JP6747375B2 - ハイブリッド自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド自動車に関する。
従来、この種のハイブリッド自動車としては、エンジンと第1モータと第2モータおよび駆動軸とをプラネタリギヤのキャリヤとサンギヤとリングギヤとに接続すると共に第1モータおよび第2モータに電力ラインを介して蓄電装置を接続したハイブリッド自動車において、擬似有段変速モードで、蓄電装置の出力可能電力量が閾値よりも小さいときには、エンジンの回転数の制限値である制限回転数を高回転数側に変更するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このハイブリッド自動車では、こうした制御により、蓄電装置の出力可能電力量が閾値よりも小さいときに、電力収支がプラスになる(蓄電装置に充電される)ようにしている。
特開2013−103578号公報
上述のハイブリッド自動車では、蓄電装置の出力可能電力量が閾値よりも小さいときには、アクセルペダルが踏み増されていなくてもエンジンの出力パワー(回転数)を高回転数側に変更することになり、燃費が悪化しやすい。このため、動力性能および燃費の両立を図るのに改善の余地がある。
本発明のハイブリッド自動車は、蓄電装置の出力可能電力量(許容出力電力)が小さいときの動力性能および燃費の両立をより図ることを主目的とする。
本発明のハイブリッド自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のハイブリッド自動車は、
エンジンおよびモータと、
前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
アクセル操作量に基づいて走行用要求パワーを設定し、前記走行用要求パワーに基づいて前記エンジン要求パワーを設定し、前記エンジン要求パワーが前記エンジンから出力されると共に前記蓄電装置の許容出力電力の範囲内で前記走行用要求パワーにより走行するように前記エンジンおよび前記モータを制御する制御装置と、
を備えるハイブリッド自動車であって、
前記制御装置は、前記アクセル操作量が増加して前記エンジン要求パワーを増加させる際において、前記蓄電装置の許容出力電力が小さいときには、大きいときに比して、前記エンジン要求パワーの単位時間当たりの変化量を大きくする、
ことを要旨とする。
この本発明のハイブリッド自動車では、アクセル操作量に基づいて走行用要求パワーを設定し、走行用要求パワーに基づいてエンジン要求パワーを設定し、エンジン要求パワーがエンジンから出力されると共に蓄電装置の許容出力電力の範囲内で走行用要求パワーにより走行するようにエンジンおよびモータを制御する。そして、アクセル操作量が増加してエンジン要求パワーを増加させる際において、蓄電装置の許容出力電力が小さいときには、大きいときに比して、エンジン要求パワーの単位時間当たりの変化量を大きくする。これにより、バッテリの許容出力電力が小さいときに、バッテリの許容出力電力が大きいときと単位時間当たりの変化量を同一にしてエンジン要求パワーを増加させるものに比して、エンジン要求パワー(エンジン出力パワー)を大きくすることができるから、バッテリの出力電力を許容出力電力の範囲内としつつ走行用の走行用要求パワーにより対応する(動力性能を良好なものとする)ことができる。また、バッテリの許容出力電力が小さいときに、アクセル操作量が増加していなくてもエンジンの出力パワー(回転数)を比較的高くするものに比して、燃費の悪化を抑制することができる。これらの結果、バッテリの許容出力電力が小さいときの動力性能および燃費の両立をより図ることができる。
こうした本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記走行用要求パワーに基づいて仮エンジン要求パワーを設定し、前記蓄電装置の許容出力電力が小さいときには大きいときに比して大きくなるようにレート値を設定し、直前の前記エンジン要求パワーに前記レート値を加えた値と前記仮エンジン要求パワーとのうちの小さい方を前記エンジン要求パワーとして設定するものとしてもよい。
また、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記蓄電装置の許容出力電力が小さいときには大きいときに比して大きくなるように、前記アクセル操作量に基づいて前記走行用要求パワーを設定するものとしてもよい。こうすれば、蓄電装置の許容出力電力が小さいときの、エンジンの出力をより大きくすることができ、走行用出力パワーをより十分なものとすることができる。
さらに、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記アクセル操作量が増加したときには、前記蓄電装置の許容出力電力に拘わらずに、前記エンジンの燃費動作ラインに沿って前記エンジンの運転ポイントを移動させるものとしてもよい。こうすれば、運転ポイントが燃費動作ラインから外れるものに比して燃費を良好なものとすることができる。
加えて、本発明のハイブリッド自動車において、前記制御装置は、前記蓄電装置の温度が低いときには高いときに比して小さくなり、且つ、前記蓄電装置の蓄電割合が小さいときには大きいときに比して小さくなるように、前記蓄電装置の許容出力電力を設定するものとしてもよい。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の燃費動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子とを示す説明図である。 HVECU70により実行されるレート値設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 レート値設定用マップの一例を示す説明図である。 アクセル開度Accが増加したときの、エンジン22の出力パワーPeやバッテリ50の出力電力Pb,車両パワー(Pe+Pb)の時間変化の様子の一例を示す説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、蓄電装置としてのバッテリ50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されており、ダンパ28を介してプラネタリギヤ30のキャリヤに接続されている。このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrなどが入力ポートから入力されている。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。電力ライン54の正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ57が取り付けられている。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサからの相電流などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2,回転数Nm1,Nm2を演算している。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、電力ライン54を介してインバータ41,42に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいてバッテリ50の蓄電割合SOCを演算したり、演算した蓄電割合SOCと温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbとに基づいてバッテリ50の出力制限Woutを演算したりしている。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。出力制限Woutは、バッテリ50から放電してもよい許容出力電力である。
バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の温度Tbおよび蓄電割合SOCが通常範囲内のときには、バッテリ50の定格パワーWoutrtを設定し、バッテリ50の温度Tbや蓄電割合SOCが通常範囲外のときには、バッテリ50の温度Tbや蓄電割合SOCが通常範囲から離間するほど定格パワーWoutrtよりも小さくなるように設定するものとした。通常範囲は、例えば、バッテリ50の温度Tbが閾値Tblo(例えば、5℃,10℃,15℃など)以上で且つバッテリ50の蓄電割合SOCが閾値Sref(例えば、30%,35%,40%など)以上の範囲などとすることができる。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行(HV走行)モードや、エンジン22の運転を伴わずに走行する電動走行(EV走行)モードで走行する。
HV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸36の要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Nd(例えば、モータMG2の回転数Nm2や、車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて駆動軸36の要求パワーPd*を計算する。続いて、駆動軸36の要求パワーPd*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づく充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22の要求パワーPe*の仮の値としての仮要求パワーPetmpを設定し、式(1)に示すように、前回のエンジン22の要求パワー(前回Pe*)にレート値ΔPeを加えた値(前回Pe*+ΔPe)とエンジン22の仮要求パワーPetmpとのうちの小さい方をエンジン22の要求パワーPe*に設定する。ここで、レート値ΔPeは、エンジン22の要求パワーPe*を増加させる際に用いるレート値(単位時間(例えば、エンジン22の要求パワーPe*の更新間隔)当たりの変化量)である。このレート値ΔPeの設定手法については後述する。なお、式(1)から分かるように、エンジン22の要求パワーPe*を減少させる際には、エンジン22の仮要求パワーPetmpを要求パワーPe*にそのまま設定するものとした。そして、エンジン22の要求パワーPe*とエンジン22を効率よく運転するための燃費動作ラインとに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する。図2は、エンジン22の燃費動作ラインの一例と目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する様子とを示す説明図である。図示するように、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*は、エンジン22の燃費動作ラインと要求パワーPe*が一定の曲線との交点を設定することができる。次に、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTd*(要求パワーPd*)が駆動軸36に出力されるようにモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共にモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいて運転されるようにエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を受信すると、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42の複数のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で駆動軸36に要求トルクTd*(要求パワーPd*)を出力することができる。
Pe*=min(前回Pe*+ΔPe,Petmp) (1)
EV走行モードでは、HVECU70は、HV走行モードと同様に駆動軸36の要求トルクTd*を設定し、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共にバッテリ50の出力制限Woutの範囲内で駆動軸36の要求トルクTd*(要求パワーPd*=Td*・Nd)が駆動軸36に出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。モータECU40によるモータMG1,MG2(インバータ41,42)の制御については上述した。こうした制御により、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で駆動軸36に要求トルクTd*(要求パワーPd*)を出力することができる。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、HV走行モードでレート値ΔPeを設定する際の処理について説明する。図3は、HVECU70により実行されるレート値設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
図3のレート値設定ルーチンが実行されると、HVECU70は、バッテリ50の出力制限Woutを入力し(ステップS100)、入力したバッテリ50の出力制限Woutに基づいて上述のレート値ΔPeを設定して(ステップS110)、本ルーチンを終了する。ここで、バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の温度Tbおよび蓄電割合SOCに基づいて設定された値をバッテリECU52から通信により入力するものとした。レート値ΔPeは、バッテリ50の出力制限Woutとレート値ΔPeとの関係を予め定めてレート値設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、バッテリ50の出力制限Woutが与えられると、このマップから対応するレート値ΔPeを導出して設定するものとした。レート値設定用マップの一例を図4に示す。レート値ΔPeは、図示するように、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときには大きいときに比して大きくなるように、具体的には、バッテリ50の出力制限Woutが小さいほど大きくなるように設定するものとした。
したがって、アクセル開度Accが増加してエンジン22の要求パワーPe*を増加させる際において、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときには大きいときに比して大きいレート値ΔPeを用いてより迅速にエンジン22の要求パワーPe*を増加させることになり、エンジン22の運転ポイント(目標回転数Ne*および目標トルクTe*)をエンジン22の燃費動作ライン(図2参照)に沿ってより迅速に高回転数側に移動させることになる。これにより、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときに、大きいとき(例えば、定格パワーWoutrtのとき)と同一のレート値ΔPeを用いるものに比して、エンジン22の要求パワーPe*(出力パワーPe)を大きくすることができるから、バッテリ50の出力電力Pbを出力制限Woutの範囲内としつつ駆動軸36の要求パワーPd*により対応する(動力性能を良好なものとする)ことができる。また、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときに、アクセル開度Accが増加していなくてもエンジン22の出力パワーPe(回転数Ne)を比較的高くするものに比して、燃費の悪化を抑制することができる。これらの結果、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときの動力性能および燃費の両立をより図ることができる。もとより、バッテリ50の出力制限Woutに拘わらずにエンジン22の運転ポイントを燃費動作ラインに沿って移動させるから、運転ポイントが燃費動作ラインから外れるものに比して、燃費を良好なものとすることができる。
図5は、アクセル開度Accが増加したときの、エンジン22の出力パワーPeやバッテリ50の出力電力Pb,車両パワー(Pe+Pb)の時間変化の様子の一例を示す説明図である。図中、一点鎖線は、バッテリ50の出力制限Woutが大きいとき(例えば定格パワーWoutrtのとき)の様子を示し、実線は、バッテリ50の出力制限Woutが小さいとき(値0付近のとき)の様子を示す。バッテリ50の出力制限Woutが大きいときには、図中一点鎖線に示すように、バッテリ50の出力電力Pbを比較的大きくすることできるから、エンジン22の出力パワーPeをそれほど迅速に増加させなくても、駆動軸36の要求パワーPd*に十分に対応する(動力性能を良好なものとする)ことができる。一方、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときには、図中実線に示すように、バッテリ50の出力電力Pbをあまり大きくすることができない。このため、実施例では、バッテリ50の出力制限Woutが大きいときに比して、エンジン22の出力パワーPeを迅速に増加させるものとした。これにより、バッテリ50の出力制限Woutが大きいときと同一にエンジン22の要求パワーPe*を増加させるものに比して、バッテリ50の出力電力Pbを出力制限Woutの範囲内としつつ駆動軸36の要求パワーPd*により対応する(動力性能を良好なものとする)ことができる。また、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときに、アクセル開度Accが増加していなくてもエンジン22の出力パワーPe(回転数Ne)を比較的高くするものに比して、燃費の悪化を抑制することができる。これらの結果、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときの動力性能および燃費の両立をより図ることができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、アクセル開度Accが増加してエンジン22の要求パワーPe*を増加させる際において、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときには大きいときに比して大きいレート値ΔPeを用いてエンジン22の要求パワーPe*を設定する。これにより、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときの動力性能および燃費の両立をより図ることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、レート値ΔPeは、図4に示したように、バッテリ50の出力制限Woutが小さいほど大きくなるように設定するものとした。しかし、レート値ΔPeは、バッテリ50の出力制限Woutが定格パワーWoutrt以下の閾値Wref1未満のときには閾値Wref1以上のときよりも大きくなるように2段階の値で設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセル開度Accが増加してエンジン22の要求パワーPe*を増加させる際において、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときには大きいときに比して大きいレート値ΔPeを用いてエンジン22の要求パワーPe*を設定するものとした。しかし、この際には、レート値ΔPeをバッテリ50の出力制限Woutに応じた値とするのに加えて、駆動軸36の要求トルクTd*(要求パワーPd*)もバッテリ50の出力制限Woutに応じた値とするものとしてもよい。この場合、駆動軸36の要求トルクTd*は、例えば、各車速Vについてのアクセル開度Accとバッテリ50の出力制限Woutと要求トルクTd*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると、このマップから対応する要求トルクTd*を導出して設定するものとしてもよい。要求トルク設定用マップの一例を図6に示す。駆動軸36の要求トルクTd*は、図示するように、アクセル開度Accが小さいときには大きいときに比して大きくなり且つバッテリ50の出力制限Woutが小さいときは大きいときに比して大きくなるように、具体的には、アクセル開度Accが大きいほど大きくなり且つバッテリ50の出力制限Woutが小さいほど大きくなるように設定するものとした。この場合、駆動軸36の要求パワーPd*(=Td*・Nd)も、アクセル開度Accが小さいときには大きいときに比して大きくなり且つバッテリ50の出力制限Woutが小さいときは大きいときに比して大きくなる。これにより、バッテリ50の出力制限Woutが小さいときの、エンジン22の要求パワーPe*(出力パワーPe)をより大きくすることができ、駆動軸36の出力パワーPdをより十分なものとすることができる。
この変形例では、駆動軸36の要求トルクTd*(要求パワーPd*)は、バッテリ50の出力制限Woutが小さいほど大きくなるように設定するものとした。しかし、駆動軸36の要求トルクTd*(要求パワーPd*)は、バッテリ50の出力制限Woutが定格パワーWoutrt以下の閾値Wref2未満のときには閾値Wref2以上のときよりも大きくなるように2段階の値で設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、蓄電可能な装置であれば、キャパシタなどを用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にモータMG2を接続すると共にモータMG2にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続し、モータMG1,MG2に電力ライン54を介してバッテリ50を接続する構成とした。しかし、駆動輪に連結された駆動軸に変速機を介してモータを接続すると共にモータにクラッチを介してエンジンを接続し、モータに電力ラインを介してバッテリを接続する構成としてもよい。また、駆動輪に連結された駆動軸にモータを接続すると共にエンジンに発電機を接続し、モータと発電機とを電力ラインを介して互いに接続すると共にこの電力ラインにバッテリを接続する構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG2が「モータ」に相当し、バッテリ50が「蓄電装置」に相当し、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とが「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ハイブリッド自動車の製造産業などに利用可能である。
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、57 コンデンサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (1)

  1. エンジンおよびモータと、
    前記モータと電力をやりとりする蓄電装置と、
    アクセル操作量に基づいて走行用要求パワーを設定し、前記走行用要求パワーに基づいて前記エンジン要求パワーを設定し、前記エンジン要求パワーが前記エンジンから出力されると共に前記蓄電装置の許容出力電力の範囲内で前記走行用要求パワーにより走行するように前記エンジンおよび前記モータを制御する制御装置と、
    を備えるハイブリッド自動車であって、
    前記制御装置は、前記アクセル操作量が増加して前記エンジン要求パワーを増加させる際において、前記蓄電装置の許容出力電力が小さいときには、大きいときに比して、前記エンジン要求パワーの単位時間当たりの変化量を大きくして、
    前記制御装置は、前記アクセル操作量が増加したときには、前記蓄電装置の許容出力電力に拘わらずに、前記エンジンの燃費動作ラインに沿って前記エンジンの運転ポイントを移動させる、
    ハイブリッド自動車。
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