JP6756027B1 - セルスタック - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラスシール部にクラックが発生することを抑制可能なセルスタックを提供する。【解決手段】セルスタック2は、複数の燃料電池セル5と、複数のセパレータ30と、シール部材110とを備える。複数の燃料電池セル5は、インターコネクタ40を介して互いに積層される。各セパレータ30は、各燃料電池セル5に接続され、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する。シール部材110は、燃料電池セル5及びセパレータ30の隙間を封止する。セパレータ30は、基材31と、基材31の表面を覆うアルミナ被膜32とを含む。シール部材110は、結晶化ガラスによって構成されるガラスシール部111と、ガラスシール部111とセパレータ30のアルミナ被膜32との間に配置され、結晶化ガラスによって構成される中間層112とを含む。中間層112におけるアルミニウムより平衡酸素圧の低い低平衡酸素圧元素の含有率は、ガラスシール部111における低平衡酸素圧元素の含有率よりも高い。【選択図】図3

Description

本発明は、セルスタックに関する。
従来、インターコネクタを介して互いに積層される複数の燃料電池セルと、各燃料電池セルに接続され、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離するための複数のセパレータとを備える平板形のセルスタックが知られている(例えば特許文献1)。
特許文献1では、セパレータが、金属基材とその表面を覆うアルミナ被膜とによって構成されており、セパレータと燃料電池セルとの隙間が、Alを含有するガラスシール部によって封止されている。このような構成によれば、セパレータ表面のアルミナ被膜とガラスシール部との親和性が良いため封止性を確保できるとされている。
特開2015−088264号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、酸化剤ガスに含まれる酸素がガラスシール部を透過してセパレータ表面のアルミナ被膜に到達すると、アルミナ被膜が厚膜化することによってガラスシール部に応力が生じて、ガラスシール部にクラックが生じるおそれがある。
本発明は、ガラスシール部にクラックが発生することを抑制可能なセルスタックを提供することを目的とする。
本発明に係るセルスタックは、燃料ガス及び酸化剤ガスによって発電するセルスタックであり、複数の燃料電池セルと、複数のセパレータと、シール部材とを備える。複数の燃料電池セルは、インターコネクタを介して互いに積層される。複数のセパレータは、複数の燃料電池セルそれぞれに接続され、燃料ガスと酸化剤ガスとを分離する。シール部材は、セルスタックを構成する第1部材及び第2部材の隙間を封止する。第1部材は、基材と、基材の表面を覆うアルミナ被膜とを含む。シール部材は、結晶化ガラスによって構成されるガラスシール部と、第1部材のアルミナ被膜とガラスシール部との間に配置され、結晶化ガラスによって構成される中間層とを含む。中間層におけるアルミニウムより平衡酸素圧の低い低平衡酸素圧元素の含有率は、ガラスシール部における低平衡酸素圧元素の含有率よりも高い。
本発明によれば、ガラスシール部にクラックが発生することを抑制可能なセルスタックを提供することができる。
実施形態に係るセルスタックの斜視図。 実施形態に係るセルスタックの断面図。 実施形態に係るセルスタックの拡大断面図。
[セルスタックの構成]
実施形態に係るセルスタック2の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、セルスタック2の斜視図である。図2は、セルスタック2の断面図である。図3は、セルスタック2の拡大断面図である。
図1及び図2に示すように、セルスタック2は、複数の燃料電池セル5と、締結部材21〜28と、複数のセパレータ30と、複数のインターコネクタ40と、複数の集電体50と、複数のシール部材110と、複数のシール部材120とを備える。
セルスタック2は、燃料ガス及び酸化剤ガスによって発電する。セルスタック2は、インターコネクタ40を介して複数の燃料電池セル5が積層された構造を有する。すなわち、セルスタック2は、いわゆる平板形のセルスタック構造である。
締結部材21〜28は、複数の燃料電池セル5を締結する。締結部材の4本には、積層方向(z軸)に沿って酸化剤ガスまたは燃料ガスが流れる流路が形成されている。本実施形態において、締結部材23は燃料ガス供給管として用いられ、締結部材27は燃料ガス排出管として用いられ、締結部材25は酸化剤ガス供給管として用いられ、締結部材21は酸化剤ガス排出管として用いられる。
[燃料電池セル]
図2に示すように、燃料電池セル5は、固体電解質11と、空気極12と、燃料極13とを有する。燃料電池セル5は、平面視(z軸方向視)において、矩形状である。なお、燃料電池セル5としては、固体酸化物形燃料電池を用いることができる。本実施形態において、燃料電池セル5は、セルスタック2を構成する部材の一つであり、シール部材120によって封止される隙間をセパレータ30との間に形成する第2部材の一例である。
固体電解質11は、平板状であり、主面が積層方向(z軸方向)を向いている。空気極12は、固体電解質11の一方の主面に配置されている。燃料極13は、固体電解質11の他方の主面に配置されている。固体電解質11は、空気極12と燃料極13との間に配置される。本実施形態では、固体電解質11の上面に空気極12が配置され、固体電解質11の下面に燃料極13が配置されている。
燃料電池セル5の厚さ(z軸方向の寸法)は全体に渡って実質的に均一である。例えば、燃料電池セル5の厚さは、100〜2100μm程度である。本実施形態では、燃料極13は、固体電解質11及び空気極12の各々よりも厚く構成されている。このため、燃料極13は、固体電解質11及び空気極12を支持するように構成されている。
具体的には、燃料極13の厚さは50〜2000μmとすることができ、固体電解質11の厚さは1〜50μmとすることができ、空気極12の厚さは50〜200μmとすることができる。
固体電解質11は、例えば、YSZを含む緻密質材料で構成される。空気極12は、例えば、LSM(La(Sr)MnO:ランタンストロンチウムマンガナイト)、LSCF((La,Sr)(Co,Fe)O:ランタンストロンチウムコバルトフェライト)などを含む多孔質材料で構成される。燃料極13は、例えば、NiとYSZとを含む多孔質材料で構成される。固体電解質11の気孔率は0〜10%程度とすることができ、空気極12の気孔率は15〜55%程度とすることができ、燃料極13の気孔率は15〜55%程度とすることができる。固体電解質11の熱膨張率は、9〜11ppm/Kであり、空気極12の熱膨張率は11〜17ppm/Kであり、燃料極13の熱膨張率は、11〜14ppm/Kとすることができる。
[セパレータ]
セパレータ30は、燃料電池セル5に接続される。詳細には、セパレータ30は、シール部材110を介して、燃料電池セル5の固体電解質11の周縁部と接続されている。セパレータ30は、燃料ガスが流れる空間と酸化剤ガスが流れる空間とを区画する。このため、セパレータ30は、酸化剤ガスと燃料ガスとを分離して、両者の混合を防止する機能を有している。セパレータ30は、枠状である。
本実施形態において、セパレータ30は、セルスタック2を構成する部材の一つであり、シール部材110及びシール部材120によって封止される隙間を形成する第1部材の一例である。
図3に示すように、セパレータ30は、基材31と、アルミナ被膜32とを含む。基材31は、金属材料、セラミックス材料などによって構成することができる。金属材料としては、Fe−Cr系合金鋼(ステンレス鋼など)やNi−Cr系合金鋼などを用いることができる。アルミナ被膜32は、基材31の表面を覆う。アルミナ被膜32は、基材31の表面の一部のみを覆っていてもよい。ただし、本実施形態において、アルミナ被膜32は、シール部材110の少なくとも一部と直接的に接触し、シール部材120の少なくとも一部と直接的に接触する。
セパレータ30の厚みは、例えば10〜1000μmとすることができる。セパレータの熱膨張率は、例えば11〜18ppm/K程度とすることができる。
[インターコネクタ]
インターコネクタ40は、燃料電池セル5間の導通を確保する。また、インターコネクタ40は、燃料電池セル5間でのガスの混合を防止する。インターコネクタ40は、板状であり、x軸方向及びy軸方向に延びる。
本実施形態において、インターコネクタ40は、セルスタック2を構成する部材の一つであり、シール部材110によって封止される隙間をセパレータ30との間に形成する第2部材の一例である。
インターコネクタ40は、Crを含有する金属材料によって構成される。このような金属材料としては、Fe−Cr系合金鋼(ステンレス鋼など)やNi−Cr系合金鋼などを用いることができる。インターコネクタ40の表面の少なくとも一部は、酸化クロム被膜によって覆われていてもよい。
なお、図2に示すように、最上層及び最下層には、インターコネクタ40の代わりに、保持板41が配置されてもよい。
[集電体]
集電体50は、燃料電池セル5の空気極12及び燃料極13それぞれとインターコネクタ40との間の導通を確保する。集電体50は、例えば、インターコネクタ40から空気極12に向けて突出する複数の突出部である。また集電体50は、例えば、インターコネクタ40から燃料極13に向けて突出する複数の突出部である。各突出部は、互いに間隔をあけて配置されている。各突出部の間は、ガス流路を構成する。例えば、集電体50は、y軸方向に間隔をあけて配置され、x軸方向に延びている。集電体は、例えば、金属で構成される。
[シール部材]
シール部材110及びシール部材120それぞれは、セルスタック2を構成する第1部材及び第2部材の隙間を封止するシール部材の一例である。
シール部材110は、セパレータ30及びインターコネクタ40の隙間を封止する。これにより、セルスタック2の内部と外部とが隔離される。シール部材110に関して、セパレータ30が第1部材であり、インターコネクタ40が第2部材である。
本実施形態において、シール部材110は、セパレータ30及びインターコネクタ40を接合する接合部材としても機能する。
シール部材120は、セパレータ30及び燃料電池セル5の隙間を封止する。これにより、燃料ガスが流れる空間と酸化剤ガスが流れる空間とが区画される。シール部材120に関して、セパレータ30が第1部材であり、燃料電池セル5が第2部材である。
本実施形態において、シール部材120は、セパレータ30及び燃料電池セル5を接合する接合部材としても機能する。
シール部材110及びシール部材120それぞれは、枠状である。すなわち、シール部材110及びシール部材120それぞれは、連続した一体の環状である。
(シール部材110)
シール部材110は、ガラスシール部111及び中間層112を含む。
ガラスシール部111は、インターコネクタ40及び中間層112の間に配置される。ガラスシール部111は、結晶化ガラスによって構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、MgO−B系、又はSiO−MgO系のものが用いられる。ガラスシール部111を構成する結晶化ガラスとしては、SiO−MgO系のものが最も好ましい。
ガラスシール部111を構成する結晶化ガラスは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、かつ、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスである。
中間層112は、セパレータ30のアルミナ被膜32及びガラスシール部111の間に配置される。中間層112は、アルミナ被膜32及びガラスシール部111それぞれに直接接続される。中間層112は、ガラスシール部111と実質的に一体であってもよい。中間層112は、アルミナ被膜32及びガラスシール部111の間の全面に介挿されていることが好ましいが、アルミナ被膜32及びガラスシール部111の間の一部のみに介挿されていてもよい。
中間層112は、結晶化ガラスによって構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、MgO−B系、又はSiO−MgO系のものが用いられる。中間層112を構成する結晶化ガラスとしては、SiO−MgO系が特に好適である。
中間層112を構成する結晶化ガラスは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、かつ、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスである。
中間層112の厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。中間層112の厚みを0.5μm以上とすることによって、後述するガラスシール部111のクラック抑制効果を十分に発揮することができる。中間層112の厚みを20μm以下とすることによって、ガラスシール部111と中間層112の熱膨張差に起因する応力の発生を抑制できシール不良を抑制することができる。
ガラスシール部111及び中間層112それぞれは、Al(アルミニウム)より平衡酸素圧の低い元素(以下、「低平衡酸素圧元素」という。)を含有する。
中間層112における低平衡酸素圧元素の含有率は、ガラスシール部111における低平衡酸素圧元素の含有率よりも高い。これにより、セパレータ30のアルミナ被膜32に向かってガラスシール部111を透過してくる酸素を中間層112に優先的に取り込むことができるため、アルミナ被膜32が厚膜化してガラスシール部111に応力が発生することを抑制できる。その結果、ガラスシール部111にクラックが発生することを抑制できる。
低平衡酸素圧元素としては、Ca及びMgなどが挙げられる。特に、Ca及びMgのうちCaの平衡酸素圧は特に低く酸素を取り込みやすいため好ましい。
ガラスシール部111及び中間層112それぞれにおいて、低平衡酸素圧元素は、結晶化ガラスの結晶中において酸化物の形態で存在していてもよい。
ガラスシール部111及び中間層112それぞれは、低平衡酸素圧元素を1種のみ含有していてもよいし、複数種の低平衡酸素圧元素を含有していてもよい。
なお、ガラスシール部111及び中間層112の少なくとも一方が複数種の低平衡酸素圧元素を含有する場合、両者に共通する低平衡酸素圧元素についての含有率を比較したときに、中間層112における含有率がガラスシール部111における含有率よりも高ければよい。この場合、平衡酸素圧が低いほど酸素を取り込みやすいため、両者に共通する低平衡酸素圧元素のうち平衡酸素圧が最も低い元素の含有率を比較することが好ましい。
中間層112における低平衡酸素圧元素の含有率は、ガラスシール部111における低平衡酸素圧元素の含有率の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.3倍以上が特に好ましい。これにより、ガラスシール部111にクラックが発生することをより抑制できる。
中間層112における低平衡酸素圧元素の含有率は特に制限されないが、全構成元素のうち酸素を除く元素の総和に対する各元素のモル比をカチオン比と定義した場合、カチオン比で0.05以上0.9以下とすることができる。中間層112における低平衡酸素圧元素の含有率は、カチオン比で0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。これにより、ガラスシール部111にクラックが発生することをより抑制できる。
ガラスシール部111における低平衡酸素圧元素の含有率は特に制限されないが、全構成元素のうち酸素を除く元素の総和に対する各元素のモル比をカチオン比と定義した場合、カチオン比で0.04以上0.5以下とすることができる。
ガラスシール部111における低平衡酸素圧元素の含有率は、EDS(Oxford−instruments社製、型式X−Max)を用いて、セパレータ30の表面から25μm超離れた領域から無作為に選択した10点において低平衡酸素圧元素の含有率をカチオン比で測定し、10個の測定値を算術平均することによって求められる。
中間層112における低平衡酸素圧元素の含有率は、以下のように求められる。まず、セパレータ30の表面に垂直なシール部材110の断面において、セパレータ30の表面に垂直な3本のラインを無作為に設定し、EDS(Oxford−instruments社製、型式X−Max)を用いて低平衡酸素圧元素の含有率をライン分析する。次に、ライン分析結果を参照して、低平衡酸素圧元素の含有率がガラスシール部111より高い領域を中間層112と見なし、中間層112と見なした領域の各ライン上における厚みを算術平均することによって中間層112の厚みを求める。次に、セパレータ30の表面に垂直な断面において、EDS(Oxford−instruments社製、型式X−Max)を用いて、中間層112から無作為に選択した10点における低平衡酸素圧元素の含有率をカチオン比で測定する。そして、10個の測定値を算術平均することによって、中間層112における特定の低平衡酸素圧元素の含有率が求められる。
(シール部材120)
シール部材120は、ガラスシール部121及び中間層122を含む。
ガラスシール部121は、中間層122及び燃料電池セル5の間に配置される。ガラスシール部121は、結晶化ガラスによって構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、MgO−B系、又はSiO−MgO系のものが用いられる。ガラスシール部121を構成する結晶化ガラスとしては、SiO−MgO系のものが最も好ましい。
ガラスシール部121を構成する結晶化ガラスは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、かつ、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスである。
中間層122は、セパレータ30のアルミナ被膜32及びガラスシール部121の間に配置される。中間層122は、アルミナ被膜32及びガラスシール部121それぞれに直接接続される。中間層122は、ガラスシール部121と実質的に一体であってもよい。中間層122は、アルミナ被膜32及びガラスシール部121の間の全面に介挿されていることが好ましいが、アルミナ被膜32及びガラスシール部121の間の一部のみに介挿されていてもよい。
中間層122は、結晶化ガラスによって構成される。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、MgO−B系、又はSiO−MgO系のものが用いられる。中間層122を構成する結晶化ガラスとしては、SiO−MgO系が特に好適である。
中間層122を構成する結晶化ガラスは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、かつ、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスである。
中間層122の厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。中間層122の厚みを0.5μm以上とすることによって、後述するガラスシール部121のクラック抑制効果を十分に発揮することができる。中間層122の厚みを20μm以下とすることによって、ガラスシール部121と中間層122との熱膨張差に起因する応力の発生を抑制できシール不良を抑制することができる。
ガラスシール部121及び中間層122それぞれは、Al(アルミニウム)より平衡酸素圧の低い低平衡酸素圧元素を含有する。
中間層122における低平衡酸素圧元素の含有率は、ガラスシール部121における低平衡酸素圧元素の含有率よりも高い。これにより、セパレータ30のアルミナ被膜32に向かってガラスシール部121を透過してくる酸素を中間層122に優先的に取り込むことができるため、アルミナ被膜32が厚膜化してガラスシール部121に応力が発生することを抑制できる。その結果、ガラスシール部121にクラックが発生することを抑制できる。
低平衡酸素圧元素としては、Ca及びMgなどが挙げられる。特に、Ca及びMgのうちCaの平衡酸素圧は特に低く酸素を取り込みやすいため好ましい。
ガラスシール部121及び中間層122それぞれにおいて、低平衡酸素圧元素は、結晶化ガラスの結晶中において酸化物の形態で存在していてもよい。
ガラスシール部121及び中間層122それぞれは、低平衡酸素圧元素を1種のみ含有していてもよいし、複数種の低平衡酸素圧元素を含有していてもよい。
なお、ガラスシール部121及び中間層122の少なくとも一方が複数種の低平衡酸素圧元素を含有する場合、両者に共通する低平衡酸素圧元素についての含有率を比較したときに、中間層122における含有率がガラスシール部121における含有率よりも高ければよい。この場合、平衡酸素圧が低いほど酸素を取り込みやすいため、両者に共通する低平衡酸素圧元素のうち平衡酸素圧が最も低い元素の含有率を比較することが好ましい。
中間層122における低平衡酸素圧元素の含有率は、ガラスシール部121における低平衡酸素圧元素の含有率の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.3倍以上が特に好ましい。これにより、ガラスシール部121にクラックが発生することをより抑制できる。
中間層122における低平衡酸素圧元素の含有率は特に制限されないが、全構成元素のうち酸素を除く元素の総和に対する各元素のモル比をカチオン比と定義した場合、カチオン比で0.05以上0.9以下とすることができる。中間層122における低平衡酸素圧元素の含有率は、カチオン比で0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。これにより、ガラスシール部121にクラックが発生することをより抑制できる。
ガラスシール部121における低平衡酸素圧元素の含有率は特に制限されないが、全構成元素のうち酸素を除く元素の総和に対する各元素のモル比をカチオン比と定義した場合、カチオン比で0.04以上0.5以下とすることができる。
ガラスシール部121における低平衡酸素圧元素の含有率は、EDS(Oxford−instruments社製、型式X−Max)を用いて、セパレータ30の表面から25μm超離れた領域から無作為に選択した10点において低平衡酸素圧元素の含有率をカチオン比で測定し、10個の測定値を算術平均することによって求められる。
中間層122における低平衡酸素圧元素の含有率は、以下のように求められる。まず、セパレータ30の表面に垂直なシール部材120の断面において、セパレータ30の表面に垂直な3本のラインを無作為に設定し、EDS(Oxford−instruments社製、型式X−Max)を用いて低平衡酸素圧元素の含有率をライン分析する。次に、ライン分析結果を参照して、低平衡酸素圧元素の含有率がガラスシール部121より高い領域を中間層122と見なし、中間層122と見なした領域の各ライン上における厚みを算術平均することによって中間層122の厚みを求める。次に、セパレータ30の表面に垂直な断面において、EDS(Oxford−instruments社製、型式X−Max)を用いて、中間層122から無作為に選択した10点における低平衡酸素圧元素の含有率をカチオン比で測定する。そして、10個の測定値を算術平均することによって、中間層122における特定の低平衡酸素圧元素の含有率が求められる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
(変形例1)
上記実施形態では、セパレータ30及びインターコネクタ40の隙間を封止するシール部材110と、セパレータ30及び燃料電池セル5の隙間を封止するシール部材120とについて説明した。
しかしながら、本発明に係るシール部材は、マニホールド200、セパレータ30及びインターコネクタ40に限らず、セルスタックを構成する2つの部材のうち一方が基材とアルミナ被膜とを含む限り有用である。
(変形例2)
上記実施形態に係るセルスタックは平板形の燃料電池セルを備えることとしたが、セルスタックが備える燃料電池セルは、横縞形、縦縞形、平板形、円筒形のいずれでもよい。また、セルスタックは、燃料電池セルに代えて、水蒸気から水素と酸素を生成する電解セルを備えていてもよい。
(変形例3)
上記実施形態では、シール部材110が中間層112を含み、シール部材120が中間層122を含むこととしたが、シール部材110及びシール部材120のうち一方が中間層を含んでいなくてもよい。
2 セルスタック
5 燃料電池セル
30 セパレータ
31 基材
32 アルミナ被膜
40 インターコネクタ
110 シール部材
111 ガラスシール部
112 中間層
120 シール部材
121 ガラスシール部
122 中間層

Claims (11)

  1. 燃料ガス及び酸化剤ガスによって発電するセルスタックであって、
    インターコネクタを介して互いに積層される複数の燃料電池セルと、
    前記複数の燃料電池セルそれぞれに接続され、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとを分離するための複数のセパレータと、
    前記セルスタックを構成する第1部材及び第2部材の隙間を封止するシール部材と、
    を備え、
    前記第1部材は、基材と、前記基材の表面を覆うアルミナ被膜とを含み、
    前記シール部材は、結晶化ガラスによって構成されるガラスシール部と、前記第1部材の前記アルミナ被膜と前記ガラスシール部との間に配置され、結晶化ガラスによって構成される中間層とを含み、
    前記中間層におけるアルミニウムより平衡酸素圧の低い低平衡酸素圧元素の含有率は、前記ガラスシール部における前記低平衡酸素圧元素の含有率よりも高い、
    セルスタック。
  2. 前記シール部材は、枠状である、
    請求項1に記載のセルスタック。
  3. 前記シール部材は、前記セルスタックの内部と外部とを隔離する、
    請求項1又は2に記載のセルスタック。
  4. 前記第1部材は、前記セパレータであり、
    前記第2部材は、前記インターコネクタである、
    請求項3に記載のセルスタック。
  5. 前記シール部材は、前記燃料極と前記空気極との間を隔離する、
    請求項1又は2に記載のセルスタック。
  6. 前記第1部材は、前記セパレータであり、
    前記第2部材は、前記燃料電池セルである、
    請求項5に記載のセルスタック。
  7. 前記中間層における前記低平衡酸素圧元素の含有率は、前記ガラスシール部における前記低平衡酸素圧元素の含有率の1.1倍以上である、
    請求項1乃至6のいずれかに記載のセルスタック。
  8. 前記中間層及び前記ガラスシール部のそれぞれは、前記低平衡酸素圧元素としてCaを含む、
    請求項1乃至7のいずれかに記載のセルスタック。
  9. 前記中間層及び前記ガラスシール部のそれぞれは、前記低平衡酸素圧元素としてMgを含む、
    請求項1乃至7のいずれかに記載のセルスタック。
  10. 前記低平衡酸素圧元素は、前記中間層及び前記ガラスシール部が共通して含んでいる元素のうち最も平衡酸素圧の低い元素である、
    請求項1乃至9のいずれかに記載のセルスタック。
  11. 前記中間層の厚みは、0.5μm以上20μm以下である、
    請求項1乃至10のいずれかに記載のセルスタック。
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