以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の監視システムをゲーテッドシティ(ゲーテッドコミュニティ)の敷地内を監視する監視システムとして具体化している。なお、図1はゲーテッドシティを示す平面図である。
図1に示すように、ゲーテッドシティ10は、周囲が塀11により囲まれた敷地12と、その敷地12に設けられた複数の住宅13とを備える。敷地12は、平面視にて矩形形状をなしており、その敷地12の4方が塀11により囲まれている。なお、塀11の外側には、その塀11に沿って公道Rが設けられている。また、敷地12が特定領域に相当する。
塀11の一部には、公道Rから敷地12内へ出入りするための出入口15,16(ゲート)が設けられている。ゲーテッドシティ10では、これらの出入口15,16を通じてのみ敷地12への出入りが可能となっている。出入口15,16としては、第1出入口15と第2出入口16とが設けられている。これらの出入口15,16は、塀11において敷地12を挟んだ両側部分に設けられている。
敷地12は、住宅13が設けられた住宅地17(住宅分譲地)と、各住宅13に通じる私道18とを備える。私道18は、碁盤目状に設けられ、各出入口15,16にそれぞれ通じている。住宅地17は、私道18により複数に区画され、それら各住宅地17にそれぞれ住宅13が複数(例えば6つ)ずつ設けられている。なお、私道18が通路領域に相当する。
次に、敷地12内を監視する監視システムについて説明する。
第1出入口15の周辺には、第1カメラ21が設けられている。第1カメラ21は、第1出入口15より敷地12に入る(入ろうとしている)人の顔を撮影する顔認証用のカメラである。また、第2出入口16の周辺には、第2カメラ22が設けられている。第2カメラ22は、第2出入口16より敷地12に入る(入ろうとしている)人の顔を撮影する顔認証用のカメラである。これらのカメラ21,22は、例えば塀11を利用して設けられている。
敷地12内には、監視カメラ23が複数箇所に設けられている。監視カメラ23は、私道18に入った人を監視する監視手段であり、私道18における所定範囲を監視対象として人の監視を行う。本監視システムでは、これらの監視カメラ23により私道18全域を監視対象として人の監視を行うようになっている。また、監視カメラ23は、電源をON/OFF切替可能となっており、電源ON状態において監視カメラ23による監視処理が実施され、電源OFF状態においては監視処理が実施されないようになっている。また、各監視カメラ23は、例えば塀11や住宅13の壁等を利用して設けられている。
敷地12内には、人検知センサ24が複数箇所に設けられている。各人検知センサ24は、私道18における所定範囲を検知対象として人の存在を検知するもので、これら人検知センサ24により私道18全域が検知範囲に含まれている。また、各人検知センサ24は、例えば塀11や住宅13の壁等を利用して設けられている。
各住宅13には、その出入口26(玄関口)に出入口ドア27が設けられ、その出入口ドア27には施錠装置28が設けられている。施錠装置28は、出入口ドア27を電気的に施解錠する電気錠からなる。施錠装置28は、屋内側からはつまみ(サムターン)による手動操作により施解錠され、屋外側からは住宅13の居住者が所持する電子キー29(図2参照)により施解錠される。
次に、監視システムの電気的構成について図2に基づいて説明する。図2は、監視システムの電気的構成を示す図である。
図2に示すように、監視システムは、監視制御手段としてのコントローラ30を備える。コントローラ30は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成され、例えば敷地12内に設けられている。
コントローラ30には、第1カメラ21及び第2カメラ22が接続されている。これらのカメラ21,22のうちいずれかのカメラにより人の顔が撮影されると、その撮影された顔画像が当該カメラよりコントローラ30に入力される。
コントローラ30は、顔画像記憶部31を備える。顔画像記憶部31には、各住宅13の居住者の顔画像が予め居住者登録顔画像として記憶(登録)されている。なお、本実施形態では、各住宅13の居住者がそれぞれ敷地12内(詳しくは私道18)に入ることを許可された許可者に相当する。
コントローラ30は、各カメラ21,22のうちいずれかから人の顔画像が入力されると、入力された人の顔画像に基づき、その人が居住者であるか否かを認証する認証処理を行う。具体的には、コントローラ30は、入力された顔画像が顔画像記憶部31に記憶されている居住者登録顔画像のいずれかと一致するか否かを判定(認証)する。
コントローラ30には、各監視カメラ23が接続されている。コントローラ30は、上記認証処理の結果に基づいて、各監視カメラ23をON状態又はOFF状態にする。各監視カメラ23のON状態においては、各監視カメラ23による監視処理が実施される。その場合、各監視カメラ23からコントローラ30に監視映像が逐次入力される。
コントローラ30は、通信部32を有している。通信部32は、インターネット37を介して監視センタ38の管理コンピュータと接続されている。コントローラ30に各監視カメラ23から監視映像が入力されると、コントローラ30はその監視映像を通信部32より都度管理コンピュータに送信する。なお、監視センタ38は、ゲーテッドシティ10の内外いずれに設けられていてもよい。
各住宅13には、施錠装置28の施解錠を制御する施錠コントローラ35が設けられている。なお、図2では便宜上、一の住宅13における施錠コントローラ35のみ図示している。施錠コントローラ35は、居住者の携帯する電子キー29等と無線通信が可能な通信部35aを有している。電子キー29には、当該キー29固有のIDコードが記憶されており、電子キー29に設けられた操作部(図示略)が操作されると、当該電子キー29よりIDコードが送信される。そして、その送信されたIDコードが通信部35aを通じて施錠コントローラ35により受信されると、施錠コントローラ35は、そのIDコードの認証処理を行う。具体的には、施錠コントローラ35には、電子キー29のIDコードに対応するIDコード信号が予め記憶され、施錠コントローラ35は、受信したIDコードが上記記憶されているIDコード信号と一致するか否かを判定する。
施錠コントローラ35は、上記IDコードの認証結果に基づいて、施錠装置28を施解錠制御する。また、施錠コントローラ35は、施錠装置28を施錠又は解錠した場合に、通信部35aより施錠実施信号又は解錠実施信号を上記IDコードとともにコントローラ30(通信部32)に送信する。
コントローラ30は、電子キー29に記憶されたIDコードに対応するIDコード信号を記憶するIDコード記憶部33を有している。IDコード記憶部33には、各住宅13の居住者が所持する電子キー29ごとに、そのIDコードに対応するIDコード信号が記憶されている。
コントローラ30は、さらに移動エリア記憶部34を有している。移動エリア記憶部34には、各住宅13の居住者ごとに、居住者が私道18において通ることが想定される移動ルートを含む移動エリアが記憶されている。ここで、この移動エリアについて説明する。
ゲーテッドシティ10では、居住者が住宅13に帰宅する際、居住者は出入口15,16より敷地12(私道18)に入り、その後私道18を通って住宅13へ移動することになる。また、居住者が住宅13から外出する際には、居住者は出入口26より住宅13を出て、その後私道18を通って出入口15,16へ移動することになる。そして、その出入口15,16より敷地12の外に出ることになる。このように、住宅13の居住者は帰宅時にも外出時にも、私道18を通って出入口15,16と住宅13との間を移動することになる。この場合、居住者が私道18において移動する移動ルートは出入口15,16と住宅13とを結ぶルート(詳しくは最短ルート)となる。そこで、本監視システムでは、各居住者ごとに、かかる移動ルートを含む移動エリアを定めている。
具体的には、ゲーテッドシティ10では、出入口15,16が2つ設けられているため、居住者の帰宅時及び外出時における移動ルートとして、住宅13と第1出入口15とを結ぶルート(以下、第1移動ルートR1という)と、住宅13と第2出入口16とを結ぶルート(以下、第2移動ルートR2という)とが存在する。居住者が第1出入口15を通じて帰宅する際には、居住者は第1移動ルートR1を通って住宅13に帰宅する。一方、居住者が第2出入口16を通じて帰宅する際には、居住者は第2移動ルートR2を通って帰宅する。また、居住者が外出する際には、居住者は住宅13を出てから第1移動ルートR1又は第2移動ルートR2を通って敷地12(私道18)の外へ移動する。
そこで、本監視システムでは、このような点に鑑み、各居住者ごとに、移動エリアとして、居住者が第1出入口15を通じて帰宅する際の第1帰宅時移動エリアSa1と、居住者が第2出入口16を通じて帰宅する際の第2帰宅時移動エリアSa2と、居住者が外出する際の外出時移動エリアSbとを定めている。以下、これら各移動エリアSa1,Sa2,Sbについて図3を用いながら説明する。図3は各移動エリアSa1,Sa2,Sbを説明するための図であり、(a)が第1帰宅時移動エリアSa1を示し、(b)が第2帰宅時移動エリアSa2を示し、(c)が外出時移動エリアSbを示している。なお、図3(a)〜(c)では、住宅13Aの居住者の移動エリアSa1,Sa2,Sbを示している。
図3(a)に示すように、住宅13Aの居住者の第1帰宅時移動エリアSa1は、私道18において第1出入口15と住宅13Aとを結ぶ第1移動ルートR1(詳しくは同ルートR1の全体)を含んでいる。その一方で、第1帰宅時移動エリアSa1は、第2出入口16と住宅13Aとを結ぶ第2移動ルートR2(図3(b)参照)、詳しくは同ルートR2の全体を含んでいない。この場合、第1帰宅時移動エリアSa1は、第1出入口15と住宅13Aとにそれぞれ通じている一方、第2出入口16には通じていない。
また、図3(b)に示すように、第2帰宅時移動エリアSa2は、私道18において第2移動ルートR2(詳しくは同ルートR2の全体)を含んでいる。その一方で、第2帰宅時移動エリアSa2は、第1移動ルートR1、詳しくは同ルートR1の全体を含んでいない。この場合、第2帰宅時移動エリアSa2は、第2出入口16と住宅13Aとにそれぞれ通じている一方、第1出入口15には通じていない。
また、図3(c)に示すように、外出時移動エリアSbは、第1移動ルートR1及び第2移動ルートR2の双方(詳しくは各ルートR1,R2の全体)を含んでいる。外出時移動エリアSbは、各出入口15,16及び住宅13Aにそれぞれ通じており、その大きさ(広さ)が各帰宅時移動エリアSa1,Sa2よりも大きくなっている。
このように、本監視システムでは、各住宅13の居住者ごとに、移動エリアとして、第1帰宅時移動エリアSa1、第2帰宅時移動エリアSa2及び外出時移動エリアSbが定められている。そして、移動エリア記憶部34には、各居住者ごとに、それらの移動エリアSa1,Sa2,Sbがそれぞれ記憶されている。
コントローラ30は、住宅13の居住者が出入口15,16より私道18に入る場合又は住宅13から出て私道18に入る場合に、その居住者に対応する移動エリアを移動エリア記憶部34より読み出して設定する。コントローラ30には各人検知センサ24が接続され、各人検知センサ24より逐次検知結果が入力される。コントローラ30は、それら各人検知センサ24からの検知結果に基づいて、居住者が私道18において上記設定した移動エリア内にいるか否かを判定する。そして、コントローラ30は、その判定結果に基づいて、各監視カメラ23をON状態又はOFF状態にする。
次に、コントローラ30により実行される監視制御処理の内容について説明する。図4は、監視制御処理を示すフローチャートである。なお、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図4に示すように、まずステップS11では、各出入口15,16のうちいずれかの出入口より敷地12内詳しくは私道18に入る人(入ろうとしている人)がいるか否かを判定する。この判定は、第1カメラ21又は第2カメラ22により人の顔が撮影されその撮影された顔画像が当該カメラより入力(取得)されたか否かに基づき行われる。いずれかの出入口15,16より私道18に入る人がいる場合にはステップS12に進む。
ステップS12では、上記取得した人の顔画像に基づき、いずれかの出入口15(16)より私道18に入る人が住宅13の居住者であるか否かを判定する。この判定は、上記取得した人の顔画像が顔画像記憶部31に記憶されているいずれかの居住者登録顔画像と一致するか否かに基づき行う。出入口15(16)より私道18に入る人が不審者等、居住者以外の者である場合にはステップS18に進み、非居住者フラグをセットする。一方、出入口15(16)より私道18に入る人が居住者である場合にはステップS13に進む。
なお、ステップS11,S12の処理により、居住者が出入口15(16)より私道18に入ろうとしているか否かが判定される。このため、これらの処理が許可者進入手段に相当する。
ステップS13では、帰宅時居住者特定処理を行う(許可者特定手段に相当)。この処理では、出入口15(16)より私道18に入る居住者、すなわち私道18を通って住宅13に帰宅する居住者を特定する。具体的には、上記取得した顔画像が顔画像記憶部31に記憶されているいずれの居住者登録顔画像と一致するかを判定し、その判定結果に基づき居住者を特定する。
ステップS14では、出入口判定処理を行う。この処理では、ステップS13で特定された居住者が各出入口15,16のうちいずれの出入口より私道18に入る(入ろうとしている)のか判定する。この判定は、第1カメラ21及び第2カメラ22のうちいずれのカメラより人の顔画像を入力(取得)したかに基づき行う。
続くステップS15では、帰宅時移動エリアの設定処理を行う(移動エリア設定手段に相当)。この処理では、帰宅時居住者特定処理(ステップS13)で特定された居住者の帰宅時移動エリアを移動エリア記憶部34より読み出して設定する。具体的には、出入口判定処理(ステップS14)の判定結果に基づき、帰宅時移動エリアとして、第1帰宅時移動エリア及び第2帰宅時移動エリアのうちいずれかを読み出して設定する。詳しくは、出入口判定処理により居住者が第1出入口15より私道18に入ると判定された場合には、第1帰宅時移動エリアSa1を設定し、第2出入口16より私道18に入ると判定された場合には、第2帰宅時移動エリアSa2を設定する。帰宅時移動エリアSa1(Sa2)の設定後、ステップS16に進み、居住者フラグをセットする。
先のステップS11において、出入口15,16より私道18に入る人がいない場合には、ステップS21に進み、住宅13から外に出て私道18に入る(入ろうとしている)居住者がいるか否かを判定する(許可者進入手段に相当)。住宅13から居住者が外に出る(外出する)場合には、居住者は出入口26より外に出た後、電子キー29により出入口ドア27(施錠装置28)を施錠することになる。そのため、この場合には、施錠コントローラ35より通信部35aを通じて施錠実施信号が送信されることになる。そこで、本ステップS21では、いずれかの住宅13の施錠コントローラ35より施錠実施信号が送信されたか否かに基づき、つまり通信部32を通じて施錠実施信号を受信したか否かに基づき、住宅13から出て私道18に入る居住者がいるか否かを判定するようにしている。住宅13から出て私道18に入る居住者がいる場合にはステップS22に進み、いない場合には本処理を終了する。
ステップS22では、外出時居住者特定処理を行う(許可者特定手段に相当)。この処理では、住宅13から出て私道18に入る居住者、すなわち私道18を通って敷地12の外に出よう(外出しよう)としている居住者を特定する。上述したように、住宅13から出た居住者が電子キー29により施錠装置28を施錠した場合、施錠コントローラ35より施錠実施信号が送信されるが、この際、施錠コントローラ35からは施錠実施信号とともに電子キー29のIDコードが送信される。そのため、通信部32を通じて施錠実施信号を受信する際には、それと併せて電子キー29のIDコードを受信することになる。そこで本ステップS22では、その受信したIDコードに基づいて、住宅13から出て私道18に入る居住者を特定することとしている。具体的には、受信したIDコードがIDコード記憶部33に記憶されているいずれのIDコード信号と一致するかを判定し、その判定結果に基づき居住者を特定する。
続くステップS23では、外出時移動エリアの設定処理を行う(移動エリア設定手段に相当)。この処理では、外出時居住者特定処理(ステップS22)で特定された居住者の外出時移動エリアSaを移動エリア記憶部34より読み出して設定する。外出時移動エリアSaの設定後、ステップS16に進み、居住者フラグを設定する。
居住者フラグをセットした後、又は、ステップS18にて非居住者フラグをセットした後はステップS17に進み、監視処理を実施する。以下、この監視処理について図5に基づいて説明する。図5は監視処理を示すフローチャートである。なお、監視処理を実施した後、本処理(監視制御処理)を終了する。
図5に示すように、まずステップS31において、各人検知センサ24からの検知結果に基づいて、出入口15(16)より又は住宅13から出て私道18に入ろうとしている人が私道18に入ったか否かを判定する。私道18に入った場合にはステップS32に進み、私道18にまだ入っていない場合には私道18に入るまで本ステップを繰り返す。
ステップS32では、居住者フラグがセットされているかを判定する。すなわち、ここでは、私道18に入った人が居住者であるか否かを判定する。私道18に入った人が居住者でない場合、つまり私道18に入った人が非居住者である場合にはステップS37に進む。
ステップS37では、各監視カメラ23にON信号を出力し、それら各監視カメラ23をON状態とする。これにより、各監視カメラ23による監視処理が実施される。
続くステップS38では、監視カメラ23から入力される監視映像を通信部32より監視センタ38の管理コンピュータに送信する。これにより、監視センタ38では、私道18に滞在する不審者等の非居住者を監視することが可能となる。
ステップS39では、各監視カメラ23からの監視映像に基づいて、非居住者が私道18にまだ滞在しているか否かを判定する。非居住者が私道18に滞在していない場合、つまり非居住者がいずれかの出入口15,16より私道18(敷地12)から出た場合にはステップS40に進む。一方、非居住者が私道18にまだ滞在している場合には、ステップS38に戻り、非居住者が私道18から出るまでステップS38,S39の各処理を繰り返す。
ステップS40では、各監視カメラ23にOFF信号を出力し、各監視カメラ23をOFF状態とする。これにより、各監視カメラ23による監視処理が停止される。その後、本処理を終了する。
先のステップS32において、私道18に入った人が居住者である場合にはステップS33に進み、タイマをセットする。これにより、タイマによる計時が開始される。
続くステップS34では、各人検知センサ24からの検知結果に基づいて、居住者が私道18にいるか否かを判定する。居住者が私道18にいない場合、つまり居住者が私道18から出た場合には本処理を終了する。具体的には、出入口15(16)より私道18に入った居住者(帰宅時の居住者)が住宅13に入った(帰宅した)場合、又は住宅13から出て私道18に入った居住者(外出時の居住者)が出入口15(16)より敷地12の外に出た場合には本処理を終了する。
上記のステップS34において、居住者が私道18にいる場合にはステップS35に進む。ステップS35では、各人検知センサ24からの検知結果に基づいて、居住者がステップS15又はステップS23で設定した移動エリアにいるか否かを判定する(エリア内外判定手段に相当)。すなわち、居住者が帰宅時である場合には、ステップS15で設定した帰宅時移動エリアSa1(Sa2)にいるか否かを判定する。また、居住者が外出時である場合には、ステップS23で設定した外出時移動エリアSbにいるか否かを判定する。
居住者が移動エリアにいない場合、つまり居住者が私道18において普段通らない移動エリア外にいる場合には、ステップS37に進む。この場合、居住者が不審行動をとっている可能性があるため、各監視カメラ23をON状態とし監視処理を実施する。その後、上述したステップS38〜S40の各処理を行い、その後本処理を終了する。
一方、居住者が移動エリアにいる場合には、ステップS36に進み、タイマによる計時開始からの経過時間が予め定められた所定時間以内であるか否かを判定する。つまり、ここでは、居住者が私道18に入ってからの経過時間、つまり居住者の私道18での滞在時間が所定時間以内であるか否かを判定する。なお、この場合、所定時間は、居住者が住宅13から出入口15,16へ(又は出入口15,16から住宅13へ)移動するのに要する時間よりも十分長い時間に設定されている。
ちなみに、住宅13から出入口15,16へ移動するのに要する時間は各住宅13の居住者ごとに相違すると考えられる。そのため、上記の所定時間を各住宅13の居住者ごとに個別に設定するようにしてもよい。例えば、各住宅13の居住者ごとに上記所定時間を記憶部(図示略)に記憶(登録)しておき、本ステップに際し、上記記憶部より居住者に対応する所定時間を読み出し設定することが考えられる。
ステップS36において、居住者の私道18での滞在時間が所定時間以内である場合にはステップS34に戻り、再度ステップS34〜S36の各処理を繰り返す。一方、居住者の私道18での滞在時間が所定時間を超えた場合には、ステップS37に進む。この場合、居住者が移動エリア内にいるものの不審行動をとっている可能性があるため、各監視カメラ23をON状態として監視処理を実施する。その後、上述したステップS38〜S40の各処理を行い、その後本処理を終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
住宅13に居住する居住者(許可者に相当)が出入口15,16より又は住宅13側から私道18に入ろうとしていることを判定した場合に、監視カメラ23による監視処理を実行させないよう制御した。この場合、本来監視する必要のない居住者を無駄に監視することを回避できるため、私道18を監視するにあたり省エネ性の向上を図ることができる。
居住者が私道18に入ろうとしていることを判定した場合に、その居住者を特定する居住者特定処理(ステップS13又はS22)を行い、その特定した居住者に応じて移動エリアを設定するようにした(ステップS15又はS23)。そして、その居住者が私道18において設定した移動エリアの内外いずれにいるかを判定し、移動エリア外にいると判定した場合には監視カメラ23による監視処理を実行させるようにした。居住者が私道18において普段通らない移動エリア外にいる場合、居住者が不審行動をとっている可能性がある。そのため、この場合に、監視処理を行うことで、省エネ性向上を図りながらも防犯性向上を図ることができる。
居住者が移動エリアにいる場合でも、同エリアでの滞在時間が所定時間を超えた場合には、居住者が不審な行動をとっている可能性がある。そこで、上記実施形態では、かかる場合に、監視カメラ23による監視処理を実行させるようにした。これにより、さらなる防犯性の向上を図ることができる。
居住者特定処理により特定された居住者に応じて、その居住者の住宅13と出入口15,16とを結ぶ移動ルートR1,R2を含むように移動エリアを設定するようにした。この場合、居住者が私道18において普段よく通るエリアを移動エリアとして設定することができるため、移動エリアの内外判定(ステップS35)による居住者の不審行動の検出を好適に行うことができる。
居住者が出入口15,16及び住宅13側のうちいずれから私道18に入ろうとしているか判定し、その判定の結果に応じて移動エリアを設定するようにした。具体的には、居住者が出入口15,16から私道18に入ろうとしている場合(ステップS12でYES判定の場合)、つまり居住者が帰宅しようとしている場合には移動エリアとして帰宅時移動エリアSa1,Sa2を設定し、居住者が住宅13側から私道18に入ろうとしている場合(ステップS21でYES判定の場合)、つまり居住者が外出しようとしている場合には移動エリアとして外出時移動エリアSaを設定するようにした。これにより、出入口15,16が2つ設けられているが故に、居住者が帰宅時と外出時とで異なる移動ルートを通る可能性がある構成にあって、それぞれの移動ルートに合わせて移動エリアを設定することが可能となる。
居住者が各出入口15,16のうちいずれの出入口より私道18に入ろうとしているかを判定し、その判定の結果に応じて移動エリア(帰宅時移動エリア)を設定するようにした。具体的には、居住者が第1出入口15より入ろうとしている場合には、帰宅時移動エリアとして、第1移動ルートR1を含みかつ第2移動ルートR2を含まない第1帰宅時移動エリアSa1を設定し、居住者が第2出入口16より入ろうとしている場合には、帰宅時移動エリアとして、第2移動ルートR2を含みかつ第1移動ルートR1を含まない第2帰宅時移動エリアSa2を設定するようにした。この場合、帰宅時移動エリアを各移動ルートR1,R2の双方を含むように設定する場合と比べ、帰宅時移動エリアを小さく(狭く)することができる。つまり、実際に居住者が通ることが想定される移動ルート付近だけを含むように帰宅時移動エリアを設定することが可能となる。これにより、帰宅時移動エリアの内外判定による居住者の不審行動の検出を好適に行うことができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、帰宅時移動エリアの設定(ステップS15)に際し、居住者が各出入口15,16のうちいずれの出入口から私道18に入ったかに応じて、帰宅時移動エリアSa1,Sa2を設定するようにしたが、例えば居住者が各出入口15,16のうちいずれの出入口から私道18に入った場合でも同じ帰宅時移動エリアを設定するようにしてもよい。この場合、例えば帰宅時移動エリアとして、外出時移動エリアSbと同じエリアを設定することが考えられる。そうすれば、帰宅時及び外出時の移動エリアを共通化できるため、移動エリア記憶部34の記憶容量低減を図ることができる。
(2)ところで、住宅13の居住者が敷地12内における他の住宅13に友人や知人等を有している場合、その居住者は上記他の住宅13を訪れる場合があると考えられる。図6(a)では、住宅13Aの居住者が他の住宅13Bに友人を有している場合を想定しており、その居住者が友人の住む住宅13B(以下、友人宅13Bという)に訪れる際に通る移動ルートがR3として示されている。この移動ルートR3は、居住者の住宅13Aと友人宅13Bとを結ぶルート(詳しくは最短ルート)となっている。
ここで、図6(a)の例では、友人宅13Bが、住宅13Aの居住者の外出時移動エリアSbの外にある。そのため、居住者が移動ルートR3を通って友人宅13Bを訪れる際には、居住者が外出時移動エリアSbの外に出ることになり、監視カメラ23による監視処理が実施されることになってしまう。そこで、このような場合に、外出時移動エリアSbを各移動ルートR1,R2に加え、移動ルートR3を含むように設定するようにしてもよい。その場合の外出時移動エリアSbを図6(b)に示す。なお、図6(b)では、図6(a)の外出時移動エリアSbと区別するため、外出時移動エリアの符号をSbnとしている。このように外出時移動エリアSbnを設定することで、居住者が友人宅13Bを訪れる際にも監視処理が無駄に実施されてしまうのを回避することが可能となる。
(3)私道18における住宅13居住者の移動履歴を取得する移動履歴取得手段を設け、その取得手段により取得した居住者の移動履歴に基づき、当該居住者の移動エリアを設定するようにしてもよい。以下、その具体例について説明する。
上記(2)で説明したように、図6(a)の例では、住宅13Aの居住者が友人宅13Bに訪れる際に、外出時移動エリアSbを出ることになるため、監視カメラ23による監視処理が行われることになる。そこで、この場合に、監視カメラ23による居住者の監視映像に基づき、コントローラ30(監視制御手段に相当)により、(住宅13Aの)居住者が私道18において移動する移動ルート(図6(a)の例では、移動ルートR3)を判定するようにし、その判定した移動ルートR3(移動履歴に相当)を含むように外出時移動エリアSbn(図6(b)参照)を作成するようにする。そして、コントローラ30が、その作成した外出時移動エリアSbnを移動エリア記憶部34に記憶するようにする。具体的には、この場合、移動エリア記憶部34には既に外出時移動エリアSbが記憶されているため、その外出時移動エリアSbに上書きする形で外出時移動エリアSbnを移動エリア記憶部34に記憶する。なお、この場合、監視カメラ23が移動履歴取得手段に相当する。
上記の構成によれば、その後、住宅13Aの居住者が外出する際には、居住者の移動エリアとして外出時移動エリアSbnが設定される。そのため、居住者が友人宅13Bへ訪問する際にも、居住者は外出時移動エリアSbnを出ることがなく監視カメラ23による監視処理が実施されることがなくなる。このように、上記の構成によれば、敷地12内に居住者がよく訪問する友人宅13B等がある場合に、その友人宅13Bまでの移動ルートを含むように移動エリアが自動で設定されるため、監視カメラ23による監視処理が無駄に実施されてしまうことを好適に回避することができる。
(4)上記実施形態では、カメラ21,22により撮影された人の顔画像に基づき、出入口15,16を通じて私道18に入ろうとする人が居住者であるか否かを判定(認証)するようにしたが、かかる認証(つまり居住者認証)は必ずしもこのようにして行う必要はない。例えば、出入口15,16付近に居住者が携帯する電子キー29との間で通信可能な通信部を設け、その通信部を通じて電子キー29からIDコードを受信(取得)したか否かに基づき、居住者認証を行ってもよい。
(5)人が出入口15,16より私道18(敷地12)に入る際には、歩いて入る場合の他に、車で入る場合が考えられる。そこで、そのような場合を想定して、出入口15,16付近に車両のナンバープレートに表示された車両番号(車両登録番号)を読み取り可能な読取装置(カメラ等)を設け、その読取装置で読み取った車両番号に基づき、車両に乗って私道18に入る人が居住者であるか否かを認証するようにしてもよい。その場合、車両に乗って私道18に入る人が居住者である場合に、監視カメラ23による監視処理を実行させないようにすることができる。
また、居住者が車両に乗って私道18に入る場合にも、上記実施形態と同様、移動エリア(帰宅時移動エリア)を設定し、居住者(車両)がその設定した移動エリアの内外いずれにいるかを判定することが考えられる。その場合にも、居住者が車両に乗って移動エリアの外に出た場合、つまり居住者が不審な行動をとっている可能性がある場合には、監視カメラ23による監視処理を実行させ防犯性向上を図ることができる。なお、この場合、私道18に車両を検知する車両検知センサを複数設け、それら車両検知センサの検知結果に基づき、車両(居住者)が移動エリアの内外いずれにいるかを判定するようにしてもよい。
また、移動エリア内における車両(居住者)の滞在時間が所定時間を超えた場合に、監視カメラ23による監視処理を実行させるようにしてもよい。車両が移動エリア内に長時間停車している場合等には、不審行動の可能性があるため、その場合に監視処理を行うことで防犯性のさらなる向上を図ることができる。なお、車両は徒歩と比べ移動速度が速いため、この場合、上記所定時間を徒歩の場合(上記実施形態の場合)よりも短い時間に設定するのが望ましい。
(6)上記実施形態では、カメラ21,22により出入口15,16を通じて私道18に入ろうとしている人の顔を撮影したが、これを変更して、カメラ21,22により出入口15,16を通じて私道18に入った人の顔を撮影するようにしてもよい。この場合、私道18に入った人の顔画像に基づき、その人が居住者か否かが判定され、居住者である場合には移動エリア(帰宅時移動エリア)の設定等が行われる。つまり、この場合、居住者が私道18に入った場合に、移動エリアの設定等が行われることになる。
(7)上記実施形態では、監視カメラ23による監視映像の送信先を監視センタ38としたが、監視映像の送信先は必ずしもこれに限らない。例えば、住宅13の居住者が携帯するスマートフォン等のディスプレイ付きの携帯端末に監視映像を送信するようにしてもよい。そうすれば、居住者が外出先からでも私道18に滞在する不審者を監視することが可能となる。
(8)上記実施形態では、2つの出入口15,16を有する敷地12に本発明の監視システムを適用したが、3つ以上の出入口を有する敷地や、出入口を1つだけ有する敷地に本発明の監視システムを適用してもよい。例えば、出入口を1つだけ有する敷地に本発明を適用する場合には、居住者の帰宅時及び外出時の移動ルートがいずれも同じルートとなるため、帰宅時及び外出時における移動エリアを共通とすることができる。
(9)上記実施形態では、私道18に入ることを許可された許可者として、各住宅13の居住者を想定したが、かかる許可者は必ずしも居住者に限ることはない。例えば、居住者の友人や知人、宅配業者等を許可者としてもよい。その場合にも、その許可者の顔画像を予め許可者登録顔画像として顔画像記憶部31に記憶しておけば、その許可者が出入口15,16を通じて私道18に入ることを判定できるため、その許可者が私道18に入ろうとしている場合に監視カメラ23による監視処理を実施しないようにすることができる。
(10)上記実施形態では、敷地12が塀11により囲まれていたが、敷地12がフェンスや垣根等、塀以外の外構により囲まれている場合も考えられる。そこで、そのような敷地12に本発明の監視システムを適用してもよい。要するに、所定の出入口を通じてのみ出入り可能な敷地12であれば、本発明を適用することが可能である。また、所定の出入口を通じてのみ出入り可能な敷地12であれば、敷地12が外構により囲まれていることは必須でなく、敷地12の一部又は全部が外構により囲まれていなくてもよい。