JP6750546B2 - 数値制御装置と制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、数値制御装置と制御方法に関する。
工作機械はモータと送り軸を備える。送り軸はモータで駆動する。数値制御装置は送り軸の加減速制御を行う。加速度とモータのトルクは比例関係にある。モータは定格に基づく最大出力トルク特性を有する。数値制御装置はモータの出力トルクを最大出力トルク特性の領域内で制御するのが望ましい。特許文献1に記載の数値制御装置は加減速制御手段を備える。加減速制御手段は、モータの出力トルクを最大限利用する為、モータの最大出力トルク特性に近似して送り軸の二段加減速制御を行う。図7に示すモータの最大出力トルク特性M1は、回転数R1からモータの最大出力トルクが一定の傾きで直線的に減少する。加減速制御手段は、モータの出力トルク特性Q1が最大出力トルク特性M1の領域内となるように、送り軸の二段加減速制御を行う。
二段加減速制御におけるモータの出力トルク特性Q1は、加速開始当初の加速度増加期間T1、加速度一定の第一加速度一定期間T2、加速終了に合わせて加速度を減少する第一加速度減少期間T3、加速終了前の第二加速度減少期間T4を備える。加速度増加期間T1における加速度変化の傾きは、第一,第二加速度減少期間T3,T4における加速度変化の傾きよりも大きく設定する。第一加速度減少期間T3における第一加速度減少速度は一定の第一傾きを備える。第二加速度減少期間T4における第二加速度減少速度は第一傾きよりも大きな一定の第二傾きを備える。故に出力トルク特性Q1は最大出力トルク特性M1の領域内にできる。
特許第5233592号公報
図8に示すモータの最大出力トルク特性M2は、回転数R1から高回転数側の領域において、モータの最大出力トルクの減少する傾きが高回転数になるにつれて緩くなる。モータの出力トルク特性Q1は、回転数R1から高回転数側の領域において最大出力を超える部分が生じてしまう。故に加減速制御手段は低回転数側の出力トルクを減少する必要があるので(図8中点線参照)、モータの出力トルクを有効利用できないという問題点があった。
本発明の目的は、サーボモータの出力トルクを有効利用できる数値制御装置と制御方法を提供することである。
請求項1の数値制御装置は、サーボモータと、前記サーボモータで駆動する駆動軸とを備える機械の制御を行い、前記駆動軸の加速開始時に加速度を増加する加速度増加期間と、前記駆動軸の加速終了時に加速度を一定にする第一加速度一定期間と、前記第一加速度一定期間の後に加速度を減少する加速度減少期間とを有する加減速制御を実行する制御部を備えた数値制御装置において、前記制御部は、前記加速度増加期間における加速度増加速度の時定数を、前記加速度減少期間の加速度減少速度の時定数よりも小さくすると共に、前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に、加速度を一定にする第二加速度一定期間を設けたことを特徴とする。制御部は、加速度増加期間における加速度増加速度の時定数を、加速度減少期間の時定数よりも小さくする。故に数値制御装置はサーボモータの低速回転数側の最大出力トルクを有効利用できる。制御部は加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に、第二加速度一定期間を設ける。故に数値制御装置は、加速度を段階的に減少できるので、出力トルクを高速回転数側の最大出力トルクを超えないように近似できる。故に数値制御装置はサーボモータの出力トルクを有効利用できる。加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分とは、加速度減少期間の開始時に設けた一定の傾きの加速度減少速度の期間と、加速度減少期間の終了時に設けた一定の傾きの加速度減少速度の期間との間に挟まる部分を意味する。即ち、第二加速度一定期間は、加速度減少期間開始時から始まらないこと、加速度減少期間の終了時で第二加速度一定期間が終了しないことを意味する。第二加速度一定期間は、加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に一つ又は複数設けてもよい。
請求項2の数値制御装置の前記制御部は、前記サーボモータの回転数に対応する最大出力トルクである最大出力トルク特性のうち、前記最大出力トルクが減少する所定部分の傾きが、前記回転数が高回転数になるにつれて小さくなる場合において、前記所定部分に対応する前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に前記第二加速度一定期間を設け、前記駆動軸の前記加減速制御における時間に対する加速度に比例する前記サーボモータの出力トルクが、前記加速度増加期間、前記第一加速度一定期間、及び前記加速度減少期間において前記最大出力トルクを超えないように制御するとよい。最大出力トルクが減少する所定部分の傾きが高回転数になるにつれて小さくなるような最大出力トルク特性を有するサーボモータの場合、加速度増加期間における加速度増加速度の時定数を、加速度減少期間の加速度減少速度の時定数よりも小さくすると、最大出力トルク特性の所定部分において、サーボモータの出力トルクが最大出力トルクを超えてしまう場合がある。本発明は、所定部分に対応する加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に第二加速度一定期間を設けることで、出力トルクが高回転数側の最大出力トルクを超えないようにできる。故に数値制御装置はサーボモータの低回転数側の出力トルクを有効利用できる。
請求項3の制御方法は、サーボモータと、前記サーボモータで駆動する駆動軸とを備える機械の制御を行い、前記駆動軸の加速開始時に加速度を増加する加速度増加期間と、前記駆動軸の加速終了時に加速度を一定にする第一加速度一定期間と、前記第一加速度一定期間の後に加速度を減少する加速度減少期間とを有する加減速制御を実行する制御工程を行う数値制御装置の制御方法において、前記制御工程は、前記加速度増加期間における加速度増加速度の時定数を、前記加速度減少期間の加速度減少速度の時定数よりも小さくすると共に、前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に、前記加速度を一定にする第二加速度一定期間を備えたことを特徴とする。故に数値制御装置は上記制御工程を行うことで、請求項1記載の効果を得ることができる。
本発明の数値制御装置は、サーボモータと、前記サーボモータで駆動する駆動軸とを備える機械の制御を行い、前記駆動軸の加速開始時に加速度を増加する加速度増加期間と、前記駆動軸の加速終了時に加速度を一定にする第一加速度一定期間と、前記第一加速度一定期間の後に加速度を減少する加速度減少期間とを有する加減速制御を実行する制御部を備えた数値制御装置において、前記制御部は、前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に、前記加速度を一定にする第二加速度一定期間を設けてもよい。
数値制御装置20と工作機械10の電気的構成を示すブロック図。 サーボモータの最大出力トルク特性M2と特定加減速制御による出力トルク特性Q2を示す図表。 X軸モータの特定加減速制御による加速度パターンと速度パターンを示す図表。 速度算出処理の流れ図。 図4の続きを示す流れ図。 X軸モータの最大出力トルク特性M3と出力トルク特性Q3(変形例)を示す図表。 サーボモータの最大出力トルク特性M1と従来の二段加減速制御による出力トルク特性Q1を示す図表。 サーボモータの最大出力トルク特性M2と従来の二段加減速制御による出力トルク特性Q1を示す図表。
以下、本発明の実施形態を説明する。図1に示す数値制御装置20は工作機械10の軸移動を制御することで、テーブル(図示略)上面に保持した被削材(図示略)の切削加工を行う。工作機械10の左右方向、前後方向、上下方向は、夫々X軸方向、Y軸方向、Z軸方向である。
図1を参照し、工作機械10の構成を説明する。工作機械10は、例えばテーブル上面に保持した被削材に対し、Z軸方向に延びる主軸に装着した工具をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動して加工(例えばドリル加工、タップ加工、側面加工、旋削加工等)を行う立型工作機械である。工作機械10は図示しない主軸機構、主軸移動機構、工具交換装置等を備える。主軸機構は主軸モータ12を備え、工具を装着した主軸を回転する。主軸移動機構は、Z軸モータ11、X軸モータ13、Y軸モータ14を更に備え、テーブル(図示略)上面に支持した被削材に対し相対的に主軸をXYZの各軸方向に夫々移動する。工具交換装置はマガジンモータ15を備え、複数の工具を収納する工具マガジン(図示略)を駆動し、主軸に装着した工具を他の工具と交換する。Z軸モータ11、主軸モータ12、X軸モータ13、Y軸モータ14、マガジンモータ15は、サーボモータである。本実施形態は、Z軸モータ11、主軸モータ12、X軸モータ13、Y軸モータ14、マガジンモータ15を総称する場合、モータ11〜15と呼ぶ。
工作機械10は操作盤16を更に備える。操作盤16は入力部17と表示部18を備える。入力部17は各種入力、指示、設定等を行う為の機器である。表示部18は各種画面を表示する機器である。操作盤16は数値制御装置20の入出力部25に接続する。Z軸モータ11はエンコーダ11Aを備える。主軸モータ12はエンコーダ12Aを備える。X軸モータ13はエンコーダ13Aを備える。Y軸モータ14はエンコーダ14Aを備える。マガジンモータ15はエンコーダ15Aを備える。エンコーダ11A〜15Aは数値制御装置20の後述する駆動回路26〜30に各々接続する。
数値制御装置20の電気的構成を説明する。数値制御装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、入出力部25、駆動回路26〜30等を備える。CPU21は数値制御装置20を統括制御する。ROM22は、速度算出プログラム等の各種プログラムを記憶する。速度算出プログラムは、後述する速度算出処理(図4,図5参照)を実行する為のプログラムである。RAM23は各種処理実行中の各種データを記憶する。記憶装置24は不揮発性メモリであり、例えば加工する為のNCプログラムの他、各種データを記憶する。入出力部25は操作盤16に接続する。駆動回路26〜30はサーボアンプである。駆動回路26はZ軸モータ11とエンコーダ11Bに接続する。駆動回路27は主軸モータ12とエンコーダ12Aに接続する。駆動回路28はX軸モータ13とエンコーダ13Aに接続する。駆動回路29はY軸モータ14とエンコーダ14Aに接続する。駆動回路30はマガジンモータ15とエンコーダ15Aに接続する。
CPU21は、被削材を加工する為のNCプログラムを読取り、送り軸(X軸、Y軸、Z軸)、主軸、マガジン軸等の各駆動軸を目標位置に移動する為の制御指令を駆動回路26〜30に送信する。駆動回路26〜30は、CPU21から受信した制御指令(駆動信号)に応じて対応する各モータ11〜15に駆動電流(パルス)を夫々出力する。駆動回路26〜30はエンコーダ11A〜15Aからフィードバック信号(位置と速度の信号)を受け、モータ11〜15の位置と速度の制御を行う。駆動回路26〜30はサーボアンプを駆動するサーボアンプであり、例えばFPGA回路で構成してもよい。
図2を参照し、サーボモータの特定加減速制御を説明する。特定加減速制御とは、例えば最大出力トルク特性M2を有する特定のサーボモータについて行う加減速制御である。最大出力トルク特性M2は、回転数R1から高回転数側の領域において、サーボモータの最大出力トルクの減少する傾きが一定ではなく高回転数になるにつれて緩くなる特性を有する。例えばサーボモータを出力トルクが最大出力トルクを超えた状態で長期間使用すると、サーボモータの温度が上昇し、オーバヒートが発生する可能性は高い。トルクと加速度は比例関係にある。故にCPU21は、サーボモータの出力トルクが最大出力トルクを超えないように、サーボモータで駆動する駆動軸の動作について加減速制御(特定加減速制御)を行う。
出力トルク特性Q2は、特定加減速制御を適用した時のサーボモータの出力トルク特性である。出力トルク特性Q2は、最大出力トルク特性M2の領域内に収まっている。特定加減速制御は、例えばX軸等の送り軸の移動開始時の動作を、加速開始当初の加速度増加期間T1、加速度一定の第一加速度一定期間T2、加速終了に合せて加速度を減少する加速度減少期間T6の3期間に区分する。更に加速度減少期間T6は、期間T2の終了に合わせて加速度を減少する第一加速度減少期間T3、加速度一定の第二加速度一定期間T5、加速終了前の第二加速度減少期間T4の3期間に区分する。期間T1,T2,T3,T4は、図7に示す二段加減速制御の期間T1〜T4と同じである。特定加減速制御は、期間T3とT4の間に、加速度一定の期間T5を設ける。故に出力トルク特性Q2は、回転数R1から高回転数側の領域において最大出力トルクが緩やかに減少する特性に合わせて、出力トルクを段階的に減少できる。故に出力トルク特性Q2は、回転数R1から高回転数側の領域において、出力トルクが最大出力トルクを超えないように近似できる。
図3を参照し、特定加減速制御における加速度パターンを説明する。図3の実線は、X軸モータ13の特定加減速制御における移動開始から移動終了までの加速度パターンを示す。点線は、X軸モータ13の加速度パターンに対応する速度パターンを示す。加速度増加期間T1の加速度増加速度a1の時定数t1は、加速度減少期間T6の加速度減少速度a2の時定数t2よりも小さく設定するとよい。特定加減速制御は、サーボモータの低回転数側の出力トルクを最大出力トルクに近似できる(図2参照)。X軸モータ13は、回転数R1から高回転数側の領域において、最大出力トルクの減少する傾きが高回転数になるにつれて緩くなる特性を有する特定のサーボモータである。例えばX軸の移動開始時のX軸モータ13の動作は、上記の様に、期間T1,T2,T3,T5,T4の順に5期間に区分する。作業者は、期間T4後の速度V1と、期間T2後の速度V2を、操作盤16の入力部17で予め入力設定する。速度V1とV2は例えばRAM23に記憶するとよい。
期間T1〜T5の夫々における加速度算出方法を説明する。加速度増加期間T1では、目標加速度を第一加速度A1に設定する。第一加速度A1は、作業者が入力設定した速度V2に基づき演算する。速度V2と第一加速度A1の関係は式(1)である。
・V2=A1×T1/2+A1×T2 ・・・(1)
故に第一加速度A1は、式(1)を変形した以下の式(2)で演算できる。
・A1=2×V2/(T1+2×T2) ・・・(2)
加速度増加期間T1における加速度変化の傾きは、加速度増加速度a1である。加速度増加速度a1=A1/T1で一定である。加速度増加期間T1における加速度Aは、以下の式(3)で演算できる。tは、加速開始(移動開始)からの経過時間である。
・A=A1×t/T1 ・・・(3)
第一加速度一定期間T2では、第一加速度A1を維持すると共に、期間T2経過後、X軸の速度Vが、作業者が入力設定した速度V2になるように制御する。第一加速度一定期間T2では、X軸モータ13の最大出力トルク或いはその近傍トルクに対応した第一加速度A1を維持する為、X軸モータ13の最大出力トルクの有効利用及び移動時間の短縮化が図れる。
第一加速度減少期間T3では、目標加速度を第二加速度A2に設定する。第二加速度A2は、作業者が入力した速度V1とV2に基づき以下の式(4)で演算する。
・A2=(2×(V1−V2)−A1×T3)/(T3+T4+2×T5) ・・・(4)
第一加速度減少期間T3の傾きは、第一加速度減少速度a3である。第一加速度減少速度a3=(A2−A1)/T3で一定である。第一加速度減少期間T3における加速度Aは、以下の式(5)で演算できる。
・A=A1−(A1−A2)×{t−(T1+T2)}/T3 ・・・(5)
第二加速度一定期間T5では、(4)式で演算した第二加速度A2を維持する。期間T5=0に設定すると、特定加減速制御から二段加減速制御に変更可能である。
第二加速度減少期間T4では、目標加速度を0に設定する。第二加速度減少期間T4の傾きは、第二加速度減少速度a4である。第二加速度減少速度a4=−A2/T4で一定である。第二加速度減少速度a4は、第一加速度減少速度a3よりも大きく設定するとよい。第二加速度減少期間T4における加速度Aは、以下の式(6)で演算できる。
・A=A2−A2×{t−(T1+T2+T3+T5)}/T4 ・・・(6)
X軸の移動終了時のX軸モータ13の加速度パターンは、上記X軸の移動開始時の加速度パターンの順序と逆であり、期間T4,T5,T3,T2,T1の5期間に区分する。X軸の移動開始時の各期間の加速度は正なので、移動終了時の各期間の加速度は負である。計算方法は、上記計算方法と同じ式を用いて加速度の正負を逆にして計算すればよい。即ち、移動終了時における第一加速度A1と第二加速度A2は負の値(−A1と−A2)である。
図4,図5を参照し、速度算出処理を説明する。NCプログラムを解釈して生成した制御指令が例えばX軸の移動指令であった場合、CPU21は、目標到達位置までのX軸モータ13の加速度パターンを決定すると共に、ROM22から速度算出プログラムを読出し、本処理を実行する。
図4に示す如く、CPU21は第一加速度A1と第二加速度A2を算出する(S1)。第一加速度A1は上記式(2)で算出し、第二加速度A2は上記式(4)で算出する。CPU21はX軸の加速を開始したか否か判断する(S2)。加速を開始するまで(S2:NO)、CPU21はS2に戻って待機する。加速を開始した場合(S2:YES)、CPU21は図3の加速度パターンと加速を開始した時刻からの時間tに基づき、現在の加速度期間が期間T1〜T5の何れであるか判定する(S3〜S7)。現在の加速度期間が加速度増加期間T1の場合(S3:YES)、CPU21は上記式(3)で加速度Aを算出する(S8)。CPU21は加速度Aから速度Vを算出する(S14)。CPU21は算出した速度Vより位置指令を生成し、X軸モータ13の駆動回路29に位置指令と速度指令を送信する。駆動回路29は受信した位置指令と速度指令に基づき、X軸モータ13を駆動制御する。X軸は速度Vで移動する。CPU21はS3に戻る。
現在の加速度期間が第一加速度一定期間T2の場合(S3:NO、S4:YES)、CPU21は加速度を第一加速度A1に設定する(S9)。CPU21は第一加速度A1から速度Vを算出する(S14)。CPU21は算出した速度Vより位置指令を生成し、X軸モータ13の駆動回路29に位置指令と速度指令を送信する。CPU21はS3に戻る。
現在の加速度期間が第一加速度減少期間T3の場合(S3:NO、S4:NO、S5:YES)、CPU21は上記式(5)に基づき、加速度Aを算出する(S10)。CPU21は加速度Aから速度Vを算出する(S14)。CPU21は算出した速度Vより位置指令を生成し、X軸モータ13の駆動回路29に位置指令と速度指令を送信する。CPU21はS3に戻る。
現在の加速度期間が第二加速度一定期間T5の場合(S3:NO、S4:NO、S5:NO、S6:YES)、CPU21は加速度を第二加速度A2に設定する(S11)。CPU21は第二加速度A2から速度Vを算出する(S14)。CPU21は算出した速度Vより位置指令を生成し、X軸モータ13の駆動回路29に位置指令と速度指令を送信する。CPU21はS3に戻る。
現在の加速度期間が第二加速度減少期間T4の場合(S3:NO、S4:NO、S5:NO、S6:NO、S7:YES)、CPU21は上記式(6)に基づき、加速度Aを算出する(S12)。CPU21は加速度Aから速度Vを算出する(S14)。CPU21は算出した速度Vより位置指令を生成し、X軸モータ13の駆動回路29に位置指令と速度指令を送信する。CPU21はS3に戻る。
X軸移動開始時における第二加速度減少期間T4が終了し、現在の加速度期間が期間T1〜T5の何れでもない場合(S3:NO、S4:NO、S5:NO、S6:NO、S7:NO)、図5に示す如く、CPU21はX軸が移動停止か否か判断する(S15)。X軸は移動中であるので(S15:NO)、加速度を0に設定し(S16)、速度V1に設定する(S17)。故にX軸は速度V1で移動を続ける。CPU21はS3に戻る。
X軸はp1時刻で減速を開始する。減速とは、負方向への加速である。CPU21はX軸の移動開始時と同様に、減速を開始したp1時刻からの時間qに基づき、再び現在の加速度期間を判定する(S3〜S7)。上記の通り、X軸の移動終了時の加速度パターンは、移動開始時とは逆に、期間T4、T5、T3、T2、T1の順である。CPU21は現在の加速度期間に応じて加速度と速度を算出する(S8〜S12、S14)。
加速度増加期間T1が終了すると(S3:NO、S4:NO、S5:NO、S6:NO、S7:NO)、図5に示す如く、X軸は速度V=0で移動を停止しているので(S15:YES)、CPU21は本処理を終了する。X軸の目標位置までの移動は完了する。
以上説明の如く、本実施形態の数値制御装置20は工作機械10の動作を制御する。工作機械10はサーボモータであるモータ11〜15で駆動するX軸、Y軸、Z軸等の送り軸(駆動軸)を備える。数値制御装置20のCPU21は送り軸の移動開始時と移動終了時にて特定加減速制御を行う。特定加減速制御は、二段加減速制御と同様に、加速度増加期間T1、第一加速度一定期間T2、加速度減少期間T6を有する。加速度増加期間T1における時定数t1は、加速度減少期間T6における時定数t2よりも小さくする。故に数値制御装置20はサーボモータの低速回転数側の最大出力トルクを有効利用できる。
特定のサーボモータの最大出力トルク特性M2は、或る回転数R1から高回転数側の領域において最大出力トルクが緩やかに減少する特性を有する。従来の二段加減速制御では、サーボモータの高回転数側の領域において出力トルクが最大出力トルクを超えてしまう可能性がある。特定加減速制御は、高回転数側の領域に対応する加速度減少期間T6の開始時と終了時を除く部分に、第二加速度一定期間T5を設ける。故に数値制御装置20は、加速度減少期間T6において出力トルクを段階的に減少できるので、高回転数側の領域においても、出力トルクが最大出力トルクを超えないように近似できる。故に数値制御装置20は、サーボモータの低回転数側及び高回転数側の何れの領域においても、出力トルクを有効利用できる。
上記説明にて、工作機械10は本発明の機械の一例である。CPU21は本発明の制御部の一例である。図4,図5に示す速度算出処理の各処理ステップは、本発明の制御工程の一例である。
本発明は上記実施形態に限らず各種変形が可能なことはいうまでもない。図2に示す特定加減速制御の出力トルク特性Q2は、加速度減少期間T6の開始時と終了時を除く部分に、加速度一定の第二加速度一定期間T5を一つ設けているが、加速度一定の期間を複数設けてもよい。例えば図6に示すモータの出力トルク特性Q3は、特定加減速制御におけるモータの出力トルク特性Q2の変形例である。出力トルク特性Q3は、モータの最大出力トルク特性M3の領域内に収まる。出力トルク特性Q3は、加速度減少期間T6の開始時と終了時を除く部分に、二つの加速度一定期間T51とT52を設け、それら期間T51とT52の間に加速度を減少する期間T7を設ける。故に出力トルク特性Q3は、回転数R2から高回転数側の領域において、出力トルクを更に段階的に減少できるので、上記実施形態の出力トルク特性Q2に比べ、出力トルクを最大出力トルクに更に近似できる。
上記実施形態はX軸モータ13で駆動するX軸の送り動作を一例として、特定加減速制御を説明したが、その他の駆動軸であるY軸、Z軸、主軸、マガジン軸等の駆動軸についても、特定加減速制御を用いるとよい。
上記実施形態は、例えば移動指令の対象軸を駆動するサーボモータの最大出力トルク特性に合わせて、一段加減速制御、二段加減速制御、特定加減速制御を切替えるとよい。一段加減速制御は、加速度増加期間における加速度増加速度の時定数と、加速度減少期間における加速度減少速度の時定数とを同一に設定する制御である。
上記実施形態の特定加減速制御において、加速度増加期間T1の加速度増加速度の時定数t1は、加速度減少期間T6の加速度減少速度の時定数t2よりも小さく設定するが、時定数t1とt2は同一に設定してもよく、時定数t2の方を時定数t1よりも小さくしてもよい。
上記実施形態の駆動回路26〜30は数値制御装置20に設けているが、工作機械10に設けてもよい。
上記実施形態の工作機械10は、主軸がZ軸方向に延びる立型工作機械であるが、本発明は主軸が水平方向に延びる横型工作機械にも適用できる。
本実施形態はCPU21の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を、プロセッサとして用いてもよい。移動制御処理は、複数のプロセッサによって分散処理してもよい。プログラムを記憶するROM22及び記憶装置24は、例えばHDD及び又は記憶装置等の他の非一時的な記憶媒体で構成してもよい。非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。タップ加減速制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードして(即ち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ等の記憶装置等に記憶してもよい。この場合、プログラムは、サーバに備えられたHDDなどの非一時的な記憶媒体に保存していればよい。
10 工作機械
20 数値制御装置
21 CPU
11〜15 モータ
M2 最大出力トルク特性
Q2 出力トルク特性
T1 加速度増加期間
T2 第一加速度一定期間
T3 第一加速度減少期間
T4 第二加速度減少期間
T5 第二加速度一定期間
T6 加速度減少期間
a1 加速度増加速度
a2 加速度減少速度
t1 時定数
t2 時定数

Claims (3)

  1. サーボモータと、前記サーボモータで駆動する駆動軸とを備える機械の制御を行い、前記駆動軸の加速開始時に加速度を増加する加速度増加期間と、前記駆動軸の加速終了時に加速度を一定にする第一加速度一定期間と、前記第一加速度一定期間の後に加速度を減少する加速度減少期間とを有する加減速制御を実行する制御部を備えた数値制御装置において、
    前記制御部は、前記加速度増加期間における加速度増加速度の時定数を、前記加速度減少期間の加速度減少速度の時定数よりも小さくすると共に、前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に、加速度を一定にする第二加速度一定期間を設けたことを特徴とする数値制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記サーボモータの回転数に対応する最大出力トルクである最大出力トルク特性のうち、前記最大出力トルクが減少する所定部分の傾きが、前記回転数が高回転数になるにつれて小さくなる場合において、前記所定部分に対応する前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に前記第二加速度一定期間を設け、前記駆動軸の前記加減速制御における時間に対する加速度に比例する前記サーボモータの出力トルクが、前記加速度増加期間、前記第一加速度一定期間、及び前記加速度減少期間において前記最大出力トルクを超えないように制御すること
    を特徴とする請求項1に記載の数値制御装置。
  3. サーボモータと、前記サーボモータで駆動する駆動軸とを備える機械の制御を行い、前記駆動軸の加速開始時に加速度を増加する加速度増加期間と、前記駆動軸の加速終了時に加速度を一定にする第一加速度一定期間と、前記第一加速度一定期間の後に加速度を減少する加速度減少期間とを有する加減速制御を実行する制御工程を行う数値制御装置の制御方法において、
    前記制御工程は、前記加速度増加期間における加速度増加速度の時定数を、前記加速度減少期間の加速度減少速度の時定数よりも小さくすると共に、前記加速度減少期間の開始時と終了時を除く部分に、前記加速度を一定にする第二加速度一定期間を備えたこと
    を特徴とする制御方法。
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