JP6753143B2 - FcγRIIaをコードするポリヌクレオチド及びFcγRIIaの製造方法 - Google Patents

FcγRIIaをコードするポリヌクレオチド及びFcγRIIaの製造方法 Download PDF

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本発明は、ヒトFcレセプターIIaをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcレセプターIIaの製造方法に係る。特に本発明は、ヒトFcレセプターの一つであるヒトFcγRIIaを宿主で効率的に発現可能なポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcγRIIaの製造方法に係る。
Fcレセプターは、免疫グロブリン分子のFc領域に結合する一群の分子である。個々の分子は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する認識ドメインによって、単一の、または同じグループの免疫グロブリンイソタイプをFcレセプター上の認識ドメインによって認識している。これによって、免疫応答においてどのアクセサリー細胞が動因されるかが決まってくる。Fcレセプターは、さらにいくつかのサブタイプに分類することができ、IgG(免疫グロブリンG)に対するレセプターであるFcγレセプター、IgEのFc領域に結合するFcεレセプター、IgAのFc領域に結合するFcαレセプター等がある。また各レセプターは更に細かく分類されており、Fcγレセプターは、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb及びFcγRIIIa、FcγRIIIbの存在が報告されている(非特許文献1)。
FcγRI、FcγRII、FcγRIIIのアミノ酸配列の相同性は、それぞれFcγRIとFcγRII間で約22%、FcγRIとFcγRIII間で約26%、FcγRIIとFcγRIII間で約45%と大きく異なるものである。また、同様に機能面においても、FcγRIは抗体への強い親和性を示し、FcγRIIbは弱い親和性および免疫機構の抑制を示し、FcγRIIIaは弱い親和性及びADCC活性(Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity)による細胞障害作用を示すなど、それぞれ異なる機能を有している(非特許文献1)。
Fcγレセプターの中でも、FcγRIIaはマクロファージ、血小板、好中球、単球や樹状細胞などの細胞表面に存在しており、IgG免疫複合体と結合後、免疫機能を活性化する重要な役割に関与するレセプターである。このFcγRIIaとヒトIgGとの親和性は結合の強さを示す平衡解離定数(K)が1.5×10−6(M)であることが報告されている(非特許文献2および3)。ヒトFcγRIIaのアミノ酸配列(配列番号1)はUniProt(Accession number:P12318)などの公的データベースに公表されている。また、ヒトFcγRIIaの構造上の機能ドメイン、細胞膜を貫通するためのシグナルペプチド配列、細胞膜貫通領域の位置についても同様に公表されている。図1にヒトFcγRIIaの構造略図を示す。なお、図1中のアミノ酸番号は配列番号1に記載のアミノ酸番号に対応する。すなわち、配列番号1中の1番目のメチオニン(Met)から33番目のセリン(Ser)までがシグナル配列(S)、34番目のグルタミン(Gln)から217番目のグリシン(Gly)までが細胞外領域(EC)、218番目のイソロイシン(Ile)から240番目のチロシン(Tyr)までが細胞膜貫通領域(TM)および241番目のシステイン(Cys)から317番目のアスパラギン(Asn)までが細胞内領域(C)とされている。なおFcγRIIaはIgG1からIgG4まであるヒトIgGサブクラスのうち、特にIgG1とIgG3に対し強く結合する一方、IgG2とIgG4に対する結合は弱いことが知られている。
遺伝子工学的手法を用いたFcγRIIaの発現は、大腸菌を宿主とした例では非特許文献4および5が報告されている。しかしながら、非特許文献4および5では、大腸菌宿主で封入体(不溶性)として発現させた組換えFcγRIIaを、再生(リフォールディング)させる調製方法等が報告されているが、FcγRIIaの発現量が極めて低く、工業的生産が困難であった。また動物細胞を宿主とした発現系では、培養にかかる時間が長く、生産性が必ずしも高くないため、培養コストが高い問題があった。
Takai.T.,Jpn.J.Clin.Immunol.,28,318−326,2005 J.Galon等,Eur.J.Immunol.,27,1928−1932,1997 S.Bournazos等,J.Exp.Med.,212,1361−1369,2015 P.Sondermann等,J.Mol.Biol.,309,737−749,2001. S.T.Jung等,Biotechnol.Bioeng.,107,21−30,2010.
本発明の課題は、ヒトFcγRIIaを宿主で効率的に発現可能なポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用してヒトFcγRIIaを効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒトFcγRIIaのうち、少なくとも細胞外領域の一部を含むアミノ酸配列をヌクレオチド配列に変換する際に、大腸菌型のコドンを用いることで、大腸菌を宿主としたヒトFcγRIIaの効率的製造を実現し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する:
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、大腸菌型コドンを用いて表されていることを特徴とする前記ポリヌクレオチド。
(B)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質の、一つ以上のアミノ酸残基が欠失もしくは他のアミノ酸残基に置換されている、又は他のアミノ酸残基が一つ以上挿入されているタンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、大腸菌型コドンを用いて表されていることを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
(C)配列番号2又は3に記載のヌクレオチド配列を含む、(A)に記載のポリヌクレオチド。
(D)(A)から(C)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(E)(D)に記載のベクターで大腸菌を形質転換して得られる形質転換体。
(F)(E)に記載の形質転換体を培養し、得られた培養液からヒトFcγRIIa又はその部分配列を回収する、ヒトFcγRIIa又はその部分配列の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIaのうち、細胞外領域(図1のEC)の一部である、34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むタンパク質をポリヌクレオチドに変換する際、大腸菌型コドンを用いて変換されたものを特徴としている。前記タンパク質は、細胞外領域(図1のEC)のうち、34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基を少なくとも含んでいればよく、また209番目のセリンから217番目のグリシンまでの全て又は一部を含んでいてもよく、さらに細胞外領域(図1のEC)のN末端側にあるシグナルペプチド領域(図1のS)の全てまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側にある細胞膜貫通領域(図1のTM)および細胞外領域(図1のC)の全てまたは一部を含んでもよい。さらに前記タンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIaのうち、34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むタンパク質の、一つ以上のアミノ酸残基が欠失もしくは他のアミノ酸残基に置換されていてもよく、又は他のアミノ酸残基が一つ以上挿入されたものであってもよい。
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIaのうち、細胞外領域の一部である、34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基、または、前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が欠失もしくは他のアミノ酸残基に置換されたもの又は他のアミノ酸残基が一つ以上挿入されたものを少なくとも含むタンパク質から、コードするアミノ酸は変えずに、大腸菌の翻訳機構において利用頻度が低いコドン(レアコドン)から利用頻度が高いコドンに変換することにより得られる。具体的には大腸菌(Escherichia coli)の場合、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれレアコドンであるため、それらのコドンを避けるように変換すればよい。なお宿主におけるコドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Database等)を利用することで可能である。本発明のポリヌクレオチドの一例として、配列番号2または3に記載の配列を含むポリヌクレオチドがあげられる。
本発明のポリヌクレオチドの作製方法としては、
(I)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIaのうち、少なくとも34〜208番目アミノ酸残基をコードするポリヌクレオチドに対して、PCR等のDNA増幅法を用いて、大腸菌型コドンとなるよう変異を導入し、作製する方法や、
(II)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIaのうち少なくとも34〜208番目のアミノ酸配列を大腸菌型コドンを用いてヌクレオチド配列に変換したものを設計し、当該設計した配列からなるポリヌクレオチドを人工的に合成する方法、
が例示できる。なお前記(I)または(II)の方法で作製した本発明のポリヌクレオチドの5’末端側にシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを付加してもよく、宿主が大腸菌の場合は、前記シグナルペプチドとしてpelB、DsbA、MalE(UniProt No.P0AEX9に記載のアミノ酸配列のうち1番目から26番目までの領域)、TorTといったペリプラズムにタンパク質を分泌させるシグナルペプチドをあげることができる(特開2011−097898号公報)。
本発明のポリヌクレオチドを用いて宿主を形質転換する場合、本発明のポリヌクレオチドそのものを用いてもよいが、発現ベクター(例えば、原核細胞や真核細胞の形質転換に通常用いるバクテリオファージ、コスミドやプラスミド等)の適切な位置に本発明のポリヌクレオチドを挿入したものを用いると、より好ましい。なお当該発現ベクターは、形質転換する宿主内で安定に存在し複製できるものであれば特に制限はなく、大腸菌を宿主とする場合は、pETプラスミドベクター、pUCプラスミドベクター、pTrcプラスミドベクター、pCDFプラスミドベクター、pBBRプラスミドベクターを例示することができる。また前記適切な位置とは、発現ベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、伝達性に関わる領域を破壊しない位置を意味する。前記発現ベクターに本発明のポリヌクレオチドを挿入する際は、発現に必要なプロモータといった機能性ポリヌクレオチドに連結される状態で挿入すると好ましい。当該プロモータの例として、宿主が大腸菌の場合は、trpプロモータ、tacプロモータ、trcプロモータ、lacプロモータ、T7プロモータ、recAプロモータ、lppプロモータ、さらにはλファージのλPLプロモータ、λPRプロモータ等を例示することができる。前記方法により作製した本発明のポリヌクレオチドを挿入した(本発明のポリヌクレオチドを含む)ベクター(本発明のベクター)で宿主を形質転換するには、当業者が通常用いる方法で行なえばよい。
本発明のポリヌクレオチドを挿入したベクターで宿主を形質転換して得られる本発明の形質転換体から、本発明のベクターを調製するには、本発明の形質転換体を培養して得られる培養物からアルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)等の市販の抽出キットを用いて調製すればよい。
本発明において、宿主としては大腸菌を用いることができるが、その中でも大腸菌BL21株(DE3)、W3110株、JM109株を用いるとヒトFcγRIIa又はその部分配列を効率よく製造することができるので好ましい。
本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物からヒトFcγRIIa又はその部分配列を回収することで、ヒトFcγRIIa又はその部分配列を製造することができる。なお本明細書において培養物とは、培養された本発明の形質転換体の細胞そのもののほか、培養に用いた培地も含まれる。本発明のタンパク質製造方法で用いる形質転換体は、対象宿主の培養に適した培地で培養すればよく、宿主が大腸菌の場合は、必要な栄養源を補ったLB(Luria−Bertani)培地が好ましい培地の一例としてあげられる。なお、本発明のベクターの導入の有無により本発明の形質転換体を選択的に増殖させるために、培地に当該ベクターに含まれる薬剤耐性遺伝子に対応した薬剤を添加して培養すると好ましい。例えば、当該ベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでいる場合は、培地にカナマイシンを添加すればよい。また培地には、炭素、窒素および無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加してもよく、所望により、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレートおよびジチオスレイトールからなる群から選択される一種類以上の還元剤を含んでもよい。さらにグリシンといった前記形質転換体から培養液へのタンパク質分泌を促す試薬を添加してもよく、具体的には、宿主が大腸菌の場合、培地に対してグリシンを2%(w/v)以下で添加すると好ましい。培養温度は宿主が大腸菌の場合、一般に10℃から40℃、好ましくは20℃から37℃、より好ましくは25℃前後であるが、発現させるタンパク質の特性により選択すればよい。培地のpHは宿主が大腸菌の場合、pH6.8からpH7.4、好ましくはpH7.0前後である。また本発明のベクターに誘導性のプロモータが含まれている場合は、本発明のタンパク質が良好に発現できるような条件下で誘導をかけると好ましい。誘導剤としてはIPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を例示することができる。宿主が大腸菌の場合、培養液の濁度(600nmにおける吸光度)を測定し、約0.5から1.0となったときに適当量のIPTGを添加後、引き続き培養することで、ヒトFcγRIIaの発現を誘導することができる。IPTGの添加濃度は0.005から1.0mMの範囲から適宜選択すればよいが、0.01から0.5mMの範囲が好ましい。IPTG誘導に関する種々の条件は当該技術分野において周知の条件で行なえばよい。
本発明の形質転換体を培養して得られた培養物からヒトFcγRIIa又はその部分配列を回収するには、本発明の形質転換体におけるヒトFcγRIIa又はその部分配列の発現形態に適した方法で、当該培養物から分離/精製してヒトFcγRIIa又はその部分配列を回収すればよい。例えば、培養上清に発現する場合は菌体を遠心分離操作によって分離し、得られる培養上清からヒトFcγRIIa又はその部分配列を精製すればよい。また、細胞内(ペリプラズムを含む)に発現する場合には、遠心分離操作により菌体を集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等を添加することにより菌体を破砕してヒトFcγRIIa又はその部分配列を抽出した後、精製すればよい。ヒトFcγRIIa又はその部分配列を精製するには、当該技術分野において公知の方法を用いればよく、一例として液体クロマトグラフィーを用いた分離/精製があげられる。液体クロマトグラフィーには、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等があり、これらのクロマトグラフィーを組み合わせて精製操作を行なうことにより、ヒトFcγRIIa又はその部分配列を高純度に調製することができる。
得られたヒトFcγRIIa又はその部分配列のIgGに対する結合活性を測定する方法としては、例えばIgGに対する結合活性をEnzyme−Linked Immuno Sorbent Assay(以下、ELISAと表記)法や表面プラズモン共鳴法などを用いて測定すればよい。結合活性の測定に使用するIgGは、ヒトIgGが好ましく、ヒトIgG1やヒトIgG3が特に好ましい。
本発明は、配列番号1に記載のヒトFcγIIaのアミノ酸配列のうち、細胞外領域の一部である34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基、または、前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が欠失もしくは他のアミノ酸残基に置換されたもの又は他のアミノ酸残基が一つ以上挿入されたものを少なくとも含むタンパク質を大腸菌型コドンを用いて表されているポリヌクレオチドであり、前記ポリヌクレオチドを用いて大腸菌を形質転換することで、大腸菌でヒトFcγRIIa又はその部分配列を効率的に製造することができる。
ヒトFcγRIIaの概略図である。図中の数字は配列番号1に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、ECは細胞外領域、TMは細胞膜貫通領域、Cは細胞内領域を示している。 実施例2での抗体結合活性を示した図である。図中のエラーバーは誤差の最大、最小を示している。 実施例3でのヒトIgGサブクラスへの特異性を示した図である。図中の白棒はヒトFcγRIIa(市販品)の結果であり、黒棒は実施例1で得られた形質転換体で発現させたヒトFcγRIIa部分配列の結果である。 比較例1で、ヒトFcγRIIa部分配列を大腸菌型コドン(E.coli codon、上段)およびヒト型コドン(human codon、下段)を用いてポリヌクレオチドに変換したときの、ヌクレオチド配列を比較した図である。「*」は同じヌクレオチド配列であることを示している。 実施例4で、大腸菌を形質転換する発現ベクターとして、pET−hFcR2a(比較例1、白棒)およびpET−eFcR2a(実施例1、黒棒)を用いたときの、ヒトFcγRIIa部分配列生産性を比較した図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 ヒトFcγRIIa部分配列発現ベクターの作製(大腸菌型コドン)
(1)配列番号1に記載のヒトFcγRIIaアミノ酸配列のうち、34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸配列を基に、使用コドンを大腸菌に最適化するプログラムを用いた人工DNA合成(株式会社ファスマック社製)により、コドンをヒト型から大腸菌型に変換した配列番号2に示すヌクレオチド配列を設計した。配列番号2の5’末端側に制限酵素サイト(NcoI)およびリンカー配列Glyを、および3’末端側にリンカー配列としてGly、Glyの2アミノ酸とタグ配列として6×Hisの6アミノ酸の合計8アミノ酸を付与したアミノ酸配列と終止コドンと制限酵素消化サイト(HindIII)をコードする配列番号3に示すポリヌクレオチド配列を設計した。
(2)設計した配列番号3に示したポリヌクレオチド配列を含んだ人工DNA合成プラスミドから(株式会社ファスマック社製より購入)、配列番号3に示すポリヌクレオチド配列を制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、アガロース電気泳動にて切り出し、精製した。
(3)(2)で得られた精製ポリヌクレオチドをあらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌BL21株(DE3)を形質転換した。
(4)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、発現ベクターpET−eFcR2aを抽出した。
(5)(4)で作製した発現ベクターpET−eFcR2aのうち、FcγRIIaをコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(ライフサイエンス社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(ライフサイエンス社製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号4(5’−TGTGGTATGGCTGTGCAGG−3’)または配列番号5(5’−TCGGCATGGGGTCAGGTG−3’)に記載のオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
発現ベクターpET−eFcR2aで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号6に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号7に、それぞれ示す。なお配列番号6において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から33番目のグリシン(Gly)までがリンカー配列であり、34番目のグルタミン(Gln)から208番目のプロリン(Pro)までがヒトFcγRIIaの細胞外領域(配列番号1の34番目から208番目までの領域)であり、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。
実施例2 ヒトFcγRIIa部分配列の抗体結合確認
(1)実施例1で得られた、発現ベクターpET−eFcR2aで形質転換した大腸菌BL21(DE3)株を、50μg/mLのカナマイシンを含む3mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、イーストエキストラクト10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種後、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した20mLの2YT液体培地に(1)の前培養液を200μL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始90分後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養後、終濃度0.01mMとなるようIPTGを添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ社製)を用いてタンパク質抽出液を調製した。
(5)(4)で調製したタンパク質抽出液に含まれるヒトFcγRIIa部分配列の抗体結合活性を、下記に示すELISA法を用いて測定した。
(5−1)ヒト抗体であるガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellから150mMのNaClを含んだ20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)にて希釈系列を作製し固定化した(4℃で18時間)。固定化終了後、0.5%(w/v)のBovine serum albumin(Aldrich社製)、および150mMのNaClを含んだ20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(5−2)洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20、150mMのNaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、(4)で調製したヒトFcγRIIa部分配列を含む溶液を固定化ガンマグロブリンと反応させた(30℃で1時間)。
(5−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したAnti−6His抗体(Bethyl Laboratories社製)を100μL/wellで添加した。
(5−4)30℃で1時間反応させ、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。1Mのリン酸を50μL/well添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(Tecan社製)にて450nmの吸光度を測定した。
ガンマグロブリン(抗体)を様々な希釈系列にて固定化したプレートに対し、(4)で調製したヒトFcγRIIa部分配列を含む溶液を一定量添加したときの、プレートへのガンマグロブリン(抗体)固定化量と抗体結合活性に相当する吸光度(450nm)との関係をまとめた図を図2に示す。なお図2において(−)は、ガンマグロブリン(抗体)の固定化を行なわなかったプレート(ネガティブコントロール)である。プレートへの抗体固定化量が減少するほど吸光度も減少していることから、ヒトFcγRIIa部分配列がヒト抗体と結合していることが確認できる。
実施例3 ヒトFcγRIIa部分配列の特異性確認
実施例1で得られた形質転換体で発現させたヒトFcγRIIa部分配列、および市販のヒトFcγRIIa(R&Dシステムズ社製)のヒトIgGサブクラスへの特異性を評価した。固定化抗体をガンマグロブリン製剤からヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4(シグマアルドリッチ社製)に変更し、プレートへの固定化量を10μg/wellとした他は、実施例2(5)と同様の方法で評価した。
評価結果を図3に示す。実施例2で調製したヒトFcγRIIa部分配列のIgGサブクラスへの特異性は、市販のヒトFcγRIIaと同様であった。したがって、ヒトFcγRIIa部分配列のアミノ酸配列をヌクレオチド配列に変換する際に大腸菌型のコドンを用いても、発現したヒトFcγRIIa部分配列の抗体への特異性に問題がないことが確認された。
比較例1 FcγRIIa部分配列の発現ベクターの作製(ヒト型コドン)
(1)配列番号1に記載のヒトFcγRIIaアミノ酸配列のうち、34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸配列を基に、使用コドンをヒト型に最適化するプログラムを用いた人工DNA合成(株式会社ファスマック社製)により、コドンをヒト型に変換した配列番号8に示すヌクレオチド配列を設計した。配列番号8の5’末端側に制限酵素サイト(NcoI)およびリンカー配列Glyを、および3’末端側にリンカー配列としてGly、Glyの2アミノ酸、およびタグ配列として6×Hisの6アミノ酸の合計8アミノ酸を付与したアミノ酸配列と終止コドンと制限酵素消化サイト(HindIII)をコードする配列番号9に示すポリヌクレオチド配列を設計した。
(2)設計した配列番号9に示したポリヌクレオチド配列を含んだ人工DNA合成プラスミドから(株式会社ファスマック社製より購入)、配列番号9に示すポリヌクレオチド配列を制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、アガロース電気泳動にて切り出し、精製した。
(3)(2)で得られた精製ポリヌクレオチドをあらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌BL21株(DE3)を形質転換した。
(4)(3)で得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、発現ベクターpET−hFcR2aを抽出した。
(5)作製した発現ベクターpET−hFcR2aのうち、FcγRIIa部分配列をコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、実施例1(5)と同様の方法で配列解析を行なった。
配列解析の結果、発現ベクターpET−hFcR2aで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列は配列番号6と同じであった。また当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号10に示し、大腸菌型コドンを用いて変換したポリヌクレオチドの配列(実施例1、配列番号7)と配列を比較した結果を図4に示す。ヒト型コドンを用いた場合(human codon、配列番号10)と大腸菌型コドンを用いた場合(E.coli codon、配列番号7)とのヌクレオチド配列の相同性は約82%であった。
実施例4 FcγRIIa細胞外領域の発現量比較
(1)実施例1で作製した発現ベクターpET−eFcR2a、または比較例1で作製した発現ベクターpET−hFcR2aで形質転換された大腸菌BL21(DE3)株を、50μg/mLのカナマイシンを含む3mLの2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した20mLの2YT液体培地に(1)の前培養液を200μL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始90分後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養後、終濃度0.01mMとなるようIPTGを添加し、引き続き20℃で好気的に振とう培養した。
(4)(2)の培養開始から16時間後、24時間後に培養液2mLを採取した。採取した培養液は遠心分離により集菌後、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ社製)を用いてタンパク質抽出液を調製した。
(5)(4)で調製したタンパク質抽出液に含まれるヒトFcγRIIa部分配列の濃度を、実施例2(5)に記載のELISA法を用いて測定した。なおヒトFcγRIIa部分配列の濃度は、濃度既知のFcγRIIa(R&Dシステムズ社製)を用いて検量線を作製して算出した。
結果を図5に示す。培養液あたりのヒトFcγRIIa部分配列の発現量で比較したところ、発現ベクターとして、大腸菌型コドンを用いてヌクレオチド配列に変換し作製した発現ベクターpET−eFcR2a(実施例1)のほうが、ヒト型コドンを用いてヌクレオチド配列に変換し作製した発現ベクターpET−hFcR2a(比較例1)よりも、発現量が約1.5倍増大していた。すなわちヒトFcγRIIa部分配列をポリヌクレオチドに変換する際、大腸菌型コドンを用いて変換し、当該変換したポリヌクレオチドを含むベクターで大腸菌を形質転換して得られた形質転換体を培養することで、ヒトFcγRIIaまたはその部分配列を高効率に製造できることがわかる。

Claims (4)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも34番目のグルタミンから208番目のプロリンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号2又は3に記載のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  3. 請求項に記載のベクターで大腸菌を形質転換して得られる形質転換体。
  4. 請求項に記載の形質転換体を培養し、得られた培養物からヒトFcγRIIa又はその部分配列を回収する、ヒトFcγRIIa又はその部分配列の製造方法。
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