JP6755085B2 - 細胞支持複合体および細胞支持複合体の製造方法 - Google Patents

細胞支持複合体および細胞支持複合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、細胞支持複合体、特に、尿細管上皮細胞を用いた細胞支持複合体に関する。
近年、急性及び、慢性腎不全患者の腎機能を代替するバイオ人工腎臓として、中空糸膜等のポリマー膜と尿細管上皮細胞をハイブリッド化したモジュールの開発が進められている。特に、バイオ人工腎臓の製造や供給、使用を考慮すると、数週間以上にわたって腎機能を維持できるバイオ人工腎臓が必要になる。
しかし、腎臓から酵素処理により分離された尿細管上皮細胞は、生体内環境の消失やシャーレ上における培養による細胞の特徴の変化などから、本来の円柱状の細胞構造を維持できない。具体的には、尿細管上皮細胞をシャーレや人工膜上に播種すると、単層上皮構造を消失して細胞間に隙間が生じたり、細胞が重層化することが知られている。このような現象が生じることで、バイオ人工腎臓の血漿中の有用成分の再吸収機能が劣化する。
尿細管上皮細胞の重層化や接触阻害を回避する手法として、特許文献1に開示されたバイオ人工尿細管が知られている。これは、MEK阻害剤の適用により、尿細管上皮細胞の接触阻害や重層化を抑制し、コンフルエント(細胞が容器いっぱいに隙間なく増殖した状態)な単層を、人工膜内面に持続的に形成させる技術である(特許文献1)。
国際公開第2008/047760号
しかし、特許文献1の手法では、尿細管上皮細胞を人工膜上に播種後、コンフルエントに達するまで顕微鏡観察して確認した後に、MEK阻害剤を作用させる必要がある。ところが特許文献1で使用される中空糸膜等の人工膜は、光を透過しない材質が多い。また、たとえ顕微鏡観察可能な中空糸膜を用いた場合でも、バイオ人工尿細管は中空糸膜を束ねてモジュール化した構造を有するため、顕微鏡観察で中空糸膜内腔に細胞がコンフルエントな状態にて接着していることを確認することは難しい。よって、特許文献1の手法では、人工膜上で尿細管上皮細胞がコンフルエントに達する時期が不明確のまま、最適ではないタイミングにてMEK阻害剤を投与することになる。そのため、尿細管上皮細胞間に隙間が生じている状態や、重層化している状態でMEK阻害剤を作用させる場合があった。その結果、性能のよいバイオ人工腎臓を得られないという問題点があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、単層上皮構造の安定性が向上した細胞支持複合体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の細胞支持複合体は、人工材料で形成された基材と、基材の少なくとも一部に接着するコラーゲン分子と、コラーゲン分子を介して基材に付着した培養細胞と、を有する。培養細胞は、実質的に重層化することなくコンフルエントな単層を形成している。
この態様によると、顕微鏡観察をすることなく、基材上に培養細胞のコンフルエントな単層上皮構造を形成させることができる。その結果、単層上皮構造の安定性が向上した細胞支持複合体を提供することができる。また、細胞支持複合体の単層上皮構造に孔が形成されることを防止することができる。
培養細胞は、実質的に重層化することなくコンフルエントな単層を形成していてもよい。なお、「実質的に」とは、重層化による物質の移動効率の低下が問題とならない程度に単層構造が維持されていることを意味し、必ずしも重層化が全く生じていないことを意味しない。
コラーゲン分子は、コラーゲンI、コラーゲンIV、もしくはこれらの断片、またはこれらのうち2つ以上から選択されてもよい。
コラーゲン分子は、基材に対する接着量が50μg/cm以上138μg/cm以下のコラーゲンI、基材に対する接着量が19.2μg/cm超121μg/cm以下のコラーゲンIV、もしくはこれらの断片のうちのいずれか1つから選択されてもよい。
本発明の別の態様は、細胞支持複合体の製造方法である。この細胞支持複合体の製造方法は、人工材料で形成された基材の少なくとも一部に、コラーゲン分子もしくはその断片をコーティングするステップと、コラーゲン分子もしくはその断片に対して培養細胞を播種するステップと、培養細胞を培養することにより、培養細胞の単層構造を形成するステップと、を含む。
この態様によると、顕微鏡観察をすることなく、基材上に培養細胞のコンフルエントな単層上皮構造を形成させることができる。その結果、単層上皮構造の安定性が向上した細胞支持複合体を提供することができる。また、細胞支持複合体の単層上皮構造に孔が形成されることを防止することができる。
この細胞支持複合体の製造方法において、コラーゲン分子は、コラーゲンI、コラーゲンIV、もしくはこれらの断片、またはこれらのうち2つ以上から選択されてもよい。
コラーゲン分子をコーティングするステップは、コラーゲンIを750μg/ml超3000μg/ml以下の濃度でコーティングして50μg/cm超138μg/cm以下の濃度の接着量とすること、コラーゲンIVを500μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして19.2μg/cm超121μg/cm以下の濃度の接着量とすることのいずれか1つを含んでもよい。
本発明によれば、単層上皮構造の安定性が向上した細胞支持複合体を提供することができる。
従来技術の細胞支持複合体の構成を模式的に示す図である。図1(A)は、一般的なコーティング剤を用いた従来の細胞支持複合体を示す図である。図1(B)は、コーティング剤を用いない従来の細胞支持複合体を示す図である。 実施の形態に係る細胞支持複合体の構成を模式的に示す図である。図2(A)は、基材が水透過性を有する実施の形態に係る細胞支持複合体の構成を示す図である。図2(B)は、基材が水透過性を有さない実施の形態に係る細胞支持複合体において、短時間培養した場合を示す図である。図2(C)は、基材が水透過性を有さない実施の形態に係る細胞支持複合体において、長時間培養した場合を示す図である。 図3(A)〜図3(C)は、実施の形態に係る細胞支持複合体を用いた装置の構造の一部を示す図である。図3(A)は、基材としてTranswellを用いた装置の構造の一部を示す図である。図3(B)は、基材として中空糸膜を用いた透析装置の構造の一部を示す図である。図3(C)は、基材としてシャーレ、ウェルプレート、微細流路、マイクロキャリア、または中空糸膜を用いた装置の構造の一部を示す図である。 図4(A)〜図4(D)は、シャーレに対してコーティングする接着分子の濃度を変えた場合における細胞の増殖状態を経時的に示す図である。図4(A)は、比較例であるSynthemaxを用いた結果を示す図である。図4(B)は、比較例であるPoly−L−lysineを用いた結果を示す図である。図4(C)は、コラーゲンIを用いた結果を示す図である。図4(D)は、コラーゲンIVを用いた結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1は、従来技術の細胞支持複合体の構成を模式的に示す図である。図1(A)は、一般的なコーティング剤を用いた従来の細胞支持複合体を示す図である。図1(B)は、コーティング剤を用いない従来の細胞支持複合体を示す図である。たとえば図1に示すように、尿細管上皮細胞および一般的なコーティング剤を用いた従来の細胞支持複合体では、尿細管上皮細胞が重層化したり、逆に細胞間に隙間が空いてしまうことがあった。その結果、重層化した領域では、細胞頂端膜側から細胞基底膜側へのトランスポーターを介した有用物質の移動が効率よく行われないという問題があった(矢印P)。一方、細胞間に空いた隙間からは、人工膜を介して、濃度依存的な物質移動が生じるという問題があった(矢印Q)。この点、図1(B)に示すコーティング剤を用いない従来の細胞支持複合体でも同様の問題があった。
[実施の形態]
図2は、実施の形態に係る細胞支持複合体10の構成を模式的に示す図である。図2(A)は、基材が水透過性を有する実施の形態に係る細胞支持複合体の構成を示す図である。図2(B)は、基材が水透過性を有さない実施の形態に係る細胞支持複合体において、短時間培養した場合を示す図である。図2(C)は、基材が水透過性を有さない実施の形態に係る細胞支持複合体において、長時間培養した場合を示す図である。
図2(A)に示すように、細胞支持複合体10は、人工材料で形成された基材20と、基材の少なくとも一部に接着するコラーゲン(Collagen)分子30と、コラーゲン分子30を介して基材20に付着した培養細胞40と、を有する。ここでいう「基材20の少なくとも一部」とは、たとえば「平面または曲面を有する基材20の少なくとも1つの面」をいう。基材20が平板状構造の場合には、その少なくとも一方の面をいう。基材20が円筒構造を有する場合には、その内側面または外側面の少なくとも一方をいう。
(基材20)
基材20は、尿細管上皮細胞の培養に用いられるモジュールである。図2(A)には、基材20が水や各種イオンの透過性を有する場合を示す。この場合、基材20は、糖や低分子タンパク質の透過性も有することが好ましい。そのため、基材20には、孔が形成されている。基材20の平均孔径は、5μm以下である。このような基材20として、たとえば、Transwell(Corning社:平均孔径0.4または3.0μm)を用いることができる。平均孔径が5μm以上の場合には、基材20を細胞が通過してしまう場合があるため好ましくない。
基材20の形状は特に限定されないが、たとえば中空糸膜、Transwell、平膜等の人工膜や、微細流路チップ、中実粒子、中空粒子であることが好ましい。これらの一例を、図3を用いて後述する。図2(B)および(C)に示すように、接着分子の種類や濃度を検討したり、培養細胞40による薬物の取込量を評価する際には、基材は必ずしも水透過性を有していなくともよい。この場合には、基材20として水透過性を有さないシャーレやウェルプレートなどの上にコラーゲン分子30をコーティングし、その上で培養細胞40を培養してもよい。短時間培養した場合には、培養細胞40は有用物質50を内部に取り込む(図2(B))。一方、長時間培養した場合には、取り込んだ有用物質50を細胞基底膜側のトランスポーター44から放出することなどによって、細胞層が浮き上がり、ドームを形成する現象が見られる(図2(C))。
基材20は、人工材料で形成されていれば素材は特に限定されないが、たとえばポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル(PET)、ポリエステル系ポリマーアロイ(PEPA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVAL)、ポリエチレン、ポリスルホン(PSf)、ポリエーテルスルホン(PES)であることが好ましい。
(コラーゲン分子30)
コラーゲン分子30は、基材の少なくとも一部にコーティングされる接着分子である。本実施の形態では、コラーゲン分子30として、コラーゲンI、コラーゲンIVが含まれる。これらはたとえば新田ゼラチン株式会社から入手することができる。
コラーゲン分子30の濃度は、細胞支持複合体10が実用に耐える期間、性能を維持できるように適宜調整する。また、このような期間は、培養開始から2週間以上であることが好ましく、3週間以上であることがさらに好ましく、4週間以上であることが最も好ましい。コラーゲン分子30の濃度は、製造方法において後述する。
コラーゲンIの場合、750μg/ml超3000μg/ml以下の濃度でコーティングして約50μg/cm超138μg/cm以下の濃度の接着量とすることが好ましい。これにより、15日以上培養細胞の単層構造を維持することができる。1000μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして65.4μg/cm以上138μg/cm以下の濃度の接着量とすることがさらに好ましい。これにより、28日以上培養細胞の単層構造を維持することができる。750μg/ml未満では、コラーゲンIの機能が発揮できない可能性があるため、および3000μg/mlを超える高濃度ではコラーゲンIの粘性が高いために均一なコーティングが難しい場合があるためである。
コラーゲンIVの場合、500μg/ml超3000μg/ml以下の濃度でコーティングして19.2μg/cm超121μg/cm以下の濃度の接着量とすることが好ましい。これにより、15日以上培養細胞の単層構造を維持することができる。750μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして約25μg/cm以上121μg/cm以下の濃度の接着量とすることがさらに好ましい。これにより、28日以上培養細胞の単層構造を維持することができる。500μg/ml未満では、コラーゲンIVの機能が発揮できない可能性があるため、および3000μg/mlを超える高濃度ではコラーゲンIVの粘性が高いために均一なコーティングが難しい場合があるためである。
なお、コラーゲン分子30は、その断片が使用されてもよいし、コラーゲンIとコラーゲンIVが混合されて、または混合されずに基材20に対して順にコーティングされることによって使用されてもよい。コラーゲン分子30の断片が使用される場合には、コラーゲン分子30の量は、上述した完全長のコラーゲン分子30の分子量に相当する量であってもよい。
(培養細胞40)
培養細胞40は、コラーゲン分子30を介して基材20に付着する。細胞支持複合体10に使用されるためには、培養細胞40は、コラーゲン分子30を介して基材20に固定された場合に、細胞頂端膜側のトランスポーター42と、細胞基底膜側のトランスポーター44とを発現する必要がある(図2)。
培養細胞40の種類は特に限定されないが、たとえばヒト尿細管上皮細胞、またはヒトiPS細胞もしくはES細胞由来の尿細管上皮様細胞であることが好ましい。具体的には、腎臓から採取・分離可能な尿細管上皮細胞、およびiPS細胞もしくはES細胞より分化誘導および遺伝子導入した尿細管上皮様細胞が想定される。尿細管上皮様細胞として、近位尿細管の細胞が主に想定されるが、近位尿細管の細胞だけではなく、遠位尿細管の上皮細胞や、集合管の上皮細胞であってもよい。または、尿細管上皮細胞の代わりに、尿細管細胞の不死化、および株化細胞(MDCK細胞、LLC−PK1細胞、JTC−12細胞、HK−2細胞)または特定のトランスポーター等のタンパク質を発現させるために、これらの細胞に遺伝子導入した細胞を用いてもよい。または、ヒト尿細管上皮細胞の代わりに、他動物種由来尿細管細胞を用いてもよい。
(培地など)
培養細胞40の培養用の培地として、REGM(Lonza社)を好適に使用することができる。これに代えて、EpiCM(ScienCell社)やKeratinocyteSFM(Life Technologies社)等、尿細管細胞培養培地を用いこともできる。その他の材料についても、従来の細胞支持複合体に用いられていた材料を好適に使用することができる。
(製造方法)
次に、細胞支持複合体10の製造方法について説明する。細胞支持複合体10の製造方法は、人工材料で形成された基材20の少なくとも一部に、コラーゲン分子30もしくはその断片をコーティングするステップ1と、基材20に接着したコラーゲン分子30もしくはその断片に対して培養細胞40を播種するステップ2と、培養細胞40を培養することにより、前記培養細胞40の単層構造を形成するステップ3と、を含む。ここでいう「基材20の少なくとも一部」は、上述のとおりである。
ステップ1においてコーティングされるコラーゲン分子30は、コラーゲンI、コラーゲンIV、これらの断片、またはこれらのうち2つ以上から選択されることが好ましい。これらのコラーゲン分子30の好ましい濃度は、上述のとおりである。
ステップ2では、通常の方法にて細胞を播種する。播種する細胞密度は、約1.0×10〜約1.0×10個/mlであることが好ましい。コラーゲン分子30を適切に選択すると、培養細胞40はコンフルエントになるまで増殖したあとコンフルエントな状態を維持する。そのため、細胞支持複合体10の製造において、播種する細胞数は大きな制約とはならない。
ステップ3における培養条件は、たとえば培地としてREGM(Lonza社)を用いて37℃、5%COである。培養細胞40がコンフルエントになるまでに、培養細胞40を約5日以上培養することが好ましい。なお、培地は定期的に交換することが好ましい。たとえば2日毎に交換する。
(作用)
尿細管細胞として機能する培養細胞40が単層上皮構造をとると、細胞頂端膜側のトランスポーター42と細胞基底膜側のトランスポーター44とを介した有用物質50の移動がおこり、基材20を介して有用物質50の再吸収が促進される(図2)。
(装置)
図3(A)〜図3(C)は、実施の形態に係る細胞支持複合体を用いた装置の構造の一部を示す図である。図3(A)は、基材としてTranswellを用いた装置の構造の一部を示す図である。図3(B)は、基材として中空糸膜を用いた透析装置の構造の一部を示す図である。図3(C)は、基材としてシャーレ、ウェルプレート、微細流路、マイクロキャリア、または中空糸膜を用いた装置の構造の一部を示す図である。
図3(A)のTranswellを用いた透析装置では、培養細胞40が配置された側に液体を流すことによって、図2に示したメカニズムを用いて、この液体中にある有用物質50を人工膜の反対側に移動させる。この透析装置は、細胞の機能や、薬物の取込・排出を微量液量で調べる薬物評価モジュールとして使用可能である。
図3(B)の中空糸膜を用いた透析装置では、中空糸膜の管腔内に液体を流すことによって、図2に示したメカニズムを用いて、この液体中にある有用物質50を管腔外へと移動させる。この透析装置は、血液濾過器で濾過した血漿成分中から、有用物質を回収するバイオ人工透析モジュールとして使用可能である。
図3(C)のシャーレ、ウェルプレート、微細流路、マイクロキャリア、中空粒子を用いた装置では、培養細胞40が配置された側に微量の液体を流すことによって、細胞の有用物質50の取り込みを確認できる。この装置は、細胞の機能や、薬物の取込・排出を微量液量で調べる薬物動態・薬効評価モジュールとして利用可能である。
装置は、これらの構造の1つ以上に加えて、これらを内部に収めるカートリッジを含む。カートリッジの材質は、従来の血漿濾過器等のカートリッジと同じ材料で作製されてよい。カートリッジの形状は、用途に応じて好適な形態をとることが好ましい。透析を目的に使用する場合は、カートリッジの形状はダイアライザの形状であることが好ましく、薬物評価モジュールとして使用する場合は、Transwell形状や微細流路形状であることが好ましい。
本実施の形態によれば、顕微鏡観察をすることなく、基材上に培養細胞のコンフルエントな単層上皮構造を形成させることができる。その結果、単層上皮構造の安定性が向上した細胞支持複合体を提供することができる。また、細胞支持複合体の単層上皮構造に孔が形成されることを防止することができる。
[実施例]
24ウェルプレート(ポリスチレン製:CELLSTAR、GreinerBio−one社)をType I Collagen(Cellmatrix Type I−A、新田ゼラチン株式会社)またはType IV Collagen(Cellmatrix Type IV、新田ゼラチン株式会社)にてコーティングした。コーティングは、100000、5000、3000、2000、1000、500、100、75、50、25、10、5μg/mlに1N HClで希釈した各コラーゲン溶液をウェルに添加し、4℃にて一晩静置(overnight)した。細胞播種前に、コラーゲン溶液を吸引し、PBS(−)で2回洗浄後、ヒト近位尿細管細胞(Lonza社)を1.0×10個播種して、REGM(Lonza社)を用いて37℃、5%COの条件下で培養した。培地は2日毎に交換した。播種1、5、7、9、12、15、18、24、28日経過後の結果を図4に示す。
接着分子のコーティングは、接着分子を含むコーティング溶液を4℃で一晩静置してコーティングする方法(一晩静置(overnight):接着分子の一部がコーティング)と、接着分子を含むコーティング溶液を4℃で溶液が完全に乾燥するまで静置する方法(風乾:接着分子全量がコーティング)で実施した。
比較例として、24ウェルプレート(ポリスチレン製:CELLSTAR、GreinerBio−one社)をSynthemax(Corning社)にてコーティングした。100000、5000、3000、2000、1000、500、100、75、50、25、10、5μg/mlにREGMで希釈した各Synthemax溶液をウェルに添加し、室温で静置した。2時間経過後、Synthemax溶液を吸引し、室温で2時間乾燥させた。ここに、ヒト近位尿細管細胞(Lonza社)を1.0×10個播種して、REGM(Lonza社)を用いて37℃、5%COの条件下で培養した。培地は2日毎に交換した。播種1、5、7、9、12、15、18、24、28日経過後の結果を図4に示す。
比較例として、24ウェルプレート(ポリスチレン製:CELLSTAR、GreinerBio−one社)をPoly−L−lysine(ScienCell社)にてコーティングした。コーティングは、100000、5000、3000、2000、1000、500、100、75、50、25、10、5μg/mlにPBS(−)で希釈した各Poly−L−lysine溶液をウェルに添加し、室温で静置して実施した。2時間経過後、Poly−L−lysine溶液を吸引し、室温で2時間乾燥させた。ここに、ヒト近位尿細管細胞(Lonza社)を1.0×10個播種して、REGM(Lonza社)にて37℃、5%COの条件下で培養した。培地は2日毎に交換した。播種1、5、7、9、12、15、18、24、28日経過後の結果を図4に示す。
(接着分子の質量測定)
上述した手法でシャーレに接着分子をコーティング後、PBS(−)で1回洗浄した。ここにタンパク質可溶化剤であるM−PER Mammalian Protein Extraction Reagent(Thermo SCIENTIFIC)を添加後、ピペッティングして接着分子をシャーレ表面より剥離、回収した。これを2−D Quant Kit(GE Healthcare)または、FluoReporter FITC protein Labeling Kit(invitorogen)にて接着分子をFITC標識して定量した。接着分子の定量には、wallac 1420ARVO MX/LIGHT(Perkin Elmer社)を用いた。
図4(A)〜図4(D)は、シャーレに対してコーティングする接着分子の濃度を変えた場合における細胞の増殖状態を経時的に示す図である。図4(A)は、比較例であるSynthemaxを用いた結果を示す図である。図4(B)は、比較例であるPoly−L−lysineを用いた結果を示す図である。図4(C)は、コラーゲンIを用いた結果を示す図である。図4(D)は、成長因子が低減されたコラーゲンIVを用いた結果を示す図である。
なお、表中で「最大接着量(風乾)」とは、コーティング溶液が完全に蒸発することによってコラーゲン分子が基材にコーティングされるまで、コーティング溶液を4℃に静置した後に、測定したコラーゲン分子の接着分子量を示す。この場合、コーティング溶液に含まれるコラーゲン分子がすべて基材にコーティングされるため、接着分子量は乾燥前にコーティング溶液に含まれたコラーゲン分子の全量に等しい。一方、「接着量(overnight)」は、接着分子を含むコーティング溶液を4℃にて一晩静置することによってコーティングした後の接着分子量を示す。この場合、接着分子のうち実際にコーティングされた一部のコラーゲン分子に相当する接着分子量が測定される。また、「○」は、細胞の増殖によって細胞支持複合体の単層上皮構造の孔が塞がり、かつ細胞の単層上皮構造が維持されたことを示す。「△」の「凝集化傾向あり」とは、孔は生じていないが、一部分で細胞が積層してきた場合を示す。
図4(A)より、Synthemaxでは濃度をどのように調節しても、7日を超えて培養細胞の単層構造が維持できなかった。同様に、図4(B)より、Poly−L−lysineでは濃度をどのように調節しても、7日を超えて培養細胞の単層構造が維持できなかった。
図4(C)より、コラーゲンIの場合、750μg/ml超3000μg/ml以下の濃度でコーティングして約50μg/cm超138μg/cm以下の濃度の接着量とすれば、約15日以上培養細胞の単層構造が維持できた。1000μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして65.4μg/cm以上138μg/cm以下の濃度の接着量とすれば、28日以上培養細胞の単層構造が維持できた。750μg/ml未満では、コラーゲンIの機能が発揮できない可能性がある。また、3000μg/mlを超える高濃度ではコラーゲンIの粘性が高いために均一なコーティングが難しい場合がある。
図4(D)より、コラーゲンIVの場合、500μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして19.2μg/cm超121μg/cm以下の濃度の接着量とすれば、約15日以上培養細胞の単層構造が維持できた。750μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして約25μg/cm以上121μg/cm以下の濃度の接着量とすれば、28日以上培養細胞の単層構造が維持できた。500μg/ml未満では、コラーゲンIVの機能が発揮できない可能性がある。また、3000μg/mlを超える高濃度ではコラーゲンIVの粘性が高いために均一なコーティングが難しい場合がある。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
10…細胞支持複合体、20…基材、30…コラーゲン分子、40…培養細胞。

Claims (2)

  1. 人工材料で形成された基材と、
    前記基材の少なくとも一部に接着するコラーゲン分子と
    前記コラーゲン分子を介して前記基材に付着した培養細胞と、を有し、
    前記培養細胞は、尿細管上皮細胞または尿細管上皮様細胞であり、
    前記コラーゲン分子は、前記基材に対する接着量が65.4μg/cm以上138μg/cm以下のコラーゲンI、および前記基材に対する接着量が25.0μg/cm以上121μg/cm以下のコラーゲンIVから選択されることを特徴とする細胞支持複合体。
  2. 人工材料で形成された基材の少なくとも一部に、コラーゲン分子をコーティングするステップと、
    前記基材に接着した前記コラーゲン分子に対して培養細胞を播種するステップと、
    前記培養細胞を培養することにより、前記培養細胞の単層構造を形成するステップと、を含み、
    前記培養細胞は、尿細管上皮細胞または尿細管上皮様細胞であり、
    前記コラーゲン分子をコーティングするステップは、コラーゲンIを1000μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして65.4μg/cm以上138μg/cm以下の接着量とすること、およびコラーゲンIVを750μg/ml以上3000μg/ml以下の濃度でコーティングして25.0μg/cm以上121μg/cm以下の接着量とすることのいずれかを含むことを特徴とする細胞支持複合体の製造方法。
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