JP6755614B2 - 塩味増強剤 - Google Patents

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Description

本発明は、塩味増強剤に関する。
近年、健康志向や食塩の摂取目標量が引き下げられたことなどから、食塩摂取量を減らす取り組みが行われている。
食塩摂取量は、例えば、飲食品を製造する際の食塩の使用量を減らすこと(減塩)により低減できる。また、それ自体が塩味を呈する化合物(食塩代替物質)で食塩の一部を代替することでも低減できる。さらに、塩味の強化作用を有する化合物(塩味増強物質)を添加することで、食塩の使用量が少ない場合であっても塩味を知覚することができる。
食塩代替物質としては、例えば、塩化カリウム等のカリウム塩、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、アミノ酸の塩酸塩、塩基性アミノ酸からなるペプチド類が知られている。塩味増強物質としては、例えば、有機酸類やアルギニンなどが知られている。
特開平6−189709号 特開2003−144088号
しかしながら、従来提案されている食塩代替物質または塩味増強物質は、使用量によっては苦味等の異味を呈する場合がある。また、塩味増強効果の高い物質も存在するが、食品添加物として食品に用いることができないといった問題もある。
そこで本発明は、食品添加物として用いることができる既存の物質を組み合わせることで、塩味増強効果が高く、かつ、異味などを呈しにくい塩味増強剤を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明は、塩基性アミノ酸と、塩基性アミノ酸塩酸塩と、酸性物質とを含む塩味増強剤であって、喫食時の食品への各成分の最終添加濃度が、塩基性アミノ酸が0.05〜0.5%であり、塩基性アミノ酸塩酸塩が0.3〜1.3%であり、酸性物質が0.01〜0.50%であることを特徴とする塩味増強剤である。
本発明でいう「酸性物質」とは、水溶液にした際に酸性を示す物質をいう。
本発明で「剤」とは、添加物(substance)を意味し、固形と液体の双方を含む概念である。
このような構成によると、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸塩酸塩及び酸性物質を所定濃度で含有させることで、塩味を増強させることができる。また、酸性物質によって、塩基性アミノ酸を中和することができるため、塩味増強剤自体を概ね中性にすることができる。これにより、塩味増強剤を添加したことによる食品の大幅なpH変化を抑制することができ、pH変化による味の変化を防ぐことができる。なお、本発明でいう『概ね中性』とは、pH6.0〜8.0を指す。
前記した塩味増強剤は、塩基性アミノ酸がアルギニンであり、塩基性アミノ酸塩酸塩が、リジン塩酸塩またはオルニチン塩酸塩の少なくともいずれかであることが望ましい。
このような構成によると、食品中で塩味増強効果の強いアルギニン塩酸塩を生成することができる。これにより、食品添加物として認められていないアルギニン塩酸塩を添加することなく、塩味増強をおこなうことができる。
前記した塩味増強剤は、酸性物質が、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸及びこれらのナトリウム塩並びに酸性アミノ酸、アスコルビン酸、グルコン酸の群から選ばれる少なくともいずれか1つであることが望ましい。
このような構成によると、食品添加物として認められている物質によって、塩味増強剤のpHを概ね中性に調整することができる。また、塩基性アミノ酸由来の異味の発生を抑制することができる。
本発明によれば、異味を抑えつつ、塩味を増強することができる。これにより、食塩の摂取量を低減することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る塩味増強剤について説明する。
本実施形態の塩味増強剤は、塩基性アミノ酸と、塩基性アミノ酸塩酸塩と、酸性物質を所定濃度で含有している。この塩味増強剤は、食品(特に、飲食物)に添加して使用することで塩味を増強させることができ、食塩の使用量を低減することができる。
塩味増強剤の形態としては、特に限定はなく、固体状、粉末状、粒状、液体状などのいずれの形状であってもよい。また、塩味増強剤は、塩基性アミノ酸と、塩基性アミノ酸塩酸塩と、酸性物質に加えて、賦形剤等の他の成分を含有するものであってもよい。
塩味増強剤に用いられる塩基性アミノ酸としては、アルギニン、リジン、ヒスチジン又はオルニチンが好ましく、アルギニンであることが特に好ましい。
塩基性アミノ酸の含有量としては、本実施形態に係る塩味増強剤を食品へ添加した際の最終添加濃度が0.05〜0.5%であることが好ましく、0.1〜0.3%であることがより好ましい。
0.05%未満だと塩味増強効果が感じづらい。0.5%より多いと強い異味が生じる。
塩味増強剤に用いられる塩基性アミノ酸塩酸塩としては、リジン塩酸塩、オルニチン塩酸塩又はヒスチジン塩酸塩が好ましく、リジン塩酸塩またはオルニチン塩酸塩がより好ましい。
塩基性アミノ酸塩酸塩の含有量としては、本実施形態に係る塩味増強剤を食品へ添加した際の最終添加濃度が0.3〜1.3%であることが好ましく、0.3〜1.0%であることがより好ましい。
0.3%未満だと塩基性アミノ酸塩酸塩添加による塩味増強効果が感じづらい。1.5%より多いと強い異味が生じる。
塩味増強剤に用いられる酸性物質としては、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸及びこれらの金属塩並びに酸性アミノ酸、アスコルビン酸、グルコン酸の群から選ばれる少なくともいずれか1つであることが好ましい。酸の役割としては、塩基性アミノ酸を中和し、塩味増強剤添加による食品のpH変化を防ぐことを目的とする。
金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられるが、このうちナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。また、金属塩は水に溶解した際に酸性を示すことが必要であり、このような金属塩の具体例としては、酒石酸一ナトリウム(カリウム)、リンゴ酸一ナトリウム(カリウム)、クエン酸一ナトリウム(カリウム)、クエン酸二ナトリウム(カリウム)、リン酸一ナトリウム(カリウム)、アジピン酸一ナトリウム(カリウム)が挙げられる。
酸性アミノ酸としては、グルタミン酸またはアスパラギン酸が挙げられる。
酸性物質の含有量としては、酸の価数と塩基性アミノ酸の濃度によって定まるため特に制限はないが、塩味増強剤を概ね中性にすることができる濃度であれば良い。例えば、本実施形態に係る塩味増強剤を例に挙げると、食品へ添加した際の最終添加濃度が0.01〜0.50%であることが好ましい。
本実施形態に係る塩味増強剤を食品へ添加する方法としては、調理前の食品(例えば、インスタント食品)にあらかじめ混ぜておく方法が挙げられる。この時、インスタント食品の形態に応じて固体または液体として混ぜておくことが可能である。
また調理後(喫食直前)の食品に添加する方法も挙げられる。この場合、塩味増強剤を構成する各成分は別々に包装されていても良い。喫食段階において、各成分が一緒になれば良い。したがって、成分ごとに形態が粉末であったり液体であったりしても良い。
<官能評価>
塩味増強剤の塩味増強効果を確認する実験は、以下のように行った。なお、特に記載がない限り、濃度の「%」は最終濃度である。
(1)0.5%NaCl溶液に対して、各試験区における各成分が表1〜5に記載された所定濃度となるように試薬を添加し、よく撹拌した。
(2)得られた各試験区のNaCl溶液を5人の熟練パネラーで評価した。評価は塩味増強効果及び異味について行った。評価は下記評価に基づき行った。塩味増強効果についての評価は0.5%、0.6%、0.65%NaCl溶液を基準として評価した。
(3)得られた評価を平均し、各試験区における評価とした。
なお、同一内容の試験区には同一の番号を振った。
<塩味増強効果>
0点:0.5%NaClと同程度の塩味
1点:0.5%NaClよりも塩味が強く0.6%NaClよりも塩味が弱い
2点:0.6%NaClと同程度の塩味
3点:0.6%NaClよりも塩味が強く0.65%NaClよりも塩味が弱い
4点:0.65%NaClと同程度の塩味
5点:0.65%NaClよりも塩味が強い
<異味(エグ味、酸味等)>
0点:異味を感じない
1点:わずかに異味を感じる
2点:異味を感じる
3点:強い異味を感じる
<実験1>
次に、塩味増強剤による塩味増強効果を確認した実験について説明する。
表1に基づいて、塩基性アミノ酸としてアルギニン、酸としてL−酒石酸、塩基性アミノ酸塩酸塩(リジン塩酸塩、オルニチン塩酸塩、ヒスチジン塩酸塩)を所定の濃度となるように0.5%NaCl溶液に添加し、官能評価を行った。また、各試験区における溶液のpHも測定した。
実験1の結果を表1に示す。
Figure 0006755614
表1から明らかなように、塩基性アミノ酸塩酸塩のみを添加した試験区2〜4では、わずかではあるが塩味増強効果が認められた。特に、オルニチン塩酸塩を加えた試験区3では、他の塩基性アミノ酸塩酸塩よりも塩味増強効果が強かった。一方、ヒスチジン塩酸塩を加えた試験区4では、異味を強く感じるという結果が得られた。ここで、試験区4で認められた異味の具体的な内容としては、酸味が増すというものであった。
塩基性アミノ酸であるアルギニンと酸性物質であるL−酒石酸を添加した試験区1では、単独で塩基性アミノ酸塩酸塩を添加した試験区2〜4よりも強い塩味増強効果が認められた。一方、異味においては、わずかに異味を感じる程度であった。
塩基性アミノ酸であるアルギニンと塩基性アミノ酸塩酸塩であるヒスチジン塩酸塩を添加した試験区7では、試験区1同様塩味増強効果が認められた。一方、異味においては、かなりはっきりとした異味が感じられた。ここで、異味の具体的な内容としては、ヒスチジン塩酸塩単体を添加した際と同様に酸味が増すというものであった。
次に、塩基性アミノ酸であるアルギニンと、酸性物質であるL−酒石酸と、塩基性アミノ酸塩酸塩であるリジン塩酸塩またはオルニチン塩酸塩を添加した試験区5,6では、アルギニンとL−酒石酸の試験区1に比べ強い塩味増強効果が認められた。一方、異味においては、若干の旨味やコク味といった塩味ではない味を呈するものの、ヒスチジン塩酸塩を添加した試験区4のような商品特性を大幅に損なう異味ではなかった。
ここで、本発明の特徴は、塩味増強剤を添加した食品中において、アルギニン塩酸塩を形成させることにある。アルギニン塩酸塩は、塩味増強効果が非常に高いが、食品添加物としては認められていない。そこで、既に食品添加物として認められている物質を組み合わせることにより、アルギニン塩酸塩を食品に添加しているのと同等の効果を作り出している。
以上の結果から、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸塩酸塩、酸性物質全てを添加した試験区5,6は、各成分を単独または2種類添加した試験区1〜4,7よりも塩味増強効果が高まることが確認された。
<実験2>
次に、酸の種類による塩味増強効果の違いを確認した実験について説明する。
塩基性アミノ酸として0.3%のアルギニン、塩基性アミノ酸塩酸塩として0.5%リジン塩酸塩が既に添加された0.5%NaCl溶液に対して、表2に基づいて、各種酸を所定の濃度となるように添加した。そして、各試験区における溶液の官能評価とpHを測定した。
実験2の結果を表2に示す。
Figure 0006755614
表2から明らかなように、検討したすべての酸性物質において、顕著な塩味増強効果が認められた。ここで、各酸性物質において濃度が異なるのは、水溶液のpHが概ね中性となるように酸の添加量を0.05%単位で調整したためである。このうち、リン酸一ナトリウム(試験区13)で特に強い塩味増強効果が認められた。これは、リン酸一ナトリウムに含まれるナトリウムの効果によるものと推察される。
一方、異味においては、グルタミン酸(試験区15)で強い異味が感じられる結果となった。この異味は強烈な旨味であり、生成したグルタミン酸塩の呈味に起因するものと推察される。
以上の結果から、塩味増強効果が高く、かつ、異味が感じられにくい酸性物質としては、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、アジピン酸、クエン酸、グルコン酸、リン酸一ナトリウム、アスパラギン酸、フマル酸(試験区5,8〜14,16)が適していることがわかった。
ここで、上記酸が適しているのは、食品本来の味を損なわずに塩味増強効果を付与したい場合である。そのため、塩味増強効果と併せて旨味も付与したい場合に、グルタミン酸を用いることを否定するものではない。
<実験3>
次に、リジン塩酸塩の濃度による塩味増強効果の違いを確認した実験について説明する。
塩基性アミノ酸として0.3%のアルギニン、酸として0.1%L−酒石酸が既に添加された0.5%NaCl溶液に対して、表3に基づいて、リジン塩酸塩の濃度を変化させて添加した。そして、各試験区における溶液の官能評価とpHを測定した。
実験3の結果を表3に示す。
Figure 0006755614
表3から明らかなように、リジン塩酸塩の濃度が0.3%以上だと塩味増強効果が増加することがわかる(試験区5,18〜20参照)。また、リジン塩酸塩の濃度が1.5%以上になると、明らかに異味を感じられるようになった(試験区20参照)。そのため、リジン塩酸塩の濃度としては0.3〜1.0%が好ましいことがわかる。
ここで、アルギニンとリジン塩酸塩が共存すると下記式(1)のように置換反応が起こる。そして、塩酸塩の置換反応によってアルギニン塩酸塩が生成する。
Figure 0006755614
また、アルギニンに比べてリジン塩酸塩が過剰に存在すると、アルギニン塩酸塩とリジン塩酸塩が共存した状態となる(表3試験区5,19,20)。興味深いことに、試験区5,19,20の塩味増強効果は試験区18の塩味増強効果よりも高くなっている。すなわち、アルギニン塩酸塩とリジン塩酸塩とを共存させることにより、アルギニン塩酸塩単独の塩味増強効果に、さらにリジン塩酸塩の持つ塩味増強効果を付加できるものと考えられる。これにより、より強い塩味増強効果が得られたと考えられる。
<実験4>
次に、塩味増強剤自体のpHによる塩味増強効果の違いを確認した実験について説明する。
塩基性アミノ酸として0.3%のアルギニン、塩基性アミノ酸塩酸塩として1.0%リジン塩酸塩が既に添加された0.5%NaCl溶液に対して、表4に基づいて、L−酒石酸の濃度を変化させて添加した。そして、各試験区における溶液の官能評価とpHを測定した。
実験4の結果を表4に示す。
Figure 0006755614
表4から明らかなように、塩味増強効果は塩味増強剤自体のpHによって変化することがわかる。そして、塩味増強剤自体のpHが概ね中性(試験区19)の時に塩味増強効果は最も高くなっていることがわかる。
ここで、本発明の塩味増強剤は、増強剤自体のpHが概ね中性の時に塩味増強効果が最も高いことから、飲食物に添加してもその飲食物が持つ本来のpHを大幅に変えることなく塩味を増強することができる。すなわち、pHの大幅な変化による味の変化を防ぎつつ塩味を増強することができるという極めて優れた効果を有する。
また、本発明の塩味増強剤は、塩味増強剤自体のpHが概ね中性近辺で最も異味が少ないことがわかる(試験区19参照)。これに対して、酸性または塩基性になるほど異味が強まることがわかる(試験区21,23,24参照)。
<実験5>
次に、塩基性アミノ酸塩酸塩に対する塩基性アミノ酸の配合量による塩味増強効果の違いを確認した実験について説明する。
塩基性アミノ酸塩酸塩として1.0%リジン塩酸塩が既に添加された0.5%NaCl溶液に対して、表5に基づいて、アルギニンの濃度を変化させて添加した。また、このとき、pHが概ね中性となるように酒石酸の濃度も変化させて、各試験区における溶液の官能評価とpHを測定した。
実験5の結果を表5に示す。
Figure 0006755614
表5から明らかなように、アルギニンの増加に伴い塩味増強効果も増加傾向にあることがわかる。また、アルギニンの増加に伴い、異味も強くなっていることがわかる。ただし、アルギニンの濃度が1.0%以上(試験区28)になると、塩味増強が低下した。これは、アルギニンを過剰に添加したことにより苦みを伴う異味が生じ、塩味を感じにくい状態になっているためと考えられる。
以上のことから、塩味増強効果が高く、かつ、異味が感じられにくいアルギニンの濃度としては、0.05〜0.5%が好ましく、0.1〜0.3%であることがより好ましいことがわかった。
<実験6>
次に、製品形態での塩味増強効果を確認した実験について説明する。
表6に基づいて、3種類の粉末そばスープを調合した。試験区29はコントロールである。試験区30は、コントロールよりも約25%減塩となるようにNaCl含量を減らしたものである。試験区31は、試験区30の配合に塩基性アミノ酸としてアルギニン、塩基性アミノ酸塩酸塩としてリジン塩酸塩、酸としてL−酒石酸を添加したものである。このとき、塩基性アミノ酸、塩基性アミノ酸塩酸塩、酸の配合比率は、実験3の試験区19の比率を用いた。なお、各粉末そばスープの塩分(NaCl)量は原子吸光法により求めた。
Figure 0006755614
次に、そば乾燥麺塊を作成した。乾燥麺塊は次のように調製した。そば粉300gに小麦粉700gを加え、当該粉体1kgに対して、食塩、リン酸塩等を溶解させた水350mlを加えて、混練・複合し、1.0mmに圧延して麺帯を調製した。得られた麺帯から20番の切刃でそば麺線を切出した。当該生そば麺線をネットコンベアで搬送しつつトンネル型の蒸気庫内で麺線に飽和水蒸気を吹き付けた。飽和水蒸気の条件は、蒸気流量200kg/h、温度は100℃で行った。蒸気庫内で120秒間、飽和水蒸気を吹き付けた後、直ぐに系外に排出して約60℃の水をシャワーして水分を供給した。水分供給後の麺線群を金属製のリテーナに120g収納し、150℃のパーム油でフライしてそば粉を含む乾燥麺塊を調製した。得られた乾燥麺塊の重量は70gであった。
各試験区の粉末スープそれぞれに乾燥麺塊を加え、400g注湯して3分間静置し、湯戻した。得られた各試験区の調理スープを5人の熟練パネラーで喫食し、試験区30について評価した。評価は塩味増強効果及び異味について行った。評価は下記評価に基づき行った。得られた評価は平均した。
<塩味増強効果>
0点:25%減塩配合(試験区30)と同等の塩味
1点:25%減塩配合(試験区30)とコントロール配合(試験区29)の中間程度の塩味
2点:コントロール配合(試験区29)と同等の塩味
3点:コントロール配合(試験区29)より強い塩味
<異味(エグ味、酸味等)>
0点:異味を感じない
1点:わずかに異味を感じる
2点:異味を感じる
3点:強い異味を感じる
試験区31の官能結果を表7に示す。
Figure 0006755614
表7から明らかなように、25%減塩しているにもかかわらず、試験区31の調理スープはコントロール配合(試験区29)よりも強い塩味を呈した。また、異味はごくわずか感じる程度であり、食材本来の味を阻害するものではなかった。これらのことから、本発明にかかる塩味増強剤が非常に優れた効果を奏することがわかる。
以上、本発明について説明したが、本発明にかかる塩味増強剤は上記実施例に限られるものではない。例えば、本発明にかかる塩味増強剤と塩味代替物である塩化カリウムと組み合わせても良い。異味を呈さない量の塩化カリウムと組み合わせることで、より高い減塩効果を得ることができる。

Claims (3)

  1. 塩基性アミノ酸と、塩基性アミノ酸塩酸塩と、酸性物質とを含む塩味増強剤であって、
    塩味増強剤自体のpHがpH6.0〜8.0となるように喫食時の食品への各成分の最終添加濃度が、
    塩基性アミノ酸が0.05〜0.5%であり、
    塩基性アミノ酸塩酸塩が0.3〜1.3%であり、
    酸性物質が0.01〜0.50%であり、
    前記塩基性アミノ酸がアルギニンであり、
    前記塩基性アミノ酸塩酸塩が、リジン塩酸塩またはオルニチン塩酸塩の少なくともいずれかである、塩味増強剤。
  2. pH3〜8の食品の塩味を増強するための塩味増強剤であり、
    塩味増強剤の成分が、塩基性アミノ酸と、塩基性アミノ酸塩酸塩と、酸性物質とを含む塩味増強剤であって、
    塩味増強剤自体のpHがpH6.0〜8.0となるように喫食時の食品への各成分の最終添加濃度が、
    塩基性アミノ酸が0.05〜0.5%であり、
    塩基性アミノ酸塩酸塩が0.3〜1.3%であり、
    酸性物質が0.01〜0.50%であり、
    前記塩基性アミノ酸がアルギニンであり、
    前記塩基性アミノ酸塩酸塩が、リジン塩酸塩またはオルニチン塩酸塩の少なくともいずれかである、塩味増強剤。
  3. 前記酸性物質が、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リン酸及びこれらのナトリウム塩並びに酸性アミノ酸、アスコルビン酸、グルコン酸の群から選ばれる少なくともいずれか1つである請求項1又は2のいずれか一項に記載の塩味増強剤。
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