以下、添付の図面を参照して、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の利用シーン例を説明するための概念図である。図1に示すように、送電装置101の送電範囲102の中に、複数の受電装置103(受電装置103−1、103−2)が存在している。なお、送電装置101は、ノートPC、DVDレコーダ、ビデオデッキなどの電気製品や、テーブル、デスク、テレビ台などの家具に組み込むことも可能である。また、図1では、受電装置103が、デジタルカメラやスマートフォンである場合の例を説明しているが、これ以外に、例えばビデオカメラやノートPC、フィーチャーフォンなどの各種電気製品に適用することが可能である。受電装置103は、送電装置101から無線で伝送された電力を受電可能な受電装置である。受電装置103は、受電電力を用いて、バッテリーの充電や、装置の駆動を行うことが可能である。
本実施形態では、送電装置101が表1に示す3つの無線電力伝送方式(WPT方式)をサポートしている場合の例について説明する。ただし、この例に限られず、送電装置101は複数のWPT方式をサポートすることができるものとする。また、本実施形態では、送電装置101がサポートしている3つのWPT方式のうち、どのWPT方式で受電装置103へ電力伝送を行うかを、送電装置101が決定する例について記述する。
表1において、第1のWPT方式としての電力伝送の制御用通信方式は負荷変調であり、第2のWPT方式としての電力伝送の制御用通信方式はBluetooth(登録商標)であり、第3のWPT方式としての電力伝送の制御用通信方式はIEEE802.11nである。IEEE802.11及びBluetoothの通信可能距離は負荷変調の通信可能距離よりも長い。
なお、図1は2つの受電装置103が送電範囲内に存在する場合の例を示しているが、3つ以上の受電装置103を送電範囲102の中に配置することも可能である。本実施形態の送電装置101は、送電範囲内に存在する複数の受電装置103に対して無線電力伝送を行うことが可能である。
次に、本実施形態における送電装置101と受電装置103の構成について図2を用いて説明する。図2は、送電装置101と受電装置103の機能構成を説明するためのブロック図である。送電装置101は、送電制御部201、UI(ユーザインタフェース)202、記憶部203、通信制御部204、複数の送電部205、複数の送電アンテナ206、通信部207、通信アンテナ208、検知部209を含むように構成される。本実施形態では、WPT方式ごとに異なる送電部205と送電アンテナ206が存在しているが、複数のWPT方式で送電部205や送電アンテナ206を共用するようにしても良い。
送電制御部201は、送電装置101がサポートする複数の無線電力伝送方式(WPT方式)のうち、いずれのWPT方式で送電範囲内の受電装置103へ送電するかを決定する。本実施形態の送電装置101がサポートするWPT方式の概要は上記の表1で示した通りである。送電制御部201によるWPT方式の決定方法については後述する。UI202は、送電装置101に対してユーザが各種設定を行うためのインタフェースである。記憶部203は、例えば、送電制御部201がWPT方式を決定するために用いる各種情報を記憶する。記憶部203に記憶される情報については後述する。
通信制御部204は、受電装置103との通信を実現するために通信部207を制御する。通信部207は、通信制御部204からの制御に従って通信アンテナ208を介して受電装置103との通信を実現する。本実施形態では、通信部207を用いて無線電力伝送のための各種制御に関する通信を行うことが可能である。なお、通信部207による通信可能範囲(通信範囲)は、送電範囲102よりも広い。送電部205は、送電制御部201からの制御に基づいて送電アンテナ206にかける電流値や電圧値等の各種パラメータを制御し、受電装置103に対する無線電力伝送を実現する。なお、本実施形態の送電装置101は、サポートするWPT方式の数と同じ数の送電部205と送電アンテナ206を有している。検知部209は、送電装置101の送電範囲内に受電装置103が存在することを検知する。また、検知部209は、送電範囲内のどの位置にどの受電装置103が存在するかを検知することも可能である。
受電装置103は、受電アンテナ210、受電部211、通信アンテナ212、通信部213、受電制御部214、UI(ユーザインタフェース)215、記憶部216、通信制御部217を含むように構成される。受電制御部214は、送電装置101が決定したWPT方式で伝送された電力を受電できるように受電部211を制御する。受電制御部214には、充電可能なバッテリーが接続されており、受電制御部214は、受電部211で受電された電力でバッテリーを充電する。ただし、受電制御部214は、送電装置101から受電した電力をバッテリーの充電ではなく、直接プロセッサの電源として用いるように制御することも可能である。UI215は、受電装置103に対してユーザが各種設定を行うためのインタフェースである。記憶部216は、例えば、UI215から入力された設定に関する情報を記憶するために用いられる。
通信制御部217は、送電装置101との通信を実現するために通信部213を制御する。通信部213は、通信制御部217からの制御に従って通信アンテナ212を介して送電装置101との通信を実現する。本実施形態では、通信部213を用いて無線電力伝送のための各種制御に関する通信を行うことが可能である。なお、図2で示している受電装置103は、表1に示す第1のWPT方式と第2のWPT方式をサポートしている。また、図2の受電装置103は、受電アンテナ210と受電部211をそれぞれ2つずつ備えている。ただし、本実施形態では、1つのWPT方式にしか対応していない受電装置103や3つのWPT方式に対応している受電装置103などの複数の受電装置103が送電装置101の送電範囲102に存在するようなケースを想定している。また、第1のWPT方式と第2のWPT方式で受電アンテナ210や受電部211を共用できる場合には、1つの受電アンテナ210や受電部211で受電装置103を実現することも可能である。
次に、本実施形態における送電装置101と受電装置103の動作について、図3のシーケンス図を用いて説明する。図3は、本実施形態による送電装置101と受電装置103の動作を説明するためのシーケンス図である。図3のS301において、送電装置101は送電範囲内に受電装置103が存在するか否かを判定する。送電範囲内に受電装置103が存在すると判定されると(S301のYES)、送電装置101は、第1のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第1の問合せ信号)を受電装置103に対して送信する(S302)。受電装置103が第1のWPT方式をサポートしている場合、受電装置103は第1の問合せ信号に対するレスポンス(第1のレスポンス)を送電装置101に対して送信する(S303)。第1のWPT方式をサポートしていない受電装置103は、第1の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
また、送電装置101は、第2のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第2の問合せ信号)を受電装置103に対して送信する(S304)。受電装置103が第2のWPT方式をサポートしている場合、受電装置103は第2の問合せ信号に対するレスポンス(第2のレスポンス)を送信する(S305)。第2のWPT方式をサポートしていない受電装置103は、第2の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
また、送電装置101は、第3のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第3の問合せ信号)を受電装置103に対して送信する(S306)。受電装置103が第3のWPT方式をサポートしている場合、受電装置103は第3の問合せ信号に対するレスポンス(第3のレスポンス)を送信する(S307)。第3のWPT方式をサポートしていない受電装置103は、第3の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。例えば、図2の受電装置103は、第3のWPT方式はサポートしていないため、送電装置101から第3の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
なお、送電装置101は、第1の問合せ信号を送信してから所定時間内に、送電装置101がサポートするすべてのWPT方式に関する問合せ信号の送信を終了する。本実施形態の送電装置101は、3つのWPT方式をサポートしているので、3種類の問合せ信号を所定時間内に送信する。
送電装置101は、第1、第2、及び第3の問合せ信号に対するレスポンスの有無、及び/又は、レスポンスの内容によって、受電装置103がサポートしているWPT方式を特定する。そして、送電装置101は、送電装置101と受電装置103が共にサポートしているWPT方式が複数ある場合、その中から受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する(S308)。WPT方式の決定方法は後述する。送電装置101は、S308で決定したWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号を受電装置103とやり取りすることで、電力伝送に関するパラメータのネゴシエーションを実行する(S309)。本実施形態のネゴシエーションでは、受電装置103の充電状況(0%〜100%)、要求電力(例えば5W)、現在の動作モード(通信中かスリープ中かなど)等の制御情報を送電装置101が受電装置103から取得する。そして、送電装置101の送電制御部201は、取得した受電装置103に関する各種情報に基づいて、送電アンテナ206に流す電流値や電圧値、駆動周波数などのパラメータを決定する。ネゴシエーションが終了すると、送電装置101は送電を開始する(S310)。
送電装置101は、送電中において、所定時間ごとに送電を終了すべきか否かを判定し、送電を終了すべきと判定すると(S311のYES)、受電装置103に対して送電終了通知を送信したあと(S312)、送電の終了処理を行う(S313)。送電終了通知は、S308で決定されたWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号である。受電装置103は、送電終了通知を送電装置101から受信すると、受電終了処理を行う(S314)。
次に、本実施形態の送電装置101の動作について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態による送電装置101の動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態の送電装置101は、不図示のCPUが必要なプログラムをROMから読み出して実行することにより図4で示す動作を実現する。なお、本実施形態の送電装置101は複数の無線電力伝送方式(WPT方式)をサポートしている送電装置である。つまり、送電装置101は、第1のWPT方式で受電装置103への無線電力伝送が可能であると共に、第2のWPT方式で受電装置103への無線電力伝送を行うことも可能であり、さらに第3のWPT方式で受電装置103へ電力伝送を行うことも可能である。また、本実施形態の送電装置101は、自身の電源がオンになると、S401の処理を開始する。
図4のS401において、送電装置101の検知部209は、送電範囲内に新たな受電装置103が検知されたか否かを判定する。検知部209が送電範囲内に新たな受電装置103を検知すると(S401のYES)、S402に進む。S402において、送電制御部201は、S401で検知された受電装置103がサポートしているWPT方式を特定する。より具体的には、図3に示したように、通信部207から第1、第2、第3の問合せ信号を受電装置103へ送信し、当該信号に対するレスポンスの有無、及び/又は、その内容によって、受電装置103がサポートしているWPT方式を特定する。受電装置103がサポートしているWPT方式の特定が終わると、S403に進む。
S403において、送電制御部201は、送電装置101とS401で検知された受電装置103が共にサポートしているWPT方式が複数あるか否かを判定する。送電装置101と受電装置103が共にサポートしているWPT方式が複数あると判定された場合は(S403のYES)、S404に進み、共にサポートしているWPT方式が1つのみであると判定された場合は(S403のNO)、S405に進む。S404(決定手順)において、送電制御部201は、S401で検知された受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する。すなわち、送電制御部201は、送電範囲内に存在する受電装置103への電力伝送に用いる無線電力伝送方式を複数の無線電力伝送方式から決定する。本実施形態における具体的なWPT方式の決定方法の例を以下に示す。
第1の決定方法は、送電可能電力量の残量が大きいほうのWPT方式を受電装置103への電力伝送に用いる決定方法である。すなわち、S401で1台目の受電装置103−1が検知された場合においては、表1に示すように、送電可能電力量に最も余裕があるWPT方式は第3のWPT方式(残量は50W)である。従って、受電装置103−1が第3のWPT方式をサポートしている場合、送電制御部201は、受電装置103−1への電力伝送のためのWPT方式を第3のWPT方式に決定する。そして、受電装置103−1に対して第3のWPT方式で30Wの電力伝送を実行中に、2台目の受電装置103−2が検知された場合においては、送電可能電力量に最も余裕があるWPT方式は第2のWPT方式(残量は20W)である。なお、第3のWPT方式における送電可能電力量の残量は、50W−30W=20Wであるが、本実施形態では既に電力伝送のために使用されているWPT方式以外の方式が優先されて決定されるものとする。従って、受電装置103−2が第2のWPT方式をサポートしている場合、送電制御部201は、受電装置103−2への電力伝送のためのWPT方式を第2のWPT方式に決定する。
一方、受電装置103−2が第2のWPT方式をサポートしていない場合、第2のWPT方式の次に送電可能電力量に残量がある第3のWPT方式を受電装置103−2への電力伝送のためのWPT方式として決定する。受電装置103−2が第3のWPT方式もサポートしていない場合、送電制御部201は、受電装置103−2への電力伝送に用いるWPT方式を第1のWPT方式に決定する。このように、本実施形態の送電制御部201は、送電可能電力量の残量が大きいWPT方式を受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式として優先的に選択する。
このように、送電装置101の送電制御部201は、複数のWPT方式(第1、第2、第3のWPT方式)のそれぞれで送電可能な電力量のうち、より大きい電力量に対応するWPT方式で受電装置103への電力伝送を行うことを決定する。これにより、例えば、送電可能電力量が小さいWPT方式にしか対応していない受電装置103−3が新たに検知されても、受電装置103−1、2、3の3台への電力伝送を同時に行える可能性を向上できる。なお、複数のWPT方式の間で送電可能電力量の残量が同等である場合は、現在使用されていない方式や予め定めた優先順位が高い方式を優先するように選択しても良い。
第2の決定方法は、通信範囲内に存在する他の受電装置がサポートしているWPT方式に基づいて送電範囲内の受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する方法である。すなわち、送電装置101の通信部207は、送電範囲102よりも広い範囲内に存在する他の受電装置が2台存在する場合、他の受電装置それぞれと通信することで、それぞれがどのWPT方式に対応しているかの情報を取得する。そして、送電制御部201は、通信範囲内の他の受電装置103がサポートしていないWPT方式があれば、当該WPT方式で送電範囲内に存在する受電装置103への電力伝送を行うことを決定する。例えば、送電範囲内に存在する受電装置103が第1及び第2のWPT方式をサポートし、送電装置101の通信範囲内の他の2台の受電装置の両方が第1のWPT方式をサポートし、第2のWPT方式をサポートしていない場合、以下のように決定される。すなわち、送電装置101の送電制御部201は、送電範囲内の受電装置103に対して第2のWPT方式で電力伝送することを決定する。
このように、送電装置101の通信部207は、送電範囲よりも広い通信範囲内に存在する他の受電装置がサポートするWPT方式の情報を取得する。そして、送電制御部201は、受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を他の受電装置がサポートするWPT方式の情報に基づいて決定する。これにより、受電装置103への電力伝送中に、他の受電装置103−2が電力伝送を要求してきた場合において、複数の受電装置103への電力伝送を同時に行える可能性を向上できる。
なお、通信範囲の2台の他の受電装置のうち1台が第1のWPT方式のみサポートし、別の1台が第2のWPT方式のみサポートしている場合、送電制御部201は、以下のように送電範囲内の受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する。すなわち、送電装置101の送電制御部201は、2台の他の受電装置のうち、バッテリー残量が多いほうの受電装置がサポートするWPT方式で送電範囲内の受電装置103へ電力伝送することを決定する。ただしこの方法に限らず、例えば、第1及び第2のWPT方式のうち、送電可能電力量がより大きいほうのWPT方式で送電範囲内の受電装置103へ電力伝送をするように決定することも可能である。
第3の決定方法は、履歴情報に基づいてWPT方式を決定する方法である。送電装置101の記憶部203は、例えば、これまでに電力伝送したことがある受電装置103の識別情報と、これまでの電力伝送で用いたWPT方式を対応付けて記憶している。そして、送電制御部201は、送電範囲内の受電装置103の識別情報に基づいて、過去に受電装置103への電力伝送に用いたWPT方式を検索し、そのWPT方式で電力伝送を行うことを決定する。
すなわち、送電制御部201は、受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を、当該受電装置103への電力伝送に用いたWPT方式に関する履歴情報を用いて決定する。なお、送電装置101がすでに他の受電装置103への電力伝送を行っている場合、履歴情報に基づいて決定されたWPT方式で送電できないことがありうる。このような場合、送電制御部201は、他のWPT方式のうち、送電可能電力量の残量が大きいWPT方式で受電装置103への電力伝送を行うことを決定しても良い。
第4の決定方法は、送電範囲内における受電装置103の位置に基づいてWPT方式を決定する方法である。図1のマーク104は、第1のWPT方式で電力伝送を希望する受電装置103の配置を助けるためのマークである。例えば、ユーザは、受電装置103を第1のWPT方式で充電したい場合、マーク104の近傍に当該受電装置103を置く。これにより、受電装置103を第1のWPT方式で充電させることが可能となる。
この例において、検知部209は、送電範囲内に存在する受電装置103の位置を検知し、送電制御部201が当該受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を当該受電装置103の位置に基づいて決定する。これにより、例えば、ユーザが受電装置103を置く位置によってWPT方式を指定できるようになる。なお、図1には、第1のWPT方式で電力伝送される位置を示すマーク104のみを示しているが、第2のWPT方式の位置を示すマークや第3のWPT方式の位置を示すマークを備えるようにしても良い。
第5の決定方法は、ユーザが直接WPT方式を指定する決定方法である。すなわち、送電装置101のUI202を介してユーザがWPT方式を指定し、送電制御部201は、受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式をユーザによる指定内容に基づいて決定する。例えば、図3のS308において、ユーザがUI202を用いてWPT方式を指定できるようにする。また、例えば、各WPT方式の優先順位をUI202を介してユーザが指定するようにしても良い。また、WPT方式の決定方針(例えば、送電可能電力量の残量が多い方式を優先する、受電装置103の位置に基づいて決定するなど)をUI202を介してユーザが指定できるようにしても良い。
第6の決定方法は、現在実行中のWPT方式に基づいてWPT方式を決定する方法である。例えば、送電装置101が受電装置103−1へ第2のWPT方式で電力伝送しているときに、新たに受電装置103−2の存在が検知された場合、送電制御部201は、受電装置103−2への電力伝送に用いるWPT方式を第2のWPT方式に決定する。すなわち、送電制御部201は、受電装置103−2への電力伝送に用いるWPT方式を、他の受電装置103−1への電力伝送のために実行中のWPT方式と同じ方式に決定する。このようにすることで、動作する送電部205や送電アンテナ206の数をできるだけ少なくすることができる。ただし、上記の例において、受電装置103−2への電力伝送に第2のWPT方式を用いることができない場合、送電制御部201は、他のWPT方式のうち、例えば送電可能電力量の残量が大きいWPT方式で電力伝送を行うことを決定しても良い。
第7の決定方法は、電力伝送効率の一番良いWPT方式を選択する方法である。図13はこの決定方式を説明するためのシーケンス図である。S1301からS1307までは、図3のS301からS307と同一の動作である。S1307までの動作において、送電装置101は受電装置103がサポートしているWPT方式が分かっている。ここでは、受電装置103は、第1のWPT方式、第2のWPT方式、第3のWPT方式を全てサポートしている場合を例にして説明する。送電装置101はS1308で第1のWPT方式による送電に対する受電電圧を問い合せる信号を受電装置103に対して送信する。S1309において、送電装置101は第1のWPT方式で送電する。この際、通常の送電出力より小電力で送電する。但し、通常の送電出力で送電しても良い。S1310で受電装置103は受電電圧値を送電装置101に通知する。
次に、送電装置101はS1311で第2のWPT方式による送電に対する受電電圧を問い合せる信号を受電装置103に対して送信する。S1312において、送電装置101は第2のWPT方式で送電する。この際、通常の送電出力より小電力で送電する。但し、通常の送電出力で送電しても良い。S1313で受電装置103は受電電圧値を送電装置101に通知する。さらに、送電装置101はS1314で第3のWPT方式による送電に対する受電電圧を問い合せる信号を受電装置103に対して送信する。S1315において、送電装置101は第3のWPT方式で送電する。この際、通常の送電出力より小電力で送電する。但し、通常の送電出力で送電しても良い。S1316で受電装置103は受電電圧値を送電装置101に通知する。
送電装置101は各WPT方式の中で、送電出力と受電装置103から通知された受電電圧値を基に電力伝送効率を算出して、S1317において電力伝送効率の一番大きいWPT方式で電力伝送を行うことを決定する。電力伝送効率は例えば、送電出力値の電圧値と受電電圧値の比率によって算出可能である。なお、第1のWPT方式については、S1302の問合せの時の受電電圧値をS1303のレスポンスの時に通知するようにしても良い。また、上記の例では送電装置101が各WPT方式の電力伝送効率を算出しているが、送電装置101から送電出力値の通知を受けた受電装置103が、受電電圧値を基に電力伝送効率を算出して、WPT方式を決定するようにしても良い。
このように、送電制御部201は、以上の決定方法のいずれかによって受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する。なお、送電装置が第1乃至第7の決定方法によって決定したWPT方式を表示部(図示せず)に表示し、ユーザがWPT方式を最終決定するようにしても良い。
図4に戻り、図4のS404において1つのWPT方式が決定されると、送電制御部201は、受電装置103との間で無線電力伝送のためのネゴシエーションを行う(S405)。本実施形態におけるネゴシエーションでは、送電装置101が受電装置103の機器種別、充電状況(0〜100%)、要求電力(例えば5W)、現在の動作モード(通信中かスリープ中かなど)等の制御情報を取得する。そして、送電装置101の送電制御部201は、取得した受電装置103の各種情報に基づいて、送電アンテナ206に流す電流値や電圧値、駆動周波数などのパラメータを決定する。
ネゴシエーションの開始後、送電制御部201は、ネゴシエーションが成功したか否かを判定する(S406)。ネゴシエーションが成功したか否かは、送電装置101が取得した受電装置103に関する各種情報(充電状況や要求電力)に適した送電が送電装置101によって実行できるか否かによって判定される。ネゴシエーションが成功したと送電制御部201によって判定された場合(S406のYES)、送電制御部201は、送電部205を制御して送電を開始する(S408)。すなわち、送電部205は、S408(送電手順)において、受電装置103への電力伝送を行う。
一方、ネゴシエーションに失敗したと送電制御部201により判定された場合(S406のNO)、送電制御部201は、WPT方式の候補が他にあるか否かを判定する(S407)。WPT方式の候補が他にあると判定された場合、他のWPT方式でネゴシエーションが行われる(S405)。WPT方式の候補が他にないと判定された場合、図4の処理は終了される。
送電制御部201は、送電を開始してから所定時間経過ごとに、送電を終了するか否かを判定する(S409)。送電を終了する条件としては、例えば、受電装置103のバッテリーの満充電や、送電装置101の内部エラーや、送電アンテナ206における電流値のエラーや電圧値のエラーなどがありうる。また、送電を終了する条件として、受電装置103からの受電終了通知の受信がありうる。送電制御部201は、S409において送電を終了すると判定した場合、必要に応じて受電装置103に対して送電終了通知を送信し、図4の処理を終了する。一方、送電制御部201は、S409において送電を終了しないと判定した場合、S408に戻り、送電を継続する。
続いて、本実施形態の受電装置103の動作について図5を用いて説明する。図5は、本実施形態による受電装置103の動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態の受電装置103は、不図示のCPUが必要なプログラムをROMから読み出して実行することにより図5で示す動作を実現する。また、本実施形態の受電装置103は、ユーザにより受電モードが設定されると、S501の処理を開始する。
S501において、受電装置103の受電制御部214は、送電装置101から各WPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(問合せ信号)を受信したか否かを判定する。受電制御部214は、問合せ信号を受信すると、当該問合せ信号に対応するWPT方式をサポートしているか否かを判定する。問合せ信号に対応するWPT方式をサポートしていると判定された場合(S501のYES)、通信部213は、問合せ信号に対するレスポンスを送電装置101へ送信する(S502)。一方、問合せ信号に対応するWPT方式をサポートしていないと判定された場合、通信部213は、レスポンスを送電装置101へ送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
S501において問合せ信号を受信しなかったと判定された場合(S501のNO)、受電制御部214は、送電装置101からネゴシエーション関連信号を受信したか否かを判定する(S503)。ネゴシエーション関連信号とは、例えば、受電装置103に対する情報リクエストのための信号である。送電装置101は、ネゴシエーション関連信号を用いることで、例えば、受電装置103のバッテリー残量の情報や受電装置103の要求電力に関する情報などを要求することが可能である。ネゴシエーション関連信号を受信したとS503で判定された場合(S503のYES)、S504に進み、ネゴシエーション関連信号を受信していないと判定された場合(S503のNO)、S501に戻る。なお、本実施形態の送電装置101は3種類のWPT方式に対応しているため、S501とS502の処理が通常は3回繰り返される。
S504において、受電制御部214は、送電装置101により指定されたWPT方式で電力伝送を行うためのパラメータを決定するためのネゴシエーションを行う。本実施形態のネゴシエーションでは、受電装置103の機器種別、充電状況(0%〜100%)、要求電力(例えば5W)、現在の動作モード(通信中かスリープ中かなど)等の制御情報を送電装置101が受電装置103から取得する。送電装置101は、取得した各種情報に基づいて、送電アンテナ206に流す電流値や電圧値、駆動周波数などのパラメータを決定する。S505において、受電制御部214は、S504のネゴシエーションが成功したか否かを判定する。ネゴシエーションが成功したか否かは、受電装置103から取得された各種情報(充電状況や要求電力)に適した送電が送電装置101によって実行できるか否かによって判定される。受電装置103は、ネゴシエーションが成功したか否かに関する通知を受電装置103から受信することにより、ネゴシエーションに成功したか否かを判定することができる。
ネゴシエーションに成功したと受電制御部214により判定された場合(S505のYES)、受電制御部214は、受電部211を制御して受電を開始する(S507)。一方、ネゴシエーションに失敗したと受電制御部214により判定された場合(S505のNO)、受電制御部214は、他のWPT方式のネゴシエーションのための信号を受信したか否かを判定する(S506)。ネゴシエーションに失敗したとS505で判定されてから、所定時間、他のWPT方式のネゴシエーションのための信号を受信しなかった場合(S506のNO)、受電制御部214は、図5の処理を終了する。一方、ネゴシエーションに失敗したとS505で判定されてから所定時間経つまでに、受電制御部214により他のWPT方式のネゴシエーションのための信号を受信したと判定された場合(S506のYES)、再度ネゴシエーションを行う(S504)。
受電制御部214は、受電を開始してから所定時間経過ごとに、受電を終了するか否かを判定する(S508)。受電を終了する条件としては、例えば、受電装置103のバッテリーの満充電や、受電装置103の内部エラーや、受電アンテナ210における電流値のエラーや電圧値のエラーなどがありうる。また、受電を終了する条件として、送電装置101からの送電終了通知の受信がありうる。受電制御部214は、S508において受電を終了すると判定した場合、必要に応じて送電装置101に対して受電終了通知を送信し、図5の処理を終了する。一方、受電制御部214は、S508において受電を終了しないと判定した場合、S507に戻り、受電を継続する。
なお、図3のシーケンス図では、送電装置101から受電装置103に対して、第1、第2、第3のWPT方式の問い合せを行ない、送電装置101は、受電装置103からのレスポンスにより、受電装置103がサポートするWPT方式を特定していた。しかし、これに限られず、送電装置101から受電装置103に対して、受電装置103がサポートするWPT方式を直接、問い合わせるようにしても良い。
図9は、図3のシーケンス図に対して、送電装置101が受電装置103にサポートするWPT方式を直接問合せるようにした場合のシーケンス図である。図9において、送電装置101は受電装置103に受電装置103がサポートするWPT方式を問合わせる(S902)。受電装置103はこの問合せを受けると、サポートしているWPT方式を送電装置101に通知する。送電装置101はこの通知内容により、受電装置103がサポートするWPT方式を特定する(S903)。ここで、送電装置101は受電装置103からの通知を受信できなかった場合は、再度、所定回数、問合せをするようにしても良い。さらに所定回数の問合せをしても、受電装置103からの通知を受信できなかった場合は、処理を終了して、表示器(図示せず)等にエラー表示を行なうようにしても良い。S904以降の動作は図3のシーケンスで説明したものと全く同様である。
以上説明したように、本実施形態の無線電力伝送システムは、複数のWPT方式をサポートする送電装置101が、種々の情報に基づいて受電装置103への電力伝送に用いる無線電力伝送方式(WPT方式)を決定する。このようにすることで、複数の無線電力伝送方式がサポートされるシステムにおける無線電力伝送の効率を向上できる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について、第1実施形態との差異を中心に説明する。第1実施形態では、送電装置101がサポートしている複数のWPT方式のうち、どのWPT方式で受電装置103へ電力伝送を行うかを送電装置101が決める例について説明したが、本実施形態では、WPT方式を受電装置103が決める例を説明する。
本実施形態における送電装置101と受電装置103の動作について、図6のシーケンス図を用いて説明する。図6は、本実施形態による送電装置101と受電装置103の動作を説明するためのシーケンス図である。図6のS601において、送電装置101は送電範囲内に受電装置103が存在するか否かを判定する。送電範囲内に受電装置103が存在すると判定されると、送電装置101は、第1のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第1の問合せ信号)を受電装置103に対して送信する(S602)。受電装置103が第1のWPT方式をサポートしている場合、第1の問合せ信号に対するレスポンス(第1のレスポンス)を送電装置101に対して送信する(S603)。第1のWPT方式をサポートしていない受電装置103は、第1の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
また、送電装置101は、第2のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第2の問合せ信号)を受電装置103に対して送信する(S604)。受電装置103が第2のWPT方式をサポートしている場合、第2の問合せ信号に対するレスポンス(第2のレスポンス)を送信する(S605)。第2のWPT方式をサポートしていない受電装置103は、第2の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
また、送電装置101は、第3のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第3の問合せ信号)を受電装置103に対して送信する(S606)。受電装置103が第3のWPT方式をサポートしている場合、第3の問合せ信号に対するレスポンス(第3のレスポンス)を送信する(S607)。第3のWPT方式をサポートしていない受電装置103は、第3の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
なお、送電装置101は、第1の問合せ信号を送信してから所定時間内に、送電装置101がサポートするすべてのWPT方式に関する問合せ信号の送信を終了する。本実施形態の送電装置101は、3つのWPT方式をサポートしているので、3種類の問合せ信号を所定時間内に送信する。
受電装置103は、第1、第2、及び第3の問合せ信号を受信することにより、送電装置101がサポートしているWPT方式を特定する。そして、受電装置103は、送電装置101と受電装置103が共にサポートしているWPT方式が複数ある場合、その中から受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する(S608)。WPT方式の決定方法は後述する。
送電装置101と受電装置103は、S608で決定したWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号をやり取りすることで、電力伝送に関するパラメータのネゴシエーションを実行する(S609)。本実施形態のネゴシエーションでは、受電装置103の機器種別、充電状況(0%〜100%)、要求電力(例えば5W)、現在の動作モード(通信中かスリープ中かなど)等の制御情報を送電装置101が受電装置103から取得する。送電装置101は、取得した各種情報に基づいて、送電アンテナ206に流す電流値や電圧値、駆動周波数などのパラメータを決定する。ネゴシエーションが終了すると、送電装置101は送電を開始する(S610)。
受電装置103は、受電中において、所定時間ごとに受電を終了すべきか否かを判定し、受電を終了すべきと判定すると、送電装置101に対して受電終了通知を送信したあと(S612)、受電の終了処理を行う(S614)。受電終了通知は、S608で決定されたWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号である。送電装置101は、受電終了通知を受電装置103から受信すると、送電終了処理を行う(S613)。
次に、本実施形態の送電装置101の動作について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態による送電装置101の動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態の送電装置101は、不図示のCPUが必要なプログラムをROMから読み出して実行することにより図7で示す動作を実現する。なお、本実施形態の送電装置101は複数の無線電力伝送方式(WPT方式)をサポートしている送電装置である。つまり、送電装置101は、第1のWPT方式で受電装置103への無線電力伝送が可能であると共に、第2のWPT方式で受電装置103への無線電力伝送を行うことも可能であり、さらに第3のWPT方式で受電装置103への電力伝送を行うことも可能である。また、本実施形態の送電装置101は、自身の電源がオンになると、S701の処理を開始する。
図7のS701において、送電装置101の検知部209は、送電範囲内に新たな受電装置103が検知されたか否かを判定する。検知部209が送電範囲内に新たな受電装置を検知すると(S701のYES)、S702に進む。S702において、通信部207は、送電装置101がサポートしているWPT方式の情報を受電装置103へ通知する。本実施形態の通信部207は、送電装置101がサポートしているWPT方式に対応する第1、第2、及び第3の問合せ信号を受電装置103へ送信することにより、送電装置101がサポートしているWPT方式の情報を受電装置103へ通知する。ただし、送電装置101がサポートするWPT方式を通知する方法は、上記の方法に限らない。例えば、送電装置101がサポートする複数のWPT方式を通知するための情報を1つのメッセージで受電装置103へ送信するようにすることも可能である。S702の処理が終了するとS703へ進む。
通信部207が受電装置103から1つのWPT方式を指定する指定情報を受信すると、送電制御部201は、受電装置103と無線電力伝送のためのネゴシエーションを開始する(S703)。本実施形態におけるネゴシエーションでは、送電装置101が受電装置103の機器種別、充電状況(0〜100%)、要求電力(例えば5W)、現在の動作モード(通信中かスリープ中かなど)等の情報を取得する。そして、送電装置101の送電制御部201は、取得した受電装置103の各種情報に基づいて、送電アンテナ206に流す電流値や電圧値、駆動周波数などのパラメータを決定する。
ネゴシエーションの開始後、送電制御部201は、ネゴシエーションが成功したか否かを判定する(S704)。ネゴシエーションが成功したか否かは、送電装置101が取得した受電装置103に関する各種情報(充電状況や要求電力)に適した送電が送電装置101によって実行できるか否かによって判定される。ネゴシエーションが成功したと送電制御部201によって判定された場合(S704のYES)、送電制御部201は、送電部205を制御して送電を開始する(S706)。一方、ネゴシエーションに失敗したと送電制御部201により判定された場合(S704のNO)、送電制御部201は、WPT方式の候補が他にあるか否かを判定する(S705)。WPT方式の候補が他にあると判定された場合、他のWPT方式でネゴシエーションが行われる(S703)。WPT方式の候補が他にないと判定された場合、図7の処理は終了される。
送電制御部201は、送電を開始してから所定時間経過ごとに、送電を終了するか否かを判定する(S707)。送電を終了する条件としては、例えば、受電装置103のバッテリーの満充電や、送電装置101の内部エラーや、送電アンテナ206における電流値のエラーや電圧値のエラーなどがありうる。また、送電を終了する条件として、受電装置103からの受電終了通知の受信がありうる。また、送電制御部201は、S707において送電を終了すると判定した場合、必要に応じて受電装置103に対して送電終了通知を送信し、図7の処理を終了する。一方、送電制御部201は、S707において送電を終了しないと判定した場合、S706に戻り、送電を継続する。
続いて、本実施形態の受電装置103の動作について図8を用いて説明する。図8は、本実施形態による受電装置103の動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態の受電装置103は、不図示のCPUが必要なプログラムをROMから読み出して実行することにより図8で示す動作を実現する。また、本実施形態の受電装置103は、ユーザにより受電モードが設定されると、S801の処理を開始する。
S801において、受電装置103の受電制御部214は、送電装置101がサポートしているWPT方式の情報を送電装置101から受信したか否かを判定する。なお、受電装置103は、送電装置101がサポートしているWPT方式に対応する第1、第2、及び第3の問合せ信号を送電装置101から受信することにより、送電装置101がサポートしているWPT方式の情報を取得することが可能である。ただし、送電装置101がサポートしているWPT方式の通知方法は上記の方法に限らない。例えば、送電装置101は、送電装置101がサポートする複数のWPT方式を通知するための情報を1つのメッセージで受電装置103へ送信することも可能である。送電装置101がサポートするWPT方式の情報を受信したと受電制御部214により判定された場合(S801のYES)、S802へ進む。
S802において、受電制御部214は、送電装置101がサポートしているWPT方式を特定する。送電装置101がサポートしているWPT方式が特定されると、S803に進む。S803において、受電制御部214は、送電装置101と受電装置103が共にサポートしているWPT方式が複数あるか否かを判定する。送電装置101と受電装置103が共にサポートしているWPT方式が複数あると判定された場合(S803のYES)、S804に進み、1つのWPT方式のみであると判定された場合、S805に進む。S804(決定手順)において、受電制御部214は、送電装置101と受電装置103が共にサポートしている複数のWPT方式の中から、受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する。本実施形態における具体的なWPT方式の決定方法の例を以下に示す。
第1の決定方法は、送電可能電力量の残量が大きいWPT方式を受電装置103への電力伝送に用いる決定方法である。すなわち、受電装置103の通信制御部217は、送電装置101と共通でサポートしている複数のWPT方式のそれぞれの送電可能電力量の残量を取得する。例えば、送電装置101と受電装置103が表1に示す3つのWPT方式を共にサポートしており、他の受電装置103への電力伝送をしていない場合、第3のWPT方式を電力伝送に用いるWPT方式として決定する。すなわち、受電制御部214は、第1のWPT方式の送電可能電力量の残量が5W、第2のWPT方式の送電可能電力量の残量が20W、第3のWPT方式の送電可能電力量の残量が50Wという情報を送電装置101から取得する。そして、受電制御部214は、最も送電可能電力量の残量が大きい第3のWPT方式を受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式として決定する。もし受電装置103が第3のWPT方式をサポートしていない場合、受電制御部214は、送電可能電力量の残量が次に大きい第2のWPT方式を電力伝送に用いるWPT方式として決定する。
このように、本実施形態の受電制御部214は、送電可能電力量に残量が大きいWPT方式を受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式として優先的に選択する。すなわち、受電装置103の受電制御部214は、複数のWPT方式(第1、第2、及び第3のWPT方式)のうち、送電可能電力量がより大きいWPT方式を送電装置101が用いるWPT方式として決定する。なお、複数のWPT方式の間で送電可能電力量の残量が同等である場合は、現在使用されていない方式や予め定めた優先順位が高い方式を優先するように選択しても良い。
第2の決定方法は、通信範囲内に存在する他の受電装置がサポートしているWPT方式に基づいてWPT方式を決定する方法である。すなわち、受電装置103の通信部213は、送電装置101による送電範囲102よりも広い通信範囲内に存在する他の受電装置と通信することで、他の受電装置のそれぞれがどのWPT方式に対応しているかの情報を取得する。そして、受電制御部214は、通信範囲内の他の受電装置がサポートしていないWPT方式があれば、当該WPT方式を受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式として決定する。
例えば、送電範囲内の受電装置103が第1及び第2のWPT方式に対応しており受電装置103の通信範囲内の他の2台の受電装置の両方が、第1のWPT方式をサポートし、第2のWPT方式をサポートしていない場合、受電制御部214は、以下の決定をする。すなわち、受電装置103の受電制御部214は、送電装置101に第2のWPT方式で送電させることを決定する。
このように、受電装置103の通信部213は、送電装置101による送電範囲より広い通信範囲内に存在する他の受電装置との通信により他の受電装置がサポートするWPT方式の情報を取得する。そして、受電制御部214は、送電装置101が用いるWPT方式を、他の受電装置がサポートするWPT方式の情報に基づいて決定する。このようにすることで、送電装置101による受電装置103への送電中に、他の受電装置が電力伝送を要求してきた場合において、他の受電装置へも送電できる可能性が向上する。
なお、受電装置103の通信範囲に存在する2台の受電装置のうち1台が第1のWPT方式のみサポートし、別の1台が第2のWPT方式のみサポートしている場合、受電制御部214は、以下のように受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する。すなわち、受電制御部214は、2台の受電装置のうち、バッテリー残量が多いほうの受電装置103がサポートするWPT方式で送電装置101に電力伝送させることを決定する。ただしこの方法に限らず、例えば、第1及び第2のWPT方式のうち、送電可能電力量の残量が大きいほうのWPT方式で送電装置101に電力伝送させるようにすることも可能である。
第3の決定方法は、履歴情報に基づいてWPT方式を決定する方法である。受電装置103の記憶部216は、例えば、送電装置101の識別情報と、送電装置101が過去に用いたWPT方式を対応付けて記憶しており、受電制御部214は、送電装置101の識別情報に基づいて、電力伝送に用いるWPT方式を決定する。すなわち、受電制御部214は、送電装置101が用いるWPT方式を受電装置103への電力伝送に用いたWPT方式に関する履歴情報を用いて決定する。このようにしても、複数のWPT方式から電力伝送に用いるWPT方式を決定できる。なお、送電装置101がすでに他の受電装置103への電力伝送を行っている場合、履歴情報に基づいて決定されたWPT方式で送電できないことがありうる。このような場合、送電制御部201は、他のWPT方式のうち、送電可能電力量の残量が大きいWPT方式で受電装置103への電力伝送を行うことを決定する。
第4の決定方法は、送電範囲内における受電装置103の位置に基づいてWPT方式を決定する方法である。図1のマーク104は、第1のWPT方式で電力伝送を希望する受電装置103の配置を助けするためのマークである。例えば、ユーザは、受電装置103を第1のWPT方式で充電したい場合、マーク104の近傍に当該受電装置103を置けば、受電装置103を第1のWPT方式で充電させることが可能である。
この例において、送電装置101の検知部209は、送電範囲内に存在する受電装置103の位置を検知し、その位置情報を受電装置103へ通知する。そして、受電装置103の受電制御部214は、送電装置101が電力伝送に用いるべきWPT方式を位置情報に基づいて決定する。これにより、例えば、ユーザが受電装置103を置く位置によってWPT方式を指定できるようになる。なお、図1には、第1のWPT方式で電力伝送される位置を示すマーク104のみを示しているが、第2のWPT方式の位置を示すマークや第3のWPT方式の位置を示すマークを備えるようにしても良い。
第5の決定方法は、ユーザが直接WPT方式を指定する決定方法である。すなわち、ユーザが受電装置103のUI215を介してWPT方式を指定する。受電制御部214は、送電装置101が電力伝送に用いるWPT方式をユーザによる指定内容に基づいて決定する。例えば、図6のS608において、ユーザがUI215を用いてWPT方式を指定できる。また、例えば、各WPT方式の優先順位をUI215で指定できるようにしても良い。また、WPT方式の決定方針(例えば、送電可能電力量の残量が多い方式を優先する、受電装置103の位置に基づいて決定するなど)をUI215で指定できるようにしても良い。
第6の決定方法は、現在実行中のWPT方式に基づいてWPT方式を決定する方法である。例えば、送電装置101が受電装置103−1へ第2のWPT方式で電力伝送中に、受電装置103−2の充電をする場合、受電装置103−2の受電制御部214は、第2のWPT方式を受電装置103−2への電力伝送に用いるWPT方式として決定する。この例において、第2のWPT方式は、受電装置103−1への電力伝送に用いているWPT方式である。すなわち、受電制御部214は、受電装置103−2への電力伝送に用いるWPT方式を他の受電装置103−1への電力伝送のために実行中のWPT方式と同じ方式に決定する。このようにすることで、動作する送電部205や送電アンテナ206の数をできるだけ少なくすることができる。ただし、上記の例において、受電装置103−2への電力伝送に第2のWPT方式を用いることができない場合、受電制御部214は、他のWPT方式のうち、例えば送電可能電力量の残量が大きいWPT方式で電力伝送が行われるようにしても良い。
このように、受電制御部214は、以上の決定方法のいずれかによって受電装置103への電力伝送に用いるWPT方式を決定する。なお、受電装置が第1乃至第6の決定方法によって決定したWPT方式を表示部(図示せず)に表示し、ユーザがWPT方式を最終決定するようにしても良い。
図8に戻り、S804で1つのWPT方式が決定されると、受電制御部214は、送電装置101に対してWPT方式を通知すると共に、送電装置101との間で無線電力伝送のためのネゴシエーションを行う(S805)。本実施形態におけるネゴシエーションでは、送電装置101が受電装置103の機器種別、充電状況(0〜100%)、要求電力(例えば5W)、現在の動作モード(通信中かスリープ中かなど)等の制御情報を取得する。そして、送電装置101の送電制御部201は、取得した受電装置103の各種情報に基づいて、送電アンテナ206に流す電流値や電圧値、駆動周波数などのパラメータを決定する。
ネゴシエーションの開始後、受電制御部214は、ネゴシエーションが成功したか否かを判定する(S806)。ネゴシエーションが成功したか否かは、送電装置101が取得した受電装置103に関する各種情報(充電状況や要求電力)に適した送電が送電装置101によって実行できるか否かによって判定される。すなわち、受電装置103は、送電装置101からネゴシエーションの成功、又は、失敗を示すメッセージを受信することで、ネゴシエーションが成功したか否かを判定することができる。ネゴシエーションが成功したと受電制御部214によって判定された場合(S806のYES)、受電制御部214は、S808(受電手順)において、送電部205から送電される電力の受電を開始する。
一方、ネゴシエーションに失敗したと受電制御部214により判定された場合(S806のNO)、受電制御部214は、WPT方式の候補が他にあるか否かを判定する(S807)。WPT方式の候補が他にあると判定された場合(S807のYES)、他のWPT方式でネゴシエーションが行われる(S805)。WPT方式の候補が他にないと判定された場合(S807のNO)、図8の処理は終了される。
受電制御部214は、受電を開始してから所定時間経過ごとに、受電を終了するか否かを判定する(S809)。受電を終了する条件としては、例えば、受電装置103のバッテリーの満充電や、受電装置103の内部エラーや、送電アンテナ206における電流値のエラーや電圧値のエラーなどがありうる。また、受電を終了する条件として、送電装置101からの送電終了通知の受信がありうる。受電制御部214は、S809において受電を終了すると判定した場合、必要に応じて送電装置101に対して受電終了通知を送信し、図8の処理を終了する。一方、受電制御部214は、S809において受電を終了しないと判定した場合、S808に戻り、受電を継続する。
なお、図6のシーケンス図では、送電装置101から受電装置103に対して、第1、第2、第3のWPT方式の問い合せを行なうことにより、受電装置103は送電装置101がサポートするWPT方式を特定していた。しかし、これに限られず、送電装置101から受電装置103に対して、受電装置103がサポートするWPT方式を直接、問い合わせるようにしても良い。
図10は図6のシーケンス図に対して、送電装置101が受電装置103にサポートするWPT方式を直接問合せるようにした場合のシーケンス図である。図10において、送電装置101は受電装置103に受電装置103がサポートするWPT方式を問合わせる(S1002)。受電装置103はこの問合せを受けると、サポートしているWPT方式を送電装置101に通知する(S1003)。送電装置101はこの通知内容により、受電装置103がサポートするWPT方式を特定する。ここで、送電装置101は受電装置103からの通知を受信できなかった場合は、再度、所定回数、問合せをするようにしても良い。さらに所定回数の問合せをしても、受電装置103からの通知を受信できなかった場合は、処理を終了して、表示器(図示せず)等にエラー表示を行なうようにしても良い。S1004以降の動作は図6のシーケンスで説明したものと全く同様である。
以上説明したように、本実施形態の無線電力伝送システムは、複数の無線電力伝送方式(WPT方式)をサポートする送電装置101から電力伝送を受ける受電装置103が、電力伝送に用いるWPT方式を決定する。このようにすることで、複数の無線電力伝送方式がサポートされるシステムにおける無線電力伝送の効率を向上できる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について、第1及び第2実施形態との差異を中心に説明する。第1及び第2実施形態では、送電装置101による送電終了通知または受電装置103による受電終了通知の送信後、送電終了処理と受電終了処理をする動作までを説明した。本実施形態では、送電装置101の送電範囲内に複数の受電装置103が置いてあり、受電装置103への送電終了処理後、再度、他の受電装置103に対して送電を行なう動作について説明する。図11は図3のシーケンスと同様に送電装置がWPT方式を決定する場合のシーケンス図である。図12は図6のシーケンスと同様に受電装置がWPT方式を決定する場合のシーケンス図である。次に図11を用いて、送電装置101と受電装置103−1、103−2の動作について説明する。
送電装置101は受電装置103−1に第2のWPT方式で送電している(S1101)。受電装置103−1のバッテリーが満充電になったため、送電終了通知または受電終了通知を送信して(S1102)、送電装置101は送電終了処理(S1103)を行ない、受電装置103−1は受電終了処理(S1104)を行なう。その後、所定時間経過後(S1105)、送電装置101は、再度、送電範囲内に受電装置103が存在するか否かを判定する(S1106)。送電範囲内に受電装置103−2が存在すると判定されると、送電装置101は、受電装置103−1に対して送電していたWPT方式である第2のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第1の問合せ信号)を受電装置103−2に対して送信する(S1107)。受電装置103−2が第2のWPT方式をサポートしている場合、受電装置103−2は第2の問合せ信号に対するレスポンス(第2のレスポンス)を送電装置101に対して送信する(S1108)。第2のWPT方式をサポートしていない受電装置103−2は、第2の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
次に、送電装置101は、第1のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第1の問合せ信号)を受電装置103−2に対して送信する(S1109)。受電装置103−2が第1のWPT方式をサポートしている場合、受電装置103−2は第1の問合せ信号に対するレスポンス(第1のレスポンス)を送信する(S1110)。第1のWPT方式をサポートしていない受電装置103−2は、第1の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
また、送電装置101は、第3のWPT方式の通信方式やフォーマットに従った信号(第3の問合せ信号)を受電装置103−2に対して送信する(S1111)。受電装置103−2が第3のWPT方式をサポートしている場合、受電装置103−2は第3の問合せ信号に対するレスポンス(第3のレスポンス)を送信する(S1112)。第3のWPT方式をサポートしていない受電装置103−2は、第3の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。例えば、図2の受電装置103は、第3のWPT方式はサポートしていないため、送電装置101から第3の問合せ信号を受信してもレスポンスを送信しない(またはエラーメッセージを送信する)。
なお、送電装置101は、第2の問合せ信号を送信してから所定時間内に、送電装置101がサポートするすべてのWPT方式に関する問合せ信号の送信を終了する。本実施形態の送電装置101は、3つのWPT方式をサポートしているので、3種類の問合せ信号を所定時間内に送信する。なお、本実施形態では送電装置101は受電装置103−1に対して送電していたWPT方式である第2のWPT方式から問合せするようにしていたが、第1実施形態と同様に第1のWPT方式から問合せするようにしても良い。S1113以降の動作については、第1実施形態と全く同様の動作である。
なお、図12のシーケンスにおける送電装置101と受電装置103−1、103−2の動作について、S1201からS1212までの動作は図11のシーケンスにおける動作と全く同様である。S1213以降の動作については、第2実施形態と全く同様の動作である。なお、本実施形態では受電装置103−1のバッテリーが満充電になったため、送電を終了した後の処理について説明したが、例えば受電装置103−1のバッテリーが満充電になる前に、受電装置103−1を送電装置101から取り去ったため、送電を終了した場合についても、同様の動作により受電装置103−2に送電することができる。
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。