JP6753753B2 - 硫化リチウムの製造方法及び製造装置 - Google Patents

硫化リチウムの製造方法及び製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6753753B2
JP6753753B2 JP2016196902A JP2016196902A JP6753753B2 JP 6753753 B2 JP6753753 B2 JP 6753753B2 JP 2016196902 A JP2016196902 A JP 2016196902A JP 2016196902 A JP2016196902 A JP 2016196902A JP 6753753 B2 JP6753753 B2 JP 6753753B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
raw material
gas
sulfide
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016196902A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018058723A (ja
Inventor
崇広 伊藤
崇広 伊藤
宮下 徳彦
徳彦 宮下
健二 友成
健二 友成
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Mining and Smelting Co Ltd filed Critical Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
Priority to JP2016196902A priority Critical patent/JP6753753B2/ja
Publication of JP2018058723A publication Critical patent/JP2018058723A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6753753B2 publication Critical patent/JP6753753B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明は、硫化リチウム(LiS)を製造する方法並びにそれに用いる製造装置に関する。
リチウムイオン電池は、充電時には正極からリチウムがイオンとして溶け出して負極へ移動して吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へリチウムイオンが戻る構造の二次電池である。リチウムイオン電池は、エネルギー密度が大きく、寿命が長いなどの特徴を有しているため、ビデオカメラなどの家電製品や、ノート型パソコン、携帯電話機などの携帯型電子機器、パワーツールなどの電動工具などの電源として広く用いられており、最近では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などに搭載される大型電池へも応用されている。
この種のリチウムイオン電池は、正極、負極、及びこの両電極に挟まれたイオン伝導層から構成され、当イオン伝導層には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの多孔質フィルムからなるセパレータに非水系の電解液を満たしたものが一般的に用いられている。
ところが、このように電解質として、可燃性の有機溶剤を溶媒とする有機電解液が使用されているため、揮発や漏出を防ぐための構造・材料面での改善が必要であったほか、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善も必要であった。
これに対し、硫化リチウム(LiS)などを原料とする固体電解質を用いた場合には、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化を図ることができ、製造コストや生産性に優れたものとすることができるという利点を有している。
固体電解質の原料として好適な硫化リチウム(LiS)は、天然鉱産物としては産出しないため、合成する必要がある。
この種の硫化リチウムの合成方法としては、従来、例えば1)不活性ガス雰囲気あるいは真空下で、硫酸リチウムを蔗糖、澱粉などの有機物で加熱還元する方法や、2)不活性ガス雰囲気あるいは真空下で、硫酸リチウムをカーボンブラックや黒鉛粉末で加熱還元する方法、3)硫化水素リチウムエタノール化物を水素気流中で加熱分解する方法、4)金属リチウムと硫化水素や硫黄蒸気とを常圧や加圧下で加熱し直接反応させる方法などが知られている。
例えば特許文献1には、非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを反応させて水硫化リチウムを生成し、この反応液を脱硫化水素化して硫化リチウムを生成する方法が開示されている。
特許文献2には、水酸化リチウムとガス状硫黄源(硫化水素)との反応によって硫化リチウムを製造する方法において、水酸化リチウムの粒径が0.1mm〜1.5mmであり、加熱温度が130〜445℃である硫化リチウムの製造方法が開示されている。
特許文献3には、水酸化リチウムを、転動層(ロータリーキルン)を用いて350〜450℃の反応温度で硫化水素含有ガスと気固反応させる硫化リチウムの製造方法が開示されている。
特許文献4には、固体のリチウム源(水酸化リチウム)と接する加熱部がセラミックスであり、固体のリチウム源を運動させる機構を具備し、ガスの供給口と排出口とを有する硫化リチウム製造装置が開示されており、具体的には、バッチ式のロータリーキルンを用いて、水酸化リチウム又は炭酸リチウムを硫化水素と反応させて硫化リチウムを製造する方法が開示されている。
特許第3528866号公報 特許第3816141号公報 特開2015−137183号公報 特開2015−174787号公報
上述のように、固体のリチウム源(以下「リチウム原料」という)を硫化水素と反応させて硫化リチウムを製造する方法に関して種々の発明が開示されていた。しかし、連続的に硫化リチウムを製造する方法についての具体的な開示は知られておらず、そのように連続的に硫化リチウムを製造した際の課題も解決手段も開示されていなかった。
そこで本発明者が、外熱式ロータリーキルンなどを用いて、リチウム原料を硫化水素と反応させて硫化リチウムを連続的に製造することを試みたところ、反応生成物である硫化リチウムを回収する際、ロータリーキルン内や硫化リチウムの回収槽内などにおいて、反応副生成物である水蒸気が結露し、反応生成物である硫化リチウムと結露した水分とが反応して水酸化リチウムが生成するため、生成物である硫化リチウムの純度が低下してしまうという課題が明らかになった。
本発明の目的は、生成物である硫化リチウムの純度を低下させることなく、硫化リチウムを連続的に製造することができる、新たな製造方法及び製造装置を提供することにある。
本発明は、リチウム原料を加熱された反応槽内に連続的に供給すると共に、リチウム原料を反応槽内において一定方向に移動させる一方、硫化水素ガスを反応槽内に連続的に供給し、反応槽内においてリチウム原料と硫化水素ガスとを反応させて硫化リチウムを連続的に製造し、当該硫化リチウムを回収する硫化リチウムの製造方法であって、
反応槽内において、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって硫化水素ガスを流動させると共に、
リチウム原料の移動方向における位置関係において、反応槽の中間領域の周壁を直接加熱して、反応槽内の当該中間領域を直接加熱領域とすると共に、当該中間領域の下流側に、内壁面が100℃以上となる加熱領域を設け、前記加熱領域から反応槽内のガスを排気することを特徴とする硫化リチウムの製造方法を提案する。
本発明はまた、リチウム原料を槽内において一定方向に移動させることができる反応槽と、反応槽内にリチウム原料を連続的に供給することができるリチウム原料供給手段と、反応槽内に硫化水素ガスを連続的に供給することができる硫化水素ガス供給手段と、反応槽内を加熱することができる加熱手段と、反応生成物である硫化リチウムを回収することができる硫化リチウム回収手段と、反応槽内のガスを排気することができる排気手段と、を備えた硫化リチウム製造装置であって、
加熱手段は、リチウム原料の移動方向における位置関係において、反応槽の中間領域の周壁を直接加熱して、反応槽内の当該中間領域を直接加熱領域とすると共に、当該中間領域の下流側に、内壁面が100℃以上に加熱された加熱領域を設けることができる加熱手段であって、
リチウム原料の移動方向における位置関係において、硫化水素ガスを反応槽内に供給する硫化水素ガス供給手段の硫化水素ガス供給口を、反応槽内のガスを排出する排気手段の排気ガス排出口よりも上流側に配置すると共に、前記排気ガス排出口を前記加熱領域内に配置してなる構成を備えた硫化リチウム製造装置を提案する。
本発明が提案する製造方法及び製造装置では、反応槽内の中間領域を加熱して、反応槽内の当該中間領域を直接加熱領域とすると共に、当該中間領域の下流側に、内壁面が100℃以上となる加熱領域を設け、前記加熱領域から反応槽内のガスを排気することにより、反応副生成物である水蒸気を反応槽の内壁面に結露させることなく、気体状態のまま排気することができるから、排気ガス排出口より下流側の反応槽内や硫化リチウム回収槽内などでの水蒸気の結露を抑制することができる。さらに、前記加熱領域から排気することにより、ガスの対流などの影響により効率良く排気することができるため、排気ガス排出口より下流側に水蒸気が流入し難く、排気ガス排出口より下流側にて、水蒸気の結露をより一層抑制することができる。よって、硫化リチウムと結露した水分とが反応して水酸化リチウムが生成するのを抑制することができるため、生成物である硫化リチウムの純度の低下を抑制することができる。
また、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって硫化水素ガスを流すことにより、リチウム原料供給口から原料供給管内に硫化水素ガスが侵入するのを防ぐことができる。これによって、低温領域である原料供給管内などにおいて、リチウム原料が硫化水素ガスと接触して反応副生成物である水が生成するのを抑制することができ、水の生成を原因とする目詰まりを抑制することができる。さらに、リチウム原料供給口から原料供給管内に水蒸気が侵入するのを防ぐこともできるため、原料供給管内などで水蒸気の結露を抑制することができ、水蒸気の侵入を原因とする目詰まりをも抑制することができる。
本発明の実施形態の一例に係る硫化リチウムの製造方法を説明するための模式図である。 本発明の実施形態の一例に係る硫化リチウム製造装置を説明するための模式図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本硫化リチウム製造方法>
先ず、本発明の実施形態の一例に係る硫化リチウムの製造方法(「本硫化リチウム製造方法」と称する)について説明する。
本硫化リチウム製造方法は、リチウム原料を加熱された反応槽内に連続的に供給すると共に、リチウム原料を反応槽内において一定方向に移動させる一方、硫化水素ガスを反応槽内に連続的に供給し、リチウム原料と硫化水素ガスとを反応させて硫化リチウムを連続的に製造し、当該硫化リチウムを回収する硫化リチウムの製造方法である。
本明細書において「上流側」とは、リチウム原料の移動方向における上流側(図1及び図2では右側)を示し、「下流側」とは、リチウム原料の移動方向における下流側(図1及び図2では左側)を示す。
(リチウム原料)
リチウム原料は、硫化リチウムのリチウム源となる原料のことであって、例えば水酸化リチウム、炭酸リチウム、酸化リチウムなどを挙げることができる。中でも、低温にて硫化反応が起こると共に、安定性に優れている観点から、水酸化リチウムが好ましい。
リチウム原料は、効率良く反応させることができる観点から、微粒化して比表面積を大きくするのが好ましい。かかる観点とリチウム原料の取り扱いの観点から、リチウム原料の粒径は、平均粒径(D50)が1.5μm〜200μmであるのが好ましい。
(硫化水素ガス)
硫化水素ガスは、硫化水素のみからなるガスであってもよいし、硫化水素を主成分としつつ他のガス成分を含有するガスであってもよい。
例えば、急激に硫化反応が起こるのを抑制するため、硫化水素ガスに不活性ガスを混合して硫化水素分圧を下げるようにしてもよい。
かかる観点から、硫化水素ガスの濃度は、10〜100vol%であるのが好ましい。なお、硫化水素ガスの濃度が100vol%というのは、硫化水素ガスのみからなるガス、すなわち純ガスの意味であり、100vol%未満の場合は、硫化水素ガスと、Arや窒素などの不活性ガスや水素などの還元性ガスとの混合ガスの意味である。
リチウム原料との反応性を維持しつつ急激な硫化反応を抑制できるという観点から、硫化水素ガス濃度は10vol%〜100vol%であるのが好ましく、中でも50vol%以上或いは90vol%以下、その中でも特に60vol%以上或いは80vol%以下であるのがさらに好ましい。
(硫化反応)
反応槽内に供給されたリチウム原料と硫化水素ガスとが接触すると、下記式(1)〜(3)の硫化反応が生じ、主生成物である硫化リチウム(LiS)と、副生成物である水(HO)などが生成する。
このように、この硫化反応は乾式反応(固気反応)である。つまり、水などの溶媒を用いることなく、固体のリチウム原料と硫化水素ガスとを乾式状態で接触させて反応させる方法である。
(1)・・2LiOH+HS →LiS+2HO↑
(2)・・LiCO+HS →LiS+HO↑+CO
(3)・・LiO+HS →LiS+HO↑
リチウム原料が十分に加熱された状態で硫化水素ガスと接触すると、上記反応はより進むことになる。
この際、リチウム原料の加熱は、リチウム原料が溶融しない温度領域に加熱するのが好ましい。
例えば、リチウム原料として、水酸化リチウムを使用する場合は、水酸化リチウムの融点は462℃であるため、リチウム原料の品温が200℃〜450℃となるように加熱するのが好ましく、中でも300℃以上となるように加熱するのがさらに好ましい。
(反応槽)
反応槽は、リチウム原料と硫化水素ガスとが反応する空間を提供する設備であり、その形状及び大きさは任意である。反応槽の外形形状は、例えば直方体状、円柱状、多角柱状など任意である。
(反応槽の加熱)
本硫化リチウム製造方法では、反応槽内を加熱する。特に移動中の硫化リチウムが接触する部分を加熱することで、反応槽内を移動するリチウム原料を加熱するのが好ましい。十分加熱された状態のリチウム原料を硫化水素ガスと接触させることで、上記硫化反応を促進させることができる。
反応槽の加熱に関しては、図1に示すように、リチウム原料が移動する方向にみて、反応槽の中間領域の周壁を直接加熱する。
このように加熱することにより、図1に示すように、リチウム原料の移動方向における位置関係にみて、反応槽内の中間領域を、反応槽の周壁を直接加熱する直接加熱領域とする。そして、直接加熱された周壁の熱が当該周壁の両側(上流側及び下流側)の周壁に伝わることにより、当該中間領域の両側に連続して配置されると共にリチウム原料の移動方向及びその逆方向に伸びる所定領域、すなわち上流側の所定幅領域及び下流側の所定幅領域を、その領域の内壁面温度が100℃以上に加熱された加熱領域とすることができる。但し、中間領域の下流側にのみ前記加熱領域を設けるようにしてもよい。
この際、リチウム原料として、水酸化リチウムを使用する場合は、硫化反応を促進させることができる観点から、上記中間領域すなわち直接加熱領域の反応槽内壁面温度は200℃〜450℃であるのが好ましく、中でも300℃以上或いは450℃以下であるのが特に好ましい。
当該直接加熱領域の反応槽内壁面温度はリチウム原料の品温とほぼ同じ温度であるとみなせるから、直接加熱領域の反応槽内壁面が200℃〜450℃であれば、上記硫化反応を十分に促進することができる。
上記中間領域の上流側の加熱領域(以下「加熱領域(上流側)」という)の温度すなわちその領域の反応槽内壁面温度は100℃以上であり、中でも150℃以上或いは450℃以下であるのが好ましい。
他方、下流側の加熱領域(以下「加熱領域(下流側)」という)の温度すなわちその領域の反応槽内壁面温度は100℃以上であり、中でも150℃以上或いは450℃以下であるのが好ましい。
(反応槽内へのリチウム原料の供給及び移動)
本硫化リチウム製造方法では、図1に示すように、リチウム原料を反応槽内に連続的に供給すると共に、反応槽内において一定方向にリチウム原料を移動させることを特徴とする。
また、反応槽内においてリチウム原料を移動させる方向は、例えば水平方向、垂直上下方向、回転方向、回転軸方向、反応槽の長さ方向など任意である。例えば、図1に示すように、反応槽の長さ方向にリチウム原料を移動させることができる。
なお、リチウム原料を反応槽内において一定方向に移動させる具体的手段については、製造装置において詳述する。
また、リチウム原料の移動方向における位置関係において、リチウム原料を反応槽内に供給する位置における反応槽の内壁面温度を100℃以上にするのが好ましい。すなわち、リチウム原料を反応槽内に供給する位置は、加熱領域(上流側)若しくは直接加熱領域内に設けるのが好ましく、加熱領域(上流側)に設けるのがさらに好ましい。
リチウム原料を反応槽内に供給する位置における反応槽の内壁面温度を100℃以上にすることにより、硫化水素ガスとリチウム原料とが反応した際に生成した水を気体化することができ、水分によってリチウム原料及び硫化リチウムが反応槽内壁面に付着するのを抑制することができる。
(反応槽内への硫化水素ガスの供給及び移動)
本硫化リチウム製造方法では、上記硫化水素ガスを反応槽内に連続的に供給する。
本硫化リチウム製造方法では、図1に示すように、反応槽内において、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって、硫化水素ガスを流動させることが特徴の一つである。
通常、ロータリーキルンなどの連続反応槽では、反応効率を高めるために、反応ガスを原料の移動方向とは逆に流すのが一般的である。しかし、リチウム原料を硫化水素と反応させて硫化リチウムを連続的に製造する場合には、反応ガスである硫化水素ガスをリチウム原料の移動方向に対して逆向きに流すと、原料ホッパー内や原料供給管内に硫化水素ガスが侵入して、ここでリチウム原料と硫化水素ガスとが接触して硫化反応が起こり、反応副生成物である水によって目詰まりを起こすことがある。これに対し、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって硫化水素ガスを流すことにより、原料ホッパー内や原料供給管内に硫化水素ガスが侵入するのを抑制することができ、原料ホッパー内や原料供給管内において硫化反応による水の生成を防ぐことにより、目詰まりを抑制することができる。また、原料供給管内などに水蒸気が侵入するのを防ぐこともできるため、原料供給管内などで水蒸気の結露を抑制することができ、水蒸気の侵入を原因とする目詰まりをも抑制することができる。
この際、反応槽内において硫化ガスを流動させる速度は任意である。
なお、硫化水素ガスを、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって流動させる具体的手段については、製造装置において詳述する。
図示はしないが、リチウム原料の移動方向における位置関係において、リチウム原料を反応槽内に供給する位置よりも下流側から、上記硫化水素ガスを反応槽内に供給するのが好ましい。
リチウム原料の供給位置の下流側から、硫化水素ガスを供給することにより、原料ホッパー内や原料供給管内に硫化水素ガスが侵入するのをより一層抑制することができ、原料ホッパー内や原料供給管内において硫化反応による水の生成をより一層防ぐことにより、目詰まりをより一層抑制することができる。さらに、この構成により、加熱された状態のリチウム原料と硫化水素ガスとを接触させて硫化反応させることができるから、硫化反応自体を促進させることができると共に、反応副生成物として生成した水を気体化することができ、リチウム原料や硫化リチウムが水分(液体)の影響で流動性を失うのを効果的に抑制することができる。
また、図示はしないが、リチウム原料の移動方向における位置関係において、硫化水素ガスの供給位置を、加熱領域(上流側)若しくは直接加熱領域内に設けるのが好ましい。
硫化水素ガスの供給位置付近は、リチウム原料と硫化水素ガスとが最初に接触する主な位置となるから、硫化水素ガスの供給位置を加熱領域(上流側)若しくは直接加熱領域内に設けることにより、硫化水素ガスとリチウム原料とが反応して生成する水を気体化させることができ、液体の水によってリチウム原料や硫化リチウムが反応槽の内壁面に付着するのを防止することができる。
(不活性ガスの供給)
なお、本硫化リチウム製造方法では、不活性ガスを反応槽内に連続的に供給し、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって流動させるのが好ましい。
この際、リチウム原料の移動方向における位置関係において、硫化水素ガスを反応槽内に供給する位置と同じ又はその上流側から、不活性ガスを反応槽内に供給するのがさらに好ましい。硫化水素ガスを反応槽内に供給する位置と同じ又はその上流側から、不活性ガスを反応槽内に供給することにより、硫化水素ガスが上流側に逆流するのをより確実に防ぐことができ、例えば原料供給管内などに硫化水素ガスが侵入するのを、より確実に防ぐことができる。
反応槽内に供給する不活性ガスの単位時間当たりの供給量は、反応槽内に供給する硫化水素ガスの単位時間当たりの供給量と同じか又はより多くするのが好ましい。これによって、硫化水素ガスが上流側に逆流するのをより一層確実に防ぐことができる。
さらに、後述するように、原料ホッパーや原料供給管などのリチウム原料供給手段の内部に不活性ガスを供給して下流側に流動させるのが好ましい。このようにリチウム原料供給手段の内部に不活性ガスを供給して下流側に原料粉と共に流動させることにより、硫化水素がリチウム原料供給手段の内部に侵入するのをより確実に防ぐことができ、これらの場所で反応副生成物である水によって目詰まりを生じるのを防ぐことができる。
(排気)
本硫化リチウム製造方法では、図1に示すように、上記硫化反応によって生成した副生成物である水蒸気(HO)及び二酸化炭素(CO)、さらには未反応ガスの硫化水素ガス、さらには不活性ガスなどを、反応槽の外に排気する。
本硫化リチウム製造方法では、図1に示すように、中間領域(直接加熱領域)よりも下流側の加熱領域、すなわち加熱領域(下流側)から、反応槽内のガスを排気させることが特徴の一つである。これによって、反応槽内の水蒸気を反応槽内壁面2Aに結露させることなく、気体状態のまま排気することができる。さらに、下流側の加熱領域から排気することにより、ガスの対流などの影響により効率良く排気できるため、排気ガス排出口より下流側に水蒸気が流入し難く、排気ガス排出口より下流側にて、水蒸気の結露をより一層抑制することができる。よって、硫化リチウムと結露した水分とが反応して水酸化リチウムが生成するのを抑制することができるため、生成物である硫化リチウムの純度の低下を抑制することができる。
また、強制的に排気させることもできる。反応生成物、上記反応式(1)〜(3)で言えばHOなどを積極的に排気することにより、硫化反応を促進することができる。
なお、排気されるガス中に含まれる未反応のHSは、有毒ガスであるため、排気ガスをバーナーなどで完全燃焼させた後、水酸化ナトリウム溶液で中和させて硫酸ナトリウムなどとして処理するのが好ましい。
(硫化リチウムの回収)
上記硫化反応によって生成した主生成物である硫化リチウム(LiS)は、図1に示すように、下流側に移動させて、排気ガス排出口より下流側に設けられた硫化リチウム回収槽内に回収する。
硫化リチウム回収槽の内壁面温度を100℃以上に加熱するのが好ましい。
反応副生成物である水が硫化リチウム回収槽内で結露し、反応生成物である硫化リチウムと結露した水分とが反応して水酸化リチウムを生成し、硫化リチウムの純度が低下することがある。これに対し、上記のように硫化リチウム回収槽の内壁面を加熱すれば、硫化リチウム回収槽内の水分を気体化させることができ、水(液体)として存在しないようにすることができるため、硫化リチウムの純度の低下を抑制することができる。さらには、回収した硫化リチウムが凝集したり、硫化リチウム回収槽の内壁面に付着したりするのを抑制することもできる。
さらに、硫化リチウム回収槽内に不活性ガスを供給するのが好ましい。これにより、不活性ガスとともに水蒸気などを硫化リチウム回収槽の外に排出させることができる。この際、不活性ガスなどは、硫化リチウム回収槽内から反応槽内へ送り出して、上記した排気ガス排出口から反応槽の外に排出される。
硫化リチウム回収槽内に供給する不活性ガスの単位時間当たりの供給量は、水蒸気や未反応の硫化水素ガスが硫化リチウム回収槽内へ流入することを抑制する観点から、反応槽内に供給する硫化水素ガスの単位時間当たりの供給量と同じか又はより多くするのが好ましい。
なお、上記の不活性ガスとしては、例えばヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス類や、窒素などを挙げることができる。
(反応槽内のガスの脱水循環)
さらに、リチウム原料の移動方向における位置関係において、後述する水蒸気冷却捕集手段などを用いて、反応槽内のガスを吸引し、ガス中の水分を除去した後、反応槽内に戻すようにするのが好ましい。このようにすることにより、排気ガス排出口から排出できずに、下流側に流入した水蒸気を回収することができ、硫化リチウム回収槽内などでの水蒸気の結露をより一層抑制することができる。
この際、排気ガス排出口からの水蒸気や未反応の硫化水素ガスなどの排出を阻害しない観点から、リチウム原料の移動方向における位置関係において、反応槽内のガスを排気する位置よりも下流側の領域から反応槽内のガスを吸引するのが好ましい。
<硫化リチウム製造装置>
次に、上述した本硫化リチウム製造方法を製造するための装置の一例として、硫化リチウム製造装置1について説明する。すなわち、硫化リチウム製造装置1にリチウム原料と硫化水素ガスとを供給して、これらを反応させて硫化リチウムを連続的に製造することができる。
但し、上述した本硫化リチウム製造方法を実施することができる装置が、この硫化リチウム製造装置1に限定されるものではない。
硫化リチウム製造装置1は、図2に示すように、リチウム原料を槽内において一定方向に移動させることができる反応槽2と、反応槽2内を加熱することができる加熱手段3と、反応槽2内にリチウム原料を連続的に供給することができるリチウム原料供給手段4と、反応槽2内に硫化水素ガスを連続的に供給することができる硫化水素ガス供給手段5と、反応生成物である硫化リチウムを回収することができる硫化リチウム回収手段6と、反応槽2内のガスを排気する排気手段7とを備えている。但し、硫化リチウム製造装置1は、これら以外の他の構成要素を備えていてもよい。
(反応槽2)
反応槽2は、リチウム原料と硫化水素ガスとが反応する空間を提供する設備であり、リチウム原料を槽内において一定方向に移動させることができるようになっている。
反応槽2において、リチウム原料を槽内において一定方向に移動させることができる手段としては、例えば反応槽2が下流側に下り傾斜していることによって、必要に応じてさらに振動をリチウム原料に与えて、下流側にリチウム原料を移動させることができる手段、反応槽2内に螺旋状回転羽を設けて、螺旋状回転羽の回転によって下流側にリチウム原料を送ることができる手段、ベルトコンベアなどの搬送手段によって下流側にリチウム原料を搬送する手段などを挙げることができる。但し、これらの手段に限定するものではない。
また、リチウム原料を下流側に移動させることができる上記手段によって、生成した硫化リチウムをそのまま下流側に移動させるのが好ましい。
反応槽2は、硫化反応の反応効率の観点から、図2に示すように、反応槽全体が回転軸を中心に回転可能であるのが好ましい。この際、反応槽2の回転軸方向(反応槽2の長さ方向)にリチウム原料を移動させることができる。
反応槽2が、回転軸を中心に回転可能である場合には、少なくとも内壁面は円筒状を呈しているのが好ましい。
反応槽2の材質は、任意である。但し、後述するように、反応槽2の周囲外側に沿って配設された加熱手段3によって、反応槽2を構成する内壁が直接加熱される場合には、少なくとも加熱手段3によって直接加熱される部分、例えば内壁は伝熱し易く、且つ硫化水素ガスによる腐食されにくい材質、例えば石英ガラス、アルミナ、カーボン、SiCなどで形成されているのが好ましい。
反応槽2の具体例として、例えばロータリーキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルンなどの反応槽を挙げることができる。
反応槽2の内壁面には、熱電対や温度センサなど温度検知手段が配置されており、内壁面温度を随時測定可能となっているのが好ましい。
(加熱手段3)
加熱手段3としては、例えば赤外線ヒーター、熱風ヒーター、ガスバーナー、電熱ヒーターなどを例示することができる。
加熱手段3の一例として、図2に示すように、リチウム原料の移動方向にみて反応槽2の中央領域、すなわち反応槽2の長さ方向中央領域の周囲外側に沿って加熱体3Aを配設し、加熱体3Aの内側に位置する反応槽2の周壁を直接加熱する加熱手段を挙げることができる。
このように、リチウム原料が移動する方向にみて、反応槽2の中間領域を直接加熱する場合、本硫化リチウム製造方法の欄で説明したように、リチウム原料の移動方向における位置関係にみて、反応槽2内の中間領域を、反応槽2を直接加熱する「直接加熱領域」11とする。そして、直接加熱された周壁の熱が当該周壁の両側(上流側及び下流側)の周壁に伝わることにより、当該中間領域の両側に連続して配置されると共にリチウム原料の移動方向及びその逆方向に伸びる所定領域、すなわち上流側領域及び下流側領域の所定幅領域をそれぞれ、反応槽内壁面2Aの温度が100℃以上に加熱される「加熱領域(上流側)12」と「加熱領域(下流側)13」とすることができる。但し、中間領域の上流側に加熱領域12を設けず、下流側にのみ加熱領域13を設けることができるようにしてもよい。
加熱手段3の温度に関しては、後述するように、直接加熱領域11の反応槽内壁面2Aの温度が、リチウム原料の融点Tmより10℃低い温度すなわち(Tm−10℃)以下であるのが好ましい。
例えばリチウム原料として水酸化リチウム(融点462℃)を使用する場合には、直接加熱領域11の反応槽内壁面2Aの温度が200〜450℃、中でも300℃以上となるように加熱するのが好ましい。また、加熱領域(上流側)12の温度すなわちその領域の反応槽内壁面2Aの温度は100℃以上であり、中でも150℃以上或いは450℃以下であるのが好ましく、加熱領域(下流側)13の温度すなわちその領域の反応槽内壁面2Aの温度は100℃以上であり、中でも150℃以上或いは450℃以下であるのが好ましい。
(リチウム原料供給手段4)
リチウム原料供給手段4は、図2に示すように、原料ホッパー4Aと原料供給管4Bとを備えたものを挙げることができる。この際、他の構成要素を備えていてもよい。例えば、弁、攪拌手段、付着粉体払い落とし手段、その他の構成要素を備えていてもよい。
また、リチウム原料は、原料ホッパー4Aに投入する前に、乾燥することが好ましい。乾燥させることにより、リチウム原料に含まれる水和水及び吸着水を低減できるため、反応槽内で発生する水分量を低減することができる。
この際、乾燥温度は、リチウム原料に含まれる水和水及び吸着水を低減するという観点より、100℃以上であるのが好ましい。
原料供給管4B内には、例えば図2に示すように、スクリューフィーダー4Cを回転可能に設置し、原料ホッパー4A内のリチウム原料を、原料供給管4Bの先端口すなわちリチウム原料供給口4Dまで送り出すことができるように構成することができる。
リチウム原料供給手段4の原料供給管4Bの供給口すなわちリチウム原料を反応槽2内に供給するリチウム原料供給口4Dは、加熱領域(上流側)12若しくは直接加熱領域11内に、さらに好ましくは加熱領域(上流側)12内に配置するのが好ましい。
図示はしないが、原料ホッパー4A内又は原料供給管4B内又はこれら両方の内部に、下流側に向かって不活性ガスを供給することができるように、原料ホッパー4A又は原料供給管4Bに不活性ガス供給手段を連設することが好ましい。
このように原料ホッパー4A又は原料供給管4B内に不活性ガスを供給して下流側にリチウム原料と共に流動させることにより、硫化水素が原料ホッパー4A又は原料供給管4B内に侵入するのをより確実に防ぐことができ、これらの場所で目詰まりを生じるのを防ぐことができる。
(硫化水素ガス供給手段5)
硫化水素ガス供給手段5は、図2に示すように、例えばガス供給管5A、硫化水素ガス貯留タンク5B及びポンプ5Cを備えたものを挙げることができる。この際、他の構成要素を備えていてもよい。例えば、弁、流量計、水分吸収手段、ガス加熱手段その他の構成要素を備えていてもよい。
図2に示すように、ガス供給管5Aの先端口すなわち硫化水素ガスを反応槽2内に供給する硫化水素ガス供給口5Dを、反応槽2内の上流側に設ける一方、後述する排気手段7の排気ガス排出口7C(以下「排気口7C」という)を、反応槽2内の下流側に設けることにより、本硫化リチウム製造方法の欄で説明したように、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって硫化水素ガスを流すことができる。この構成により、原料ホッパー4A内や原料供給管4B内に硫化水素ガスが侵入するのを抑制することができ、原料ホッパー4A内や原料供給管4B内において硫化反応による水の生成を防ぐことにより、目詰まりを抑制することができる。また、原料供給管4B内などに水蒸気が侵入するのを防ぐことができるため、原料供給管4B内などで水蒸気の結露を抑制することができ、水蒸気の侵入を原因とする目詰まりをも抑制することができる。
図示はしないが、硫化水素ガス供給口5Dの位置は、リチウム原料の移動方向における位置関係において、リチウム原料供給口4Dの位置よりも下流側に設置するのが好ましい。
硫化水素ガス供給口5Dをリチウム原料供給口4Dより下流側に設置することにより、製造方法の欄で説明したように、リチウム原料を反応槽内に供給する位置よりも下流側から、上記硫化水素ガスを反応槽内に供給することができる。そのため、原料ホッパー4A内や原料供給管4B内に硫化水素ガスが侵入するのをより一層抑制することができるから、これらの場所でリチウム原料が流動性を失うのをより一層防ぐことができる。さらに、この構成により、加熱された状態のリチウム原料と硫化水素ガスとを接触させて硫化反応させることができるから、硫化反応自体を促進させることができると共に、反応副生成物として生成した水を気体化することができ、リチウム原料や硫化リチウムが水分(液体)の影響で流動性を失うのを効果的に抑制することができる。
この際、硫化水素ガス供給口5Dの位置と、リチウム原料供給口4Dの位置は、リチウム原料の移動方向における位置関係において、硫化水素ガスの上流側への拡散を考慮して、適切な距離を離して配置するのが好ましい。
また、図示はしないが、リチウム原料の移動方向における位置関係において、硫化水素ガス供給口5Dは、加熱領域(上流側)12若しくは直接加熱領域11内に設けるのが好ましい。
硫化水素ガス供給口5Dの位置付近は、リチウム原料と硫化水素ガスとが最初に接触する主な位置となるから、硫化水素ガス供給口5Dを加熱領域(上流側)12若しくは直接加熱領域11内に設けることにより、硫化水素ガスとリチウム原料とが反応して生成する水を気体化させることができ、液体の水によってリチウム原料や硫化リチウムが反応槽2の内壁面2Aに付着するのを防止することができる。
(硫化リチウム回収手段6)
硫化リチウム回収手段6は、後述する排気手段7の排気口7Cより下流側に設ける。
硫化リチウム回収手段6は、例えば硫化リチウム回収口6Aと、回収した硫化リチウムを貯蔵する硫化リチウム回収槽6Bとを備えた構成とすることができ、他の構成要素、例えば、弁、観察窓、水分吸収手段、その他の構成要素を備えていてもよい。
硫化リチウム回収槽6Bには、その内壁面を加熱することができる回収槽加熱手段8を設けることが好ましい。
この回収槽加熱手段8によって、硫化リチウム回収槽6Bの内壁面温度を100℃以上とするのが好ましい。硫化リチウム回収槽6Bの内壁面温度を100℃以上とすることができれば、硫化リチウム回収槽6B内の水分を揮発させることができ、回収した硫化リチウムが凝集したり、硫化リチウム回収槽6Bの内壁面に付着したり、さらには硫化リチウムと水分とが反応して水酸化リチウムが生成するのを抑制することができる。
また、硫化リチウム回収槽6B内から外に流動するように、硫化リチウム回収槽6B内に不活性ガスを供給することができる不活性ガス供給手段9を付設するのが好ましい。
このように不活性ガス供給手段9を設けることにより、硫化リチウム回収槽6B内の水蒸気などを硫化リチウム回収槽6Bの外に送り出すことができる。そして、不活性ガスなどは、から反応槽2内へ送り出され、排気口7Cから反応槽2の外に排出される。
この際、不活性ガスの供給量は、水蒸気や未反応の硫化水素ガスが硫化リチウム回収槽6B内に流入することを抑制する観点から、反応槽2内に供給する硫化水素ガスの単位時間当たりの供給量と同じか若しくはより多くするのが好ましい。
上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス類や、窒素などを挙げることができる。
(排気手段7)
排気手段7は、図2に示すように、排気管7Aと排気設備7Bを備えたものを挙げることができる。この際、他の構成要素を備えていてもよい。例えば、弁、水蒸気捕集手段、その他の構成要素を備えていてもよい。
排気手段7により、硫化反応によって生成した副生成物である水蒸気(HO)など、さらには未反応ガスである硫化水素ガスや、不活性ガスなどを、反応槽2の外に排気することができる。
排気管7Aの先端すなわち反応槽2内のガスを排気する際の入口部である排気口7Cは、加熱領域(下流側)13、すなわち直接加熱領域11よりも下流側の加熱領域内に配置する。
排気口7Cを加熱領域(下流側)13内に配置することにより、反応副生成物である水蒸気を反応槽内壁面2Aに結露させることなく、気体状態のまま排気することができる。さらに、この構成により、ガスの対流などの影響により効率良く排気できるため、排気口7Cより下流側に水蒸気などのガスが流入し難くなる。よって、排気口7Cより下流側の反応槽2内や硫化リチウム回収槽6B内などでの水蒸気の結露を抑制することができ、硫化リチウムと結露した水分とが反応して水酸化リチウムが生成するのを抑制することができるため、生成物である硫化リチウムの純度の低下を抑制することができる。
この際、温度の高い硫化水素ガスはとても腐食性が強いため、排気口7Cは直接加熱領11域内には配置しないことが好ましい。
排気手段7によって排気されるガス中に含まれる未反応のHSガスは、有毒ガスであるため、例えば排気設備7Bなどにおいて、排気ガスをバーナーなどで完全燃焼させた後、水酸化ナトリウム溶液で中和させて硫酸ナトリウムなどとして処理するのが好ましい。
(水蒸気冷却捕集手段10)
さらに必要に応じて、反応槽2内のガスを吸引し、ガス中の水分を除去した後、反応槽内に戻すことができる水蒸気冷却捕集手段10を設けることが好ましい。
この水蒸気冷却捕集手段10によって、排気口7Cから排出できずに、下流側に流入した水蒸気を回収することができ、硫化リチウム回収槽内などでの水蒸気の結露をより一層抑制することができる。
水蒸気冷却捕集手段10は、例えば図2に示すように、循環ガス吸引管10A、水蒸気捕集手段10B、ポンプ10C及び循環ガス供給管10Dを備えた構成とすることができる。但し、水蒸気冷却捕集手段10の構成をこのような構成に限定するものではない。
上記水蒸気捕集手段10Bは、吸引したガスを冷却するなどして、ガス中の水分を液化させ、液体の水分を捕集することができる機能を備えたものであればよい。
但し、水蒸気捕集手段10Bの代わりに、別の手段によりガス中の水分を除去できる水蒸気捕集手段を用いることもできる。
水蒸気冷却捕集手段10は、排気口7Cからの、水蒸気や未反応の硫化水素ガスなどの排出を阻害しない観点から、リチウム原料の移動方向における位置関係において、循環ガス吸引管10Aの吸引口を、排気口7Cよりも下流側に配置するのが好ましい。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特に断わらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
1・・・硫化リチウム製造装置
2・・・反応槽
3・・・加熱手段
4・・・リチウム原料供給手段
5・・・硫化水素ガス供給手段
6・・・硫化リチウム回収手段
7・・・排気手段
9・・・不活性ガス供給手段
10・・・水蒸気冷却捕集手段
11・・・直接加熱領域
12・・・加熱領域(上流側)
13・・・加熱領域(下流側)

Claims (10)

  1. リチウム原料を加熱された反応槽内に連続的に供給すると共に、リチウム原料を反応槽内において一定方向に移動させる一方、硫化水素ガスを反応槽内に連続的に供給し、反応槽内においてリチウム原料と硫化水素ガスとを反応させて硫化リチウムを連続的に製造し、当該硫化リチウムを回収する硫化リチウムの製造方法であって、
    反応槽内において、リチウム原料の移動方向に沿ってその上流から下流に向かって硫化水素ガスを流動させると共に、
    リチウム原料の移動方向における位置関係において、反応槽の中間領域の周壁を直接加熱して、反応槽内の当該中間領域を直接加熱領域とすると共に、当該中間領域の下流側に、内壁面が100℃以上となる加熱領域を設け、前記加熱領域から反応槽内のガスを排気することを特徴とする硫化リチウムの製造方法。
  2. 前記硫化リチウムを回収する硫化リチウム回収槽内に不活性ガスを供給すると共に、硫化リチウム回収槽内に供給する不活性ガスの単位時間当たりの供給量を、反応槽内に供給する硫化水素ガスの単位時間当たりの供給量と同じか又はより多くすることを特徴とする請求項1に記載の硫化リチウムの製造方法。
  3. 前記硫化リチウム回収槽の内壁面温度を100℃以上に加熱することを特徴とする請求項1又は2に記載の硫化リチウムの製造方法。
  4. リチウム原料の移動方向における位置関係において、反応槽内のガスを排気する位置よりも下流側の領域から反応槽内のガスを吸引し、ガス中の水分を除去した後、反応槽内に戻すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の硫化リチウムの製造方法。
  5. リチウム原料を槽内において一定方向に移動させることができる反応槽と、反応槽内にリチウム原料を連続的に供給することができるリチウム原料供給手段と、反応槽内に硫化水素ガスを連続的に供給することができる硫化水素ガス供給手段と、反応槽内を加熱することができる加熱手段と、反応生成物である硫化リチウムを回収することができる硫化リチウム回収手段と、反応槽内のガスを排気することができる排気手段と、を備えた硫化リチウム製造装置であって、
    加熱手段は、リチウム原料の移動方向における位置関係において、反応槽の中間領域の周壁を直接加熱して、反応槽内の当該中間領域を直接加熱領域とすると共に、当該中間領域の下流側に、内壁面が100℃以上に加熱された加熱領域を設けることができる加熱手段であって、
    リチウム原料の移動方向における位置関係において、硫化水素ガスを反応槽内に供給する硫化水素ガス供給手段の硫化水素ガス供給口を、反応槽内のガスを排出する排気手段の排気ガス排出口よりも上流側に配置すると共に、前記排気ガス排出口を前記加熱領域内に配置してなる構成を備えた硫化リチウム製造装置。
  6. 前記硫化リチウム回収手段の硫化リチウム回収槽内に、不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えた請求項5に記載の硫化リチウム製造装置。
  7. 前記硫化リチウム回収槽の内壁面温度を100℃以上に加熱することができる回収槽加熱手段を備えた請求項5又は6に記載の硫化リチウム製造装置。
  8. 循環ガス吸引管、水蒸気捕集手段、ポンプ及び循環ガス排出管を有する水蒸気冷却捕集手段を反応槽に付設すると共に、リチウム原料の移動方向における位置関係において、前記循環ガス吸引管の吸引口を、前記排気ガス排出口よりも下流側に配置することを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の硫化リチウム製造装置。
  9. 前記反応槽は、回転軸を中心に回転可能であって、且つ、当該回転軸方向にリチウム原料を移動させることができる反応槽であることを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の硫化リチウム製造装置。
  10. 請求項5〜9の何れかに記載の硫化リチウム製造装置に、リチウム原料と硫化水素ガスとを供給して、これらを反応させて硫化リチウムを連続的に製造することを特徴とする硫化リチウムの製造方法。
JP2016196902A 2016-10-05 2016-10-05 硫化リチウムの製造方法及び製造装置 Active JP6753753B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016196902A JP6753753B2 (ja) 2016-10-05 2016-10-05 硫化リチウムの製造方法及び製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016196902A JP6753753B2 (ja) 2016-10-05 2016-10-05 硫化リチウムの製造方法及び製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018058723A JP2018058723A (ja) 2018-04-12
JP6753753B2 true JP6753753B2 (ja) 2020-09-09

Family

ID=61909686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016196902A Active JP6753753B2 (ja) 2016-10-05 2016-10-05 硫化リチウムの製造方法及び製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6753753B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102509062B1 (ko) * 2021-02-18 2023-03-10 주식회사 정석케미칼 고 순도 황화리튬의 대량 생산 방법
KR102509059B1 (ko) * 2021-02-18 2023-03-10 주식회사 정석케미칼 황화리튬의 제조 방법
WO2024034534A1 (ja) * 2022-08-10 2024-02-15 Agc株式会社 硫化水素の精製方法および硫化リチウムの製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2827930A1 (en) * 2011-03-16 2012-09-20 Hanwha Chemical Corporation Method for calcining electrode materials using a rotary kiln
JP2013075816A (ja) * 2011-09-13 2013-04-25 Nippon Chem Ind Co Ltd 硫化リチウム、その製造方法及び無機固体電解質の製造方法
JP6256754B2 (ja) * 2013-02-27 2018-01-10 東レ・ファインケミカル株式会社 硫化リチウムの製造方法
JP6150229B2 (ja) * 2013-09-12 2017-06-21 東レ・ファインケミカル株式会社 硫化リチウムの製造方法
JP6451598B2 (ja) * 2015-11-09 2019-01-16 信越化学工業株式会社 回転式筒状炉及び非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018058723A (ja) 2018-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6753753B2 (ja) 硫化リチウムの製造方法及び製造装置
ES2749122T3 (es) Método para litiar ánodos
ES2763631T3 (es) Introducción gradual de litio en el ánodo pre-tratado con litio de una celda electroquímica de iones de litio
KR101193422B1 (ko) 로타리 킬른을 이용한 전극물질의 하소 방법
CN111052464B (zh) 锂离子二次电池用正极活性物质的制造方法及热处理装置
KR100716199B1 (ko) 폐 리튬 일차전지 처리장치 및 그 방법
Guo et al. Aerosol assisted synthesis of hierarchical tin–carbon composites and their application as lithium battery anode materials
JP6718774B2 (ja) 硫化リチウムの製造方法及び製造装置
JP2012087404A (ja) 金属リチウムの回収方法
CN107634224A (zh) 一种含氟化铁插层物的外壁氟化多壁碳纳米管的制备方法
CN109216685A (zh) 稻谷壳制备锂离子电池硅-碳负极材料的熔盐电化学方法
JP5971705B2 (ja) 二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置
JP2021080122A (ja) 硫酸ニッケル溶液の製造装置および製造方法
JP7135433B2 (ja) リチウムニッケル複合酸化物の製造方法
JP5713162B2 (ja) 二次電池用有機硫黄系正極材料製造装置及び製造方法
CN110444754A (zh) 一种碳纳米管限域硫硒复合材料及其制备方法
KR20080020288A (ko) 전기 이중층 커패시터, 그 전극용 활성탄 및 그 제조 방법
WO2019054296A1 (ja) リチウム二次電池用正極活物質の製造方法
JP2022056392A (ja) コバルト回収方法及びその装置
JP2008066109A (ja) 非水系二次電池の製造方法
US11101507B2 (en) Process for recovering lithium from lithium-sulfur accumulators
CN206022518U (zh) 一种高镍多元锂离子正极材料氧气循环使用系统
CN219824306U (zh) 一种脱氟设备
CN106785161B (zh) 一种环保的石墨负极的再生处理方法
CN218281171U (zh) 一种含硫蒸气和硫化氢气体的尾气处理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200629

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200804

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200820

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6753753

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250