JP6828291B2 - ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法 - Google Patents

ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6828291B2
JP6828291B2 JP2016136271A JP2016136271A JP6828291B2 JP 6828291 B2 JP6828291 B2 JP 6828291B2 JP 2016136271 A JP2016136271 A JP 2016136271A JP 2016136271 A JP2016136271 A JP 2016136271A JP 6828291 B2 JP6828291 B2 JP 6828291B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
human fcrn
amino acid
polynucleotide
seq
fcrn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016136271A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018000174A (ja
Inventor
奈都子 木津
奈都子 木津
義晴 朝岡
義晴 朝岡
青木 大
大 青木
田中 亨
亨 田中
大江 正剛
正剛 大江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2016136271A priority Critical patent/JP6828291B2/ja
Publication of JP2018000174A publication Critical patent/JP2018000174A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6828291B2 publication Critical patent/JP6828291B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、ヒトneonatal FcR(FcRn)をコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法に係る。特に本発明は、ヒトFcRnを宿主で効率的に発現可能なポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法に係る。
ヒトFcRnは免疫グロブリンスーパーファミリーに属するヒトFcγレセプターとは異なり、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI関連分子で、重鎖(α鎖)と、β2ミクログロブリン(β鎖)により構成されている(非特許文献1)。FcRnはIgGのリサイクリング機構に関与しており、IgGの分解を抑制する働きをもつ。また、FcRnはpH依存的にIgGと結合し、pH6.5以下で結合する(非特許文献2)。
ヒトFcRnのα鎖のアミノ酸配列(配列番号1)は、UniProt(Accession number:P55899)などの公的データベースに公表されている。また、β鎖のアミノ酸配列(配列番号2)は、UniProt(Accession number:P61769)に公表されている。また、ヒトFcRnの構造上の機能ドメイン、細胞膜を貫通するためのシグナルペプチド配列、細胞膜貫通領域の位置についても同様に公表されている。図1にヒトFcRnのα鎖、図2にβ鎖の構造略図を示す。なお、図1中のアミノ酸番号は配列番号1に記載のアミノ酸番号に対応する。すなわち、配列番号1中の1番目のメチオニン(Met)から23番目のグリシン(Gly)までがシグナル配列(S)、24番目のアラニン(Ala)から297番目のセリン(Ser)までが細胞外領域(EC)、298番目のバリン(Val)から321番目のトリプトファン(Trp)までが細胞膜貫通領域(TM)および322番目のアルギニン(Arg)から365番目のアラニン(Ala)までが細胞内領域(C)とされている。また、図2中のアミノ酸番号は配列番号2に記載のアミノ酸番号に対応する。すなわち、配列番号1中の1番目のメチオニン(Met)から20番目のアラニン(Ala)までがシグナル配列(S)、21番目のイソロイシン(Ile)から119番目のメチオニン(Met)までがβ2ミクログロブリン(B2M)とされている。
遺伝子工学的手法を用いたFcRnの発現は、HEK293細胞などの動物細胞を宿主として10mg/Lの発現量で発現した例が報告されている(非特許文献3)。しかし、動物細胞に比べて簡便で安価に製造可能である大腸菌を宿主として発現させた場合、可溶性のFcRnとして発現させることは報告されていない。
N.E.Simister等,Nature,337,184−187,1989 M.Raghavan等,Biochemistry,34,14649−14657,1995 Y.Feng等,Protein ExprPurif.,79(1),66−71,2011
本発明の課題は、ヒトFcRnを宿主で効率的に発現可能なポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用してヒトFcRnを効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒトFcRnのうち、少なくとも細胞外領域の一部を含む領域のアミノ酸配列をヌクレオチド配列に変換する際に、大腸菌型のコドンを用いることで、大腸菌を宿主としたヒトFcRnの製造を実現し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する:
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基と配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質を大腸菌型コドンを用いて変換した、ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチド。
(B)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基と配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質を大腸菌型コドンを用いて変換した、ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチド。
(C)配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む、(A)に記載のポリヌクレオチド。
(D)(A)から(C)のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
(E)(D)に記載のベクターで大腸菌を形質転換して得られる形質転換体。
(F)(E)に記載の形質転換体を培養し、得られた培養液からヒトFcRnを回収する、ヒトFcRnの製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcRnのα鎖のうち、細胞外領域(図1のEC)である、24番目のアラニンから297番目のセリンと配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcRnのβ鎖のうち少なくとも21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むタンパク質をポリヌクレオチドに変換する際、大腸菌型コドンを用いて変換することを特徴としている。前記タンパク質は、α鎖の細胞外領域(図1のEC)の一部である、24番目のアラニンから297番目のセリンと配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるβ鎖の21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含んでいればよく、細胞外領域(図1のEC)のN末端側にあるシグナルペプチド領域(図1のS)の全てまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側にある細胞膜貫通領域(図1のTM)および細胞外領域(図1のC)の全てまたは一部を含んでもよい。さらにタンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcRnのα鎖のうち、24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基と配列番号2に記載のアミノ酸からなるヒトFcRnのβ鎖のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質であっても、本発明に含まれる。
本発明のポリヌクレオチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcRnのα鎖のうち、24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基と配列番号2に記載のアミノ酸からなるヒトFcRnのβ鎖のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基(または、さらに前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したもの)を少なくとも含むタンパク質から、コードするアミノ酸は変えずに、大腸菌の翻訳機構において利用頻度が低いコドン(レアコドン)から利用頻度が高いコドンに変換することにより得られる。具体的には大腸菌(Escherichia coli)の場合、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれレアコドンであるため、それらのコドンを避けるように変換すればよい。なお宿主におけるコドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Database等)を利用することで可能である。本発明のポリヌクレオチドは、α鎖、β鎖をそれぞれ発現させてもよく、α鎖とβ鎖をリンカーで結合させてもよい。一例として、ヒトFcRnのα鎖とβ鎖をリンカーで結合させた配列番号3に記載の配列を含むポリヌクレオチドがあげられる。
本発明のポリヌクレオチドの作製方法としては、
(I)ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドに対して、PCR等のDNA増幅法を用いて、大腸菌型コドンとなるよう変異を導入し、作製する方法や、
(II)ヒトFcRnのアミノ酸配列を大腸菌型コドンを用いてヌクレオチド配列に変換したものを設計し、当該設計した配列からなるポリヌクレオチドを人工的に合成する方法、
が例示できる。なお前記(I)または(II)の方法で作製した本発明のポリヌクレオチドの5’末端側にシグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを付加してもよく、宿主が大腸菌の場合は、前記シグナルペプチドとしてpelB、DsbA、MalE(UniProt No.P0AEX9に記載のアミノ酸配列のうち1番目から26番目までの領域)、TorTといったペリプラズムにタンパク質を分泌させるシグナルペプチドをあげることができる(特開2011−097898号公報)。
本発明のポリヌクレオチドを用いて宿主を形質転換する場合、本発明のポリヌクレオチドそのものを用いてもよいが、発現ベクター(例えば、原核細胞や真核細胞の形質転換に通常用いるバクテリオファージ、コスミドやプラスミド等)の適切な位置に本発明のポリヌクレオチドを挿入したものを用いると、より好ましい。なお当該発現ベクターは、形質転換する宿主内で安定に存在し複製できるものであれば特に制限はなく、大腸菌を宿主とする場合は、pETプラスミドベクター、pUCプラスミドベクター、pTrcプラスミドベクター、pCDFプラスミドベクター、pBBRプラスミドベクターを例示することができる。また前記適切な位置とは、発現ベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、伝達性に関わる領域を破壊しない位置を意味する。前記発現ベクターに本発明のポリヌクレオチドを挿入する際は、発現に必要なプロモータといった機能性ポリヌクレオチドに連結される状態で挿入すると好ましい。当該プロモータの例として、宿主が大腸菌の場合は、trpプロモータ、tacプロモータ、trcプロモータ、lacプロモータ、T7プロモータ、recAプロモータ、lppプロモータ、さらにはλファージのλPLプロモータ、λPRプロモータ等を例示することができる。前記方法により作製した本発明のポリヌクレオチドを挿入した(本発明のポリヌクレオチドを含む)ベクター(本発明のベクター)で宿主を形質転換するには、当業者が通常用いる方法で行なえばよい。
本発明のポリヌクレオチドを挿入したベクターで宿主を形質転換して得られる本発明の形質転換体から、本発明のベクターを調製するには、本発明の形質転換体を培養して得られる培養物からアルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)等の市販の抽出キットを用いて調製すればよい。
本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物からヒトFcRnを回収することで、ヒトFcRnを製造することができる。なお本明細書において培養物とは、培養された本発明の形質転換体の細胞そのもののほか、培養に用いた培地も含まれる。本発明のタンパク質製造方法で用いる形質転換体は、対象宿主の培養に適した培地で培養すればよく、宿主が大腸菌の場合は、必要な栄養源を補ったLB(Luria−Bertani)培地が好ましい培地の一例としてあげられる。なお、本発明のベクターの導入の有無により本発明の形質転換体を選択的に増殖させるために、培地に当該ベクターに含まれる薬剤耐性遺伝子に対応した薬剤を添加して培養すると好ましい。例えば、当該ベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでいる場合は、培地にカナマイシンを添加すればよい。また培地には、炭素、窒素および無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加してもよく、さらにグリシンといった前記形質転換体から培養液へのタンパク質分泌を促す試薬を添加してもよく、具体的には、宿主が大腸菌の場合、培地に対してグリシンを2%(w/v)以下で添加すると好ましい。培養温度は宿主が大腸菌の場合、一般に10℃から40℃、好ましくは20℃から37℃、より好ましくは25℃前後であるが、発現させるタンパク質の特性により選択すればよい。培地のpHは宿主が大腸菌の場合、pH6.8からpH7.4、好ましくはpH7.0前後である。また本発明のベクターに誘導性のプロモータが含まれている場合は、本発明のタンパク質が良好に発現できるような条件下で誘導をかけると好ましい。誘導剤としてはIPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を例示することができる。宿主が大腸菌の場合、培養液の濁度(600nmにおける吸光度)を測定し、約0.5から1.0となったときに適当量のIPTGを添加後、引き続き培養することで、ヒトFcRnの発現を誘導することができる。IPTGの添加濃度は0.005から1.0mMの範囲から適宜選択すればよいが、0.01から0.5mMの範囲が好ましい。IPTG誘導に関する種々の条件は当該技術分野において周知の条件で行なえばよい。
本発明の形質転換体を培養して得られた培養物からヒトFcRnを回収するには、本発明の形質転換体におけるヒトFcRnの発現形態に適した方法で、当該培養物から分離/精製してヒトFcRnを回収すればよい。例えば、培養上清に発現する場合は菌体を遠心分離操作によって分離し、得られる培養上清からヒトFcRnを精製すればよい。また、細胞内(ペリプラズムを含む)に発現する場合には、遠心分離操作により菌体を集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等の添加、超音波などにより菌体を破砕してヒトFcRnを抽出した後、精製すればよい。ヒトFcRnを精製するには、当該技術分野において公知の方法を用いればよく、一例として液体クロマトグラフィーを用いた分離/精製があげられる。液体クロマトグラフィーには、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等があり、これらのクロマトグラフィーを組み合わせて精製操作を行なうことにより、ヒトFcRnを高純度に調製することができる。
得られたヒトFcRnのIgGに対する結合活性を測定する方法としては、例えばIgGに対する結合活性をEnzyme−Linked ImmunoSorbent Assay(以下、ELISAと表記)法や表面プラズモン共鳴法などを用いて測定すればよい。結合活性の測定に使用するIgGは、ヒトIgGが好ましい。
本発明は、配列番号1に記載のヒトFcRnのα鎖のアミノ酸配列のうち、細胞外領域の一部である24番目のアラニンから297番目のセリンと配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcRnのβ鎖のうち少なくとも21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基(または、さらに前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したもの)を少なくとも含むタンパク質を大腸菌型コドンを用いて変換して得られるポリヌクレオチドであり、前記ポリヌクレオチドを用いて大腸菌を形質転換することで、大腸菌でヒトFcRnを効率的に製造することができる。
さらに本発明において得られたヒトFcRnは可溶性であるため、工業的用途に使用する場合に不溶性のヒトFcRnよりも簡便に加工することができる。
ヒトFcRnのα鎖の概略図である。図中の数字は配列番号1に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、ECは細胞外領域、TMは細胞膜貫通領域、Cは細胞内領域を示している。 ヒトFcRnのβ鎖の概略図である。図中の数字は配列番号2に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、B2Mはβ2ミクログロブリンを示している。 実施例1で得られた形質転換体で発現させたヒトFcRnのヒトIgGへの結合性を示した図である。 ヒトFcRnをヒト型コドン(human、上段)および大腸菌型コドン(E.coli、下段)を用いてポリヌクレオチドに変換したときの、ヌクレオチド配列を比較した図である。 ヒトFcRnをヒト型コドン(human、上段)および大腸菌型コドン(E.coli、下段)を用いてポリヌクレオチドに変換したときの、ヌクレオチド配列を比較した図である。 ヒトFcRnをヒト型コドン(human、上段)および大腸菌型コドン(E.coli、下段)を用いてポリヌクレオチドに変換したときの、ヌクレオチド配列を比較した図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 ヒトFcRn発現ベクターの作製(大腸菌型コドン)
(1)配列番号1に記載のヒトFcRnのα鎖のアミノ酸配列のうち、24番目のアラニンから297番目のセリンと配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcRnのβ鎖のアミノ酸配列のうち21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸配列を基に、DNAworks法(Nucleic Acids Res.,30,e43,2002)を用いて、コドンをヒト型から大腸菌型に変換し、リンカーでつないだヌクレオチド配列を設計した。また、両端にNcoIとHindIIIの制限酵素を含めた。設計したヌクレオチド配列を配列番号3に示す。
(2)設計したヌクレオチドを人工的に合成した。
(3)(2)で得られたポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌BL21株(DE3)を形質転換した。
(4)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、発現ベクターpET−eFcRnを抽出した。
(5)(4)で作製した発現ベクターpET−eFcRnのうち、FcRnをコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(ライフサイエンス社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(ライフサイエンス社製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号4(TAATACGACTCACTATAGGG−3’)または配列番号5(5’−TATGCTAGTTATTGCTCAG−3’)に記載のオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
発現ベクターpET−eFcRnで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号6に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号7に、それぞれ示す。なお配列番号6において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から33番目のグリシン(Gly)までがリンカー配列であり、34番目のイソロイシン(Ile)から132番目のメチオニン(Met)までがヒトFcRnのβ鎖(配列番号2の21番目から119番目までの領域)であり、133番目のグリシン(Gly)から157番目のセリン(Ser)までがリンカー配列であり、158番目のアラニン(Ala)から431番目のセリン(Ser)までが、ヒトFcRnのα鎖の細胞外領域(配列番号1の24番目から297番目までの領域)であり、432番目から437番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。
実施例2 ヒトFcRnの抗体結合確認
(1)実施例1で得られた、発現ベクターpET−eFcRnで形質転換した大腸菌BL21(DE3)株を、50μg/mLのカナマイシンを含む4mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、イーストエキストラクト10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種後、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した15mLの2YT液体培地に(1)の前培養液を150μL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始150分後、終濃度0mM/0.1mMとなるようIPTGを添加し、20℃で4時間、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、超音波発生機(トミー精工社製)を用いて、可溶分画中のタンパク質抽出液を調製した。
(5)(4)で調製したタンパク質抽出液に含まれるヒトFcRnの抗体結合活性を、下記に示すELISA法を用いて測定した。
(5−1)ヒト抗体であるガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を、96穴マイクロプレートのウェルに10μg/well固定化した(4℃で18時間)。固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(BD社製)を含んだリン酸緩衝液(pH6.0)によりブロッキングした。
(5−2)洗浄緩衝液(リン酸緩衝液(pH6.0))で洗浄後、(4)で調製したヒトFcRnを含む溶液を固定化ガンマグロブリンと反応させた(30℃で1時間)。
(5−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、ブロッキング溶液で100ng/mLに希釈したAnti−6His抗体(Bethyl Laboratories社製)を100μL/wellで添加した。
(5−4)30℃で1時間反応させ、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(Tecan社製)にて450nmの吸光度を測定した。
(4)で調製したヒトFcRnを含む溶液を添加したときの、抗体結合活性に相当する吸光度(450nm)の関係をまとめた図を図3に示す。なお図3においてpETMalEは、FcRnの遺伝子を挿入していないプラスミドを同様に培養、抽出したもの(ネガティブコントロール)である。FcRn遺伝子を挿入していない場合と比較して、挿入している方が吸光度が増加していることから、ヒトFcRnが活性状態で発現していることがわかる。

Claims (4)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも24番目のアラニンから297番目のセリンまでのアミノ酸残基と配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも21番目のイソロイシンから119番目のメチオニンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質であるヒトFcRnをコードする、配列番号3に記載のヌクレオチド配列を含む、大腸菌型コドンを用いて変換した、ポリヌクレオチド。
  2. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  3. 請求項2に記載のベクターで大腸菌を形質転換して得られる形質転換体。
  4. 請求項3に記載の形質転換体を培養し、得られた培養物からヒトFcRnを回収する、ヒトFcRnの製造方法。
JP2016136271A 2016-07-08 2016-07-08 ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法 Active JP6828291B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016136271A JP6828291B2 (ja) 2016-07-08 2016-07-08 ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016136271A JP6828291B2 (ja) 2016-07-08 2016-07-08 ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018000174A JP2018000174A (ja) 2018-01-11
JP6828291B2 true JP6828291B2 (ja) 2021-02-10

Family

ID=60945695

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016136271A Active JP6828291B2 (ja) 2016-07-08 2016-07-08 ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6828291B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6911490B2 (ja) * 2017-04-26 2021-07-28 東ソー株式会社 安定型Fc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018000174A (ja) 2018-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4857279B2 (ja) カルボキシ末端をアミド化したペプチドの製造方法
US9353161B2 (en) Streptavidin mutein exhibiting reversible binding for biotin and streptavidin binding peptide tagged proteins
CN109072203B (zh) 镜像核酸复制体系
RU2218402C2 (ru) Выделенный полипептид, имеющий гомологию относительно комплемент родственного белка адипоцитов (варианты), гибридный белок (варианты), экспрессирующий вектор, способ получения полипептида, поликлональное антитело, фрагмент выделенного полинуклеотида (варианты)
Dobrovetsky et al. High-throughput production of prokaryotic membrane proteins
KR20170115535A (ko) 면역 글로불린에 친화성을 갖는 단백질, 및 그것을 사용한 친화성 분리제, 액체 크로마토그래피용 칼럼
CA2386471C (en) Purification of recombinant proteins fused to multiple epitopes
JP7030702B2 (ja) 改良型組換えFcγRII
JP6710451B2 (ja) 改変型組換えFcγRIIb
JP6828291B2 (ja) ヒトFcRnをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcRnの製造方法
WO2018170362A2 (en) Versatile display scaffolds for proteins
JP5865002B2 (ja) 組換えプラスミドベクターおよびそれを用いたタンパク質の製造方法
WO2014187974A1 (en) Fusion protease
CN109136209B (zh) 肠激酶轻链突变体及其应用
EP1981978B1 (en) Affinity polypeptide for purification of recombinant proteins
JP6116884B2 (ja) 改良Fc結合性タンパク質およびその製造方法
JP6753143B2 (ja) FcγRIIaをコードするポリヌクレオチド及びFcγRIIaの製造方法
JP2015035958A (ja) ヒトFcレセプターをコードするポリヌクレオチドおよび当該ポリヌクレオチドを利用したヒトFcレセプターの製造方法
WO2015086825A1 (en) Atypical inteins
JP2012130294A (ja) 抗体結合タンパク質およびその製造方法
WO2024119434A1 (zh) 一种提高重组蛋白表达效率的酸性表面助溶短肽标签
WO2009005973A2 (en) Synthetic gene for enhanced expression in e.coli
JP2021136967A (ja) 熱に対する安定性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤
JP2022076998A (ja) 酸に対する安定性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤
Heeke et al. Synthesis of recombinant peptides

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200818

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210104

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6828291

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151