JP6750687B2 - 質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、トリプル四重極型質量分析装置、四重極−飛行時間型質量分析装置(以下、慣用に従いQ−TOF型質量分析装置と称す)など、前段の質量分離器で選択されたイオンをコリジョンセルで解離させ、それにより生成されたプロダクトイオンを後段の質量分離器で質量電荷比に応じて分離して検出する質量分析装置に関する。
試料中の物質の同定やその構造解析、或いは定量などを行うために、質量分析の一つの手法であるMS/MS分析が広く用いられている。MS/MS分析を行うための質量分析装置としては種々の構成のものがあるが、構造が比較的簡単で操作や扱いも容易であるのが、コリジョンセルを挟んでその前後に四重極マスフィルタを備えたトリプル四重極型質量分析装置である。
トリプル四重極型質量分析装置では、MS/MS測定のモードとして、多重反応イオンモニタリング(MRM)測定、プロダクトイオンスキャン測定、プリカーサイオンスキャン測定、ニュートラルロススキャン測定などが知られている。このうち、MRM測定モードでは、前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを通過し得るイオンの質量電荷比をそれぞれ固定し、特定のプリカーサイオンに対する特定のプロダクトイオンの強度を測定する。MRM測定では、2段階のマスフィルタによって非測定対象の化合物や夾雑成分由来のイオンや中性粒子を除去することができるため、高いSN比のイオン強度信号を得ることができる。そのため、MRM測定は特に微量成分の定量などに威力を発揮する。
上記のようなトリプル四重極型質量分析装置は単独で使用される場合もあるが、しばしば液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)と組み合わせて使用される。GCやLCの検出器としてトリプル四重極型質量分析装置を用いた装置(以下、慣用に従って、GC−MS/MSやLC−MS/MS等と称すことがある)は、多数の化合物を含む試料や夾雑物を含む試料中の化合物の定量分析などによく用いられる。
GC−MS/MS又はLC−MS/MSにおいてMRM測定を行う場合、目的試料の測定に先立って、測定対象の化合物(成分)の保持時間と対応付けて、ターゲットとするプリカーサイオンの質量電荷比とプロダクトイオンの質量電荷比との組合せ、即ち、MRMトランジションを測定条件の一つとして設定しておく必要がある。このとき、目的化合物それぞれに対して最適なMRMトランジションを設定しておくことにより、目的化合物由来のイオンの信号強度を高い精度及び感度で以て得ることができ、該化合物の定量を高精度且つ高感度で行うことができる。
一般に、一つの化合物由来のイオンを解離すると複数種のプロダクトイオンが生成される。そのため、一つの化合物についてのMRM測定が可能であるプリカーサイオンとプロダクトイオンとの組合せは複数存在するが、その中で例えば最大の信号強度が得られるもの等、適切な組合せをMRMトランジションとして選択することが好ましい。そこで、従来は、まず、目的化合物を含む試料に対するプロダクトイオンスキャン測定を実施し、その測定結果に基づいてMRMトランジション等を含むMRM測定条件を決定する。そして、決定されたMRM測定条件に従って目的化合物を含む試料に対するMRM測定を実施し、その結果に基づいて目的化合物の定量が行われている。
例えば特許文献1に記載の装置では、プロダクトイオンスキャン測定における測定条件(例えばプロダクトイオンの質量走査範囲など)の設定を簡略化するために、表示画面上に表示される化合物情報テーブルで操作者が目的化合物をクリック操作等により指定すると、指定された化合物についてのプロダクトイオンスキャン測定条件が自動的に作成されるようになっている。このように操作者による作業の簡略化は図られているものの、試料中の目的化合物の含有量に応じた定量情報を取得するためには、一つの試料に対しプロダクトイオンスキャン測定とMRM測定という2回の測定を実施する必要がある。そのため、作業が煩雑であり、分析の効率を高めることも難しい。
また、試料に含まれる化合物が未知である場合には、上記化合物情報テーブルから目的化合物を指定することはできず、まず試料に含まれる化合物を調べるために、通常の(つまりはイオンを解離させない)スキャン測定を実行してマススペクトルを取得する必要がある。そのため、一つの試料に対し、通常のスキャン測定、プロダクトイオンスキャン測定、MRM測定という3回の測定を実施する必要があり、作業はさらに一層煩雑である。
また、上述したように、目的化合物に対するプロダクトイオンスキャン測定の結果から例えば最大の信号強度が得られるプロダクトイオンをMRMトランジションとして選択したとしても、そのMRMトランジションがその目的化合物を定量するために最適なMRMトランジションであるとは限らない。何故なら、定量のための検量線を作成する際には、複数段階に濃度が相違する目的化合物を含む試料をMRM測定した結果が利用されるが、上記のように決められたMRMトランジションの下で実施されるMRM測定の結果に基づいて作成される検量線の誤差が他のMRMトランジションの下で実施されるMRM測定の結果に基づいて作成される検量線の誤差よりも小さいとは限らないからである。
特開2013−224858号公報
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、プロダクトイオンスキャン測定を実行したあと、引き続きMRM測定を実行することなくMRM測定結果に相当する情報を取得することができる質量分析装置を提供することである。また、本発明の別の目的は、MRM測定を実行することなくプロダクトイオンスキャン測定の結果に基づいて、定量性の良好なMRM測定結果に相当する情報を取得することができる質量分析装置を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、イオンを解離させるコリジョンセルを挟んで前後に質量分離器を有する質量分析装置において、
a)試料中の目的化合物由来の既知のイオンをプリカーサイオンとしたプロダクトイオンスキャン測定を実行して所定質量電荷比範囲のプロファイルスペクトルを取得するように各部を制御するプロダクトイオンスキャン測定実行制御部と、
b)前記プロファイルスペクトル又は該プロファイルスペクトルから求まるセントロイドスペクトルに対し所定の基準に従ってピークを検出するピーク検出部と、
c)前記プロファイルスペクトルから検出されたピークが存在する質量電荷比範囲内の一若しくは複数の質量電荷比値に基づいて、又は、前記セントロイドスペクトルから検出されたピークに対応する一若しくは複数の質量電荷比値に基づいて、前記プリカーサイオンの質量電荷比値と組み合わせることでMRMトランジションとして扱えるプロダクトイオンの質量電荷比値を求めるプロダクトイオン質量電荷比値決定部と、
d)前記プリカーサイオンの質量電荷比値、前記プロダクトイオン質量電荷比値決定部で決定されたプロダクトイオンの質量電荷比値、及び、前記プロファイルスペクトル又は前記セントロイドスペクトルから検出されたピークから求まる強度値を、擬似的なMRM測定結果として抽出する擬似MRM測定結果抽出部と、
e)前記擬似MRM測定結果抽出部において、濃度が複数段階に相違する同一の目的化合物に対してそれぞれ取得される、プリカーサイオン質量電荷比及びプロダクトイオン質量電荷比が同一である擬似的なMRM測定結果に基づいて、濃度と強度値との関係を示す検量線を作成するものであって、同一の目的化合物に対し、プリカーサイオン質量電荷比及び/又はプロダクトイオン質量電荷比が相違する擬似的なMRM測定結果に基づく複数の検量線を作成して、該複数の検量線の中から信頼性が最も高いと推測される検量線を選定する検量線作成部と、
を備えることを特徴としている。
ここで、コリジョンセルの前段の質量分離器は典型的には四重極マスフィルタである。また、コリジョンセルの後段の質量分離器は、通常、四重極マスフィルタ又は飛行時間型質量分離器である。つまり、本発明に係る典型的な質量分析装置は、トリプル四重極型質量分析装置又はQ−TOF型質量分析装置である。また、本発明に係る質量分析装置はGCやLCと組み合わせて、即ちGCやLCの検出器として用いる構成とすることもできるが、それに限定されるものではない。例えば液体試料中の化合物を質量分析することが可能な質量分析装置において、フローインジェクション法により試料を質量分析装置に導入するような場合にも、本発明を利用することができる。
なお、後段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である場合、所定の質量電荷比範囲に亘るイオンを検出するのが一般的であるから、通常の測定が実質的にスキャン測定に相当し、通常の測定によって得られるマススペクトルがプロファイルスペクトルに相当する。
例えば操作者が試料に含まれる目的化合物由来の既知のイオンの質量電荷比値をプリカーサイオンとして設定して測定実行を指示すると、プロダクトイオンスキャン測定実行制御部は、イオン源、質量分離器、検出器等の各部を制御することにより、指定されたプリカーサイオンに対する所定質量電荷比範囲のプロダクトイオンスキャン測定を実行する。それにより、所定質量電荷比範囲に亘るプロダクトイオンの強度変化を示すプロファイルスペクトルが得られる。
ピーク検出部は、プロファイルスペクトル或いは該プロファイルスペクトルから求まるセントロイドスペクトルに対し所定の基準に従って、目的化合物のプロダクトイオンに由来するピークを検出する。
プロダクトイオン質量電荷比値決定部は、検出されたピークに基づいてプロダクトイオンの質量電荷比値を求める。プロファイルスペクトルから検出されたピークを利用する場合、該ピークは或る程度の幅を有するから、該ピークの特定の位置、典型的にはピークトップの位置に対応する質量電荷比値をプロダクトイオンの質量電荷比値とすればよい。また、通常、一つのピークは複数のデータ点を含むから、そのデータ点の全て又は一部を利用して質量電荷比値を算出し、それをプロダクトイオンの質量電荷比値としてもよい。また、セントロイドスペクトルから検出されたピークを利用する場合、該ピークは線ピークであるから、一つのセントロイドピークに対応する質量電荷比をプロダクトイオンの質量電荷比値とするか、或いは、複数のセントロイドピークに対応する質量電荷比からプロダクトイオンの質量電荷比値を求めればよい。
そして、擬似MRM測定結果抽出部は、プロファイルスペクトル又はセントロイドスペクトルから検出されたピークに基づいて、測定時のプリカーサイオンの質量電荷比値と上述したようにプロダクトイオンの質量電荷比値との組であるMRMトランジションに対応する強度値を求める。プロファイルスペクトルから検出されたピークを利用する場合、検出されたピークのピークトップにおける強度(最大強度)を上記強度値とするか、或いは、上述したように一つのピークを構成する複数のデータ点の強度に基づいて上記強度値を算出するとよい。また、セントロイドピークを利用する場合も、一つのセントロイドピークのピーク強度を上記強度値とするか、或いは、複数のセントロイドピークのピーク強度に基づいて上記強度値を算出するとよい。
このようにして、目的化合物を含む試料に対するプロダクトイオンスキャン測定結果から、プリカーサイオンの質量電荷比値、プロダクトイオンの質量電荷比値、及び強度値という擬似的なMRM測定結果を抽出することができる。なお、プロダクトイオン質量電荷比値決定部により複数の異なるプロダクトイオンの質量電荷比値が決定された場合には、異なるMRMトランジションに対応してそれぞれ強度値を求めることができる。その結果、一つのプロダクトイオンスキャン測定結果から複数の擬似的なMRM測定結果が得られることになる。
また本発明に係る質量分析装置において、検量線作成部は、濃度が複数段階に相違する同一の目的化合物に対してそれぞれ取得される、プリカーサイオン質量電荷比及びプロダクトイオン質量電荷比が同一である擬似的なMRM測定結果に基づいて、濃度と強度値との関係を示す検量線を作成する
これにより、目的化合物を異なる濃度で含む複数の試料に対するプロダクトイオンスキャン測定の結果に基づいて、該目的化合物を定量するための検量線を求めることができる。
さらに前記検量線作成部は、同一の目的化合物に対し、プリカーサイオン質量電荷比及び/又はプロダクトイオン質量電荷比が相違する擬似的なMRM測定結果に基づく複数の検量線を作成して、該複数の検量線の中から信頼性が最も高いと推測される検量線を選定する。
さらにまた、その選定された検量線を与えるプリカーサイオンとプロダクトイオンとをMRMトランジションとして抽出するMRMトランジション抽出部をさらに備える構成としてもよい。
ここで「信頼性が最も高いと推測される検量線」としては、例えば、濃度と強度値との関係を示す複数のデータ点に基づいて直線状の検量線を描いたときに、その検量線に対するデータ点の誤差や分散が最小になるものとすればよい。
これにより、プロダクトイオンスキャン測定結果に基づいて複数のMRMトランジションが抽出される場合に、その中で、定量性が良好であるMRMトランジションとそのMRMトランジションにおける検量線を求めることができる。
本発明に係る質量分析装置によれば、目的化合物を含む試料に対するプロダクトイオンスキャン測定を実施したあと、その測定結果から求まるMRMトランジションの下でのMRM測定を実行することなく、そのMRM測定により得られる結果に相当する定量結果を得ることができる。したがって、プロダクトイオンスキャン測定によってMRMトランジション等のMRM測定条件を決めたあとにMRM測定を実行するという煩雑な作業が不要になり、種々の化合物の定量解析を効率良く進めることができる。また、一般的に特定のMRMトランジションをターゲットとするMRM測定が実施されないQ−TOF型質量分析装置においても、MRM測定により得られる結果に相当する定量結果を得ることができる。
また本発明に係る質量分析装置の好ましい構成によれば、プロダクトイオンスキャン測定の結果、目的化合物に対して複数のMRMトランジションが存在することが判明した場合に、その中で、定量性が良好であるMRMトランジションとそのMRMトランジションにおける検量線を求めることができる。
本発明に係る第1実施例の質量分析装置の概略構成図。 第1実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート。 第1実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得の説明図。 第2実施例の質量分析装置におけるデータ処理部の機能ブロック構成図。 第2実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート。 第2実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得の説明図。 第3実施例の質量分析装置におけるデータ処理部の機能ブロック構成図。 第3実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート。 第3実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得の説明図。 第4実施例の質量分析装置におけるデータ処理部の機能ブロック構成図。 第4実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート。 第4実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得の説明図。 第5実施例の質量分析装置におけるデータ処理部の機能ブロック構成図。 第5実施例の質量分析装置における検量線選択処理の説明図。 本発明に係る第6実施例の質量分析装置の概略構成図。
[第1実施例]
以下、本発明に係る質量分析装置の第1実施例である質量分析装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1は第1実施例の質量分析装置の概略構成図である。第1実施例(及び後述の第2乃至第5実施例)の質量分析装置はトリプル四重極型質量分析装置である。
図1に示すように、測定部1は、図示しない真空ポンプにより真空排気される真空チャンバ10の内部に、電子イオン化(EI)法などによるイオン源11、イオンレンズ12、前段四重極マスフィルタ13、多重極型イオンガイド15が内装されたコリジョンセル14、後段四重極マスフィルタ16、及びイオン検出器17を備える。
MS/MS分析を行う際には、コリジョンセル14内に衝突誘起解離(CID)ガスが供給される。測定対象である化合物を含む試料ガスがイオン源11に導入されると、その試料ガス中の化合物分子はイオン化され、イオンレンズ12で収束されて前段四重極マスフィルタ13に送られる。前段四重極マスフィルタ13を構成する4本のロッド電極にはそれぞれ所定の電圧が印加され、イオン源11で生成された各種イオンのうち、上記電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが前段四重極マスフィルタ13を通り抜けてコリジョンセル14内に導入される。化合物由来のイオンはコリジョンセル14内でCIDガスに接触して解離され、各種のプロダクトイオンが生成される。後段四重極マスフィルタ16を構成する4本のロッド電極にはそれぞれ所定の電圧が印加され、その電圧に応じた特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが後段四重極マスフィルタ16を通り抜け、イオン検出器17に到達する。イオン検出器17としては、例えばコンバージョンダイノードと電子増倍管との組合せが利用される。
イオン検出器17は到達したイオンの量に応じた検出信号(イオン強度信号)を出力し、この検出信号は図示しないA/D変換器でデジタルデータに変換されてデータ処理部2Aに入力される。
データ処理部2Aは機能ブロックとして、測定データ格納部20、プロファイルスペクトル作成部21、ピーク検出部22、プロダクトイオンm/z値取得部23、擬似MRM測定データ抽出部24、擬似MRM測定データ記憶部25、などを備える。測定部1の各部は分析制御部3により制御される。この分析制御部3やデータ処理部2Aの動作は中央制御部4により統括的に制御される。中央制御部4には、ユーザインターフェイスとして入力部5や表示部6が接続されている。
なお、データ処理部2A、分析制御部3、及び中央制御部4の全て又は一部の機能は、パーソナルコンピュータ(又はより高度なワークステーション)をハードウェア資源とし、そのコンピュータに予めインストールされた専用の制御・処理ソフトウェアを該コンピュータで実行することにより実現される構成とすることができる。
次に、本実施例の質量分析装置における特徴的な測定動作及びデータ処理動作について、図2及び図3を参照して説明する。図2は本実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート、図3はその処理の説明のためのプロファイルスペクトルの一例を示す図である。
ここでは、測定対象試料中の目的化合物が決まっており、その目的化合物のプリカーサイオンのm/z値が既知であるものとする。目的化合物のプリカーサイオンのm/z値が不明である場合には、コリジョンセル14内でイオンを解離させない通常のスキャン測定を実行することによって、プリカーサイオンに適したイオンのm/z値を調べておけばよい。また、目的化合物が予め決まっておらず、測定対象試料に含まれる未知の化合物を定量したい場合にも同様に、通常のスキャン測定を実行することによって未知化合物由来のイオンのm/z値を把握し、必要に応じて該化合物を同定しておく(但し、定量するために同定は必須ではない)。
操作者は、目的化合物のプリカーサイオンのm/z値(この例ではm/z=Maとする)及びプロダクトイオンスキャン測定の測定条件を入力部5より入力する。この測定条件には、プロダクトイオンスキャン測定のm/z範囲のほか、CIDガス圧やコリジョンエネルギなどのCID条件を含む。但し、こうした測定条件の一部又は全てはデフォルト値であってもよい。
操作者が測定実行開始を指示すると、中央制御部4からの指示を受けた分析制御部3は設定された測定条件に従って各部を制御することにより、指定されたm/z=Maのプリカーサイオンに対するプロダクトイオンスキャン測定を実行する(ステップS1)。これにより、所定のm/z範囲に亘るプロダクトイオンの信号強度の変化を示すプロファイルスペクトルデータがデータ処理部2Aに入力され、該データが測定データ格納部20に一旦保存される(ステップS2)。
データの取得後、プロファイルスペクトル作成部21は測定データ格納部20に保存されたデータに基づいてプロファイルスペクトルを作成する。多くの場合、CIDによって一種類のプリカーサイオンからm/z値が異なる複数種のプロダクトイオンが生成されるため、プロファイルスペクトルには図3に示すように異なるプロダクトイオンに対応する複数のピークが現れる。ピーク検出部22は所定のアルゴリズムに従ってプロファイルスペクトルに現れているピークを検出し、各ピークのピークトップの信号強度(最大強度)を求める(ステップS3)。図3の例では、三つのピークP1、P2、P3が検出され、それぞれ信号強度がI1、I2、I3と求まる。
次にプロダクトイオンm/z値取得部23は、検出された各ピークの最大強度が得られるm/z値をそれぞれのプロダクトイオンのm/z値として取得する(ステップS4)。図3の例では、ピークP1、P2、P3に対しそれぞれM1、M2、M3がプロダクトイオンのm/z値として得られる。擬似MRM測定データ抽出部24は、プリカーサイオンのm/z値及びプロダクトイオンのm/z値を組とするMRMトランジションと、そのMRMトランジションに対するプロダクトイオンの信号強度を擬似MRM測定データとして抽出する(ステップS5)。
MRMトランジションはプロファイルスペクトルから検出されたピークの数だけ得られる。図3の例では三つのピークが検出されるから、その各ピークに対応して、Ma>M1、Ma>M2、Ma>M3、という三つのMRMトランジションが求まり、各MRMトランジションの信号強度がI1、I2、I3となる。これら信号強度値は、目的化合物に対する三つのMRMトランジションMa>M1、Ma>M2、Ma>M3におけるMRM測定を実行した結果に相当するものであり、ここでは、こうして抽出された擬似MRM測定データが擬似MRM測定データ記憶部25に保存され、一連の測定が終了する。
以上のようにして第1実施例の質量分析装置では、測定対象化合物に対するプロダクトイオンスキャン測定の結果に基づいて、該化合物に対する擬似的なMRM測定結果を取得することができる。一般的に、プロダクトイオンスキャン測定を実施するm/z範囲はプリカーサイオンのm/z値よりも低い範囲とされるが、プリカーサイオンのm/z値よりも高い範囲にまでプロダクトイオンスキャン測定を実施するm/z範囲を広げることによって、CIDによりイオン価数が減少することでプロダクトイオンのm/z値がプリカーサイオンのm/z値を超えたような場合であってもMRMトランジションを見つけ、そのMRMトランジションにおける信号強度値を取得することができる。
[第2実施例]
本発明の第2実施例である質量分析装置について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は第2実施例の質量分析装置のデータ処理部2Bの機能ブロック構成図、図5は第2実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート、図6はその説明のためのプロファイルスペクトルの一例を示す図である。なお、測定部1の基本的な構成は第1実施例の質量分析装置と同じであるので説明を省略する。
図4に示すように、この第2実施例の質量分析装置におけるデータ処理部2Bにおいて、擬似MRM測定データ抽出部24はプロダクトイオン強度値算出部241を備える。
ここでも、測定対象試料中の目的化合物が決まっており、その目的化合物のプリカーサイオンのm/z値が既知であるものとする。図4中のステップS11〜S14の処理はすでに説明した図2中のステップS1〜S4と同じであるので説明を省略する。ステップS14の処理終了後、プロダクトイオン強度値算出部241は、ピーク毎に、最大強度に対して所定の比率の強度範囲に信号強度値が収まっているデータ点を全て抽出する。このデータ点は一つのみである場合もあれば複数である場合もある。また、所定の比率は予め決めておいてもよいが、操作者(ユーザ)が自由に設定できるようにしてもよい。プロダクトイオン強度値算出部241は、ピーク毎に、抽出したデータ点における信号強度値を加算し、その加算値をそのピークの最大強度値の代わりに採用する(ステップS15)。
擬似MRM測定データ抽出部24は、プリカーサイオンのm/z値及びプロダクトイオンのm/z値を組とするMRMトランジションと、そのMRMトランジションに対するプロダクトイオンの信号強度として上記加算値を擬似MRM測定データとして抽出し、擬似MRM測定データ記憶部25に保存する(ステップS16)。
図6に示す例でプロダクトイオン強度値算出部241による処理を具体的に説明する。図6では、実際のデータ点を●で示している。いま、データ点D3がピークの最大強度を示し、その最大強度に対する所定の比率の強度範囲Uが図6中に記したように定まるものとする。この場合、データ点D3以外に、D1、D2、D4、D5の四つのデータ点の信号強度が強度範囲Uに収まる。そこで、これらデータ点D1、D2、D3、D4、D5を抽出してそれらの信号強度値を全て加算し、この加算値をピークの最大強度値に代えて用いる。例えば、データ点D3以外に強度範囲Uに収まるデータ点が存在しなければ、データ点D3の信号強度をそのまま用いることになる。
この第2実施例の質量分析装置は、化合物の濃度が比較的低い又は化合物がイオンされにくい等の理由で全般的に感度が低い、つまりプロファイルスペクトルでのピークの高さが全般に低いといった場合に特に有用である。
なお、プロダクトイオンのm/z値は各ピークの最大強度を与えるm/z値ではなく、例えば、強度範囲Uに収まる複数のデータ点のうちの両端のデータ点(図6の例ではD1、D5)のm/z値の平均値やその中間値などを用いてもよい。
[第3実施例]
本発明の第3実施例である質量分析装置について、図7〜図9を参照して説明する。
図7は第3実施例の質量分析装置のデータ処理部2Cの機能ブロック構成図、図8は第3実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート、図9はその説明のためのプロファイルスペクトルの一例を示す図である。なお、測定部1の基本的な構成は第1実施例の質量分析装置と同じであるので説明を省略する。
図7に示すように、この第3実施例の質量分析装置におけるデータ処理部2Cはセントロイドスペクトル作成部26を備える。
図8中のステップS21〜S23の処理はすでに説明した図2中のステップS1〜S3と同じであるので説明を省略する。セントロイドスペクトル作成部26はプロファイルスペクトルデータに対してセントロイド処理を実行し、縦棒状であるセントロイドピークが観測されるセントロイドスペクトルを作成する(ステップS24)。なお、このステップS24の処理はステップS22又はS23の前に行ってもよいことは明らかである。そのあとプロダクトイオンm/z値取得部23は、ステップS4又はS14と同様に、プロダクトイオンのm/z値を取得する(ステップS25)。
次に、プロダクトイオン強度値算出部241は、ステップS23で検出されたピーク毎に、最大強度に対して所定の比率の強度範囲に信号強度値が収まっているセントロイドピークを全て抽出する。このセントロイドピークは一本のみである場合もあれば複数本である場合もある。また、所定の比率は予め決めておいてもよいが、操作者(ユーザ)が自由に設定できるようにしてもよい。プロダクトイオン強度値算出部241は、ピーク毎に、抽出したセントロイドピークの信号強度値を加算し、その加算値をそのピークの最大強度値の代わりに採用する(ステップS26)。なお、最大強度に対して所定の比率の強度範囲に信号強度値が収まっているセントロイドピークを抽出する代わりに、信号強度値が所定の閾値以上であるセントロイドピークを抽出してもよい。この場合にも、所定の閾値は予め決めておいてもよいし、操作者(ユーザ)が自由に設定できるようにしてもよい。
図9に示すように、複数のピークのかなりの部分が重なっている場合、プロファイルスペクトルに基づくピーク検出では一つのピークとして検出される一方、セントロイドピークは重なっているピーク毎に観測されることがある。こうした場合、最大強度に対して所定の比率の強度範囲Uに信号強度値が収まっているセントロイドピークは複数存在するから、その複数のセントロイドピークの信号強度値を加算すればよい。
なお、プロダクトイオンのm/z値は各ピークの最大強度を与えるm/z値ではなく、セントロイドピークが一本であればそのセントロイドピークのm/z値、セントロイドピークが複数本であればその複数のセントロイドピークのm/z値の平均値やその中間値などを用いてもよい。
[第4実施例]
本発明の第4実施例である質量分析装置について、図10〜図12を参照して説明する。
図10は第4実施例の質量分析装置のデータ処理部2Dの機能ブロック構成図、図11は第4実施例の質量分析装置における擬似MRM測定データ取得時の処理フローチャート、図12はその説明のためのプロファイルスペクトルの一例を示す図である。なお、測定部1の基本的な構成は第1実施例の質量分析装置と同じであるので説明を省略する。
図10に示すように、この第4実施例の質量分析装置におけるデータ処理部2Dは、様々な化合物についてのMS/MSスペクトル(プロダクトイオンスペクトル)が格納されたMS/MSスペクトルライブラリ27を備える。このMS/MSスペクトルはセントロイドスペクトルである。
図11中のステップS31〜S35の処理は既に説明した図8中のステップS21〜S25と同じであるので説明を省略する。
プロダクトイオン強度値算出部241は、ステップS33で検出されたピーク毎に、該ピークに対応するセントロイドピークを求め、そのセントロイドピークのm/z値をMS/MSスペクトルライブラリ27中のMS/MSスペクトルと照合することで、セントロイドピークの同定を試みる。そして、同定されたセントロイドピークに対応する正確なm/z値をMS/MSスペクトルライブラリ27から取得し、そのm/z値を中心とする所定の許容m/z値幅を求めて、セントロイドスペクトル中でその許容m/z値幅に収まるセントロイドピークを抽出する。このセントロイドピークは一本のみである場合もあれば複数本である場合もある。また、所定のm/z値幅は予め決めておいてもよいが、操作者(ユーザ)が自由に設定できるようにしてもよい。プロダクトイオン強度値算出部241は、ピーク毎に、抽出したセントロイドピークの信号強度値を加算し、その加算値をそのピークの最大強度値の代わりに採用する(ステップS36)。
同じ化合物由来の同位体ピーク(元素組成が同じであって質量電荷比が異なるピーク)はプロファイルスペクトル上で図12に示すように近接して(例えば1Da間隔)現れる。そこで、同一化合物由来の同位体ピークが含まれるように許容m/z値幅を定めておくことで、同位体ピークに対応する複数のセントロイドピークの信号強度値を加算し、その加算値を定量情報として利用することができる。
[第5実施例]
本発明の第5実施例である質量分析装置について、図13及び図14を参照して説明する。
図13は第5実施例の質量分析装置のデータ処理部2Eの機能ブロック構成図、図14は第4実施例の質量分析装置における検量線選択処理の説明図である。なお、測定部1の基本的な構成は第1実施例の質量分析装置と同じであるので説明を省略する。
図13に示すように、この第5実施例の質量分析装置におけるデータ処理部2Eは、第1実施例の質量分析装置におけるデータ処理部2Aの構成要素に加えて、プロダクトイオン別検量線作成部28、検量線評価・選択部29を備える。
上述したように第1乃至第4実施例の質量分析装置では、測定対象化合物を含む試料ガスを測定しデータ処理を行うことで擬似MRM測定データが得られる。そのときに得られる一つMRMトランジションにおける信号強度値は試料ガス中の測定対象化合物の濃度情報を反映している。そこで、複数段階(少なくとも3以上の段階)で濃度が相違する測定対象化合物を含む試料ガスに対する測定及びデータ処理を繰り返すことで、異なる濃度の目的化合物に対する擬似MRM測定データを得ることができる。この第5実施例の質量分析装置では、そうした擬似MRM測定データを擬似MRM測定データ記憶部25に保存したあと、次のような特徴的な処理を実施する。
プロダクトイオン別検量線作成部28は、同一のMRMトランジションにおける異なる複数の濃度に対する信号強度値に基づいて、濃度と強度値との関係を示す直線状の検量線を作成する。上述したように、通常、一つの目的化合物に対し複数のMRMトランジションが求まる。プロダクトイオン別検量線作成部28は、この互いに異なるMRMトランジション毎に検量線を作成する。図14は異なる三つのMRMトランジションに対して作成された検量線A、B、Cを示している。これら検量線はいずれも同じ目的化合物を定量する際に利用可能な検量線であるが、検量線評価・選択部29はその中で最も精度の高い検量が期待できる検量線を選択する。
具体的には、それぞれの検量線を作成する際に用いたデータ点(図14中に●、▲、■で示した点)と検量線との誤差(例えば最小二乗誤差)を計算し、最小の誤差を与える検量線が最良であると推定し、これを選択する。そして、その選択結果、つまりは定量に用いるMRMトランジションと検量線とを表示部6から操作者に提示するとともに検量線情報として記憶する。これにより、同じ目的化合物を定量する際には、このMRMトランジションにおける信号強度値を用い、記憶された上記検量線を参照すればよい。
なお、検量線作成に利用される擬似MRM測定データは、第1実施例の質量分析装置ではなく、第2乃至第4実施例の質量分析装置により取得されたものでよいことは当然である。
[第6実施例]
本発明の第6実施例である質量分析装置について、図15を参照して説明する。図5は第6実施例の質量分析装置の概略構成図である。上記第1乃至第5実施例はトリプル四重極型質量分析装置であるが、この第6実施例はQ−TOF型質量分析装置である。
図15において、測定部100に含まれる、真空チャンバ110、イオン源111、イオンレンズ112、前段四重極マスフィルタ113、コリジョンセル114、及び多重極型イオンガイド115は、図1に示した第1実施例の質量分析装置における、真空チャンバ10、イオン源11、イオンレンズ12、前段四重極マスフィルタ13、コリジョンセル14、及び多重極型イオンガイド15と基本的に同じである。
コリジョンセル114から吐き出されたイオン(例えばコリジョンセル114内で解離により生成されたプロダクトイオン)はイオンガイド116を通して直交加速部117に導入される。直交加速部117は加速電極を含み、導入されたイオンをその導入方向と略直交する方向に加速する。加速されたイオンはイオン反射器119を含む飛行空間118に導入され、イオン反射器119で折り返されつつ飛行空間118中を飛行する間に、質量電荷比に応じて空間的に分離されてイオン検出器120に到達する。イオン検出器120は時間経過に伴って順次到達するイオンの量に応じた検出信号を出力し、この検出信号をA/D変換したデジタルデータがデータ処理部200に入力される。
データ処理部200における各機能ブロック、即ち、測定データ格納部210、プロファイルスペクトル作成部211、ピーク検出部212、プロダクトイオンm/z値取得部213、擬似MRM測定データ抽出部214、及び擬似MRM測定データ記憶部215の基本的な動作は、図1に示した第1実施例の質量分析装置における、測定データ格納部20、プロファイルスペクトル作成部21、ピーク検出部22、プロダクトイオンm/z値取得部23、擬似MRM測定データ抽出部24、及び擬似MRM測定データ記憶部25における動作と同じである。また、一部の制御対象が四重極マスフィルタから飛行時間型質量分離器に代わるために一部の制御動作が変更になる以外は、分析制御部300、中央制御部400等の動作も、図1に示した第1実施例の質量分析装置における分析制御部3及び中央制御部4と同じである。
直交加速部117、飛行空間118等を含む飛行時間型質量分離器及びイオン検出器120では、通常の測定を実行することで、質量電荷比が所定の質量電荷比範囲に含まれるイオンの信号強度と飛行時間との関係を表す飛行時間スペクトルが得られる。飛行時間スペクトルにおける各飛行時間を質量電荷比に換算することでマススペクトルが得られるから、このマススペクトルが第1実施例におけるプロファイルスペクトルに相当することは明らかである。
即ち、この第6実施例の質量分析装置では、前段四重極マスフィルタ113で特定の質量電荷比のイオン(プリカーサイオン)を選択し、コリジョンセル114においてプリカーサイオンをCIDにより解離させ、後段の飛行時間型質量分離器で所定の質量電荷比範囲についての通常の測定を実施することによって、図2に示したステップS1の処理、即ち、特定のプリカーサイオンに対するプロダクトイオンスキャン測定に相当する測定を実施し、プロダクトイオンについてのプロファイルスペクトルを取得することができる。こうしてプロファイルスペクトルが得られた以降の処理は、第1実施例の質量分析装置と全く同じである。また、第2乃至第4実施例の質量分析装置で説明した各データ処理についても同様に適用可能であることは明らかである。
このようにして第6実施例の質量分析装置においても、目的化合物に対する擬似的なMRM測定結果を得ることができる。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば上記第1乃至第6実施例の質量分析装置はガスクロマトグラフとの組合せが可能である質量分析装置であるが、液体クロマトグラフとの組合せが可能である、大気圧イオン源を備えた質量分析装置であってもよいことは明らかである。
1、100…測定部
10、110…真空チャンバ
11、111…イオン源
12、112…イオンレンズ
13、113…前段四重極マスフィルタ
14、114…コリジョンセル
15、115…多重極型イオンガイド
16…後段四重極マスフィルタ
17、120…イオン検出器
116…イオンガイド
117…直交加速部
118…飛行空間
119…イオン反射器
2A、2B、2C、2D、2E、200…データ処理部
20、210…測定データ格納部
21、211…プロファイルスペクトル作成部
22、212…ピーク検出部
23、213…プロダクトイオンm/z値取得部
24、214…擬似MRM測定データ抽出部
241…プロダクトイオン強度値算出部
25、215…擬似MRM測定データ記憶部
26…セントロイドスペクトル作成部
27…MS/MSスペクトルライブラリ
28…プロダクトイオン別検量線作成部
29…検量線評価・選択部
3、300…分析制御部
4、400…中央制御部
5…入力部
6…表示部

Claims (6)

  1. イオンを解離させるコリジョンセルを挟んで前後に質量分離器を有する質量分析装置において、
    a)試料中の目的化合物由来の既知のイオンをプリカーサイオンとしたプロダクトイオンスキャン測定を実行して所定質量電荷比範囲のプロファイルスペクトルを取得するように各部を制御するプロダクトイオンスキャン測定実行制御部と、
    b)前記プロファイルスペクトル又は該プロファイルスペクトルから求まるセントロイドスペクトルに対し所定の基準に従ってピークを検出するピーク検出部と、
    c)前記プロファイルスペクトルから検出されたピークが存在する質量電荷比範囲内の一若しくは複数の質量電荷比値に基づいて、又は、前記セントロイドスペクトルから検出されたピークに対応する一若しくは複数の質量電荷比値に基づいて、前記プリカーサイオンの質量電荷比値と組み合わせることでMRMトランジションとして扱えるプロダクトイオンの質量電荷比値を求めるプロダクトイオン質量電荷比値決定部と、
    d)前記プリカーサイオンの質量電荷比値、前記プロダクトイオン質量電荷比値決定部で決定されたプロダクトイオンの質量電荷比値、及び、前記プロファイルスペクトル又は前記セントロイドスペクトルから検出されたピークから求まる強度値を、擬似的なMRM測定結果として抽出する擬似MRM測定結果抽出部と、
    e)前記擬似MRM測定結果抽出部において、濃度が複数段階に相違する同一の目的化合物に対してそれぞれ取得される、プリカーサイオン質量電荷比及びプロダクトイオン質量電荷比が同一である擬似的なMRM測定結果に基づいて、濃度と強度値との関係を示す検量線を作成するものであって、同一の目的化合物に対し、プリカーサイオン質量電荷比及び/又はプロダクトイオン質量電荷比が相違する擬似的なMRM測定結果に基づく複数の検量線を作成して、該複数の検量線の中から信頼性が最も高いと推測される検量線を選定する検量線作成部と、
    を備えることを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置であって、
    前記検量線作成部は、前記複数の検量線を作成する際に用いたデータ点と作成された検量線との誤差が最小となる検量線を選定することを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    前記プロダクトイオン質量電荷比値決定部は、前記プロファイルスペクトルから検出されたピークの最大強度値を与える質量電荷比値を前記プロダクトイオンの質量電荷比値として求めることを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    前記擬似MRM測定結果抽出部は、前記プロファイルスペクトルから検出されたピークの最大強度値を、前記擬似的なMRM測定結果における強度値とすることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    前記擬似MRM測定結果抽出部は、前記プロファイルスペクトルから検出された一つのピークに対応付けられる、前記セントロイドスペクトルから検出された一又は複数のピークの強度値に基づいて、前記擬似的なMRM測定結果における強度値を求めることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1又は2に記載の質量分析装置であって、
    前記選定された検量線を与えるプリカーサイオンとプロダクトイオンとをMRMトランジションとして抽出するMRMトランジション抽出部をさらに備えることを特徴とする質量分析装置。
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