以下、本発明の角度センサを具体化した一実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態における角度センサ9を取り付けたモータ70の一部を断面図により示す。モータ70は、モータケース71と、モータケース71の開口部を覆うケースカバー72と、モータケース71に固定されたモータステータ73と、モータステータ73の内側に設けられたモータロータ74と、モータロータ74の中心に一体に設けられた回転軸としてのモータシャフト75と、モータケース71及びモータカバー72との間でモータシャフト75を回転可能に支持する一対の軸受76,77とを備える。
モータケース71及びケースカバー72は、アルミニウム合金などを鋳造することにより形成される。モータステータ73は、コイル78を備え、モータケース71の内周に固定される。モータステータ73は、コイル78が通電されることで励磁され、磁力を発生する。
モータロータ74は、永久磁石(図示略)を備える。モータロータ74は、モータステータ73との間で所定の隙間を介して保持される。通電によりモータステータ73を励磁することにより、モータロータ74がモータシャフト75と一体に回転して駆動力が得られる。
図1に示すように、ケースカバー72及びモータロータ74には、角度センサ9が設けられる。ケースカバー72には、角度センサ9を構成するセンサステータ7が固定される。モータロータ74には、角度センサ9を構成するセンサロータ8が固定される。モータケース71とケースカバー72を組み付けた状態で、センサロータ8とセンサステータ7は、所定の隙間GAを介して互いに表面が対向して配置される。この隙間GAは、狭くすることで角度センサ9の検出精度を向上させることができる。寸法公差や温度による寸法変化等も考慮した上で隙間GAの大きさを決定するのが好ましい。
図2に、角度センサ9に係る電気的構成をブロック図により示す。角度センサ9は、センサステータ7に設けられるSIN信号検出コイル10、COS信号検出コイル20及びステータ側ロータリートランス30と、センサロータ8に設けられる励磁コイル40及びロータ側ロータリートランス41とを備える。SIN信号検出コイル10とCOS信号検出コイル20は、所定角度だけ位相をずらして配置される。角度センサ9に接続された信号処理装置50は、励磁信号生成回路51、第1検波回路55、第2検波回路56及び演算機57を備える。励磁信号生成回路51は、ステータ側ロータリートランス30へ高周波(480kHz)の励磁信号(SIN信号)を出力するようになっている。第1検波回路55は、SIN信号検出コイル10から出力されるSIN信号を入力するようになっている。第2検波回路56は、COS信号検出コイル20から出力されるCOS信号を入力するようになっている。演算機57は、第1及び第2の検波回路55,56から出力されるSIN信号及びCOS信号をそれぞれ入力するようになっている。
上記した信号処理装置50において、励磁信号発生回路51で励磁信号が発生することにより、ステータ側ロータリートランス30及びロータ側ロータリートランス41を介して、ロータ側の励磁コイル40に励磁信号が入力される。この励磁信号の電流により発生する磁束により、ステータ側のSIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20に起電力(SIN信号及びCOS信号)が発生する。SIN信号検出コイル10で発生した起電力(SIN信号)の振幅変動と、COS信号検出コイル20で発生した起電力(COS信号)の振幅変動とを解析することにより、センサロータ8の回転位置を算出することができる。すなわち、第1検波回路55は、SIN信号検出コイル10で発生するSIN信号から、励磁信号の高周波成分を除去する。一方、第2検波回路56は、COS信号検出コイル20で発生するCOS信号から、励磁信号の高周波成分を除去する。そして、演算機57は、第1検波回路55の出力信号と第2検波回路56の出力信号との振幅の比から、センサロータ8の現在の角度位置を算出し、その算出結果を角度データとして出力する。
次に、センサステータ7の構成について詳細に説明する。図3に、センサステータ7の構成を分解して斜視図により示す。図3に示すように、センサステータ7は、下から順に、ステータ基板1、第1絶縁層2、第1コイル層3、第2絶縁層4、第2コイル層5及びオーバコート6を備える。ステータ基板1は、PPS樹脂により略円環板状に形成され、高い平面性を有する。第1絶縁膜層2は、ステータ基板1の上に形成され、略円環薄膜状をなす。ステータ基板1は、外周に3つの取付部1aと、1つのコネクタ部1bとを含む。第1コイル層3は、第1絶縁膜層2の表面に形成される。第2絶縁層4は、略円環薄膜状をなし、第1コイル層3の上に形成される。第2コイル層5は、第2絶縁層4の上に形成される。オーバコート6は、第2コイル層5の上に形成され、同コイル層5を保護する。
図3において、第1コイル層3、第2絶縁層4及び第2コイル層5により、上記したSIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20が構成される。すなわち、第2絶縁層4を間に挟んで上下に重ねて形成された第1コイル層3と第2コイル層5を相互に接続することにより、多X型の平面コイルとしてのSIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20がそれぞれ構成される。そして、センサステータ7は、センサロータ8の表面に対して表面が対向するように配置され、そのセンサステータ7の表面にSIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20が形成される。
図4に、本発明の平面コイルとしてのSIN信号検出コイル10のパターンイメージを平面図により示す。図5に、本発明の平面コイルとしてのCOS信号検出コイル20のパターンイメージを平面図により示す。図4に示すように、SIN信号検出コイル10は、全体として略円環状をなし、電気角度で「180度」(機械角度で「90度」)ずつの位相位置に配置された4つの円弧状コイル10A,10B,10C,10Dを備える。各円弧状コイル10A〜10Dは、ステータ基板1の上にて周方向に配置される。周方向に配置された各円弧状コイル10A〜10Dは、それら円弧状コイル10A〜10Dの径方向外側に隣接して配置された接続線15を介して直列に接続される。この接続線15の両端は、互いに隣接して配置された正極端子16及び負極端子17に接続される。両端子16,17は、それぞれ外部に接続可能に設けられる。各円弧状コイル10A〜10Dは、後述するように、円周方向に2分割され、かつ径方向にも2分割されて構成されたものを接続することで形成される。
同様に、図5に示すように、COS信号検出コイル20は、全体として略円環状をなし、電気角度で「180度」(機械角度で「90度」)ずつの位相位置に配置された4つの円弧状コイル20A,20B,20C,20Dを備える。各円弧状コイル20A〜20Dは、ステータ基板1の上にて周方向に配置される。周方向に配置された各円弧状コイル20A〜20Dは、それら円弧状コイル20A〜20Dの径方向外側に隣接して配置された接続線25を介して直列に接続される。この接続線25の両端は、互いに隣接して配置された正極端子26及び負極端子27に接続される。両端子26,27は、それぞれ外部に接続可能に設けられる。各円弧状コイル20A〜20Dは、後述するように、円周方向に2分割され、かつ径方向にも2分割されて構成されたものを接続することで形成される。SIN信号検出コイル10とCOS信号検出コイル20は、同軸上に配置され、両コイル10,20の位相が電気角度で「90度」(機械角度で「45度」)ずれるように配置される。
図6に、SIN信号検出コイル10のパターンイメージの概略構成を平面図により示す。図7に、COS信号検出コイル20のパターンイメージの概略構成を平面図により示す。図6に示すように、SIN信号検出コイル10は、ステータ基板1の上にて周方向に交互に配置され、渦巻状に巻回された順方向平面コイルとしての順方向円弧状コイル10B,10D及び渦巻状に巻回され順方向平面コイルに対し逆相となるように電気的に接続された逆方向平面コイルとしての逆方向円弧状コイル10A,10Cと、互いに隣接して配置され、外部に接続可能に設けられた正極端子16及び負極端子17とを含む。順方向円弧状コイル10B,10Dと逆方向円弧状コイル10A,10Cとは、中間接続線15a,15b,15cを介して直列に接続される。直列に接続された一連の円弧状コイル10A〜10Dの両端のうち一端は第1端接続線15dを介して正極端子16に接続され、他端は第2端接続線15eを介して負極端子17に接続される。接続線15を構成する各接続線15a〜15eは、直列に接続された一連の円弧状コイル10A〜10Dの外周にて、それらの配列に沿って1周に満たない範囲で配置される。一連の円弧状コイル10A〜10Dの一端10aを折り返し点として、その一端10aに接続された折り返し接続線として第2端接続線15eが、その他の接続線である中間接続線15a〜15c及び第1端接続線15dに沿って配置されて負極端子17に接続される。この実施形態では、図4に示すように、折り返し接続線である第2端接続線15eは、その他の接続線15a〜15dに対して第2絶縁層4を介して上下に平行に重ねて配置される(図6では、便宜上横に並んで配置される。)。図4では、図6に示す各接続線15a〜15eを、まとめて接続線15として示す。
図7に示すように、COS信号検出コイル20は、ステータ基板1の上にて周方向に交互に配置され、渦巻状に巻回された順方向平面コイルとしての順方向円弧状コイル20B,20D及び渦巻状に巻回され順方向平面コイルに対し逆相となるように電気的に接続された逆方向平面コイルとしての逆方向円弧状コイル20A,20Cと、互いに隣接して配置され、外部に接続可能に設けられた正極端子26及び負極端子27とを含む。順方向円弧状コイル20B,20Dと逆方向円弧状コイル20A,20Cとは、中間接続線25a,25b,25cを介して直列に接続される。直列に接続された一連の円弧状コイル20A〜20Dの両端のうち一端は第1端接続線25dを介して正極端子26に接続され、他端は第2端接続線25eを介して負極端子27に接続される。各接続線25a〜25eは、直列に接続された一連の円弧状コイル20A〜20Dの外周にて、それらの配列に沿って1周に満たない範囲で配置される。一連の円弧状コイル20A〜20Dの一端20aを折り返し点として、その一端20aに接続された折り返し接続線として第2端接続線25eが、その他の接続線である中間接続線25a〜25c及び第1端接続線25dに沿って配置されて負極端子27に接続される。この実施形態では、図5に示すように、折り返し接続線である第2端接続線25eは、その他の接続線25a〜25dに対して第2絶縁層4を介して上下に平行に重ねて配置される(図7では、便宜上横に並んで配置される。)。図5では、図7に示す接続線25a〜25eを、まとめて接続線25として示す。
図8に、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dの1つとして、円弧状コイル10A(20A)を代表的に抜き出し拡大して平面図により示す。図4、図6及び図8に示すように、SIN信号検出コイル10を構成する各円弧状コイル10A〜10Dの一端10b及び他端10cは、各円弧状コイル10A〜10Dの周方向の中央の位置に配置される。すなわち、各円弧状コイル10A〜10Dは、その周方向の中央の位置にて、半径方向へ伸びる対称軸L1を中心に左右対称形状をなす。各円弧状コイル10A〜10Dの一端10b及び他端10cは、各円弧状コイル10A〜10Dの対称軸L1の上に配置される。そして、各接続線15a〜15eに接続された各円弧状コイル10A〜10Dには、その周方向の中央の位置から電流が入り、その中央の位置から電流が出るように構成される。
図8に示すように、各円弧状コイル10A〜10Dにつき、一端10bは円弧状コイル10A〜10Dの内側に配置され、他端10cは円弧状コイル10A〜10Dの外側に配置される。そして、各円弧状コイル10A〜10Dを構成するコイル線群100の配列を対称軸L1を中心に対称とするために、一端10bと他端10cとの間にて、コイル線群100の配列を径方向へ変位させ変位部100aが形成される。
図6に示すように、SIN信号検出コイル10につき、接続線15a〜15eは、直列に接続された各円弧状コイル10A〜10Dの外周側に配置される。各円弧状コイル10A〜10Dにつき、接続線15a〜15eへ向けて一端10bから径方向へ伸びる第1渡り接続線15fと、接続線15a〜15eへ向けて他端10cから径方向へ伸びる第2渡り接続線15gとが設けられる。そして、これら第1渡り接続線15fと第2渡り接続線15gとが、図4に示すように、第2絶縁層4(図3参照)を介して上下に重なるように配置される。
同様に、図5、図7及び図8に示すように、COS信号検出コイル20を構成する各円弧状コイル20A〜20Dの一端20b及び他端20cは、各円弧状コイル20A〜20Dの周方向の中央の位置に配置される。すなわち、各円弧状コイル20A〜20Dは、その周方向の中央の位置にて、半径方向へ伸びる対称軸L1を中心に左右対称形状をなす。各円弧状コイル20A〜20Dの一端20b及び他端20cは、各円弧状コイル20A〜20Dの対称軸L1の上に配置される。そして、各接続線25a〜25eに接続された各円弧状コイル20A〜20Dには、その周方向の中央の位置から電流が入り、その中央の位置から電流が出るように構成される。
図8に示すように、各円弧状コイル20A〜20Dにつき、一端20bは円弧状コイル20A〜20Dの内側に配置され、他端20cは円弧状コイル20A〜20Dの外側に配置される。そして、各円弧状コイル20A〜20Dを構成するコイル線群200の配列を対称軸L1を中心に対称とするために、一端20bと他端20cとの間にて、コイル線群200の配列を径方向へ変位させ変位部200aが形成される。
図7に示すように、COS信号検出コイル20につき、接続線25a〜25eは、直列に接続された各円弧状コイル20A〜20Dの外周側に配置される。各円弧状コイル20A〜20Dにつき、接続線25a〜25eへ向けて一端20bから径方向へ伸びる第1渡り接続線25fと、接続線25a〜25eへ向けて他端20cから径方向へ伸びる第2渡り接続線25gとが設けられる。そして、これら第1渡り接続線25fと第2渡り接続線25gとが、図5に示すように、第2絶縁層4(図3参照)を介して上下に重なるように配置される。
図9に、第2コイル層5を平面図により示す。第2コイル層5のコイルパターンは、第2絶縁層4の表面に導電性インクを印刷により描画した後、焼成することにより形成される。図9に示すように、略円環状をなす第2コイル層5は、SIN信号検出コイル10を構成する4個のSIN第2コイル12A,12B,12C,12Dを備え、それらが外周側に電気角度で「180度」(機械角度で「90度」)ずつ異なる位置に配置される。また、図9に示すように、第2コイル層5は、内周側に4個のSIN第3コイル13A,13B,13C,13Dを備え、それらが内周側に電気角度で「180度」(機械角度で「90度」)ずつ異なる位置に配置される。図10に、図9におけるSIN第2コイル12A〜12DとSIN第3コイル13A〜13Dのみを抜き出して平面図により示す。これらSIN第3コイル13A〜13Dは、SIN第2コイル12A〜12Dに対して、時計回りに電気角度で「90度」(機械角度で「45度」)だけ位相がずれた位置に配置される。
図9に示すように、SIN第2コイル12A〜12Dの内周側には、COS信号検出コイル20を構成するCOS第3コイル23C,23D,23A,23Bが配置される。また、SIN第3コイル13A〜13Dの外周側には、COS信号検出コイル20を構成するCOS第2コイル22B,22C,22D,22Aが配置される。図11に、図9におけるCOS第2コイル22A〜22DとCOS第3コイル23A〜23Dのみを抜き出して平面図により示す。これらCOS第3コイル23A〜23Dは、COS第2コイル22A〜22Dに対して、時計回りに電気角度で「90度」(機械角度で「45度」)だけ位相がずれた位置に配置される。
図12に、図9及び図10におけるSIN第3コイル13A〜13DとSIN第2コイル12A〜12Dの関係につき、SIN第3コイル13AとSIN第2コイル12Aのみを抜き出して拡大して平面図により示す。図12に示すように、SIN第2コイル12Aは、略矩形の1/4部分を構成する7本のコイル線121,122,123,124,125,126,127を備える。これらコイル線121〜127は、内周側から外周側へ順次大きくなるように形成され、配置される。各コイル線121〜127は、それぞれ第1の端121a,122a,123a,124a,125a,126a,127aと、第2の端121b,122b,123b,124b,125b,126b,127bとを含む。同様に、SIN第3コイル13Aは、略矩形の1/4部分を構成する7本のコイル線131,132,133,134,135,136,137を備える。これらコイル線131〜137は、外周側から内周側へ順次大きくなるように形成され、配置される。各コイル線131〜137は、それぞれ第1の端131a,132a,133a,134a,135a,136a,137aと、第2の端131b,132b,133b,134b,135b,136b,137bとを含む。
図13に、第1コイル層3を平面図により示す。第1コイル層3のコイルパターンは、第1絶縁層2の表面に導電性インクを印刷により描画した後、焼成することにより形成される。図13に示すように、略円環状をなす第1コイル層3は、SIN信号検出コイル10を構成する4個のSIN第1コイル11A,11B,11C,11Dを備え、それらが外周側に電気角度で「180度」(機械角度で「90度」)ずつ異なる位置に配置される。また、図13に示すように、第1コイル層3は、SIN信号検出コイル10を構成する4個のSIN第4コイル14A,14B,14C,14Dを備え、それらが内周側に電気角度で「180度」(機械角度で「90度」)ずつ異なる位置に配置される。図14に、図13におけるSIN第1コイル11A〜11DとSIN第4コイル14A〜14Dのみを抜き出して平面図により示す。これらSIN第4コイル14A〜14Dは、SIN第1コイル11A〜11Dに対して反時計回りに電気角度で「90度」(機械角度で「45度」)だけ位相がずれた位置に配置される。
図13に示すように、SIN第1コイル11A〜11Dの内周側には、COS信号検出コイル20を構成するCOS第4コイル24B,24C,24D,24Aが配置される。また、SIN第4コイル14A〜14Dの外周側には、COS信号検出コイル20を構成するCOS第1コイル21C,21D,21A,21Bが配置される。図15に、図13におけるCOS第1コイル21A〜21DとCOS第4コイル24A〜24Dのみを抜き出して平面図により示す。これらCOS第1コイル21A〜21Dは、COS第4コイル24A〜24Dに対して、時計回りに電気角度で「90度」(機械角度で「45度」)だけ位相がずれた位置に配置される。
図16に、図13及び図14におけるSIN第1コイル11A〜11DとSIN第4コイル14A〜14Dの関係につき、SIN第1コイル11AとSIN第4コイル14Aのみを抜き出して拡大して平面図により示す。図16に示すように、SIN第1コイル11Aは、略矩形の1/4部分を構成する7本のコイル線111,112,113,114,115,116,117を備える。これらコイル線111〜117は、内周側から外周側へ順次大きくなるように形成され、配置される。各コイル線111〜117は、それぞれ第1の端111a,112a,113a,114a,115a,116a,117aと、第2の端111b,112b,113b,114b,115b,116b,117bとを含む。同様に、SIN第4コイル14Aは、略矩形の1/4部分を構成する7本のコイル線141,142,143,144,145,146,147を備える。これらコイル線141〜147は、外周側から内周側へ順次大きくなるように形成され、配置される。各コイル線141〜147は、それぞれ第1の端141a,142a,143a,144a,145a,146a,147aと、第2の端141b,142b,143b,144b,145b,146b,147bとを含む。
図9に示すように、円環状に配置されたSIN第3コイル13A〜13D及びCOS第3コイル23A〜23Dの内側には、ステータ側のロータリートランス30を構成する円環状のコイル31が配置される。また、図9に示すように、円環状に配置されたSIN第2コイル12A〜12D及びCOS第2コイル22A〜22Dの外側には、上記した各接続線15b,15c,25b,25d,25e及び各端子17,27が配置される。
同様に、図13に示すように、円環状に配置されたSIN第4コイル14A〜14D及びCOS第4コイル24A〜24Dの内側には、ステータ側のロータリートランス30を構成する円環状のコイル32が配置される。また、図13に示すように、円環状に配置されたSIN第1コイル11A〜11D及びCOS第1コイル21A〜21Dの外側には、各接続線15a,15c,15d,25a〜25e及び各端子16,26,35,36が配置される。
次に、図3〜図16を参照してSIN信号検出コイル10の構成を更に詳しく説明する。図10に示す正極端子16は、SIN信号検出コイル10のための端子である。この正極端子16は、第1端接続線15dにより、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して、図9及び図12に示すSIN第2コイル12Bのコイル線127の端部127aに接続される。SIN第2コイル12Bのコイル線127の端部127bは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図13及び図16に示すSIN第4コイル14Bのコイル線147の端部147bに接続される。SIN第4コイル14Bのコイル線147の端部147aは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図9及び図12に示すSIN第3コイル13Bのコイル線137の端部137aに接続される。SIN第3コイル13Bのコイル線137の端部137bは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図13及び図16に示すSIN第1コイル11Bのコイル線117の端部117bに接続される。このようにして、SIN第2コイル12B、SIN第4コイル14B、SIN第3コイル13B及びSIN第1コイル11Bの最外周のコイル線127,147,137,117により、最外周の巻き部(ターン)が構成される。
また、図13及び図16に示すSIN第1コイル11Bのコイル線117の端部117aは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図9及び図12に示すSIN第2コイル12Bのコイル線126の端部126aに接続される。そして、上記したSIN第2コイル12B、SIN第4コイル14B、SIN第3コイル13B及びSIN第1コイル11Bの最外周のコイル線127,147,137,117と同様に、SIN第2コイル12B、SIN第4コイル14B、SIN第3コイル13B及びSIN第1コイル11Bのコイル線126,146,136,116により、最外周に隣接する内側のターンが構成される。同様に、順次内側のコイルが構成され、最終的に、SIN第2コイル12B、SIN第4コイル14B、SIN第3コイル13B及びSIN第1コイル11Bの最内周のコイル線121,141,131,111により最内周のターンが構成される。このようにして、SIN第2コイル12B、SIN第4コイル14B、SIN第3コイル13B及びSIN第1コイル11Bにより、円弧状コイル10Bが時計回りの螺旋状コイルとして構成される。
上記した円弧状コイル10Bの最内周のターンを構成するSIN第1コイル11Bのコイル線111の端部111aは、図13に示す中間接続線15aを介して、図9及び図12に示すSIN第2コイル12Aの最内周のコイル線121の端部121aに接続される。SIN第2コイル12Aのコイル線121の端部121bは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図13及び図16に示すSIN第4コイル14Aのコイル線141の端部141bに接続される。SIN第4コイル14Aのコイル線141の端部141aは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図9及び図12に示すSIN第3コイル13Aのコイル線131の端部131aに接続される。SIN第3コイル13Aのコイル線131の端部131bは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図13及び図16に示すSIN第1コイル11Aのコイル線111の端部111bに接続される。このようにして、SIN第2コイル12A、SIN第4コイル14A、SIN第3コイル13A及びSIN第1コイル11Aの最内周のコイル線121,141,131,111により、最内周のターンが構成される。
また、図13及び図16に示すSIN第1コイル11Aのコイル線111の端部111aは、第2絶縁層4のスルーホール4aを介して、図9及び図12に示すSIN第2コイル12Aのコイル線122の端部122aに接続される。そして、上記したSIN第2コイル12A、SIN第4コイル14A、SIN第3コイル13A及びSIN第1コイル11Aの最内周のコイル線121,141,131,111と同様に、SIN第2コイル12A、SIN第4コイル14A、SIN第3コイル13A及びSIN第1コイル11Aのコイル線122,142,132,112により、最内周に隣接する外側のターンが構成される。同様に、順次外側のコイルが構成され、最終的に、SIN第2コイル12A、SIN第4コイル14A、SIN第3コイル13A及びSIN第1コイル11Aの最外周のコイル線127,147,137,117により最外周のターンが構成される。このようにして、SIN第2コイル12A、SIN第4コイル14A、SIN第3コイル13A及びSIN第1コイル11Aにより、円弧状コイル10Aが反時計回りの螺旋状コイルとして構成される。
同様にして、SIN第1コイル11D、SIN第3コイル13D、SIN第4コイル14D及びSIN第2コイル12Dにより、円弧状コイル10Dが反時計回りの螺旋状コイルとして構成される。また、SIN第2コイル12C、SIN第4コイル14C、SIN第3コイル13C及びSIN第1コイル11Cにより、円弧状コイル10Cが時計回りの螺旋状コイルとして構成される。
このように構成される4個の円弧状コイル10A,10B,10C,10Dにより、略円環状をなすSIN信号検出コイル10が構成される。
COS信号検出コイル20についても、円周方向に分割された4個の円弧状コイル20A,20B,20C,20Dにより構成される。そして、1つの円弧状コイル20Aは、COS第1コイル21A、COS第2コイル22A、COS第3コイル23A及びCOS第4コイル24Aにより構成される。ここで、COS第1コイル21A及びCOS第4コイル24Aは、図13に示すように第1コイル層3に形成され、COS第2コイル22A及びCOS第3コイル23Aは、図9に示すように第2コイル層5に形成される。
残りの円弧状コイル20B,20C,20Dの構成についても、基本的には、上記した円弧状コイル20Aと同様である。COS信号検出コイル20は、図9及び図13に示す正極端子26及び負極端子27に接続される。COS信号検出コイル20を構成する2つの円弧状コイル20A,20Cは、第1コイル層3と第2コイル層5とを行き来しつつ、時計回りの螺旋状コイルとして構成される。また、COS信号検出コイル20を構成する他の2つの円弧状コイル20B,20Dは、第1コイル層3と第2コイル層5とを行き来しつつ、反時計回りの螺旋状コイルとして構成される。
図17に、図9に示すコイル31を抜き出して平面図により示す。図18に、図13に示すコイル32を抜き出して平面図により示す。これらコイル31,32は、ステータ側ロータリートランス30を構成し、図18及び図13に示す端子35,36に接続される。
次に、センサロータ8の構成について詳細に説明する。図19に、センサロータ8の構成を分解して斜視図により示す。図19に示すように、センサロータ8は、下からロータ基板61と、ロータ基板61の表面に形成された第1コイル層62と、第1コイル層62の上に形成された絶縁層63と、絶縁層63の上に形成された第2コイル層64と、第2コイル層64の上に形成された保護膜であるオーバコート65とを備える。
ロータ基板61は、アルミ又は真鍮等の非磁性導電性金属により円環板状に形成され、中心に円形の孔61aを有する。ロータ基板61の表面には、凹部61bが形成される。この凹部61bには、PPS等の樹脂が充填され、その樹脂が凝固している。
絶縁層63及びオーバコート65は、絶縁材料により円環薄膜状に形成される。絶縁層63には、所々にスルーホール63aが形成される。
第1コイル層62は、全体で円環状をなすように配置された4個の円弧状コイル62a,62b,62c,62dを備える。第2コイル層64も、全体で円環状をなすように配置された4個の円弧状コイル64a,64b,64c,64dを備える。第1コイル層62を構成する円弧状コイル62a〜62dの一端は、ロータ側ロータリートランス41を構成するコイル41aに接続される。4個の円弧状コイル62a〜62dの他端は、絶縁層63のスルーホール63aを通って、第2コイル層64を構成する円弧状コイル64a〜64dの一端に接続される。4個の円弧状コイル64a〜64dの他端は、ロータ側ロータリートランス41を構成するコイル41bに接続される。コイル41aの他端とコイル41bの他端とは、絶縁層63のスルーホール63aを介して接続されている。
上記した第1コイル層62を構成する4個の円弧状コイル62a〜62d及び第2コイル層64を構成する4個の円弧状コイル64a〜64dにより、励磁コイル40が構成される。
以上説明したこの実施形態の角度センサ9によれば、図6に示すように、センサステータ7を構成するSIN信号検出コイル10につき、ステータ基板1の上にて周方向に交互に配置されて直列に接続された一連の順方向円弧状コイル10B,10Dと逆方向円弧状コイル10A,10Cを備える。これら直列に接続された一連の円弧状コイル10A〜10Dの両端のうち、一端が第1端接続線15dを介して正極端子16に接続され、他端が第2端接続線15eを介して負極端子17に接続される。ここで、一連の円弧状コイル10A〜10Dの配列に沿って1周に満たない範囲で各接続線15a〜15eが配置される。また、一連の円弧状コイル10A〜10Dの一端10aを折り返し点として、その一端aに接続された折り返し接続線(第2端接続線)15eが、その他の接続線15a〜15dに沿って配置されて負極端子17に接続される。従って、一連の円弧状コイル10A〜10Dの両端に接続された接続線15a〜15eにつき、その一端10aに接続された折り返し接続線(第2端接続線)15eが、その他の接続線15a〜15dに沿って配置されるので、接続線15a〜15eの全体が実質的にループアンテナを構成することがない。このため、接続線15a〜15eの全体に対し、外部からの電磁ノイズの影響を受け難くすることができる。また、折り返し接続線(第2端接続線)15eが、その他の接続線15a〜15dに沿って配置されるので、両者15e,15a〜15dの間で電流が逆向きとなり、折り返し接続線(第2端接続線)15eに外部から侵入する電磁ノイズと、その他の接続線15a〜15dに外部から侵入する電磁ノイズとが互いに打ち消し合う。このため、SIN信号検出コイル10に対し、外部からの電磁ノイズの影響を低減することができる。
また、この実施形態の角度センサ9によれば、図7に示すように、センサステータ7を構成するCOS信号検出コイル20につき、ステータ基板1の上にて周方向に交互に配置されて直列に接続された一連の順方向円弧状コイル20B,20Dと逆方向円弧状コイル20A,20Cを備える。これら直列に接続された一連の円弧状コイル20A〜20Dの両端のうち、一端が第1端接続線25dを介して正極端子26に接続され、他端が第2端接続線25eを介して負極端子27に接続される。ここで、一連の円弧状コイル20A〜20Dの配列に沿って1周に満たない範囲で接続線25a〜25eが配置される。また、一連の円弧状コイル20A〜20Dの一端20aを折り返し点として、その一端20aに接続された折り返し接続線(第2端接続線)25eが、その他の接続線25a〜25dに沿って配置されて負極端子27に接続される。従って、一連の円弧状コイル20A〜20Dの両端に接続された接続線25a〜25eにつき、その一端20aに接続された折り返し接続線(第2端接続線)25eが、その他の接続線25a〜25dに沿って配置されるので、接続線25a〜25eの全体が実質的にループアンテナを構成することがない。このため、接続線25a〜25eの全体に対し、外部からの電磁ノイズの影響を受け難くすることができる。また、折り返し接続線(第2端接続線)25eが、その他の接続線25a〜25dに沿って配置されるので、両者25e,25a〜25dの間で電流が逆向きとなり、折り返し接続線(第2端接続線)25eに外部から侵入する電磁ノイズと、その他の接続線25a〜25dに外部から侵入する電磁ノイズとが互いに打ち消し合う。このため、COS信号検出コイル20に対し、外部からの電磁ノイズの影響を低減することができる。そして、このようにSIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20への電磁ノイズの影響を低減できるので、角度センサ1としての検出精度及び性能を向上させることができる。
また、この実施形態では、SIN信号検出コイル10につき、折り返し接続線(第2端接続線)15e及びその他の接続線15a〜15dが、直列に接続された一連の円弧状コイル10A〜10Dの径方向外側に配置されるので、接続線15a〜15dの内側に配置された一連の円弧状コイル10A〜10Dに対し、外部から電磁ノイズが侵入し難くなる。また、折り返し接続線(第2端接続線)15eとその他の接続線15a〜15dが上下に隣接して配置されるので、折り返し接続線(第2端接続線)15eとその他の接続線15a〜15dとの間のスペースが小さくなる。この意味で、接続線15a〜15eにつき、外部からの電磁ノイズの影響を更に受け難くすることができる。このことは、COS信号検出コイル20の接続線25a〜25eについても同様である。
特に、この実施形態では、折り返し接続線(第2端接続線)15eとその他の接続線15a〜15dとが上下に平行に重ねて配置されるので、折り返し接続線(第2端接続線)15eとその他の接続線15a〜15dとの間の面積が実質的にゼロとなる。このため、接続線15a〜15eにつき、外部からの電磁ノイズの影響をより一層受け難くすることができる。このことは、COS信号検出コイル20の接続線25a〜25eについても同様である。
図20に、この実施形態の角度センサ1につき、誤差成分(サイクル)と誤差角度(DEG)との関係をグラフにより示す。図21に、対比例の角度センサ(接続線がループアンテナ状に配置されたもの。)につき、誤差成分(サイクル)と誤差角度(DEG)との関係をグラフにより示す。図20と図21を比較して明らかなように、本実施形態の角度センサ1及び対比例の角度センサとも、誤差成分「0〜2」の間で1次誤差が生じることが分かるが、本実施形態の角度センサ1では、対比例の角度センサに対して、1次誤差を「60%」ほど低減できたことが分かる。この意味から、本実施形態の角度センサ1によれば、外部からの電磁ノイズの影響を低減できることが分かる。
加えて、この実施形態の角度センサ1によれば、センサステータ7のSIN信号検出コイル10につき、接続線15a〜15gを介して直列に接続された各円弧状コイル10A〜10Dのそれぞれが、その周方向の中央の位置にて半径方向へ伸びる対称軸L1を中心に対称形状をなす。また、接続線15a〜15gに接続される各円弧状コイル10A〜10Dの一端10b及び他端10cが、対称軸L1の上に配置される。したがって、各円弧状コイル10A〜10Dに対する電流の出入りに対し、各円弧状コイル10A〜10Dの形状の対称性が良くなる。同様に、センサステータ7のCOS信号検出コイル20につき、接続線25a〜25gを介して直列に接続された各円弧状コイル20A〜20Dのそれぞれが、その周方向の中央の位置にて半径方向へ伸びる対称軸L1を中心に対称形状をなす。また、接続線25a〜25gに接続される各円弧状コイル20A〜20Dの一端20b及び他端20cが、対称軸L1の上に配置される。したがって、各円弧状コイル20A〜20Dに対する電流の出入りに対し、各円弧状コイル20A〜20Dの形状の対称性が良くなる。このため、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dのそれぞれにつき、磁束密度を均等化させることができ、SIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20の検出精度を向上させることができ、延いては角度センサ1として検出精度及び性能を向上させることができる。
この実施形態によれば、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dを構成するコイル線群100,200の配列を対称軸L1を中心に対称とするために、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dの一端10b,20bと他端10c,20cとの間にて、コイル線群100,200の配列を変位部100a,200aにて径方向へ変位させているので、コイル線群100,200の配列の対称性も良くなる。このため、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dの磁束密度を更に均等化させることができ、SIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20の検出精度を更に向上させることができ、延いては角度センサ1として検出精度及び性能を更に向上させることができる。
この実施形態によれば、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dにつき、外周側に配置された接続線15a〜15e,25a〜25eへ向けて一端10b,20bから伸びる第1渡り接続線15f,25fと、同じく接続線15a〜15e,25a〜25eへ向けて他端10c,20cから伸びる第2渡り接続線15g,20gとが第2絶縁層4(図3参照)を介して上下に重なるように配置される。したがって、第1渡り接続線15f,25fと第2渡り接続線15g,25gとの間で電流が逆向きとなり、第1渡り接続線15f,25fに外部から侵入する電磁ノイズと、第2渡り接続線15g,25gに外部から侵入する電磁ノイズとが互いに打ち消し合う。このため、第1渡り接続線15f,25fと第2渡り接続線15g,25gの部分で外部からの電磁ノイズの影響を受け難くすることができ、各円弧状コイル10A〜10D,20A〜20Dに対する外部からの電磁ノイズの影響を低減することができ、延いては角度センサ1としての検出精度及び性能をより一層向上させることができる。
図22に、電気角度に対する角度センサの出力波形の関係をグラフより示す。図22において、太線は本実施形態に係る波形を示し、実線は対比例(各円弧状コイルの対称性が改善されていないタイプ)に係る波形を示し、破線は理想波形を示す。このグラフから明らかなように、本実施形態に係る波形は、理想波形にほぼ一致し、対称性が良く、誤差性能が向上していることが分かる。これに対し、対比例に係る波形は、そのピーク部分が理想波形から大きくずれており、対称性が悪く、誤差性能が良くないことが分かる。この意味から、本実施形態の角度センサ1によれば、誤差性能を改善することができ、検出精度を向上できることが分かる。
この実施形態の角度センサ9によれば、センサステータ7とセンサロータ8を備え、そのセンサステータ7が、ステータ基板1、第1絶縁層2、第1コイル層3、第2絶縁層4、第2コイル層5及びオーバコート6により構成される。ここで、第2絶縁層4を間に挟んで形成された第1コイル層3及び第2コイル層5により、SIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20が構成される。そして、SIN信号検出コイル10を構成する各円弧状コイル10A〜10Dが、円周方向に2分割され、かつ径方向にも2分割されて構成されたものを接続することで形成される。すなわち、各円弧状コイル10A〜10Dは、外周側にSIN第1コイル11A〜11DとSIN第2コイル12A〜12Dが配置され、内周側にSIN第3コイル13A〜13DとSIN第4コイル14A〜14Dが配置される。また、SIN第1コイル11A〜11DとSIN第3コイル13A〜13Dが円周方向において対向して配置され、SIN第2コイル12A〜12DとSIN第4コイル14A〜14Dが円周方向において対向して配置される。また、SIN第1コイル11A〜11DとSIN第4コイル14A〜14Dが第1コイル層3に配置され、SIN第2コイル12A〜12DとSIN第3コイル13A〜13Dが第2コイル層5に配置される。
さらに、COS信号検出コイル20を構成する各円弧状コイル20A〜20Dが、円周方向に2分割され、かつ径方向にも2分割されて構成されたものを接続することで形成される。すなわち、各円弧状コイル20A〜20Dは、外周側にCOS第1コイル21A〜21DとCOS第2コイル22A〜22Dが配置され、内周側にCOS第3コイル23A〜23DとCOS第4コイル24A〜24Dが配置される。そして、COS第1コイル21A〜21DとCOS第3コイル23A〜23Dが円周方向において対向して配置され、COS第2コイル22A〜22DとCOS第4コイル24A〜24Dが円周方向において対向して配置される。また、COS第1コイル21A〜21DとCOS第4コイル24A〜24Dが第1コイル層3に配置される。されに、COS第2コイル22A〜22DとCOS第3コイル23A〜23Dが第2コイル層5に配置される。したがって、ステータ基板1それ自体が、円周方向において、波打ち等の変形を成している場合であっても、SIN第1コイル11A〜11D(SIN第4コイル14A〜14D)とSIN第2コイル21A〜21D(SIN第3コイル13A〜13D)とが、波打ち等の変形により発生する誤差を打ち消し合うこととなる。同様に、COS第1コイル21A〜21D(COS第4コイル24A〜24D)とCOS第2コイル22A〜22D(COS第3コイル23A〜23D)とが、波打ち等の変形により発生する誤差を打ち消し合うこととなる。この意味でも、検出誤差の少ない高精度な角度センサ9を実現することができる。
すなわち、SIN第1コイル11A〜11Dが第1コイル層3に形成され、SIN第2コイル12A〜12Dが第2コイル層5に形成され、SIN第3コイル13A〜13Dが第2コイル層5に形成され、SIN第4コイル14A〜14Dが第1コイル層3に形成される。このため、第1コイル層3に形成されるSIN第1コイル11A〜11D及びSIN第4コイル14A〜14Dと、第2コイル層5に形成されるSIN第2コイル12A〜12D及びSIN第3コイル13A〜13Dとで、ステータ基板1の円周方向における変形によるギャップにより、受ける磁束密度が異なる場合でも、全体のSIN信号検出コイル10(SIN第1コイル11A〜11D、SIN第2コイル12A〜12D、SIN第3コイル13A〜13D、SIN第4コイル14A〜14D)として、誤差を相殺することができる。
同様に、COS第1コイル21A〜21Dが第1コイル層3に形成され、COS第2コイル22A〜22Dが第2コイル層5に形成され、COS第3コイル23A〜23Dが第2コイル層5に形成され、COS第4コイル24A〜24Dが第1コイル層3に形成される。このため、第1コイル層3に形成されるCOS第1コイル21A〜21D及びCOS第4コイル24A〜24Dと、第2コイル層5に形成されるCOS第2コイル22A〜22D及びCOS第3コイル23A〜23Dとで、円周方向における変形によるギャップにより、受ける磁束密度が異なる場合でも、全体のCOS信号検出コイル20(COS第1コイル21A〜21D、COS第2コイル22A〜22D、COS第3コイル23A〜23D、COS第4コイル24A〜24D)として、誤差を相殺することができる。
この実施形態では、SIN第1コイル11A〜11DとSIN第3コイル13A〜13Dの組と、COS第2コイル22A〜22DとCOS第4コイル24A〜24Dの組が、円周方向において同じ位置にあり、SIN第2コイル12A〜12DとSIN第4コイル14A〜14Dの組と、COS第1コイル21A〜21Dと第3コイル23A〜23Dの組が、円周方向において同じ位置にある。したがって、SIN信号検出コイル10とCOS信号検出コイル20との位置関係を、励磁コイル40に対して、常に一定とすることができる。
この実施形態では、SIN第1コイル11A〜11DとSIN第2コイル12A〜12Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。また、SIN第2コイル12A〜12DとSIN第4コイル14A〜14Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。また、SIN第4コイル14A〜14DとSIN第3コイル13A〜13Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接される。更に、SIN第3コイル13A〜13DとSIN第1コイル11A〜11Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。同様に、COS第1コイル21A〜21DとCOS第2コイル22A〜22Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。また、COS第2コイル22A〜22DとCOS第4コイル24A〜24Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。また、COS第4コイル24A〜24DとCOS第3コイル23A〜23Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。更に、COS第3コイル23A〜23DとCOS第1コイル21A〜21Dとが、第2絶縁層4に形成されたスルーホール4aを介して接続される。したがって、SIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20を容易かつ高い位置精度で製造することができる。このため、ステータ基板1の円周方向における変形によるギャップにより、受ける磁束密度が異なる場合でも、全体のSIN信号検出コイル10(SIN第1コイル11A〜11D、SIN第2コイル12A〜12D、SIN第3コイル13A〜13D、SIN第4コイル14A〜14D)として、誤差を確実かつ精確に相殺することができる。
この実施形態では、第1コイル層3及び第2コイル層5が、導電性インクを絶縁層2,4の上に印刷により描画した後、焼成することで形成される。したがって、焼成により、第1コイル層3と第2コイル層5に偏差がある場合でも、上記構成により、SIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20の抵抗値がそれぞれ平均化され、抵抗値を互いに相殺でき、検出精度を劣化させることが少なくなる。
この実施形態では、SIN信号検出コイル10及びCOS信号検出コイル20が、1つの検出コイルを構成するので、所定の磁界に対して一定の誘起電圧を発生することができ、高精度の角度センサ9を得ることができる。
なお、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
例えば、前記実施形態では、SIN信号検出コイル10の接続線15につき、折り返し接続線(第2端接続線)15eを、その他の接続線15a〜15dに対して第2絶縁層4を介して上下に平行に重ねて配置した。これに対し、図23に接続線15a〜15eの一部の配置状態を拡大して平面図により示すように、折り返し接続線(第2端接続線)15eを、その他の接続線15a〜15dに対して第2絶縁層4(図3参照)を介して交互に方向を変えてツイスト状に偶数回交差するように配置することもできる。この場合は、折り返し接続線(第2端接続線)15eとその他の接続線15a〜15dとが交互に方向を変えてツイスト状に交差するように配置されるので、両者15e,15a〜15dの間のスペースが小さくなり、外部からの電磁ノイズがより有効に打ち消し合う。このため、接続線15a〜15eにつき外部からの電磁ノイズの影響をより一層受け難くすることができる。COS信号検出コイル20の接続線25についても同様である。
前記実施形態では、SIN第1コイル11A〜11DとSIN第4コイル14A〜14Dを第1コイル層3に形成し、SIN第2コイル12A〜12DとSIN第3コイル13A〜13Dとを第2コイル層5に形成した。これに対し、SIN第1コイル11A〜11DとSIN第4コイル14A〜14Dを第2コイル層5に形成し、SIN第2コイル12A〜12DとSIN第3コイル13A〜13Dとを第1コイル層3に形成しても良い。
前記実施形態では、COS第1コイル23A〜23DとCOS第4コイル24A〜24Dを第1コイル層3に形成し、COS第2コイル22A〜22DとCOS第3コイル23A〜23Dとを第2コイル層5に形成した。これに対し、COS第1コイル21A〜21DとCOS第4コイル24A〜24Dを第2コイル層5に形成し、COS第2コイル22A〜22DとCOS第3コイル23A〜23Dとを第1コイル層3に形成しても良い。
また、前記実施形態では、1励磁2出力のレゾルバについて説明したが、本発明を、2励磁1出力のレゾルバに適用することもできる。