JP6757500B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池その他の非水電解液二次電池は、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられている。
かかる非水電解液二次電池は、例えば、電池ケース本体および蓋体が溶接された電池ケースと、この電池ケース内に収容された電極体と、この電極体と電気的に接続された集電端子(正極集電端子および負極集電端子)と、上記蓋体の外面(電池ケースの外側の面をいう。以下同じ。)に設けられた外部接続用の端子(正極端子および負極端子)とを備えている。この非水電解液二次電池では、上記蓋体に貫通形成された挿通孔を介して上記正負極集電端子と上記正負極端子とが電気的に接続されている。
また、上記挿通孔の周縁は、電池ケースの内側において上記蓋体と集電端子との間に絶縁性のガスケットを挟持して密着させることにより、封止(シーリング)するとともに電池ケースと集電端子との絶縁が行われている。
上記ガスケットとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のガスケット(特許文献1の図2)は、正極端子部材(特許文献1の図1)と電池ケース蓋の内面側との間に挟持される絶縁介在部を有する。絶縁介在部は合成樹脂からなり、結晶化度が絶縁介在部以外の部分(挿入部および絶縁側壁部)の結晶化度よりも高い。かかるガスケットは、絶縁介在部の密度が高いため、電解液を構成する分子が絶縁介在部を透過し難いので、電解液がガスケットの内部を通って電池の外部へ漏れ出るおそれがない。
特開2014−029839号公報
ところで、電解液が非水系溶媒で構成される非水電解液二次電池は、充放電や過充電あるいは高温下の保存などにより、二酸化炭素(CO)等のガスが電池ケースの内部で発生する場合がある。また、電池内部に水分が浸入し、電池特性が劣化して上記のようなガスが発生することもある。
そこで、非水電解液二次電池では、電池ケースの内部で発生したガスを電池ケースの外部に排出するためのガス排出弁が蓋体に設けられている。また、非水電解液二次電池では、電池が過充電状態になったときに当該電池の電流通路を遮断する圧力作動型の電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)が備えられている。また、非水電解液に所定の電池電圧を超えた際に分解してガス(例えばCOガス)を発生し得るガス発生剤を含むリチウムイオン二次電池がある。ガス発生剤は、電池が過充電状態になったときに分解されて所定の種のガスを発生する。そして、そのガス圧により、電池ケース内の内圧が上昇し、その圧力上昇を検知した電流遮断機構が作動するように構成されている。
しかし、蓋体と集電端子との間に介在されたガスケットの密度が過剰に高いと、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO)等のガスの電池外部への透過が抑制され、電池内圧が上昇し易くなるため、電流遮断機構および/またはガス排出弁が想定外に早く作動してしまう等の誤作動が起こり得る。また、逆に、ガスケットの密度が低くなりすぎると、電池ケースの外部から電池ケースの内部に浸入する水分量の増加が起こり得るため、好ましくない。
そこで、本発明は、上記諸課題を解決するべく創出されたものであり、電池ケース外部からケース内部への水分の浸入を抑制することと、電池ケースの内圧上昇による電流遮断機構およびガス排出弁の誤作動防止とを両立することができる非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明は、
開口部を有する電池ケース本体と、該開口部を塞ぐ蓋体と、該蓋体の外面側に設けられた外部接続用の接続端子とを備える電池ケースと、
電池ケースの内部に収容される電極体と、
一端が電池ケースの内部において電極体と電気的に接続されており、他端が蓋体に設けられた挿通孔を介して接続端子と電気的に接続される集電端子と、
集電端子を挿通させる挿通孔が設けられており、電池ケースの内部において蓋体と集電端子との間に挟持され、該蓋体と集電端子との間を封止するガスケットとを備える非水電解液二次電池を提供する。
そして、ここで開示される非水電解液二次電池のガスケットは、
蓋体の内面に密接するように配置され、合成樹脂によって形成されている第1ガスケットと、
第1ガスケットと集電端子との間に配置され、第1ガスケットよりもガス透過係数が高い弾性樹脂によって形成されている第2ガスケットと
を備えており、
第2ガスケットの挿通孔の径が第1ガスケットの挿通孔の径よりも大きく、第1ガスケットと集電端子との間に第2ガスケットの挿通孔の側壁に隣接する空隙が形成されていることを特徴とする。
ここで開示される非水電解液二次電池では、ガスケットが第1ガスケットと第2ガスケットの2つに分割されており、当該第2ガスケットは、第1ガスケットを比較して相対的にガス透過係数が高い弾性樹脂によって形成されている。そして、第2ガスケットは、第1ガスケットよりも大きな挿通孔を有しており、第1ガスケットと集電端子との間に配置されている。これによって、第1ガスケットと集電端子との間に、第2ガスケットの挿通孔の側壁に隣接する空隙が形成されている。
かかる構造を有した非水電解液二次電池において、電池ケース内で発生したガスは、先ず、ガス透過係数が高い第2ガスケットに透過した後、当該第2ガスケットに隣接した空隙を通過し、その後、電池ケース外に排出される。すなわち、ここで開示される非水電解液二次電池では、ガス透過係数が高い弾性樹脂によって形成された第2ガスケットと、空隙とを通過するガス排出経路が形成されている。このため、電池ケース内で発生したガスを外部に好適に排出し、電池ケースの内圧上昇による電流遮断機構およびガス排出弁の誤作動を防止することができる。
一方、電池ケース内のガスを好適に排出させるために上記したようなガス透過性に優れたガス排出経路を形成すると、当該ガス排出経路を通って電池ケースの外部から内部に水分が浸入し易くなる。しかし、ここで開示される非水電解液二次電池では、水分が浸入し易い高温高湿環境に電池が晒された場合に、上記ガス排出経路を遮断して、ケース内に水分が浸入することを防止できる。
具体的には、ここで開示される非水電解液二次電池では、外部から水分が浸入し易い高温高湿環境に晒された際に合成樹脂製の第1ガスケットが膨張する。このとき、弾性樹脂製の第2ガスケットが圧縮され、第1ガスケットと集電端子とが近接するため、ガス排出経路を構成する空隙が小さくなる。これによって、第2ガスケットと空隙によって形成されるガス排出経路が第1ガスケットによって遮断され、外部から電池ケース内に水分が浸入することを抑制できる。
ここで開示される非水電解液二次電池の一実施形態であるリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す部分断面図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池に備えられた蓋体および集電端子を示す分解斜視図である。 図1に示すリチウムイオン二次電池の正極側の絶縁構造を模式的に示す断面図である。 リチウムイオン二次電池が高温高湿環境に晒された場合の図3に示す正極側の絶縁構造を模式的に示す断面図である。 試験例1〜試験例3の水分浸入量の測定結果を示すグラフである。 試験例1〜試験例3のガス排出量の測定結果を示すグラフである。 試験例2および試験例3のリチウムイオン二次電池の正極側の絶縁構造を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、各図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウムイオン二次電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(即ち、非水溶媒中に支持電解質を含む電解液)を備えた二次電池をいう。また、「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電が行われる二次電池をいう。
以下、扁平角型のリチウムイオン二次電池を例にして、本発明について詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す部分断面図であり、図2は、図1に示すリチウムイオン二次電池に備えられた蓋体および集電端子を示す分解斜視図である。図3は、図1に示すリチウムイオン二次電池の正極側の絶縁構造を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、リチウムイオン二次電池を単に電池という場合もある。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、電池ケース20に、所定の電池構成材料を具備する捲回電極体30が適当な非水電解液とともに収容された構成を有する。本実施形態では、リチウムイオン二次電池10は角型電池であるが、電池の形状は角型に限定されず、円柱形状等であってもよい。
電池ケース20は、扁平かつ有底の直方体形状に形成されたいわゆる角型の電池ケース本体21と、この電池ケース本体21の上部にて開口形成された開口部21Aと、その開口部21Aを塞ぐ蓋体22とを備える。詳しくは、電池ケース本体21の開口部21Aに蓋体22が嵌め込まれ、蓋体22の外縁と開口部21Aの周囲の電池ケース本体21との合わせ目25をレーザ溶接することにより蓋体22が電池ケース本体21に固定され、電池ケース20内部を密閉する。
電池ケース20の材質は、従来の非水電解液二次電池で使用されるものと同じであればよく、特に制限はない。軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース20が好ましく、このような金属製材料としてアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。本実施形態に用いられる電池ケース20(具体的には電池ケース本体21および蓋体22)はアルミニウムもしくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。
蓋体22の外形は、開口部21Aの形状(電池ケース本体21の開口形状)に適合する略長方形状である。蓋体22の中央部には、電池ケース20の内圧が上昇した場合に該ケースの内外を連通させて内圧を開放するためのガス排出弁27が設けられている。ガス排出弁27の隣には、電池製造時に電解液を注入するための注入口28が設けられている。注入口28には注液栓29が被せられ、溶接により固定されている。このことにより、注入口28の封止(密閉)が行われている。
捲回電極体30は、電池ケース本体21に、その捲回軸が蓋体22とほぼ並行になるように収容されている。捲回電極体30は、通常のリチウムイオン二次電池の捲回電極体と同様、シート状の正極(正極シート)32および負極(負極シート)34間にシート状のセパレータ(セパレータシート)36を介在させつつ積層して長手方向に捲回し、拉げさせることによって作製され得る。
捲回電極体30を構成する材料および部材自体は、従来のリチウムイオン二次電池に備えられる電極体と同様でよく、特に制限はない。本実施形態の捲回電極体30は、長尺状の正極集電体(例えばアルミニウム箔)上に正極活物質層を有する正極シート32と、長尺状の負極集電体(例えば銅箔)上に負極活物質層を有する負極シート34と、セパレータシート36とを含む。
正極活物質としては、一般的なリチウムイオン二次電池の正極に用いられる層状構造の酸化物系活物質、スピネル構造の酸化物系活物質等を好ましく用いることができる。かかる活物質の代表例として、リチウムコバルト系酸化物、リチウムニッケル系酸化物、リチウムマンガン系酸化物等のリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。負極活物質としては、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)等の炭素材料が挙げられる。
セパレータシート36としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。
非水電解液は、電池ケース20内に充填されており、正極シート32と負極シート34との間に介在している。当該非水電解液は、適当な非水系溶媒に支持塩を含有するものであり、リチウムイオン二次電池用途のものとして従来公知の非水電解液を特に制限なく採用することができる。例えば、非水系溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を用いることができる。また、支持塩としては、例えば、LiPF等のリチウム塩を好適に用いることができる。
正極シート32には正極集電端子40が、負極シート34には負極集電端子80がそれぞれ溶接され、電気的に接続されている。これらの集電端子40,80は、蓋体22の長手方向の一方の端部近傍および他方の端部近傍にそれぞれ設けられた正極用および負極用の端子引出孔(挿通孔)242,244をそれぞれ貫通して、電池ケース20の内部から外部に引き出されている。正極集電端子40は、図1および図2に示すように、主として電池ケース20の内側に位置する正極内部端子420と、主として電池ケース20の外側に位置する正極外部端子460とが電気的に接続された構成を有する。負極集電端子80もまた、正極側と概ね同形状に形成された負極内部端子820と負極外部端子860とが電気的に接続された構成を有する。
以下、本実施形態に係る端子構造を主として正極側で詳細に説明し、ほぼ同形状の端子構造を備える負極側については、説明を簡略化ないしは省略することとする。
図1に示すように、正極内部端子420は、その下端422Aが正極シート32に、例えば超音波溶接によって接合され、電気的に接続されている。図2に示すように、正極内部端子420は、下端422Aから蓋体22に向かって延びる板状(帯状)の第一リード部422と、第一リード部422の上端に続いて形成され該上端から略直角に(図2では図の奥側から手前に)曲がって蓋体22の内面(電池ケースの内側の面をいう。以下同じ。)と略平行に広がる平板状の第二リード部424と、第二リード部424の板面中央部から電池の外方向に略垂直に延びる突出部426とを備える。
突出部426はリベット部として構成されており、端子引出孔242および正極外部端子460の挿通孔(リベット孔)462Aに上記リベット部を貫通させ、図1のようにかしめることにより、正極内部端子420と正極外部端子460とが接続(締結)されている。正極内部端子420および正極外部端子460の構成材料としては導電性のよい金属材料が好ましく、典型的にはアルミニウムが用いられる。
また、第二リード部424の上面は、ガスケット500と密接し、突出部426は、ガスケット500の挿通孔512、522に挿通されるが、このことは後述する。
図2に示すように、正極外部端子460は、上記正極内部端子420の突出部426を挿通可能な挿通孔462Aを有する第一接続部462と、第一接続部462から蓋体22の長手方向中央側に続き、電池ケース20の外方に階段状に持ち上がって形成された第二接続部(外側端部)464とを有する。図2に示すように、第二接続部464には、外部接続用の接続端子(端子ボルト670)の軸部674を挿通可能なボルト挿通孔464Aが形成されている。ボルト挿通孔464Aに端子ボルト670の軸部674を下から上に通し、かかる軸部674に固定用ナット(図示省略)を締め付けることにより、正極外部端子460に端子ボルト670を連結(固定)することができる。
また、本実施形態においては、上記した正極内部端子420、正極外部端子460、端子ボルト670が、蓋体22と通電することを防止するために、蓋体22の外面側にインシュレータ60が配置されている。
かかるインシュレータ60は、蓋体22の上面(表面)の端子引出孔242近傍と、正極外部端子460の第一接続部462との間に挟み込まれる取付部620と、正極外部端子460の第二接続部464と蓋体22との間に挟み込まれる延長部640とを有する。取付部620は、蓋体22の外面に沿って広がる皿部を有する。この皿部の窪みに合わせて正極外部端子460の第一接続部462が配置されている。
延長部640には、端子ボルト670の頭部672を受け入れ可能なボルト受け穴642が形成されている。端子ボルト670の頭部672は、軸部674に垂直な断面における形状が、インシュレータ60のボルト受け穴642よりも一回り小さな長方形状となるように形成されている。端子ボルト670は、頭部672がボルト受け穴642に挿入されることで回転が制限され(共回りが阻止され)、かつ軸部674が正極外部端子460のボルト挿通孔464Aを通して突出するように配置(装着)されている。
また、インシュレータ60の取付部620には、正極内部端子420の突出部426を挿通させる貫通孔622が設けられている。そして、図3に示すように、かかるインシュレータ60の下面の貫通孔622の周囲には、円筒状の凸部624が設けられている。かかる凸部624は、蓋体22の端子引出孔242に挿入されており、端子引出孔242の内部において蓋体22と正極内部端子420とが通電することを防止している。
ガスケット500は、電池ケース20の内部において蓋体22と正極集電端子40(正極内部端子420の第二リード部424)との間に挟持される部材であり、蓋体22と正極集電端子40との間を封止している。図2および図3に示すように、本実施形態に係るガスケット500は、第1ガスケット510と第2ガスケット520の2つのガスケットを備えている。
第1ガスケット510は、熱によって膨張収縮する合成樹脂製であり、中心に正極集電端子40の突出部426を挿通させるための挿通孔512が設けられている。かかる挿通孔512は、インシュレータ60に設けられた円筒状の凸部624の外径と略同等の径を有しており、当該凸部624の外周面と挿通孔512の側壁とが密接している。
また、図3に示すように、第1ガスケット510の一方の幅広面(上面)は、蓋体22の内面に密接するように平坦に形成されている。一方、第1ガスケット510の他方の幅広面(下面)には、挿通孔512の径方向外方に向かうに従って、当該第1ガスケット510の厚みL4が薄くなるように傾斜する傾斜面が形成されている。
第1ガスケット510の構成材料には、後述する第2ガスケット520の構成材料と比較して、相対的に水分およびガス(COガスなど)の透過性が低い樹脂材料が用いられている。具体的な一例として、疎水性のポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE))、フッ素系樹脂(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))等が挙げられる。
一方、第2ガスケット520は、上記した第1ガスケット510を構成する合成樹脂よりも高い弾性を有する弾性樹脂によって構成されている。かかる第2ガスケット520の中心には、正極集電端子40の突出部426を挿通させるための挿通孔522が設けられている。本実施形態においては、かかる第2ガスケット520の挿通孔522が、第1ガスケット510の挿通孔512よりも大きな径を有している。
そして、第2ガスケット520は、第1ガスケット510と正極集電端子40(正極内部端子420の第二リード部424)との間に配置されている。具体的には、第2ガスケット520の一方の幅広面(上面)には、第1ガスケット510の下面の傾斜に対応した傾斜面が形成されており、当該第1ガスケット510の下面に密接している。また、第2ガスケット520の他方の幅広面(下面)には、正極内部端子420の第二リード部424の上面の傾斜に対応した傾斜面が形成されており、当該第二リード部424に密接している。
第2ガスケット520の構成材料には、第1ガスケット510と比較して相対的に水分およびガス(COガスなど)の透過性が高い弾性樹脂が用いられている。かかる弾性樹脂の具体的な一例として、エチレン・プロピレンゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。なお、第2ガスケット520に用いられる弾性樹脂のガス透過係数は、例えば、100〜1500(単位:1×10−10cm(STP)・cm/(cm・s・cmHG))であることが好ましい。これによって、電池ケース20内部で生じたガスをより好適に外部へ排出することができる。
そして、本実施形態においては、蓋体22の内面の端子引出孔242の近傍に第1ガスケット510と第2ガスケット520を配置した後、蓋体22の外面の端子引出孔242近傍にインシュレータ60を配置し、さらに上に正極外部端子460を配置する。そして、蓋体22の端子引出孔242に、正極内部端子420の突出部426を挿入し、蓋体22の内面と第二リード部424との間に、上記した第1ガスケット510と第2ガスケット520を挟み込ませる。そして、正極内部端子420の突出部426の上端と、第二リード部424の下面を挟み込むように加圧することによって、かしめ加工が行われる。
かかるかしめ加工により、突出部426の上端が円板状に変形して正極集電端子40を蓋体22に固定するとともに、蓋体22と正極集電端子40の第二リード部424との間でガスケット500が圧縮されることにより、端子引出孔242の周囲が封止(シール)される。
このとき、本実施形態においては、第2ガスケット520の挿通孔522の径が、第1ガスケット510の挿通孔512の径よりも大きいため、第1ガスケット510の下面と正極集電端子40(第二リード部424の上面)との間に、第2ガスケット520の挿通孔522の側壁524に隣接した空隙Aが形成される。
かかる構造を有した本実施形態に係る非水電解液二次電池10では、第2ガスケット520と、上記した空隙Aと、インシュレータ60とによって構成されるガス排出経路Bが形成される。このガス排出経路Bには、ガス透過性の高い弾性樹脂によって形成された第2ガスケット520と空隙Aとが配置されているため、電池ケース20内部で発生したガスを外部へ好適に排出することができる。このため、本実施形態によれば、電池ケース20の内圧上昇による電流遮断機構およびガス排出弁の誤作動を防止することができる。
一方、上記したガス排出経路Bはガス透過性が高いため、高温高湿環境に電池が晒された場合に、ガス排出経路Bを通って電池ケース20の外部から内部に水分が浸入し易くなる虞がある。しかし、本実施形態に係る非水電解液二次電池10では、高温高湿環境に電池が晒された場合、図4に示すように、熱によって第1ガスケット510が膨張し、弾性樹脂製の第2ガスケット520が圧縮されて空隙Aが小さくなる。このように、第1ガスケット510によってガス排出経路Bが遮断されるため、高温高湿環境に電池が晒された場合であっても、電池ケース20内部に水分が浸入することを防止できる。
なお、高温高湿環境における空隙Aの縦方向の寸法L5は、下記の式(1)に基づいて規定される。下記(1)中のL4は第1ガスケットの厚み、Kは第1ガスケットの熱膨張係数、T1は高温環境の電池温度、T2は常温環境の電池温度である。このとき、常温環境において十分に大きな空隙Aが形成され、かつ、高温高湿環境において当該空隙Aが適切に小さくなるように、下記の式(1)に基づいて、各部材の寸法や第1ガスケット510の材料を設定すると好ましい。
L5≧L4×K×(T1−T2) (1)
なお、本実施形態のように、第1ガスケット510の下面に傾斜面を設け、当該傾斜面に対応するように第2ガスケット520の上面を傾斜させた場合、第1ガスケット510の熱膨張によって第2ガスケット520が圧縮された際に、第1ガスケット510の下面と第二リード部424の上面とが接触して空隙Aを完全に塞ぐことができる。これによって、高温高湿環境における水分の浸入をより確実に防止することができる。
また、一般に、電池が高温環境に晒されると、非水電解液の構成成分(典型的には非水系溶媒)が気化して電池ケース20外に漏出する虞がある。本実施形態では、上記したように、電池が高温環境に晒された場合、膨張した第1ガスケット510によってガス排出経路Bを遮断することができるため、このような高温環境における非水電解液の漏出も好適に防止することができる。
なお、本実施形態に係る非水電解液二次電池における各部材の寸法は、種々の条件を考慮して適宜設定することが好ましい。例えば、突出部426のかしめ部分の寸法L1と、挿通孔522の径方向における空隙Aの寸法L2と、径方向における第2ガスケット520の寸法L3との関係は、下記の式(2)を満たしていると好ましい。これによって、第1ガスケット510と第2ガスケット520の各々に、かしめ加工の圧力が適切に加えられるため、好適な縦寸法L5の空隙Aを形成することができ、より好適に電池ケース20内部のガスを排出できるようになる。
L1≧L2+L3 (2)
[試験例]
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
本試験例では、ガスケットの構造が異なる3種類の非水電解液二次電池を作製し、各々の電池について、電池ケース内部への水分の浸入量と、電池ケース外部への二酸化炭素ガスの排出量とを測定した。
1.各試験例
(1)試験例1
試験例1では、図1に示すようなリチウムイオン二次電池10を作製した。そして、図3に示すように、第1ガスケット510と第2ガスケット520とを蓋体22と第二リード部424との間に配置した後にかしめ加工を行うことによって、第1ガスケット510と第二リード部424との間に、第2ガスケット520に隣接する空隙Aが形成された正極集電端子40を構築した。なお、第1ガスケット510の材料には、熱膨張係数が0.00015[K−1]のポリエチレン(PE)を使用し、第2ガスケット520の材料には、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を使用した。また、上記のかしめ加工の圧力は、常温環境(20℃)における第1ガスケット510の圧縮率が5%、第2ガスケット520の圧縮率が15%になるように設定した。
なお、試験例1の電池において、突出部のかしめ部分の寸法L1は6mm、径方向における空隙の寸法L2は2mm、径方向における第2ガスケットの寸法L3は4mm、第1ガスケットの厚みL4は1mm、20℃における空隙の縦方向の寸法L5は0.003mmに設定した。
(2)試験例2
試験例2では、図7に示すように、ポリエチレン(PE)製の単一のガスケット700を用い、かかるガスケット700の常温環境における圧縮率が15%になるようにかしめ加工の圧力を設定したことを除いて、試験例1と同じ条件でリチウムイオン二次電池を作製した。
(3)試験例3
試験例3では、ガスケット700の素材をエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)製に変更したことを除いて、試験例2と同じ条件でリチウムイオン二次電池を作製した。
2.評価試験
本試験では、各々の試験例で3個ずつリチウムイオン二次電池を作製し、作製した電池をそれぞれ20℃、45℃、60℃に設定された密閉容器(相対湿度(RH)98%)内に1ヶ月保管した。そして、電池ケース内へ浸入した水分量をカールフィッシャー水分測定装置によって測定すると共に、電池ケース外へ排出されたガス量をガスクロマトグラフィー(検出器:TCD、BID)によって測定した。水分浸入量の測定結果を図5に示し、ガス排出量の測定結果を図6に示す。
図5に示すように、試験例1〜試験例3のうち、EPDM製のガスケットを用いた試験例3は、常温環境(20℃)における水分浸入量が他の試験例と同程度であったが、電池温度が上昇するに従って水分浸入量が大幅に増加した。このことから、EPDMのようなガス透過性が高い樹脂材料をガスケットに用いた場合、電池ケース内へ水分が浸入し易く、特に45℃を超える高温高湿環境下では水分浸入量が顕著に増加することが分かった。
一方、試験例1では、第2ガスケットがEPDMによって構成されているにも関わらず、電池温度が上昇しても電池ケース内への水分浸入量が増加し難く、PE製のガスケットを使用している試験例2と同程度に水分浸入量が抑制されていた。これは、試験例1の電池は、高温環境に晒された際に、図4に示すように第1ガスケットが膨張して空隙を塞ぎ、ガス排出経路上にPE製の第1ガスケットが配置されるためと解される。
また、図6に示すように、試験例1の電池は、常温環境(20℃)におけるガス排出量が最も高くなっていた。このことから、試験例1の電池のように、ガス透過性の高い第2ガスケットと空隙とを有するガス排出経路を形成することによって、当該ガス排出経路を介して、電池ケース内のガスを外部に好適に排出し、電池ケースの内圧上昇による電流遮断機構およびガス排出弁の誤作動を防止できることが分かった。
なお、試験例1の電池は、高温環境に晒されるとガス排出量が低下する傾向があった。これは、第1ガスケットが膨張によってガス排出経路が遮断されたためと解される。しかし、この場合でも、PE製のガスケットを使用した試験例2の電池よりも高いガス排出機能を有しているため、十分に電池ケースの内圧上昇を抑制できると解される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 リチウムイオン二次電池(非水電解液二次電池)
20 電池ケース
21 電池ケース本体
21A 開口部
22 蓋体
25 合わせ目
27 ガス排出弁
28 注入口
29 注液栓
30 捲回電極体
32 正極シート
34 負極シート
36 セパレータシート
40 正極集電端子(集電端子)
60 インシュレータ
80 負極集電端子
242 端子引出孔
420 正極内部端子
422 第一リード部
422A 第一リード部の下端
424 第二リード部
426 突出部
460 正極外部端子
462 第一接続部
462A 正極外部端子の挿通孔
464 第二接続部
464A ボルト挿通孔
500、700 ガスケット
510 第1ガスケット
512 第1ガスケットの挿通孔
520 第2ガスケット
522 第2ガスケットの挿通孔
524 第2ガスケットの挿通孔の側壁
620 取付部
622 貫通孔
624 凸部
640 延長部
642 ボルト受け穴
670 端子ボルト(接続端子)
672 端子ボルトの頭部
674 軸部
820 負極内部端子
860 負極外部端子
A 空隙
B ガス排出経路
L1 突出部のかしめ部分の寸法
L2 径方向における空隙の寸法
L3 径方向における第2ガスケットの寸法
L4 第1ガスケットの厚み
L5 空隙の縦方向の寸法

Claims (1)

  1. 開口部を有する電池ケース本体と、該開口部を塞ぐ蓋体と、該蓋体の外面側に設けられた外部接続用の接続端子とを備える電池ケースと、
    前記電池ケースの内部に収容される電極体と、
    一端が前記電池ケースの内部において前記電極体と電気的に接続されており、他端が前記蓋体に設けられた挿通孔を介して前記接続端子と電気的に接続される集電端子と、
    前記集電端子を挿通させる挿通孔が設けられており、前記電池ケースの内部において前記蓋体と前記集電端子との間に挟持され、該蓋体と集電端子との間を封止するガスケットと、
    を備える非水電解液二次電池であって、
    前記ガスケットは、
    前記蓋体の内面に密接するように配置され、合成樹脂によって形成されている第1ガスケットと、
    前記第1ガスケットと前記集電端子との間に配置され、前記第1ガスケットよりもガス透過係数が高い弾性樹脂によって形成されている第2ガスケットと
    を備えており、
    前記第2ガスケットの挿通孔の径が前記第1ガスケットの挿通孔の径よりも大きく、前記第1ガスケットと前記集電端子との間に前記第2ガスケットの挿通孔の側壁に隣接する空隙が形成されていることを特徴とする非水電解液二次電池。
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