図1は、本発明の実施の形態に係る充電システムにおける実施例1の全体構成を示すブロック図である。図1の充電システムは、デジタルカメラ2、充電器となる充電/データ転送ステーション4、およびパソコン6、を含み、パソコン6にUSBケーブル8で接続された充電/データ転送ステーション4からNFCにより充電対象であるデジタルカメラ2を充電する。なお、図1には、充電/データ転送ステーション4との間でNFCによる通信が可能なICカードを図示している。充電システムとの関係は後述する。
充電対象のデジタルカメラ2は、カメラ制御部12により制御されるカメラ機能部14およびカメラ記憶部を有する。カメラ機能部14は光学系、撮像部、画像処理部、表示部、操作部などデジタルカメラの機能をまとめたものである。また、カメラ記憶部16は、カメラ制御部12の機能に必要なプログラム、データなどを記憶するとともに、カメラ機能部14により得られた画像データを記憶する。電源部18は、充電方式の電池(以下、充電池20)を有するとともに、デジタルカメラ各部に給電する。
デジタルカメラ2は、デジタルカメラ短距離通信アンテナ22を有し、制御部12の制御により充電/データ転送ステーション4と通信する。なお、デジタルカメラ短距離通信アンテナ22は、他の機器(例えばパソコン6と直接)とも通信することができる。本明細書では、「短距離通信」という用語は、無線LANやBluetooth(登録商標)等による数10メートル程度の短距離内における通信を意味することとする。このような短距離通信における通信圏内には複数の通信可能な機器が存在する可能性がある。
デジタルカメラ2は、また、その底面に配置されたデジタルカメラNFCアンテナ24を有し、制御部12の制御により充電/データ転送ステーション4と通信する。デジタルカメラNFCアンテナ24は、扁平なアンテナコイルである。また、デジタルカメラNFCアンテナ24は、10センチメートル程度の距離を通信圏とするので、通信圏内に入るのはデジタルカメラ2に近接する単一の機器である。デジタルカメラNFCアンテナ24はこのように本来通信アンテナであり、例えば、デジタルカメラNFCアンテナ24の通信圏内に単一の機器が入ることによりまずその特定の機器と通信を確立し、その後、その特定の機器との間でデジタルカメラ短距離通信アンテナ22により大容量の画像データのやり取りをする等の機能を担う。
実施例1では、上記のようなジタルカメラNFCアンテナ24を無接点充電に兼用する。つまり、近接する給電用の外部機器による電磁場変化でデジタルカメラNFCアンテナ24に誘起される電流で充電池20を充電するようにする。なお、充電池20は通常の充電端子26によっても有接点で外部から充電できる。
充電/データ転送ステーション4は、デジタルカメラ2におけるデジタルカメラNFCアンテナ24が配置された面が接する充電面を有し、この充電面の下で移動式NFCアンテナ/IC28が移動する。これによって、異種のデジタルカメラにおいてデジタルカメラNFCアンテナ24が配置される位置が異なっていても移動式NFCアンテナ/IC28をデジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置に移動させ、効率的に充電を行うことができる。移動式NFCアンテナ/IC28におけるNFCアンテナも扁平なアンテナコイルであり、デジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置に移動させられたとき両者の扁平なアンテナコイルは平行に近接し、良好な電磁誘導が実現する。上記の位置合わせの目的のため、アンテナ制御部30は移動式NFCアンテナ/IC28の電流をモニタし、これに基づいてアンテナ駆動機構32を制御する。アンテナ駆動機構32は後述のようにX−Yの二次元方向に移動式NFCアンテナ/IC28を移動させることができる。
充電制御部34は、パソコン6からの給電に基づく電源部36からの電力により、上記のような移動式NFCアンテナ/IC28に電磁誘導のための給電電流を供給する。なお、充電制御部34は、デジタルカメラ2が充電用正規位置にないと判断されるとき、または充電用正規位置にあるのが電磁場発生で破損する恐れのあるICカード10であると判断されるとき、電磁誘導のための給電電流供給を禁止する。近接センサ38は、この目的のため、充電/データ転送ステーション4の充電面にある機器が充電用正規位置にあるかどうか、また、機器が充電用正規位置に置かれたとしてもそれがICカード10でないかどうかを検知する。その詳細は後述する。
上記のようにして、デジタルカメラ2が充電用正規位置にないと判断されるとき、または充電用正規位置にあるのがICカード10であると判断されるとき、移動式NFCアンテナ/IC28はこれらの機器と本来の通信を行う。なお、移動式NFCアンテナ/IC28がデジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置になくても通信は可能なので、給電電流供給を禁止するときは移動式NFCアンテナ/IC28を移動させない。
充電/データ転送ステーション4における短距離通信アンテナ/IC40は、デジタルカメラ短距離通信アンテナ22との間で大容量の画像データのやり取りをする。また、充電/データ転送ステーション4における表示部42は、充電の有無、開始、完了ならびにデータ転送の有無、開始、完了等を表示する。
ICカード10には、パソコン6との間の認証やデータ通信等のためのカード機能部44および、移動式NFCアンテナ/IC28または他のデータリーダ/ライタとの間でデータやり取りを行うカードNFCアンテナ46を有する。
パソコン6は、上記のような充電/データ転送ステーション4の機能の制御のためのパソコン制御部48を有する。パソコン記憶部50は、パソコン制御部50の機能に必要なプログラム、データなどを記憶するとともに、デジタルカメラから転送された画像データ等を記憶する。電源部52は、充電/データ転送ステーション4の電源部36に給電する。USBケーブル8は、上記のようなパソコン制御部48による充電/データ転送ステーション4の機能の制御のための制御情報のやり取り、および充電/データ転送ステーション4の電源部36への給電のため、充電/データ転送ステーション4とパソコン6を接続する。なお、図1に図示された接続ラインは各構成要素の関連を模式的に示したものであり、実際のUSBケーブルの構造を示すものではない。充電/データ転送ステーション4とパソコン6との間の実際の制御信号および電力は通常のUSBケーブルの規格に従ったケーブル構造によって行われる。
図2は、図1の実施例1における充電/データ転送ステーション4の上面図及び正面図で、図1と同じ部分には同じ番号を付す。図2(A)は上面図であり、充電/データ転送ステーション4の充電面4aにデジタルカメラ2(一点鎖線)が載置されている状態を示す。デジタルカメラ2はその底面形状が図示されている。充電面4aには充電用正規位置のためのL字型の位置決めストッパー54が設けられており、図2(A)の状態ではデジタルカメラ2が位置決めストッパー54に押し当てられた充電用正規位置で充電/データ転送ステーション4に載置されている。近接センサ38は、図2(A)に示すように正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cからなり、それぞれ光学式近接センサで構成される。
図2(A)のようにデジタルカメラ2が位置決めストッパー54に押し当てられた充電用正規位置にあると、デジタルカメラ2の底面が正規位置検知用センサ38aおよび誤方向検知センサ38cを覆うので、その出力により充電用正規位置へのセットが検知できる。一方、カード検知用センサ38bは通常面積のデジタルカメラ底面には覆われない位置にあるので、セットされているのがデジタルカメラであることが確認される。このようにして正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cの出力の組み合わせによりデジタルカメラが充電用正規位置にセットされていることが検知される。
なお、図2(A)においてデジタルカメラ2が90度回転させた状態で位置決めストッパー54に押し当てられた場合、デジタルカメラ2の底面は正規位置検知用センサ38aおよびカード検知用センサ38bを覆い、誤方向検知センサ38cを覆わない状態となる。この場合は、表示部42において「カメラを90度回転させてストッパーに押し当ててください」等のメッセージを表示し、これに従って充電用正規位置へのセットが行われるまでは、充電のための機能をスタートさせない。
次に、移動式NFCアンテナ/IC28をデジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置まで移動させるためのアンテナ駆動機構32について説明する。アンテナ駆動機構32は、図2(A)のようにX方向の固定レール38a、この固定レール38a上を図2(A)紙面で左右方向に平行移動するY方向の可動レール38b、およびこの可動レール38bの上を図2(A)紙面で左右方向に平行移動する遊動子32cを有する。なお、煩雑のため図示を省略しているが、固定レール38aに対して可動レール38bを動かす駆動源、および可動レール38bに対して遊動子32cを動かす駆動源がそれぞれ可動レール38bおよび遊動子32cに設けられている。これらの駆動源は例えばマイクロモータである。移動式NFCアンテナ/IC28は遊動子32cに搭載されているので充電面4aに平行に自由に二次元移動が可能であり、移動式NFCアンテナ/IC28とデジタルカメラNFCアンテナ24の相対関係を検知するアンテナ制御部30の出力に基づき移動式NFCアンテナ/IC28をデジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置で静止させることができる。
なお、正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cの出力の組み合わせによりデジタルカメラが充電用正規位置にセットされていることが検知されると、無駄な移動を避けるため、移動式NFCアンテナ/IC28は、通信用位置から充電用初期位置までまず移動させられる。ここで通信用位置とは、例えば、充電面4aの中央であり、充電用初期位置とは、例えば、種々のデジタルカメラにおけるデジタルカメラNFCアンテナ24の平均的な位置である。
図2(B)は、充電/データ転送ステーション4の正面図であり、デジタルカメラ2と
位置決めストッパー54の関係、デジタルカメラ2およびデジタル充電/データ転送ステーション4の内部構造の上下方向の位置関係が明らかである。また、固定レール38aにまたがって可動レール38bが図2(B)紙面で左右方向に平行移動すること、また、可動レール38bにまたがって遊動子32cが図2(B)紙面に垂直な方向に平行移動することが明らかである。
図3は、図1の実施例1における充電/データ転送ステーション4の上面図であり、異種のデジタルカメラが充電/データ転送ステーション4に載置された場合について説明している。図2と同じ構成に同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図3(A)は、図2(A)と基本的に同じものであるが、移動式NFCアンテナ/IC28が充電用初期位置まで移動させられた状態を示す。移動式NFCアンテナ/IC28は、図2(A)に示す充電用初期位置からさらに矢印56で示すようにデジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置まで移動させられる。なお、簡単のため、この移動を行うためのアンテナ駆動機構32の図示は省略している。
図3(B)は、異種のデジタルカメラ58が充電/データ転送ステーション4に載置された場合を示す。この異種のデジタルカメラ58は外形寸法が異なるとともにデジタルカメラNFCアンテナ60の配置も異なっている。しかしながら、図3(A)と同様にして、正規位置検知用センサ38aおよび誤方向検知センサ38cがデジタルカメラ58の底面で覆われるとともにカード検知用センサ38bが覆われていないので、セットされているのがデジタルカメラであることが確認され、電磁誘導のための給電電流供給が行われる。また、移動式NFCアンテナ/IC28は、図3(A)と同様にして、充電用初期位置から矢印62で示すようにデジタルカメラNFCアンテナ60に対応する位置まで移動させられる。
図4は、図1の実施例1における充電/データ転送ステーション4の上面図であり、デジタルカメラ2が充電を目的とせずに充電/データ転送ステーション4に載置された場合について説明している。図2と同じ構成に同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図4(A)は、図2(A)と基本的に同じものであるが、デジタルカメラ2が、位置決めストッパー54に押し当てられていない。この結果、正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cがデジタルカメラ2の底面で覆われない。このような状態では、正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cの出力の組み合わせにより、充電/データ転送ステーション4に載置された機器が充電を目標とするものではないと判断される。この結果、移動式NFCアンテナ/IC28は、載置された機器にかかわらず同じ通信用位置に留め置かれるとともに、電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。そしてNFCによるデータ転送のみが行われる。
図4(B)もデジタルカメラ2が位置決めストッパー54に押し当てられていない状態であるが、図4(A)とは異なる向きで充電/データ転送ステーション4に載置されている。 図4(B)の場合は、正規位置検知用センサ38aがデジタルカメラ2に覆われず、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cがデジタルカメラ2に覆われている。このような状態でも、正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cの出力の組み合わせにより、充電/データ転送ステーション4に載置された機器が充電を目標とするものではないと判断される。この結果、図4(A)と同様にして、移動式NFCアンテナ/IC28は通信用位置に留め置かれるとともに、電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。そしてNFCによるデータ転送のみが行われる。
図4から明らかなように、正規位置検知用センサ38aが覆われない限り、充電/データ転送ステーション4に載置された機器が充電を目標とするものではないと判断され、移動式NFCアンテナ/IC28は、載置された機器にかかわらず同じ通信用位置に留め置かれるとともに、電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。そしてNFCによるデータ転送のみが行われる。このように、データ転送を目的とする限り、デジタルカメラを充電/データ転送ステーション4に載置する位置および方向はフリーである。NFCによるデータ転送に関しては、機器が充電/データ転送ステーション4に載置される限り、通信用位置に留め置かれ移動式NFCアンテナ/IC28の通信圏内にあるので、機器の検知および情報交換は可能であり、移動式NFCアンテナ/IC28を移動させず充電/データ転送ステーション4の中央に留め置くのが合理的である。
図5は、図1の実施例1における充電/データ転送ステーション4の上面図であり、ICカードが誤って位置決めストッパー54に押し当てられた状態で充電/データ転送ステーション4に載置された場合について説明している。図2と同じ構成に同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図5(A)は、図3(A)と同じものである。
これに対し、図5(B)は、ICカード10が位置決めストッパー54に押し当てられた状態で充電/データ転送ステーション4に載置さている。この場合、正規位置検知用センサ38aおよび誤方向検知センサ38cがICカード10に覆われてしまうが、ICカードは幅が広いので同時にカード検知用センサ38bを覆う。従って、正規位置検知用センサ38a、カード検知用センサ38bおよび誤方向検知センサ38cの出力の組み合わせにより、充電/データ転送ステーション4に載置された機器がICカード10であると判断される。この結果、図4(A)等と同様にして、移動式NFCアンテナ/IC28は通信用位置に留め置かれるとともに、電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。そしてNFCによるデータ転送のみが行われる。カードNFCアンテナ46は通信用位置に留め置かれた移動式NFCアンテナ/IC28の通信圏内にあるので、ICカードの検知および情報交換は可能である。なお、ICカードが図4のような状態に置かれた場合も同様の結果となる。
図6は、上記実施例1におけるパソコン制御部48の動作を説明する基本フローチャートである。なお、パソコン6は種々の機能を実行するが、図6のフローは充電/データ転送ステーション4に載置される機器に関する充電と通信に関する部分だけを抽出したものである。従って、実際のパソコン6のフローは図示されていない種々の機能を達成する。図6のフローは、パソコン電源部52の電源が投入されることによりスタートし、ステップS2で立上処理を行ってステップS4に移行する。
ステップS4では、移動式NFCアンテナ/IC28を通信用位置にセットし、ステップS6に進んで、移動式NFCアンテナ/IC28の通信圏内に他の機器があるか否かチェックする。該当機器があればステップS8に進み、該当機器とのNFC通信が確立したか否かチェックする。そして通信が確立すればステップS10に進み、所定のNFC通信ができたか否かおよびNFC通信による認証によって短距離通信に進むべき対象機種である旨の認証ができたか否かをチェックし、所定のNFC通信および上記の認証ができればステップS12に進む。ステップS12では、認証した該当機器との間の短距離通信が確立したか否かチェックし、確立していればステップSS14に進んで所定の短距離通信(例えば画像データ転送)を開始する処理を行ってステップS16に移行する。
一方、ステップS8において該当機器とのNFC通信の確立ができないとき、またはステップS10において所定のNFC通信およびNFC通信による該当機器の認証ができないとき、またはステップS12において認証した該当機器との間の短距離通信の確立が確認できないときは、いずれも、直ちにステップS16に移行する。なお、ステップS12から直接ステップS16に移行した場合は、所定のNFC通信またはNFC通信機器としての認証は行われている。
ステップS16では、NFC通信が確立した機器が充電用正規位置にあるか否かが近接センサ38の出力により判断される。機器が充電用正規位置にあればステップS18に進み、NFC通信によって、その機器が充電可能機器か否かチェックする。そして、充電可能機器であれば、移動式NFCアンテナ/IC28をまず通信用位置から充電用初期位置まで移動させ、次いで、アンテナ制御部の情報に基づき、充電のための最適位置(移動式NFCアンテナ/IC28がデジタルカメラNFCアンテナ24に対応する位置にあってもっとも強い電磁誘導が得られる状態)のサーチを開始する。このサーチはトライアルアンドエラーによる。
ステップS22では、充電最適位置が確定したか否かチェックし、確定するまでトライアルエラーを繰り返す。ステップS22で充電最適位置が確定するとステップS24に移行し、充電制御部34から移動式NFCアンテナ/IC28に電磁誘導のための給電電流を供給開始する処理を行ってステップS26に移行する。
ステップS26では、充電が完了したか否かチェックし、充電するまでステップS26を繰り返す。なお、この繰り返しの間において何らかのタスクが発生すれば、随時割り込みがかかり、ステップS22の繰り返しから抜けてそのタスクを実行するとともに、他にタスクがなくなればステップS26に戻る。そしてステップS26で充電完了が確認されるとステップS28に移行する。実際には、パソコン制御部48の全体フローの中で定期的にステップS22のチェックを入れ、充電完了でなければ全体フローを継続するとともに、充電完了が確認されるとステップS28に移行することになる。
ステップS28では、移動式NFCアンテナ/IC28を通信用位置に戻し、ステップS30に進む。なお、ステップS16で機器が充電用正規位置にあることが確認されないとき、またはステップS18で機器が充電可能機器であることが確認されないときは直ちにステップS30に移行する。これによって、機器が充電用正規位置にあることが確認されないときは、電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。
ステップS30では、NFC通信または短距離通信による通信中か否かチェックする。そして通信中であればステップS16に戻り、以下ステップS30で通信中でなくなったことが確認されるまでステップS16からステップS30を繰り返す。これは、当初充電を意図せずに充電/データ転送ステーション4に載置された機器がユーザの意思により充電用正規位置にセットしなおされたとき充電処理に入るためである。
ステップS30で通信中でないことが確認されるとステップS32に移行する。なお、ステップS6でNFC圏内に機器がないとき(すなわち、機器が充電/データ転送ステーション4に載置されていないとき)は、直ちにステップS32に移行する。ステップS32では、パソコン6に電源が供給中であるか否かチェックする。電源供給中であれば、ステップS4に戻り、以下ステップS32で電源供給がなくなることが確認されない限り、ステップS2からステップS32を繰り返し、新たに機器が充電/データ転送ステーション4に載置されるのに対応すべく待機する。一方、ステップS32で電源供給がなくなることが確認されるとフローを終了する。
図7は、本発明の実施の形態に係る充電システムにおける実施例2の全体構成を示すブロック図である。実施例2は、実施例1と共通するところが多いので、対応する部分には同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図7に示す実施例2が図1に示す実施例1と異なるのは、充電/データ転送ステーション104自身がステーション制御部148およびACアダプタ153からの給電に基づくステーション電源部152を持つ点である。従って、実施例1におけるパソコン製著部48の機能は、実施例2ではステーション制御部148が担当する。換言すれば、図6で説明したフローは実施例2ではステーション制御部145が実行する。
また、図7の実施例2では、充電/データ転送ステーション104とパソコン106との間の画像データ転送等の通信は、充電/データ転送ステーション104の短距離通信アンテナ/IC40とパソコン106の短距離通信アンテナ140による短距離通信によって行われる。また、デジタルカメラ2とパソコン106の間の画像データ通信は、デジタルカメラ2の認証が充電/データ転送ステーション104のNFC通信で行われた後、デジタルカメラ短距離通信アンテナ22とパソコン106の短距離通信アンテナ140との間で直接行ってもよい。
図8は、本発明の実施の形態に係る充電システムにおける実施例3の全体構成を示すブロック図である。実施例3は、実施例1と共通するところが多いので、対応する部分には同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図8に示す実施例2が図1に示す実施例1と異なるのは、異種のデジタルカメラにおいてデジタルカメラNFCアンテナが配置される位置が互いに異なっていることへの対策、およびICカード10が電磁場発生で破損する恐れのあることへの対策を、充電/データ転送ステーション204へのアダプタの提供、およびアダプタ取付/挿入検知部238の設置によって行うようにした点である。
具体的には、図8の実施例3では、デジタルカメラ毎に専用のアダプタを交換可能にそれぞれ用意し、このアダプタによって、いずれのデジタルカメラでも、そのデジタルカメラNFCアンテナが常に固定式NFCアンテナ/ICに対応する位置に来るよう誘導する。これによって、実施例3の充電/データ転送ステーション204では、固定式NFCアンテナ/IC228を採用しており、実施例1におけるようなアンテナ駆動機構およびその制御部は不要である。さらに、後述のようにアダプタは、その形状によってICカード10のカードNFCアンテナ46が電磁場発生の大きい部位に近づかないようにする。アダプタの詳細は後述する。また、図8の実施例3におけるパソコン制御部248は、アダプタ取付/挿入検知部238の検知出力を受け、上記のようなアダプタが取り付けられておらずICカード10が接近する可能性があるとき固定式NFCアンテナ/IC228に対する電磁誘導のための給電電流供給を禁止する。また、パソコン制御部248は、アダプタ取付/挿入検知部238の検知出力を受け、アダプタが取付けられた充電/データ転送ステーション204にデジタルカメラが挿入されると、固定式NFCアンテナ/IC228に対する電磁誘導のための給電電流の供給を行う。
図9は、実施例3における充電/データ転送ステーション204、デジタルカメラ202およびデジタルカメラ202専用のアダプタ254の斜視図である。図9(A)は、充電/データ転送ステーション204からアダプタ254が取り外されている状態を示す。アダプタ254には、デジタルカメラ202がちょうど嵌まり込む大きさの貫通孔245aが設けられている。また、アダプタ254は、貫通孔245a内に電磁誘導を阻害するような異物が入っていないか確認できるよう透明材料で成型されている。さらに、貫通孔245aは底が抜けているので、万一異物が入っても容易にこれを掃き出すことができる。
図9(A)のようにアダプタ254が取り外されている状態では、図4に示す実施例1と同様にして、機器を任意の位置および向きで充電/データ転送ステーション204に載置することができる。また、図9(A)の状態では、アダプタ取付/挿入検知部238によりアダプタ254が取り付けられていないことが検知されるので、固定式NFCアンテナ/IC228に対する電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。
図9(B)は、充電/データ転送ステーション204にアダプタ254を取り付けるとともにデジタルカメラ202を挿入した状態を示す。このようにアダプタ254を充電/データ転送ステーション204に取り付けたものはデジタルカメラ202専用のクレードル型充電器となる。取り付けのためには、平面ファスナーや嵌め込み構造等、任意の取り付け構造が採用できる。なお、取り付け時の位置決めを容易とするため、取り付け構造が貼り付け方式の場合は、図9(B)に示すように、充電/データ転送ステーション204とアダプタ254の前後左右側面は同一形状となっている。従って、両者の前後左右側面が全て面一となるように両者を結合すると、貫通孔245aと固定式NFCアンテナ/IC228の関係が適切に位置決めされる。取り付けが行われると、充電/データ転送ステーション204の上面が貫通孔245aの底となってデジタルカメラ挿入部を形成する。デジタルカメラ202の底部にはデジタルカメラNFCアンテナ224が配置されているが、デジタルカメラ202が貫通孔245aに案内されることで充電/データ転送ステーション204の上面に配置された固定式NFCアンテナ/IC228に対応する位置に導かれる。
図9(B)の状態になると、アダプタ取付/挿入検知部238はまず、アダプタ254が充電/データ転送ステーション204に取り付けられていることを検知し、電磁誘導のための給電電流を供給する条件とする。さらに、図9(B)のように貫通孔245aにデジタルカメラ202が挿入されると、アダプタ取付/挿入検知部238はこれを検知し、電磁誘導のための給電電流を可能とする。
図10は、実施例3における充電/データ転送ステーション204、異種デジタルカメラ258および異種デジタルカメラ258専用のアダプタ255の斜視図である。図10(A)および図10(B)はそれぞれ図9(A)および図9(B)に対応する。図10のアダプタ255においても、異種デジタルカメラ258がちょうど嵌まり込む大きさの貫通孔255aが設けられている。また貫通孔255aの位置は、アダプタ255の前後左右側面を基準として決められており、異種デジタルカメラ258の底部に配置されたデジタルカメラNFCアンテナ260が貫通孔255aに案内されることで充電/データ転送ステーション204の上面に配置された固定式NFCアンテナ/IC228に対応する位置に導かれるようになっている。このように、デジタルカメラ毎に専用のアダプタを設けることで、デジタルカメラにかかわらず、デジタルカメラNFCアンテナを充電/データ転送ステーション204の固定式NFCアンテナ/IC228に対応する位置に導くことができる。
図11は、実施例3における充電/データ転送ステーション204、デジタルカメラ202、デジタルカメラ202専用のアダプタ254およびICカード10の斜視図である。図11は、図9(B)と同様のものであるが、デジタルカメラ202を挿入する前の状態を示す。アダプタ254はデジタルカメラ202専用のものであるから、当然ながら、図11(A)の状態から図9(B)の状態にデジタルカメラ202を挿入することができる。
これに対し、図11(B)は、ICカード10が誤って通孔254aに挿入されようとしている状態を示す。しかしながら、ICカード10の幅は、通孔254aの幅よりも広いので挿入ができない。図11(B)の状態は、アダプタ254が充電/データ転送ステーション204が結合されているので、電磁誘導のための給電電流を供給する条件の一つが満たされているが、ICカード10が挿入できないので、電磁誘導によりICカード10が破壊されることはない。
なお、デジタルカメラ202は比較的幅の狭いものであるが、図10の異種デジタルカメラ258のように幅が広い場合、これに対応してアダプタ255の通孔255aの幅も広い。従って、ICカード10が誤って挿入される可能性がある。しかしながら、万一挿入が可能であっても図11(B)からわかるように、ICカード10はカードNFCアンテナのアンテナコイルの向きが、充電/データ転送ステーション204の固定式NFCアンテナ/ICのアンテナコイルと平行となる状態では挿入できない。このように、充電/データ転送ステーションに結合されるアダプタは、ICカードNFCアンテナのアンテナコイルが充電/データ転送ステーションの固定式NFCアンテナ/ICのアンテナコイルと平行な状態で近接することを防止し、強い電磁誘導が生じないようにする観点からも有用なものである。
図12は、上記実施例3におけるパソコン制御部248の動作を説明する基本フローチャートである。図6と同様にして、充電/データ転送ステーション204に載置される機器に関する充電と通信に関する部分だけを抽出したものである。図12のフローも、パソコン電源部52の電源が投入されることによりスタートし、ステップS42で立上処理を行ってステップS44に移行する。
ステップS44では、固定式NFCアンテナ/IC228の通信圏内に他の機器があるか否かチェックする。該当機器があればステップS46に進み、該当機器とのNFC通信が確立したか否かチェックする。そして通信が確立すればステップS48に進み、所定のNFC通信ができたか否かおよびNFC通信による認証によって短距離通信に進むべき対象機種である旨の認証ができたか否かをチェックし、所定のNFC通信および上記の認証ができればステップS50に進む。ステップS50では、認証した該当機器との間の短距離通信が確立したか否かチェックし、確立していればステップSS52に進んで所定の短距離通信を開始する処理を行ってステップS54に移行する。
一方、ステップS46において該当機器とのNFC通信の確立ができないとき、またはステップS48において所定のNFC通信およびNFC通信による該当機器の認証ができないとき、またはステップS50において認証した該当機器との間の短距離通信の確立が確認できないときは、いずれも、直ちにステップS54に移行する。なお、ステップS50から直接ステップS54に移行した場合は、所定のNFC通信またはNFC通信機器としての認証は行われている。
ステップS54では、アダプタ取付/挿入検知部238の検知信号に基づきアダプタが充電/データ転送ステーション204に取り付けられているか否かチェックする。アダプタが取り付けられていればステップS56に進み、機器がアダプタの貫通孔に挿入されているか否かチェックする。そしてアダプタ取付/挿入検知部238の検知信号に基づき機器の挿入が検知されるとステップS58に進み、充電制御部34から固定式NFCアンテナ/IC228に電磁誘導のための給電電流を供給開始する処理を行ってステップS60に移行する。
ステップS60では、充電が完了したか否かチェックし、充電するまでステップS60を繰り返す。ステップS60で充電完了が確認されるとステップS62に移行する。なお、ステップS54でアダプタの取り付けが検知されないとき、またはステップS56で機器がアダプタの貫通孔に挿入されていることが確認されないときは直ちにステップS62に移行する。これによって、アダプタの取り付けおよび機器のアダプタ挿入がともに確認されない限り、電磁誘導のための給電電流供給が禁止される。
ステップS62では、NFC通信または短距離通信による通信中か否かチェックし、通信中である限りステップS62を繰り返す。ステップS62で通信中でないことが確認されるとステップS64に移行する。なお、ステップS44でNFC圏内に機器がないとき(すなわち、機器がアダプタに挿入されていないとき、またはアダプタを取り付けない充電/データ転送ステーション204に機器が載置されていないとき)は、直ちにステップS64に移行する。ステップS64では、パソコン6に電源が供給中であるか否かチェックする。電源供給中であれば、ステップS44に戻り、以下ステップS64で電源供給がなくなることが確認されない限り、ステップS44からステップS64を繰り返し、アダプタの新たな取り付け、機器の新たなアダプタへの挿入、またはアダプタを取り付けない機器が充電/データ転送ステーション204への機器の載置に対応すべく待機する。一方、ステップS64で電源供給がなくなることが確認されるとフローを終了する。
図13は、本発明の実施の形態に係る充電システムにおける実施例4の充電/データ転送ステーション304、デジタルカメラ302およびデジタルカメラ302専用のアダプタ354の斜視図である。図13(A)は、充電/データ転送ステーション304からアダプタ354が取り外されている状態を示し、図13(B)は、充電/データ転送ステーション304にアダプタ354を取り付けるとともにデジタルカメラ302を挿入した状態を示す。
図面から明らかなように、図13の実施例4も、図9の実施例3と同様アダプタを有するものである。しかしながら、図9の実施例3においてアダプタがデジタルカメラ挿入部の前後左右の側面をなし充電/データ転送ステーションがデジタルカメラ挿入部の底面を成していたのに対し、図13の実施例4では、充電/データ転送ステーション304がデジタルカメラ挿入部の一側面をなし、アダプタ354の切り欠き孔354aがデジタルカメラ挿入部の他の側面および底面を成す。また図9の実施例3においてはデジタルカメラNFCアンテナ224が挿入方向底面に設けられていたのに対し、図13の実施例4では、デジタルカメラNFCアンテナ324がデジタルカメラの正面(または背面)に設けられている。
その他の点においては、図13の実施例4は図9の実施例3と同様である。そして、異種のデジタルカメラ毎に専用のアダプタを交換可能にそれぞれ用意し、このアダプタによって、いずれのデジタルカメラでも、そのデジタルカメラNFCアンテナ324等が常に固定式NFCアンテナ/IC328に対応する位置に来るよう誘導されることも同様である。また、アダプタ354が透明であり、挿入部に電磁誘導を妨げる異物が入っていないか確認できること、さらに、万一異物が入っても容易にこれを掃き出すことができることについても同様である。但し、図13の実施例4の場合は、一つの側面を欠く切り欠き孔354aが形成されている。
なお、図13の実施例4では、挿入方向の底面の幅が広い場合、切り欠き孔354aの幅も広くなるので、ICカードが誤って挿入される可能性が生じる。そして実施例4においてICカードが誤挿入された場合、ICカードNFCアンテナのアンテナコイルと充電/データ転送ステーションの固定式NFCアンテナ/ICのアンテナコイルが平行な状態で近接する可能性も生じる。
図14は、このようなICカード幅よりも広い切り欠き孔354aを有するアダプタに関する側断面図であり、誤挿入の際にICカードNFCアンテナのアンテナコイルと充電/データ転送ステーションの固定式NFCアンテナ/ICのアンテナコイルが平行な状態で近接するのを防止する構造を示す。図13と同じ部分には同じ番号を付して説明を省略する。図14から明らかなように、ICカード10がご挿入される可能性のあるアダプタ354の場合、切り欠き孔354aの底面が傾斜させられる。
図14(A)は正規のデジタルカメラ302が挿入された場合であり、デジタルカメラNFCアンテナ324が固定式NFCアンテナ/IC328に対応する位置に近接して誘導される。正規のデジタルカメラ302が挿入された場合、その厚みは切り欠き孔354aに一致しているので、切り欠き孔354aの底面が傾斜していても、所定位置より下方に入り込むことはない。これに対し、図14(B)は、ICカード10がご挿入された場合を示す。ICカード10は薄いので、切り欠き孔354aの底面の傾斜に沿って下方に滑り、ICカードNFCアンテナ46が充電/データ転送ステーションの固定式NFCアンテナ/IC328から離間させられるとともに、アンテナコイルの平行性も崩れている。これにより強い電磁誘導が生じるのが防止される。
図15は、本発明の実施の形態に係る充電システムにおける実施例5の充電/データ転送ステーション404、デジタルカメラ402、デジタルカメラ402専用のアダプタ454およびICカード10の斜視図である。図15(A)は、充電/データ転送ステーション404からアダプタ454が取り外されている状態を示し、図15(B)は、充電/データ転送ステーション404にアダプタ454を取り付けるとともにデジタルカメラ402を挿入した状態を示す。また、図15(C)は、誤挿入の可能性のあるICカードである。
図面から明らかなように、図15の実施例5も、図13の実施例4と同様切り欠き孔454aを有するアダプタ454を有するものである。しかしながら、図13の実施例4においてはデジタルカメラNFCアンテナ324がデジタルカメラの正面(または背面)に設けられていたのに対し、図15の実施例5では、デジタルカメラNFCアンテナ424がデジタルカメラ502の挿入方向側面に設けられている。また、アダプタ454は充電/データ転送ステーション404の幅より狭いので切り欠き孔454aの位置の基準となる基準マーク439が設けられており、図15(B)に明らかなように、アダプタ454は基準マーク439に合わせて取り付けられる。
その他の点においては、図15の実施例5は図13の実施例4と同様である。そして、異種のデジタルカメラ毎に専用のアダプタを交換可能にそれぞれ用意し、このアダプタを基準マーク439に合わせて充電/データ転送ステーション404に取り付けることによって、いずれのデジタルカメラでも、そのデジタルカメラNFCアンテナ424等が常に固定式NFCアンテナ/IC428に対応する位置に来るよう誘導されることも同様である。また、アダプタ454が透明であり、挿入部に電磁誘導を妨げる異物が入っていないか確認できること、さらに、万一異物が入っても容易にこれを取り除くことができることについても同様である。
なお、図15の実施例5では、デジタルカメラNFCアンテナ424がデジタルカメラの挿入方向側面に設けられているため、万一図15(C)のようなICカードがデジタルカメラ402と同じ方向で挿入されたとしても、ICカード10のカードNFCアンテナのアンテナコイルの向きが、充電/データ転送ステーション404の固定式NFCアンテナ/IC428のアンテナコイルと平行とはならず、強い電磁誘導が生じない。
以上説明した本発明の種々の特徴は、上記の実施例による実施に限るものではなく、他の実施形態が可能である。また、その利点を活用するため、適宜組み合わせ交換することができる。例えば、図2に示した実施例1のストッパー54の位置決め機能は、ストッパー54を設けず、充電面4aの左上角部にデジタルカメラ2の底面の左上角部を一致させ両者の側面が面一になるよう載置することでも代替できる。
また、図9の実施例3では充電/データ転送ステーション204とアダプタ254の前後左右側面を同一形状とし、両者の前後左右側面が全て面一となるように両者を結合することで両者の位置決めを行っている。これに代えて、充電/データ転送ステーション204にアダプタ254を箱の蓋のように被せて嵌め込む構造とし、アダプタ254の下面に設けた凹部の形状が充電/データ転送ステーション204の上面と同一形状とすることで両者の位置決めを行うこともできる。
図16は、本発明の実施の形態に係る充電システムにおける実施例6における充電/データ転送ステーション204及びデジタルカメラ502の上面図であり、水平に置かれた充電/データ転送ステーション204の上面にデジタルカメラ502が載置され、手501にて水平にスライドさせられる様子を示す。
実施例6の充電/データ転送ステーション204は、図8の実施例3と同様にして固定式NFCアンテナ/IC228を採用している。しかしながら、実施例1から実施例5におけるような機械的な位置決め手段を持たず、これに変えて、デジタルカメラ502は以下に説明する位置決めのための充電ナビゲーション手段を有する。図16は、実施例6における位置決めのための充電ナビゲーションを説明するためのもので、図16(A)は、デジタルカメラ502のデジタルカメラNFCアンテナ524が充電/データ転送ステーション204の固定式NFCアンテナ228に一致していない状態であり、両者を一致させるためにデジタルカメラ502をスライドさせるべき方向のナビゲーション表示が行われている様子を示す。一方、図16(B)は、ナビゲーション表示に従って手501でデジタルカメラ502をスライドさせた結果、両者が一致するに至った状態を示す。
図16(A)について詳細に説明すると、デジタルカメラ502はカラー表示機能を持つカメラ表示部568を有しており、この表示部568の一部であって手501で覆われる可能性の少ない中央部分568aに、デジタルカメラ502をスライドさせるべき方向を示すナビゲーション矢印568bが表示されている。このナビゲーション矢印568bは方向だけでなくその長さが正しい位置との乖離情報となっており、正しい位置に近づくほど矢印の長さが短くなる。なお、図16から明らかなように、カメラ表示部568は充電/データ転送ステーション204の上面に水平であり、表示されたナビゲーション矢印568bの方向に直感的にデジタルカメラ502をスライドさせることができる。
実施例6におけるようなナビゲーション機能は、充電池が充電不足判定状態となってデジタルカメラ502の通常の操作が禁止された状態であっても、充電池の残存エネルギーにより可能となる。逆に言えば、充電ナビゲーションを実行するエネルギーの余力を残して充電不足との判定が行われる。また、上記のように限りある残存エネルギーをできるだけ浪費せずに充電ナビゲーションを実行するため、ナビゲーション矢印568の表示は表示部568の一部領域である中央部分568aのみ利用し、これを単色で駆動することによって行われる。さらに、表示のバックライトも必要最低限の明るさに抑えられる。
また、ナビゲーション表示の方向は、デジタルカメラ502の動きを検知すると共に、この動きに伴う充電/データ転送ステーション204からの電磁場の強さ変化を分析することによってトライアル・アンド・エラーにて行われるが、これらの機能についても、デジタルカメラ502の基準クロック周波数を必要最低限に落とし、充電池の残存エネルギーをできるだけ消費しないようにした充電ナビモードにて行われる。
図16(B)は、図16(A)で表示されるナビゲーション矢印568の方向に手501でデジタルカメラ502をスライドさせた結果、デジタルカメラ502のデジタルカメラNFCアンテナ524が充電/データ転送ステーション204の固定式NFCアンテナ228に一致するに至った状態を示す。この状態も、トライアル・アンド・エラーにより何度か図16(B)の状態の周囲を行き来してデジタルカメラ502を動かし、充電/データ転送ステーション204からの電磁場の強さが最大になる位置を求めることによって達成される。そして、変デジタルカメラ502が図16(B)の位置に来たとき、中央部分568aに「OK」表示568cがなされるので、使用者はデジタルカメラ502が充電/データ転送ステーション204に正しく位置決めされたことを知ることができる。そして、が図16(B)の位置でデジタルカメラ502を静止させるとナビ機能が停止し、デジタルカメラNFCアンテナ524と固定式NFCアンテナ228による充電が開始される。
図17は、図16の実施例6の全体構成を示すブロック図である。図16と同じ部分には同じ番号を付して必要のない限り、説明を省略する。また、実施例6のブロック図は、図8における実施例3のブロック図と共通するところが多いので、対応する部分には同じ番号を付し、必要のない限り説明を省略する。図16に示す実施例6のブロック図が実施例3における図8のブロック図と異なるのは、図16で説明したようにNFCアンテナによる充電およびデータ転送のためにデジタルカメラ502を充電/データ転送ステーション204上で位置決めする構成である。
具体的には、図17の実施例6におけるデジタルカメラ502は、ジャイロセンサ564、電磁場センサ566およびカメラ表示部568を有している。そして、図16で説明したように、トライアル・アンド・エラーにて充電/データ転送ステーション204上で動かされるデジタルカメラ502の動きをジャイロセンサ564で検知しながら電磁場センサ566で固定式NFCアンテナ228の電磁場の強さの変化を検知し、電磁場がより強くなるようにデジタルカメラ502を動かすべき方向を図16(A)のようにカメラ表示部568にて表示する。さらに、このような充電ナビゲーションに従ってデジタルカメラ502を動かした結果として電磁場が最も強くなったとき、図16(B)のようにカメラ表示部568にてこれを表示する。
図16で説明したように、実施例6におけるナビゲーション機能は、充電不足状態となってデジタルカメラ502の通常の操作が禁止された状態において充電池20の残存エネルギーにより行う。従って、上記のように、ナビゲーション表示は表示部568の一部のみを単色駆動することによって行われるとともに、バックライト部570の駆動デューティを必要最低限に低下させる。また、ジャイロセンサ564、電磁場センサ566、カメラ表示部568制御するとともにナビゲーション分析を行うカメラ制御部512の消費電力を抑えるため、基準クロック572の周波数を充電ナビモードに落とす。
上記の充電ナビゲーションは、後述のように自動的にトリガがかかるよう種々の手段が設けられているが、操作部574を操作することによっても可能である。充電不足状態では操作部574によるデジタルカメラ502の通常操作は一切禁止されているが、充電ナビのトリガのための操作だけは可能となっている。充電ナビの機能はカメラ記憶部516に記憶されたプログラムを実行するカメラ制御部512によって行われるが詳細は後述する。なお、デジタルカメラ502は携帯電話機能部576を備えており、全体としてスマートフォン等のようなカメラつき携帯電話として機能する。
図18は、上記実施例6におけるカメラ制御部512の動作を説明する基本フローチャートである。なお、デジタルカメラ502は種々の機能を実行するが、図18のフローは充電/データ転送ステーション204に載置して充電を行う機能を中心に動作を抽出したものである。従って、実際のデジタルカメラ502のフローは図示されていない種々の機能を達成する。図18のフローは、デジタルカメラ502の総サブ574の操作によって電源が投入されることによりスタートし、まずステップS72でデジタルカメラ502が充電不足状態にあるか否かがチェックされる。
充電不足でなければステップS74に移行し、デジタルカメラの立上げ処理を行ってステップS76に移行する。ステップS76では前回の操作(この場合は電源の投入)から所定時間が経過したか否かをチェックするもので、所定時間が経過していなければステップS80に移行して通常操作の有無を検知する。そして、操作の検知がなければステップS76に戻る。一方、ステップS76で所定時間の経過が検知されるとステップS80に移行し、基準クロック572の周波数を落とした省電力モードとしてステップS78に移行する。なお、上記の充電ナビモードにおける基準クロック572の周波数は、この省電力モードにおける周波数よりもさらに低いものである。以下、ステップS78で通常操作が検知されるまで通常モードまたは省電力モードにて、ステップS76からステップS80を繰り返す。なお、元々省電力モードでステップS80に至ったときは何もしない。
ステップS78で通常操作が検知されるとステップS82に進み、この時点で充電不足状態にあるか否かがチェックされる。充電不足でなければステップS84に進み、基準クロック572の周波数を高めた通常モードとする。なお、元々通常モードであればステップS84では何もしない。そして、ステップS86にて操作に基づく機能を実行し、機能実行が完了するとステップS88に移行する。ステップS88では電源オフ操作の有無をチェックし、電源オフでなければステップS76に戻る。以下、ステップS82で充電不足が検知されず、かつステップS88で電源オフが検知されない限りステップS76からステップS88が繰り返され、デジタルカメラ502の通常機能が実行される。
一方、ステップS82で充電不足が検知されたときはステップS90に移行する。また、ステップS72の段階で充電不足が検知されたときは、立上げ処理を行うことなく直ちにステップS90に移行する。ステップS90では、充電を要する旨の表示が行われると共にステップS92に進んで通常操作を一切禁止し、ステップS94の休止モードに移行する。休止モードは基本的にはデジタルカメラ502が動作していない状態であるが、以下のとおり充電開始のトリガをかけるのに必要な最低限の動作だけは維持される。
具体的には、ステップS96に進んで、充電ナビ用の間欠モニタを起動する。間欠モニタは休止中において所定時間毎に充電ナビのトリガがかかっていないかモニタする機能である。間欠モニタ実行タイミング以外ではデジタルカメラ502は動作を停止しており、間欠モニタにおいてトリガが検知されなければ、次の間欠モニタタイミングまでデジタルカメラ502は動作を停止する。ステップS98は自動トリガタイミングが到来していないか否かのチェックを行うためのものである。自動トリガタイミングは、結果的にトリガ検知がなかった間欠モニタを順次カウントし、カウント値が所定回数に達すると自動的にトリガをかけるもので、後述のトリガの万一の不備を補完するものである。
自動トリガタイミングでなければステップS100に進み、間欠モニタの際に操作部574による手動の充電操作を検知したか否かをチェックする。充電操作が検知されなければステップS102に進み、間欠モニタの際にジャイロセンサ564による重力加速度検知によってデジタルカメラ502が水平状態にあるか否か(充電/データ転送ステーション204に載置された可能性があるか否か)を検知する。水平検知がなければステップS104に進み、間欠モニタの際に電磁場センサ566により電磁場を検知したか否か(充電/データ転送ステーション204に載置された可能性があるか否か)を検知する。電磁場の検知がなければステップS98に戻り、以下、間欠モニタの際にトリガ原因が検知されないかぎりステップS98からステップS104を繰り返す。
一方、ステップS98からステップS104のいずれかにおいてトリガ原因が検知されたときは直ちにステップS106に移行し、充電ナビおよび充電処理に入る。この処理の詳細は後述する。そして、充電ナビおよび充電処理が完了するとステップS88に移行する。ステップS88で電源オフが検知されなければ通常モードの場合と同様ステップS76に移行する。このようにして、ステップS88で電源オフが検知されない限り、ステップS72からステップS106の基本フローが繰り返される。一方、ステップS88で電源オフが検知されるとフローを終了する。
図19は、図18のステップS106における充電ナビおよび充電処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS112で充電ナビモードが設定される。上記のように、充電ナビモードにおける基準クロック572の周波数は、省電力モードにおける周波数よりもさらに低く、充電ナビに必要な処理および早さを達成するのに必要最低限の電力消費に設定される。次いで、ステップS114で、充電ナビ用の電磁場センサ566による充電ナビ用電磁場検知を起動する。この電磁場検知機能は、ステップS104において実行される電磁場の単なる有無の検知よりも高機能のものである。次いでステップS116においてジャイロセンサ564による充電ナビ用のジャイロ検知を起動する。このジャイロ検知機能は、デジタルカメラ502の水平方向移動検知(二次元検知)に条件を単純化して分析効率を高めたものである。
次いでステップS118においてジャイロセンサ564により水平化速度が検知されたか否かチェックする。水平化速度が検知された場合はステップS120にて水平移動に伴う電磁場電変化が電磁場センサ566によって検知されたか否かチェックする。ステップS118で水平化速度が検知されない場合(例えばデジタルカメラ502が単に机の上でスライドさせられた場合)はステップS122に移行し、充電ナビ用電磁場検知および充電ナビ用ジャイロ検知を停止して図18のステップS94に移行する。この場合は、ステップS94で休止モードに戻り、間欠モニタにより再度トリガ条件の成立をモニタする。
一方、ステップS120でデジタルカメラ502の水平移動に伴う電磁場変化が検知されたときは、使用者による充電のための位置決め動作が行われていると判断し、ステップS124に移行する。そしてステップS124で、カメラ表示部568をナビ表示のための部分単色駆動モードに設定し、低電力消費の表示状態とする。さらに、ステップS126においてバックライト部570の点灯デューティーを低下させ、低電力消費の表示照明状態とする。
次いで、ステップS128においてジャイロセンサ564と電磁場センサ566の出力を充電ナビモードのクロック周波数に基づく動作速度にて継続検知し、記憶蓄積する。そしてステップS130で記憶蓄積情報の変化履歴から電磁場変化と加速度方向との相関関係を分析する。この分析結果に基づき、ステップS132では、電磁場が強くなる水平移動方向が判定できたか否かチェックする。そして、移動させるべき方向を判定する分析が可能となったときはステップS134に進み、周知の山登り方式にて現在の電磁場が最強であるか否かの判定を行う。
ステップS134において電磁場が最強であるとの判定ができないときはステップS136に進み、ステップS132で判定できた電磁場が強くなる水平移動方向をカメラ表示部568で表示してステップS128に戻る。一方、ステップS132において移動方向の判定を行うに充分なデジタルカメラ502の移動が行われず記憶蓄積情報が足りない場合もステップS128に戻り、トライアル・アンド・エラーによる情報蓄積が継続される。このようにしてステップS134において電磁場が最強であるとの判定が行われない限り、ステップS136の表示を参考にしたトライアル・アンド・エラーによるデジタルカメラ502のスライドが続けられる。この状態が、図16(A)に該当する。
一方、ステップS134において電磁場が最強であるとの判定ができたときは、ステップS138に移行し、ステップS138で位置決めが成功した旨の「OK」表示を行う。この状態が図16(B)に該当する。そしてステップS140にて電磁場検知を停止するとともにステップS142においてジャイロセンサによる水平移動検知を停止し、ステップS144の充電処理に移行する。そして充電が完了するか中断された場合はステップS146を経て図18のステップS74に移行する。これにより、ステップS82で充電不足でなければデジタルカメラ502は通常動作に復帰し、充電の中断により万一ステップS82で充電不足と判定されれば再びステップS90からの充電フローに入ることができる。
以上説明した本発明の種々の特徴は、上記の実施例による実施に限るものではなく、他の実施形態が可能である。また、その利点を活用するため、適宜組み合わせ交換することができる。例えば、各実施例はデジタルカメラとして説明されているが、図16から図19における実施例6のようにスマートフォン等のようなカメラつき携帯電話として実施することができる。また、実施例6に示した充電ナビ機能において位置決めの表示を行うための上方源は実施例6のようにデジタルカメラ502内に備えるものに限らず、位置決めのセンサを充電/データ転送ステーション204側に設け、判定についても充電/データ転送ステーション204側に任せて、結論としての案内情報のみを充電/データ転送ステーション204からデジタルカメラ502に伝達して表示するようにしてもよい。この場合もデジタルカメラ502における省電力の案内表示の特徴を活用できる。
また、図16から図19における実施例6では、位置決めの案内のために視覚的表示を行うよう構成しているが、案内手段は視覚的なものに限らず、聴覚による案内を行うよう構成することもできる。音による案内としては、音声言語による方向案内や、電磁場が強くなるほどブザー音を大きくする案内、または電磁場が強くなるほどブザーの断続周期を短くする等、図16(A)において矢印の長さが持っていた情報を聴覚により伝える構成が可能である。また、携帯電話502をスライドさせる501にバイブの振動を伝え、電磁場が強くなるほど振動を強くするなどの触覚的な案内も可能である。これらの視覚的、聴覚的、触覚的案内は、複数のものを適宜組み合わせてもよい。なお、単に電磁場の強さのみを案内によってフィードバックし、方向については、トライアル・アンド・エラーによる使用者自身の学習によるよう構成する場合は、携帯電話502の移動方向の検知を省略してもよい。
なお、図16から図19における実施例6および上記の変形実施に示した構成は、充電の際における位置決めだけでなく、必要に応じ、NFCによる通信をより効率的に行うための位置決めにも応用できる。