JP6749803B2 - 電気化学セル - Google Patents

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Description

本発明は、リフローはんだ付けが可能で信頼性の高い電気化学セルに関する。
瞬停発生時のメモリへのデータ書き込みサポートや、回路電圧の平滑化のために用いられ、巻回・積層等により低抵抗化した電気二重層キャパシタ等の電気化学セルが知られている。また、これら電気化学セルのパッケージとして、従来から、ラミネートタイプのパッケージが知られている。
この種の電気化学セルのパッケージにおいて、封止性に優れ、長期信頼性を向上させるとともにリフローはんだ付けに対応できるセラミックパッケージが提案されている(特許文献1参照)。
また、この種の電気化学セルの電極として、アルミニウム箔等からなる集電体に活物質を含むスラリーを塗工した電極シートの他、種々の電極シートの構成が知られている。例えば、以下の特許文献2に記載の電極は、活物質と集電体との密着性を向上させ、表面抵抗値を抑制できる構造が採用されている。
特開2013−30750号公報 特開2006−100477号公報
従来、この種の電気化学セルに用いられるセラミックパッケージでは、製造上と耐久性の要請から一定の容器壁厚が求められていた。さらに、容器のパッド膜に内部で接続する素子のリードが一定の厚みを有しているため、容器に収容できる素子の大きさはさらに制約を受ける問題がある。
このため、従来のラミネートタイプと同様の用途に用いられ、同様の搭載空間にセラミックパッケージを備えた電気化学セルを配置するためには、導電性や容量密度を従来の構成よりも高める必要があった。
また、セラミックパッケージを用いた電気化学セルにおいては、リフローはんだ付けを行うと、はんだの熱によって内部抵抗が上昇するなどの問題が生じ、電気化学セルがリフローはんだ工程によって特性劣化するという課題があった。更に、セラミックパッケージを用いた電気化学セルにおいては、パッケージを封止する際に封止部分周囲に溶接の熱が伝わるので、電解液の組成によっては熱を受けた電解液が一部蒸発し、特性が劣化するおそれがあった。
本発明は、従来の実情に鑑みなされたものであり、リフローはんだに耐える構成を採用し、導電性、容量密度を高め、小さな素子形状であっても信頼性の高い電気化学セルを提供することを目的とする。
本発明は前述の課題を解決するために、ベース容器と、前記ベース容器の中に収納されるセル要素と、前記セル要素の延長部である複数のセルリードと、前記ベース容器の内底面に形成された弁金属からなるパッド膜と、前記パッド膜と接続され、かつ前記ベース容器の内底面から下面にかけて形成されたベース内配線と、前記ベース容器を気密に閉じるリッドを少なくとも有する電気化学セルであり、前記セル要素において正極と負極がセパレータを挟んで配置され、さらに、非水電解液が含有されており、前記正極と負極の少なくとも一方がアルミニウム集電体と、該アルミニウム集電体上にアルミニウムと炭素の化合物により固定された炭素材料の層と、前記炭素材料の層の上に形成された活性炭と導電助剤とバインダーを含む活物質層を含み、前記非水電解液が支持塩8〜43質量%、残部溶媒であり、残部溶媒質量比率において、プロピレンカーボネート:26〜57質量%、エチレンカーボネート:0〜43質量%、ジメチルカーボネート:16〜48質量%の組成を有することを特徴とする。
気密構造のベース容器にセル要素と電解液を収容し、支持塩とプロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを好適な割合とする電解液としているので、支持塩の溶解性が高く、リフローはんだの熱を受けても内部抵抗の上昇割合が低く、容量劣化の少ない耐熱性を高めた電気化学セルを提供できる。
また、炭素材料の層とアルミニウム集電体との界面をアルミニウムと炭素の化合物で固定しているので、リフローはんだの熱を受けてもアルミニウム集電体表面における炭素粒子の密着性が低下し難いため、耐熱性の高い電気化学セルとすることができる。
また、前記非水電解液が、支持塩10〜40質量%、残部溶媒であり、残部溶媒質量比率において、プロピレンカーボネート:31〜55質量%、エチレンカーボネート:0〜40質量%、ジメチルカーボネート:20〜47質量%の組成を有しても良い。
本発明において、前記リッドが前記ベース容器に溶接されている構造を採用できる。
リッドをベース容器にシーム溶接などの溶接法で溶接する場合、ベース容器に収容されている電解液の一部に溶接時の熱が伝わる。しかし、前記組成比の溶媒であるならば、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを好適な割合とする電解液としているので溶接時の熱を受けても電解液の一部成分蒸発の影響が少なく、目的の高容量を得やすく、低抵抗かつリフローはんだの熱を受けても特性劣化の少ない電気化学セルを提供できる。
本発明において、前記アルミニウム集電体の表面部分に前記アルミニウムと炭素の化合物を含む介在層が形成され、前記介在層から外側に向かって延在する第2の表面部分が形成され、該第2の表面部分に複数の炭素粒子が固定された導電層を有する前記炭素材料の層が形成されている構造を採用できる。
アルミニウム集電体の表面部分に形成されたアルミニウムと炭素の化合物を含む介在層から延在する第2の表面部分に複数の炭素粒子が固定された導電層を有する構造を採用することで、熱を受けても炭素粒子がアルミニウム集電体から分離しない電極構造にできる。このため、リフローはんだの熱を受けてもアルミニウム集電体表面における炭素粒子の密着性が低下し難いので、耐熱性の高い電気化学セルを提供できる。
本発明において、前記導電層が活物質を含む構成を採用できる。
導電層に活物質を含むことでセルの容量を大きくすることができる。
本発明において、前記支持塩が、4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩である構成を採用できる。
これらの支持塩であるならば、電解液中の支持塩の高い溶解性を得ることができ、電気伝導度の高い溶媒とすることができる。
本発明の電気化学セルは、セル要素のアルミニウム集電体上にアルミニウムと炭素の化合物により炭素材料の層を固定し、その上に活性炭と導電助剤とバインダーを含む活物質層を備えた構造の電極を備えているので、アルミニウム集電体と炭素材料の層との良好な密着性を有し、アルミニウム集電体と炭素材料の層との界面抵抗の増加を抑制できる。
このため、アルミニウム集電体上に活物質や導電助剤、バインダーを含むスラリーを直接塗工していた従来構造の電気化学セルよりも導電性と容量密度を高めた電気化学セルを提供できる。また、アルミニウム集電体と炭素材料の層との良好な密着性はリフローはんだの熱を受けても低下するおそれが少ないので、セル要素をベース容器の中に収容し、ベース容器に配線を有した小さな素子形状であっても信頼性の高いリフローはんだ付けが可能な電気化学セルを提供できる。
本発明の電気化学セルは、プロピレンカーボネート:26〜57質量%、エチレンカーボネート:0〜43質量%、ジメチルカーボネート:16〜48質量%、残部支持塩の組成を有する非水電解液を備えているので、導電性および容量密度が高く充電特性に優れた電気化学セルを提供できる。
また、セル要素を収容したベース容器をリッドで封止する場合、封止のための溶接の熱が非水電解液に伝わったとして、非水電解液が蒸発し難く、非水電解液の変質による抵抗劣化の生じ難い電気化学セルを提供できる。
本発明に係る第1実施形態の電気化学セルを示すもので、(a)は斜視図、(b)は部分断面図。 同電気化学セルのパッド膜とビア配線と接続端子の関係を示すもので、(a)はパッド膜側から見た図、(b)は接続端子側から見た図。 同電気化学セルのセルリードとパッド膜の接続状態を示すもので、(a)は接続部分の平面図、(b)は溶接用チップにより溶接する状態の一例を示す断面図。 同電気化学セルに収容されるセル要素を示すもので、(a)はセル要素の構成図、(b)は集電体と導電層の部分拡大断面図。 本発明に係る第2実施形態の電気化学セルを示す構成図。 本発明に係る第3実施形態の電気化学セルを示す構成図。 本発明に係る第4実施形態の電気化学セルを示すもので、(a)はベース容器の斜視図、(b)は前記ベース容器を備えた電気化学セルの断面図、(c)は他の例の電気化学セルを示す断面図。 実施例1、2の電気化学セルと比較例1の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の内部抵抗を示すグラフ。 実施例1、2の電気化学セルと比較例1の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の放電時間を示すグラフ。 実施例3、4、5の電気化学セルと比較例2、3の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の内部抵抗を示すグラフ。 実施例3、4、5の電気化学セルと比較例2、3の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の放電時間を示すグラフ。 実施例6、7、8の電気化学セルと比較例4、5の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の内部抵抗を示すグラフ。 実施例6、7、8の電気化学セルと比較例4、5の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の放電時間を示すグラフ。 実施例9〜12の電気化学セルと比較例6の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の内部抵抗を示すグラフ。 実施例9〜12の電気化学セルと比較例6の電気化学セルについてリフローはんだテスト前後の放電時間を示すグラフ。
以下、本発明の第1実施形態に係る電気化学セルについて図面に基づいて説明する。
本第1実施形態の電気化学セル1は、主にパーソナルコンピューターや小型の携帯機器内部の基板に実装されて用いられる。
(電気化学セル1)
図1(a)は、本実施形態の電気化学セル1の外観図(斜視図)である。
図1に示すように電気化学セル1は一例として直方体の形状で示されているが、トラック形状や円筒形状であってもよい。本実施形態の電気化学セル1は、発電要素であるセル要素6を収納して容器として機能するベース容器2と、その開口部を気密に塞ぐための封口板として機能するリッド(蓋体)10を外装部品として備えている。電気化学セル1の外装容器は、前記ベース容器2とベース容器2の開口部を封止するリッド10とから構成されている。
図1(b)は、図1(a)のAA線に沿う断面図である。凹状のベース容器2の中にセル要素6が収納され、さらに電解液7が充填され、ベース容器2の開口部上面を一周するように設けられたシールリング9に押し当てられたリッド10によってベース容器2が気密に封止されている。ベース容器2のベース内底面2cには、一対の集電体金属膜であるパッド膜5が並置されている。また、パッド膜5の底面側であって、ベース内底面2cからベース下面2dにかけてベース容器底壁を貫通するように複数のビア配線3が形成されている。これらのビア配線3は、パッド膜5とベース下面2dに形成された接続端子4を電気的に接続している。
一方、ベース容器2内にはセル要素6が収容されている。このセル要素6は、炭素粒子などの炭素材料の層を担持する金属シートの集電体からなる一組の電極シートが絶縁性のセパレータを挿んで巻回法や積層法などで構成されたものである。正極及び負極の集電体の各端部には、金属板からなるセルリード8が接続されている。正極、負極のそれぞれのセルリード8は、一対のパッド膜5のそれぞれに対して、例えば溶接により固定されている。セル要素6の正極、負極は接続端子4によって実装される基板の実装用パターンに電気的に接続されることになる。
(ベース容器2)
ベース容器2は上方を開口部とした箱体状のセラミックからなる容器であって、長方形状のベース底部2aと、ベース底部2aの外縁に立設された長方形枠状のベース周壁部2bを有している。このベース容器2は一辺5〜20mm程度、高さ1〜3mm程度とすることができる。図2(a)、(b)は、それぞれベース容器2のベース内底面2cとベース下面2dを示す図である。図2(a)に示すベース内底面2cには、導電性材料からなる一対のパッド膜5が配置されている。パッド膜5の下面には、破線で示されるビア配線3がそれぞれ4個隣接して設けられ、これらビア配線3はそれぞれベース下面2dに配置された接続端子4(同じく破線で示す)に接続されている。
なお、ベース容器2の構成材料としては、アルミナ、窒化ケイ素、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化アルミ、ムライト及びこれらの複合材料からなる群から選ばれた少なくとも1種類を含むセラミックが挙げられるが、構成材料はこれに限らない。ソーダライムガラスや耐熱ガラスなども使用可能である。ガラスは素材として長尺のものが利用できるので、小型のパッケージの場合は、1枚のガラスに多くの取り個数を設定することができ、ベース部材の低コスト化が期待できる。
本実施形態のベース容器2は、例えば、長方形状に打ち抜かれたベース底部2aに対応するセラミックグリーンシートに、長方形枠状に打ち抜かれたベース周壁部2bに対応するセラミックグリーンシートを貼り合せた後、焼成することにより形成される。なお、ベース底部2aに対応するセラミックグリーンシートにパンチングによりあらかじめ孔を開けることにより貫通孔を形成することができ、この貫通孔を利用してビア配線3を形成することができる。
(ビア配線3)
ビア配線3は、ベース容器2のベース内底面2cからベース下面2dにかけて形成された配線である。このビア配線3は、まず、ベース底部2aに、ベース内底面2cとベース下面2dとを略垂直に貫通して接続する貫通孔を設け、貫通孔にタングステンなどの金属の配線用ペーストを充填することにより形成される。また、ビア配線3を形成することにより、貫通孔の気密が満たされている。
なお、ビア配線3に使用する導電性ペーストとして、炭素と樹脂を混合したペーストや、タングステン、モリブデン、ニッケル、金、又はこれら金属の複合材料と樹脂を混合したペーストを用いることができる。
貫通孔に充填されたペーストは、ベース容器2となるセラミックグリーンシートと共に焼成することによりビア配線3となる。
なお、前述のとおり、ベース容器2をソーダライムガラスや耐熱ガラスなどのガラス素材で形成する場合、これらのガラスに凹部や貫通孔を形成する手段としては、化学的なエッチング法、サンドブラストのような物理的方法、あるいは高温雰囲気において型を用いて凹部と貫通孔を同時に形成することができる。そして、貫通孔の内面にアルミニウム膜を形成した後、熱膨張係数をマッチングさせたガラスペーストを貫通孔に充填し、脱バインダー及び焼成を実施することにより、気密で導電性を有するビア配線3を形成することができる。このような場合は、ビア配線3が後述する電解液7により溶解するという懸念はない。また、ビア配線3の内面を形成する膜はアルミニウムに限定されることなく、チタンなどのその他の弁金属を含む膜であってよい。
(接続端子4)
図2(b)に示すベース下面2dには、パッド膜5に対向するように一対の接続端子4が設けられている。接続端子4は、リフロー処理などにより、実装基板のパターンに設けられたクリームハンダなどで基板に固着される。
本実施形態では、ベース容器2となるセラミックグリーンシートにあらかじめタングステンによる電極のパターンを印刷し、当該セラミックグリーンシートを焼成することにより、接続端子4を形成することができる。また、接続端子4は、印刷法により形成したタングステンのパターンに、ニッケルと金とからなるメッキ膜が施されていることが好ましい。さらに、ベース側面2eの凹部にもタングステンやこれらメッキ材料がパターニングされ、これらが接続端子の一部として機能する。
(パッド膜5)
パッド膜5は、ベース内底面2cの2箇所に配置される導電性材料からなる略矩形状の膜である。このパッド膜5は、ビア配線3の上端部と電解液7との直接の接触を防止するとともに、セルリード8を溶接により接続するための溶接部分を有している。
なお、本実施形態のパッド膜5は、ベース容器2の長手方向に並置されているが、短辺方向に並置することや、長手方向の対角線方向に並べることも可能である。
パッド膜5は、アルミニウムやチタン等の化学的に安定な弁金属からなる膜であり、電解液7に溶解し難い材料からなる。これらの膜は、例えば、蒸着、イオンプレーティングやスパッタリングなどの周知の膜形成方法によって設けることができる。これらの方法による場合は、まず、タングステンなどの金属を貫通孔に印刷法等により充填・焼成し、気密なビア配線3を仕上げた後に形成する。真空中で成膜する場合は、例えば、正極及び負極のパッド膜5をそれぞれ構成するように、互いに空間的に分離した2つの開口を持つようにパターニングした金属製等のマスクを準備して、成膜装置のチャンバーの中に収納し、真空排気系で所定の真空度に排気した後、弁金属材料を蒸着させるか、弁金属材料からなるターゲットを物理的にイオンで叩いて弁金属材料を飛ばして、ベース内底面2cに成膜する。これらの成膜法では、成膜の条件が制御し易いので、形成した膜の抵抗率が低く、かつ液体が浸透しにくい高密度な膜が形成できる。
また、アルミニウムの膜はスクリーン印刷法によっても形成可能である。高温では酸化しやすいアルミニウムにおいても、150℃以下の温度で配線パターンを形成可能な技術が開発されている。この方法は印刷法であるので、蒸着法などの薄膜形成技術に比較し、より厚い膜を形成可能であり、数十μmの厚膜も容易に得ることができる。さらに、アルミニウム膜は電気メッキ法により作製することも可能である。ジメチルスルホンと塩化アルミニウムからなるメッキ液を用いて、約40μmの膜厚で形成した膜であれば、表面が平滑で、膜の内部も均一な膜を得ることができる。
続いて、パッド膜5の膜厚は5μm以上でかつ100μm以下が望ましい。好ましくは、10μm以上で30μm以下の範囲がより望ましい。膜厚が薄いと膜内部に存在する微細なポーラスが繋がって電解液7がパッド膜の下にあるタングステンのビア配線3に浸透してタングステンの電解腐食を引き起こしやすいこと、及び、後述のように、溶接でセルリード8と接続される場合、溶接の条件が極めて限定され、信頼性ある接合の実現が難しくなることによる。ここで、厚さ約1.3mmのソーダライムガラス板に、パッド膜5として厚み5μmのアルミニウム膜をイオンプレーティング法により形成したのち、厚み80μmのアルミニウムの薄板を超音波溶接で溶接させる実験を実施した。
この結果、セルリード5個中1個のサンプルにおいて、ガラス板に微小なクラックを発生することが認められた。従って、5μmはパッド膜5の膜厚としては実用上の下限値であると推定できる。実用的にパッド膜5の膜厚を10μm以上とすることが望ましい。
(セル要素6)
続いて、セル要素6について説明する。セル要素6は、厚み5μm〜100μmのアルミニウム箔を集電体とし、その表面に活物質を含む炭素材料の層を設けた正負一対の電極シートを、絶縁物からなるセパレータを挟んで巻回、積層、折畳みなどの手法で一体化した発電要素である。
本実施形態のセル要素6は、後述するようにアルミニウム集電体の表面部分にアルミニウムと炭素の化合物を含む介在層が形成され、前記介在層から外側に向かって延在する第2の表面部分に複数の炭素粒子が固定された導電層を炭素材料の層に有する特殊な構造を電極シートに備えている。また、この電極シートは導電層上に活物質層が形成されていることが好ましい。さらに、導電層は活物質を含んでいてもよい。導電層に活物質を含む場合は活性炭を含むことが好ましい。活物質を含む導電層を有する電極シートを形成することにより、電気化学セルの容量を大きくすることができる。この場合でも、リフローはんだの熱を受けてもアルミニウム集電体表面における炭素粒子の密着性が低下し難いため、耐熱性の高い電気化学セルとすることができる。
この電極シートは、例えばWO2004/087984等を参照して製作することができる。具体的には、アルミニウム箔の表面に炭素粒子を塗布した後、炭化水素雰囲気中で300〜650℃程度に加熱することで得ることができる。この熱処理によりアルミニウム箔の表面にアルミニウムと炭素の化合物を生成させることができ、このアルミニウムと炭素の化合物により炭素粒子をアルミニウム箔表面に固定することができる。アルミニウムと炭素の化合物は特にアルミニウム炭化物(Al)が好ましい。
より具体的には東洋アルミニウム株式会社製トーヤルカーボ(登録商標)を用いることができる。
セル要素6を巻回構造とした一例について図4に概略構造を示す。
セル要素6は図4(a)に示すように、炭素粒子の集合体を含む導電層30及びアルミニウム箔の正極集電体31からなるフィルム状の正極体32と、炭素粒子の集合体を含む導電層40及びアルミニウム箔の負極集電体41からなるフィルム状の負極体42と、これら正極体32と負極体42との間に設けられるフィルム状のセパレータ35とが積層されたラミネート構造を有している。即ち、セル要素6は、フィルム状の正極体32と負極体42とが、セパレータ35を介し対向して重ね合わせられ、このラミネート状の積層体が、同方向に巻回されたスパイラル構造とされている。
また、正極集電体31の一部に正極用のセルリード8が接合され、負極集電体41の一部に負極用のセルリード8が接合され、これらがスパイラル構造体の外部に引き出されて図4(a)に示すセル要素6が構成されている。
アルミニウム箔として用いるアルミニウムは、特に限定されず、純アルミニウムまたはアルミニウム合金を広く用いることができる。本実施形態で用いられるアルミニウムは、その組成として、鉛(Pb)、珪素(Si)、鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)およびホウ素(B)の少なくとも1種の合金元素を必要範囲内において添加したアルミニウム合金、または、不可避的不純物元素を含有したアルミニウムも含む。
アルミニウム箔の厚みは、特に限定されないが、5μm以上100μm以下の範囲とすることができ、例えば、5μm以上20μm以下の範囲内とすることができる。
炭素材料の層の厚みは0.01μm以上200μm以下の範囲とすることができ、例えば、0.3μm以上50μm以下の範囲とすることができる。
正極集電体31と導電層30との関係は図4(b)に拡大して示す構造とされている。すなわち、正極集電体31の表面部分に炭素粒子の集合体を含む導電層30が形成され、正極集電体31と導電層30との間に介在層33が形成されている。介在層33は、アルミニウムからなる正極集電体31の表面の少なくとも一部の領域に形成されたアルミニウムと炭素の化合物を含む第1の表面部分を構成している。導電層30は介在層33のアルミニウムと炭素の化合物から外側に向かって伸びるように延在されたアルミニウムと炭素の化合物を含む第2の表面部分34を含む。この第2の表面部分34に複数の炭素粒子36が固定されて、導電層30が構成されている。この導電層30は、図4(a)に示すように正極集電体31の一つの面に形成されていても良く、両面に形成されていても良い。
また、本実施形態において、炭素粒子36を表面に形成した導電層30上に、活性炭、導電助剤、バインダーからなる活物質層が必要な厚さ(例えば30μm程度)形成されることが好ましい。
負極集電体41と導電層40との関係も同様に、負極集電体41の表面に介在層(第1の表面部分)33が形成され、その上に第2の表面部分34が形成され、第2の表面部分34に複数の炭素粒子36が固定されて導電層40が構成されている。この導電層40上にも活性炭、導電助剤、バインダーからなる活物質層が必要な厚さ(例えば30μm程度)形成されることが好ましい。また、導電層40は、図4(a)に示すように負極集電体41の一つの面に形成されていても良く、両面に形成されていても良い。
セパレータ35は、正極体32及び負極体42の直接的な接触を規制するものであり、大きなイオン透過度を有し、所定の機械的強度を有する絶縁膜が用いられる。例えば、耐熱性が求められる環境においては、ガラス繊維の他、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド等の樹脂を用いることができる。また、セパレータの孔径、厚みに関しては、特に限定されるものではないが、使用機器の電流値や、電気化学セル1の内部抵抗に基づいて決定される。また、セラミックスの多孔質体をセパレータとして用いることも可能である。
なお、図4(a)に示すセル要素6の構成は、巻回型のセル要素の一般例であるが、セル要素は積層型、折り畳み型等、いずれの構成を採用しても良い。
(電解液7)
電解液7は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)からなる混合溶媒に支持塩を溶解した混合電解液を用いることが好ましい。ただし、エチレンカーボネート(EC)は混合溶媒に含まない場合がある。
支持塩は、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩などが挙げられる。より具体的には、4級アンモニウム塩の内、脂肪鎖のみを有する化合物としては、例えば、トリエチルメチルアンモニウム(TEMA)塩、テトラエチルアンモニウム(TEA)塩等が挙げられる。スピロ化合物としては、例えば、5−アゾニアスピロ[4,4]ノナンテトラフルオロボレート(スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム:SBP−BF4)、6−アゾニアスピロ[5,5]ウンデカンテトラフルオロボレート、3−アゾニアスピロ[2,6]ノナンテトラフルオロボレート、4−アゾニアスピロ[3,5]ノナンテトラフルオロボレート等が挙げられる。また、4級ホスホニウム塩としては、5−ホスホニルスピロ[4,4]ノナンテトラフルオロボレートが挙げられる。
支持塩としては、4級アンモニウム塩が好ましく、スピロ化合物がより好ましく、5−アゾニアスピロ[4,4]ノナンテトラフルオロボレートがさらに好ましい。4級アンモニウム塩のスピロ化合物は電気伝導率が高いため、放電容量を増大できる。
電解液7は、例えば、支持塩8〜43質量%、残部溶媒の組成であり、残部溶媒質量比率において、プロピレンカーボネート:26〜57質量%、エチレンカーボネート:0〜43質量%、ジメチルカーボネート:16〜48質量%の組成を有する電解液であることが好ましい。なお、本実施形態において質量%の上限と下限を26〜57質量%のように表記する場合、特に注記しない限り、上限と下限を含むこととする。よって、26〜57質量%は、26質量%以上、57質量%以下を意味する。
例えば、電解液全体の質量に対し質量比(%)において支持塩25質量%、PC:EC:DMC=39:32:29の割合で混合した電解液を用いることができる。
また、電解液全体の質量に対し支持塩の質量は、20〜30質量%の範囲がより好ましく、22〜27質量%の範囲が更に好ましい。
また、溶媒全体に対する各成分の質量比については、PC=33〜42質量%、EC=27〜36質量%、DMC=28〜32質量%の範囲が更に好ましく、PC=37〜40質量%、EC=31〜33質量%、DMC=28〜31質量%の範囲が最も好ましい。
リッド10をベース容器2にシーム溶接などの溶接法で溶接する場合、ベース容器2に収容されている電解液7の一部に溶接時の熱が伝わる。しかし、前記組成比の溶媒を有する電解液7であるならば、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを好適な割合とする電解液7としているので、溶接時の熱を受けても電解液の一部成分、例えば、3成分のうち、沸点の最も低いジメチルカーボネート蒸発のおそれが少なく、目的の高容量を得やすく、低抵抗かつリフローはんだの熱を受けても特性劣化の少ない電気化学セル1を提供できる。
(セルリード8)
セルリード8は、セル要素6から電力を取り出すための端子である。このセルリード8は、集電体そのものを細く延長させた延長部や、別の細く薄い板やワイヤ状のリードを機械的に接続して延長部を形成したものが用いられる。本実施形態のセルリード8は、集電体そのものを延長させたものが望ましく、このセルリード8の一部分である溶接領域8aがパッド膜5の溶接部分5aに溶接により固定される。
本実施形態のセルリード8は、図3(a)、(b)に示すように、セル6をベース容器2の外に置くことができる程度の長さであって、パッド膜5と溶接する際に溶接用チップ20の移動の妨げにならない程度の長さにすることが望ましい。過度に長くすると内部抵抗が増加するからである。なお、セル要素6は、セルリード8とパッド膜5とを溶接した後、ベース容器2の中に収納されるが、この際、セルリード8はベース容器2の内部で折りたたまれる。
また、セルリード8を折りたたむ際は、セル要素6のショートを回避するため、セルリード8がシールリング9に混触しないように注意する必要がある。
(シールリング9)
シールリング9は、図1に示すように、ベース容器2のベース壁部2bの上端面の形状に合わせた四角枠状の断面を有しており、ベース壁部2bの上端面にロウ材を介して接合されている。このシールリング9は、熱膨張係数がセラミックの熱膨張係数と近い材料、例えば、鉄・コバルト・ニッケル合金であるコバール(ウェスティングハウス社商品名)などを用いることができる。また、ロウ材は、Ag−Cu合金やAu−Cu合金などから形成されている。
(リッド10)
リッド10は、図1に示すように、シールリング9の上面に接合されており、ベース容器2を密封している。リッド10は、熱膨張係数においてセラミックの熱膨張係数と近いコバールや42alloyなどの合金にニッケルメッキを施したものが使用される。より具体的には、コバールからなる0.1mm〜0.2mm程度の厚みを有する薄板で、表面に2μm〜4μm程度の厚みで電解ニッケルメッキや無電解ニッケルメッキを施したものが用いられる。このような材料を用いたリッド10は、例えば、抵抗シーム溶接、レーザーシーム溶接などによってシールリング9に溶接することができ、塞がれた状態のベース容器2内部の気密性を向上できる。このリッド10によりベース容器2が気密に閉じられている。
リッド10とシールリング9を溶接する方法として用いられる抵抗シーム溶接では、リッド10をシールリング9に当接させた後に、リッド10の長辺側の略中心の2点に、対向した台形形状のローラー電極を配置して低電圧大電流を短時間流し、リッド10の仮溶接(スポット溶接)が行われる。このようにして、リッド10は仮に固定され、溶接作業中の振動等で位置がずれることはない。
続いて、例えば、長辺の端からローラー電極で長辺がなぞられるようにベース容器2とリッド10が移動して溶接される。次に、ベース容器2とリッド10は90度回転され、同様に短辺が溶接される。このようにして、リッド10の一周に亘って溶接が行われる。前述した仮固定においても、本抵抗シーム溶接においても、リッド10とシールリング9との界面で、金とニッケルの拡散が発生し、気密で強固な拡散接合層が形成される。これにより、リッド10は、ベース容器2を高い気密性でもって封止する。
リッド10とシールリング9の溶接は、レーザーの走査照射を用いても可能である。仮溶接を前述と同様に実施した後、レーザーを、リッド10を一周するように走査照射する。これにより、リッド10とシールリング9の界面で拡散接合層が形成される。この場合、リッド10の接合側の面に銀と銅からなるロウ材のシートを貼ることにより、溶融温度をロウ材の温度まで低下させることも可能である。
なお、電解液7が常温で液体状の溶媒や支持塩からなり、リッド10を封止する前に電解液7を充填する工程を採用する場合は、液体がリッド10とシールリング9の界面に存在する場所があり得る。このような場合でも、シーム溶接を用いた接合は可能である。
シーム溶接は、ローラー電極を使用するものでも、レーザーの走査照射を用いるものでもかまわない。
前記界面に液体が存在しても気密な溶接が可能となるのは、界面に存在する液体は、溶接時に近傍の温度が急激に上昇するので蒸発して飛散することによるものと考えられる。なお、シールリング9を使用せず、ベース容器2の上端面とリッド10とをロウ材を介して接合させてもよい。
以上のように構成された電気化学セル1は、セル要素6を構成するアルミニウムからなる集電体31、41上にアルミニウムと炭素の化合物により炭素粒子を固定した導電層30、40を備えた正極体32、負極体42を備えているので、アルミニウムの集電体31、41と炭素材料の層の導電層30、40との良好な密着性を有し、アルミニウムの集電体31、41と炭素材料の層の導電層30、40との界面抵抗の増加を抑制できる。このため、アルミニウムの集電体上に直接、活物質や導電助剤、バインダーなどを含むスラリーを塗工していた従来構造の電気化学セルよりも導電性と容量密度を高めた電気化学セル1を提供できる。また、アルミニウムの集電体31、41と炭素材料の層の導電層30、40との良好な密着性はリフローはんだの熱を受けても低下するおそれが少ないので、セル要素6をベース容器2の中に収容し、ベース容器2に配線を有した小さな素子形状であっても信頼性の高いリフローはんだ付けが可能な電気化学セル1を提供できる。
本実施形態の電気化学セル1は、支持塩8〜43質量%、残部溶媒の組成であり、残部溶媒質量比率において、プロピレンカーボネート:26〜57質量%、エチレンカーボネート:0〜43質量%、ジメチルカーボネート:16〜48質量%の組成を有する非水の電解液7を備えているので、導電性および容量密度が高く充電特性に優れた電気化学セル1を提供できる。
また、セル要素6を収容したベース容器2をリッド10でレーザー溶接やシーム溶接あるいはロウ付けなどの方法で封止する場合、封止のための熱がリッド近くの電解液7に伝わったとしても、上述の組成の電解液7が蒸発し難く、電解液7の変質による抵抗劣化の生じ難い電気化学セル1を提供できる。
本発明に係る電気化学セルの第2実施形態について図5を用いて説明する。
図5に示す電気化学セル15では、ビア配線3をベース内底面2cからベース下面2dに直接貫通させたものではなく、ベース底部2aを構成する2枚の板であるベース第1底部2fとベース第2底部2gとの界面でビア配線3を止めた構造になっている。この界面には、配線パターン18が設けられている。配線パターン18は、ビア配線3と接続し、水平に延出して外面に露出し、更に接続端子4に接続した構成である。
パッド膜5は、前述した第1実施形態と同様に、アルミニウム膜が5μmから100μmの厚みで形成されたものである。セル要素6に接続する一対のセルリード8は、パッド膜5に溶接で接続されている。また、電解液7が充填された後、ベース容器2はリッド10によって気密に封止され、外装容器を構成している。
図5に示す電気化学セル15において、その他の構成は先の第1実施形態の電気化学セル1と同等である。
図5に示す構成の電気化学セル15においても、先の電気化学セル1と同様に、導電性と容量密度が高く、小さな素子形状であっても信頼性の高いリフローはんだ付けが可能な電気化学セル15を提供できる。また、導電性および容量密度が高く充電特性に優れ、気密封止構造であっても非水電解液の変質による抵抗劣化の生じ難い電気化学セル15を提供できる。
本発明に係る電気化学セルの第3実施形態について図6を用いて説明する。
図6に示す電気化学セル16では、セラミックスの平板のみからなるベース容器2と、凹状の形状からなる金属製のキャビティ型リッド10aから外装容器を構成したものであり、図6は断面構造を示している。外装容器の内部には、先の実施形態と同様に、セル要素6と、一対のセルリード8と、電解液7とが収納され、セルリード8とベース容器2に形成されたパッド膜5とは溶接により接続されている。
図6に示すように、キャビティ型リッド10aは、セル要素6等を覆うように、その開口部をベース容器2の周囲に設けられたシールリング9に当接させて溶接されている。この溶接には、レーザーによるシーム溶接が好ましい。また、シーム溶接を行う際は、図6の矢印方向からレーザーを走査照射する。ローラー電極を用いた抵抗シーム溶接では、ローラー電極がキャビティ型リッド10aの段差に接触しやすく、ローラー電極を接合部に適切に当接させることが難しくなる。
キャビティ型リッド10aでは、キャビティ型リッド10aの底面部(図中では上端部)に小孔を設けている。これは、ベース容器2とキャビティ型リッド10aを溶接した後に、電解液7をこの小孔から充填し、その後に封止栓10bを用いて気密に封止できるように意図されたものである。
これにより、シールリング9とキャビティ型リッド10aの接合面との間に電解液7が存在することによる、封止作業の能率低下を防ぐことができる。ベース容器2の内側面に形成されるパッド膜5の材料やその厚みの範囲、ビア配線3の構造やその個数、セルリード8とパッド膜5との接合手段は、前述と同様であるので記載を省略する。
図6に示す電気化学セル16において、その他の構成は先の第1実施形態の電気化学セル1と同等である。
図6に示す構成の電気化学セル16においても、先の電気化学セル1と同様に、導電性と容量密度が高く、小さな素子形状であっても信頼性の高いリフローはんだ付けが可能な電気化学セル16を提供できる。また、導電性および容量密度が高く充電特性に優れ、気密封止構造であっても非水電解液の変質による抵抗劣化の生じ難い電気化学セル16を提供できる。
本発明に係る電気化学セルの第4実施形態について図7を用いて説明する。
図7(a)に、第4実施形態で用いるベース容器2を示した。本実施形態では、ベース容器2が、セラミックス製の平板と、平板に接合された金属製の筒状の金属側壁12から構成されており、これによって凹状の容器を成している。ベース容器2のベース内底面2cには、ベース底部2aを直接貫通するビア配線3が設けられ、その上にパッド膜5が一対配置されている。金属製の金属側壁12は、熱膨張率がベース容器2とマッチングするように選択され、平板にロウ材で接合されている。
一方、ベース容器2において反対側の開口部は、リッド10の接合面を形成している。本変形例では、リッド10を封止するための第1実施形態のシールリング9は不要であり、金属側壁12それ自体がシールリング9の役割も果たしている。そのため、金属側壁12において少なくともリッド10と接合する面には、ニッケルと金のメッキ膜が施されており、リッド10は、メッキ面に当接されて、抵抗シーム溶接やレーザーシーム溶接を用いて接合が可能なように構成されている。
図7(b)は、平板状のベース容器2を用いた電気化学セル17の断面構造を示す。セル要素6に接続する一対のセルリード8が溶接手段でパッド膜5に接続され、ビア配線3によって、接続端子4に接続されている。外装容器内には、電解液7が充填されて、リッド10により気密に封止されている。パッド膜の材質やその厚みは前述と同様である。金属側壁12は、金属製であるので、様々な形状に加工することが可能である。またその形状は、角、トラック形状、楕円、円等の選択が可能である。特に、規格品の中空パイプを任意の長さで切断して用いると、電気化学セル17の高さを自由に決定することができる上、製造コストの低減を図ることができる。
図7(c)に示す電気化学セル17では、図7(b)と同様に金属側壁12を用いているが、パッド膜5は正極側にのみ形成されている。正極セルリード8bはパッド膜5に超音波溶接で接続される一方で、負極セルリード8cは、金属側壁12の内側に溶接で接続されている。金属側壁12が金属製で、かつ、電流の流れる経路が大きいので、負極側の配線抵抗値は低く抑えられる。従って、本実施の形態の電気化学セル17は大電流放電が可能となる。
図7に示す電気化学セル17において、その他の構成は先の第1実施形態の電気化学セル1と同等である。
図7に示す構成の電気化学セル17においても、先の電気化学セル1と同様に、導電性と容量密度が高く、小さな素子形状であっても信頼性の高いリフローはんだ付けが可能な電気化学セル17を提供できる。また、導電性および容量密度が高く充電特性に優れ、気密封止構造であっても非水電解液の変質による抵抗劣化の生じ難い電気化学セル17を提供できる。
図1(a)、(b)に示す凹形状のベース容器2とリッド10を準備した。ベース容器2は長辺10mm、短辺8mm、高さ1.8mm、底壁の厚み0.38mmのアルミナからなる箱型の容器を用いた。
ベース容器2は、セラミックグリーンシートに長方形枠状に打ち抜いた壁部2bに対応するセラミックグリーンシートを貼り合わせ、約1500℃で焼成することにより形成した。ビア配線3は外径0.2mmのものをベース内底面2cとベース下面2dを直接貫通するように正極側と負極側にそれぞれ4個ずつ設けた。ビア配線3の表面にニッケルと金のめっきを施した。ベース下面2dには一対の接続端子4を配置し、ビア配線3に接続した。接続端子4にはニッケルを下地とした金めっきを施した。
次に、ベース内底面2cに、アルミニウムの蒸着膜からなる一対のパッド膜5を形成した。パッド膜5の寸法は、短辺2.4mm、長辺3mmで厚みは約15μmである。一方、リッド10は、長辺9mm、短辺7mm、厚み0.125mmのコバール板を準備し、表面に電解ニッケルメッキを施した。
続いてセル要素6の準備をする。実施例1では、20μmの厚みを持つアルミニウム箔からなる集電体表面にアルミニウム炭化物(Al)で炭素粒子を固定した東洋アルミニウム株式会社製トーヤルカーボ(登録商標)を用いて、その表層に粒子径6μmの活性炭85質量%、導電助剤(ケッチェンブラック、8質量%)及びバインダー(ポリテトラフルオロエチレン、7質量%)及び増粘剤からなる厚み30μmの活物質層を片面に塗工したシート電極を作製した。実施例2では、20μmの厚みを持つアルミニウム箔からなる集電体にアルミニウム炭化物(Al)で粒子径6μmの活性炭を含む厚み10μmの活物質層を片面に固定した電極シートを作製した。
これらのシート電極を適切な長さに切断した後、その一端に、厚みが80μmで幅が1.5mm、長さ4mmのアルミニウムの薄板を超音波溶接で取り付けてセルリード8とした。セルリード8が溶接された正極及び負極一対のシート電極に、PTFE/ガラス/PPA/ナイロン/PEEK/PBT(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、PPA:ポリフタルアミド、PEEK:ポリエーテルエーテルケトン、PBT:ポリブチレンテレフタレート)なる積層構造のセパレータを挟持させた後、巻芯を入れて、正負一対の電極をトラック状に巻回した。その後、巻芯を取り出し、隙間を軽くつぶして巻回型のセル要素6とした。
続いて、超音波溶接を行う。先に準備したベース容器2のパッド膜5の表面に、セルリード8を密着させて位置決めした。超音波溶接は、セルリード8を片方ずつ行った。超音波溶機の発振周波数は40kHzとした。溶接ホーンは鉄製であり、同じ材料からなる超音波溶接用チップ20はホーンの先端に一体型に設けられている。超音波溶接用チップ20の表面には、2.0×1.5mmの領域に、0.2mmピッチの千鳥格子状の凹凸パターン(ナール)を設けた。山の高さと谷底の差は0.2mmである。溶接のモードは、溶接中にセルリード8に供給するエネルギーを制御するモードとし、溶接エネルギーの設定値を0.5〜100Jの範囲とし、溶接時間を50〜2000msecの範囲とした。超音波溶接用チップ20をエアー機構によりアルミニウムからなるセルリード8の表面に降下させた後、セルリード8の表面に食い込んで、セルリード8とパッド膜5の界面の間で振動させることにより溶接した。
超音波溶接終了後、セルリード8を折りたたむようにしてセル要素6をベース容器2の中に収納した。この時に、セルリード8がシールリング9に接触しないように注意した。電気化学セルの内部ショートを回避するためである。
次に、セル要素6が収納されたベース容器2を、液体の電解液7の中に浸漬させ、1分間真空脱泡した。ここで、電解液7の支持塩はSBP・BF4(5−アゾニアスピロ[4.4]ノナン テトラフルホロボラート)を用い、溶媒としてプロピレンカーボネート(PC)とエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液を以下の割合で混合し、混合電解液として用いた。混合の割合は、電解液7全体の質量に対し溶媒:支持塩=75質量%:25質量%の関係であり、溶媒においてPC:EC:DMC=39質量%:32質量%:29質量%の割合で混合した電解液を用いた。
続いて、大気圧に戻して、セル要素6を収納したベース容器2を電解液7から取り出した後に、窒素雰囲気下でリッド10をシールリング9に当接し、長辺側の2点の仮溶接を行い、続いて長辺側と短辺側をこの順に連続して抵抗シーム溶接を行い、ベース容器2を気密に封止した。このようにして本実施例の電気化学セルを作製した。
作製した電気化学セルについて以下の電気特性試験を行った。
また、比較のために、前記製造工程においてシート電極を作製する場合に、20μmの厚みを持つアルミニウムからなる集電体上に活性炭85質量%、導電助剤(ケッチェンブラック、8質量%)及びバインダー(ポリテトラフルオロエチレン、7質量%)及び増粘剤からなる厚み30μmの活物質層を片面に塗工した比較用のシート電極を作製し、前記ベース容器2に上述と同じ方法で収容し、リッド10で封止した比較例1の電気化学セルを作製した。
得られた各電気化学セルについてリフローはんだに対する耐性を評価するために、全体を260℃に5秒間保持するリフローはんだテストを行い、リフローはんだテスト前後の内部抵抗(Ω)を測定し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)について算出した。内部抵抗は交流1kHzにおけるインピーダンスを測定することにより求めた(以下に示す内部抵抗の測定も同様である)。この結果を以下の表1と図8に記載する。
Figure 0006749803
表1と図8に示す結果から明らかなように、本発明に係るアルミニウム炭化物(Al)で炭素材料の層を担持した構造のシート電極を備えた電気化学セル(電気二重層キャパシタ)はリフローはんだの加熱環境に晒されたとしても、比較例1が示す従来構造に比べインピーダンスの上昇が小さく、劣化が極めて少ないことが判明した。このため本発明に係る電気化学セルはリフローはんだの工程に耐えることができ、電気化学セルとしての内部抵抗の上昇を抑制できることがわかる。
次に前述の実施例1、実施例2と同等構造の電気化学セルと比較例1と同等構造の電気化学セルに対し、充電電圧2.5V/充電電流10mAで10分間充電後、放電電流1mA、放電終止電圧1.4Vの条件にて放電時間(sec)を計測した。また、先の例と同等のリフローはんだテストを実施し、リフローはんだテスト前後の放電時間(sec)を計測し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)について算出した。この結果を以下の表2と図9に記載する。
Figure 0006749803
表2と図9に示す結果から明らかなように、本発明構造のシート電極を備えた電気化学セルはリフローはんだの加熱環境に晒されたとしても、放電時間の減少が小さく、容量低下が少ないことが判明した。このため本発明に係る電気化学セルはリフローはんだの工程に耐えることができ、電気化学セルとしての容量低下を抑制できることがわかる。
次に、電解液全体の質量に対し質量比において支持塩(SBP・BF4)25質量%、残部溶媒としてPC:EC:DMC=44質量%:36質量%:20質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例3)を作成した。同様に、支持塩質量比を同等として、PC:EC:DMC=34質量%:28質量%:38質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例4)と、支持塩質量比を同等として、PC:EC:DMC=32質量%:23質量%:45質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例5)を作製した。
また、比較例2として、電解液全体の質量に対し溶媒:支持塩=75質量%:25質量%の関係であり、溶媒においてPC:EC:DMC=47質量%:43質量%:10質量%の割合の電解液を用いて電気化学セルを作製し、同等の試験に供した。この比較例2はDMCの質量比を最も望ましい範囲(16〜48質量%)の下限より少なくした電解液である。
また、比較例3として、電解液全体の質量に対し溶媒:支持塩=75質量%:25質量%の関係であり、溶媒においてPC:EC:DMC=29質量%:21質量%:50質量%の割合で混合した電解液を用いて電気化学セルを作製し、同等の試験に供した。この比較例3は、DMCの質量比を最も望ましい範囲(16〜48質量%)の上限より多くした電解液である。
それぞれの電気化学セルについて、リフローはんだテスト前後の内部抵抗を測定し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)について算出した。それらの結果を以下の表3と図10に記載する。
Figure 0006749803
表3と図10に示す結果から、DMCの含有量を10質量%に少なくした比較例2は電解液の粘性が増大し、内部抵抗が増大した。また、DMCの含有量を50質量%と大きくした比較例3は、多く配合したDMCがシーム溶接時に蒸発した影響から、内部抵抗が増大した。
このため、PC:EC:DMC:支持塩の質量比においてDMCの比率は16〜48質量%の範囲が好ましい。
また、前述の実施例3〜5、比較例2、3と同等構造の電気化学セルを用い、リフローはんだテスト前後の放電時間(sec)を計測し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)を算出した。その結果を以下の表4と図11に示す。
Figure 0006749803
表4と図11に示す結果から、DMCの含有量を16〜48質量%の範囲とした実施例3〜5では、リフローはんだの加熱環境に晒されたとしても放電時間の減少は小さかった。また、DMCの含有量を10質量%と少なくした比較例2においても、放電時間の減少が少なく容量変化は殆ど見られなかった。これに対し、DMCの含有量を50質量%と大きくした比較例3では、電解液の誘電率減少に伴い、各実施例と比べて放電時間が減少し容量が減少した。
DMCの比率を16〜48質量%とした場合、上記のように内部抵抗の上昇を抑制することができることに加えて、放電時間の減少を抑えられることにより容量劣化を抑えることができる。このため、PC:EC:DMCの質量比においてDMCの比率は16〜48質量%の範囲が好ましい。
次に、前述の構成の電気化学セルを作製する際、電解液中の支持塩の質量比を変更した複数の電気化学セルを試作した。
電解液全体の質量に対し質量比において支持塩(SBP・BF4)15質量%、残部溶媒としてPC:EC:DMC=39質量%:32質量%:29質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例6)と、残部溶媒質量比率を同等として支持塩(SBP・BF4)を40質量%とした電解液を用いた電気化学セル(実施例7)と、支持塩(SBP・BF4)を10質量%とした電解液を用いた電気化学セル(実施例8)と、支持塩(SBP・BF4)を5質量%とした電気化学セル(比較例4)と、支持塩(SBP・BF4)を45質量%とした電解液を用いた電気化学セル(比較例5)を作製した。
それぞれの電気化学セルについて、リフローはんだテスト前後の内部抵抗を測定し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)について算出した。それらの結果を以下の表5と図12に記載する。
Figure 0006749803
表5と図12に示す結果から、支持塩(SBP・BF4)を8質量%〜43質量%の範囲とすることで、リフローはんだの加熱環境に晒されたとしても、内部抵抗増大の割合が少ない電気化学セルを提供できることがわかる。これに対し、支持塩の含有量を少なくした比較例4は電解液の導電率減少に伴い内部抵抗が大きい値となった。また、支持塩の含有量が多い比較例5では、支持塩に対する溶媒の割合が小さくなったことで加熱による溶媒分解、劣化の影響が大きくなり、リフローはんだテスト後の内部抵抗が増大した。
前述の実施例6〜8、比較例4、5と同等構造の電気化学セルを用い、リフローはんだテスト前後の放電時間(sec)を計測し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)を算出した。その結果を以下の表6と図13に示す。
Figure 0006749803
表6と図13に示す結果から、支持塩(SBP・BF4)を8質量%〜43質量%の範囲とすることで、リフローはんだの加熱環境に晒されたとしても、放電時間は減少せず、容量の大きい電気化学セルを提供できることがわかる。これに対し、支持塩含有量が多い比較例5では、支持塩に対する溶媒の割合が小さくなったことで加熱による溶媒分解、劣化の影響が大きくなり、リフローはんだテスト後に放電時間が減少し、容量劣化が大きくなった。
表5、表6に示す結果より、電解液の支持塩質量比を8質量%〜43質量%の範囲とした電気化学セルは内部抵抗が小さく、かつ容量が大きいため、このような支持塩質量比とすることが好ましい。
次に、前述の構成の電気化学セルを作製する際、電解液中の支持塩の質量比を固定し、PCとECとDMCの質量比を変更した複数の電気化学セルを作製した。
まず、電解液全体の質量に対し質量比において支持塩(SBP・BF4)25質量%、残部溶媒としてPC:EC:DMC=47質量%:20質量%:33質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例9)を作成した。同様に、支持塩質量比を同等として、PC:EC:DMC=31質量%:40質量%:29質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例10)と、支持塩質量比を同等として、PC:EC:DMC=53質量%:0質量%:47質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例11)と、支持塩質量比を同等として、PC:EC:DMC=55質量%:16質量%:29質量%の電解液を用いた電気化学セル(実施例12)と、支持塩質量比を同等として、PC:EC:DMC=25質量%:45質量%:30質量%の電解液を用いた電気化学セル(比較例6)を作製した。
それぞれの電気化学セルについて、リフローはんだテスト前後の内部抵抗を測定し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)について算出した。それらの結果を以下の表7と図14に記載する。
Figure 0006749803
表7と図14に示す結果から、ECの質量比を望ましい範囲(0〜43質量%)よりも多くした比較例6は粘度増大により含浸性(巻回型のセル要素に対する電解液の含浸性)が悪化し、内部抵抗が増大した。このことから、ECの望ましい質量比が0〜43質量%であることがわかる。即ち、ECを配合することなくPCとDMCで支持塩を構成しても良く、PCとDMCに対しECを配合する場合は43質量%以下で配合することができる。
前述の実施例9〜12、比較例6と同等構造の電気化学セルを用い、リフローはんだテスト前後の放電時間(sec)を計測し、その前後の変化率(リフロー前後変化率)を算出した。その結果を以下の表8と図15に示す。
Figure 0006749803
表8と図15に示す結果から、ECを0質量%〜43質量%の範囲とした実施例9〜12、及び45質量%とした比較例6では、ECの質量比に対する放電時間の変化は確認されなかった。これは、誘電率が高く支持塩の溶解性が高い環状カーボネートであるEC及びPCが電解液中に多く含まれることにより、上述の表4の結果のようなDMCが多い場合と異なり、容量を大きくすることができることを示している。一方で、表7の結果のように、融点の高いECを含有させる場合には、0〜43質量%の範囲とすることで、内部抵抗の増大を抑制することができる。
このことから、ECの質量比を抵抗の観点から好ましい上記範囲とすることで、容量の大きい電気化学セルとすることができる。
PCの含有量については、上述のEC及びDMCの好ましい質量比を踏まえて、26〜57質量%とすることが好ましい。
1…電気化学セル、2…ベース容器、2a…ベース底部、2b…ベース壁部、2c…ベース内底面、2d…ベース下面、2e…ベース側面、2f…ベース第1底部、2g…ベース第2底部、3…ビア配線、4…接続端子、5…パッド膜、5a…溶接部分、6…セル要素、7…電解液、8…セルリード、8a…溶接領域、8b…正極セルリード、8c…負極セルリード、9…シールリング、10…リッド、10a…キャビティ型リッド、10b…封止栓、15、16、17…電気化学セル、18…配線パターン、20…超音波チップ、20a…チップ先端、30…導電層、31…正極集電体、32…正極体、33…介在層、34…第2の表面部分、35…セパレータ、36…炭素粒子、40…導電層、41…負極集電体、42…負極体。

Claims (6)

  1. ベース容器と、前記ベース容器の中に収納されるセル要素と、前記セル要素の延長部である複数のセルリードと、前記ベース容器の内底面に形成された弁金属からなるパッド膜と、前記パッド膜と接続され、かつ前記ベース容器の内底面から下面にかけて形成されたベース内配線と、前記ベース容器を気密に閉じるリッドを少なくとも有する電気化学セルであり、
    前記セル要素において正極と負極がセパレータを挟んで配置され、さらに、非水電解液が含有されており、前記正極と負極の少なくとも一方がアルミニウム集電体と、該アルミニウム集電体上にアルミニウムと炭素の化合物により固定された炭素材料の層と、前記炭素材料の層の上に形成された活性炭と導電助剤とバインダーを含む活物質層を含み、
    前記非水電解液が、支持塩8〜43質量%、残部溶媒であり、残部溶媒質量比率において、プロピレンカーボネート:26〜57質量%、エチレンカーボネート:0〜43質量%、ジメチルカーボネート:16〜48質量%の組成を有することを特徴とする電気化学セル。
  2. 前記非水電解液が、支持塩10〜40質量%、残部溶媒であり、残部溶媒質量比率において、プロピレンカーボネート:31〜55質量%、エチレンカーボネート:0〜40質量%、ジメチルカーボネート:20〜47質量%の組成を有することを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
  3. 前記リッドが前記ベース容器に溶接されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学セル。
  4. 前記アルミニウム集電体の表面部分に前記アルミニウムと炭素の化合物を含む介在層が形成され、前記介在層から外側に向かって延在する第2の表面部分が形成され、該第2の表面部分に複数の炭素粒子が固定された導電層を有する前記炭素材料の層が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
  5. 前記導電層が活物質を含むことを特徴とする請求項に記載の電気化学セル。
  6. 前記支持塩が、4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の電気化学セル。
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