以下、本発明に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本発明は、化粧水組成物、当該組成物の製造方法等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本発明は本明細書に開示される全てを包含する。
本発明は、γ―オリザノールを包含しているリポソーム及びグリセリンを含有し、かつ、平均分子量が2000〜5000の分子量分布を有するポリエチレングリコール及び/又はトリメチルグリシンを含有する化粧水組成物を包含する。以下、当該化粧水組成物を「本発明の化粧水組成物」と表記することがある。また、前記(A)〜(D)の各成分を「(A)成分」、「(B)成分」、「(C)成分」、「(D)成分」などと表記することがある。
本発明の化粧水組成物は、「γ―オリザノールを包含しているリポソーム」を含むことが好ましい。ここにおいて、リポソームは脂質二重膜で形成される脂質小胞体をいい、通常、リン脂質を主体とした脂質を十分量の水で水和することにより形成できる。リポソームは、一般的に脂質二重層の数に基づいて分類されており、多重膜リポソーム(MLV)と一枚膜リポソームに分類される。一枚膜リポソームは、そのサイズに応じて、更にSUV(small unilamella vesicle)、LUV(large unilamella vesicle)、GUV(giant unilamella vesicle)などに分類される。これらのうち何れでも使用でき、MLVがより好ましい。本発明で好ましく使用し得るリポソームの大きさ(外径)は、10〜1000nmであり、さらに好ましくは20〜600nm、最も好ましくは30〜200nmである。
本発明でいう「包含している」とは、主として脂質二重膜で形成された脂質小胞体(リポソーム)の中に包含される物質が存在している状態を意味する。リポソーム膜に囲まれる空間に封入されている状態で存在することが好ましく、リポソーム膜の構成成分とともに存在していてもよく、多重膜リポソームを構成する多重膜の間に存在していてもよく、リポソームを構成する脂質二重膜のうちの最も外側に位置する膜の表面に付着又は結合する形態で存在していても良く、それらの全てもしくは一部に存在しても良い。「γ―オリザノールを包含しているリポソーム」は本願において、「リポソーム化したγ―オリザノール」や単に「γ―オリザノールリポソーム」と表現することがある。
本発明で使用するγ―オリザノールリポソームを構成するリン脂質はレシチンおよびその誘導体が好ましい。レシチンとしては、例えば、卵黄レシチン、大豆レシチン、ナタネレシチン、コーンレシチン、ひまわりレシチン、ピーナッツレシチンなどを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができるがこれらに限定されない。本発明では、これらの誘導体である水素添加物を用いることがより好ましい。レシチンはホスファチジルコリン又は1,2−ジアシルグリセロール−3−ホスホコリンとも称され、一般的に、グリセロールの1位及び2位に脂肪酸が結合している。本発明では、上記例示のレシチンに加えて、1位及び2位の両方又は片方に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが好ましく、1位に炭素数12〜24の飽和脂肪酸、2位に炭素数12〜24の不飽和脂肪酸が結合しているレシチンを使用することが特に好ましい。ここで、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸は直鎖状及び分枝状のいずれでもよい。好ましい不飽和脂肪酸としては、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸を使用できる。特に2位にオレイン酸、リノール酸が多く結合したレシチンが好ましい。具体的には、卵黄レシチン、大豆レシチンおよびその水素添加処理物が好ましい。
γ―オリザノールリポソームは、常法により製造することができる。例えば、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量のステロールを、例えばエタノールなどの適当な有機溶媒で溶解し、減圧下にて溶媒を除去し、膜脂質を作成後、これにγ―オリザノールを含む溶液を添加して、例えば、1000〜3000rpm程度で2〜5分間程度撹拌して、リポソーム分散液を調製することにより、γ―オリザノールリポソームの分散液を得ることができる。
また、この方法とは別に、所望量のレシチン及び必要に応じて所望量のステロールを少量のエタノールに溶解後、水溶液又は緩衝液に分散して予備乳化を行った後、高圧で分散させて脂質二重層を形成させてリポソーム分散液を調製することによってもγ―オリザノールリポソームの分散液を得ることができる。
本発明で使用するリポソームは、γ―オリザノール以外のステロールも含有させることがより好ましい。γ―オリザノール以外のステロールとしては、コレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、デスモステロール、ジヒドロコレステロールなどの動物由来のステロール;β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、エルゴスタディエノール、シトステロール、ブラシカステロールなどの植物由来のステロール(フィトステロール);チモステロール、エルゴステロールなどの微生物由来のステロール等が挙げられ、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、コレステロール又はフィトステロールが好ましい。
リポソームにおけるリン脂質とステロールのモル比は、55:45〜95:5程度が好ましく、60:40〜90:10程度がより好ましく、75:25〜85:15程度が最も好ましい。モル比がこれらの範囲にあるとリポソームを構成する脂質二重膜の安定性が向上する。なお、リン脂質又はステロールの含有量は既知の方法で測定できる。例えば、リン脂質の含有量はFiske−Subbarow法など、ステロールの含有量はHPLC、比色法などによって定量できる。
前記の方法で調製されたγ―オリザノールリポソームは分散液として得られる。好ましいγ―オリザノールリポソーム分散液中における、γ―オリザノール、レシチンおよびステロールの含有量は、以下のとおりである。γ―オリザノールの含有量は好ましくは0.01〜5質量%程度、より好ましくは0.05〜2質量%程度、さらに好ましくは0.1〜1質量%程度、最も好ましくは0.2〜0.8質量%程度である。レシチンの含有量は、好ましくは1〜80質量%程度、より好ましくは1〜50質量%程度、さらに好ましくは1〜10質量%程度である。ステロールの含有量は、好ましくは0〜40質量%程度、より好ましくは0.01〜10質量%程度、さらに好ましくは0.1〜5質量%程度である。本発明の化粧水組成物には、上記のγ―オリザノールリポソーム分散液を配合することでγ―オリザノールリポソームを含有させることができる。γ―オリザノールリポソーム分散液は、組成物全量に対してγ―オリザノールの含有量が0.01〜0.15質量%の範囲になるように調整した配合量とすることが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14質量%であってもよい。例えば、0.03〜0.15質量%がより好ましく、0.05〜0.15質量%がさらにより好ましく、0.05〜0.1質量%が最も好ましい。γ―オリザノールリポソーム分散液は、組成物全量に対してレシチンの含有量が0.05〜15質量%の範囲になるように調整した配合量とすることが好ましく、0.15〜15質量%がより好ましく、0.25〜10質量%が最も好ましい。γ―オリザノールリポソーム分散液は、組成物全量に対してステロールの含有量が0.01〜1.2質量%の範囲になるように調整した配合量とすることが好ましく、0.03〜0.75質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%が最も好ましい。
γ―オリザノールリポソーム分散液には、上記化合物のほかに、本願発明の効果を損なわない範囲であれば、通常、皮膚外用組成物に使用できる成分を配合することができる。例えば、界面活性剤、加脂剤、シリコーン類、保湿剤、高分子類、紫外線吸収剤、金属封鎖剤、溶剤、pH調節剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、香料など後述するものと同様のものが挙げられる。
本発明で使用するグリセリンは、組成物全量に対して1〜15質量%含有することが好ましい。より好ましくは3〜12質量%であり、もっとも好ましくは4〜10質量%である。
本発明の化粧水組成物は、上記の通りポリエチレングリコール及び/又はトリメチルグリシンを含有する。本願発明においては平均分子量が2000〜5000のポリエチレングリコールを使用することが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900であってもよい。例えば、2000〜4200が好ましく、2600〜3800がより好ましく、2800〜3800がさらに好ましく、3000〜3600がさらにより好ましく、3100〜3500が特に好ましく、3100〜3400がもっとも好ましい。本発明において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、医薬部外品原料規格に記載の方法で測定した値である。化粧品に用いるために販売されているポリエチレングリコールを用いることもでき、ポリエチレングリコール4000として販売されているものが特に好ましい。ポリエチレングリコールは組成物全量に対して0.1〜2質量%含有することが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9質量%であってもよい。例えば、0.5〜1.5質量%がより好ましく、0.7〜1.3質量%がもっとも好ましい。
本発明の化粧水組成物は、トリメチルグリシンを含有するとより好ましい。トリメチルグリシンは、組成物全量に対して0.1〜15質量%含有することが好ましい。当該範囲の上限若しくは下限は、例えば0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14質量%であってもよい。例えば、0.5〜10質量%含有することがより好ましく、0.5〜5質量%含有することがさらに好ましく、0.5〜3質量%含有することが最も好ましい。本発明の化粧水組成物は、(C)成分及び(D)成分を組み合わせて配合することができる。なお、トリメチルグリシンは、ベタイン化合物の一種であるが、どのベタイン化合物であってもよいわけではない。例えば、ベタイン化合物の中でも、トリメチルグリシンの代わりに、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液(コカミドプロピルベタイン)を含有する場合には、べたつき感が改善されないため、好ましくない。
本発明の化粧水組成物には、上記化合物のほかに、本願発明の効果を損なわない範囲であれば、通常、皮膚外用組成物に使用できる成分を配合することができる。例えば、界面活性剤、加脂剤、シリコーン類、保湿剤、高分子類、紫外線吸収剤、金属封鎖剤、溶剤、pH調節剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、香料などが挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤が挙げられる。これらのうち、ノニオン界面活性剤が好ましい。これらは1種または2種以上を配合することができる。
アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンステロールエーテルリン酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステロールエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル酢酸等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜50モル)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜50モル)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜50モル)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜40モル)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜30モル)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜40モル)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜50モル)2−オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜50モル)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜50モル)フィトステロールエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜100モル)硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン(平均付加モル数5〜30モル)ポリオキシプロピレン(平均付加モル数5〜30モル)2−デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜50モル)ポリオキシプロピレン(平均付加モル数2〜30モル)セチルエーテルなどのエーテル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜40モル)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜60モル)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(平均付加モル数40〜60モル)モノステアレート、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜60モル)ソルビタンモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜40モル)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜80モル)グリセリルモノイソステアレート、ポリオキシエチレン(平均付加モル数10〜30モル)グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート、グリセリルモノオレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルジイソステアレート、グリセリルモノエルケート、ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンジオレート、ジグリセリンモノイソステアレート、ジグリセリンジイソステアレート、デカグリセリルモノラウレート、デカグリセリンペンタオレート、デカグリセリンペンタイソステアレート、デカグリセリンデカオレート、デカグリセリンデカイソステアレート、ショ糖モノステアレート、ショ糖モノパルミテート、ショ糖モノミリステート、ショ糖モノオレートなどのエステル型ノニオン界面活性剤;ポリオキシエチレン(平均付加モル数20〜30モル)メチルグルコシドなどのアルキルグルコシド型ノニオン界面活性剤などが挙げられる。
加脂剤としては、油脂類、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油などが挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
油脂類としては、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、アルモンド油、サザンカ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、キョウニン油、ブドウ油、グレープシード油、メドフォーム油、ホホバ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ナタネ油、シナモン油、卵黄油、ゴマ油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、米胚芽油、コメヌカ油、カカオ脂、ヤシ油、月見草油、シア脂、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化ヒマシ油などが挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
ロウ類としては、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、還元ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
炭化水素としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、パラフィン、スクワラン、パラフィン、イソパラフィン、オクタン、デカン、ドデカン、イソドデカン、ヘキサデカン、イソヘキサデカン等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどの環状ポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
保湿剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量が1500以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリスリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトースなどの糖類やその誘導体;デンプン分解糖還元アルコール等の糖アルコール;大豆タンパク加水分解物、小麦タンパク加水分解物、シルクタンパク加水分解物、カゼイン加水分解物、卵黄膜加水分解物、蛋白質加水分解物のカチオン化物、シリル化ポリペプチド、アシル化ポリペプチドなどの蛋白質加水分解物およびその誘導体;ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル等のポリオキシアルキレングリセリルエーテル;ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等のポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンヘキシレングリコールエーテル等のポリオキシアルキレングリコールエーテル;ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等のポリオキシアルキレンアルキルグルコシド;ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル等のポリオキシアルキレンソルビトールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;コハク酸ビスエトキシジグリコール、シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステル;、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸および/又はその誘導体、ムコイチン硫酸、コラーゲン誘導体、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、海水、海洋深層水、キトサン誘導体、PCAソーダ、ジグリセリン(EO)PO付加物などが挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
高分子類としては、天然の水溶性高分子、半合成の水溶性高分子、合成の水溶性高分子や無機の水系高分子などが挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
天然の水溶性高分子としては、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、アミロペクチン、プルラン、アガロース、ペクチン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アミロース、等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子が挙げられる。
半合成の水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、カチオン化ポリマー等が挙げられる。
無機の水系高分子としては、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N− アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸ベンジル、パラメトキシ桂皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル・ジイソプロピル桂皮酸エステル混合物等の桂皮酸系紫外線吸収剤、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルなどのウロカニン酸系紫外線吸収剤、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、4−tert−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)-1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
金属封鎖剤としては、例えば、アラニン、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸、コハク酸、エデト酸、フィチン酸等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
溶剤としては、例えば、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングルコール、1,3−ブチレングルコール、等の2価のアルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の3価のアルコール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール、キシリトール等の5価アルコール、ソルビトール、マンニトール等の6価アルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングルコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体、エチレングリコールモノメチルエーテル等の2価のアルコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の2価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の2価アルコールエーテルエステル、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等のグリセリンモノアルキルエーテル等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、塩酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。これらは単独若しくは組合せて使用することができ、pH値の調整だけでなく、調整したpH値の緩衝目的でも使用できる。
ビタミン類としては、例えば、VB2、VB6、VB12などのビタミンB類;アスコルビン酸やエリソルビン酸などのビタミンC類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノールなどのビタミンE類;パントテン酸およびその誘導体等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸塩などの有機酸およびその誘導体、イソプロピルメチルフェノールなどのフェノール類、フェノキシエタノール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらは1種または2種以上を配合することができる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本発明は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本発明の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本発明に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本発明には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下、特に断らない限り、「%」は「質量%」を示す。また、各表に記載される各成分の配合量値も特に断らない限り「質量%」を示す。
実験例1:摩擦係数の測定による平滑性評価
表1に記載の処方に従って、予め表1のIの部分に示す成分を混合し、常法を用いてリポソーム分散液を調製した。別途、常法を用いてその他の成分を配合し、均一混合して得られた組成物に前記リポソーム分散液を添加し、撹拌して均一とすることで本願発明の化粧水組成物を得た。得られた化粧水組成物に関して、表面試験機を用い、20℃、65RH%の環境で調湿した人工皮膚の上に試料10μlを塗布後、樹脂製の接触子を置き、25gの荷重条件にて人工皮膚上を1mm/秒で動かした。測定は、接触子の変位とこれを動かすのに必要な力を0.1秒間隔で検出し、その値を平均摩擦係数(MIU)として求めた。また、MIUに対する摩擦係数の変動の度合いを平均摩擦係数の変動(MMD)として求めた。MIUは滑りの良し悪しを表す指標であり、値が大きいほど滑りにくいことを示す。MMDはざらつきを表す指標であり、値が大きいほどざらつきを有することを示す。結果を図1及び図2に示す。なお、表1に記載したポリエチレングリコールAは平均分子量が約2600〜3800の分子量分布を有するポリエチレングリコールを、ポリエチレングリコールBは、平均分子量が約300000の分子量分布を有するポリエチレングリコールを、HCO−60はポリオキシエチレン(平均付加モル数60)硬化ヒマシ油を表す。
図1及び図2に示す通り、平均分子量が約2600〜3800のポリエチレングリコールAを適当量含有する処方No.5、トリメチルグリシンを含有する処方No.2、両成分を含有する処方No.6の化粧水組成物は、MIU及びMMDの値が低値を示したため、滑り性がよく、ざらつきがなく滑らかな化粧水組成物であることが分かった。
実験例2:塗布時・塗布乾燥後における使用感の評価(ポリエチレングリコールの有無による影響の比較)
表2に記載の処方に従って、実験例1と同様の方法により化粧水組成物を得た。得られた化粧水組成物に関して、専門パネル11名による使用感の評価を実施した。評価は2つの被検体の使用感を相対的に判断する相対評価とした。評価項目は、化粧水の塗布時や乾燥後における、指の滑り感(指の引っ掛かり感、きしみ感)の程度、しっとり感の程度とべたつき感(皮膚の粘着感)の程度の3つとした。得られた結果を表3に示す。なお、表2に記載したポリエチレングリコールは平均分子量が約3400の分子量分布を有するポリエチレングリコールを、HCO−60はポリオキシエチレン(平均付加モル数60)硬化ヒマシ油を表す。
表3に示す通り、平均分子量が約3400のポリエチレングリコールを含有する化粧水組成物は、優れたしっとり感を付与するだけでなく、塗布時の指滑り感も改善しうることがわかった。また、塗布乾燥後のべたつき感も良好になる傾向が見られた。また、表2に記載した処方において、トリメチルグリシンの代わりにヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン水溶液(コカミドプロピルベタイン)を配合した場合には、べたつき感が発生した。
実験例3:塗布時・塗布乾燥後における使用感の評価(トリメチルグリシンの有無による影響の比較)
表1に記載した化粧水組成物のうち処方No.5及び処方No.6に関して、専門パネル11名による使用感の評価を実施した。評価は処方No.5の化粧水組成物を基準としたときの、処方No.6の化粧水組成物の使用感を相対的に判断する相対評価とした。評価項目は、化粧水の塗布時や乾燥後における、きしみ感の程度、しっとり感の程度とべたつき感(皮膚の粘着感)の程度の3つとし、少ない、やや少ない、同じ、やや多い、多いの5段階で評価した。得られた結果を図3に示す。図3に示すとおり、平均分子量が約2600〜3800のポリエチレングリコール及びトリメチルグリシンの両方を含有することによって、さらに優れたしっとり感を付与することができ、塗布時のきしみ感や塗布乾燥後のべたつき感もさらに改善しうることがわかった。
以下に本発明の化粧水組成物の処方例を示す。なお、各処方例の配合量(%)は質量%を示す。また、γ−オリザノールリポソーム分散液は、実験例1で用いた表1のIの部分に示すものを、ポリエチレングリコールは平均分子量が約2600〜3800のものを用いた。
処方例1:美容液
γ−オリザノールリポソーム分散液 20%
トリメチルグリシン 2.5%
ポリエチレングリコール 2%
グリセリン 2%
1,3ブチレングリコール 5%
オリーブ油 3%
スクワレン 2%
ヒドロキシステアリン酸コレステリル 0.5%
メチルポリシロキサン 0.3%
キサンタンガム 0.03%
水酸化カリウム 適量
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残部
処方例2:化粧水
γ−オリザノールリポソーム分散液 15%
トリメチルグリシン 2.5%
ポリエチレングリコール 1.2%
グリセリン 5%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.05%
エタノール 8%
クエン酸 0.07%
クエン酸ナトリウム 0.05%
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残部
処方例3:化粧水
γ−オリザノールリポソーム分散液 18%
トリメチルグリシン 3%
ポリエチレングリコール 0.2%
グリセリン 4%
エチルアルコール 5%
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)0.3%
クエン酸 0.08%
クエン酸ナトリウム 0.08%
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残部