まず、本発明の実施例1に係るレゾルバ1の構成について、図1〜図8を参照して説明する。
実施例1に係るレゾルバ1は、大別して、図7に示す磁気系及び機械系により構成するレゾルバ本体部U1と、図8に示す電気系により構成する信号処理部U2を備える。
レゾルバ本体部U1は、図7に示すように、ケーシング21の内部に固定状態に取付ける励磁ユニット22と、このケーシング21の中心に、回動自在に支持される回動軸11を有する回動体4r(受動体4)を備える。回動体4rは、回動軸11を中心位置に固定した円板部25を備え、この円板部25における、励磁ユニット22に対向する面には、当該励磁ユニット22に対面する検出ユニット23を取付ける。また、励磁ユニット22は、全体がリング状となり、その内側空間には、出力トランス24の二次巻線24sを配設するとともに、検出ユニット23も、全体がリング状となり、その内側における円板部25には、二次巻線24sに対面する、出力トランス24の一次巻線24fを配設する。以上が、レゾルバ本体部U1全体の基本構成となる。
次に、実施例1に係るレゾルバ1の要部構成、即ち、レゾルバ本体部U1に備える励磁ユニット22及び検出ユニット23の構成について具体的に説明する。
図1〜図3に、励磁ユニット22に使用する一つのシートコイルCxを示す。励磁ユニット22は、このシートコイルCxを二つ用意し、図5に示す磁気コア29(5)と組合わせて構成することができる。即ち、図8に示すように、励磁ユニット22は、変調された励磁信号Sxが付与されるsin相側の励磁巻線2xと、変調された励磁信号Syが付与されるcos相側の励磁巻線2yを備えるため、同一のシートコイルCx…を二つ用意し、一方のシートコイルCxをsin相側の励磁巻線2xとして使用し、他方のシートコイルCxを90〔゜〕位相を異ならせて重ねることによりcos相側の励磁巻線2yとして使用することができる。
次に、シートコイルCxの構成について具体的に説明する。シートコイルCxは、図1〜図3に示すように、絶縁基板によりリング形に形成したシート部12と、このシート部12の表面(一方の面)12fに、導体(銅箔)による図1(b)に示す第一のコイル部Mfを形成し、シート部12の裏面(他方の面)12rに、導体(銅箔)による図1(c)に示す第二のコイル部Mrを形成し、全体をフレキシブルプリント回路基板(FPCB)として構成する。
第一のコイル部Mfと第二のコイル部Mrは、それぞれ多極形式により構成した同一のコイルパターンPc…により形成する。図1は、極対数を「16」に設定した場合を示す。例示の場合、シート部12の厚さは0.02〔mm〕、コイル部Mf,Mrの厚さは0.015〔mm〕である。なお、実施例は極対数を「16」に選定した場合を示したが、この極対数は任意である。現時点では「2」〜「512」の極対数を想定できるが、今後は、これ以上の極対数の実用化が想定される。
コイルパターンPcは、図2及び図3に示すように、シートコイルCxの表裏面に、周方向Dfの導線部(周導線部)Wo,Wiと径方向の導線部(径導線部)Wmを組合わせることにより、周方向Dfに沿って矩形波状に形成する。この際、コイルパターンPcは、周導線部Wo,Wiの幅寸法Lo,Liを、径導線部Wmの幅寸法Lmよりも大きく設定する。具体的には、周導線部Wo…,Wi…の幅寸法Lo,Liを、径導線部Wm…の幅寸法Lmに対して1.5〜3.5倍に選定することが望ましい。
このように、コイルパターンPc…を、周方向Dfの周導線部Wo…,Wi…と径方向の径導線部Wm…を組合わせることにより、周方向Dfに沿って矩形波状に形成すれば、コイルパターンPc…を構成する径方向の導線部Wm…を、シートコイルCx…の表裏面において相互に径方向に一致させることができるため、ノイズ成分を打ち消す観点から最大のノイズ耐性を確保可能な最適形態として実施できるとともに、特に、周導線部Wo…,Wi…の幅寸法Lo,Liを、径導線部Wm…の幅寸法Lmよりも大きく設定すれば、コイルパターンPc…全体の電気抵抗を小さくできるため、発生する有効磁束密度を大きくしてレゾルバ1の検出効率を高めることができる。
そして、第一のコイル部Mfと第二のコイル部Mrは、第二のコイル部Mrを第一のコイル部Mfに対して、図2に示すように、電気角の位相を180〔゜〕異ならせて配置する。これにより、図3に示すように、裏面12rにおける第二のコイル部Mrの最初の径導線部Wm(Wm1)は、表面12fにおける第一のコイル部Mfの二番目の径導線部Wm(Wm2)に対して、周方向Dfの同一位置においてシート部12を介して平行に重なる。
これにより、一つのシートコイルCxが構成されるため、前述したように、同一のシートコイルCx,Cxを二つ用意し、一方をシートコイルCxとして使用し、他方をシートコイルCyとして使用することができる。
また、検出ユニット23は、図4に示すシートコイルCoと図5に示す磁気コア29(6)と組合わせ、図7に示すように組付けて構成することができる。検出ユニット23には、上述したシートコイルCxと同一のシートコイルをシートコイルCoとして用いることができるが、実施例で示す図4のシートコイルCoは、シート部12の表面(一方の面)12fにのみコイルパターンPcによるコイル部Mfを設けて検出巻線3を構成したシートコイルCoを例示する。したがって、図4に示すシートコイルCoは、シート部12の裏面(他方の面)12rにコイルパターンPcを設けない点を除いて、上述したシートコイルCxと同様に構成することができる。
他方、図6には、シートコイルCoの変更例を示す。即ち、この変更例は、シートコイルCx,Cy,Coにおける、180〔゜〕位相を異ならせたコイル部Mf,Mr…を有するシートコイルCx…以外のシートコイルCo…の少なくとも一つを構成するに際し、一方のコイル部Mf…の電気的位相が、他方のコイル部Mr…の電気的位相に対して、磁束分布の高調波成分を打ち消す電気角度ε〔゜〕だけ位相が異なる磁束補正機能部Faを設けたものである。したがって、実施例の場合、シートコイルCoが変更例を適用できる対象となる。
シートコイルCo…の場合、通常、コイル部Mfにより発生する磁束分布には多くの高調波成分が含まれ、この高調波成分は検出誤差として影響する。このため、シート部12の表面12fにコイル部Mfを設けるとともに、シート部12の裏面12rに、追加のコイル部Mrsを設け、このコイル部Mrsと表面12fのコイル部Mfをズラすことにより、不要な高調波成分を打ち消す磁束補正機能部Faとして機能させるようにした。この場合、所定の電気角度ε〔゜〕の大きさを選定することにより、打ち消す高調波成分の周波数を選定することができる。例えば、三次高調波成分を低減するには、ε〔゜〕を60〔゜〕に選定することができる。また、例えば、2×ε〔゜〕に選定したコイル部を設けたシートコイルを作成し、ε〔゜〕に選定したシートコイルCoに対して重ねて追加すれば、二つの異なる高調波成分を同時に低減できるなど、必要に応じて一又は二以上のシートコイルを追加することができる。このような磁束補正機能部Faを設ければ、本来の検出機能(励磁機能)に対して、磁束に対する補正機能を付加できるため、特に、高調波成分による検出誤差を低減し、更なる検出精度の向上に寄与できる利点がある。
一方、磁気コア5,6は、図5に示す磁気コア29を二つ用意し、一方の磁気コア29を励磁巻線2x,2yを構成する磁気コア5として使用し、他方の磁気コア29を検出巻線3を構成する磁気コア6として使用する。この磁気コア29は、例えば、フェライト等の磁性体により一体成形した所定の厚さを有するリング状に形成するとともに、シートコイルCx,Cy(Co)を付設する磁気コア29(5,6)におけるコア面5s(6s)は平坦面に形成する。
そして、このように構成するシートコイルCx,Cy,Co及び磁気コア5,6の組付けに際しては、まず、磁気コア5のコア面5sに対して、一方のシートコイルCx(励磁巻線2x)の組付け(貼付け)を行なうとともに、この後、図1(a)に示すように、空間的に電気角で90〔゜〕位相を異ならせることにより、他方のシートコイルCy(励磁巻線2y)の組付け(貼付け)を行なう。また、同様に、磁気コア6のコア面6sに対して、シートコイルCo(励磁巻線2o)の組付け(貼付け)を行なう。これにより、励磁ユニット22及び検出ユニット23が得られるため、図7に示すように、励磁ユニット22をケーシング21に対して組付けを行うとともに、検出ユニット23を円板部25に取付け、さらに、ケーシング21に対して組付けを行なえばよい。
次に、このように構成するレゾルバ本体部U1に接続して使用する信号処理部U2の構成について、図8を参照して説明する。
図8中、U1はレゾルバ本体部示し、図1〜図7と同一部分には同一符号を付してその構成を明確にした。このレゾルバ本体部U1に接続する信号処理部U2は、入力側回路U2iを備え、この入力側回路U2iは、発振部31により生成したクロック信号に基づいてカウンタパルスを生成するカウンタパルス回路32、このカウンタパルスに基づいて周波数が1〔MHz〕程度の高周波信号を生成する高周波信号生成回路33、この高周波信号に基づいて励磁信号Sx(V・sinωt),Sy(V・cosωt)を生成する励磁信号生成回路34、一方の励磁信号Sxが入力し、かつ励磁信号Sxの極性反転位置で、高周波信号の極性を反転させて出力する極性反転回路35、この極性反転回路35から出力する高周波信号により励磁信号Sxを振幅変調する変調回路36、この変調回路36から出力する変調信号Smx、即ち、振幅変調された励磁信号Sxを一方の励磁巻線2xに供給する励磁回路37を備えるとともに、他方の励磁信号Syが入力し、かつ励磁信号Syの極性反転位置で、高周波信号の極性を反転させて出力する極性反転回路38、この極性反転回路38から出力する高周波信号により励磁信号Syを振幅変調する変調回路39、この変調回路39から出力する変調信号Smy、即ち、振幅変調された励磁信号Syを他方の励磁巻線2yに供給する励磁回路40を備える。
この場合、励磁巻線2xは、シートコイルCxにより構成するため、図2に示すように、第一のコイル部Mfと第二のコイル部Mrは直列接続する。即ち、第一のコイル部Mfにおける他端側の入力端子Tjfと第二のコイル部Mrにおける一端側の入力端子Tirを接続し、第一のコイル部Mfにおける一端側の入力端子Tifと第二のコイル部Mrにおける他端側の入力端子Tjrは、それぞれ励磁回路37に接続する。したがって、第一のコイル部Mfと第二のコイル部Mrは、電流の流れる方向が周方向Dfにおいて逆方向となる。また、同様に、励磁巻線2yもシートコイルCyを備えるため、励磁巻線2xの場合と同様の接続を行うことにより励磁回路40に接続する。
一方、U2oは出力側回路であり、この出力側回路U2oは、出力トランス24の二次巻線24sに接続することにより当該二次巻線24sから出力する変調信号Smoを復調して検出信号Soを出力する出力処理回路51、この出力処理回路51から得た検出信号Soが付与される角度検出回路52を備える。なお、出力トランス24の一次巻線24fは検出巻線3に接続される。例示の場合、検出巻線3はシートコイルCoにより構成するため、図4に示すように、シートコイルCoの一端側の出力端子Tofと他端側の出力端子Tpfを出力トランス24の一次巻線24fに接続する。
他方、U2sは、励磁信号Sx,Syと検出信号So間に生じる位相誤差を補正する位相補正回路であり、この位相補正回路U2sは、温度ドリフトに基づく補正信号を生成する温度補正信号生成部53、この温度補正信号生成部53から出力する補正信号によりカウンタパルス回路32から出力したカウンタパルスを補正する補正回路54、この補正回路54から出力する補正されたカウンタパルスに基づいて高周波信号を生成する高周波信号生成回路58、この高周波信号生成回路58から出力する高周波信号に基づいて参照信号を生成する参照信号生成回路59を備え、この参照信号生成回路59により生成された参照信号は角度検出回路52に付与される。なお、温度補正信号生成部53は、出力処理回路51を経由して得る変調信号Smoから高周波信号成分を分離し、得られた高周波信号成分とカウンタパルス回路32から出力するカウンタパルスと高周波信号生成回路58から出力する高周波信号に基づいて当該高周波信号成分の温度ドリフトによる誤差成分を検出する温度ドリフト検出機能を備え、この温度ドリフト検出機能から得られる誤差成分に基づいて上記補正信号を生成する補正信号生成機能を備える。
このように、励磁巻線2x,2yに対して、高周波信号Shにより励磁信号Sx,Syを振幅変調し、かつ当該高周波信号Shの極性を励磁信号Sx,Syの極性反転位置で反転させた変調信号Smx,Smyを入力し、検出巻線3から出力する変調信号Smoを復調して検出信号Soを得るようにすれば、シートコイルCx…,Cy…,Co…の極対数を少なく設定した場合であっても、十分な誘起電圧(検出信号So)を得ることができるため、結果的に、レゾルバ1の超小型化,軽量化,低コスト化に寄与できるとともに、復調処理後における信号処理の容易化と安定化により、更なる検出精度の高精度化に寄与できる利点がある。
次に、このような構成を有する実施例1に係るレゾルバ1の動作について、各図を参照して説明する。
まず、図8に示す発振部31から出力するクロック信号はカウンタパルス回路32に付与されることにより、カウンタパルスが生成される。このカウンタパルスは高周波信号生成回路33の入力側,温度補正信号生成部53及び補正回路54の入力側にそれぞれ付与される。高周波信号生成回路33ではカウンタパルスに基づいて周波数が1〔MHz〕程度の高周波信号が生成され、この高周波信号は励磁信号生成回路34の入力側に付与され励磁信号Sx,Syが生成される。
そして、一方の励磁信号Sxは変調回路36及び極性反転回路35にそれぞれ付与され、変調回路36では、極性反転回路35から付与される高周波信号により、励磁信号生成回路34から付与される励磁信号Sxが振幅変調され、これより得る変調信号Smxは励磁回路37を介して励磁巻線2xに付与される。この際、極性反転回路35により高周波信号の極性は、励磁信号Sxの極性反転位置毎に反転せしめられる。これにより、励磁巻線2xは変調信号Smxにより励磁され、励磁巻線2xには変調信号Smxによる高周波電流が流れる。
この際、図2に示すように、励磁巻線2xを構成するシートコイルCxの入力端子TifとTjr間に、例えば、正極側の信号が付加された場合、第一のコイル部Mfには、実線矢印で示す電流Ifpが流れるとともに、第二のコイル部Mrには、点線矢印で示す電流Irpが流れる。
これにより、シートコイルCxの径方向、即ち、周方向Dfにおいて同位置となる表面側の径導線部Wmと裏面側の径導線部Wmには、図3に示すように、同一方向の電流IfpとIrpが流れるため、表面側の径導線部Wmにより発生する磁束と裏面側の径導線部Wmにより発生する磁束が加算された有効磁束が発生する。これに対して、シートコイルCxの周方向Df、即ち、第一のコイル部Mfの周導線部Wi(又はWo)と第二のコイル部Mrの周導線部Wo(又はWi)には、相互に逆方向の電流Ifp及びIrpが流れる。この結果、第一のコイル部Mfの周導線部Wi(又はWo)に流れる電流により発生する磁束と第二のコイル部Mrの周導線部Wo(又はWi)に流れる電流により発生する磁束間には打ち消し合う作用が生じる。周導線部Wi及びWoにより発生する磁束は本来不要な磁束になるため、打ち消し合うことによりノイズ成分の原因となる磁束の低減が図られる。
また、他方の励磁信号Syは変調回路39及び極性反転回路38にそれぞれ付与され、変調回路39では極性反転回路38から付与される高周波信号により、励磁信号生成回路34から付与される励磁信号Syが振幅変調され、これより得る変調信号Smyは励磁回路40を介して励磁巻線2yに付与される。この際、極性反転回路38により高周波信号生成回路33から付与される高周波信号の極性は、励磁信号Syの極性反転位置毎に反転せしめられる。これにより、励磁巻線2yは変調信号Smyにより励磁され、励磁巻線2yには変調信号Smyによる高周波電流が流れる。
この際、シートコイルCyにおいても、上述したシートコイルCxの場合と同様の作用が生じる。即ち、径導線部Wm…により発生する磁束は相互に打ち消し合うため、ノイズ成分の原因となる磁束の低減が図られる。
他方、検出巻線3からは励磁信号Sxに基づいて誘起する電圧と励磁信号Syに基づいて誘起する電圧が加算され、加算された合成電圧が変調信号Smoとして出力し、変調信号Smoに基づく高周波電流が流れる。この変調信号Smoは出力処理回路51に付与され、変調信号Smoが復調される。これにより、検出信号Soが得られ、角度検出回路52に付与される。また、出力処理回路51では、変調信号Smoから高周波信号成分が分離され、分離された高周波信号成分は温度ドリフト検出機能を備える温度補正信号生成部53に付与される。これにより、温度補正信号生成部53では、高周波信号分離機能により分離された高周波信号成分とカウンタパルス回路32から得るカウンタパルスと高周波信号生成回路58から得る高周波信号に基づいて当該高周波信号成分の温度ドリフトによる誤差成分が検出され、この誤差成分に基づいて補正信号が生成され、この補正信号は補正回路54に付与される。そして、補正回路54ではカウンタパルス回路32から付与されるカウタパルスが、当該補正信号により補正される。即ち、温度ドリフトによる誤差成分が排除される。
一方、補正回路54から得る補正されたカウンタパルスは、高周波信号生成回路58に付与され、当該カウンタパルスに基づいて高周波信号が生成される。高周波信号生成回路58から得る高周波信号は、温度補正信号生成部53に付与され、温度補正信号生成部53における参照信号生成機能では、当該高周波信号に基づいて参照信号が生成される。この参照信号は角度検出回路52に付与され、角度検出回路52では参照信号から参照パルスを生成するとともに、検出信号Soから検出パルスを生成する。そして、この参照パルスの立上がりと検出パルスの立上がり間でカウンタパルスをカウントし、このカウント値を角度に変換して回動軸11の回動角を求める。具体的には、カウント値と回動角の関係を予めデータベース化し、データベースからカウント値に対応する回転角を読み出してもよいし、予め設定した関数式を用いることにより演算により求めてもよい。
次に、本発明の実施例2に係るレゾルバ1の構成について、図9〜図12を参照して説明する。
実施例2のレゾルバ1における実施例1と異なる点は、実施例1は極対数を「16」に設定したのに対して、実施例2は極対数を「8」に設定した点、実施例1の磁気コア5(6)のコア面5s(6s)が平坦であるのに対して、実施例2の磁気コア5(6)のコア面5s(6s)は、図10〜図12に示すように、シート収容溝部5h…(6h…)を設けた点、が異なる。このため、シートコイルCx(Cy,Co)を構成するシート部12eにおけるコイルパターンPc…の径導線部Wm,Wm…間に開孔部Hm…を設けることにより、当該開孔部Hm…間にシートブリッジ部Cm…を設け、このシートブリッジ部Cm…をシート収容溝部5h…に収容できるようにした。
この場合、シートコイルCx(Cy)を付設する磁気コア5は、図10(図11)に示すように、sin相側の励磁巻線2xを構成するシートコイルCxと、このシートコイルCxに対して90〔゜〕位相を異ならせたcos相側の励磁巻線2yを構成するシートコイルCyを組合わせるため、シート収容溝部5h…の間隔(数量)は、シートブリッジ部Cm…の間隔(数量)に対して、1/2(2倍)になる。
これに対して、シートコイルCoを付設する磁気コア6は、一方の面にのみコイルパターンPcを設ける場合を前提とすれば、図12に示すように、シート収容溝部6h…の間隔(数量)は、シートブリッジ部Cmの間隔(数量)(図9参照)に一致することになる。また、図11に示すように、磁気コア5におけるシート収容溝部5h…は、コア面5s…の径方向に形成するとともに、断面形状は矩形状となり、磁気コア6の形状も、磁気コア5のシート収容溝部5h…の間隔(数量)に対して1/2(2倍)となる点を除いて、磁気コア5の場合と同様に形成する。
なお、実施例1及び2に係るレゾルバ1…は、いずれも直径が5〔mm〕前後の超小型レゾルバである。このため、磁気コア5の直径は4〔mm〕前後となり、コイル収容溝部5hの深さは0.5〔mm〕程度となる。
このように、実施例2に係るレゾルバ1は、シートコイルCx…におけるコイルパターンPc…の径導線部Wm,Wm…間に開孔部Hm…を設け、当該開孔部Hm…間のシートブリッジ部Cm…を、磁気コア5(6)…のコア面5s(6s)…に設けたシート収容溝部5h(6h)…に収容するようにしたため、シートコイルCx…を磁気コア5…に組付けた際の全体の厚さを薄くすることができる。この結果、レゾルバ1の更なる小型化(超小型化)を実現できるとともに、漏れ磁束の低減による更なる磁気回路特性の向上に寄与できる。加えて、レゾルバ1全体の軽量化に寄与できるとともに、シートコイルCx…と磁気コア5…間の位置決めも容易に行うことができるなど、組立容易性(製造容易性)にも寄与できる。
よって、このような本実施形態(実施例1,実施例2)に係るレゾルバ1によれば、基本的構成として、励磁巻線2x,2y及び検出巻線3を構成するリング形に形成したシートコイルCx,Cy,Coと、このシートコイルCx,Cy,Coに付設する磁気コア5,6を備え、励磁巻線2x,2y及び検出巻線3の、少なくとも一つの巻線2x(2y,2o)を構成するシートコイルCx…の表裏面にそれぞれ多極形式により構成した同一のコイルパターンPc…によるコイル部Mf,Mr…を設けるとともに、各コイル部Mf,Mr…における一方のコイル部Mf…の電気的位相を、他方のコイル部Mr…の電気的位相に対して180〔゜〕異ならせてなるため、発生する逆方向の磁束により、漏れ磁束や外乱を含む余分な磁束によるノイズ成分を打ち消すことができる。この結果、必要なインダクタンスを確保したレゾルバ1の小型化(超小型化)を図りつつ、十分な検出精度及び安定性、更には信頼性を高めることができる。
以上、好適実施形態(実施例1,実施例2)について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態(実施例)に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、励磁巻線2x,2yには、高周波信号Shにより励磁信号Sx,Syを振幅変調し、かつ当該高周波信号Shの極性を励磁信号Sx,Syの極性反転位置で反転させた変調信号Smx,Smyを入力し、検出巻線3から出力する変調信号Smoを復調して検出信号Soを得る実施例を示したが、変調することなく、励磁信号Sx,Syを励磁巻線2x,2yに入力し、かつ検出巻線3から出力する検出信号Soに基づいて励磁巻線2x,2y又は検出巻線3を設けた受動体4の変位量を検出する場合を排除するものではない。また、受動体4を、回動軸11を有する回動体4rとして構成するとともに、シートコイルCx,Cy,Co及び磁気コア5,6を、回動軸11に対して同軸となるリング形に形成するいわゆるロータリタイプとして構成する場合を示したが、受動体4が直進方向に変位する、いわゆるリニアタイプとしても応用可能である。なお、変調信号Smx,Smyは、励磁信号Sx,Syを振幅変調した場合を示したが、位相変調等の他の変調方式の採用を妨げるものではない。一方、本発明の要部構成となる、表裏面にそれぞれ多極形式により構成した同一のコイルパターンPc…によるコイル部Mf,Mr…を設けるとともに、各コイル部Mf,Mr…における一方のコイル部Mf…の電気的位相を、他方のコイル部Mr…の電気的位相に対して180〔゜〕を異ならせた構成を適用するシートコイルとして、シートコイルCx,Cyを示したが、シートコイルCx又はCyのいずれか一方にのみ適用してもよいし、シートコイルCoに対して適用してもよい。即ち、本発明はシートコイルCx,Cy,Coの全部に適用してもよいし、任意に選定するいずれか一つ又は二つに適用してもよいし、各シートコイルCx,Cy,Coは、それぞれ一枚で構成してもよいし、複数枚で構成してもよい。また、コイルパターンPc…は、周導線部Wo…,Wi…の幅寸法Lo,Liを、径導線部Wm…の幅寸法Lmよりも大きく設定することが望ましいが同一である場合や小さく設定する場合を排除するものではない。