JP6750951B2 - ブレース取付具及びブレース取付具の製造方法 - Google Patents
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Description
この矩形構造体にブレースを設置するためのブレース取付具は、矩形構造体のコーナー部付近に、ボルトや溶接等で固定されている。
一方、ブレースは、一般に金属製の丸棒状で、その両端には、ブレースの端部を保持するための所定径の孔が設けられた羽子板と呼ばれる板部材が溶接されている。
ブレース取付具は、矩形構造体に固定される固定部と、羽子板を保持するジョイント部とを有し、固定部とジョイント部とは溶接等で連結されている。そして、羽子板とブレース取付具のジョイント部とは、ボルト及びナットで固定されている。
また、羽子板を使用しないブレース取付具として、ブレース取付具に貫通孔を設け、ブレースをその貫通孔に挿通させ、ナットとワッシャーで固定するものもある(特許文献1)。
工場で耐力壁を組み立てた場合、寸法変化を矯正可能であるが、現場で施工する際には矯正が困難なため、性能低下を是正することができない。
また、溶融亜鉛めっき鋼板等の表面処理鋼板を素材とした場合、溶接箇所では耐食性や外観の劣化が発生するため、高濃度亜鉛末塗料等による補修が必要となる。
特許文献1記載のブレース取付け装置は、装置の形状が複雑である。このため、プレス加工で製作すると加工工程が増大し、金属を鋳造するとコストが高くなり、強度が低下する。また、特殊な形状のワッシャーを使用する必要がある。
一対のブレース1は、両端のねじ溝1a部分においてブレース取付具10を介して矩形構造体2の内側にX字状の交叉配置で連結される。これにより、耐力壁3が構成される。
ねじ穴部材14には、ねじ穴16が設けられている。このねじ穴16に、ブレース1のねじ溝1aが形成された部分が螺合される。
図4は、本実施形態のブレース取付具10の製造方法を説明する図である。
まず、金属板から、所定形状のブランク17を打抜く(図4(a))。
ブランク17は、矩形部材の両長辺における同位置から、短辺と平行(幅方向)に延びる、同じ長さの一対の切欠き部18が設けられた形状である。
ブランク17は、一対の切欠き部18により2つの矩形部分に分けられ、その一方は矩形構造体2に取り付けられる上述の取付部12となる。この取付部12には、4つのボルト孔15が打ち抜かれている。
ジョイント部形成部13Aの幅(ブランク17における短辺の長さ)Lは、ねじ穴部材14の円周の長さ以下である。
このU曲げ加工されたジョイント部形成部13Aの内側に、予め製造されているねじ穴部材14を配置する(図4(c))。
ねじ穴部材14のねじ径や接続方法を変更することにより、異なる径のねじ溝1aが設けられたブレース1に対応したジョイント部13への交換が可能となる。
このとき、上述のようにジョイント部形成部13Aの幅Lは、ねじ穴部材14の円周の長さ以下である。このため、ジョイント部形成部13Aをねじ穴部材14の外周に沿うように丸め加工したときに、ジョイント部形成部13Aの端部同士が接触してねじ穴部材14の外周面とジョイント部13の内周面との間に隙間が生じにくい。
したがって、ねじ穴部材14がジョイント部13に強く保持され、ブレース1をねじ穴部材14を取り付ける際に、ねじ穴部材14がブレース1と供回りする可能性が少なくなる。
なお、この場合、ジョイント部形成部13Aの端部同士の間に若干隙間が形成されるが、隙間がわずかであれはジョイント部13のねじ穴部材14に対する保持力に影響は少ない。
図5は、実施形態のブレース取付具10に対する比較形態のブレース取付具10’を示す斜視図であり、図2に対応している。
比較形態のブレース1’の端部は、所定径の孔が設けられた羽子板14’と呼ばれる板部材に溶接等で保持されている。
比較形態のブレース取付具(ガセットプレート)10’は、取付部12’と、取付部12’に対して垂直に設けられた羽子板ジョイント部13’とを備える。
羽子板ジョイント部13’は、取付部12’の中央部より、取付部12’に対して垂直となるように取付部12’の一辺に沿って溶接されている。
比較形態によると、取付部12’と羽子板ジョイント部13’との間、及びブレース1’と羽子板14’との間を溶接で接合している。したがって熱ひずみによる寸法変化が発生するため、耐力壁として耐震性能が低下する。
また、材料として、めっき鋼材を用いた場合、溶接を行うと後の補修作業(溶接のためにめっきが除去された部分に補修塗料を塗る等)が必要となる。
(1)本実施形態のブレース取付具10によると、ブレース取付具10を、建築物の矩形構造体の内側に設置する際に、溶接を必要としない。また、ブレースの先端に溶接される羽子板も不要である。そのため、溶接の熱ひずみによる寸法変化が少なく、耐震強度の低下を抑制できる。
(2)また、ブレース取付具10を製造するための部品点数も少なくなるため、作業性が向上し、安価に製造・施工できる。
(3)更に実施形態のブレース取付具10は、ジョイント部13に挿入するねじ穴部材14の内径を変更することにより他のねじ寸法への交換が容易である。
(4)材料として、めっき鋼材を用いた場合であっても、溶接を行わないので、溶接を行う際にめっきが除去された部分に補修塗料を塗る等の保守作業が不要である。
図6は、本発明の第2実施形態のブレース取付具20の斜視図である。図7は第2実施形態のブレース取付具20の製造方法を説明する図である。
第2実施形態のブレース取付具20が第1実施形態のブレース取付具10と異なる点は以下の2点である。
(1)ねじ穴部材24の外周の一部に、軸方向に沿って平坦に切り欠いた平坦部24aが設けられている(図7(b)参照)。
(2)ジョイント部23も、ねじ穴部材24の平坦部24aの形状に沿うように、円筒の側壁の一部に軸方向に沿って平坦な平坦部23aが設けられている。
そして、ねじ穴部材24を包み込むようにジョイント部形成部23Aを丸め加工する(図7(d))。
この際、ジョイント部23にも、ねじ穴部材24の平坦部24aの形状に沿うように、円筒の側壁の一部に軸方向に沿って平坦な平坦部23aが形成される。
したがって、ねじ穴部材24がジョイント部23に対してより強固に保持され、ブレース1をねじ穴部材24に取り付ける際に、ねじ穴部材24がブレース1と供回りする可能性がより少なくなる。
図8は、本発明の第3実施形態のブレース取付具30の斜視図である。図9は第3実施形態のブレース取付具30の製造方法を説明する図である。
第3実施形態のブレース取付具30が第1実施形態のブレース取付具10と異なる点は、円筒状のジョイント部33の軸A方向の両端に、径方向内側に延びるつば部33a、33bが設けられている点である。
矩形部分の他方であるジョイント部形成部33Aの、切欠き部38側の縁部は、第1実施形態と比べて、切欠き部38側に延びている。言い換えれば、切欠き部38は、幅方向に延びる部分と、この幅方向に延びる部分の先端からジョイント部形成部33A側に屈曲して延びる部分と、を有する。
そして、図9(b)に示すように、ジョイント部形成部33Aのその延びた部分と、ジョイント部形成部33Aの、切欠き部38側の縁部と反対側の縁部とを、同方向に折り曲げことにより、つば部33a、33bが形成される。
図10は、本発明の第4実施形態のブレース取付具40の斜視図である。図11は第4実施形態のブレース取付具40の製造方法を説明する図である。
第4実施形態のブレース取付具40は、第3実施形態のブレース取付具30において更に、円筒状のジョイント部43の軸方向の一方(切欠き部38側の縁部と反対側の縁部)の径方向内側に張り出したつば部43aに、切れ込み43cが設けられている。
第4実施形態のブレース取付具40の製造方法は、第3実施形態と同様である。
図12は、本発明の第5実施形態のブレース取付具50の斜視図である。図13は第5実施形態のブレース取付具50の製造方法を説明する図である。
第5実施形態のブレース取付具50は、第3実施形態のブレース取付具30と比べて、ねじ穴部材54の形状が異なる。ねじ穴部材54は、図13(c)に示すように、両端部54aの外径が、ねじ穴部材54の他の部分と比べて、ジョイント部53のつば部53aの厚み分だけ小さくなっている。
そして、その外径が小さくなっている部分の外周に、ジョイント部53のつば部53aが位置する。
また、ねじ穴部材54の端部が、ジョイント部53のつば部53aによって保持されるので、ねじ穴部材54がジョイント部53に対してより強固に固定される。
図14は、本発明の第6実施形態のブレース取付具60の斜視図である。第6実施形態のブレース取付具60は、第4実施形態のブレース取付具40において、第5実施形態と同様に、ねじ穴部材64の両端の外径がジョイント部63のつば部63aの厚み分だけ小さくしたものである。
第6実施形態によると、第4実施形態及び第5実施形態と同様の効果を有する。
図15は、本発明の第7実施形態のブレース取付具70の斜視図である。図16は、第7実施形態のブレース取付具の製造方法を説明する図である。
第7実施形態のブレース取付具70は、第2実施形態と同様に、ねじ穴部材74の外周の一部に、軸方向に沿って平坦に切り欠いた平坦部74aが設けられている。ジョイント部73も、ねじ穴部材74の平坦部74aの形状に沿うように、円筒の側壁の一部に軸方向に沿って平坦な平坦部73dが設けられている。
また、第3実施形態と同様に、ジョイント部73の軸方向の両端に内側に張り出したつば部73a、73bが形成されている。
更に、第4実施形態と同様につば部73aに、切れ込み73cが設けられている。
したがって、第7実施形態は、第2,3,4実施形態の効果を有する。
(1)ブレース取付具70の材料として以下のものを用いた。
亜鉛めっき鋼板:SGC400、付着量:Z12、板厚:3.2mm
なお、裸材(めっきがない鋼材)や亜鉛めっき鋼材でもよい。
(2)製造するブレース取付具の寸法は以下とした。
取付部12:w60×H80mm
ジョイント部13:φ26.4×L50mm
ねじ穴部材14:φ20mm ねじ寸法 M10
(3)製造設備は以下のものを用いた。
2,000kNプレス機
亜鉛めっき鋼板を所定の形状のブランク77を打抜いた。
ここで、ジョイント部形成部73Aは、内部に設置されるねじ穴部材74の円周長さ以下の長さとし、ねじ穴部材74を強く保持するために、ジョイント部73形成後(ねじ穴部材74の周囲を保持した後)に若干隙間が形成されるように、ねじ穴部材34の円周長さより2mm短い幅とした。
ボルト孔75及びつば部74a、74b形成のための打ち抜き(ピアス)を行った(図16(a))。つば部74aを形成する部分に付いては、座屈を抑制するため、90度毎に5mm幅の切り欠き74cを設置した。
フランジアップ(縁立て)(図16(b))を行った、
U曲げ加工を行った(図16(c))。
U曲げ加工されたジョイント部73の内側にねじ穴部材74を設置した(図16(d))。
ここで、ねじ穴部材74は、供回りを抑制するために周面の一部が直径から0.25mm切除され平坦部74aが作製されたものである。
ジョイント部73の内側にねじ穴部材74を設置した後、ねじ穴部材74を包み込むように丸め加工した(図16(e))。
ジョイント部73を所定の角度になるように曲げ、ブレース取付具70が完成した(図16(f))。
集成木材 □80mm W910×H2,730mm
(ターンバックル胴有でも可)鋼鉄製 φ10×2,350mm ねじ寸法:M10
ブレース取付具70に両端部をM10のねじ加工したブレース1を取付けた。ブレース1は中間部にターンバックル胴を使用し、ブレース1の長さを調整した。
めっき鋼材を用いたが、溶接を行っていないので、溶接後の補修作業(溶接のためにめっきが除去された部分に補修塗料を塗る等)が不要であった。
Claims (5)
- 端部にねじ溝が設けられた棒状のブレースを、矩形構造体に取り付けるためのブレース取付具であって、
前記ブレースの前記ねじ溝と螺合するねじ穴を有する筒状のねじ穴部材と、
前記矩形構造体に取り付けられる取付部と、
前記取付部と一体の部材より構成され、前記ねじ穴部材の外周を覆って前記ねじ穴部材を保持するジョイント部と、
を有し、
前記ジョイント部は、前記取付部の平面に対して傾き、
前記ジョイント部は略筒状で、軸方向の両端に、内周側に張り出したつば部を有する、
ブレース取付具。 - 前記ねじ穴部材は、両端部の外径が、前記ねじ穴部材の他の部分と比べて、前記ジョイント部の前記つば部の厚み分だけ小さくなっている、
請求項1に記載のブレース取付具。
- 前記ジョイント部の前記つば部には、切れ込みが設けられている
請求項1又は2に記載のブレース取付具。 - 前記ねじ穴部材の外周には、軸方向に延びる平坦部が設けられている、
請求項1に記載のブレース取付具。 - 端部にねじ溝が設けられた棒状のブレースを、矩形構造体に取り付けるためのブレース取付具の製造方法において、
2つの長辺部の同位置から短辺と平行に延びる切欠き部が設けられ、前記切欠き部で分割された一方が前記矩形構造体に取り付ける取付部となる矩形部材を製造し、
前記切欠き部で分割された他方における、前記切欠き部側の縁部と反対側の縁部とを、同方向に折り曲げることにより、つば部を形成し、
前記切欠き部で分割された前記他方の内側に、前記ねじ溝と螺合するねじ穴を有する筒状のねじ穴部材を配置し、
前記ねじ穴部材の外周を覆うようにして前記他方を丸め加工することにより前記ねじ穴部材を保持するジョイント部を形成し、
前記ジョイント部を、前記取付部の平面に対して傾ける、
ブレース取付具の製造方法。
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