以下、本発明の水処理装置を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1の水処理装置100を示す図である。図1には、水処理装置100の断面構造を示す。
水処理装置100は、原水槽110、電気分解処理槽120、遮断弁130、ポンプ140、及び配管150を含む。水処理装置100は、原水槽110と電気分解処理槽120とが独立したバッチ式の水処理装置である。
原水槽110は、貯容槽111、蓋部112、流入口113、及び排出口114を有する。
貯容槽111は、底面111A及び側面111Bを有する容器状の部材である。貯容槽111は、原水10を貯容するために設けられている。貯容槽111は、第1貯容槽の一例である。ここでは、一例として、底面111Aは、上方から見た平面視で矩形状であり、側面111Bは、底面111Aを囲繞するように四面に配置されている。
ここで、原水10とは、例えば、工業用水、工場廃水、水道水、井水、河川水、湖沼水、海水、かん水等の有機物を含む水であり、水質改善の対象になる水である。
蓋部112は、側面111Bの上端を封止している。蓋部112は、貯容槽111に貯容される原水10の水面10Aの上の気相空間115を封止する。原水10の水面10Aの上の気相空間115は、第1気相空間の一例である。
蓋部112には、配管150を挿通させる開口部が形成されており、開口部は、配管150が通された状態で封止されている。蓋部112は、第1蓋部の一例である。
ここで、貯容槽111は、例えば、平面視で一辺の長さが数十メートル程度あるような非常に大きな槽であってもよい。このような大きな貯容槽111は、例えば、鉄筋コンクリートで形成することができる。この場合には、底面111Aと側面111Bは、それぞれ、鉄筋コンクリートで形成される貯容槽111の底部の上面と側壁の内面になる。
また、この場合に、蓋部112は、貯容槽111の上部を封止できるように、例えば、樹脂、金属、又は鉄筋コンクリート等で作製すればよい。
また、貯容槽111は、例えば、平面視で一辺の長さが数メートル程度の比較的コンパクトな槽であってもよい。このような大きな貯容槽111は、例えば、樹脂製のタンクとして実現することができる。この場合に、底面111Aと側面111Bは、それぞれ、樹脂製のタンクの底板の上面と側壁の内面になる。
また、この場合に、蓋部112は、貯容槽111の上部を封止できるように、例えば、タンクの上部に取り付けられる樹脂製の蓋であってもよいし、又は、貯容槽111と一体成型されるタンクの天板であってもよい。
なお、上述した貯容槽111のサイズや構成は、一例であり、貯容槽111は、様々な形態のものであってよく、サイズはさらに大きくても小さくてもよい。また、蓋部112は、貯容槽111の上部を封止できれば、様々な形態のものであってよい。
流入口113と排出口114は、貯容槽111の側面111Bに設けられる。流入口113は、貯容槽111に原水10を流入させるために設けられている。流入口113は、排出口114よりも高い位置に取り付けられている。流入口113は、第1流入口の一例である。
排出口114は、電気分解処理槽120に接続されており、貯容槽111の内部の原水10を電気分解処理槽120に供給するために設けられている。排出口114は、第1排出口の一例である。
電気分解処理槽120は、貯容槽121、蓋部122、流入口123、排出口124、及び電極125A、125Bを有する。
貯容槽121は、底面121A及び側面121Bを有する容器状の部材である。貯容槽121は、原水槽110から供給される原水10を含む処理水20を貯容し、電気分解処理による水質改善を行うために設けられている。
処理水20の水質改善は、一例として、処理水20に食塩を投入し、電気分解処理を行いながら処理水20の中で次亜塩素酸系の酸化剤を生成する。そして、次亜塩素酸の酸化力を利用して、処理水20に含まれる有機物等を分解し、処理水20の殺菌や脱色を行う。このようにして、処理水20の水質改善を行う。なお、原水10が塩化物を含む場合には、処理水20に食塩を加える必要はない。
貯容槽121は、第2貯容槽の一例である。ここでは、一例として、底面121Aは、上方から見た平面視で矩形状であり、側面121Bは、底面121Aを囲繞するように四面に配置されている。
ここで、処理水20とは、原水10を含み、電気分解処理に伴って水質改善が行われ、原水10に含まれていた有機物が分解され、殺菌や脱色が行われる水をいう。処理水20は、有機物等の電解質を含むため、ある程度高い導電性を有する。
また、貯容槽121の中では、処理水20に含まれる有機物等は沈殿するため、処理水20は、貯容槽121の上部にある上澄み液と、貯容槽121の下部にある沈殿液とでは、水質改善の度合が異なる。このため、処理水20の上澄み液を排出口124から排出している。なお、貯容槽121の下部には、沈殿液を抜き取るためのドレイン(不図示)が設けられている。
蓋部122は、側面121Bの上端を封止している。蓋部122は、貯容槽121に貯容される処理水20の水面20Aの上の気相空間127を封止する。処理水20の水面20Aの上の気相空間127は、第2気相空間の一例である。
蓋部122には、配管150を挿通させる開口部が形成されており、開口部は、配管150が通された状態で封止されている。蓋部122は、第2蓋部の一例である。
ここで、貯容槽121は、例えば、平面視で一辺の長さが数十メートル程度あるような非常に大きな槽であってもよい。このような大きな貯容槽121は、例えば、鉄筋コンクリートで形成することができる。この場合には、底面121Aと側面121Bは、それぞれ、鉄筋コンクリートで形成される貯容槽121の底部の上面と側壁の内面になる。ここでは、一例として、貯容槽121が貯容槽111よりも大きいものとする。
また、この場合に、蓋部122は、貯容槽121の上部を封止できるように、例えば、樹脂、金属、又は鉄筋コンクリート等で作製すればよい。
また、貯容槽121は、例えば、平面視で一辺の長さが数メートル程度の比較的コンパクトな槽であってもよい。このような大きな貯容槽121は、例えば、樹脂製のタンクとして実現することができる。この場合に、底面121Aと側面121Bは、それぞれ、樹脂製のタンクの底板の上面と側壁の内面になる。
また、この場合に、蓋部122は、貯容槽121の上部を封止できるように、例えば、タンクの上部に取り付けられる樹脂製の蓋であってもよいし、又は、貯容槽121と一体成型されるタンクの天板であってもよい。
なお、上述した貯容槽121のサイズや構成は、一例であり、貯容槽121は、様々な形態のものであってよく、サイズはさらに大きくても小さくてもよい。また、蓋部122は、貯容槽121の上部を封止できれば、様々な形態のものであってよい。
流入口123と排出口124は、貯容槽121の側面121Bに設けられる。流入口123は、ポンプ140を介して原水槽110の排出口114に接続されており、原水槽110から原水10を貯容槽121に流入させるために設けられている。流入口123は、排出口124と同じ高さの位置に取り付けられている。流入口123は、第2流入口の一例である。図1では、流入口123の上端と処理水20の水面20Aの高さが等しいが、流入口123は、貯容槽121の内部の処理水20の水面20Aよりも高い位置にあってもよい。
排出口124は、貯容槽121の内部の処理水20を排水処理装置に排出するために設けられている。排出口124は、高さ方向において、貯容槽121の内部の処理水20の水面20Aよりも低い位置にある。
図1では、排出口124の上端が水面20Aと殆ど同じ高さにあるが、貯容槽121で生成されるガスが排出口124から抜けないようにするために、排出口124は、高さ方向において、設計上の水面20Aよりも低い位置に配設される。排出口124は、第2排出口の一例である。
電極125A、125Bは、貯容槽121の内部に配設される。電極125Aと125Bの間には、直流電力を出力する電源126が接続されており、電極125Aは陽極になり、電極125Bは陰極になる。
陽極及び陰極として用いる電極125A及び125Bは、例えば、チタン(Ti)製の電極であればよく、陽極として用いる電極125Aの表面には、コーティング処理によってプラチナ(Pt)や二酸化イリジウム(IrO2)の被膜を形成してもよい。
電源126から出力される電流が電極125Aと電極125Bとの間の処理水20を介して流れることにより、処理水20の電気分解処理が行われる。電気分解処理では、電極125A(陽極)で水素(H2)が発生し、電極125B(陰極)で二酸化炭素(CO2)が発生する。電極125B(陰極)で発生する二酸化炭素は、処理水20に含まれる有機物に由来する物である。
また、処理水20の電気分解処理では、貯容槽121内の処理水20に次亜塩素酸系の酸化剤が生成されるため、余剰の酸化剤から塩素(Cl2)が発生する。
このため、気相空間127には、処理水20から発生される水素、二酸化炭素、及び塩素が貯留する。
電源126は、電極125A、125Bに直流電力を出力する直流電源である。電源126の容量と、電極125A、125Bの数は、貯容槽121の容量、貯容槽121に貯容される処理水20の水量等に応じて適切な値に設定すればよい。
遮断弁130は、原水槽110の流入口113に設けられており、原水槽110よりも上流側の施設(1次側の施設)から貯容槽111に流入する原水10の水量を制御するために設けられている。遮断弁130が遮断されると、1次側の施設から貯容槽111に原水10は流入しない。遮断弁130が開放されると、1次側の施設から貯容槽111に原水10が流入する。
なお、1次側の施設は、例えば、工場、河川、湖沼等である。
ポンプ140は、原水槽110の排出口114と、電気分解処理槽120の流入口123との間の流路に設けられており、原水槽110から電気分解処理槽120に原水10を送出する。
ポンプ140は、例えば、電動式のポンプであればよく、ポンプ140の送出量を調整することにより、原水槽110から電気分解処理槽120に供給される原水10の量を調節することができる。ポンプ140は、第1ポンプの一例である。
ポンプ140で原水10を原水槽110から電気分解処理槽120に送出すると、送出された原水10の分だけ電気分解処理槽120から排出口124を経て処理水20が排出される。
このため、ポンプ140で送出する原水10の量は、電気分解処理槽120で水質改善される処理水20の量との関係で適切な量に設定すればよい。また、ポンプ140の駆動を間欠式にして、電気分解処理槽120である程度の量の処理水20の水質が改善された時点で、ポンプ140を駆動するようにすればよい。
配管150は、原水槽110の貯容槽111の内部に配置される端部151と、電気分解処理槽120の処理水20の水面20Aの上の気相空間127に配置される端部152とを有し、貯容槽111と気相空間を連通する配管である。
配管150は、水素、二酸化炭素、及び塩素と反応性を有しない材料であれば、どのような材料で形成されていてもよい。また、ここでは配管150として説明するが、貯容槽111と気相空間127の間に密閉性のある流路を形成できるものであれば、どのような形態の配管であってもよい。
配管150は、気相空間127に貯留する水素、二酸化炭素、及び塩素を貯容槽111に送出する。ポンプ140によって原水10が原水槽110から電気分解処理槽120に送出されると、原水槽110内の原水10に負圧が生じる。この負圧を利用して、気相空間127に貯留する水素、二酸化炭素、及び塩素は、配管150を介して貯容槽111に送出される。
これにより、原水10が撹拌される。図1には、原水10の液中に送出される塩素等のガスを泡として示す。また、原水10の液中に送出される水素、二酸化炭素、及び塩素のうち、二酸化炭素と塩素は、原水10に溶解するため、気相空間115には、主に水素が貯留する。
なお、処理水20から発生される水素、二酸化炭素、及び塩素が気相空間127に貯留することにより、気相空間127中の圧力が上昇する場合もある。このような気相空間127中の圧力の上昇を利用して、配管150を介して水素、二酸化炭素、及び塩素を原水槽110から電気分解処理槽120に送出してもよい。このような圧力上昇による塩素等のガスの送出は、上述した負圧を利用した送出に加えて行うことができる。
以上のような水処理装置100において、原水槽110に原水10を貯容し、遮断弁130を開放した状態で、流入口113から原水を原水槽110内に一定量送る。その後、遮断弁130を閉じ、ポンプ140を駆動して適切な量の原水10を原水槽110から電気分解処理槽120に供給する。
次に、遮断弁130を閉じた状態で、電源126から電極125A、125Bに電流を供給すると、電気分解処理槽120で処理水20の水質改善処理が行われて、水素、二酸化炭素、及び塩素が発生する。気相空間127に発生した水素、二酸化炭素、及び塩素は、配管150を介して原水槽110の原水10の液内に送出され、二酸化炭素と塩素は原水10に溶解し、水素は気相空間115に貯留する。この段階で遮断弁130を閉じるのは、電気分解処理槽120の気相空間127に生じた水素、二酸化炭素、及び塩素を配管150を介して原水槽110の気相空間115に送り込むためである。
さらに、電源126から電極125A、125Bへの電流供給を停止し、遮断弁130を閉じる。
そして、原水槽110の気相空間115が大気圧になったことを確認した後に、遮断弁130を開放した状態で、ポンプ140を駆動して適切な量の原水10を原水槽110から電気分解処理槽120に再び供給する。この後は、遮断弁130を閉じた状態で、電源126から電極125A、125Bに電流を供給し、電気分解処理槽120で処理水20の水質改善処理を行うとともに、水素、二酸化炭素、及び塩素が発生させる。このような処理を繰り返せばよい。
なお、上述の一連の動作における遮断弁130の開閉動作は、一例であり、気相空間115又は127の内圧や、水素、二酸化炭素、及び塩素の発生量等に応じて、遮断弁130の開放量や開閉状態を適宜調整すればよい。
気相空間127から回収された塩素は、貯容槽111内の原水10に溶解するので、貯容槽111内の原水10の中で次亜塩素酸が生成され、次亜塩素酸の酸化力を利用して、貯容槽111内の原水10に含まれる有機物等を分解することができる。すなわち、原水槽110の原水10を電気分解処理槽120に供給する前に、予め原水槽110の中で有機物の一部を分解、あるいは脱色、殺菌しておくことができる。なお、貯容槽111には、必要に応じて食塩を投入すればよい。
原水槽110内の原水10は、電気分解処理槽120内の処理水20に比べると、有機物等の濃度が高いため、電気分解処理槽120で行われる水質改善のレベルに比べると、原水槽110での水質改善のレベルは低いと思われる。
しかしながら、原水槽110内の原水10を電気分解処理槽120に供給する前に、予め有機物の一部を分解して水質改善しておくことができるので、水質浄化に必要な時間を短縮化でき、電気分解に必要な電力を削減することができる。また、さらに、電気分解処理槽120で水質改善が行われた後の処理水20の水質を大幅に改善することができる。
次に、図2を用いて、原水槽110に原水10を供給する際の動作について説明する。
図2は、原水槽110に原水10を供給する際の動作を説明する図である。
原水槽110に原水10を供給する際には、遮断弁130を開放し、電源126から電極125A、125Bへの電流供給を停止し、さらにポンプ140を停止して、1次側の施設から原水10を原水槽110の貯容槽111に流し込めばよい。遮断弁130の開放量又は開放時間を調整することにより、貯容槽111に貯容する原水10の量を調整することができる。
このように、原水槽110に原水10を供給している間は、電源126から電極125A、125Bへの電流供給が停止されるとともにポンプ140が停止されるので、原水10は原水槽110から電気分解処理槽120に供給されず、電気分解処理槽120で水素、二酸化炭素、及び塩素が発生することはない。
原水槽110への原水10の供給が完了したら、遮断弁130を閉じ、ポンプ140を駆動し、さらに電源126から電極125A、125Bに電流を供給して、電気分解処理槽120で処理水20の水質改善処理を行うことができる。
以上のように、実施の形態1によれば、電気分解処理槽120の処理水20の水面20Aの上の気相空間127を封止してあるので、水質改善処理で発生する水素、二酸化炭素、及び塩素が気相空間127に貯留する。
気相空間127に貯留した水素、二酸化炭素、及び塩素は、配管150を介して原水槽110の原水10の液内に送出され、二酸化炭素と塩素は、原水10に溶解する。
従って、原水槽110内の原水10を電気分解処理槽120に供給する前に、予め消毒して水質改善しておくことができるので、電気分解処理槽120で水質改善が行われた後の処理水20の水質を大幅に改善することができる。
従来の開放型の水処理装置では、塩素は放散されていたが、上述のような水処理装置100を用いることにより、水素、二酸化炭素、及び塩素の分離に大がかりな装置を必要とすることなく、また、電気分解処理槽120から原水槽110に水素、二酸化炭素、及び塩素を送出するための動力源を必要とすることなく、容易に塩素を原水槽110内の原水10に溶解させることができる。
このように、実施の形態1によれば、効率的に水質改善できる水処理装置100を提供することができる。
また、気相空間127に貯留する水素、二酸化炭素、及び塩素を配管150を介して原水10の液中に送出するので、攪拌機等の機構を用いることなく、貯容槽111内の原水10を撹拌することができる。
また、実施の形態1の水処理装置100は、電気分解処理槽120から原水槽110に水素、二酸化炭素、及び塩素を送出するための動力源が必要なく、撹拌機構を用いずに、貯容槽111内の原水10を撹拌できるので、小型化を図ることができる。
貯容槽111内の原水10の撹拌は、原水槽110の貯容槽111の内部に配置される配管150の端部151から送出される水素、二酸化炭素、及び塩素によって行われる。このため、端部151は、原水10の撹拌が効率的に行われる位置に配置されることが好ましい。端部151の位置は、設計上における貯容槽111内の原水10の水面10Aよりも低くすればよい。
実施の形態1の水処理装置100は、開放型の水処理装置に、蓋部112、蓋部122、及び配管150を追加したような簡易な構成である。このように簡易な構成の水処理装置100で、原水槽110内の原水10を電気分解処理槽120に供給する前に、予め消毒して水質改善しておくことができ、処理水20の水質を大幅に改善することができる。
なお、以上では、気相空間127に処理水20から発生される水素、二酸化炭素、及び塩素が貯留する形態について説明したが、処理水20に含まれる有機物の濃度によっては、二酸化炭素の発生量が微量になることもある。
また、気相空間127内に空気が存在する場合には、気相空間127には、水素、二酸化炭素、及び塩素に加えて、酸素や窒素等が存在することになる。このため、配管150や配管160の材料は、酸素も考慮して決定すればよい。
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2の水処理装置200を示す図である。
水処理装置200は、原水槽110、電気分解処理槽120、遮断弁130、ポンプ140、配管150、及びポンプ270を含む。実施の形態2の水処理装置200は、実施の形態1の水処理装置100に、ポンプ270を追加した構成を有する。
ポンプ270は、配管150に設けられており、気相空間127に貯留する水素、二酸化炭素、及び塩素を原水槽110の原水10の液内に送出するために設けられている。ポンプ270は、例えば、電動式のポンプである。ポンプ270は、第2ポンプの一例である。
実施の形態1では、ポンプ140によって原水10が原水槽110から電気分解処理槽120に送出される際に原水槽110内の原水10に生じる負圧を利用して、気相空間127に貯留する水素、二酸化炭素、及び塩素を原水槽110の原水10の液内に送出する形態について説明した。
しかしながら、原水槽110内の原水10に生じる負圧が十分ではなく、気相空間127内の水素、二酸化炭素、及び塩素を原水槽110の原水10の液内に送出する力が足りないような場合には、ポンプ270を用いてもよい。
実施の形態2によれば、気相空間127に貯留した水素、二酸化炭素、及び塩素は、配管150を介してポンプ270の送出力によって原水槽110の原水10の液内に送出される。原水槽110内の原水10に塩素を送り込むことによって、原水10を予め消毒して水質改善しておくことができる。このため、電気分解処理槽120で水質改善が行われた後の処理水20の水質を大幅に改善することができる。
このように、実施の形態2によれば、効率的に水質改善できる水処理装置200を提供することができる。
また、気相空間127に貯留する水素、二酸化炭素、及び塩素を配管150を介してポンプ270で原水10の液中に送出することにより、攪拌機等の機構を用いることなく、貯容槽111内の原水10を撹拌することができる。
<実施の形態3>
図4は、模擬試験装置300を示す図である。模擬試験装置300は、電気分解処理槽120と、配管300A、300Bと、トラップ装置310とを含む。電気分解処理槽120は、図1に示すものと同様である。
配管300A、300Bの一端301は、電気分解処理槽120の気相空間127に配設されている。配管300Aは、遮断弁301Aを介して取り出し口302Aまで伸延しており、配管300Bは、遮断弁301Bを介して、さらにトラップ装置310の溶液310A内を経て、気相空間311から取り出し口302Bまで伸延している。
遮断弁301A又は301Bを選択的に開放/遮断することにより、気相空間127に存在するガスを溶液310Aを通さずに、あるいは、溶液310Aを通して、取り出し口302A又は302Bから取り出すことができる。
電気分解処理槽120に貯める溶液320は、模擬排水であり、顆粒状のインスタントコーヒーを水で希釈し、色度が100度、COD(Cr)が約410mg/Lになるように調整し、電解質を与えるために食塩を0.3wt%添加したものである。溶液320は750mlである。電気分解処理は、3.5Aで11Vの電流を流して20分間行った。
トラップ装置310の溶液310Aは、顆粒状のインスタントコーヒーを水で希釈し、色度が100度、COD(Cr)が約410mg/Lになるように調整したものである。溶液310Aの溶液320との違いは、食塩添加の有無である。
まず、遮断弁301Aを開放し、遮断弁301Bを遮断して、気相空間127に存在するガスを溶液310Aを通さずに、取り出し口302Aから取り出したところ、塩素、水素、酸素、及び窒素を採取することができ、濃度は、それぞれ、約210ppm、約32%、約14%、約54%であった。
また、遮断弁301Aを遮断し、遮断弁301Bを開放して、3.5Aで11Vの電流を20分間流す電気分解処理を10回(20分を10回)行うことにより、塩素ガスによるコーヒー排水の色度低減効果を評価したところ、電気分解を行う前の溶液310Aの色度が101.3度であったのに対し、電気分解処理を10回行った後には99.1度になった。
以上より、塩素で色度低減効果が得られることが分かった。
以上、本発明の例示的な実施の形態の水処理装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。