以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1に係るバスト引き寄せ力を有するトップとしてのブラジャーを示す構成図である。尚、図1は着用前のブラジャーの形状を示したものである。
このブラジャー1は、図1に示すように、女性のバストをそれぞれ覆う膨出部としての左右のバストカップ部2,3と、これら左右のバストカップ部2,3を保持するとともに、当該左右のバストカップ部2,3の人体中央部から体側部側に亙り配設されるフロント構成部としてのフロントパネル4と、フロントパネル4の体側部側に配設される体側構成部としてのサイドパネル5,6と、サイドパネル5,6の背面側に配設されるバック構成部としてのバックパネル7,8とを備えている。なお、サイドパネル5,6は、体側構成部を構成する部材としての体側構成部材でもある。フロントパネル4は、左右のバストカップ部2,3の下部に位置するように、着用前の状態で胸部周り方向に沿った長さ(幅)L1に亙り設けられている。
また、左右のバストカップ部2,3は、可能な限り隣接する距離が実質的に略ゼロとなるよう人体の中央部側の位置が互いに接触又は近接した状態で配設される。図1中、略V字形状の線は、後述するように、伸縮性素材からなるフロントパネル4が収縮した状態にあるため、当該フロントパネル4と接合される左右のバストカップ部2,3の端縁に生じる“しわ”を示している。この“しわ”は、当然のことながら、ブラジャー1の着用時にフロントパネル4が伸張することで解消される。
なお、フロントパネル4、サイドパネル5,6及びバックパネル7,8は、例えば、縫着等の手段によって互いに接合されるが、これに限定されるものではなく、フロントパネル4、サイドパネル5,6及びバックパネル7,8を表面側素材(表面側構成部材)と裏面側素材(裏面側構成部材)とからなる二重構造とし、フロントパネル4、サイドパネル5,6及びバックパネル7,8の表面側素材を一体的に形成するとともに、これらフロントパネル4、サイドパネル5,6及びバックパネル7,8の裏面側素材を個別に構成するか、或いはサイドパネル5,6とバックパネル7,8を一体的に構成しても良い。
また、上記左右のバストカップ部2,3の上端部から人体の背面に位置するバックパネル7,8に亙り、人体の肩に掛けて着用するストラップ9,10が設けられている。なお、ブラジャー1は、ストラップ9,10を備えない所謂ストラップレスタイプのものであっても良い。
この実施の形態に係るブラジャー1は、左右のバックパネル7,8の背面側の端部に、フックやアイ等の図示しない連結具が、縫着や接着等の手段によって取り付けられており、これらのフックやアイ等の図示しない連結具を介して着脱するよう構成されている。
この実施の形態において、左右のバストカップ部2,3の構成は任意であり、特に限定されるものではないが、左右のバストカップ部2,3は、例えば、女性のバスト形状に対応した三次元形状にモールド成型等によって形成するのが望ましい。また、左右のバストカップ部2,3の構成は、女性の左右のバストをそれぞれ被覆可能なものであれば良く、例えば、モールド成型されたバストパッドを有するパディッドタイプや、バストサイドを押さえる補正パネルや裏当て等を備えた複合構成からなるものなどであっても良い。
ところで、この実施の形態では、女性のバストをそれぞれ覆う左右のバストカップ部と、前記左右のバストカップ部を保持するフロント構成部と、前記フロント構成部の体側部側に配設される体側構成部と、前記体側構成部の背面側に配設されるバック構成部とを備えたバスト引き寄せ力を有するトップにおいて、前記フロント構成部及び前記バック構成部を150%以上の伸張率を有する伸縮性素材から構成すると共に、前記フロント構成部を伸張させた状態で前記左右のバストカップ部が前記女性のバストをそれぞれ覆うように構成し、前記トップの着用時に前記バック構成部が伸張したときの相互収縮力に対し、前記フロント構成部の相互収縮力が10%以上大きく、且つ前記バック構成部の収縮長に対し、前記フロント構成部の収縮長が30%以上大きくなるよう設定したものである。
更に、この実施の形態では、例えば、前記フロント構成部、体側構成部及びバック構成部を150%以上の伸張率を有する伸縮性素材から構成し、且つ、前記バック構成部を125%伸張させたときの収縮力に対し、前記フロント構成部を180%以上伸張させた場合の収縮力が10%以上大きくなるよう前記フロント構成部を構成したものである。
図2はブラジャーの着用時における人体の胸部周り方向の各領域を示す模式図である。
ブラジャー1は、図2に示すように、人体の胸部周り方向において前面側に位置するフロント領域と、フロント領域の体側部側に位置する左右の体側領域と、人体の背面側に位置するバック領域とに大別される。また、フロント領域は、左右のバストカップ部2,3からなるバストカップ領域を含んでいる。ここで、人体のフロント領域はフロントパネル4によって、体側領域は左右のサイドパネル5,6によって、バック領域は左右のバックパネル7,8によってそれぞれ構成されている。
左右のバストカップ領域は、ブラジャー1の着用時に、左右のバストカップ部2,3を保持したフロントパネル4が人体の胸部周り方向に沿って伸張する。
図3(a)は、本実施の形態に係る製品のフロント姿図、同図(b)は、フロントパネル4を後述するようにテープ体によって84%に圧縮した製品のフロント姿図、同図(c)は、テープ体に加えてセンター部の圧縮率を77%と高く設定した製品のフロント姿図をそれぞれ示すものである。
このとき、フロントパネル4は、図3(b)に示すように、人体の胸部周り方向に沿って一様に伸張(収縮)するように構成しても良いが、左右のバストの引き寄せ効果を考慮すると、図2及び図3(c)に示すように、左右のバストトップ部間の伸張率が約80%を占め、左右のバストトップ部より体側部側に位置するバストサイド領域の伸張率がそれぞれ約10%を占めるように構成するのが望ましい。
更に説明すると、この実施の形態では、フロントパネル4の人体の胸部周り方向に沿った伸張量(伸張率)を均一に設定するのではなく、図2及び図3(c)に示すように、当該フロントパネル4の伸張量をバストサイド側を少なく設定し、且つセンター部に大半を集中させるように構成したものである。
また、この実施の形態では、図2に示すように、バストサイドのバスト基底部において人体の中央部に向けて移動が可能な2cm前後、最低でも1cm程度の領域を体側部とし、当該領域を左右のサイドパネル5,6に含めている。
ところで、従来のブラジャー1は、図4(A)に模式的に示すように、アンダーバスト(UB)のサイズが70cm、Aカップの女性を前提(標準人体)とした場合、着用時、例えば、左右のバックパネル7,8がそれぞれ約14cmに伸張した状態にあり、サイドパネルが約7cm、フロントパネルが約12cm、センターパネルが約2cmとなるよう設定される。
なお、数値は、標準体における中でのあくまで一例を示すものであり、許容幅を有するものである。
これに対して、本実施の形態のブラジャー1は、図4(B)(C)に示すように、着用時、例えば、左右のバックパネル7,8がそれぞれ約14cmに伸張した状態にあり、サイドパネルが約8cmであり、フロントパネルが約13cmに伸張した状態となるよう設定される。なお、本実施の形態のブラジャー1は、センターパネルを備えていない。
このブラジャー1では、左右のバックパネル7,8の伸張前の長さが11cm前後(例えば、11.2cm程度)、左右のバックパネル7,8の伸張長が、それぞれ3cm前後(例えば、2.8cm程度)(=14−11.2)となるよう設定されている。そのため、左右のバックパネル7,8の伸張率は、(14/11.2)×100=約125%である。ただし、左右のバックパネル7,8の伸張量及び伸張率は、上記の値に限定されるものではなく、例えば、左右のバックパネル7,8の伸張長が約3.5cm(=14−10.5)となるよう設定しても良い。この場合、左右のバックパネル7,8の伸張率は、(14/10.5)×100≒133%程度となる。
これに対して、上記ブラジャー1のフロント領域は、着用時、左右のバストカップ部2,3の底辺に位置するフロントパネル4の寸法がそれぞれ約13cmに伸張した状態となり、着用前のフロトパネル4の長さは7cm前後(例えば、7.2cm程度)に設定される。そのため、フロントパネル4は、(13/7.2)×100≒約180%程度伸張された状態で着用される。ただし、フロントパネル4の伸張長及び伸張率は、上記の値に限定されるものではなく、例えば、着用前のフロトパネル4の長さを約6cm、フロントパネル4の伸張長を約6〜7cmとなるよう設定しても良い。この場合、フロントパネル4の伸張率は、(13/6)×100≒217%〜(13/7)×100≒186%程度となる。なお、フロントパネル4を構成する伸縮性素材としては、例えば、200%程度の伸張率を有するものが用いられる。
そこで、この実施の形態では、着用時、125〜130%程度に伸張された左右のバックパネル7,8の相互収縮力に対して、少なくとも拮抗するだけの前側引き寄せ力をフロントパネル4によって作用させるよう構成されている。
具体的には、この実施の形態に係るブラジャー1では、図4(B)(C)に示すように、左右のバストカップ部2,3間にセンターパネルを設けず中心寸法をゼロに設定するとともに、左右のバストカップ部2,3の底辺に位置するフロントパネル4を、同図に示す伸張量(例えば6〜7cm程度)を圧縮した寸法に設定し、その上にバスト基底が約180%圧縮された状態でU字形状に湾曲した左右のバストカップ部2,3を連接するように構成している。
また、左右のサイドパネル5,6の伸張率は、0〜10%程度に設定される。この実施の形態では、例えば、左右のサイドパネル5,6の伸張率が0%(非伸縮性)に設定されている。
なお、図4において、符号Xは、後述するように、サイドパネル5,6と一体化されるフロントパネル4の左右のバストサイドの領域を示し、サイドパネル5,6は、当該フロントパネル4の左右のバストサイド領域を含む機能体側部領域として構成されている。
更に説明すると、この実施の形態に係るブラジャー1は、図4(B)(C)に示すように、アンダーバスト(UB)のサイズが70cm、Aカップの女性を前提とした場合、ブラジャー1を装着したときの理想的なバランスとして、例えば、フロントパネル4からなるフロント領域が13cm、サイドパネル5,6からなる体側部領域が8cm、バックパネル7、8からなるバック領域が14cmとなるようにそれぞれ設定されている。尚、これらの数値は、着用時(伸張状態)における左右片側の値を示している。また、図4では、便宜上、片側のフロントパネル4のみを図示しているが、左右に位置するフロントパネル4は、一体に形成されるものである。
上記の如く圧縮して形成されたフロントパネル4と左右のバストカップ部2,3との縫着等による接合は、例えば、次のように行われる。
この実施の形態に係るブラジャー1は、フロントパネル4が所定の伸張率である例えば180%伸張したときに、左右のバストカップ部2,3が人体に最もフィットするように構成される。このとき、左右のバストカップ部2,3を構成するバスト構成体及び当該バストカップ部2,3の構造が非伸縮性の場合と、フロントパネル4と同様に伸縮性を有する場合とでは、フロントパネル4と左右のバストカップ部2,3相互間の接続方法が異なる。原則的には、バストカップ部2,3の法面方向(高さ方向)は、着用時のバスト重量を支持し引き上げ作用に伴う法面部と、フロントパネル4の法面方向における伸張度の相 違による“しわ”の発生を考慮する必要がある。
一方、人体の胸部周り方向におけるバストカップ部2,3とフロントパネル4との関係は、バストカップ部2,3の伸張性に関係なく、仮に伸張率がフロントパネル4と同一の素材であっても、バスト形状を保持するためには、三次元的な設計に基づいて伸張率の差異を考慮したものであることが望ましい。
かかる前提の上で、バストカップ部2,3の引き寄せ力を形成する180%程度の伸張率を有するフロントパネル4の縫着は、手作業で行う場合には、バストカップ部2,3の基底縁部を安定した状態に保持しつつ縫い縮みが生じないように、180%伸張時にバストカップ部2,3が立体的に人体にフィットすることを前提に、当該フロントパネル4を限りなく200%に近く引き伸ばしつつ、且つフロントパネル4の7割方をバストカップ部2,3の領域内に縫い止めする。
その際、フロントパネル4を200%に近く引き伸ばしつつバストカップ部2,3に縫い止めるには、例えば、縫着するフロントパネル4と左右のバストカップ部2,3との相互(内側をバストカップ部、外側をフロントパネルとする)の送りピッチが異なる(左右のバストカップ部2,3側が速くなる)差動送り装置付のミシンを使用するか、又はフロントパネル4に経時的に抵抗を与え送り速度を遅くする補助装置等を使用することが望ましい。
この実施の形態では、フロントパネル4及びバックパネル7,8がそれぞれ150%以上の伸張率を有する伸縮性素材から構成されている。フロントパネル4は、上述したように、例えば200%以上の伸張率を有する伸縮性素材から構成される。上記フロントパネル4及びバックパネル7,8は、例えば、280〜420dの太さを有するポリウレタン製の弾性繊維(弾性糸)であるスパンデックス(spandex)からなる編み地やスパンデックスを含む複合糸からなる編み地等によって構成され、150%以上の伸張率を有している。また、上記バックパネル7,8は、着用時の伸張率が、例えば、125〜130%程度となるよう設定されている。ここで、バックパネル7,8の伸張時の長さを約14cmとした場合、図4に示すように、着用前の長さは11cm前後に設定される。高い伸張性を有するスパンデックスからなる編み地やスパンデックスを含む複合糸からなる編み地等は、一定の伸張力における伸張率(量)の領域が大きいため、スパンデックスを採用することにより、フロントパネル4の伸張率を拡大することが可能となる反面、高い締め付け感を要求する着用者には、135%程度の相対的に高い伸張率に設定することが好ましい。
この実施の形態に係るブラジャー1は、アンダーバスト(UB)が70cm、Aカップの女性の場合、図5に示すように、フロントパネル4の人体の胸部周りを形成する製品の長さL2は、人体のバストカップ領域の長さである例えば260mmへと伸張した状態で着用される。これに対して、本発明における実施形態1の最もバスト引き寄せ力を持った製品は、図1に示すように、着用前の状態で、当該バストカップ領域の長さL1が120mm程度と大幅に短く圧縮(収縮)した状態で形成される。
ここで、JISに規定されたアンダーバスト(UB)及びカップ形状における左右のバストカップ部の両端部間の人体胸部周り方向に沿った長さを、人体標準のフロント寸法という。
また、上記ブラジャー1は、フロントパネル4を180%程度伸張したときの相互収縮力が、バックパネル7,8を125%程度伸張したとき(着用時)の収縮力に対して、10%以上大きく、且つバックパネル7、8の収縮長に対し、フロントパネル4の収縮長が30%以上大きくなるよう設定されている。フロントパネル4を180%程度伸張したときの相互収縮力が、バックパネル7,8を125%程度伸張したとき(着用時)の収縮力に対して10%未満である場合は、フロントパネル4の相互収縮力による左右のバストカップ部2,3の引き寄せ力を十分得ることが困難となる。またバックパネル7,8の収縮長に対してフロントパネル4の収縮長が30%未満である場合は、やはり、フロントパネル4の構成にもよるが、フロントパネル4の相互収縮力による左右のバストカップ部2,3の引き寄せ力を十分得ることが困難となる。
この実施の形態では、図6(a)に示すように、フロントパネル4の人体胸部周り方向の長さを28cmとした場合、当該フロントパネル4が180%伸張したときに人体胸部周り方向の長さ28cmとなるためには、フロントパネル4自体の長さは、約15.5cm(=28/1.8)に設定され基本的能力が必達されるが、図6(b)に示すように、フロントパネル4には、テープ体を伸張させた状態で接着又は縫着することによって得られる製品寸法13cmとする84%(=(13/15.5)×100)まで圧縮することによって更なる能力向上が図られる。
したがって、この実施の形態では、図4に示すように、バックパネル7,8の収縮長を2.8cmとした場合、フロントパネル4の収縮長が6〜7cmに設定されており、バックパネル7,8の収縮長に対するフロントパネル4の収縮長は、(6/2.8)×100=215%レベルの収縮長の創設を図るものである。
フロントパネル4の圧縮率は、種々の方法によって所望の値に設定することが可能である。
第一に、フロントパネル4を200%以上の伸張率を有する身生地によって構成し、図6(a)に示すように、ブラジャー1の着用時におけるフロントパネル4の人体胸部周り方向の長さを28cm、フロントパネル4の伸張率を180%とすると、フロントパネル4の製品寸法は、15.5cm(=28/1.8)となる。
なお、ここでは伸張率に基づいて収縮前後の寸法について説明する関係上、記載する数値が1cm未満の数値を含むものとなっているが、人体の寸法は個人差を有しており、機械的に「何ミリ」との数値で限定されるものでないことは勿論である。
このとき、フロントパネル4は人体の胸部周り方向に沿って均一に伸張し、センター領域の長さが約16cm、サイド領域の長さがそれぞれ約6cmとなり、センター領域が約57.2%を占め、サイド領域がそれぞれ約21.4%を占める。
フロントパネル4の伸張率を180%とすると、フロントパネル4のセンター領域が占める長さは約8.9cm(=15.5×0.572)となり、サイド領域が占める長さは約3.3cm(=15.5×0.214)となる。フロントパネル4としては、一枚構成、二枚構成、袋構成、複数枚構成等の種々の構成を採用することができる。
第二に、フロントパネル4のエッジ部にラテックスやスパンデックス等の伸張率及び伸張力が共にフロントパネル4の素材より勝るポリマーによる糸体を編み込み又はポリマーをコーティングすることにより構成することができる。
第三に、上述した第一のフロントパネル4のみに弾性を有する合成樹脂又はラテックスからなるテープ体を接着又は縫い止めることによって構成することが可能である。
第四に、上述した第三のテープ体を伸張させた状態で接着又は縫い止めることによってフロントパネル4の伸張率を更に高く設定することができる。
この場合、図6(b)に示すように、フロントパネル4にテープ体を伸張させた状態で接着又は縫い止めることによって、例えば、フロントパネル4の人体胸部周り方向に沿った長さが約13cmとなるように84%(15.5×0.84=13)圧縮して構成することが可能となる。その際、フロントパネル4のセンター領域の長さは約7.4cmとなり、サイド領域の長さはそれぞれ約2.8cmとなる。
第五に、フロントパネル4の人体胸部周り方向に沿った伸張率を均一ではなく、図6(c)に示すように、例えば、センター領域の伸張率が80%を占め、サイド領域の伸張率がそれぞれ10%を占めるよう設定することができる。フロントパネル4は、上述した第一の場合に比較して77%に圧縮した状態で形成されており、フロントパネル4の製品寸法は、約12cm(=15.5×0.77)となる。
このとき、フロントパネル4の収縮長は、上述した第一の場合に比較して約3.5cm(=15.5−12)となる。このフロントパネル4の収縮長のうち、センター領域の割合が80%、サイド領域がそれぞれ10%とすると、フロントパネル4のセンター領域の収縮長は、約2.80cm(=3.5×0.8)、サイド領域の収縮長は約0.35cm(=3.5×0.1)となる。その結果、フロントパネル4のセンター領域の伸張前の長さは、約6.1cm(=8.9−2.8)となり、サイド領域の伸張前の長さはそれぞれ約2.95cm(=3.3−0.35)に設定される。
この実施の形態では、フロントパネル4の伸張率を高く設定し、且つバストを中央部に寄せる効果を高めるため、上述した第五の構成を採用している。
なお、本フロントデザインは、製品生産効率面から図6(a)及び図6(b)に示すようにフロント全体を、均質的圧縮状態とさせることがベターであるが、図6(c)に示すように、当該圧縮を否均質的にセンター部に集中させ、よりセンター部の伸張長を高く設定することは最も好ましいことである。この場合には、左右のバストを人体の中央部に寄せる効果を更に高めることが可能となる。
また、上述したフロントパネル4の収縮長は現状の素材における可能性の最大値としての一例であり、本実施の形態では、フロントパネル4の収縮長として70%程度のレベル(8〜9cmの圧縮)にまで及びものである。
通常、フロントパネル4を構成するラッセル編み、トリコット編み、又は丸編み等の布幅がある身生地は、伸張率、伸張力とも原則として一定していることから、上述した伸張率の関係を満たし、バックパネル7,8より相互収縮力を10%以上大きくするためには、これを補うことのできるポリマーによる糸体を編み込むか又はポリマーをコーティングするか、或いはテープ体を使用することが望ましい。
フロントパネル4やバックパネル7,8の相互収縮力は、同じ太さの繊維を使用して構成した場合であっても、編み機による編み組織や仕上げ方法の違いにより大きく異なる。
この実施の形態1では、一例として、ブラジャー1の着用時に、バックパネル7,8が伸張したときの相互収縮力が例えば750〜800gf程度であるときに、フロントパネル4の相互収縮力が10%以上大きい800〜900gf程度となるよう設定されている。
そのため、フロントパネル4は、例えば、上記の条件を満たす伸縮性素材11そのものから構成される。また、フロントパネル4は、必要に応じて、図7及び図8に示すように、上述したバスト引き寄せ力を作用させるため、180%以上の伸張率を有する伸縮性素材11をその下端部で折り返した表裏二重構造を備えるように構成される。さらに、この表裏二重構造を有するフロントパネル4には、スパンデックスに準ずるポリウレタン製の弾性樹脂であるモノ状態のテープ体12、又はラテックス製のモノ状態のテープ体を、伸張長を高めるために伸張長がバックパネル7,8に対して30%以上大きくなるよう伸張させた状態で、当該フロントパネル4の二重折り返し部の下端部に、接着(サンドイッチ状態または裏面側の内面のみにコーティングすることでも良い)するか、或いはフロントパネル4の裏面側の内面に粒子状の接着用樹脂をホットメルト加工(熱接着)するか縫着することにより、上記テープ体12を伸張した状態で仮止めした上、当該テープ体12をフロントパネル4の二重折り返し部の下端部にサンドイッチ状態で張り合わせることによって構成されている。
上記テープ体12としては、スパンデックスに準ずるポリウレタン製の弾性を有する合成樹脂からなり、高い伸縮性を有するシート状に形成したものが用いられる。このテープ体は、原則として、原糸メーカーが提供するスパンデックスのテープ体であり、日清紡ケミカル社製「モビロンテープ(引張伸度400%以上)」などが使用されている。
また、体側構成部は、他の構成部に比較して最も伸張率が低く且つ最も伸張力が大きく設定されている。
この実施の形態では、図4に示すように、サイドパネル5,6が、他の構成部に比較して最も伸張率が低く且つ最も伸張力が大きく設定されている。その結果、サイドパネル5,6は、フロントパネル4及び左右のバックパネル7,8に対して最も伸張し難く、望ましくは非伸張性となるよう構成される。
サイドパネル4,5は、図2に示すように、フロントパネル4と左右のバックパネル7,8との間に位置し、人体の胸部周り方向においてその位置がほぼ固定されたものであることが望ましい。そのため、サイドパネル5,6を、他の構成部に比較して最も伸張率が低く且つ最も伸張力が大きく設定することで、サイドパネル5,6が不本意に伸張されて、着用時に、人体の胸部周り方向に沿ってその位置が人体前後にズレルことを抑制することができ、フロントパネル4等の伸張率を相対的に高く設定した場合でも、ブラジャー1を安定して装着することが可能となる。
なお、サイドパネル5,6を表面体側部構成部材と裏面体側部構成部材とから二重に構成し、裏面体側部構成部材を、他の構成部に比較して最も伸張率が低く且つ最も伸張力が大きく設定することで、フロントパネル4及び左右のバックパネル7,8の伸張に伴う収縮力を他方の部材に対して直接伝達することができるように構成しても良い。
更に説明すると、サイドパネル5,6を非伸縮性の構成とすることで、当該サイドパネル5,6の前後に位置するフロントパネル4及びバックパネル7,8が伸張拡大することによって非伸縮部であるサイドパネル5,6が相対的に縮小化されていく作用が、ブラジャー1の体側部を支持し、バスト自体を人体中心上部に移動を図る能力及びバストを引き寄せる力を補うこととなり、フロントパネル4を以て左右のサイドパネル5,6を分離させることなく、左右のバストカップ部2,3との連帯化を図ることが可能となる。
ブラジャー1の体側部は、図5に破線で示すように、現行のバストカップ部2,3に対して間隙を介して離間して配置される体側部構成61をデザイン的体側部とし、本発明の実施形態における体側部とは、少なくともデザイン的体側部にフロントパネル4のバスト補正機能を果たす体側部側領域を含めた体側部である実質的体側部62と、バストカップ部2,3との連動性をデザインすると共に、更にバストカップ部2,3との一体性をデザインした体側部である機能的体側部63と、更にバストカップ部2,3の使命であるバストを支える機能形成を有機的にデザインする体側部である拡張的体側部64とに区分して対応するものである。
更に説明すると、この実施の形態に係るブラジャー1の体側部は、図9(a)〜(c)に示すように、斜線を施した領域であり、図9(a)は上述した実態的体側部62を示すものである。この実態的体側部62は、現行の商品が破線で示す領域までフロントパネルが配置され、当該フロントパネルより背面側に体側部が位置するのに対して、当該体側部よりもバストカップ部2,3に接した領域まで体側部を延長して形成したものである。また、同図中に斜線で示すように、バストカップ部2,3の体側部側の領域にまで体側部を拡張しても良い。
同図(b)は上述した体側部区分のうち機能的体側部63を示すものである。この機能的体側部63は、上述した実態的体側部62に対して、バストカップサイド領域の略二分の一の範囲を以て体側部とするものであるが、この場合、バストカップ体側部を以てバストカップ部と体側部とを分離することは、バストシルエットに抵抗を与えることから、裏当て構成部はバストカップ体側部と一体化することが好ましい。この場合、フロントパネル4をバストサイドの二分の一を超えて短く設定することは好ましくない。
同図(c)は上述した体側部区分のうち拡張的体側部64を示すものである。バストカップ部2,3への拡張領域はデザイン的に自由であるが、上記図(b)と同様にフロント領域をバストサイド領域の約二分の一の範囲を超えてフロントパネルを短くすることは望ましくなく、且つ当該分割線を身頃体イコールバストカップの分割線とすることはバストカップシルエットを阻害しないために裏構成のみとすることが好ましい。
上述したように、ブラジャー1を少なくとも表面側構成部材と裏面側構成部材を有する2枚以上の構成とした場合、表面側構成部材は、図5に示すように、デザイン的体側部61として構成し、裏面側構成部材を各部位に個別に構成して体側部構成部を独立させた場合、表面側構成部材は現行の商品デザインでもよい。ただし、ブラジャー1を生産する上での効率的観点からすれば、フロントパネル4とサイドパネル5,6との分割線を表裏一体とすることが好ましい。
上記バスト引き寄せ力を有するトップとしてのブラジャー1は、次の基本の上に形成され、本実施形態はその基本部分を分割形成するものである。
すなわち、トップとしてのブラジャー1は、一枚一重構成、一枚一重構成の表面側又は裏面側に機能成形編みかなる一枚一重構成を配置した二重構成、一枚一重構成の表面側又は裏面側の少なくとも一方に複合部材を重ね合わせた複合構成、一枚二重構成の表面側又は裏面側の少なくとも一方に複合部材を重ね合わせた複合構成のいずれかとして構成される。
基本スタイルから分類すると、イ)全部位をパーツ化したカットアンドソーイングスタイル、ロ)バストカップとフロントを一体成型化+その他カットアンドソーイングスタイル、ハ)上記バスト一体化フロントにサイドパネルを一体成型化+カットアンドソーイングスタイル、ニ)全部位を一体成型化したスタイル(後述する実施形態6、7に相当)がある。
更に、本機能デザインとしては、イ)スタンダード構成デザイン(実施形態1、2)、ロ)センターエラスティック構成デザイン(実施形態3)、ハ)フロントセンター圧縮構成デザイン(実施形態4)、ニ)フロント交差構成デザイン(実施形態4)、ホ)三次元機能構成デザイン(実施形態6、7)、へ)その他デザイン(実施形態5)などがある。
更に、三つのスタイルを形成する素材構成としては、上記基本スタイルのイ)を前提とする部位別伸張率を持った素材の一重構成又は部分的補正素材をプラスする二重構成(バストカップやサイドパネル)、ロ)上記基本スタイルのイ)ロ)ハ)をベースに装飾性を高める編みレース(フロント伸張率を妨げない)等の二重構成又は部分的三重構成(バストカップやサイドパネル)、ハ)上記基本スタイルのイ)ロ)ハ)をベースとするフロント袋折二重構成をベースにルックスを統一する二重又は三重構成、ニ)本基本能力を助長させる裏当て構成による二重又は三重等の複合構成に加え、成形編み、並びに樹脂コーティングや成型圧縮等によるテクニック等がある。
尚、上記パーツ又は成型は原則として三次元設計を前提とするものである。
更に説明すると、一枚構成のブラジャー1としては、例えば、左右のバストカップ部2,3を女性のバスト形状を人体の中央上部に移動させる三次元形状に形成したモールド成型(フルモールド)したモールド成型品、或いは成形編みにより三次元形状に形成した成形編品からなるものが用いられる。このモールド成型品又は成形編品からなるブラジャー1は、フロントパネル4、左右のサイドパネル5,6及び左右のバックパネル7,8が上述した伸張率の関係を満たすように構成される。
また、二重構成のブラジャー1としては、表面側構成部材及び裏面側構成部材からなり、これら表面側構成部材又は裏面側構成部材を構成する素材そのものが、フロントパネル4、左右のサイドパネル5,6及び左右のバックパネル7,8の上述した伸張率の関係を満たすように構成される。或いは、二重構成のブラジャー1としては、表面側構成部材又は裏面側構成部材のいずれかに弾性を有する合成樹脂を塗布するか又は部分的に圧縮率の異なるプレス成型を施すことによって、フロントパネル4、左右のサイドパネル5,6及び左右のバックパネル7,8の上述した伸張率の関係を満たすように構成される。
さらに、上記左右のバストカップ部2,3の少なくとも一部は、複数の二次元形状パネルを接合することにより構成しても良い。更に説明すると、左右のバストカップ部2,3は、図10に示すように、上カップパネル2a,3aと下カップパネル2b,3bを互いに縫着等の手段で接合することにより形成される。また、左右のバストカップ部2,3は、フロントパネル4と互いに接合される。その際、左右のバストカップ部2,3とフロントパネル4とのバスト基底部70に対応する部位に、図11に示すよう、左右のバストカップ部2、3の内周側及び図示しないフロントパネルの外周側に略三日月形状の切欠部71を設け、この切欠部71を除いた対向する端縁同士を接合することによって、左右のバストカップ部2,3を人体の胸部湾曲形状に沿った三次元形状に形成することが可能となる。なお、複数の二次元形状パネルを接合する手段としては、カット&ソーイング、樹脂接着、熱接着等の手段を採用することができる。
以上の構成において、この実施の形態に係るバスト引き寄せ力を有するトップの場合には、次のようにして、フロント構成部を形成する素材の伸張率を工夫、設計することにより、十分なバスト引き寄せ力を得ることが可能なバスト引き寄せ力を持ったトップを提供することが可能となっている。
すなわち、この実施の形態に係るブラジャー1は、図5に示すように、アンダーバスト(UB)が70cm、Aカップの女性の場合を例に説明すると、フロントパネル4のバストカップ領域を人体の胸部周り方向に沿った長さL2が約260mmとなるように180%程度伸張させた状態で着用される。また、上記ブラジャー1のバックパネル7,8は、125〜130%程度の伸張率となるよう伸張させた状態で着用される。
このとき、上記フロントパネル4を180%程度伸張したときの収縮力は、左右のバックパネル7,8を125%程度伸張したときの合計した収縮力に対して、10%以上大きくなるよう設定されている。
その結果、この実施の形態に係るブラジャー1では、着用時、フロントパネル4にバックパネル7,8の収縮力を10%以上上回る収縮力が作用することとなる。そのため、ブラジャー1のフロントパネル4は、着用時にバックパネル7,8によって左右のバストカップ部2,3を人体の背面側に向けて引っ張る力として作用する収縮力に拮抗或いは上回る相互収縮力が作用し、左右のバストカップ部2,3をバックパネル7,8の収縮力を10%程度上回る相互収縮力を以て人体の中央部側に引き寄せることが可能となる。
また、バックパネル7,8の収縮長に対してフロントパネル4の収縮長が30%以上大きく設定されているため、フロントパネル4の相対的に大きな収縮長に基づいて、左右のバストカップ部2,3を引き寄せる力を作用させることができるとともに、フロントパネル4の単位長さ当たりの収縮力が過大となることを回避することができ、着用感を向上させることが可能となる。
したがって、この実施の形態に係るブラジャー1によれば、フロントパネル4を構成する素材の伸張率を工夫、設計することで、十分なバスト引き寄せ力を作用させることができ、理想的なバスト形状に近いバスト形状を創出することが可能となる。
更に、この実施の形態の作用について説明すると、図12に示すように、上述したブラジャー1を着用することにより、左右のバスト13を移動可能な中心部15まで移動させることができる。また、バストカップ部2,3の形状を三次元設計に基づくボディをベースとする体側部連接の上に、バストが人体の中央部側又は中央部上方向に向けて斜頸化した形状に予め形成することによって、更に乳房ポイントを人体の中央部に移動又は中央部上方に引き上げることが可能となる。なお、図12において、符号13は人体のブラジャー1を着用する前のバスト形状を、14はバストの基底部が移動した状態を、15はバストの全体が移動した状態をそれぞれ模式的に示したものである。この実施の形態に係るブラジャー1によれば、図12から理解されるように、左右のバストの基底部を人体の中央部にて互いに接触する程度まで引き寄せることが可能となる。
本発明では、ブラジャー1を二次元パターンで形成する場合であっても、三次元化設計に対応させることが好ましい。この三次元化は、バストカップ部2,3のみではなく、身頃全体(特にフロントパネル及びサイドパネル)にわたるものである。
実施の形態2
図13はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、当該実施の形態2を含めた以下の実施形態はすべて、フロントパネルは実施形態1に準ずるものであり、この実施の形態2では、前記フロント構成部は、その下端部に少なくとも480d以上のポリウレタン糸を挿入して編み込んだ成形編みによる編み地から切り出して形成したものである。また、当該実施の形態2は、原則として、補正性の高い製品を前提としバックパネルも少なくとも280d以上であることを前提とし、フロントパネルを構成するエラスティック素材は、伸縮性の高いエラスティック系又はハイストレッチスパンの420d以上の弾性糸を用い、好ましくは編み込みによるが、伸縮性を高める観点からは挿入が望ましい。
すなわち、この実施の形態2では、図13に示すように、フロントパネル4が180%以上の伸張率を有する伸縮性素材11をその下端部で折り返した表裏二重構造を有する成形編みによる編み地から切り出して構成されている。また、フロントパネル4の裏面側には、480d以上の太さを有するスパンデックス等のポリウレタン糸(弾性糸)20が人体の胸部周り方向に沿って互いに略平行となるよう横縞のボーダー状に編み込まれている。上記ポリウレタン糸(弾性糸)20の太さとしては、上述した実施形態1のテープ体12が原則として1cm前後の幅を有しており、当該テープ体12に相当する伸張率及び伸張力を発揮させるため、480d以上の太さを有するものであり、限りなく太いものであることが望ましい。
この実施の形態では、フロントパネル4の裏面側に少なくとも480d以上の太さを有するポリウレタン糸20をボーダー状に編み込むことにより、フロントパネル4の相互収縮力が、バックパネル7,8が伸張したときの相互収縮力に対して10%以上大きく、且つフロントパネル4の収縮長がバックパネル7,8の収縮長に対して30%以上大きくなるよう設定されている。
この実施の形態では、フロントパネル4として、少なくとも480d以上のポリウレタン糸20を挿入して編み込んだ成形編みによる編み地から切り出して形成したものを使用することにより、フロントパネル4にテープ体を接着や縫着する作業が不要となり、製造工程を簡略化できる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態3
図14はこの発明の実施の形態3を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態3では、前記左右のバストカップ部は、前記フロント構成部を含み、当該フロント構成部は、前記左右のバストカップ部に対応させて互いに分離し、当該分離された左右のフロント構成部を弾性を有する合成樹脂又はラテックスからなるテープ体により接合するよう構成されている。
本実施の形態3以降に記載されたセンター部交差及びフロント部交差ともに、原則として左右のバストカップ部は、少なくとも相互中心部の1cm以上、最大5cm程度の範囲を交差させることによって引き寄せ量を高めるためのパターンである。
また、左右のバストカップ部の間に配置されるフロントセンター部を無くすことは、当該センター部の間隔をゼロにすることができることに止まるのではなく、センター部間の間隔をマイナス化イコール引き寄せ差動量を増加させる手段ともなり、テープ体の伸張率を生かすことが可能となる。
すなわち、この実施の形態3では、図14に示すように、フロントパネル4が左右のバストカップ部2,3に対応して左右に分割されているとともに、左右に分割されたフロントパネル4a,4bの間には、所定の長さにわたって間隙20が形成されている。これら左右のフロントパネル4a,4bには、間隙20及び当該左右のフロントパネル4a,4bの領域全体にわたり設定された弾性を有する合成樹脂又はラテックスからなるテープ体21によって互いに接合されている。上記左右のフロントパネル4a,4bは、左右のバストカップ部2、3の基底下部中心部よりバストカップ部2,3の中央までの距離の約1/2でカットし、間隙20に相当する部分にテープ体21のフリー状態を形成することによって、よりテープ体21の伸張能力の活用を可能としたものである。なお、テープ体21は、単独で用いて良いが、その表面又は裏面の少なくとも一方を生地によって被覆しても良い。
なお、左右のフロントパネル4a,4bは、実施形態1のフロントパネルに準ずるものである。また、テープ体21は、スパンデックスのテープ体であり、日清紡ケミカル社製「モビロンテープ」と材質を一とするものである。
この実施の形態3では、フロントパネル4を左右のバストカップ部2,3の中央部で左右に分割し、これら左右に分割されたフロントパネル4a,4bを下端部に沿って配置されたテープ体21によって接合することで、当該テープ体21により左右のバストカップ部2,3に対して人体の中央部に引き寄せる力を効果的に作用させることが可能となる。
なお、テープ体21は、図15に示すように、左右のフロントパネル4a,4bの全幅にわたって設けずに、当該左右のフロントパネル4a,4bの中央部にのみ設けるように構成しても良い。この場合、フロントパネル4のセンター領域を大きくカットすることが望ましい。このブラジャー1は、左右のバストカップ部2,3が左右のフロントパネル4a,4bを含んでおり、左右のバストカップ部2,3は、テープ体21の上端部に直接接合されており、当該テープ体21は、左右のフロントパネル4a,4bと共に左右のバストカップ部2,3を直接人体の中央部に向けて引き寄せるように構成されている。
本実施の形態では、左右のバストカップ部2,3を繋ぐ180%以上伸張するフロントパネルのセンター部を切除し、可能な限り二倍以上伸張するテープ体(モビロンテープを含む)に置き換えることによって、当該伸張差となる伸張量を生み出し、フロントパネル4a,4bを引き寄せる力イコール左右のバストカップ部2,3が互いに接触する状態のみならず、左右のバストカップ部2,3が交差するマイナス方向に移動量を増加させることが可能となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態4
図16はこの発明の実施の形態4を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態4では、前記左右のバストカップ部は、前記フロント構成部の一部又は全部を含めて互いに分離され、当該分離された左右のバストカップ部を弾性を有する合成樹脂又はラテックスからなるテープ体によって接合してなるよう構成されている。
又、この実施の形態4では、前記フロント構成部は、前記左右のバストカップ部の中央部から体側部側にわたり交差した状態で二重に構成されており、二重に構成されたフロント構成部のうち、一方のフロント構成部は、一方のバストカップ部から他方のフロント構成部にわたり接合されているとともに、他方のフロント構成部は、他方のバストカップ部から一方のフロント構成部にわたり接合されるよう構成されている。
更に、この実施の形態4は、左右のバストカップ部を繋ぐセンタークロスを無くす実施形態3と、当該センター部を左右に分離重ね合わせることとは原則同じ効果を生むものであり、基本スタイルとなる左右のバストカップ部を一体的且つ連動的に繋ぐ固定的構造体は存在しない。
尚、図16のセンターの交差パネルは、実施形態1のパネル体であっても良い。
すなわち、この実施の形態4では、図16に示すように、フロントパネル4が左右のバストカップ部2,3にわたり一体的に構成されているのではなく、左右のバストカップ部2,3の下端部間にわたって中央部に位置する領域が二重に構成されている。そして、左側のバストカップ部2の下端縁に沿って縫着された左側フロントパネル4aの上端縁41aは、他方の右側のバストカップ部3の下端縁に縫着されておらず、当該左側フロントパネル4aの先端部42aが右側のバストカップ部3の下方に位置する右側フロントパネル4bの中央部側の端縁に縫着されている。
また、右側のバストカップ部3の下端縁に沿って縫着された右側フロントパネル4bの上端縁41bは、一方の左側のバストカップ部2の下端縁に縫着されておらず、当該右側フロントパネル4bの先端部42bが左側のバストカップ部2の下方に位置する左側フロントパネル4aの中央部側の端縁に縫着されている。
このように、上記実施の形態4は、左右のバストカップ部2,3の間に位置するフロントパネル4a,4bを二重に構成することにより、フロントパネル4を一枚構成とした場合に比較して、左右のバストカップ部2,3を中央部に引き寄せる力を更に高めることが可能となり、左右のバストを中央部により一層引き寄せることができる。
なお、図17乃至図21は、この実施の形態4に係るブラジャー1の変形例を示すものである。
図17に示すブラジャー1は、フロントパネル4の一部4a,4bが左右のバストカップ部2,3を含めて二重に構成されている。左側のバストカップ部2に縫着された左側のフロントパネル4aは、右側のバストカップ部3の下端部に縫着されている。また、右側のバストカップ部3に縫着された右側のフロントパネル4bは、反対側に位置する左側のバストカップ部2の下端部に縫着されている。
図18に示すブラジャー1は、フロントパネル4のみならず、左右のバストカップ部2,3を含めて二重に構成されている。左側のバストカップ部2に縫着された左側のフロントパネル4aは、右側のバストカップ部3の下端部に沿って配置されており、その先端部42aが右側のサイドパネル6に縫着されている。この図18に示すブラジャー1は、フロントパネル4が左右のバストカップ部2,3と一体化された交差方式であることから、図22(a)に示すように、センター領域を互いに重なり合う方向(マイナス方向)により圧縮化することが可能であり、当該左右のバストカップ部2,3の引き寄せ力を高めことが可能となる。これに伴って、左右のバストカップ部2,3は、図22(b)に破線で示すように、実線で示す現行の製品に比較して、人体の中央部に大幅に引き寄せた形状とすることができる。
また、右側のバストカップ部3に縫着された右側のフロントパネル4bは、左側のバストカップ部2の下端部に沿って配置されており、その図示しない先端部が左側のサイドパネル5に縫着されている。
また、図19に示すブラジャー1は、バストの引き寄せる力を更に向上させるため、左右に分割されたフロントパネル4a,4bがサイドパネル5、6に接合されているのではなく、左右のバックパネル7,8の前面側の端部に接合されている。そのため、左右のフロントパネル4a,4bは、その分だけ長く形成することができ、当該左右のフロントパネル4a,4bの収縮力を更に高めることが可能となる。
更に、図20に示すブラジャー1は、左右のバストカップ部2,3及び左右のフロントパネル4a,4b、更には左右のサイドパネル5,6がそれぞれ一体的に形成されており、これら一体的に形成された左右のサイドパネル5,6の端部が互いに交差した状態で左右のバックパネル7,8に接合されている。
この図20に示すブラジャー1は、体側構成部をバスト体側部と一体化した交差方式であり、よりバスト引き寄せ力が増すと同時に理想のバストの形成が可能となる。
また、図21に示すブラジャー1は、左右のバストカップ部2,3とフロントパネル4との接続部にフレキシブルなテープ体30を介在させることによって、バスト及びフロントの相互間、接続縁辺の寸法の差異を緩和することが可能となっている。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態5
図23乃至図25はこの発明の実施の形態5を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態5では、左右のバストカップ部を人体の中央部に引き寄せるフロント構成部が、前記実施の形態と異なるよう構成されている。
本実施形態5は、前記実施形態に基づく基本構成に、付属又はサブパネル構成等を採用することにより、バックパネルの伸張力と拮抗するプラス10%の力を形成するために付加される構成を示すものである。
そのため、本実施形態5では、本体の基本引き寄せ力の上に、さらなる引き寄せ力を高めることのできる構成であり、且つセンターリングは当該引き寄せ力の調整を可能とするものである。
また、本実施形態5は、バンドータイプ等のパターン化による当該引き寄せ力の形成を容易とするものである。
すなわち、本実施の形態に係るブラジャー1は、左右のバストカップ部2,3を分離することで、フロントパネル4のセンター部をより近接乃至交差させることが可能となるものであるが、左右のバストカップ部2,3のセンター部が何らかの形で連結されていない場合には、フロントパネル4の引き寄せ力を左右のバストカップ部2,3のセンター部に及ばせるため、左右のバストカップ部2,3のセンター領域にボーン等を配置することが望ましい。
そこで、この実施の形態では、左右のバストカップ部2,3のセンター領域にボーン等を配置する代わりに、図23に示すように、装飾を兼ねるリング体45を配置し、当該リング体45を介して左右のバストカップ部2,3の中央部にそれぞれ設けたストレッチ性のテープ体43、44を以て左右のバストカップ部2,3を相互に連接することによって、左右のバストカップ部2,3が離間するのを防止している。
このように、図23に示す実施の形態では、フロントパネル4の収縮力に加えて、左右のバストカップ部2,3を連結する伸縮性を有するテープ体43,44によって、左右のバストカップ部2,3を人体の中央部に引き寄せるように構成されている。
また、図24に示す実施の形態では、バストサイドからバストセンター部に200%程度の伸張率を有するフロントパネル4に準ずる素材にて構成された左右のパネル46,47及びリング45によって装飾を兼ねた付加価値とバスト引き寄せ力を更に高めることができるように構成したものである。
更に説明すると、図24に示すブラジャー1は、左右のバストカップ部2,3を体側部から当該左右のバストカップ部2,3の中央下部に亙り配設された伸縮性を有する左右のパネル(布状部材)46,47の先端を連結部材としての二重に配置されたリング45に挿通することで固定されている。上記左右のパネル46,47は、ストラップ9,10と一体的に形成されるか一体的に連結されており、ストラップ9,10が左右のバストカップ部2,3を上方に持ち上げる力と共に、人体の中央部に向けて引き寄せる力を作用させることが可能となっている。なお、この実施の形態では、左右のパネル46,47のみを設け、ストラップを備えない構成としても良い。
さらに、図25に示す実施の形態では、フロントパネル4が帯状に形成されたバンドータイプのものとなっており、当該バンドータイプのフロントパネル4により左右のバストカップ部2,3を人体の中央部に引き寄せる力を作用させるように構成されている。
尚、図26に示すように、左右のバストカップ部2,3は、人体の中央部において互いに重なるように配置しても良い。この場合には、フロントパネル4が伸張した状態で左右のバストカップ部2,3の間に不本位に隙間が生じるのを回避することができる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態6
図27乃至図29はこの発明の実施の形態6を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態6では、左右のバストカップ部及びフロントパネルの構成が前記実施の形態と異なるよう構成されている。
本実施形態6は、上述したすべての実施形態に原則として関連するものであるが、左右のバストカップ部とフロントパネル等をより一体化させた上に、形状のスリム化を図り、更なる付加価値を形成するものである。具体的には、モールド成型による製品としての付加価値のあるノンシーム、ノンカットとしてのサンプル性と、人体のバスト部に適合した三次元形成化を容易とし、更なる製品付加価値を高めるための実施形態である。
本実施形態のトップは、原則として、一枚一重構成の中に、左右のバストカップ部及びフロントパネル等の部位別の機能が形成されているか、又は、一枚一重構成に加えて二次的なテクニックによる部位別機能の形成、或いは二重構成によって表裏何れかの一枚一重構成に外観的付加価値、又は内面的付加価値を付与するか、更に表裏二重構成の間に配置される中間層を以て、左右のバストカップ部を引き寄せる能力等を形成させるように構成したものである。
なお、本実施形態では、基本となる素材の組成、組織等が原則として180%以上の高い伸張性を備えたフロントパネルの機能が維持されることと熱セット性が求められる。
上述した実施の形態1乃至5は、基本構成として、バストカップ構成部と、フロントパネル構成部並びにサイドパネル構成部及びバック構成部等に分割構成又は連接容易な部位間を連結するカットアンドソー技術を前提としたものであり、当該各構成部を一体化させる実施形態を示している。
これに対して、本実施の形態6は、当該各構成部位を一体化したものであり、これは、完全成形編み(現在の成形編みは準成形編みレベルで、次のモールド成型との複合が必要)や、三次元設計されたモールドプレス成型技術(方式)によって達成されるものである。
第一のポイントは、本発明が意図する乳房引き寄せ力の創設であり、フロントパネル4の80%以上の圧縮にあり、且つ、当該フロントパネル4に形成されるバストカップ部2,3の構成にある。
第二のポイントは、当該一体化させた身頃体に、フロント構成部、体側構成部及びバック構成部の3つの能力を形成させることにある。
すなわち、図27に示す実施の形態は、左右のバストカップ部2,3を構成するバストカップ体50,51がモールド成型によってフロントパネル4及びサイドパネル5,6等と一体的に形成したものである。
また、図28に示す実施の形態では、左右のバストカップ体50,51の体側部側に裏当て部材52,53が設けられており、人体の左右の体側部を押さえる効果を高めている。
さらに、図29に示す実施の形態では、左右のバストカップ体50,51の基底部から体側部にわたりフレキシブルテープ54,55が配設されており、フレキシブルテープ54,55を設けることで、フロントパネル4がバストを引き寄せる力によって左右のバストカップ部2,3が不本位に変形するのを回避することが可能となっている。
更に、身頃構成体の具体的な構成について説明すると、大別して、編み構成によるものと、コーティングによるものとがある。
編み組織によるものとしては、図30(a)に示すように、経無地編地(フラット編み)からなるボーダー編みによって身頃体61,62,63の伸張率を三段階に構成したものがある。バストカップ部2,3及びフロントパネル4に相当する編地61が最も伸張率が高く、バックパネル7,8に相当する編地63が次に伸張率が高く、サイドパネル5,6に相当する編地62が最も伸張率が低いか又は伸張率が略ゼロに設定される。
また、編み組織によるものとしては、図30(b)に示すように、成形編みによってバストカップ部2,3、フロントパネル4、サイドパネル5,6及びバックパネル7,8の各部位毎に伸張率が異なるように構成しても良い。これら図30(a)(b)の場合には、いずれも編み組織に加えて裏糸を挿入することによって体側部を形成することが好ましい。
一方、コーティングによるものとしては、図31(a)に示すように、表地64を限りなく伸張力を伴わない200%以上の伸張率を有するフラット編み(フルファッション編み&トリコット編み等が望ましい)に、上述した図30(a)(b)に準ずる編み地65を裏面側にコーティングする方式がある。
また、コーティングによるものとしては、図31(b)に示すように、表裏をフルファッション編み又はトリコット編み等の伸張率並びに伸張力を持つ(当該表裏いずれかでもよい)二重構成体66,67を、伸張性のある樹脂層68を以てコーティングする方式、図32に示すように、表地を上記図31(a)(b)いずれかの素材とし、仮に体側部等の不足をする部位の表裏いずれか又は双方に複合的にパーツ68をコーティングする方式、又は図31(a)に示すものの表裏にてサンドイッチ又は表裏にコーティングする方式、又は図31(b)に示すものの表裏にてサンドイッチ又は表裏にコーティングする方式、又はバストカップ部2,3の膨出部成型時に上記のいずれかの体側部に、熱圧力を加えて剛性を高める方式などがある。
この実施の形態6は、左右のバストカップ部2,3、フロントパネル4、サイドパネル5,6及びバックパネル7,8等が一体的に構成されているため、構成がシンプルであり、製造コストの低減が可能となり、又、体側部を一体化することができ、体側部とフロントパネル4等の連動によってバスト引き寄せ力の補完が可能であり、更に体側部の凹状化が可能となるという作用・効果を奏するものである。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
実施の形態7
図33はこの発明の実施の形態7を示すものであり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態7では、左右のバストカップ部における体側部側の領域を、人体側に向けて凹形状となるようにモールド成型するように構成したものである。
本実施形態7では、人体側に向けて凹形化させること即ち表面積を縮小化させることが要求される。これによって、一枚のフロントパネルに加わる均質な伸張力による伸張時において、左右のバストカップ部における体側部側の領域は、フロントパネルの伸張力により周辺部に比較して強い圧迫力を受け、当該凹形状の体側部領域によって波状的な力を形成し、バストの体側部を人体の中央部且つ上部へ向けて移動させることが可能となる。また、当該作用をバストカップ部の体側部を含めた拡張体側部としたデザイン且つ三次元形成化を図ることによって高めることができる。
このように、本実施形態における凹状化とは、一枚構成の場合、当該凹状化領域の原則面積の圧縮化(縮小化)又は非伸張化又は固定化が伴う凹状化でなくてはならない。
この実施の形態7では、左右のバストカップ部2,3における体側部側の領域を、人体側に向けて凹形状となるようにモールド成型することにより、ブラジャー1の着用時、図33(a)(b)に示すように、人体のバストを左右のバストカップ部2,3の体側部領域により人体の中央部に向けて押圧することができ、左右のバストカップ部2,3が接触する状態まで引き寄せることが可能となる。その際、左右のバストカップ部2,3は、同図(c)に略等高線で示すように、人体のバストの体側部領域を人体の中央部に向けて押圧した状態となる。
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
なお、本実施の形態では、通常のブラジャーに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、a)ファンデーション(ロングタイプ・ボディスーツ等)、b)スポーツ(ブラ・スイミング・ジャズダンス・ゴルフ等)、c)アウトウエアー(ブラキャミ・リゾート・ドレス等)、d)介護(介護者、被介護者用)(プロテクター・サポート・保護等)などに幅広く適用することが可能である。
また、本発明では、バストカップ部を二次元方式により設計した場合、三次元方式により設計した場合のいずれにしても、バスト引き寄せ力を有するトップとして三次元形状、三次元機能を持たせることが好ましい。
さらに、前記実施の形態で示したフロントパネルの伸張率又は圧縮率を示す数値は、現状のマテリアルにおける最大値を示すものであり、これらの数値に限定されるものではなく、上述した数値の少なくとも60%程度の達成状態であっても本発明の目的を達成することができるものである。