JP6747666B2 - 滑り軸受用潤滑油組成物、これを用いた滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受 - Google Patents

滑り軸受用潤滑油組成物、これを用いた滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受 Download PDF

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Description

本発明は、滑り軸受用潤滑油組成物、これを用いた滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受に関する。
滑り軸受は、自動車、船舶、建設機械、農業機械等に用いられるエンジンのクランクシャフト、サスペンション、その他産業用機械等の様々な機器に採用されている。例えば、サスペンションに組み込まれる緩衝器は、オイルの流動抵抗を利用したシリンダ構造が汎用され、具体的には油圧のピストンに小さい孔が開けられたものが用いられている。滑り軸受は、緩衝器のシリンダとピストンロッドとの摺動部分において、軸受けとなるブッシュが設けられるという形態で採用されている。緩衝器の滑り軸受は、伸縮運動により大きな横力を受けることになるため、滑り軸受に用いられる潤滑油組成物には、その際に摩擦面で発生する熱に対する耐熱性とともに、該摩擦面の摩耗を防止する耐摩耗性とが要求される。とりわけ、ストラット式サスペンションに組み込まれる緩衝器は、300〜400kgfの横力を受けるため、用いられる潤滑油組成物には、極めて優れた耐熱性と耐摩耗性とが要求される。
従来、潤滑油組成物の耐熱性を得るために、潤滑油組成物に、トリクレジルホスフェート等のリン系添加剤を用いることが検討されてきた(例えば、特許文献1)。しかし、トリクレジルホスフェート等のようなリン酸トリエステルは、耐摩耗性の点で十分な性能は得られない。
国際公開第2010/027019号パンフレット
ところで、耐摩耗性を向上させる添加剤として、ジアルキル又はジアルケニルアシッドホスフェート等のリン酸ジエステルが知られている。これらのリン酸ジエステルの市販品、例えば、ジオレイルアシッドホスフェートの市販品は、モノエステルとジエステルとを1:1で含む混合物として販売されるものが一般的である。この市販品を添加剤として用いてみたところ、耐熱性の点で十分な性能は得られなかったものの、耐摩耗性に極めて優れていることが確認された。しかし、潤滑油組成物、とりわけ滑り軸受用潤滑組成物では、耐熱性及び耐摩耗性の両立が特に強く要望されている中、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとに着目した更なる検討は、十分になされていない状況にある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、優れた耐熱性及び耐摩耗性を有する滑り軸受用潤滑油組成物、これを用いた滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受けを提供することを目的とする。
本発明者らは、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルに着目し、極めて優れる耐摩耗性に加え、耐熱性を向上できないかを検討したところ、リン酸ジエステルを単独で、又はリン酸ジエステルとリン酸モノエステルとを所定の比率で混合して用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、下記発明の完成に至った。本発明は、以下の潤滑油組成物、これを用いた滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受を提供するものである。
〔1〕基油と、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルから選ばれるリン酸エステルとを含有し、該リン酸エステル中のリン酸ジエステルの含有量が70質量%以上100質量%以下である、滑り軸受用潤滑油組成物。
〔2〕前記〔1〕に記載の滑り軸受用潤滑油組成物を用いた、滑り軸受の潤滑方法。
〔3〕前記〔1〕に記載の滑り軸受用潤滑油組成物を用いた、滑り軸受。
本発明によれば、優れた耐熱性及び耐摩耗性を有する滑り軸受用潤滑油組成物、これを用いた滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受けを提供できる。
以下、本発明の実施形態(以後、「本実施形態」と称する場合がある。)について、さらに詳細に説明する。
〔滑り軸受用潤滑油組成物〕
本実施形態の滑り軸受用潤滑油組成物は、基油と、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルから選ばれるリン酸エステルとを含有し、該リン酸エステル中のリン酸ジエステルの含有量が70質量%以上100質量%以下である、というものである。
(基油)
本実施形態に含まれる基油としては、特に制限はなく、鉱油であってもよく、合成油であってもよい。
鉱油としては、パラフィン基系、ナフテン基系、中間基系の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;該常圧残油を減圧蒸留して得られた留出油;該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等のうちの1つ以上の処理を行って精製した鉱油、例えば、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストック等が挙げられる。また、フィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス)を異性化することで得られる鉱油も挙げられる。
合成油としては、例えば、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体、α−オレフィン単独重合体又は共重合体等のポリα−オレフィン;ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル等の各種エステル;ポリフェニルエーテル等の各種エーテル;ポリグリコール;アルキルベンゼン;アルキルナフタレンなどが挙げられる。
基油は、上記の鉱油を単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよく、合成油を単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。また、鉱油一種以上と合成油一種以上とを組み合わせて混合油として用いてもよい。
基油の粘度については特に制限はないが、100℃における動粘度が、好ましくは1.5mm/s以上、より好ましくは1.7mm/s以上、更に好ましくは2mm/s以上であり、上限としては、好ましくは5mm/s以下、より好ましくは4mm/s以下、更に好ましくは3mm/s以下である。また、基油の40℃動粘度は、2mm/s以上が好ましく、5mm/s以上がより好ましく、7mm/s以上が更に好ましく、上限としては15mm/s以下が好ましく、9mm/s以下がより好ましく、8mm/s以下が更に好ましく、8mm/s未満が特に好ましい。基油の動粘度が上記範囲内のものを用いると、耐熱性及び耐摩耗性が向上し、また滑り軸受用としてより取り扱いやすくなる。
また、これと同様の観点から、基油の粘度指数は、75以上が好ましく、78以上がより好ましく、80以上が更に好ましい。本明細書において、動粘度、及び粘度指数は、JIS K 2283:2000に準拠し、ガラス製毛管式粘度計を用いて測定した値である。
基油の潤滑油組成物全量基準の含有量は、通常50質量%以上であり、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上が更に好ましい。また、上限は、99.5質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98.5質量%以下が更に好ましい。基油の含有量を上記範囲とすることにより、耐熱性及び耐摩耗性が向上する。
(リン酸エステル)
本実施形態に含まれるリン酸エステルは、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルから選ばれ、該リン酸エステル中のリン酸ジエステルの含有量が70質量%以上100質量%以下のものである。すなわち、リン酸エステルは、リン酸ジエステルの含有量が上記範囲内であればリン酸モノエステルとリン酸ジエステルとの混合物であってもよいし、リン酸ジエステル単独であってもよい。また、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルは、いずれも1種単独であってもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、リン酸モノエステルと該リン酸ジエステルとの合計量に対するリン酸ジエステルの含有量が70質量%未満であると、優れた耐熱性及び耐摩耗性は得られない。また、耐熱性及び耐摩耗性を向上させる観点から、リン酸モノエステルと該リン酸ジエステルとの合計量に対するリン酸ジエステルの含有量は多い方が好ましく、具体的には75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
リン酸モノエステル、リン酸ジエステルとしては、潤滑油に汎用されるリン系添加剤である、例えば、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル等から適宜選択して用いることができるが、耐熱性及び耐摩耗性をより向上させる観点から、下記一般式(1)で示される化合物、すなわち酸性リン酸モノエステル、酸性リン酸ジエステルが好ましく挙げられる。
一般式(1)中、Rは炭素数2以上28以下の炭化水素基であり、nは1又は2である。nが2の場合、複数のRは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基、アリール基等が挙げられる。中でも、耐熱性及び耐摩耗性を向上させる観点から、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルケニル基がより好ましい。また、同様の観点から、炭素数は8以上が好ましく、12以上がより好ましく、16以上が更に好ましく、また、28以下が好ましく、24以下がより好ましく、20以下が更に好ましい。
アルキル基としては、より具体的には、例えば、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基、各種ヘンイコシル基、各種ドコシル基、各種トリコシル基、各種テトラコシル基等が挙げられる。ここで、「各種」は、直鎖状、分岐状、環状、及びこれらの異性体までを含めた所定炭素数を有する官能基を含むことを意味する。
また、アルケニル基としては、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基、各種ヘンイコセニル基、各種ドコセニル基、各種トリコセニル基、各種テトラコセニル基等が挙げられる。
nは、1又は2である。nが2の場合、すなわちリン酸ジエステルの場合、複数のRは互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態において、上記の通り、リン酸エステルはリン酸ジエステルが好ましく、すなわち、nは2であることが好ましい。
一般式(1)で示されるリン酸エステルとしては、例えば、より具体的には、モノラウリルアシッドホスフェート、モノミリスチルアシッドホスフェート、モノパルミチルアシッドホスフェート、モノステアリルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート等のリン酸モノエステル;ジラウリルアシッドホスフェート、ジミリスチルアシッドホスフェート、ジパルミチルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェート等のリン酸ジエステルが挙げられる。
本実施形態において、リン酸エステルは、前記一般式(1)におけるRが炭素数16以上20以下のアルケニル基であり、かつnが2のリン酸ジエステルであることが好ましく、上記の中でも特に、リン酸ジエステルがジオレイルアシッドホスフェートであることが好ましい。
リン酸エステルのリン原子換算の含有量は、効率よく耐熱性及び耐摩耗性を向上させる観点、リン酸エステルの基油への溶解性を考慮すると、潤滑油組成物の全量基準で0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。また、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。
また、これと同様の観点から、リン酸エステルの潤滑油組成物全量基準の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましい。また、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
(任意添加成分)
本実施形態の潤滑油組成物は、任意添加成分として、例えば、粘度指数向上剤、酸化防止剤、金属系清浄剤、分散剤、摩擦調整剤、耐摩耗剤、極圧剤、流動点降下剤、金属不活性化剤、防錆剤、消泡剤等の、その他添加剤を適宜選択して配合することができる。これらの添加剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
これらの添加剤の合計含有量は、本発明の効果に反しない範囲であれば特に制限はないが、添加剤を添加する効果を考慮すると、組成物全量基準で、0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜15質量%が更に好ましい。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート、オレフィン系共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体など)、分散型オレフィン系共重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン水素化共重合体など)などが挙げられるが、ポリメタクリレート系が好ましい。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等の単環フェノール系酸化防止剤;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)等の多環フェノール系酸化防止剤;2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、五硫化リンとピネンとの反応物等のチオテルペン系化合物;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、などが挙げられる。
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウム等のアルカリ土類金属を金属種として含む、中性金属スルホネート、中性金属フェネート、中性金属サリチレート、中性金属ホスホネート、塩基性金属スルホネート、塩基性金属フェネート、塩基性金属サリチレート、塩基性金属ホスホネート、過塩基性金属スルホネート、過塩基性金属フェネート、過塩基性金属サリチレート、過塩基性金属ホスホネート等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、ホウ素非含有コハク酸イミド類、ホウ素含有コハク酸イミド類、ベンジルアミン類、ホウ素含有ベンジルアミン類、コハク酸エステル類、脂肪酸あるいはコハク酸等に代表される一価又は二価カルボン酸アミド類等の無灰系分散剤が挙げられる。
摩擦調整剤としては、例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エーテル等の無灰摩擦調整剤;モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデンジチオホスフェート(MoDTP)、及びモリブデン酸のアミン塩等のモリブデン系摩擦調整剤等が挙げられる。
耐摩耗剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、リン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、硫化エステル類、チオカーボネート類、チオカーバメート類、ポリサルファイド類等の硫黄含有化合物;上記リン酸エステル以外の、例えば、トリエチルホスファイト、トリクレジルホスファイト等の亜リン酸エステル、トリブチルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリオレイルホスフェート、エチルフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル等のリン酸エステル、ホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等のリン含有化合物;チオ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、チオホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等の硫黄及びリン含有耐摩耗剤が挙げられる。
極圧剤としては、例えば、スルフィド類、スルフォキシド類、スルフォン類、チオホスフィネート類等の硫黄系極圧剤、塩素化炭化水素等のハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤等が挙げられる。
流動点降下剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン油、フルオロシリコーン油、及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
(アミン化合物)
本実施形態の潤滑油組成物は、アミン化合物を含まないことが好ましい。本実施形態においては、所定のリン酸エステルを用いることにより、耐熱性及び耐摩耗性を同時に向上させることができるため、これら性能の向上のためにアミン化合物を用いる必要がなく、より少ない添加剤により優れた効果を発揮することができる。また、アミン化合物を含むことで、リン酸エステルによる効果が低下する場合がある。
ここで、「含まない」とは、意図してアミン化合物を添加することがなく、実質的に含まないことを意味し、アミン化合物の潤滑油組成物全量基準の含有量が0質量%である態様、また、0質量%超、かつ0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下、である態様も含む概念である。アミン化合物が含まれていても、その含有量が上記の範囲内であれば、リン酸エステルによる効果が低下することはない。
また、上記の「アミン化合物」は、潤滑油組成物の添加剤、例えば、摩擦調整剤、摩擦低減剤として用いられる、下記一般式(2)で示される脂肪族ポリアミンのことである。
上記一般式(2)中、Rは炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは1〜4の整数である。また、mが2〜4の場合、複数のRは同じでも異なっていてもよい。
(潤滑油組成物の各種物性)
本実施形態の潤滑油組成物の100℃動粘度は、1.5mm/s以上が好ましく、1.8mm/s以上がより好ましく、2mm/s以上が更に好ましい。また、5mm/s以下が好ましく、4mm/s以下がより好ましく、3mm/s以上が更に好ましい。本実施形態の潤滑油組成物の40℃動粘度は、2mm/s以上が好ましく、5mm/s以上がより好ましく、7mm/s以上が更に好ましく、8mm/s以上が特に好ましい。また、15mm/s以下が好ましく、12mm/s以下がより好ましく、10mm/s以下が更に好ましく、9mm/s以下が特に好ましい。また、本実施形態の潤滑油組成物の粘度指数は、75以上が好ましく、78以上がより好ましく、80以上が更に好ましい。ここで、動粘度、及び粘度指数の測定方法は、上記の基油と同じである。
本実施形態の潤滑油組成物の動粘度、粘度指数が上記範囲内であると、耐熱性及び耐摩耗性が向上し、また滑り軸受用としてより取り扱いやすくなる。
本実施形態の滑り軸受用潤滑油組成物は、優れた耐熱性及び耐摩耗性を有するため、滑り軸受用、例えば、自動車、船舶、建設機械、農業機械等に用いられるエンジンのクランクシャフト、サスペンション、その他産業用機械等の様々な機器に採用される滑り軸受に用いられる。中でも、サスペンションに組み込まれる緩衝器の滑り軸受に好適に用いられる。サスペンションに組み込まれる緩衝器は、一般に複筒型、単筒型があり、そのいずれの型の緩衝器の滑り軸受にも使用可能であり、また、四輪用、二輪用のいずれのものにも使用可能である。
本実施形態の潤滑油組成物は、更に、優れた耐熱性及び耐摩耗性が要求される用途、例えば、内燃機関、油圧機械、タービン、圧縮機、工作機械、切削機械等の各種産業用機械全般、特にこれらの産業用機械が備える歯車(ギヤ)、転がり軸受等にも用い得る。
〔滑り軸受の潤滑方法及び滑り軸受〕
本実施形態の滑り軸受の潤滑方法は、本実施形態の滑り軸受用潤滑油組成物を用いたものである。上記の通り、本実施形態の滑り軸受用潤滑油組成物は、優れた耐熱性及び耐摩耗性を有するものである。よって、本実施形態の滑り軸受の潤滑方法は、自動車、船舶、建設機械、農業機械等に用いられるエンジンのクランクシャフト、サスペンション、その他産業用機械等の様々な機器に採用される滑り軸受の潤滑方法として好適に採用される。
また、本実施形態の滑り軸受は、本実施形態の滑り軸受用潤滑油組成物を用いたものである。本実施形態の滑り軸受は、自動車、船舶、建設機械、農業機械等に用いられるエンジンのクランクシャフト、サスペンション、その他産業用機械等の様々な機器に採用される滑り軸受として好適に採用される。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、本発明における各物性の評価は、以下の方法で行った。
[評価方法]
1.動粘度の測定
JIS K 2283:2000に準拠し、40℃、100℃における動粘度を測定した。
2.粘度指数の測定
JIS K 2283:2000に準拠して測定した。
3.リン原子の含有量の測定
JIS−5S−38−92に準拠して測定した。
4.耐熱性の評価
各実施例及び比較例の潤滑油組成物(以下、「供試油」と称する。)30ccを、容量50ccの瓶に注ぎ、これに青銅板及び鋼(SPCC)板(1cm×1cm×2mm(厚))を入れ、100℃の環境下で24時間放置する熱安定性試験を行った。
熱安定性試験前後の、供試油の外観(色)について、以下の基準で評価した。
A.無色透明
B.淡黄色
C.淡褐色
D.黒色
熱安定性試験後の、青銅板の腐食の有無について、以下の基準で評価した。
A.腐食は全く確認されなかった。
B.僅かに腐食が確認された。
C.腐食が確認された。
熱安定性試験後の、スラッジ発生の有無について、以下の基準で評価した。
A.スラッジは全く確認されなかった。
B.僅かにスラッジが確認された。
C.スラッジが確認された。
また、熱安定性試験後の供試油について、n−ペンタン不溶解分(A法)を測定した。
外観(色)は透明に近いほど(Aの評価に近いほど)、青銅板の腐食は少ないほど(Aの評価に近いほど)、スラッジ発生は少ないほど(Aの評価に近いほど)、また不溶解分は少ないほど、耐熱性に優れていることを示す。
5.耐摩耗性の評価
市販の緩衝器(「54302KRH(品番)」、日産自動車(株)製)を用意し、該緩衝器に組み込まれた滑り軸受(φ20mm)、及びシャフト(硬質クロムメッキ処理品、φ20mm)部分を本評価に用いた。前記シャフトに2ccの供試油塗布した後、室温(25℃)下において、前記滑り軸受の上から荷重(100kgf)をから、該シャフトを加振(ストローク:±0.8mm、加振周波数:10Hz、試験時間:120分)させて、該滑り軸受の摩耗幅を測定した。摩耗幅が小さいほど、耐摩耗性に優れていることを示す。
実施例1、2、及び比較例1〜3
第1表に示す配合量(質量%)で潤滑油組成物を調製した。得られた潤滑油組成物を供試油とし、上記方法により各種評価を行った。評価結果を第1表に示す。なお、本実施例で用いた第1表に示される各成分の詳細は以下の通りである。
・鉱油:60N(ニュートラル)パラフィン系鉱油(100℃動粘度:2.17mm/s、40℃動粘度:7.12mm/s、粘度指数:109)
・リン酸エステル1:ジオレイルアシッドホスフェート単体
・リン酸エステル2:モノオレイルアシッドホスフェート(25質量%)及びジオレイルアシッドホスフェート(75質量%)の混合物
・リン酸エステル3:モノオレイルアシッドホスフェート(50質量%)及びジオレイルアシッドホスフェート(50質量%)の混合物(ジオレイルアシッドホスフェート市販品)
・リン酸エステル4:トリクレジルホスフェート

※第1表において、「−」は未配合であることを示す。
実施例1、2の結果から明らかなように、本実施形態の潤滑油組成物は、耐熱性及び耐摩耗性に優れていることが確認された。一方、リン酸エステルを添加しなかった比較例1の供試油は摩耗幅が6.64mmと大きく、耐摩耗性を発現せず、モノオレイルアシッドホスフェートとジオレイルアシッドホスフェートとを50質量%ずつ含む市販品のジオレイルアシッドホスフェートを用いた比較例2の供試油は、耐摩耗性に優れているものの、耐熱性の点で十分なものとはいえず、また、リン酸トリエステルを用いた比較例3の供試油は、耐熱性、耐摩耗性の点で十分なものとはいえないことが確認された。
本発明の滑り軸受用潤滑油組成物は、優れた耐熱性及び耐摩耗性を有するため、滑り軸受用、例えば、自動車、船舶、建設機械、農業機械等に用いられるエンジンのクランクシャフト、サスペンション、その他産業用機械等の様々な機器に採用される滑り軸受用として用いられる。

Claims (11)

  1. 基油と、リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルから選ばれるリン酸エステルとを含有し、該基油の40℃動粘度が7mm/s以上8mm/s以下であり、該リン酸モノエステル及びリン酸ジエステルが下記一般式(1)で示される化合物であり、該リン酸エステル中のリン酸ジエステルの含有量が70質量%以上100質量%以下であり、該リン酸エステルの組成物全量基準の含有量が1.5質量%以上5質量%以下であり、該リン酸エステルのリン原子換算の含有量が0.10質量%以上0.3質量%以下である、滑り軸受用潤滑油組成物。

    (一般式(1)中、R は炭素数16以上28以下の炭化水素基であり、nは1又は2である。nが2の場合、複数のR は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
  2. 前記炭化水素基が、アルキル基又はアルケニル基である請求項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。
  3. 前記リン酸ジエステルにおいて、前記が、炭素数16以上20以下のアルケニル基であり、前記nが2である請求項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。
  4. 前記リン酸ジエステルが、ジオレイルアシッドホスフェートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。
  5. 前記リン酸モノエステルにおいて、前記R が、炭素数16以上20以下のアルケニル基であり、前記nが1である請求項1〜4のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。
  6. 前記リン酸モノエステルがモノオレイルアシッドホスフェートである請求項1〜5のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。
  7. 40℃動粘度が、2mm/s以上15mm/s以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。
  8. 以下一般式(2)で示されるアミン化合物を含有しない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物。

    (一般式(2)中、Rは炭素数6〜22のアルキル基又はアルケニル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、mは1〜4の整数である。また、mが2〜4の場合、複数のRは同じでも異なっていてもよい。)
  9. 前記リン酸エステルのリン原子換算の含有量が0.10質量%以上0.11質量%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の滑り軸受け用潤滑油組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物を用いた、滑り軸受の潤滑方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の滑り軸受用潤滑油組成物を用いた、滑り軸受。
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