以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略断面図である。この画像形成装置1000は電子写真プロセスを用いたカラー画像形成装置として構成され、装置本体10と、原稿読取装置30と、操作表示装置20とを有する。
装置本体10は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像を形成するための4つのステーションを有する。各ステーションの構成要素は共通であるので、以降、ステーションごとに各構成要素を区別しないときは同じ符号を用い、区別するときは符号の後にY、M、C、Kを付す。
まず、画像形成装置1000の基本的なプリント動作について説明する。原稿読取装置30内のスキャナユニット100が原稿を読み取ることで画像信号が生成される。または、操作表示装置20や不図示のPC(パーソナルコンピュータ)等からジョブを指示されることで画像信号が生成される。これらの画像信号は、エンジン特性に応じた階調テーブルを通してレーザ駆動信号に変換され、装置本体10内の露光手段である露光部103(103Y、103M、103C、103K)に入力される。露光部103は、レーザ駆動信号に基づきレーザ光を感光体である感光ドラム102(102Y、102M、102C、102K)に照射する。これにより感光ドラム102上に静電潜像が形成される。感光ドラム102上の潜像は現像器によって現像される。感光ドラム102は色ごとに設けられ、各色に対応する感光ドラム102が所定の間隔で配置される。感光ドラム102には、それぞれの色成分のトナー像が現像される。感光ドラム102上に形成されたトナー像は、それぞれ所定のタイミングで、各色に対応する転写ローラ105(105Y、105M、105C、105K)と中間転写ベルト104とで形成されるニップ部にて中間転写ベルト104上に一次転写される。これにより各色成分が重なったカラー画像が中間転写ベルト104に形成される。中間転写ベルト104は、図1の矢印A方向に回転し、感光ドラム102から転写されたトナー像を担持する像担持体である。
一方、シート収納部110から給紙されたシートは、レジストローラ111まで搬送される。装置本体10は、シートの先端がレジストローラ111まで達したところでレジストローラ111を任意のタイミングで駆動し、上記レーザ光の照射及び現像の処理とのタイミングを合わせて中間転写ベルト104と二次転写部106との間にシートを搬送する。二次転写部106において、中間転写ベルト104上に一次転写されたトナー像がシート上に二次転写される。二次転写部106において、中間転写ベルト104上のトナー像をシート上に二次転写する際に、中間転写ベルト104上にトナーが残留することがある。この残留トナーは、クリーニング部108にて取り除かれる。続いて、定着部107において、シート上に転写されたトナー像が加熱及び加圧されることでシート上に定着する。定着後のシートは、排紙ローラ112により装置本体10の機外へ排出される。装置本体10にはまた、装置内の水分量と温度を求めるために、第1温度センサ130と水分量センサ131とが配置されている。
中間転写ベルト104の外周面側に近接して、第1のセンサ109(109a、109b、109c)及び第2のセンサ120が配置される。第1のセンサ109は、いずれも後述するセンサ光量調整用の画像パターンPT1(図10)(第1の測定用画像)及び色ずれ補正用の画像パターンPT2(図7、図11)(第2の測定用画像)を読み取り・検知するためのセンサである。第2のセンサ120は、後述する濃度補正用の画像パターンPT3(図3、図11)(第3の測定用画像)を読み取り・検知するためのセンサである。3つの第1のセンサ109及び1つの第2のセンサ120は、互いの検知領域が重ならないように中間転写ベルト104の移動方向(搬送方向)に直交する方向(主走査方向であり、図1の紙面に直交する方向)に直線上に配列される(図11参照)。
図2は、画像形成装置1000の制御ブロック図である。システムコントローラ200は、CPU201、ROM202及びRAM203を有している。CPU201には、ROM202、RAM203、画像処理部210、負荷駆動部211、パターン形成部212、パターン読取部213及び情報読取部214がバスで接続されている。画像形成装置1000の各ブロックは全て、システムコントローラ200によって統括的にコントロールされ、主に装置内の各負荷の駆動は負荷駆動部211が行う。CPU201は、ROM202に格納されたプログラムによって、予め決められた画像形成シーケンスに纏わる様々なシーケンスを実行する。また、その際、一次的または恒久的に保存することが必要な書換え可能なデータがRAM203に格納される。
パターン形成部212は、各色のステーションにより、画像パターンPT(PT1、PT2、PT3)を中間転写ベルト104に形成する。パターン読取部213は、第2のセンサ120を用いて画像パターンPT3を読み取り、第1のセンサ109を用いて画像パターンPT1、PT2読み取る。露光部103内には第2温度センサ132が配設される。情報読取部214には、第1温度センサ130、水分量センサ131及び第2温度センサ132の各検知結果が供給され、情報読取部214は装置本体10内の温度及び水分量と露光部103内の温度とを取得することができる。
図3は、濃度補正用の画像パターンPT3の一例を示す図である。画像パターンPT3は、中間転写ベルト104の搬送方向に直交する方向における第2のセンサ120に対応する位置に形成される。従って、画像パターンPT3は、第2のセンサ120に対向する位置を通る。本実施の形態では、各色の濃度補正のために1つの第2のセンサ120で画像パターンPT3を検知する。従って、画像パターンPT3は、Y、M、C、Kの各パターンがそれぞれ5個ずつ、合計20個のパターンが中間転写ベルト104の搬送方向に一列に形成される。
濃度補正については4色ともに仕組みが同じであるため、代表してYの5個のパターンで説明する。CPU201は、濃度補正として、階調補正と露光部103の露光量の設定値の変更を行う。Yの5個のパターン(Y1〜Y5)は、搬送方向先頭から濃度の薄い順に配置されており、この濃度の関係をもとに、後述する階調補正テーブルが更新される。また、先頭から5個目のパターン(Y5)は、露光部103の露光量の調整、すなわちレーザ発光光量の調整のために使用される。
図4は、階調補正テーブルの一例を示す図である。階調補正テーブルは、画像信号をレーザ駆動信号に変換するテーブルである。本実施の形態では、画像信号及びレーザ駆動信号は共に10bitで表現される。この例の階調補正テーブルによれば、例えば画像信号が1023であればレーザ駆動信号が1023に変換され、画像信号が600であればレーザ駆動信号が500に変換される。各画像信号を階調補正テーブルで変換したレーザ駆動信号をもとにレーザ駆動パルスを変調させることでパターンの濃度が変化する。例えばCPU201は、レーザ駆動信号が500である場合には、500より大きい値と比較してパルス幅を狭くすることでレーザの発光時間を短くする。また、CPU201は、レーザ駆動信号が1023の場合には、500の場合と比較してパルス幅を広くすることでレーザの発光時間を長くする。その結果、トナーの載り量を変化させることができるので、濃度を変化させることができる。
図5は、エンジンγ特性と濃度ターゲットとの関係を示す図である。図6(a)は、エンジンγ特性と濃度ターゲットとの関係を示す図である。図6(b)は、変更前後の階調補正テーブルを示す図である。
機内の水分量や温度が変化した場合や、画像濃度の低いプリントを連続して行った後に画像濃度の高いプリントを行うといった画像形成動作により現像剤の劣化状況が変化すること等により、エンジンγ特性が変化する。このエンジンγ特性の変化に合わせて、階調補正テーブルを変更(更新)していくことで、画像濃度を安定させることができる。CPU201は、パターン形成部212を制御して画像パターンPT3を形成する。次に、CPU201はパターン読取部213を制御して第2のセンサ120で画像パターンPT3を検知する。そしてCPU201は、図5に示すように、レーザ駆動信号と濃度値との関係をプロットしていく。CPU201は、この5個の離散的な濃度値を線形補間することで現在のエンジンγ特性を把握することができる。
図6(a)、(b)で説明するように、このエンジンγ特性を予め定められた濃度ターゲットに合うように階調補正テーブルを変更することで、画像濃度を一定に保つことができる。ここでは、エンジンγ特性が求まった後、濃度ターゲットに合うように、どのように階調補正テーブルを変更するのかを図6(a)、(b)を用いて説明する。階調補正テーブルを変更する際には、予め定められた複数個の画像信号に対応したレーザ駆動信号値を求め、プロットしていく。この複数個の離散的なレーザ駆動信号値を線形補間することで変更後の階調補正テーブルを得られる。
一例を挙げると、予め5個の画像信号値を決めておくとする。このうち1個の画像信号値で1個のプロットができる過程を説明する。まずCPU201は、図6(b)に示すように、変更前の階調補正テーブルから、画像信号値800に対するレーザ駆動信号値として850を求める。次にCPU201は、図6(a)に示すように、濃度ターゲットからレーザ駆動信号値850に対する濃度値を求め、その濃度値と同じ濃度値となるようなエンジンγ特性に対応したレーザ駆動信号値として750を求める。次にCPU201は、図6(b)に示すように、画像信号が800でレーザ駆動信号値が750であることを満たす点をプロットする(更新プロット)。このような工程を5個の画像信号値全てに対して行い5個の更新プロットを得る。そしてCPU201は、これらの更新プロットを線形補間することで、変更後の階調補正テーブルを求めることができる。
上記したような階調補正テーブルの更新のみで濃度補正を行うと、濃度が出やすい(高い濃度値となりやすい)エンジンγ特性の場合には最大濃度部において過度にハーフトーニングされ(濃度はあっている)、文字部で異常画像が発生する可能性がある。一方、濃度が出にくいエンジンγ特性の場合には、最大濃度部のレーザ駆動信号を最大にしても出力したい濃度値が得られない可能性がある。そのため、濃度補正では、階調補正テーブルの更新だけでなく、レーザ発光光量の補正を行うのが適切である。レーザ発光光量を大きくするとトナーの載り量が多くなり、レーザ発光光量を小さくするとトナーの載り量が少なくなることから、レーザ発光光量の設定によって濃度が変化する。
画像パターンPT3のうち最大濃度で形成された画像の検知濃度値と予め定められた濃度ターゲットの最大濃度値との差分が所定値以上であった場合には、CPU201は、この所定値を相殺するように現状のレーザ発光光量をオフセットする。所定値だけオフセットした後のレーザ発光光量の設定値を記憶しておき、次回の濃度補正実行時にレーザ発光光量を設定値へ更新する。従って、濃度補正の実行の際には、前回の濃度補正により変更された設定値へレーザ発光光量が更新される。レーザ発光光量の更新タイミングを次回の濃度補正実行時としたのは、中間調が不適切に変化することを回避するためである。すなわち、階調補正テーブルの更新は、オフセットする前のレーザ発光光量を用いて実施している。そのため、階調補正テーブルを更新した状態でレーザ発光光量をオフセットしてしまうと、その後の画像形成において最大濃度、中間調の全てにおいて濃度がずれるからである。
図7は、色ずれ補正用の画像パターンPT2の一例を示す図である。画像形成装置1000は、画像形成時に稼働する各部モータや定着のヒータ、電源等様々な熱源、及び周囲の環境の変化により、各感光ドラム102に対する露光位置が変動し、色ずれが発生する。図7を用いて色ずれ補正について説明する。画像パターンPT2は、中間転写ベルト104の搬送方向に直交する方向における第1のセンサ109a、109b、109cのそれぞれに対応する位置に形成される。3組の画像パターンPT2の構成は共通であるので、代表して第1のセンサ109cに対応する画像パターンPT2を説明する。
画像パターンPT2において、300Ya、300Ybがイエロー、300Ca、300Cbがシアン、300Ka1、300Ka2、300Kb1、300Kb2がブラック、300M〜307M、300Mak、300Mbkがマゼンダのパターンである。本実施の形態では、搬送方向においてマゼンダのパターンの形成位置を基準位置とする。中間転写ベルト104には黒色のものを用いるため、中間転写ベルト104の表面(下地)での反射率とブラックのパターンでの反射率とがほぼ等しくなる。そこでCPU201は、マゼンダのパターン300Mak、300Mbkのそれぞれの上にブラックのパターン300Ka1、300Ka2、300Kb1、300Kb2を形成し、マゼンダの位置を検知することでブラックの位置を特定する。
マゼンタに対するイエローの色ずれ量の検知について図8を用いて説明する。図8は、画像パターンPT2とセンサ出力との関係を示す図である。CPU201は、第1のセンサ109cで読み取ったマゼンタのパターン300M、301Mの間のイエローのパターン300Yaのパターン間距離301Ya、302Yaを求める。同様に、CPU201は、マゼンタのパターン304M、305Mの間のイエローのパターン300Ybのパターン間距離301Yb、302Ybを求める。そしてCPU201は、これらのパターン間距離から、数式1により、主走査方向、副走査方向におけるマゼンタに対するイエローの色ずれ量(主走査ずれ量、副走査ずれ量)を求める。
[数1]
主走査ずれ量={(302Ya−301Ya)/2−(302Yb−301Yb)/2}/2
[数2]
副走査ずれ量={(302Ya−301Ya)/2+(302Yb−301Yb)/2}/2
CPU201は、シアン、ブラックに関しても同様の演算を行う。図8に示した画像パターンPT2は1組である。CPU201は、中間転写ベルト104の1周分となるように搬送方向に10個の画像パターンPT2を形成する。そしてCPU201は、各画像パターンPT2の検知結果から1個ずつ、合計10個の主走査ずれ量及び副走査ずれ量を求め、これらを平均したものを最終的な主走査ずれ量及び副走査ずれ量とする。これらが色ずれ量となる。CPU201は、この色ずれ量を、第1のセンサ109a、109b、109cのそれぞれで求める。CPU201は、求めた色ずれ量に基づいて、その後の画像形成において主走査方向及び副走査方向における書き出し位置、主走査方向の倍率、副走査方向の傾きを補正する。
図9は、第1のセンサ109の構成を示す模式図である。なお、第2のセンサ120の構成は第1のセンサ109と共通である。第1のセンサ109は、発光部151と受光部152とを有し、発光部151から照射された光を受けた対象物の乱反射光を受光部152が検出する構成になっている。発光部151からの光は発光部151の対向位置にある中間転写ベルト104あるいは中間転写ベルト104上の画像パターンPTに照射され、検知領域154で反射した光がレンズ153で集光されて受光部152に入射する。受光部152で受光された際の受光部152の出力波形はコンパレータに入力され、予め設定された閾値で2値化される。出力波形のピーク値が低い場合、2値化された波形はパターン幅が狭くなり、ノイズとの切り分けができなかったり、パターン中心位置を正しく検知できなかったりするため、前述の色ずれ量の算出が正しくできない可能性がある。そのためCPU201は、色ずれ補正を行う前に、出力波形のピークが一定以上の値となるように発光部151の出力電位を制御する。これが、発光部151の光量調整(センサ光量調整)である。発光部151の出力電位の制御について図10を用いて説明する。
図10は、センサ光量調整用の画像パターンPT1と受光部152の出力波形との関係を示す図である。センサ光量調整において、CPU201は中間転写ベルト104上に画像パターンPT1を形成する。画像パターンPT1において、350Mと351Mはマゼンダ、350Cはシアン、350Yはイエロー、350Kと351Kはブラックのパターンである。
CPU201は、予め定められた基準値を発光部151の出力電位として設定し、画像パターンPT1を形成した後に第1のセンサ109a、109b、109cの各受光部152で画像パターンPT1を検知する。CPU201は、その検知結果である4つの出力波形のピークの中から最も低い値を求め、その値がターゲット値となるように発光部151の出力電位を調整する。ここで調整して求めた発光部151の出力電位を色ずれ補正実行時に設定することで、色ずれ量を精度良く算出することが可能となる。
本実施の形態ではターゲット値を1Vとする。発光部151の出力電位を基準値に設定した場合に検知された4つの出力波形(図10の実線)のピーク値は、350M、351M、350Yでは0.8V、350Cでは0.5Vであり、最も低い値は350Cの0.5Vである。CPU201は、この350Cのピーク値がターゲット値である1Vとなるように、発光部151の出力電位を調整する。CPU201は、例えば、予め決められた最も低いセンサの出力値と当該センサの出力値を目標値(1.0[V])にするための出力電位のオフセット量との対応関係を参照して発光部151の出力電位を調整する。調整後の4つの出力波形(図10の波線)のピークはいずれもターゲット値以上となる。
図11は、色ずれ補正用と濃度補正用の画像パターンPT2、PT3が並行して形成された中間転写ベルト104を示す図である。濃度補正と色ずれ補正とを別々に実行すると調整時間が長くなってしまう。そのため、調整モードの判断で濃度補正と色ずれ補正の両方を行うと判断された場合は、両者を並行して行うために、画像パターンPT2、PT3が並行して形成される。
CPU201は、図11に示すように、画像パターンPT2と画像パターンPT3とを主走査方向に並べて形成することで調整時間を短縮する。ここで、濃度補正を行う場合は、画像パターンPT3を形成する前にレーザ発光光量を変える必要がある。他方、色ずれ補正では、CPU201は、画像パターンPT2を形成する前に、センサ光量調整によって第1のセンサ109の受光部152の出力波形のピークが1Vになるように発光部151の出力電位を調整している。それゆえに、センサ光量調整後で且つ画像パターンPT2の形成前にレーザ発光光量の更新がなされると、受光部152の出力電位が変化し、出力波形のピークが1Vではなくなってしまう可能性がある。センサ光量調整後で且つ色ずれ補正用の画像パターンPT2の形成前にレーザ発光光量が変更されると、色ずれ補正を高い精度に行うことができなくなるおそれがある。そこで濃度補正と色ずれ補正を並行して行う場合は、色ずれ補正に先だって実施されるセンサ光量調整において画像パターンPT1が形成される前に、これから実施する濃度補正で用いるレーザ発光光量を更新しておくのが適切である。
調整モードの処理について図12、図13を用いて説明する。図12は、調整シーケンス処理のフローチャートである。このフローチャートの処理は、ROM202に格納されたプログラムをCPU201が読み出して実行することにより実現される。この処理は、所定の時間ごとに実行される。図12の処理において、CPU201は、センサ光量調整を行う調整手段、色ずれ補正を行う第1の補正手段、露光部103の露光量を更新する更新手段、濃度補正を行う第2の補正手段としての役割を果たす。
まず、ステップS101では、CPU201は、調整モード実行判断処理(図13)を実行する。図13は、この調整モード実行判断処理のフローチャートである。まず、CPU201は、色ずれ補正の実施が必要とされる条件を満たしているか否かを判別し(ステップS201)、その条件を満たしている場合は、色ずれ補正が必要であることを示す情報をRAM203に記憶させる(ステップS202)。色ずれは周囲の環境の変化により発生するため、本実施の形態では前回の色ずれ補正実行時から露光部103内の第2温度センサ132による検知温度が2°C以上変化した場合に色ずれ補正の実施が必要と判別される。また、前回の色ずれ補正実行時からの印刷枚数が1000枚に達した場合にも色ずれ補正の実施が必要と判別される。ステップS202の後、処理はステップS203に進む。また、ステップS201の判別の結果、色ずれ補正の実施が必要とされる条件が満たされない場合は、処理はステップS203に進む。
ステップS203では、CPU201は、濃度補正の実施が必要とされる条件を満たしているか否かを判別し、その条件を満たしている場合は、濃度補正が必要であることを示す情報をRAM203に記憶させる(ステップS204)。濃度変化は機内の水分量や温度の変化のほか、現像剤の劣化状況の変化等により発生する。そのため、本実施の形態では前回の濃度補正実行時から、第1温度センサ130と水分量センサ131とから求まる機内の湿度が10%以上乖離した場合に濃度補正の実施が必要と判別される。また、前回の濃度補正実行時から2分以上経過した場合も濃度補正の実施が必要と判別される。ステップS204の後、図13の処理は終了する。また、ステップS203の判別の結果、濃度補正の実施が必要とされる条件が満たされない場合は、図13の処理は終了する。
図12のステップS102では、CPU201は、ステップS101での判断結果に基づき、補正が必要な項目があるか否かを判別する。そしてCPU201は、補正が必要な項目がなければ図12の処理を終了させる一方、補正が必要な項目がある場合は、その項目から濃度補正が必要か否かを判別する(ステップS103)。そして、CPU201は、濃度補正が必要である場合、前回の濃度補正で求めたレーザ発光光量の設定値へレーザ発光光量を設定変更する(ステップS104)。なお、レーザ発光光量の設定値は、前回の濃度補正においてステップS113で演算により求められ、RAM203に記憶されており、CPU201はRAM203から設定値を取得できる。一方、濃度補正が必要でない場合は、処理はステップS116へ進む。この場合、センサ光量調整とそれに続いて色ずれ補正が実行される(S116〜S121)。
次に、ステップS105で、CPU201は、補正が必要な項目から、色ずれ補正が必要か否かを判別する。そして、CPU201は、色ずれ補正が必要でない場合は、処理はステップS114へ進む。この場合、濃度補正が単独で実行される(S114、S115)。一方、色ずれ補正が必要である場合は、処理はステップS106へ進む。この場合、濃度補正と色ずれ補正とが並行して実行され、しかも、これらの補正に先立ってセンサ光量調整が実行される(S106〜S113)。
ステップS106では、CPU201は、発光部151の出力電位の補正(センサ光量調整)を開始する。まずCPU201は、中間転写ベルト104に画像パターンPT1を形成する(図10)。そして、CPU201は、第1のセンサ109を用いて、画像パターンPT1の検知を開始する(ステップS107)。そして検知が完了すると、CPU201は、ステップS108で、図10で説明したように、画像パターンPT1の検知結果に基づいて、出力波形のピークが最も低いものがターゲット値となるような出力電位を求める。そしてCPU201は、求めた出力電位へ発光部151の出力電位を設定変更する。これにより、第1のセンサ109の発光部151の光量が適切に設定される。
次にステップS109では、CPU201は、色ずれ補正と濃度補正とを並行して実行するために、中間転写ベルト104に画像パターンPT2と画像パターンPT3とを並行して形成する(図11)。そしてCPU201は、中間転写ベルト104によって搬送される画像パターンPT2、PT3をそれぞれ、第1のセンサ109、第2のセンサ120を用いて検知する動作を開始する(ステップS110)。そして検知が完了すると、CPU201は、第1のセンサ109による画像パターンPT2の検知結果に基づき、上記数式1、2を用いて色ずれ量を演算する(ステップS111)。この色ずれ量に基づき、以降の画像形成における色ずれが補正される。
次にステップS112では、CPU201は、第2のセンサ120による画像パターンPT3の検知結果に基づき、図5、図6で説明したように、階調補正テーブル(図4)を更新する。次にステップS113では、CPU201は、第2のセンサ120で読み取った濃度値のうちの最大濃度値と予め定められた濃度ターゲットの最大濃度値との差分に応じて、次回の濃度補正の際に設定するレーザ発光光量の設定値を演算で求める。例えばCPU201は、上記差分が10以上の場合には、レーザ発光光量を現在値から1だけマイナスした値を設定値とし、上記差分が−10以下の場合にはレーザ発光光量を現在値から1だけプラスした値を設定値とする。また、CPU201は、上記差分が−10より大きく10未満である場合は、レーザ発光光量の現在値を設定値とする。設定値はRAM203に記憶される。その後、図12の処理は終了する。
ステップS114では、CPU201は、中間転写ベルト104に画像パターンPT3を形成する。そしてCPU201は、ステップS115で、中間転写ベルト104によって搬送される画像パターンPT3を第2のセンサ120を用いて検知する動作を開始する。そして検知が完了すると、処理はステップS112へ進む。ステップS116〜S118では、CPU201は、センサ光量調整のためにステップS106〜S108と同様の処理を実行する。続くステップS119では、CPU201は、CPU201は、色ずれ補正を実行するために、中間転写ベルト104に画像パターンPT2を形成する。そしてCPU201は、中間転写ベルト104によって搬送される画像パターンPT2を第1のセンサ109を用いて検知する動作を開始する(ステップS120)。そして検知が完了すると、CPU201は、第1のセンサ109による画像パターンPT2の検知結果に基づき、上記数式1、2を用いて色ずれ量を演算する(ステップS121)。この色ずれ量に基づき、以降の画像形成における色ずれが補正される。その後、図12の処理は終了する。
本実施の形態によれば、濃度補正の実施が必要な場合、レーザ発光光量を、前回の濃度補正で求めた設定値に更新してから今回の濃度補正が行われる。色ずれ補正の実施が必要な場合、センサ光量調整が行われた後に色ずれ補正が行われる。色ずれ補正と濃度補正の双方の実施が必要な場合、色ずれ補正と濃度補正とを並行して行うことで、所要時間を短縮することができる。色ずれ補正と濃度補正とが並行して行われる場合、色ずれ補正に先だって実施されるセンサ光量調整において、センサ光量調整用の画像パターンPT1が形成される前に、レーザ発光光量の更新がなされる。従って、センサ光量調整と色ずれ補正との間で画像形成条件が変更されないことから、色ずれ量の検知精度が維持される。よって、色ずれ補正の精度を低下させることなく濃度補正と色ずれ補正の所要時間を短縮することができる。
また、色ずれ補正と濃度補正とが並行して行われる場合、画像パターンPT2と画像パターンPT3とは時間的に並行して形成される。そして、第1のセンサ109による画像パターンPT2の検知と第2のセンサ120による画像パターンPT3の検知とは時間的に並行して行われる。これらにより、色ずれ補正及び濃度補正の全体の処理時間が短縮される。
特に、第1のセンサ109と第2のセンサ120とは、互いの検知領域が重ならないように中間転写ベルト104の移動方向に直交する方向に直線上に配列される。これにより、画像パターンPT2、PT3を並行して形成する上で、中間転写ベルト104の移動方向における画像パターンPT2、PT3の位置を極力一致させることができ、処理時間を効果的に短縮できる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。