源から供給される電力を蓄えることができる。
送受電機200は、受電機能及び送電機能を有し、送電システム1における制御状況に応じて、受電機又は送電機のいずれかとして機能する。
送受電機200は、受電機として機能する場合、送電機300から無線電力を受電できる。送受電機200は、上述した受電機100による無線電力の受電と同様に、送電機300から電力供給のための電磁波を受信し、受信した電磁波を直流電力に変換することにより、無線電力を受電する。
送受電機200は、受電した電力を、自機を収容している電子機器(ここでは時計20)に供給する。送受電機200は、受電機100と同様に、正極端子と負極端子とを備え、正極端子と負極端子とを介して、電子機器に電力を供給する。
送受電機200は、送電機として機能する場合、受電機100に無線電力を送電できる。送受電機200は、無線電力を送電する場合、電力供給のための電磁波を生成し、生成した電磁波を受電機100に対して送信する。送受電機200は、図1に示す例では、携帯電話機10内の受電機100に対して電磁波を送信できる。送受電機200は、認証を行った受電機100、すなわち記憶部230に記憶された識別情報に対応する受電機100に対して電磁波を送信してもよい。
送受電機200は、送電部210と、受電部220と、通信部221と、記憶部230と、制御部231と、蓄電部240とを備える。
受電部220は、アンテナ220Aと整流回路220Bとを備える。アンテナ220Aは、送電機300から電磁波を受信する。整流回路220Bは、アンテナ220Aが受信した電磁波を直流電力に変換する。整流回路220Bは、変換後の直流電力を正極端子及び負極端子を介して、電子機器に供給する。
送電部210は、アンテナ210Aと発振器210Bとを備える。発振器210Bは、蓄電部240から供給された電力に基づき、アンテナ210Aから電磁波を送信することにより、無線電力を送電する。
通信部221は、制御部231の制御に基づき、外部の機器と無線通信を行う。本実施形態では、通信部221は、受電機100及び送電機300と通信する。送受電機200は、通信部221の代わりに、アンテナ220A又はアンテナ210Aを用いて無線通信を行ってもよい。通信部221は、例えば平常時に送電要求を送信できる。通信部221は、例えば非常時に受電機100から送信される非常送電要求等を受信できる。
記憶部230は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成されることができる。記憶部230は、各種情報及び/又は送受電機200を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部230は、ワークメモリとしても機能してもよい。記憶部230は、認証を行った受電機100の識別情報等を記憶してよい。
制御部231は、送受電機200の各機能ブロックをはじめとして、送受電機200の全体を制御及び管理するプロセッサである。制御部231は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。
蓄電部240は、送受電機200の正極端子及び負極端子と電気的に接続され、受電部220及び送電部210と電気的に接続される。蓄電部240は、受電部220が受電した電力のうち、電子機器に供給されなかった電力(以下「余剰電力」という)を蓄えることができる。蓄電部240が蓄電した電力は、例えば、送受電機200が送電機300から無線電力を受電できない場合に、正極端子及び負極端子を介して、電子機器に供給されてよい。蓄電部240が蓄電した電力は、受電機100からの非常送電要求に基づいて、送電部210から受電機100に送電されてもよい。
次に、一実施形態に係る送電システム1における送電処理について説明する。一実施形態に係る送電システム1は、平常時と、非常時とで、異なる処理を行う。本明細書において、送電システム1における非常時とは、例えば、電源から送電機300に電力が供給されない場合をいう。このような非常時の場合、電源から送電機300に電力が供給されないため、送電機300から受電機100及び送受電機200への無線電力の送電も停止される。
非常時は、例えば、受電機100が送電機300から無線電力を受電できない場合であってよい。非常時は、例えば、受電機100が災害の発生に関する情報を取得した場合であってもよい。非常時は、例えば、受電機100が収容された携帯電話機10のユーザにより、所定の入力操作が行われた場合であってもよい。非常時は、これらの例に限られず、例えば、電源から送電機300への電力の供給がされないことが判断可能な任意の場合であってよい。
非常時は、これらの例のうち、任意の複数の組合せの条件が満たされた場合であってもよい。複数の条件を組み合わせることにより、例えば受電機100又は送電機300の誤動作によって、誤って非常時であると判断されることを防止しやすくなる。
非常時であるか否かは、受電機100が判断してよい。受電機100は、例えば受電部120が無線電力を受電できない場合、非常時であると判断してよい。受電機100は、例えば、外部の通信装置から送信された災害の発生に関する情報を、通信部121を介して取得した場合、非常時であると判断してよい。災害の発生に関する情報は、例えば、地震が発生したことを知らせる緊急地震速報等であってよい。受電機100は、例えばユーザが携帯電話機10に対して、非常時であると設定するための所定の入力操作を行った場合に、当該設定に関する信号を通信部121を介して取得することにより、非常時であると判断してよい。ここで示す受電機100による判断方法は、一例に過ぎず、受電機100は、他の手段により非常時であることを判断してよい。受電機100は、非常時でない場合は、平常時であると判断してよい。
一実施形態において、非常時は、受電機100が平常時の送電機300からの電力供給速度以上の速度で給電を必要とする場合を含んでいてもよい。例えば、ユーザは、平常時よりも速く受電機100への給電が必要であると判断した場合、受電機100が収容された携帯電話機10に対して所定の入力操作を行う。この入力操作により、受電機100は、平常時の送電機300からの電力供給速度以上の速度で給電を必要とすると判断し、非常時であると認識してよい。
図3は、平常時の送電処理の一例を示すシーケンス図である。平常時には、送受電機200は、受電機として機能する。
平常時に、受電機100は、送電要求を送信する(ステップS101)。受電機100は、例えば定期的に送電要求を送信してよく、受電が必要と判断した場合に送電要求を送信してもよい。受電が必要と判断した場合は、例えば、受電機100の蓄電部140における蓄電量が所定の閾値を下回った場合等である。送電要求には、例えば、受電機100の識別情報が含まれていてよい。
送電機300は、受電機100からの送電要求を受信すると、送電要求に含まれる受電機100の識別情報に基づき、送電要求を送信した受電機100が、送電機300により認証された受電機であるか否かを確認(判断)する(ステップS102)。送電機300は、例えば送電要求に含まれる識別情報が、記憶部330に記憶された識別情報に含まれるか否かに基づいて、認証された受電機であるか否かを判断する。
送電機300は、送電要求を送信した受電機100が認証された受電機である場合、当該受電機100に、無線電力を送電する(ステップS103)。このようにして、送電機300から受電機100に無線電力が送電される。
平常時に、送受電機200は、送電要求を送信する(ステップS104)。送受電機200は、上述の受電機100と同様に、例えば定期的に送電要求を送信してよく、受電が必要と判断した場合に送電要求を送信してもよい。送電要求には、例えば、送受電機200の識別情報が含まれていてよい。
送電機300は、送受電機200からの送電要求を受信すると、送電要求に含まれる送受電機200の識別情報に基づき、送電要求を送信した送受電機200が、送電機300により認証された送受電機であるか否かを確認(判断)する(ステップS105)。
送電機300は、送電要求を送信した送受電機200が認証された送受電機である場合、当該送受電機200に、無線電力を送電する(ステップS106)。このようにして、送電機300から送受電機200に無線電力が送電される。
図3で示した送電処理の手順は、一例にすぎず、必ずしもこの順序で実行されなくてもよい。平常時には、送受電機200が受電機として機能し、送電機300から受電機100及び送受電機200に無線電力が送電されればよい。
図4は、非常時の送電処理の一例を示すシーケンス図である。非常時には、送受電機200は、送電機として機能する。
受電機100は、非常時であると判断した場合、非常送電要求を送信する(ステップS201)。非常送電要求は、例えば非常時であることを通知する通知情報を含んでよい。受電機100は、例えば非常時であると判断したときに、非常送電要求を送信してよい。
送受電機200は、受電機100からの非常送電要求を受信すると、非常送電要求に含まれる通知情報により、非常時であることを認識できる。この場合、送受電機200は、受電機の機能を停止する(ステップS202)。例えば、送受電機200は、送電要求の送信を停止する。
そして、送受電機200は、送電機の機能を起動する(ステップS203)。送受電機200は、受電機100の非常送電要求に応じて、当該受電機100に、無線電力を送電する(ステップS204)。このようにして、非常時には、送受電機200から受電機100に無線電力が送電される。
送受電機200は、無線電力を送電する前に、受電機100の認証情報を取得し、非常送電要求を送信した受電機100が送受電機200により認証された受電機であるか否かを判断してもよい。
次に、受電機100が実行する処理の一例について、図5のフローチャートを参照して説明する。受電機100は、例えば定期的に図5に示すフローを実行してよく、受電が必要と判断した場合に図5に示すフローを実行してもよい。
受電機100は、非常時であるか否かを判断する(ステップS301)。非常時であるか否かは、例えば上記説明した方法で判断される。
受電機100は、非常時でないと判断した場合(ステップS301のNo)、送電要求を送信する(ステップS302)。
受電機100は、送電要求に応じて送電される無線電力を受電する(ステップS304)。すなわち、受電機100は、送電機300から送電される無線電力を受電する。受電機100は、受電した無線電力を蓄電部140に蓄電してもよい。
受電機100は、非常時であると判断した場合(ステップS301のYes)、非常送電要求を送信する(ステップS303)。非常送電要求は、無線電力の送電を要求信号であり、非常時であることを通知する信号を含む。
受電機100は、非常送電要求に応じて送電される無線電力を受電する(ステップS304)。すなわち、受電機100は、送受電機200から送電される無線電力を受電する。
次に、送受電機200が実行する処理の一例について、図6のフローチャートを参照して説明する。送受電機200は、例えば定期的に図6に示すフローを実行してよく、受電が必要と判断した場合に図6に示すフローを実行してもよい。図6のフローの開始時点において、送受電機200は、受電機として機能している。
送受電機200は、受電機100から非常送電要求を受信しているか否かを判断する(ステップS401)。
送受電機200は、受電機100から非常送電要求を受信していないと判断した場合(ステップS401のNo)、送電要求を送信する(ステップS402)。
送受電機200は、送電要求に応じて送電される無線電力を受電する(ステップS403)。すなわち、送受電機200は、送電機300から送電される無線電力を受電する。送受電機200は、受電した無線電力を蓄電部240に送電してもよい。
送受電機200は、受電機100から非常送電要求を受信していると判断した場合(ステップS401のYes)、非常時であることを認識し、受電機の機能を停止する(ステップS404)。
そして、送受電機200は、送電機の機能を起動する(ステップS405)。
送受電機200は、受電機100の非常送電要求に応じて、当該受電機100に、無線電力を送電する(ステップS406)。このようにして、送受電機200は、非常時には、受電機100に無線電力を送電する処理を実行する。
このように、本実施形態に係る送電システム1では、受電機100が、非常時に非常送電要求を送信する。送受電機200は、平常時は、送電機300から無線電力を受電する受電機として機能するが、受電機100からの非常送電要求を受信すると、非常時であると判断し、送電機として機能する。すなわち、非常時に送電機300からの無線電力の供給ができなくなると、送受電機200は、受電機100に無線電力を送電する。このようにして、送電機300から無線電力が供給されない場合であっても、受電機100に無線電力が送電されることにより、受電機100を収容する電子機器は、非常時にも動作を継続し得る。受電機100が、例えば携帯電話機10又はラジオ等に収容されていれば、当該携帯電話機10又はラジオ等は、災害時等の非常時にも、より長く使用され得る。このようにして、送電システム1は、有用性を向上可能である。
受電機100と、送受電機200と、送電機300との間で認証が行われている場合には、認証が行われていない受電機100又は送受電機200に対して、無線電力が送電されない。このようにして、所定のユーザが所有する送電機300又は送受電機200から、他のユーザが所有する受電機100又は送受電機200に無線電力が送電されることを防止できる。
上記第1実施形態において、受電機100の制御部131は、非常時に、通信部121から、受電機100の受電の優先度に関する情報を送信してもよい。受電の優先度に関する情報は、送受電機200が、複数の受電機100に対して、非常時に送電する優先順位を決定するために使用される。
受電の優先度に関する情報は、例えば、各受電機100を収容する電子機器の種類に関する情報であってよい。例えば、携帯電話機10とラジオとに、それぞれ受電機100が収容されている場合、各受電機100は、受電の優先度に関する情報として、受電機100を収容している機器に関する情報(ここでは携帯電話機10又はラジオ)を送信する。この場合、受電の優先度に関する情報は、例えばユーザにより予め受電機100に入力される。送受電機200は、通信部221から受電の優先度に関する情報を受信すると、例えば予めユーザにより設定された優先順位に従い、携帯電話機10又はラジオのいずれかに優先的に無線電力を送電する。
受電の優先度に関する情報は、例えば、電子機器の所有者に関する情報であってもよい。例えば、父、母及び子どものそれぞれが所有する携帯電話機10にそれぞれ受電機100が収容されている場合、各受電機100は、受電の優先度に関する情報として、携帯電話機10の所有者に関する情報(ここでは父、母又は子ども)を送信する。この場合、受電の優先度に関する情報は、例えばユーザにより予め受電機100に入力される。送受電機200は、通信部221から受電の優先度に関する情報を受信すると、例えば予めユーザにより設定された優先順位に従い、父、母又は子どものいずれかが所有する携帯電話機10に収容された受電機100に優先的に無線電力を送電する。
受電の優先度に関する情報は、例えば、蓄電量に関する情報であってもよい。例えば、電子機器に収容された各受電機100は、受電の優先度に関する情報として、受電機100の蓄電部140の蓄電量に関する情報を送信する。送受電機200は、通信部221から受電の優先度に関する情報を受信すると、例えば蓄電量が少ない受電機100に優先的に無線電力を送電する。
送受電機200は、他の要素を受電の優先度に関する情報として使用してもよい。例えば、送受電機200は、複数の受電機100から送信される信号の信号強度に基づき、受電の優先度に関する情報として各受電機100までの距離を推定する。送受電機200は、推定した各受電機100までの距離に基づき、例えば、距離が近い受電機100の方が送電効率が高いと判断して、距離が近い受電機100に優先的に無線電力を送電してもよい。
優先的に無線電力を送電するとは、優先度が最も高い受電機100に無線電力を送電し、他の受電機100に無線電力を送電しないことであってよい。優先的に無線電力を送電するとは、優先度が高い受電機100ほど、送受電機200の蓄電部240に蓄電された電力を多く送電することであってもよい。優先的に無線電力を送電するとは、優先度が高い受電機100から順に、各受電機100における蓄電量が所定値になるまで無線電力を送電することであってもよい。
図7は、受電機100が受電の優先度に関する情報を送信する場合における、送電システム1における送電処理の一例を示すシーケンス図である。図7は、送電システム1における非常時の送電処理の一例を示す。
受電機100は、非常時であると判断した場合、非常送電要求を送信する(ステップS501)。送受電機200は、受電機100からの非常送電要求を受信すると、受電機の機能を停止する(ステップS502)。そして、送受電機200は、送電機の機能を起動する(ステップS503)。ステップS501乃至ステップS503は、それぞれ図4におけるステップS201乃至ステップS203と同じである。図7では、説明のため受電機100を1つのみ記載しているが、複数の受電機100から非常送電要求を受信する。
複数の受電機100は、それぞれ受電の優先度に関する情報を送信する(ステップS504)。
送受電機200は、複数の受電機100から取得した受電の優先度に関する情報に基づき、各受電機100に対する送電の優先度を決定する(ステップS505)。
送受電機200は、ステップS505で決定した送電の優先度に基づいて、受電機100に無線電力を送電する(ステップS506)。
図7に示すシーケンス図は、処理手順の一例を示すものに過ぎず、必ずしも図7に示す手順で処理が実行されなくてもよい。例えば、受電機100は、受電の優先度に関する情報を、ステップS501において、非常送電要求とあわせて送信してもよい。
このように、受電機100が受電の優先度に関する情報を送信すると、送受電機200は、受電の優先度に応じて、受電機100に無線電力を送電できる。これにより、災害時等の非常時で供給可能な電力が限られている場合であっても、優先度の高い受電機100に優先的に給電できる。
上記第1実施形態における送受電機200は、必ずしも非常時に送電機として機能しなくてもよい。例えば、各送受電機200は、平常時に受電機として機能して非常時に送電機として機能する第1設定と、平常時又は非常時を問わず受電機として機能する第2設定とを切り換え可能であってよい。この場合、第2設定に設定された送受電機200は、受電機100と同様に機能するため、送電システム1は、受電機100を有していなくてもよい。
送受電機200の第1設定及び第2設定について、詳細に説明する。第1設定である場合、送受電機200の送電部210は、非常時に送電機として機能し、受電機100に無線電力を送電する。第2設定である場合、送受電機200の送電部210は、非常時であっても受電機として機能し、受電機100に無線電力を送電しない。第2設定である場合、送受電機200は、送電要求を送信する。
図8は、第1設定と第2設定とを切り換え可能な送受電機200が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すフローの開始時において、送受電機200は、受電機として機能する。
送受電機200の制御部231は、送受電機200が第1設定と第2設定とのいずれに設定されているかを判断する(ステップS601)。
送受電機200は、第1設定に設定されている場合(ステップS601の第1設定)、平常時に受電機として機能し、非常時に送電機として機能する。すなわち、送受電機200は、受電機100又は第2設定の送受電機200から非常送電要求を受信しているか否かを判断する(ステップS602)。
送受電機200は、非常送電要求を受信していないと判断した場合(ステップS602のNo)、受電機として機能する。この場合、送受電機200は、送電要求を送信する(ステップS603)。
送受電機200は、送電要求に応じて送電される無線電力を受電する(ステップS604)。
送受電機200は、非常送電要求を受信していると判断した場合(ステップS602のYes)、非常時であることを認識し、送電機として機能する。この場合、送受電機200は、受電機の機能を停止する(ステップS605)。
そして、送受電機200は、送電機の機能を起動する(ステップS606)。
送受電機200は、非常送電要求に応じて無線電力を送電する(ステップS607)。このようにして、第1設定の送受電機200は、非常時に無線電力を送電する。
送受電機200は、第2設定に設定されている場合(ステップS601の第2設定)、平常時であるか非常時であるかを問わず、受電機として機能する。この場合、送受電機200は、自ら非常時であるか否かを判断する(ステップS608)。
送受電機200は、非常時でないと判断した場合(ステップS608のNo)、送電要求を送信する(ステップS609)。送受電機200は、送電要求に応じて送電された無線電力を受電する(ステップS604)。
送受電機200は、非常時であると判断した場合(ステップS608のYes)、非常送電要求を送信する(ステップS610)。送受電機200は、非常送電要求に応じて送電された無線電力を受電する(ステップS604)。
このように、送受電機200について2つの設定を切換え可能に構成することにより送受電機200を収容する電子機器について、非常時における受電又は送電の処理が個別に設定されうる。この場合、第2設定の送受電機200は、上述の第1実施形態で説明した受電機100と同様の処理を行うため、送電システム1は、受電機100を有さず、第1設定又は第2設定を設定可能な複数の送受電機200と、送電機300とにより構成できる。
送受電機200における第1設定と第2設定との切換えは、種々の方法により実現できる。例えば、送受電機200が第1設定と第2設定とを切換え可能なスイッチを有している場合、ユーザは、送受電機200のスイッチを操作することにより、第1設定又は第2設定のいずれかに設定できる。
例えば、送受電機200と、ユーザが使用する携帯電話機10とが通信可能である場合、ユーザは、携帯電話機10の画面を操作することにより、送受電機200を第1設定又は第2設定のいずれかに設定できる。具体的には、例えば、ユーザは、送受電機200の設定を切換え可能なアプリケーションを予め携帯電話機10にインストールしておく。ユーザが当該アプリケーションを起動すると、携帯電話機10の画面上に、例えばユーザにより予め登録された送受電機200の一覧が表示される。ユーザは、携帯電話機10を操作して、画面上に表示された送受電機200の設定を決定したり切り換えたりできる。ユーザによる携帯電話機10の操作に基づき、設定された情報が、各送受電機200に送信される。送受電機200は、ユーザにより設定された情報に基づき、第1設定又は第2設定に設定する処理を実行できる。このように、ユーザが携帯電話機10等を用いて、送受電機200の設定を切換え可能な場合、ユーザは、例えば実際に災害が発生した際に、設定の切換え操作を行うことができる。これにより、例えば、所定の電子機器の使用が必要又は不要になった等の、被災の状況又は災害の規模等に応じて、各電子機器に収容された送受電機200の設定を、適宜切り換えることができる。
送受電機200が、ユーザの携帯電話機10と通信可能である場合、送受電機200は、非常時に、蓄電部240に蓄電された電力量を携帯電話機10に送信してもよい。携帯電話機10は、各送受電機200の蓄電量を、画面上に表示することにより、ユーザに報知できる。
本実施形態において、送受電機200は、蓄電部240に蓄電された電力量を、受電機100に送信してもよい。受電機100は、例えば、画像、文字若しくは発光等による視覚的な方法、音声等の聴覚的な方法、又はそれらの組み合わせにより、送受電機200から受信した電力量に関する情報を、ユーザに報知してよい。これにより、ユーザは、送受電機200の蓄電量を知ることができる。
本実施形態では、非常時であるか否かを、受電機100が判断すると説明したが、非常時であるか否かの判断は、送受電機200又は送電機300が実行してもよい。例えば、送電機300は、電源から電力の供給がされなくなった場合に非常時であると判断し、通信部321から非常時であることを通知する通知情報を受電機100及び送受電機200に送信してもよい。
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る送電システム2の概略構成を示す図である。送電システム2は、複数の電子機器と、送電機1300とを備える。図9では、複数の電子機器の一例として、携帯電話機1010と、リモートコントローラ(以下「リモコン」と称する)1020と、時計(壁掛け時計)1030とを図示している。
複数の電子機器は、受電機又は送受電機のいずれかをそれぞれ内部に収容している。本実施形態では、携帯電話機1010は、受電機を収容している。本実施形態では、リモコン1020及び時計1030は、送受電機を収容している。複数の電子機器は、例えば自機内の電池ホルダ内に、当該電池ホルダに収容可能な形状の受電機又は送受電機を収容していてよい。この場合、受電機又は送受電機は、外観が、例えば乾電池又はボタン型電池等の形状であってもよい。
複数の電子機器は、それぞれ内部に収容する受電機又は送受電機から供給される電力によって駆動する。図9では、電子機器の例として、携帯電話機1010、リモコン1020及び時計1030が図示されている。しかし、電子機器は、図9に示されるものに限られず、受電機又は送受電機によって駆動可能な任意の電子機器とすることができる。例えば、電子機器は、ラジオ、マウス又は電子辞書等であってもよい。
図10は、送電システム2の概略構成を示す機能ブロック図である。送電システム2は、受電機1100と、第1送受電機1200Aと、第2送受電機1200Bと、送電機1300とを有する。第1送受電機1200A及び第2送受電機1200Bは、第1実施形態の送受電機200と同様に、受電機としての受電機能及び送電機としての送電機能の双方の機能を有する。すなわち、第1送受電機1200A及び第2送受電機1200Bは、所定の条件に応じて、受電機及び/又は送電機として機能する。以下、第1送受電機1200Aと第2送受電機1200Bとを区別しない場合には、これらをまとめて送受電機1200と表記する。ここでは、説明を簡潔にするため、受電機1100及び送電機1300をそれぞれ1つずつ記載しているが、送電システム2は、受電機1100及び送電機1300をそれぞれ複数有していてもよい。送電システム2は、送受電機1200を3つ以上有していてもよい。
受電機1100、送受電機1200及び送電機1300は、それぞれ第1実施形態の受電機100、送受電機200及び送電機300と同様の機能部を有する。そのため、受電機1100、送受電機1200及び送電機1300がそれぞれ有する機能部の詳細な説明については省略する。
図9に一例を図示した本実施形態では、送電機1300は、携帯電話機1010内の受電機1100並びに、リモコン1020及び時計1030内の送受電機1200に対して、電磁波を送信する。
送受電機1200は、第1実施形態の送受電機200と同様に、受電機能及び送電機能を有する。本実施形態において、送受電機1200は、受電機として機能する場合、送電機1300又は他の送受電機1200から無線電力を受電できる。送受電機1200は、上述した受電機1100による無線電力の受電と同様に、送電機1300又は他の送受電機1200から電力供給のための電磁波を受信し、受信した電磁波を直流電力に変換することにより、無線電力を受電する。
送受電機1200は、受電した電力を、自機を収容している電子機器(ここではリモコン1020及び時計1030)に供給する。送受電機1200は、受電機1100と同様に、正極端子と負極端子とを備え、正極端子と負極端子とを介して、電子機器に電力を供給する。
送受電機1200は、送電機として機能する場合、受電機1100又は他の送受電機1200に無線電力を送電できる。送受電機1200は、無線電力を送電する場合、電力供給のための電磁波を生成し、生成した電磁波を受電機1100又は他の送受電機1200に対して送信する。送受電機1200は、例えば受電機1100又は他の送受電機1200と認証を行い、認証を行った受電機1100又は他の送受電機1200に対して電磁波を送信してもよい。
本実施形態において、送受電機1200は、非常時に、他の送受電機1200から無線電力を受電する受電機として機能するとともに、受電機1100に無線電力を送電する送電機として機能してよい。例えば、非常時に、複数の送受電機1200から受電機1100に電力を伝送する際に、受電機と送受電機1200との距離によっては、送受電機1200から受電機1100に無線電力を送電できない場合がある。このように、受電機1100が送受電機1200の送電可能範囲外に位置する場合、当該送受電機1200は、当該送受電機1200の送電可能範囲内に位置する他の送受電機1200であって、受電機1100が送電可能範囲内に位置する他の送受電機1200に無線電力を送電してよい。当該送受電機1200から無線電力を受電した他の送受電機1200は、受電した無線電力を受電機1100に送電できる。このようにして、送受電機1200は、受電機1100が送電可能範囲外に位置する場合であっても、他の送受電機1200を介して、受電機1100に無線電力を送電できる。
各送受電機1200は、例えば、受電機1100から受信した非常送電要求等の信号強度に基づいて、受電機1100が送電可能範囲内に位置するか否かを判断できる。送受電機1200間においても、各送受電機1200間で送受信される送電要求(後述する中継送電要求)等を受信した際の信号強度に基づいて、互いに送電可能範囲内に位置するか否かを判断できる。非常送電要求又は中継送電要求の送信可能範囲は、例えば送電可能範囲よりも長くてよい。送受電機1200による詳細な処理手順の一例については、後述する。
本実施形態において、送受電機1200の通信部221は、受電機1100、送電機1300及び他の送受電機1200と通信する。本実施形態において、通信部221は、受電機1100から受信した非常送電要求に基づいて、他の送受電機1200に、受電機1100に送電するための電力の送電を要求する中継送電要求を送信してよい。
本実施形態において、送受電機1200の記憶部230は、認証を行った受電機100又は他の送受電機200の識別情報等を記憶してよい。
本実施形態において、送受電機1200の蓄電部240は、余剰電力を蓄えることができる。蓄電部240が蓄電した電力は、例えば、送受電機200が送電機300から無線電力を受電できない場合に、正極端子及び負極端子を介して、電子機器に供給されてよい。蓄電部240が蓄電した電力は、非常送電要求に基づいて、送電部210から受電機100又は他の送受電機200に送電されてもよい。
次に、本実施形態に係る送電システム2における送電処理について説明する。本実施形態に係る送電システム2は、平常時と、非常時とで、異なる処理を行う。
図11は、平常時の送電処理の一例を示すシーケンス図である。平常時には、送受電機1200は、受電機として機能する。
平常時に、受電機1100は、送電要求を送信する(ステップS701)。受電機1100は、例えば定期的に送電要求を送信してよく、受電が必要と判断した場合に送電要求を送信してもよい。受電が必要と判断した場合は、例えば、受電機1100の蓄電部140における蓄電量が所定の閾値を下回った場合等である。送電要求には、例えば、受電機1100の識別情報が含まれていてよい。
送電機1300は、受電機1100からの送電要求を受信すると、送電要求に含まれる受電機1100の識別情報に基づき、送電要求を送信した受電機1100が、送電機1300により認証された受電機であるか否かを確認(判断)する(ステップS702)。送電機1300は、例えば送電要求に含まれる識別情報が、記憶部330に記憶された識別情報に含まれるか否かに基づいて、認証された受電機であるか否かを判断する。
送電機1300は、送電要求を送信した受電機1100が認証された受電機である場合、当該受電機1100に、無線電力を送電する(ステップS703)。このようにして、送電機1300から受電機1100に無線電力が送電される。
平常時に、送受電機1200は、送電要求を送信する。例えば、第1送受電機1200Aは、送電要求を送信する(ステップS704)。送受電機1200は、上述の受電機1100と同様に、例えば定期的に送電要求を送信してよく、受電が必要と判断した場合に送電要求を送信してもよい。送電要求には、例えば、送受電機1200の識別情報が含まれていてよい。
送電機1300は、第1送受電機1200Aからの送電要求を受信すると、送電要求に含まれる第1送受電機1200Aの識別情報に基づき、送電要求を送信した第1送受電機1200Aが、送電機1300により認証された送受電機であるか否かを確認(判断)する(ステップS705)。
送電機1300は、送電要求を送信した第1送受電機1200Aが認証された送受電機である場合、当該第1送受電機1200Aに、無線電力を送電する(ステップS706)。このようにして、送電機1300から第1送受電機1200Aに無線電力が送電される。
第2送受電機1200Bにも、第1送受電機1200Aと同じようにして無線電力が供給される。すなわち、第2送受電機1200Bは、送電要求を送信する(ステップS707)。送電機1300は、第2送受電機1200Bからの送電要求を受信すると、送電要求に含まれる第2送受電機1200Bの識別情報に基づき、送電要求を送信した第2送受電機1200Bが、送電機1300により認証された送受電機であるか否かを確認(判断)する(ステップS708)。送電機1300は、送電要求を送信した第2送受電機1200Bが認証された送受電機である場合、当該第2送受電機1200Bに、無線電力を送電する(ステップS709)。
図11で示した送電処理の手順は、一例にすぎず、必ずしもこの順序で実行されなくてもよい。平常時には、送受電機1200が受電機として機能し、送電機1300から受電機1100及び送受電機1200に無線電力が送電されればよい。
図12は、非常時の送電処理の一例を示すシーケンス図である。非常時には、送受電機1200は、送電機1300から無線電力を受電しない。図12に示す例では、受電機1100が、第1送受電機1200Aの送電可能範囲内であって、第2送受電機1200Bの送電可能範囲外に位置する場合について説明する。
受電機1100は、非常時であると判断した場合、非常送電要求を送信する(ステップS801)。非常送電要求は、例えば非常時であることを通知する通知情報を含んでよい。受電機1100は、例えば非常時であると判断したときに、非常送電要求を送信してよい。
第1送受電機1200Aは、受電機1100から受信した非常送電要求の信号強度に基づき、受電機1100が第1送受電機1200Aからの無線電力の送電可能範囲内であるか否かを判断する(ステップS802)。図12に示す例では、第1送受電機1200Aは、受電機1100が第1送受電機1200Aからの無線電力の送電可能範囲内であると判断する。第1送受電機1200Aは、非常送電要求を受信することにより、非常時であると認識できる。
受電機1100が送信した非常送電要求は、第2送受電機1200Bにも受信される(ステップS803)。
第2送受電機1200Bは、受電機1100から受電した非常送電要求の信号強度に基づき、受電機1100が第2送受電機1200Bからの無線電力の送電可能範囲内であるか否かを判断する(ステップS804)。図12に示す例では、第2送受電機1200Bは、受電機1100が第2送受電機1200Bからの無線電力の送電可能範囲外であると判断する。第2送受電機1200Bは、非常送電要求を受信することにより、非常時であると認識できる。
受電機1100が無線電力の送電可能範囲内であると判断した第1送受電機1200Aは、非常送電要求に基づき、中継送電要求を送信する(ステップS805)。
受電機1100が無線電力の送電可能範囲外であると判断した第2送受電機1200Bは、第1送受電機1200Aからの中継送電要求を受信すると、受信した中継送電要求の信号強度に基づき、第1送受電機1200Aが第2送受電機1200Bからの無線電力の送電可能範囲内であるか否かを判断する(ステップS806)。ここでは、第2送受電機1200Bは、第1送受電機1200Aが第2送受電機1200Bからの無線電力の送電可能範囲内であると判断したとする。
第1送受電機1200Aが無線電力の送電可能範囲内であると判断した第2送受電機1200Bは、自機の蓄電部240に蓄電された電力を、第1送受電機1200Aに送電する(ステップS807)。
第1送受電機1200Aは、第2送受電機1200Bから受電した無線電力を受電機1100に送電する(ステップS808)。第1送受電機1200Aは、自機の蓄電部240に蓄電された電力も受電機1100に送電してよい。このようにして、受電機1100には、受電機1100を送電可能範囲内に有する送受電機1200(第1送受電機1200A)から無線電力が送電されるとともに、受電機1100を送電可能範囲内に有さない送受電機1200(第2送受電機1200B)からも無線電力が供給される。これにより、受電機1100を送電可能範囲外に有する送受電機1200から受電機1100に電力が供給されない場合と比較して、受電機1100には、より多くの電力が供給される。
本実施形態において、受電機1100が実行する処理は、例えば第1実施形態の図5を参照して説明した処理と同様であってよいため、ここではその詳細な説明については省略する。
次に、送受電機1200が実行する処理の一例について、図13のフローチャートを参照して説明する。送受電機1200は、例えば定期的に図13に示すフローを実行してよく、受電が必要と判断した場合に図13に示すフローを実行してもよい。図13のフローの開始時点において、送受電機1200は、受電機として機能している。
送受電機1200は、受電機1100から非常送電要求を受信しているか否かを判断する(ステップS901)。
送受電機1200は、受電機1100から非常送電要求を受信していないと判断した場合(ステップS901のNo)、送電要求を送信する(ステップS902)。
送受電機1200は、送電要求に応じて送電される無線電力を受電する(ステップS903)。すなわち、送受電機1200は、送電機1300から送電される無線電力を受電する。送受電機1200は、受電した無線電力を蓄電部240に送電してもよい。
送受電機1200は、受電機1100から非常送電要求を受信していると判断した場合(ステップS901のYes)、受信した非常送電要求の信号強度に基づき、受電機1100が無線電力の送電可能範囲内であるか否かを判断する(ステップS904)。
送受電機1200は、受電機1100が無線電力の送電可能範囲内であると判断した場合(ステップS904のYes)、中継送電要求を送信する(ステップS905)。
送受電機1200は、中継送電要求に応じて送電される無線電力を受電する(ステップS906)。すなわち、送受電機1200は、他の送受電機1200から送電される無線電力を受電する。
送受電機1200は、受電機1100に無線電力を送電する(ステップS907)。このとき、送受電機1200は、ステップS906で受電した無線電力を受電機1100に送電する。このとき、送受電機1200は、自機の蓄電部240に蓄電された電力も送電してよい。
送受電機1200は、受電機1100が無線電力の送電可能範囲内でないと判断した場合(ステップS904のNo)、他の送受電機1200から中継送電要求を受信したか否かを判断する(ステップS908)。
送受電機1200は、中継送電要求を受信していると判断した場合(ステップS908のYes)、受信した中継送電要求の信号強度に基づき、中継送電要求を送信した他の送受電機1200が無線電力の送電可能範囲内であるか否かを判断する(ステップS909)。
送受電機1200は、他の送受電機1200が無線電力の送電可能範囲内であると判断した場合(ステップS909のYes)、当該他の送受電機1200に、自機の蓄電部240に蓄電された電力を送電する(ステップS910)。
送受電機1200は、他の送受電機1200が無線電力の送電可能範囲内でないと判断した場合(ステップS909のNo)、無線電力を送電することなく、このフローを終了する。
送受電機1200は、中継送電要求を受信していないと判断した場合(ステップS908のNo)、無線電力を送電することなく、このフローを終了する。
このように、本実施形態に係る送電システム2では、受電機1100が、非常時に、平常時と異なる非常送電要求を送信する。受電機1100を送電可能範囲内に有する送受電機1200は、受電機1100の非常送電要求に基づき、中継送電要求を送信する。送受電機1200は、中継送電要求に基づいて、受電機1100を送電可能範囲内に有さない他の送受電機1200から受電した電力を、受電機1100に送電する。このようにして、送電システム2では、受電機1100を送電可能範囲内に有さない他の送受電機1200に蓄電された電力を受電機1100に供給できる。そのため、送電システム2では、送電機1300から無線電力が供給されない場合に、受電機1100を送電可能範囲内に有さない他の送受電機1200に蓄電された電力が受電機1100に供給されない場合と比較して、より多くの電力を受電機1100に供給できる。これにより送電システム2の有用性が向上する。受電機1100が、例えば携帯電話機1010又はラジオ等に収容されていれば、当該携帯電話機1010又はラジオ等は、災害時等の非常時にも、より長く使用され得る。
本実施形態において、上記図12における説明では、第2送受電機1200Bに蓄電された電力が、第1送受電機1200Aを介して受電機1100に送電される例について説明したが、受電機1100への送電処理は、これに限られない。例えば、送受電機1200に蓄電された電力は、2つ以上の送受電機1200を経由して、受電機1100に送電されてもよい。
本実施形態においても、各送受電機1200は、蓄電部240に蓄電された電力量を、受電機1100に送信してもよい。受電機1100は、例えば、画像、文字若しくは発光等による視覚的な方法、音声等の聴覚的な方法、又はそれらの組み合わせにより、送受電機1200から受信した電力量に関する情報を、ユーザに報知してよい。これにより、ユーザは、送受電機1200の蓄電量を知ることができる。
本実施形態でも、非常時であるか否かの判断は、送受電機1200又は送電機1300が実行してもよい。例えば、送電機1300は、電源から電力の供給がされなくなった場合に非常時であると判断し、通信部321から非常時であることを通知する通知情報を受電機1100及び送受電機1200に送信してもよい。
本実施形態では、各送受電機1200が、受電機1100から受信した非常送電要求等の信号強度に基づいて、受電機1100が送電可能範囲内に位置するか否かを判断できることを例示した。送受電機1200間においても、各送受電機1200間で送受信される送電要求等を受信した際の信号強度に基づいて、互いに送電可能範囲内に位置するか否かを判断できることも例示した。しかしながら、受電機1100又は送受電機1200が送電可能範囲内に位置するか否かを判断する手段はこれに限定されない。例えば、各送受電機1200は、受電機1100へ送電する送電効率(又は受電機1100が各送受電機1200から受電する受電効率)に基づいて、受電機1100が送電可能範囲内に位置するか否かを判断してもよい。例えば、送受電機1200間においても、各送受電機1200間の送電効率(又は受電効率)に基づいて、互いに送電可能範囲内に位置するか否かを判断してもよい。これらの場合、例えば、送電効率(又は受電効率)が所定の閾値未満である場合に、受電機1100又は送受電機1200が送電可能範囲内に位置しないものと判断されてよい。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態に係る送電システム3の概略構成を示す図である。送電システム3は、複数の電子機器と、送電機2300とを備える。図14では、複数の電子機器の一例として、2台の携帯電話機2010A及び2010Bを図示している。ただし、電子機器は2台に限られない。送電システム3は、任意の台数の電子機器を備えていてよい。本実施形態において、以下、携帯電話機2010Aと2010Bとを区別しない場合には、これらをまとめて携帯電話機2010と表記する。
複数の電子機器は、受電機をそれぞれ内部に収容している。複数の電子機器は、例えば自機内の電池ホルダ内に、当該電池ホルダに収容可能な形状の受電機を収容していてよい。この場合、受電機は、外観が、例えば乾電池又はボタン型電池等の形状であってもよい。
複数の電子機器は、それぞれ内部に収容する受電機から供給される電力によって駆動する。図14では、電子機器の例として、携帯電話機2010が図示されている。しかし、電子機器は、図14に示されるものに限られず、受電機によって駆動可能な任意の電子機器とすることができる。例えば、電子機器は、時計、ラジオ、リモコン、マウス又は電子辞書等であってもよい。
図15は、送電システム3の概略構成を示す機能ブロック図である。送電システム3は、第1受電機2100Aと、第2受電機2100B、送電機2300とを有する。送電システム3において、送電機2300は、第1受電機2100A及び第2受電機2100Bに無線電力を送電可能である。第1受電機2100A及び第2受電機2100Bは、例えばそれぞれ携帯電話機2010A及び携帯電話機2010Bに収容される。本実施形態において、以下、第1受電機2100Aと第2受電機2100Bとを区別しない場合には、これらをまとめて受電機2100と表記する。図15では、説明を簡潔にするため、2つの受電機2100と、1つの送電機とを記載しているが、送電システム3が備える受電機2100及び送電機2300の台数はこれに限られない。
受電機2100は、送電機2300から無線電力を受電可能である。具体的には、受電機2100は、送電機2300から、電力供給のための電磁波を受信できる。受電機2100は、受信した電磁波を直流電力に変換する。このようにして、受電機2100は、無線電力を受電できる。送電システム3では、平常時と非常時とで異なる送電処理が実行される。送電システム3による送電処理の詳細については後述する。
受電機2100及び送電機2300は、それぞれ第1実施形態の受電機100及び送電機300と同様の機能部を有する。そのため、受電機2100及び送電機2300がそれぞれ有する機能部の詳細な説明については省略する。
本実施形態では、通信部121は、無線電力の送電を要求する送電要求を、送電機300に送信してよい。
送電機2300は、受電機2100との間で認証を行い、平常時には、認証が成功した受電機2100に対して、電力供給のための電磁波を送信してよい。これにより、平常時には、送電機2300が意図しない電子機器(例えば隣家の電子機器)に搭載された受電機2100に、電力を供給することを防ぐことができる。
送電機2300は、非常時には、認証を行うことなく、受電機2100に対して電力供給のための電磁波を送信してよい。これにより、非常時には、送電機2300が供給可能な電力が、認証関係の有無にかかわらず受電機2100に供給される。すなわち、非常時には、送電機2300が供給可能な電力が、公共財として提供され得る。
ここで認証処理について説明する。送電機2300には、例えば平常時に送電を行う受電機2100の受電機に関する情報が登録される。例えば、送電機2300は、平常時に送電を行う受電機2100の受電機に関する情報を記憶部330に記憶する。受電機に関する情報は、例えば受電機2100を一意に特定可能な識別情報であってよい。本実施形態では、以下、受電機に関する情報が識別情報であるとして説明する。受電機に関する情報の登録は、例えば予めユーザにより設定される。送電機2300には、例えば、送電機2300の所有者が所有する受電機2100が登録される。これにより、平常時には同一の所有者が所有する送電機2300と受電機2100との間で、送電処理が実行される。
認証処理において、まず、送電機2300は、受電機2100から、認証を要求するパイロット信号を受信する。すると、送電機2300は、当該受電機2100に対し、識別情報を要求する信号を送信する。受電機2100は、送電機2300から識別情報を要求する信号を受信すると、送電機2300に当該受電機2100の識別情報を含む信号を送信する。送電機2300は、受電機2100から、識別情報を含む信号を取得すると、当該受電機2100が登録されているか否か判定する。送電機2300は、当該受電機2100が登録されていると判定した場合、当該受電機2100に対し、認証成功を通知する信号を送信する。送電機2300は、平常時には、認証成功を通知した受電機2100に無線電力の送電を行い、認証が失敗した受電機2100に無線電力の送電を行わなくてよい。
本実施形態において、記憶部330は、例えば、登録を行った受電機100の識別情報等を記憶してよい。
次に、本実施形態に係る送電システム3における送電処理について説明する。本実施形態に係る送電システム3は、平常時と、非常時とで、異なる処理を行う。本実施形態において、送電システム3における非常時とは、個人が所有する送電機2300からの電力の送電が、受電機2100の所有者に関わらず、任意の受電機2100に実行されてもよい場合をいう。
非常時は、例えば、地震等の災害が発生した場合(災害時)であってよい。受電機2100及び送電機2300は、例えば外部の装置から災害の発生に関する情報を取得することにより、災害が発生したことを認識できる。受電機2100及び送電機2300は、いずれか一方が外部の装置から災害の発生に関する情報を取得し、他方に取得した情報を送信することによって、災害が発生したことを認識してもよい。非常時は、例えば、受電機2100が収容された携帯電話機2010のユーザにより、所定の入力操作が行われた場合であってもよい。非常時は、上述の例に限られず、個人が所有する送電機2300からの電力の送電が、受電機100の所有者に関わらず、任意の受電機2100に実行されてもよい任意の場合であってよい。
非常時は、上述の例のうち、任意の複数の組合せの条件が満たされた場合であってもよい。複数の条件を組み合わせることにより、例えば受電機2100又は送電機2300の誤動作によって、誤って非常時であると判断されることを防止しやすくなる。
受電機2100及び送電機2300は、非常時でない場合は、平常時であると判断してよい。
図16は、平常時の送電処理の一例を示すシーケンス図である。平常時には、送電機2300は、登録された受電機2100から受信した送電要求に応じて、無線電力を当該受電機2100に送信する。図16のフローでは、第1受電機2100Aが送電機2300に登録されており、第2受電機2100Bが送電機2300に登録されていない場合を例に、説明する。
第1受電機2100Aは、認証を要求するパイロット信号を送電機2300に送信する(ステップS1001)。
送電機2300は、パイロット信号を受信したことに応じて、識別情報を要求する信号を第1受電機2100Aに送信する(ステップS1002)。
第1受電機2100Aは、識別情報を要求する信号を受信したことに応じて、識別情報を含む信号を送電機2300に送信する(ステップS1003)。
送電機2300は、第1受電機2100Aから受信した識別情報に基づいて、第1受電機2100Aが送電機2300の記憶部330に登録されているか否かを判定する(ステップS1004)。
送電機2300は、第1受電機2100Aが記憶部330に登録されていると判定すると、認証成功を通知する信号を第1受電機2100Aに送信する(ステップS1005)。
第1受電機2100Aは、認証成功を通知する信号を受信すると、無線電力の送電を要求する送電要求を送電機2300に送信する(ステップS1006)。
送電機2300は、第1受電機2100Aからの送電要求に応じて、無線電力を第1受電機2100Aに送電する(ステップS1007)。このようにして、平常時には、送電機2300から、登録された第1受電機2100Aに無線電力が送電される。
第2受電機2100Bは、認証を要求するパイロット信号を送電機2300に送信する(ステップS1008)。
送電機2300は、パイロット信号を受信したことに応じて、識別情報を要求する信号を第2受電機2100Bに送信する(ステップS1009)。
第2受電機2100Bは、識別情報を要求する信号を受信したことに応じて、識別情報を含む信号を送電機2300に送信する(ステップS1010)。
送電機2300は、第2受電機2100Bから受信した識別情報に基づいて、第2受電機2100Bが送電機2300の記憶部330に登録されているか否かを判定する(ステップS1011)。
送電機2300は、第2受電機2100Bが記憶部330に登録されていないと判定すると、認証失敗を通知する信号を第2受電機2100Bに送信する(ステップS1012)。第2受電機2100Bは、認証失敗を通知する信号を受信した場合、送電要求を送信しない。これにより、平常時には、送電機2300から、登録されていない第2受電機2100Bに無線電力が送電されない。
図16で示した送電処理の手順は、一例にすぎず、必ずしもこの順序で実行されなくてもよい。平常時には、登録された第1受電機2100Aに送電機2300から無線電力が送電され、登録された第2受電機2100Bに送電機2300から無線電力が送電されなければよい。
図16に示すフローにおいて、受電機2100は、例えば、パイロット信号の送信時に、受電機2100の識別情報をあわせて送信してもよい。この場合、送電機2300は、識別情報を含むパイロット信号を受信したことに応じて、受電機2100が記憶部330に登録されているか否かを判定する(ステップS1004又はステップS1011に対応)。
図17は、非常時の送電処理の一例を示すシーケンス図である。非常時には、送電機2300は、登録された受電機2100及び登録されていない受電機2100から受信した送電要求に応じて、無線電力を受電機2100に送電する。図17のフローでも、図16のフローと同じように、第1受電機2100Aが送電機2300に登録されており、第2受電機2100Bが送電機2300に登録されていない場合を例に、説明する。
第1受電機2100Aは、非常時に、無線電力の送電要求を送信する(ステップS1101)。
送電機2300は、第1受電機2100Aからの送電要求を受信したことに応じて、第1受電機2100Aに無線電力を送電する(ステップS1102)。
第2受電機2100Bは、非常時に、無線電力の送電要求を送信する(ステップS1103)。
送電機2300は、第2受電機2100Bからの送電要求を受信したことに応じて、第2受電機2100Bに無線電力を送電する(ステップS1104)。
このようにして、非常時には、送電機2300から、登録された第1受電機2100A及び登録されていない第2受電機2100Bの双方に、無線電力が送電される。
図17に示した送電処理の手順は、一例にすぎず、必ずしもこの順序で実行されなくてもよい。非常時には、送電機2300から、登録された第1受電機2100A及び登録されていない第2受電機2100Bの双方に無線電力が送電されればよい。
次に、受電機2100が実行する処理の一例について、図18のフローチャートを参照して説明する。
受電機2100は、非常時であるか否かを判断する(ステップS1201)。非常時であるか否かは、例えば上記説明した方法で判断される。
受電機2100は、非常時でないと判断した場合(ステップS1201のNo)、認証を要求するパイロット信号を送信する(ステップS1202)。
受電機2100は、パイロット信号に応じて送電機2300から送信される、識別情報を要求する信号を受信する(ステップS1203)。
受電機2100は、識別情報を要求する信号を受信したことに応じて、自機の識別情報を含む信号を送電機2300に送信する(ステップS1204)。
受電機2100は、識別情報に応じて送電機2300が判定した認証の結果に関する信号を受信する(ステップS1205)。
受電機2100は、送電機2300から受信した認証結果に基づき、認証が成功したか否かを判断する(ステップS1206)。
受電機2100は、認証が成功したと判断した場合(ステップS1206のYes)、無線電力の送電を要求する送電要求を送信する(ステップS1207)。
受電機2100は、送電要求に応じて送電機2300から送電される無線電力を受電する(ステップS1208)。
受電機2100は、送電機2300から受信した認証結果に基づき、認証が失敗したと判断した場合(ステップS1206のNo)、送電要求を送信せずに、このフローを終了する。
受電機2100は、非常時であると判断した場合(ステップS1201のYes)、認証を行うことなく、送電要求を送信する(ステップS1207)。
受電機2100は、送電要求に応じて送電機2300から送電される無線電力を受電する(ステップS1208)。
受電機2100は、認証が成功したか否かを、例えば、画像、文字若しくは発光等による視覚的な方法、音声等の聴覚的な方法、又はそれらの組み合わせにより、ユーザに報知してもよい。これにより、ユーザは、認証が成功したか否かを知ることができる。
次に、送電機2300が実行する処理の一例について、図19のフローチャートを参照して説明する。
送電機2300は、非常時であるか否かを判断する(ステップS1301)。非常時であるか否かは、例えば上記説明した方法で判断される。
送電機2300は、非常時でないと判断した場合(ステップS1301のNo)、受電機2100から認証を要求するパイロット信号が送信されると、当該パイロット信号を受信する(ステップS1302)。
送電機2300は、パイロット信号を受信したことに応じて、識別情報を要求する信号を、パイロット信号を送信した受電機2100に送信する(ステップS1303)。
送電機2300は、識別情報を要求する信号に応じて受電機2100から送信される識別情報を含む信号を受信する(ステップS1304)。
送電機2300は、受信した識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する受電機2100が記憶部330に登録されているか否かを判定する(ステップS1305)。
送電機2300は、受信した識別情報に対応する受電機2100が記憶部330に登録されていると判断した場合(ステップS1305のYes)、認証成功を通知する信号を受電機2100に送信する(ステップS1306)。
送電機2300は、認証成功を通知した受電機2100からの送電要求を受信する(ステップS1307)。
送電機2300は、認証成功を通知した受電機2100から送電要求を受信したことに応じて、当該受電機2100に無線電力を送電する(ステップS1308)。
送電機2300は、受信した識別情報に対応する受電機2100が記憶部330に登録されていないと判断した場合(ステップS1305のNo)、認証失敗を通知する信号を受電機2100に送信する(ステップS1309)。この場合、このフローは終了する。
送電機2300は、非常時であると判断した場合(ステップS1301のYes)、受電機2100から送信された送電要求を受信する(ステップS1307)。
送電機2300は、受電機2100から送電要求を受信したことに応じて、当該受電機2100に無線電力を送電する(ステップS1308)。
このように、本実施形態に係る送電システム3では、送電機2300は、平常時には、認証が成功した受電機2100への無線電力の送信を実行し、認証が失敗した受電機2100への無線電力の送信を実行しない。送電機2300は、非常時には、識別情報の登録の有無にかかわらず受電機2100に無線電力を送信する。これにより、送電システム3は、平常時には、意図しない電子機器に搭載された受電機2100への電力供給を防ぐことができる。送電システム3は、非常時には、認証関係の有無にかかわらず受電機2100に無線電力を供給できる。そのため、災害時等の非常時に、例えば受電機2100を収容した電子機器が、認証関係を有する送電機2300の送電可能範囲に存在しない場合であっても、受電機2100に電力が供給される。これにより、電子機器に電力を供給し続けることが可能となり、ユーザは電子機器の使用を継続できる。このようにして、送電システム3は、有用性を向上可能である。
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。