以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
図1は、本実施形態の画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、書込ユニット101と、像形成部102と、転写部103とを含んで構成される。書込ユニット101は、半導体レーザ、LED、ポリゴンミラーなどの光学要素を含んでいて、像形成のための像状露光を可能としている。像形成部102は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置などを含んでいて、感光体ドラム上に静電潜像を形成し、顕像化する、感光体ドラム上のトナー像は、転写プロセスにより転写ベルト130に転写される。
また、書込ユニット101は、半導体レーザ(図示せず)などの光源から放出された光ビームを、ポリゴンミラー110により偏向させ、fθレンズ111に入射させている。光ビームは、矢線Aで示され、図示した実施形態ではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した数発生されていて、fθレンズ111を通過した後、反射ミラー112で反射される。
WTLレンズ113は、光ビームを整形した後、反射ミラー114,115へと光ビームを偏向させ、露光のために使用される光ビームとして各色の感光体ドラム120c,120m,120k,120yへと、光ビームを像状照射する。感光体ドラム120c,120m,120k,120yへの光ビームの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われるため、主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期が行われている。
なお、以下、主走査方向を、光ビームの走査方向として定義し、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向、多くの画像形成装置100では、感光体ドラム120c,120m,120k,120yの回転する方向として定義する。
感光体ドラム120は、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。光導電層は、それぞれ感光体ドラム120c,120m,120k,120yに対応して配設され、コロトロン、スコロトロン、または帯電ローラなどを含んで構成される帯電器122c,122m,122k,122yにより表面電荷が付与される。
各帯電器122c,122m,122k,122yにより感光体ドラム120c,120m,120k,120y上に付与された静電荷は、光ビームにより像状露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム120c,120m,120k,120y上に形成された静電潜像は、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含む現像器121c,121m,121k,121yにより現像され、現像剤像が形成される。
感光体ドラム120c,120m,120k,120y上に担持された現像剤は、搬送ローラ131a,131b,131cにより矢線Bの方向に移動する転写ベルト130上に転写される。転写ベルト130は、C、M、Y、Kの現像剤を担持した状態で2次転写部へと搬送される。2次転写部は、2次転写ベルト133と、搬送ローラ134a、134bと含んで構成される。2次転写ベルト133は、搬送ローラ134a、134bにより矢線Cの方向に搬送される。2次転写部には、給紙カセットなどの受像材収容部140から上質紙、プラスチックシートなどの受像材150が搬送ローラ135により供給される。
なお、搬送ローラ131a近傍には、転写ベルト130上に形成された画像の形成条件を補正するためのパターン画像を検出するための検出センサ200が複数配置されている。上述したパターン画像には、例えば、位置ずれ補正用テストパターン画像や、濃度補正用テストパターン画像などが含まれる。検出センサ200には、公知の反射型フォトセンサを含む反射型検出センサを用いることができ、各検出センサ200の検出結果に基づいて、基準色に対する各色のスキュー(傾き)や、主走査レジストずれ量、副走査レジストずれ量、主走査倍率誤差などを含む各種ずれ量を算出することができる。画像形成装置100は、算出した値に基づいて画質調整に係る各種ずれ量を補正し、転写ベルト130上に画像を形成する際の画像形成条件を補正することができる。なお、検出センサ200の構成については、詳細は後述する。
2次転写部は、2次転写バイアスを印加して、転写ベルト130上に担持された多色現像剤像を、2次転写ベルト133上に吸着保持された受像材150に転写する。受像材150は、2次転写ベルト133の搬送と共に定着装置136へと供給される。定着装置136は、シリコーンゴム、フッソゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材137を含んで構成されていて、受像材150と多色現像剤像とを加圧加熱し、印刷物160として画像形成装置100の外部へと出力する。多色現像剤像を転写した後の転写ベルト130は、クリーニングブレードを含むクリーニング部139により転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給されている。
次に、検出センサ200の詳細を説明する。図2は、本実施形態の画像形成装置100に含まれる検出センサ200の構成を示す図である。検出センサ200は、1つの発光素子201と、2つの受光素子202,203と、集光レンズ204とを含んで構成されている。発光素子201には、例えば、赤外光を発する赤外光LEDや、レーザ発光素子を用いることができる。また、受光素子202は正反射型受光素子で、受光素子203は拡散反射型受光素子であって、それぞれフォトトランジスタや、フォトダイオードと増幅回路を組み合わせたものなどを用いることができる。
検出センサ200では、発光素子201が発した赤外光L1が、集光レンズ204を透過し、転写ベルト130に到達する。転写ベルト130に到達した赤外光L1は、転写ベルト130上のテストパターン形成領域や、テストパターン形成領域のトナー層で反射する。赤外光L1のうち、正反射したものは、正反射光L2として、集光レンズ204を再透過して受光素子202によって検出される。また、赤外光L1のうち、拡散反射したものは、拡散反射光L3として、集光レンズ204を再透過して受光素子203によって検出される。
このようにして、検出センサ200では、転写ベルト130上に形成されたテストパターンを読み取り、色ずれなどを補正するためのパラメータを算出する。そこで、次に、印刷動作中に形成されるテストパターンについて説明する。図3は、転写ベルト130上に形成される画像パターンの例を示す図である。
図3では、転写ベルト130上に、受像材150に転写される画像310と、位置ずれ検出用パターン320とが形成されている。位置ずれ検出用パターン320は、ベルト寄りによるベルトの波うちを補正するために、複数形成されていることが好ましい。したがって、検出センサ200は、位置ずれ検出用パターン320に対応する位置に配置される。検出センサ200aおよび200cは、転写ベルト130の端部近傍を読み取ることが可能な位置に、検出センサ200bは、転写ベルトの中央付近を読み取ることが可能な位置に、それぞれ配置されている。
なお、検出センサ200bが読み取る位置には、印刷動作中では転写される画像が形成されていて、印刷動作以外のタイミングで位置ずれ検出用パターン320を形成することで、検出センサ200bの検出結果も含めた補正を行うことができる。
位置ずれ検出用パターン320は、感光体ドラム120に対応した各色のパターンであって、主走査方向に平行なパターンと、主走査方向に対して傾斜したパターンとを含むことが好ましく、さらに、副走査方向に同一のパターンを複数形成することが好ましい。このようにしてパターンを形成することで、ベルトの波うちがあっても色ずれを低減する補正を行うことができる。
ここまで、画像形成装置100が形成する、補正を行うためのパターンについて説明した。次に、本実施形態のデータ処理系を、画像形成装置100のハードウェア構成に基づいて説明する。図4は、本実施形態の画像形成装置100に含まれるハードウェア構成を示す図である。
検出センサ200は、図2で説明した通り、発光素子201が発した光の反射光を、受光素子202,203が受光することで、受光した光の強度に応じたアナログ検知信号を出力する。アナログ検知信号は、増幅部440で増幅され、フィルタ442でライン検知の信号成分のみを通過させる。
その後、A/D変換部444で、アナログデータからデジタルデータに変換される。なお、A/D変換のデータのサンプリングは、サンプリング制御部446によって制御される。A/D変換部444でサンプリングされたデジタル検知データは、FIFO(First In First Out)メモリ448に格納される。
1組のパターンの検出が終了すると、サンプリング制御部446は、検知データをFIFOメモリ448から、I/Oポート420を介して、CPU410およびRAM412に出力する。CPU410は、ROM411に格納されているプログラムに従って所定の演算処理を行い、色ずれを補正するための補正量などを算出する。なお、ROM411には、上述したプログラムの他に、画像形成装置100に含まれる各種ハードウェアを制御するためのプログラムを格納することができる。
CPU410は、受光素子202,203からの検知データを適当なタイミングでモニタし、発光素子201が射出する赤外光L1の強度を制御する制御信号を生成することができる。当該制御信号は、I/Oポート420を介して、発光量制御部430に出力され、発光量制御部430は、制御信号に応じて発光素子201の発光量を制御する。このようにして発光量を制御することで、受光素子202,203が出力する検知データのレベルを一定にすることができる。
また、CPU410は、位置ずれ検出用パターン320の検出結果から算出された色ずれ量を補正するための補正量を算出する。CPU410は、算出した補正量に基づいて、描画データの書き込み開始のタイミングや、画素クロック周波数の変更などを行い、書込制御部413に出力し、設定する。
書込制御部413は、例えば、VCO(Voltage Controlled Oscillator)を利用したクロックジェネレータのような、出力周波数を高精度に設定できる構成を備えており、この出力を画素クロックとして用いることができる。書込制御部413は、画素クロックを基準に、コントローラ414が出力する描画データに応じて、LD点灯制御部415を駆動する。LD点灯制御部415が動作することによって、図1に示した感光体ドラム120に画像が形成され、回転することによって逐次、転写ベルト130上に画像が形成される。
上述したように、CPU410が求めた補正量に基づいて、書込制御部413が描画データの書き込みのタイミングを制御することで、転写ベルト130の状態を適宜反映した画像を形成することができ、色ずれを低減することができる。
以上、本実施形態の画像形成装置100に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図5を以て説明する。図5は、本実施形態の画像形成装置100に含まれるソフトウェアブロック図である。
本実施形態の画像形成装置100は、光照射部510、転写画像形成部520、転写部530、補正処理部540、テストパターン検出部550、記憶部560が含まれている。以下に、各機能ブロックの詳細について説明する。
光照射部510は、感光体ドラム120に転写画像を形成するための光を照射する手段であり、レーザダイオードなどの半導体レーザ光源を複数含む。転写画像形成部520は、光照射部510が射出した光ビームによって、感光体ドラム120上に画像を形成する手段である。転写画像形成部520は、テストパターン形成部521を含んでおり、描画データに含まれる画像以外にも、位置ずれ検出用パターン320などを形成することができる。
転写部530は、感光体ドラム120上に形成された画像を転写ベルト130に転写し、さらに、例えば普通紙のような受像材150上に2次転写する手段である。2次転写された受像材150は、定着装置136によって画像が定着され、印刷物160として出力される。
補正処理部540は、画像の色ずれを補正する手段であり、波うち判定部541と補正値算出部542とを含む。波うち判定部541は、検出センサ200が検出したパターンに基づいて、転写ベルト130の波うち状態を判定する。補正値算出部542は、波うち判定部541が出力する結果に基づいて、色ずれ量を算出し、色ずれの補正量を算出する。
テストパターン検出部550は、位置ずれ検出用パターン320を検出する手段であり、検出センサ200を含んで構成される。テストパターン検出部550は、検出した結果を補正処理部540に送信する。記憶部560は、本実施形態の画像形成装置100の各ハードウェアが実行する各種プログラムや、画像の補正を行うための各種補正値などを記憶する手段である。記憶部560には、例えば、FIFOメモリ448や、ROM411のほかに、HDD(Hard Disk Drive)などを含んでもよい。
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU410が本実施形態のプログラムを実行することにより、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
ここまで、本実施形態の画像形成装置100のソフトウェアブロックの構成について説明した。次に、本実施形態による補正処理について、図6〜11を以て具体的に説明する。なお、以下の説明において、本実施形態の位置ずれ検出用パターン320は、イエロー(Y)、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色を含む、主走査方向と同じ方向である横線パターンと、主走査方向に対して所定の角度だけ傾斜した斜め線パターンから構成されているが、位置ずれ検出用パターン320の構成を限定するものではない。また、以下の実施形態の説明では、斜め線パターンは、主走査方向に対して45°傾斜している場合を例に説明する。
図6は、位置ずれ検出用パターン320を生成するタイミングチャートの例を示す図であり、図6(a)〜(d)は、それぞれ各色(Ye,Bk,Ma,Cy)の画像を形成するタイミングを示している。fgate_nは、各色の画像領域(画像データを書き込む期間)を示す信号であり、fgate_nがLowのタイミングで画像データを感光体ドラム120に書き込む。
また、図6において、各色の書き込みタイミングがずれているのは、各色の感光体ドラム120が転写ベルト130の搬送方向に対して並んで配置されていることから、各感光体ドラム間の距離分だけ書き込みタイミングをずらすことで、転写ベルト130上に各色のトナー画像を重ね合わせた画像を形成する。なお、図6では、位置ずれ検出用パターン320を3組目まで図示しているが、ベルト長や感光体長に応じて、パターンの組数を変更してもよい。
図6に示すようにして、横線パターンと斜め線パターンを形成することで、転写ベルト130上には、図3のような位置ずれ検出用パターン320が形成される。本実施形態では、当該パターン検出することによって、色ずれ量を算出することができ、補正処理を行う。
図7は、本実施形態において位置ずれ検出用パターン320からずれ量を算出する方法を説明する図であり、転写ベルト130上に形成された位置ずれ検出用パターン320を検出センサ200が読み取る様子を示している。
検出センサ200は、転写ベルト130の搬送に伴い、位置ずれ検出用パターン320を所定のサンプリング間隔で以て読み取り、I/Oポート420を介して検出結果をCPU410に出力する。CPU410では、パターンの検出結果の通知を受けると、当該検出結果と、上述したサンプリング間隔と、転写ベルト130の搬送速度とに基づいて、横線パターン間距離、および横線パターンと各色の横線パターンに対応する斜め線パターンとの距離を算出する。このようにして算出した距離を比較することによって、位置ずれ量を求めることで、色ずれの補正するための値を求めることができる。
まず、副走査方向の位置ずれ量の算出について説明する。副走査方向の位置ずれ量は、横線パターン間の距離から求めることができ、基準となる横線パターンと、対象となる各色の横線パターンとの距離に基づいて算出する。図7では、基準となる横線パターンをKとし、Kと各色の横線パターンとの距離をy1、c1、m1を算出する。そして、位置ずれがない場合の理想的な各色の横線パターン間の距離y0、c0、m0と比較することで、両者の差分が位置ずれ量として求まる。すなわち、基準色Kに対するY、C、Mの副走査方向の位置ずれ量は、それぞれ、y1−y0、c1−c0、m1−m0である。
次に、主走査方向の位置ずれ量の算出について説明する。斜め線パターンは、主走査方向に対して所定の角度で傾斜していることから、主走査方向の位置ずれがある場合には、副走査方向に対しても斜め線パターンの位置ずれが生じる。特に、本実施形態では、斜め線パターンは主走査方向に対して45°傾斜していることから、斜め線パターンの副走査方向の位置ずれ量は、主走査方向の位置ずれ量と同じ値になる。したがって、主走査方向の位置ずれ量は、横線パターンと斜め線パターンとの距離に基づいて求めることができる。
図7では、横線パターンと、対応する同じ色の斜め線パターンとの距離y2、k2、c2、m2を求める。そして、任意の色を基準色として、基準色のパターン間距離と、基準色でないパターン間距離との差分を求める。例えば、Kを基準色とすると、k2−y2、k2−m2、k2−c2が、それぞれ主走査方向の位置ずれ量として求まる。
このようにして、各色の副走査方向および主走査方向の位置ずれ量を求めることができる。さらに、上述した位置ずれ量を、検出センサ200ごとに求めることで、スキューや走査倍率誤差を求めることができ、画像を形成する際の補正のパラメータを求めることができる。例えば、ずれ量のスキュー成分は、検出センサ200a,200b,200cでそれぞれ検出される、副走査方向の位置ずれ量の差分から、算出することができる。
上述したようにして求めた各種位置ずれ量に基づいて、転写ベルト130上に画像を形成する際の補正処理を行うことができる。補正処理では、各色の位置ずれ量が一致するように画像形成装置100を調整する。例えば、各色の感光体ドラム120に照射する光ビームの発光タイミングを調整したり、感光体ドラム120の回転速度を調整したりすることで、各色の位置ずれ量を一致されることができる。また、光ビームを反射させるミラーの角度を、ステッピングモータなどで調整することで、補正することもできる。さらに、形成する画像に白ラインを追加するなどの、画像データの変更によっても、位置ずれを補正することができる。
なお、上述した位置ずれは、図8にしめすように転写ベルト130の波うちによっても生じる。図8は、本実施形態において転写ベルト130上のパターンを検出する例を示す図である。図8(a)は、転写ベルト130が波打ちしていない場合を、図8(b)は、転写ベルト130が波打ちしている場合を、それぞれ示しており、CPU410は、受光レベルの立ち下がりエッジと立ち上がりエッジとに基づいて位置ずれ検出用パターン320の有無を検出する。
図8(a)では、転写ベルト130に波うちがないことから、転写ベルト130上のパターンも平坦であり、パターン有りとして検出される受光レベルも一定値を保つ。一方で、図8(b)では、転写ベルト130に波うちが発生しているため、転写ベルト130上のパターンにも波うちが生じ、位置によってセンサとパターンとの距離に差が生じる。そのため、センサとパターンとの距離が近い箇所と遠い箇所とでは、反射レベルに差が生じ、正しい位置を検出できない。特に、斜め線パターンでは、転写ベルト130の波うちによってパターンが主走査方向にもずれるため、立ち下がりエッジや立ち上がりエッジを検出するタイミングが変化し、誤検出が発生することがある。
以上、説明した通り、このような転写ベルト130の波うちによるパターンの誤検出があると、位置ずれの補正だけでは適切な補正を行うことができず、色ずれによる画質の低下が引き起こされる。したがって、転写ベルト130の波うち状態を評価し、波うちがある場合には、波うち状態を加味して補正することで、色ずれを低減することができる。転写ベルト130の波うちは、検出センサ200ごとのパターン検出結果、すなわち、センサ間ずれ量から判定することができる。
図9は、本実施形態の検出センサ200のセンサ間ずれ量を説明する図である。図9は、転写ベルト130の両端部近傍を読み取る2つの検出センサ200a,200cを例示しており、図9(a)は、検出センサ200aを、図9(b)は、検出センサ200cをそれぞれ示している。また、図9の転写ベルト130には波うちが生じており、位置ずれ検出用パターン320にもずれが生じている場合を例に説明する。
図9(a)に示すように、検出センサ200aの出力信号に基づいて、2つのパターン間距離a1,b1を検出する。a1は、1組目の斜め線パターンの立ち下がりエッジから2組目の同じ色の斜め線パターンの立ち下がりエッジまでの距離であり、b1は、1組目の斜め線パターンの立ち上がりエッジから2組目の同じ色の斜め線パターンの立ち上がりエッジまでの距離である。また、同様にして、図9(b)に示すように、検出センサ200cの出力信号に基づいて、1組目の斜め線パターンの立ち下がりエッジから2組目の同じ色の斜め線パターンの立ち下がりエッジまでの距離a2と、1組目の斜め線パターンの立ち上がりエッジから2組目の同じ色の斜め線パターンの立ち上がりエッジまでの距離b2を検出する。
ここで、a1とb1、a2とb2はそれぞれ同じ値であることが理想的であり、その値は1組目のパターンと2組目のパターンの書き込みタイミングによって決定する。しかしながら、上述したように転写ベルト130の波うちによって、適切なパターン検出ができない場合があり、2つの検出センサ200のセンサ間ずれ量を評価する必要がある。検出センサ200a,200cの先端側エッジのセンサ間ずれ量をS21、後端側エッジのセンサ間ずれ量をK21とすると、各センサ間ずれ量は下記式1のようにして算出することができる。
センサ間ずれ量は、転写ベルト130の搬送速度の揺らぎや、センサの読み取り時の誤差に起因して発生する。転写ベルト130に波うちが発生している場合には、S21およびK21の値が大きくなり、さらに両者の差分は、検出したパターン幅の差分でもあることから、色ずれ検出量が大きくなる。したがって、補正処理では、S21およびK21の値を評価し、一定値以上の場合には、センサ間ずれ量を加味した色ずれ補正を行う。
上述の説明では、1組目のパターンと2組目のパターンからセンサ間ずれ量を算出したが、同様に、2組目と3組目、3組目と4組目のパターンからセンサ間ずれ量を算出することで、搬送速度の揺らぎや読取誤差を検出することができる。なお、図9の例では、隣接したパターンからエッジ間隔を求めているが、離れたパターンからエッジ間隔を求めると、転写ベルト130の長周期の誤差や、感光体ドラム120の回転むらの影響が出るため、隣接した組のパターンからエッジ間隔を求めることが好ましい。さらに、感光体ドラム120の1回転内のパターンからエッジ間隔を求めることが好ましい。
また、図9では、2つの斜め線パターンからセンサ間ずれ量を検出する場合を例に示したが、本発明の実施形態を限定するものではなく、例えば、横線パターンを含んでセンサ間ずれ量を検出してもよい。但し、横線パターンのみでは主走査方向のずれを検出することが困難であることから、少なくとも1つの斜め線パターンを含むことが好ましい。また、画像を形成するタイミングは色ごとに異なるため、センサ間ずれ量は各色で検出することが好ましい。各色でセンサ間ずれ量を検出することで、色ずれやスキューの影響を低減できる。
次に、本実施形態の画像形成装置100が実施する処理について説明する。図10は、本実施形態の色ずれ補正を行う処理のフローチャートである。
まず、画像形成装置100は、ステップS1000から、色ずれを補正する処理を開始する。次に、ステップS1001で、転写ベルト130上に、位置ずれ検出用パターン320を形成する。ステップS1001で形成されるパターンは、図3に示したようなパターンであって、転写ベルト130の波うちを判定するために、2以上のセンサで検出できる位置に配置され、特に転写ベルト130の端部近傍に形成されることが好ましい。
その後、ステップS1002で、検出センサ200が、位置ずれ検出用パターン320を読み取り、ステップS1003で、読み取り結果に基づいて、図9で説明したセンサ間ずれ量(S21、K21)を算出する。その後、ステップS1004で、算出したセンサ間ずれ量と、あらかじめ設定した規定値とを比較し、転写ベルト130の波うちの有無を判定する。
なお、カラー画像形成装置は、各色の色ずれ量をゼロにすることは非常に困難であることから、本実施形態の処理では、色ずれ量が規格値以下になるように補正値を算出し、補正を行う。例えば、S21とK21との差が規格値よりも大きい場合には、色ずれが生じた異常画像となることから、センサ間ずれ量に対して補正を行う。なお、ここでは規格値を例に説明したが、ユーザやサービスマンなどが、設計時のデータなどに基づいて規格値を任意の値に変更してもよい。特に、メーカの出荷検査工程などでは、装置の組み付け直後であることから、ベルト寄りが大きくなるため、通常より高い精度でパターンを検出することが好ましい。
ステップS1004においてセンサ間ずれ量が規定値以下の場合には、転写ベルト130に波うちは無いと判定し、ステップS1005に進む。ステップS1005では、検出センサ200の検出結果から、図7で説明した色ずれ量を算出し、ステップS1006で、色ずれを補正するための補正値を算出する。
また、ステップS1004においてセンサ間ずれ量が規定値よりも大きい場合には、転写ベルト130に波うちがあると判定し、ステップS1007に進む。ステップS1007では、センサ間ずれ量および検出センサ200の検出結果に基づいて、波うちによる検出結果のずれを補正する値(以下、検出結果補正値として参照する)を算出する。その後、ステップS1008では、ステップS1007で算出した検出結果補正値と、検出した色ずれ量に基づいて、色ずれ量を補正するための補正値を算出する。したがって、ステップS1008で算出する色ずれ量の補正値は、転写ベルト130の波うちが加味された値として求まる。
ここで、センサ間ずれ量が大きい場合における検出結果の補正について説明する。図11は、本実施形態における検出センサ200の検出結果を補正する例を説明する図であり、図11(a)は、検出センサ200aの出力信号を、図11(b)は、検出センサ200cの出力信号を、図11(c)は、検出センサ200cの補正後の出力信号を、それぞれ例示している。また、図11は、1組目と2組目における特定の色の斜め線パターンを読み取った場合を想定した図であり、これ以外の横線パターンおよび斜め線パターンは省略している。
パターン検出時の誤差は、1組目のパターン幅と理想的なパターン幅の差と、2組目のパターン幅と理想的なパターン幅の差を比較し、差が大きいパターンのほうが、誤差が大きいと判定することができる。すなわち、上記の比較から、理想的な位置に形成できているパターンを判定することができる。さらに、2つの検出センサ200a,200cの誤差を比較することで、ベルト寄りの方向を判定することができる。また、ベルトの波うちはベルト進行方向の端部で発生していることから、1組目のパターン幅と2組目のパターン幅の合計の変化を検出することができる。ここで、2つの検出センサ200a,200cにおける、先端側エッジと後端側エッジの差を、それぞれC1sk21、C2sk21とすると、両者の値は、下記式2で表される。
ここで、C1sk21とC2sk21の絶対値を比較して、絶対値が小さい検出センサ200が、読み取り結果のばらつきが少ないことになる。したがって、検出センサ200のうち、誤差が少ないものを基準として、各色の検出結果を補正する。例えば、S21−K21が一定値以上であって、C1sk21の絶対値がC2sk21の絶対値よりも小さい場合には、検出結果補正値dは、下記式3から求めることができる。
なお、上記式3では、各検出センサ200の信号アサート幅から検出結果補正値dを求めている。また、S21の絶対値がK21の絶対値よりも大きい場合には、先端側エッジ間隔よりも後端側エッジ間隔のほうが理想値に近く、S21の絶対値がK21の絶対値よりも小さい場合には、後端側エッジ間隔よりも先端側エッジ間隔のほうが理想値に近いことを意味する。したがって、絶対値を比較することによって、基準となる検出センサ200を選択することができる。
また、S21の値が負の場合には、1組目のパターンの先端側エッジの立ち下がるタイミングが理想値と異なり、S21の値がゼロ以上の場合には、2組目のパターンの先端側エッジの立ち下がるタイミングが理想値と異なることになる。したがって、S21の値の正負を判定することで、対応するパターンのエッジを補正する処理を行うことができる。例えば、S21の値が負の場合には、1組目のパターンの先端側エッジをdだけ前にずらしたタイミングとなるように、ずれ量を算出する。
なお、上述の説明では、センサ間ずれ量から補正量を算出したが、上述した方法以外の方法で算出してもよい。例えば、横線パターンの検出結果に基づいて、式(3)と同様に、下記式(4−1)のように、センサごとのパターン幅の検出差d’を算出する。そして、下記式(4−2)のように、式(3)で求めた斜め線パターンの検出差から、d’を引くことで、センサ間で生じる差を取り除くことができ、補正量を算出することができる。なお、下記式(4−1)におけるa1’、a2’、b1’、b2’は、それぞれ、各検出センサ200が検出した、横線パターンの先端側エッジ間距離と後端側エッジ間距離である。
横線パターンは波うちの影響を受けにくいことから、上記式(4)のようにして求めることで、2つの検出センサ200のばらつきを取得することができ、斜め線パターンの検出結果と併せて補正量を求めることができる。
以上のように、パターンのエッジ間隔を補正したエッジタイミングからずれ量を算出することで、転写ベルト130の波うちの影響を除いた補正値を取得することができる。
説明を図10に戻す。ステップS1006またはS1008で補正値を算出した後、ステップS1009では、算出した補正値に基づいて、色ずれの補正処理を行う。その後、ステップS1010で、画像形成装置100は処理を終了する。
ここまでに説明した処理によって、センサ間ずれ量の値から転写ベルト130の波うち状態を判定することができ、波うち状態に応じた補正値を算出することで、適切な色ずれ補正を行うことができる。
以上、説明した本発明の実施形態によれば、転写ベルトに波うちが生じた状態であっても適切に色ずれの補正を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。