JP6749667B1 - 背負い鞄 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者が背負った時、肩ベルトが使用者の身体に接触して痛く感じる不具合を容易且つ確実に防止できる背負い鞄を提供する。【解決手段】肩ベルト14(1),14(2)の特定領域16は、表面側が特定領域16の表面となる表生地20と、表生地20よりも柔軟な素材で成り、裏面側が特定領域16の裏面となる裏生地22a,22bと、表生地20及び裏生地22a,22bで囲まれた中に配置され、裏面側が裏生地22a,22bに対向するクッション材24a,24bとを有する。特定領域16の内側端部は、裏生地22aの内側端部が表生地20の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分がクッション材24aを貫通せずに相互に縫い付けられ、裏生地22bの内側端部以外の部分が折れ返ってクッション材24aの裏面側に重なり、裏生地22aによって表生地20の内側の端面及び角部が覆われている。【選択図】図3

Description

この発明は、収容部の側面に2つの肩ベルトが取り付けられた背負い鞄に関する。
従来、例えば特許文献1に開示されているように、物品が入れられる収容部と、収容部の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ひもベルトとを備え、左右の腕を2つの肩ひもベルトの内側端部の側から各々差し込むことによって背負われるランドセルがあった。肩ひもベルトは、所定幅の帯状に形成された特定領域(湾曲部)を有し、使用者に背負われた時に、特定領域の裏面が使用者の身体に当接する。
肩ひもベルトの特定領域は、特許文献1の図3に記載されているように、一定以上の厚みを有した硬い素材で成る表生地(上カバー16)と、表生地よりも柔軟な素材で成る裏生地(カバー15)と、表生地及び裏生地に囲まれた中に配置されたクッション材(弾性体14.17)とで構成される。使用者の身体に当接するのは、裏生地がある方の面である。
特許文献1に開示された肩ひもベルトにおいて特徴的なのは、特定領域の使用者の首に接触する部分の構造、すなわち特定領域の内側端部の構造であり、特定領域の内側端部は、柔らかい裏生地及びクッション材が内向きに突出し、この突出部の陰に、硬い表生地の内側の端面及び角部が隠れる構造になっている。したがって、使用者がランドセルを背負った時、使用者の首に表生地の内側の端面及び角部が接触しにくくなり、痛みを感じる不具合が発生にくくなる。
実開昭57−85922号公報
しかしながら、特許文献1のランドセルの肩ひもベルトの構造は、使用者の首に表生地の内側の端面及び角部が接触しにくくはなるが、その効果は限定的である。
例えば、子供がランドセルを急いで乱雑に背負ったとすると、柔らかい突出部が表生地の裏側に折れ曲がってしまい、表生地の内側の端面及び角部が露出する可能性がある。また、背負った時は大丈夫でも、遊んだり走ったりするうちに、柔らかい突出部が位置ずれしたり変形したりして、表生地の内側の端面及び角部が露出する可能性がある。したがって、この肩ひもベルトの構造は、使用者の首に表生地の内側の端面及び角部が接触するのを確実に防止するのは難しい。
また、特許文献1のランドセルの肩ひもベルトは、特定領域の内側端部だけに対策行われているが、外側端部でも同様の不具合が発生する可能性があるので、これを防止する何らかの対策を行うことが好ましい。
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、使用者が背負った時、肩ベルトが使用者の身体に接触して痛く感じる不具合を容易且つ確実に防止できる背負い鞄を提供することを目的とする。
本発明は、物品が入れられる収容部と、前記収容部の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ベルトとを備え、左右の腕を2つの前記肩ベルトの内側端部の側から各々差し込むことによって背負われる背負い鞄であって、前記肩ベルトは、所定幅の帯状に形成された特定領域を有し、使用者に背負われた時に前記特定領域の裏面が使用者の身体に当接するように取り付けられ、前記特定領域は、表面側が外に露出して前記特定領域の表面となる表生地と、前記表生地よりも柔軟な素材で成り、裏面側が外に露出して前記特定領域の裏面となる裏生地と、前記表生地及び前記裏生地で囲まれた中に配置され、裏面側が前記裏生地に対向するクッション材とを有し、前記特定領域の内側端部は、前記裏生地の内側端部が前記表生地の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに第一の糸で相互に縫い付けられ、前記裏生地の内側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なり、前記裏生地によって、前記表生地の内側の端面及び角部と、前記第一の糸の、前記表生地の裏面側に位置する部分とが覆われている背負い鞄である。さらに、前記表生地の内側端部は、前記クッション材から離れる方向に立ち上がっている構成にしてもよい。
また、前記裏生地は、前記特定領域の内側端部の側に配置される内側裏生地と、前記特定領域の外側端部の側に配置される外側裏生地とで構成され、前記特定領域の内側端部は、前記内側裏生地の内側端部が前記表生地の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに前記第一の糸で相互に縫い付けられ、前記内側裏生地の内側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なり、前記内側裏生地によって前記表生地の内側の端面及び角部と、前記第一の糸の、前記表生地の裏面側に位置する部分とが覆われ、前記特定領域の外側端部は、前記外側裏生地の外側端部が前記表生地の外側端部の表面側に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに前記第二の糸で相互に縫い付けられ、前記外側裏生地の外側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なり、前記外側裏生地によって、前記表生地の外側の端面及び角部と、前記第二の糸の、前記表生地の裏面側に位置する部分とが覆われている構成にすることが好ましい。
この場合、前記表生地の内側端部及び外側端部は、前記クッション材から離れる方向に立ち上がっている構成にしてもよい。また、前記内側裏生地の外側端部、前記外側裏生地の内側端部、前記クッション材及び前記表生地は、前記特定領域の幅方向の途中の位置で重なり、この重なった部分を貫通させて一体に縫い付けられている構成にすることができる。そして、前記クッション材は、前記内側裏生地の外側端部、前記外側裏生地の内側端部及び前記表生地と一体に縫い付けられる部分が、他の部分よりも薄く形成されていることが好ましい。あるいは、前記クッション材は、前記特定領域の内側端部の側の、前記表生地及び前記内側裏生地で囲まれた中に配置された内側クッション材と、前記特定領域の外側端部の側の、前記表生地及び前記外側裏生地で囲まれた中に配置された外側クッション材とで構成され、前記内側裏生地の外側端部、前記外側裏生地の内側端部及び前記表生地は、前記特定領域の幅方向の途中の位置で重なり、この重なった部分を貫通させて一体に縫い付けられている構成にすることができる。
また、本発明は、物品が入れられる収容部と、前記収容部の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ベルトとを備え、左右の腕を2つの前記肩ベルトの内側端部の側から各々差し込むことによって背負われる背負い鞄であって、前記肩ベルトは、所定幅の帯状に形成された特定領域を有し、使用者に背負われた時に前記特定領域の裏面が使用者の身体に当接するように取り付けられ、前記特定領域は、表面側が外に露出して前記特定領域の表面となる表生地と、前記表生地よりも柔軟な素材で成り、裏面側が外に露出して前記特定領域の裏面となる裏生地と、前記表生地及び前記裏生地で囲まれた中に配置され、裏面側が前記裏生地に対向するクッション材とを有し、前記特定領域の内側端部は、前記表生地の内側端部が前記クッション材から離れる方向に立ち上がり、前記裏生地の内側端部が前記表生地の内側端部の立ち上がっている部分に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに相互に縫い付けられ、前記裏生地の内側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なっている背負い鞄である。
前記特定領域の外側端部は、前記表生地の外側端部が前記クッション材から離れる方向に立ち上がり、前記裏生地の外側端部が前記表生地の外側端部の立ち上がっている部分に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに相互に縫い付けられている構成であることが好ましい。また、前記表生地は、生地本体と、前記生地本体の裏面側に貼着された補強用芯材とで構成されていてもよい。
本発明の背負い鞄は、独特な構造の肩ベルトを有し、硬い素材で成る表生地の端面及び角部が使用者の身体に接触しにくい構造になっている。しかも、この部分の構造は非常に安定しており、使用者が急いで背負ったり走ったりしても崩れたり変化したりしない。したがって、使用者が背負った時、肩ベルトが接触して痛みを感じる不具合を確実に防止することができ、非常に背負い心地の良い背負い鞄を提供することができる。
本発明の背負い鞄の第一の実施形態であるランドセルの外観を示す斜視図である。 図1のランドセルが有する2つの肩ベルトを、使用者の身体に当接しない表面側から見た図(a)、使用者の身体に当接する裏面側から見た図(b)である。 図2に示す肩ベルトの特定領域の内部構造を示すA−A断面図(a)、B−B断面図(b)である。 図2に示す肩ベルトの特定領域の製造方法の例を順に示す断面図(a)〜(c)である。 図2に示す肩ベルトの特定領域の変形例を示すA−A断面図(a)、他の変形例を示すA−A断面図(b)である。 本発明の背負い鞄の第二の実施形態であるランドセルが有する肩ベルトの特定領域の内部構造を示すA−A断面図(a)、B−B断面図(b)である。 図6に示す肩ベルトの特定領域の製造方法の例を順に示す断面図(a)〜(c)である。 図6に示す肩ベルトの特定領域の変形例を示すA−A断面図(a)、他の変形例を示すA−A断面図(b)である。
以下、本発明の背負い鞄の第一の実施形態について、図1〜図5に基づいて説明する。この実施形態は子供用のランドセル10であり、図1に示すように、物品を収容する略四角形の収容部12と、収容部12の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ベルト14(1),14(2)とを備えている。肩ベルト14(1)と14(2)は互いに左右対称な構造であり、長さ方向の途中の位置に、所定幅の帯状に形成された特定領域16が設けられている。
ランドセル10は、左右の腕を肩ベルト14(1),14(2)の内側端部の側から各々差し込むことによって背負われ、肩ベルト14(1),14(2)の特定領域16の裏面と収容部12の側面とが使用者の身体に当接する。
図2(a)、(b)に示すように、肩ベルト14(1),14(2)の特定領域16は、使用者の身体に沿う形状に湾曲した形状になっており、特定領域16の上端部を延長した上側部分17が折り返されてリベットで抑えられ、収容部12の上部金具12aに取り付けられる。肩ベルト14(1),14(2)の下側部分18は、厚み方向に貫通する複数のサイズ調整用孔18aが長さ方向に間隔をあけて形成され、収容部12に設けられた下部ベルト12bのバックルに取り付けられる。
ランドセル10の特徴的な部分は、肩ベルト14(1),14(2)の特定領域16の構造である。肩ベルト14(1)の特定領域16は、図3(a)に示すように、一定以上の厚みを有した比較的硬い素材で成る表生地20と、表生地20よりも柔軟な素材で成る裏生地(22a,22b)と、表生地20及び裏生地に囲まれた中に配置されたクッション材(24a,24b)とで構成されている。
表生地20は、合成樹脂または天然の皮革で成る生地本体20aの裏面に補強用芯材20bが貼着されたものであり、生地本体22aの表面が外に露出して特定領域16の表面となる。
裏生地は、特定領域16の内側端部の側に配置される内側裏生地22aと特定領域16の外側端部の側に配置される外側裏生地22bとで構成される。内側及び外側裏生地22a,22bは、表生地20に対向する面と反対側の面が裏面であり、この面が外に露出して特定領域16の裏面となる。
クッション材は、一定の緩衝性を有したスポンジ等であり、特定領域16の内側端部の側の、表生地20及び内側裏生地22aで囲まれた中に配置される内側クッション材24aと、特定領域16の外側端部の側の、表生地20及び外側裏生地22bで囲まれた中に配置される外側クッション材24bとで構成される。
肩ベルト14(1)の特定領域16を組み立てる時は、まず、図4(a)に示すように、内側裏生地22aの内側端部を生地本体20aの内側端部の表面側に重ね、この重なった部分を第一の糸である糸26で相互に縫い付ける。同様に、外側裏生地22bの外側端部を生地本体20aの外側端部の表面側に重ね、この重なった部分を第二の糸である糸28で相互に縫い付ける。その後、図4(b)に示すように、生地本体20aの裏面に補強用芯材20bを貼着して表生地20を形成し、さらに表生地20の裏面(補強用芯材20bの裏面)に、内側クッション材24a及び外側クッション材24bを貼着する。さらに、内側裏生地22a同士が折れ重なるC部を糊付けし、外側裏生地22b同士が折れ重なるD部及びE部を糊付けする。
その後、図4(c)に示すように、内側裏生地22aの内側端部以外の部分を折り返して内側クッション材24aの裏面に重ね、さらに、外側裏生地22bの外側端部以外の部分を折り返して外側クッション材24bの裏面に重ねる。そして、内側裏生地22aの外側端部、外側裏生地22bの内側端部及び表生地20を、内側クッション材24a及び外側クッション材24bの間の位置で相互に重ね、この部分を貫通させて糸30で一体に縫い付けると、図3(a)に示す組み立て状態になる。
もう一方の肩ベルト14(2)の特定領域16も、肩ベルト14(1)と同様の手順で組み立てられ、図3(b)に示す組み立て状態になる。
この組み立て状態で、特定領域16の内側端部は、内側裏生地22aの内側端部が表生地20の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分が、内側クッション材24aを貫通せずに相互に縫い付けられている。つまり、内側クッション材24aの内側端部は縫製で潰れておらず、十分な緩衝性を備えている。さらに、内側裏生地22aが折れ返って内側クッション材24aの裏面側に重なり、柔らかい内側裏生地22aが硬い表生地20の内側の端面及び角部を完全に覆っている。したがって、使用者がランドセル10を背負った時、特定領域16の内側端部が使用者の首や胸に接触しても、内側クッション材24aの緩衝性と内側裏生地22aの柔らかさにより、痛く感じることはない。
同様に、特定領域16の外側端部は、外側裏生地22bの外側端部が表生地20の外側端部の表面側に重なり、この重なった部分が、外側クッション材24bを貫通せずに相互に縫い付けられている。つまり、外側クッション材24bの外側端部は、縫製で潰されておらず、十分な緩衝性を備えている。さらに、外側裏生地22bが折れ返って外側クッション材24bの裏面側に重なり、柔らかい外側裏生地22bが硬い表生地20の外側の端面及び角部を完全に覆っている。したがって、使用者がランドセル10を背負った時、特定領域16の外側端部が使用者の肩や胸に接触しても、外側クッション材24bの緩衝性と外側裏生地22bの柔らかさにより、痛く感じることはない。
その他にも、肩ベルト14(1),14(2)は、従来の肩ベルトより優れている点がある。従来の肩ベルトの構造は、特定領域の裏面の高さが不均一になりやすく、幅方向の中央部が最も高く、内側端部と外側端部が低くなっているものが多い。そのため、使用者が背負った時、特定領域の裏面が使用者の身体に安定に当接することができず、背負い心地が悪いという指摘があった。これに対して、肩ベルト14(1),14(2)の場合、特定領域16の裏面の高さが、内側クッション材24aと外側クッション材24bが位置する2箇所で高くなるので、使用者が背負った時、特定領域16の裏面が使用者の身体に安定に当接することができ、背負い心地が良くなる。
また、従来の肩ベルトは、特定領域を縫製した糸が表面側や裏面側に露出しているものが多く、特に裏面側に露出している部分は、使用者の衣服等に擦れて劣化しやすいという指摘があった。これに対して、肩ベルト14(1),14(2)の場合、糸26,28は、特定領域16の表面側にも裏面側にも露出しないので劣化しにくい。糸30は、特定領域16の表面側と裏面側の両方に露出するが、表面側は使用者の身体に当接しないので劣化しにくく、裏面側も、2つのクッション材24a,24bの間の低い位置にあるので使用者の衣服等に擦れにくくて劣化しにくい。
以上説明したように、この実施形態のランドセル10は、独特な構造の肩ベルト14(1),14(2)を有しているので、非常に背負い心地の良いランドセルを提供することができる。実際の小学生8人に、試作したランドセル10と各自が使用しているランドセルとを比較してもらったところ、「ランドセル10の方が背負い心地が良い」との声が多く聞かれ、8人中7人が「ランドセル10が欲しい」と回答した。また、小学生の親からも「ランドセル10の肩ベルトの方が機能的に優れていると思う」というコメントが多く聞かれた。
ここで、肩ベルト14(1)の特定領域16の構造の変形例を2つ示す。図5(a)に示す特定領域16xは、特定領域16と比較すると、糸26及び糸28が特定領域16xの表面側に露出しているという違いがある。特定領域16xの構造は、特定領域16よりも組み立て作業が少し容易になる。なお、特定領域16xでは、糸26,28が表面側に露出することになるが、表面側は使用者の身体に当接しないので劣化しにくく、十分に実用性のある構造と言える。
図5(b)に示す特定領域16yは、特定領域16が有する内側及び外側クッション材24a,24bを1つのクッション材32に置き替えたものである。特定領域16は、2つのクッション材を用意して、表生地20に別々に貼着する必要があるが、特定領域16yは、クッション材の数が1つなので、構造がよりシンプルになるという利点がある。ただし、糸30の縫製はクッション材32を貫通して行うことになるので、非常に厚いクッション材32を使用すると、糸30の縫い目が綺麗になりにくい。したがって、厚いクッション材を使用する場合は、例えばクッション材34のように、糸30で縫製される部分を他の部分よりも薄くしたものを使用することが好ましい。
次に、本発明の背負い鞄の第二の実施形態について、図1及び図6〜図8に基づいて説明する。この実施形態は子供用のランドセル36であり、図1に示すように、外観はランドセル10とほぼ同じで、物品を収容する略四角形の収容部12と、収容部12の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ベルト38(1),38(2)とを備えている。肩ベルト38(1)と38(2)は互いに左右対称な構造であり、長さ方向の途中の位置に、所定幅の帯状に形成された特定領域40が設けられている。
ランドセル36は、左右の腕を肩ベルト38(1),38(2)の内側端部の側から各々差し込むことによって背負われ、肩ベルト38(1),38(2)の特定領域40の裏面と収容部12の側面とが使用者の身体に当接する。
ランドセル36の特徴的な部分は、肩ベルト38(1),38(2)の特定領域40の構造である。肩ベルト38(1)の特定領域40は、図6(a)に示すように、一定以上の厚みを有した比較的硬い素材で成る表生地42と、表生地42よりも柔軟な素材で成る裏生地44と、表生地42及び裏生地44に囲まれた中に配置されたクッション材46とで構成されている。
表生地42は、合成樹脂または天然の皮革で成る生地本体だけで構成されており、上記のような補強用芯材は設けられていない。表生地42は、外に露出している方の面が表面であり、この面が特定領域40の表面となる。
裏生地44は1枚の柔軟な生地であり、上記の内側裏生地及び外側裏生地のように分割されてはいない。裏生地44は、表生地42に対向する面と反対側の面が裏面であり、この面が外に露出して特定領域40の裏面となる。クッション材46は、略直方体に形成された1個のスポンジ等であり、上記の内側クッション材及び外側クッション材のように分割されてはいない。
肩ベルト38(1)の特定領域40を組み立てる時は、まず、図7(a)に示すように、裏生地44の内側端部を表生地42の内側端部の表面側に重ね、この重なった部分を糸48で相互に縫い付ける。そして、図7(b)に示すように、表生地40の裏面にクッション材46を貼着し、裏生地44同士が折れ重なるF部を糊付けする。
その後、図7(c)に示すように、裏生地44の内側端部以外の部分を折り返してクッション材46の裏面側に重ね、さらに、裏生地44の外側端部を、表生地40とクッション材46の各外側端部の間に差し込み、裏生地44、クッション材46及び表生地42の外側端部同士が重なる部分を貫通させて糸50で一体に縫い付けると、図6(a)に示す組み立て状態になる。
もう一方の肩ベルト38(2)の特定領域40も、肩ベルト38(1)と同様の手順で組み立てられ、図6(b)に示す組み立て状態になる。
この組み立て状態で、特定領域40の内側端部は、裏生地44の内側端部が表生地42の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分が、クッション材46を貫通せずに相互に縫い付けられている。つまり、クッション材46の内側端部は縫製で潰れておらず、十分な緩衝性を備えている。さらに、裏生地44が折れ返ってクッション材46の裏面側に重なり、柔らかい裏生地44が硬い表生地42の内側の端面及び角部を完全に覆っている。したがって、使用者がランドセル36を背負った時、特定領域40の内側端部が使用者の首や胸に接触しても、クッション材46の緩衝性と裏生地44の柔らかさにより、痛く感じることはない。
一方、特定領域40の外側端部は、裏生地44及びクッション材46の外側端部が表生地42の外側端部の裏面側に重なり、この重なった部分を貫通させて相互に縫い付けられている。つまり、クッション材46の外側端部は縫製で潰れており、緩衝性が低下している。また、硬い表生地20の外側の端面及び角部は、裏生地44に覆われずに露出している。したがって、使用者がランドセル10を背負った時、特定領域40の外側端部が使用者の肩や胸に接触すると、少し痛く感じる可能性がある。しかし、特定領域40の外側端部は、内側端部と比較して使用者の身体に接触しにくい部位なので、使用者の好みに合えば、十分に実用性のある構造と言える。
この実施形態のランドセル36は、独特な構造の肩ベルト38(1),38(2)を有しており、特許文献1のランドセルよりも背負い心地が良いランドセルを提供することができる。また、上記実施形態のランドセル10と比較すると、肩ベルトの構造がよりシンプルで組み立てやすいという特徴がある。
ここで、肩ベルト38(1)の特定領域40の構造の変形例を2つ示す。図8(a)に示す特定領域40xは、内側及び外側端部が表面側に立ち上がった形状の表生地52を有し、裏生地44の外側端部が、表生地52の外側端部の立ち上がっている部分の裏面側に重なり、この重なった部分が、クッション材46を貫通せずに糸50で相互に縫い付けられている。したがって、クッション材46の外側端部は縫製で潰れておらず、十分な緩衝性を備えている。さらに、硬い表生地52の外側の端面及び角部は、裏生地44に覆われずに露出はしているものの、使用者の身体に接触し難い場所に配置される。したがって、使用者がランドセル36を背負った時、特定領域40xの外側端部が使用者の肩や胸に接触しても、クッション材46の緩衝性と裏生地44の柔らかさにより、痛く感じることはない。また、特定領域40xの内側端部も、外側端部と左右対称な構造なので、同様の効果が得られる。
図8(b)に示す特定領域40yは、特定領域40xをさらに改良したものである。特定領域40yの外側端部は、裏生地44の外側端部と表生地52の外側端部との重なり方が変更されており、裏生地44の外側端部が表生地52の裏面から表面に跨るように折り返して重ねられ、柔らかい裏生地44が表生地52の外側の端面及び角部を完全に覆っている。したがって、硬い表生地52の外側の端面及び角部が使用者の身体に接触することを確実に防止することができる。特定領域40yの内側端部も、外側端部と左右対称な構造なので、同様の効果が得られる。
なお、本発明の背負い鞄は、上記実施形態に限定されるものではない。上記の2つの実施形態はどちらもランドセルであるが、本発明は、ランドセルとは異なる形態の背負い鞄に適用できることは言うまでもない。また、肩ベルトの特定領域の大きさは、用途に合わせて適宜設定することができ、特定領域を構成する表生地、裏生地及びクッション材の素材についても、本発明が目的とする作用効果が得られるものであれば、自由に選択し変更することができる。
10,36 ランドセル(背負い鞄)
12 収容部
14(1),14(2),38(1),38(2) 肩ベルト
16,16x,16y,40,40x,40y 特定領域
20,42,52 表生地
20a 生地本体
20b 補強用芯材
22a 内側裏生地
22b 外側裏生地
24a 内側クッション材
24b 外側クッション材
26,28,30,48,50 糸
32,34,46 クッション材
44 裏生地

Claims (10)

  1. 物品が入れられる収容部と、前記収容部の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ベルトとを備え、左右の腕を2つの前記肩ベルトの内側端部の側から各々差し込むことによって背負われる背負い鞄において、
    前記肩ベルトは、所定幅の帯状に形成された特定領域を有し、使用者に背負われた時に前記特定領域の裏面が使用者の身体に当接するように取り付けられ、
    前記特定領域は、表面側が外に露出して前記特定領域の表面となる表生地と、前記表生地よりも柔軟な素材で成り、裏面側が外に露出して前記特定領域の裏面となる裏生地と、前記表生地及び前記裏生地で囲まれた中に配置され、裏面側が前記裏生地に対向するクッション材とを有し、
    前記特定領域の内側端部は、前記裏生地の内側端部が前記表生地の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに第一の糸で相互に縫い付けられ、前記裏生地の内側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なり、前記裏生地によって、前記表生地の内側の端面及び角部と、前記第一の糸の、前記表生地の裏面側に位置する部分とが覆われていることを特徴とする背負い鞄。
  2. 前記表生地の内側端部が、前記クッション材から離れる方向に立ち上がっている請求項1記載の背負い鞄。
  3. 前記裏生地は、前記特定領域の内側端部の側に配置される内側裏生地と、前記特定領域の外側端部の側に配置される外側裏生地とで構成され、
    前記特定領域の内側端部は、前記内側裏生地の内側端部が前記表生地の内側端部の表面側に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに前記第一の糸で相互に縫い付けられ、前記内側裏生地の内側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なり、前記内側裏生地によって前記表生地の内側の端面及び角部と、前記第一の糸の、前記表生地の裏面側に位置する部分とが覆われ、
    前記特定領域の外側端部は、前記外側裏生地の外側端部が前記表生地の外側端部の表面側に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに第二の糸で相互に縫い付けられ、前記外側裏生地の外側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なり、前記外側裏生地によって前記表生地の外側の端面及び角部と、前記第二の糸の、前記表生地の裏面側に位置する部分とが覆われている請求項1記載の背負い鞄。
  4. 前記表生地の内側端部及び外側端部が、前記クッション材から離れる方向に立ち上がっている請求項3記載の背負い鞄。
  5. 前記内側裏生地の外側端部、前記外側裏生地の内側端部、前記クッション材及び前記表生地は、前記特定領域の幅方向の途中の位置で重なり、この重なった部分を貫通させて一体に縫い付けられている請求項3又は4記載の背負い鞄。
  6. 前記クッション材は、前記内側裏生地の外側端部、前記外側裏生地の内側端部及び前記表生地と一体に縫い付けられる部分が、他の部分よりも薄く形成されている請求項5記載の背負い鞄。
  7. 前記クッション材は、前記特定領域の内側端部の側の、前記表生地及び前記内側裏生地で囲まれた中に配置された内側クッション材と、前記特定領域の外側端部の側の、前記表生地及び前記外側裏生地で囲まれた中に配置された外側クッション材とで構成され、
    前記内側裏生地の外側端部、前記外側裏生地の内側端部及び前記表生地は、前記特定領域の幅方向の途中の位置で重なり、この重なった部分を貫通させて一体に縫い付けられている請求項3又は4記載の背負い鞄。
  8. 物品が入れられる収容部と、前記収容部の側面に左右一対に取り付けられた2つの肩ベルトとを備え、左右の腕を2つの前記肩ベルトの内側端部の側から各々差し込むことによって背負われる背負い鞄において、
    前記肩ベルトは、所定幅の帯状に形成された特定領域を有し、使用者に背負われた時に前記特定領域の裏面が使用者の身体に当接するように取り付けられ、
    前記特定領域は、表面側が外に露出して前記特定領域の表面となる表生地と、前記表生地よりも柔軟な素材で成り、裏面側が外に露出して前記特定領域の裏面となる裏生地と、前記表生地及び前記裏生地で囲まれた中に配置され、裏面側が前記裏生地に対向するクッション材とを有し、
    前記特定領域の内側端部は、前記表生地の内側端部が前記クッション材から離れる方向に立ち上がり、前記裏生地の内側端部が前記表生地の内側端部の立ち上がっている部分に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに相互に縫い付けられ、前記裏生地の内側端部以外の部分が折れ返って前記クッション材の裏面側に重なっていることを特徴とする背負い鞄。
  9. 前記特定領域の外側端部は、前記表生地の外側端部が前記クッション材から離れる方向に立ち上がり、前記裏生地の外側端部が前記表生地の外側端部の立ち上がっている部分に重なり、この重なった部分が前記クッション材を貫通せずに相互に縫い付けられている請求項8記載の背負い鞄。
  10. 前記表生地は、生地本体と、前記生地本体の裏面側に貼着された補強用芯材とで構成されている請求項1乃至9のいずれか記載の背負い鞄。
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