JP6756086B2 - マグネシウム合金鋳造品及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金鋳造品及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、マグネシウム合金鋳造品及びその製造方法に関する。
Mg(マグネシウム)は、密度がFe(鉄)の約1/4、Al(アルミニウム)の約2/3と実用金属材料のなかで最も軽量であり、比剛性、比強度に優れているだけでなく、リサイクル性等に優れていることから、軽量材料として有望である。従来、MgまたはMg合金では、結晶粒を微細化して機械的特性等を向上させるために、結晶粒微細化材としてZr(ジルコニウム)を添加することが行われている。非特許文献1には、Mg合金の結晶粒については、Zrの添加によって著しく微細化されることが記載されている。
佃 誠 「鋳物用特殊マグネシウム合金の研究(第2報) Mgとその合金の機械的性質におよぼすZrの効果」 軽金属Vol.9(1959)p.35−44
ところで、MgまたはMg合金を溶解させた溶湯中に、結晶粒微細化材としてZrを添加して鋳造する場合には、Zrは、溶湯中に含まれるFe(鉄)、Ni(ニッケル)、C(炭素)等の不純物と反応して化合物を形成する。このような化合物がマグネシウム合金鋳造品に混入すると、機械的特性等の低下を招く可能性がある。
そこで本発明の目的は、結晶粒が微細化されると共に、MgまたはMg合金を溶解させた溶湯中に含まれる不純物と反応して形成される化合物が抑制されたマグネシウム合金鋳造品及びその製造方法を提供することである。
本発明に係るマグネシウム合金鋳造品は、1.5質量%以上4.0質量%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的不純物からなることを特徴とする。
本発明に係るマグネシウム合金鋳造品は、1.0質量%以上2.5質量%以下のMnと、9.8〜9.9質量%のGdとを含み、残部がMgと不可避的不純物からなることを特徴とする。
本発明に係るマグネシウム合金鋳造品の製造方法は、不可避的不純物を含む金属Mgを溶解した溶湯に、金属Mn、Mn合金またはMn化合物を、Mnの含有率が1.5質量%以上4.0質量%以下となるように添加して前記溶湯を調製する溶湯調製工程と、前記調製された溶湯を鋳型に注湯して鋳込む鋳込み工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るマグネシウム合金鋳造品の製造方法は、10質量%Gdを含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg―Gd合金を溶解した溶湯に、金属Mn、Mn合金またはMn化合物を、Mnの含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように添加して前記溶湯を調製する溶湯調製工程と、前記調製された溶湯を鋳型に注湯して鋳込む鋳込み工程と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、Mnは、MgまたはMg合金の結晶粒を微細化すると共に、MgまたはMg合金を溶解させた溶湯中に含まれるFe、Ni、C等の不純物との反応性が低いので、結晶粒が微細化されると共に、これらの不純物との反応により形成される化合物が抑制されたマグネシウム合金鋳造品を得ることが可能となる。
本発明の実施の形態において、マグネシウム合金鋳造品の製造方法の構成を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において、Mg−Mn合金の鋳造品の結晶粒径測定結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態において、Mg−Mn―Gd合金の鋳造品の結晶粒径測定結果を示すグラフである。 Mg−Zr合金の鋳造品の結晶粒径測定結果を示すグラフである。 比較例12の鋳造品(Mg−Zr合金、Zr−maxの添加量が0.4質量%)の金属組織観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態において、実施例5の鋳造品(Mg−Mn−Gd合金、金属Mnの添加量が1.0質量%)の金属組織観察結果を示す写真である。
以下に本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
[第1実施形態]
本発明に係るマグネシウム合金鋳造品は、1.5質量%以上4.0質量%以下のMn(マンガン)を含み、残部がMg(マグネシウム)と不可避的不純物からなるマグネシウム合金鋳造品である。
Mnは、MgまたはMg合金の結晶粒を微細化して、マグネシウム合金鋳造品の機械的特性を向上させる機能を有している。Mnは、MgまたはMg合金を溶解させた溶湯の凝固中に包晶反応を呈することで、微細な結晶核を形成して、結晶粒を微細化することができる。また、Mnは、耐食性を向上させる機能を有している。Mgは、機械的特性や耐食性が低いので、Mnを含有することにより、マグネシウム合金鋳造品の機械的特性と耐食性とを向上させることが可能となる。
Mnは、Fe、Ni、C等の不可避的不純物と反応して化合物を形成し難いので、マグネシウム合金鋳造品へのこれらの化合物の混入を抑制することができる。不可避的不純物とは、意図的に添加しなくてもMg溶解素材等から混入する可能性がある不純物である。
Mnの含有率は、1.5質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。Mnの含有率が1.5質量%より小さい場合や、Mnの含有率が4.0質量%より大きい場合には、結晶粒微細化の効果が低下するからである。Mnの含有率を1.5質量%以上4.0質量%以下とすることにより、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒径を、100μm以下とすることが可能となる。なお、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒径については、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等で測定可能である。
Mnの含有率は、2.0質量%以上4.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以上4.0質量%以下であることが更に好ましい。Mnをより多く含有させることにより、結晶粒を微細化できるだけでなく、耐食性をより向上させることができるからである。
次に、マグネシウム合金鋳造品の製造方法について説明する。
図1は、マグネシウム合金鋳造品の製造方法の構成を示すフローチャートである。マグネシウム合金鋳造品の製造方法は、溶湯調製工程(S10)と、鋳込み工程(S12)と、を備えている。
溶湯調製工程(S10)は、金属Mgを溶解した溶湯に、金属Mn、Mn合金またはMn化合物を、Mnの含有率が1.5質量%以上4.0質量%以下となるように添加して溶湯を調製する工程である。
金属Mgをルツボに入れ、大気溶解等により溶湯を形成する。溶融状態のMgは活性が高いので、例えば、防燃効果のある六フッ化硫黄に二酸化炭素もしくはアルゴンガス等の不活性ガスを混合した混合ガスを溶湯表面に吹き掛けながら溶解することが好ましい。
次に、金属Mn、Mn合金またはMn化合物を溶湯に添加して撹拌し、溶湯にMnを含有させる。Mn合金には、Mg−Mn合金等を用いることが可能であり、Mn化合物には、MnO等を用いることが可能である。金属Mn、Mn合金またはMn化合物は、溶湯に対するMnの含有率が1.5質量%以上4.0質量%以下となるようにして添加されることが好ましい。これにより、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒を微細化して、機械的特性を向上させることができる。
金属Mn、Mn合金またはMn化合物は、溶湯に対するMnの含有率が、2.0質量%以上4.0質量%以下であるように添加されることがより好ましく、3.0質量%以上4.0質量%以下であるように添加されることが更に好ましい。Mnの含有量をより大きくすることで、マグネシウム合金鋳造品の耐食性をより向上させることが可能となる。
金属Mn、Mn合金またはMn化合物については、これらを単独で添加してもよいし、複数組み合わせて添加するようにしてもよい。例えば、金属Mnだけを添加してもよいし、金属MnとMn化合物とを添加してもよい。金属Mn、Mn合金またはMn化合物を添加した溶湯の撹拌については、一般的な攪拌機等を用いて行うことができる。撹拌後については、溶湯を沈静化させるために5分間から10分間静置することが好ましい。このようにして、Mnを添加した溶湯が調製される。調製された溶湯の溶湯温度については、例えば、600℃以上850℃以下であり、720℃以上800℃以下であることが好ましい。調製された溶湯の溶湯温度を720℃以上800℃以下とすることにより、不純物の析出と、Mgの蒸発による揮散とを更に抑制することができる。
鋳込み工程(S12)は、調製された溶湯を鋳型に注湯して鋳込む工程である。
鋳造法については、重力鋳造法や低圧鋳造法等を用いることが可能である。鋳型には、金型等を用いることができる。鋳型温度については、100℃以上400℃以下に設定することが好ましい。鋳型温度をこの温度範囲にすることにより、鋳型への水分の付着と、結晶粒の粗大化とを抑制可能だからである。調製された溶湯の鋳込み後については、例えば、炉冷や空冷等で室温まで冷却して凝固させる。このようにして、マグネシウム合金鋳造品が製造される。
なお、マグネシウム合金鋳造品については、機械的特性等を更に向上させるために、鋳造後に時効処理等の熱処理を行うようにしてもよい。このようにして製造されたマグネシウム合金鋳造品は、機械的特性と耐食性とが向上しているので、航空機のギアボックス等のケーシング、ハウジング類等に適用可能である。
以上、上記構成のマグネシウム合金鋳造品によれば、1.5質量%以上4.0質量%以下のMnを含み、残部がMgと不可避的不純物からなるので、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒が微細化され、その結晶粒径を100μm以下とすることが可能となる。また、Mnは、Fe、Ni、C等の不可避的不純物と反応して化合物を形成し難いので、マグネシウム合金鋳造品へのこれらの化合物の混入を抑制して、機械的特性の低下を抑えることができる。
上記構成のマグネシウム合金鋳造品の製造方法によれば、安価なMnを用いることにより、高価なZrを用いる場合よりも材料コストを低減できる。また、結晶粒微細化材としてZrを用いた場合には、溶湯中に含まれるFe、Ni、C等の不可避的不純物と反応して形成された化合物を沈降させてから分離して廃棄する処理が必要になるが、Mnは、これらの不可避的不純物と反応して化合物を形成し難いことから、このような廃棄処理が不要となるので、生産性が向上する。これにより、マグネシウム合金鋳造品の製造コストを低減することが可能となる。
[第2実施形態]
本発明に係る他のマグネシウム合金鋳造品は、1.0質量%以上2.5質量%以下のMnと、10質量%のGd(ガドリウム)とを含み、残部がMgと不可避的不純物からなるマグネシウム合金鋳造品である。このマグネシウム合金鋳造品は、第1実施形態のマグネシウム合金鋳造品に対して、更に10質量%のGdが含有されている点と、Mnの含有率とが相違している。
マグネシウム合金鋳造品に10質量%のGdを含有させることにより、結晶粒界等にMgとGdとの金属間化合物が析出するので、高温強度やクリープ強度等の耐熱性を向上させることができる。
Mnの含有率は、1.0質量%以上2.5質量%以下であることが好ましい。Mnの含有率が、この範囲であれば、結晶粒を微細化して、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒径を、100μm以下とすることが可能となる。
Mnの含有率は、1.5質量%以上2.5質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以上2.5質量%以下であることが更に好ましい。Mnの含有量をより大きくすることで、マグネシウム合金鋳造品の耐食性をより向上させることができる。
マグネシウム合金鋳造品は、Mgの一部にかえて、更に、Zn(亜鉛)を含むようにしてもよい。Znの固溶強化等により、マグネシウム合金鋳造品の機械的特性をより向上させることができる。
次に、このマグネシウム合金鋳造品の製造方法について説明する。
このマグネシウム合金鋳造品の製造方法は、10質量%Gdを含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg―Gd合金を溶解した溶湯に、金属Mn、Mn合金またはMn化合物を、Mnの含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように添加して溶湯を調製する溶湯調製工程と、調製された溶湯を鋳型に注湯して鋳込む鋳込み工程と、を備えている。
このマグネシウム合金鋳造品の製造方法は、第1実施形態におけるマグネシウム合金鋳造品の製造方法に対して、溶湯調製工程が相違している。
溶湯調製工程では、マグネシウム合金鋳造品にGdを含有させるために、10質量%Gdを含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg―Gd合金を溶解した溶湯を用いている。これにより、マグネシウム合金鋳造品にGdを含有させることが可能となる。また、マグネシウム合金鋳造品に更にZnを含有させる場合には、Mg−Gd合金におけるMgの一部にかえて、Znを含有させたMg−Gd−Zn合金を用いればよい。
溶湯調製工程では、Mg―Gd合金を溶解した溶湯には、金属Mn、Mn合金またはMn化合物を、Mnの含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように添加して溶湯が調製される。これにより、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒を微細化して、機械的特性を向上させることが可能となる。
金属Mn、Mn合金またはMn化合物は、Mnの含有率が、1.5質量%以上2.5質量%以下であるように添加されることがより好ましく、2.0質量%以上2.5質量%以下であるように添加されることが更に好ましい。Mnの含有量をより大きくすることで、マグネシウム合金鋳造品の耐食性をより向上させることができる。
なお、金属Mn、Mn合金またはMn化合物、溶湯温度、鋳造方法等については、第1実施形態の溶湯調製工程(S10)と同様であるので詳細な説明を省略する。また、鋳込み工程についても、第1実施形態の鋳込み工程(S12)と同様であるので詳細な説明を省略する。
このようにして製造されるマグネシウム合金鋳造品は、機械的特性と耐食性とが向上していると共に、10質量%のGdを含有することにより耐熱性が向上しているので、過給機のコンプレッサインペラ等に適用可能である。
以上、上記構成のマグネシウム合金鋳造品によれば、1.0質量%以上2.5質量%以下のMnと、10質量%のGdとを含み、残部がMgと不可避的不純物からなるので、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒が微細化され、結晶粒径を100μm以下とすることが可能となる。また、Mnは、Fe、Ni、C等の不可避的不純物と反応して化合物を形成し難いので、マグネシウム合金鋳造品へのこれらの化合物の混入を抑制して、機械的特性の低下を抑えることができる。更に、10質量%のGdを含有しているので、マグネシウム合金鋳造品の耐熱性を向上させることが可能となる。
上記構成のマグネシウム合金鋳造品の製造方法によれば、第1実施形態のマグネシウム合金鋳造品の製造方法と同様に、安価で、溶湯中に含まれる不可避的不純物と反応して化合物を形成し難いMnを用いることにより、製造コストを低減することが可能となる。
マグネシウム合金の鋳造試験を行った。
(Mg−Mn合金の鋳造)
溶解素材には、不純物(Fe、Ni、C等)を含む金属Mgを用いた。金属Mgをルツボに入れ、大気溶解により溶解して溶湯とした。溶湯に金属Mnを添加して撹拌した。金属Mnについては、溶湯に対して金属Mnの添加率が、比較例1では0.01質量%、比較例2では0.1質量%、比較例3では0.2質量%、比較例4では0.5質量%、比較例5では1.0質量%、実施例1では1.5質量%、実施例2では2.0質量%、実施例3では3.0質量%、実施例4では4.0質量%の範囲となるように添加した。溶湯に金属Mnを添加して撹拌した後、5分間静置することにより沈静化して溶湯を調製した。
調製した溶湯を金型に注湯して、φ35mm×135mmの丸棒からなる鋳造品を鋳造した。調製した溶湯の溶湯温度については720℃とした。金型温度については、約150℃とした。また、比較例6として、金属Mnを添加しないものについても鋳造した。
(Mg−Mn−Gd合金の鋳造)
溶解素材には、Mg―Gd合金を用いた。Mg−Gd合金の合金組成については、10質量%のGdを含み、残部がMgと不純物(Fe、Ni、C等)とから構成されている。Mg―Gd合金をルツボに入れ、大気溶解により溶解して溶湯とした。溶湯に金属Mnを添加して撹拌した。金属Mnについては、溶湯に対して金属Mnの添加率が、比較例7では0.5質量%、実施例5では1.0質量%、実施例6では1.5質量%、実施例7では2.0質量%、実施例8では2.5質量%の範囲となるように添加した。溶湯に金属Mnを添加して撹拌した後、5分間静置することにより沈静化して溶湯を調製した。調製した溶湯の溶湯温度については、720℃とした。なお、調製した溶湯の鋳造については、Mg−Mn合金の鋳造方法と同じであるので詳細な説明を省略する。また、比較例8として、金属Mnを添加しないものについても鋳造した。
(Mg−Zr合金の鋳造)
溶解素材には、不純物(Fe、Ni、C等)を含む金属Mgを用いた。金属Mgをルツボに入れ、大気溶解により溶解して溶湯とした。溶湯にマグネシウム エレクトロン社(Magnesium Electron Ltd.)製のZr−max(ZrClをMgに溶かしたもの)を添加して撹拌した。Zr−maxについては、溶湯に対してZr−maxの添加率が、比較例9では0.05質量%、比較例10では0.1質量%、比較例11では0.2質量%、比較例12では0.4質量%、比較例13では0.6質量%の範囲となるように添加した。溶湯にZr−maxを添加して撹拌した後、5分間静置することにより沈静化して溶湯を調製した。調製した溶湯の溶湯温度については、720℃とした。なお、調製した溶湯の鋳造については、Mg−Mn合金の鋳造方法と同じであるので詳細な説明を省略する。また、比較例14として、Zr−maxを添加しないものについても鋳造した。
(結晶粒微細化の評価)
Mg−Mn合金、Mg−Mn−Gd合金及びMg−Zr合金の各鋳造品について結晶粒径を測定し、結晶粒微細化について評価した。なお、各鋳造品の結晶粒径については、鋳造品から試料を切り出し、試料を埋込樹脂に埋め込んだ後に研磨とエッチィングとを行って、光学顕微鏡により複数箇所測定した後にこれらを平均して求めた。
図2は、Mg−Mn合金の鋳造品の結晶粒径測定結果を示すグラフである。図2のグラフでは、横軸にMn添加量を取り、縦軸に結晶粒径を取り、各データを黒菱形で示している。
金属Mgに金属Mnを添加した場合には、鋳造品の結晶粒径は、金属Mnの添加とともに小さくなり、1.5質量%の金属Mnの添加で最も小さくなり100μm以下となった。金属Mnの添加量が1.5質量%を超えると、鋳造品の結晶粒径が徐々に大きくなり、4.0質量%の金属Mnの添加では、鋳造品の結晶粒径が100μmであった。
図3は、Mg−Mn−Gd合金の鋳造品の結晶粒径測定結果を示すグラフである。図3のグラフでは、横軸にMn添加量を取り、縦軸に結晶粒径を取り、各データを黒菱形で示している。
Mg―Gd合金に金属Mnを添加した場合には、鋳造品の結晶粒径は、金属Mnの添加とともに小さくなり、1.0質量%の金属Mnの添加で最も小さくなり100μm以下となった。金属Mnの添加量が1.0質量%以上2.5質量%以下の範囲では、鋳造品の結晶粒径は略同じであり100μm以下であった。
図4は、Mg−Zr合金の鋳造品の結晶粒径測定結果を示すグラフである。図4のグラフでは、横軸にZr―maxの添加量を取り、縦軸に結晶粒径を取り、各データを黒菱形で示している。
金属MgにZr―maxを添加した場合には、鋳造品の結晶粒径は、Zr―maxの添加とともに小さくなり、0.4質量%以上0.6質量%以下のZr―maxの添加で最も小さくなり約125μmとなった。
これらの結果から、金属MgまたはMg−Gd合金に、金属Mnを添加することにより、Zr―maxによりZrを添加した場合よりも、マグネシウム合金鋳造品の結晶粒を微細化できることがわかった。
(金属組織観察)
次に、Mg−Mn合金、Mg−Mn−Gd合金及びMg−Zr合金の各鋳造品について、光学顕微鏡により金属組織観察を行って、不純物(Fe、Ni、C等)との反応による化合物の形成を評価した。代表として、実施例5の鋳造品(Mg−Mn−Gd合金、金属Mnの添加量が1.0質量%)と、比較例12の鋳造品(Mg−Zr合金、Zr−maxの添加量が0.4質量%)とについて説明する。図5は、比較例12の鋳造品(Mg−Zr合金、Zr−maxの添加量が0.4質量%)の金属組織観察結果を示す写真である。図6は、実施例5の鋳造品(Mg−Mn−Gd合金、金属Mnの添加量が1.0質量%)の金属組織観察結果を示す写真である。
図5の写真に示すように、比較例12の鋳造品(Mg−Zr合金、Zr−maxの添加量が0.4質量%)については、金属組織中にZrと不純物との化合物が認められた。これに対して、図6の写真に示すように、実施例5の鋳造品(Mg−Mn−Gd合金、金属Mnの添加量が1.0質量%)については、金属組織中にMnと不純物との化合物が認められなかった。なお、Mg−Mn合金及びMg−Mn−Gd合金における他の実施例の鋳造品についても、金属組織中にMnと不純物との化合物が認められなかった。このことから、金属Mnを添加材に用いることにより、金属MgまたはMg−Gd合金の溶湯に含まれる不純物(Fe、Ni、C等)との反応による化合物の形成を抑制できることがわかった。
S10 溶湯調製工程、S12 鋳込み工程。

Claims (4)

  1. 1.0質量%以上2.5質量%以下のMnと、9.8〜9.9質量%のGdとを含み、残部がMgと不可避的不純物からなり、
    結晶粒径が100μm以下であることを特徴とするマグネシウム合金鋳造品。
  2. 請求項1に記載のマグネシウム合金鋳造品であって、
    Mnの含有率は、2.0質量%以上2.5質量%以下であることを特徴とするマグネシウム合金鋳造品。
  3. 請求項1に記載のマグネシウム合金鋳造品の製造方法であって、
    10質量%Gdを含有し、残部がMgと不可避的不純物からなるMg―Gd合金を溶解した溶湯に、金属Mn、Mg−Mn合金またはMnOを、Mnの含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下となるように添加して前記溶湯を調製する溶湯調製工程と、
    前記調製された溶湯を鋳型に注湯して鋳込む鋳込み工程と、
    を備えることを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の製造方法。
  4. 請求項3に記載のマグネシウム合金鋳造品の製造方法であって、
    前記鋳込み工程において、鋳型温度は、100℃以上400℃以下であることを特徴とするマグネシウム合金鋳造品の製造方法。
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