JP6746830B2 - ジャカード織物多色織パターンの生成方法,装置およびプログラム - Google Patents

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Description

この発明は,ジャカード織物多色織パターンの生成方法,装置およびプログラムに関する。
ジャカード織物では,多数並列化された経糸(たていと)を,緯糸(よこいと)に対して上下させて織ることで,複雑な模様を織り出すことができる。経糸と緯糸の上下関係は,パンチカードやプログラムによって,格子点ごとの上下関係による二値データとして定義することができ,これを表現した画像を組織図と呼ぶ。また組織図のうち,ジャカード織物で用いられる複雑で大規模な組織図は,ジャカード組織図と呼ばれ,単純で規則的なものとは区別されて扱われる。ジャカード組織図は,その制作過程の多くがコンピュータ化した現代においても,最終的には熟練職人の手作業でデザインされることがほとんどである。このため,完成されたジャカード組織図のひとつひとつは,それぞれの織物業者の意匠資産として大切に扱われている。これらのジャカード組織図はこれまでは設計者のスキルに頼って作られてきたが,カラー写真やカラーイラストなどのディジタル画像から新たなジャカード組織図を自動ないしは半自動で生成することができれば,状況や個人に応じた柔軟なジャカード組織図の生成が可能になる。
特許文献1には,ジャカード組織図の基となるジャカード織物用に二値化されたパターン画像(ジャカード織物パターン)を,コンピュータにより自動ないしは半自動で生成する方法が記載されている。
この方法は,元画像の陰影や色調を反映した画像を織物生地上に織り込むためのジャカード織物パターンの生成方法であって,織物生地上に表現したい元画像のデータをコンピュータに読み込み,コンピュータ内において,前記元画像のデータに対して織物に適した特徴を備えるように,二値化処理後の結果が織物組織となるようなマトリクスとしてあらかじめ作成された閾値サブマトリクスを使用して組織的ディザ法により二値化処理を行い,前記元画像の持つ陰影や色調が反映された織物パターンを生成するものである。この方法は,写真やイラストなどのディジタル画像(元画像)をジャカード織物に反映するのにきわめて有効な方法である。
発明者らは,特許文献1に記載のジャカード織物パターン生成方法をさらに改良した方法を提供した(特許文献2)。
この方法は,二値化されたジャカード織物パターンにおいて,閾値サブマトリクスを規則的に繰返し配列することに起因して生じることがある人工的な感じを与える規則的繰返しパターンの発生を極力低減させるようにするものである。
特許第5311092号公報 特開2015−212440号公報
これらの特許文献1,2に記載の方法はグレースケール画像を例示して記載しているが,もちろんカラー画像にも適用できるものである。
一般に所与のカラー画像を模した多色織パターンの生成において,従来の手法では,画像全体にRGBやCMYKの色を持つ糸を組合せるのが一般的であった。糸の種類を増やせば所与の画像を近似することが容易となるが,数行数列で1つの画素を再現するために解像度が下がることは避けられない。手作業によれば,所与の画像の特定の位置にのみその位置の色を適切に表わす色(RGBやCMYKに限らない色)の糸を配置することで,色再現と解像度のどちらも高く保つことができるが,当然に手間がかかる。
この発明は,あらかじめ登録された使用可能な色の糸の中から,所与のカラー画像を最もよく再現できる複数の色の糸(経糸,緯糸)を上位順で選択できるようにすることを目的とする。
この発明はまた,設定または選択された経糸,緯糸を各格子点で上下させて,所与のカラー画像を再現する多色織パターンを生成することを目的とする。
この発明はさらに,選択された緯色糸であっても特定の行の画像の再現に適するか否かを判定し,この判定結果に応じて緯色糸を最終的に決定できるようにすることを目的とする。
この発明はさらに,生成された多色織パターンにしたがって実際に織ったものに近くなるように画像を描画(シミュレートする)できるようにすることを目的とする。
この発明は,経,緯いずれか一方の第1の糸色と他方の第2の糸色とにより所与のカラー画像を表現するジャカード織物多色織パターンを生成する方法において,複数の使用可能な第2の糸色について,それらの色データを記憶しておき,複数の使用可能な第2の糸色のうち,所与のカラー画像の各画素の色と,所与の第1の糸色と第2の糸色との混合色との誤差の画像全体についての総和が最小となる第2の糸色を第1番目の第2の糸色と決定し,第2番目以降の第2の糸色については,所与の第1の糸色と既に決定した第2の糸色の混合色と所与の画像との画像全体にわたる誤差を最大限に減少させる(誤差を最小とする)第2の糸色を,指定された糸色数の範囲内で,複数の使用可能な第2の糸色の中から順次選択するものである。
この発明はジャカード織物多色織パターンの生成装置も提供している。この発明は,経,緯いずれか一方の第1の糸色と他方の第2の糸色とにより所与のカラー画像を表現するジャカード織物多色織パターンの生成装置において,複数の使用可能な第2の糸色について,それらの色データを記憶する糸色データベース,前記糸色データベースに記憶された複数の使用可能な第2の糸色のうち,所与のカラー画像の各画素ごとの,その画素の色と,所与の第1の糸色と第2の糸色との混合色との誤差の画像全体についての総和が最小となる第2の糸色を第1番目の第2の糸色と決定する第1の選択手段,ならびに所与の第1の糸色と既に決定した第2の糸色の混合色と所与の画像との画像全体にわたる誤差を最大限に減少させる(誤差を最小とする)第2の糸色を,指定された糸色数の範囲内で,複数の使用可能な第2の糸色の中から第2番目以降の第2の糸色を順次選択する第2の選択手段を備えるものである。
この発明はジャカード織物多色織パターンの生成のためのプログラムも提供している。
この発明は経,緯いずれか一方の第1の糸色と他方の第2の糸色とにより所与のカラー画像を表現するジャカード織物多色織パターンの生成プログラムにおいて,あらかじめ記憶された複数の使用可能な第2の糸色のうち,所与のカラー画像の各画素の色と,所与の第1の糸色と第2の糸色との混合色との誤差の画像全体についての総和が最小となる第2の糸色を第1番目の第2の糸色と決定し,第2番目以降の第2の糸色については,所与の第1の糸色と既に決定した第2の糸色の混合色と所与の画像との画像全体にわたる誤差を最大限に減少させる(誤差を最小とする)第2の糸色を,指定された糸色数の範囲内で,複数の使用可能な第2の糸色の中から順次選択するようにコンピュータを動作させるものである。
この発明によると,従来用いてきたRGBやCMYKの糸のみならず,またはこれらとは関係なく,使用可能な糸の色データベースを作成しておき,この使用可能な糸の中から,所与の画像を最適に表現するのに適した糸色を上位順に選択できる。第1番目の糸については所与のカラー画像との誤差を最小にするように選択される。第2番目以降の糸については,既に選択されている糸で再現できる色を考慮して,まだ再現されていない色を再現する糸色が選択される。所与の画像を縮小した画像も上記の意味で所与の画像である。
一般的には一または複数の経糸が固定され,これらの経糸の存在を前提として最適な緯糸色が選択される。このように所与のカラー画像を再現するのに最適な糸色が自動的に選択されるから,選択された糸色を用いて織物を作製することにより,色再現と解像度のいずれをも高く保つことができる。
一実施態様では,所与の画像の画素ごとに重みを生成し,この重みを対応する画素の誤差に作成させる(乗じる)。
所与のカラー画像に表わされている主要な部分を強調したり,または正しく表現したり,全体の色調をユーザの好みに合わせたりすることができる。
他の実施態様では,所与の画像の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化する。
二値化処理の手法としては制約付ディザ法や制約付誤差拡散法がある。経糸色と緯糸色で再現できる色空間上の線分に対して,画素値を投影することで,経糸色と緯糸色に対する近さを求める。この値を閾値処理することによって,パターンを生成する。このようにして,適切に選択された緯糸色を用いて所与の画像を再現する織物パターンを得ることができる。
さらに他の実施態様では,所与の画像の各行の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化して該当する行において当該緯糸色が上に現われる割合を求め,この割合が所定閾値を超えている場合に当該緯糸色をその行の緯糸色として採用する。
ある緯糸色でその行の色を再現するときに,その行にその緯糸色があらかじめ定める閾値以下しか出現しないときには,その行をよく再現しない糸であると判定して,その行をその緯糸色で表現するのを取りやめる。各行で必要な色の糸だけで画像を再現することによって,高解像度の画像再現が可能になる。
上記において,当該緯糸色が上に現われる割合が所定閾値以下である場合に,当該行に次の緯糸色を用いて二値化処理と経糸色が上に現われる割合の検査とを繰返す。
また,選択されたすべての緯糸色について二値化処理と緯糸色が上に現われる割合の検査とを行い,すべての緯糸色について緯糸色が上に現われる割合が所定の閾値以下である場合には,当該行の緯糸色として最初の緯糸色を採用する。
この発明はさらに上述のようにして生成された織物パターン画像に基づいて,実際に織られたかのようなカラー画像をシミュレートして表示することができる。この表示画像の描画において,この発明の一実施態様では,二値化処理の結果得られる織物パターンを表わす画像を表示するに際して各格子点に現われる経糸色または緯糸色の描画上の露出比率を調整する。各格子点の周辺での経糸と緯糸の露出が,その格子点の近傍の格子点での経糸と緯糸の交差の仕方によって変わる(たとえば糸が斜めになることによって光反射が変化する)ことを考慮して,その格子点での色を調整する。これによって,織り上がりにより近いディジタル画像を表現する。
さらに,他の実施態様では,二値化処理の結果得られる織物パターンに表われる格子点近傍の交差回数を当該格子点の交差数として二次元画像上に表示する。局所的な交差数を可視化して表示することにより,局所的な織り上がりを認識することができる。
上述した各実施態様はこの発明による多色織パターン生成装置やプログラムにおいても適用される。
ジャカード織物多色織パターンの一例を模式的に示す。 色空間において,経糸色と緯糸色とを結ぶ線分を示す。 色空間において,経糸色と緯糸色とを結ぶ線分に画素の色を投影した様子を示す。 色空間において,複数の経糸色,複数の緯糸色,複数の緯糸色と経糸色とを結ぶ線分,これらの線分に画素の色を投影した様子を示す。 経糸色と複数の緯糸色との組合せについて,各画素値との誤差および既に選択された緯糸色で与えられる誤差の最小値を配列して示すテーブルであり,第1番目の緯糸が選択される様子を示す。 経糸色と複数の緯糸色との組合せについて,各画素値との誤差および既に選択された緯糸色で与えられる誤差の最小値を配列して示すテーブルであり,第2番目の緯糸が選択される様子を示す。 経糸色と複数の緯糸色との組合せについて,各画素値との誤差および既に選択された緯糸色で与えられる誤差の最小値を配列して示すテーブルであり,第3番目の緯糸が選択される様子を示す。 閾値サブマトリクスの一例を示す。 (A),(B)は経糸と緯糸の交差と格子点での露出量の違いを示すもので,(A)は斜視図,(B)は模式図である。 ジャカード織物多色織パターン生成装置のシステム構成を示すブロック図である。 緯糸色のデータベースを示す。 適切な緯糸色を選択する処理を示すフローチャートである。 緯糸色の要否の判定処理を示すフローチャートである。
1.システム構成
図10はジャカード織物多色織パターンの生成装置のシステム構成を示している。
ジャカード織物多色織パターン生成装置1はプログラムされたコンピュータシステムにより実現され,処理装置10を備えている。処理装置10は具体的には,一例としてPC(パーソナルコンピュータ)である。処理装置10には,表示装置20,記憶装置30,入力装置31および出力装置32が接続される。処理装置10は,設定されたプログラムにしたがって後述する緯糸色選択処理,二値化処理(緯糸色の取捨選択処理を含む),描画(シミュレーション)処理等を行う。すなわち,処理装置10は設定されたプログラム(図12,図13等)にしたがって動作し,第1の選択手段,第2の選択手段,重み生成手段,二値化手段,緯糸色要否判定手段,描画手段等を実現する。表示装置20の表示画面には,入力画像(所与の画像)を表示する領域,出力画像(織物パターンを示すシュレート画像)を表示する領域,経糸色表示選択部23,緯糸色表示選択部24,緯糸色選択実行ボタン25等が設けられている。経糸色表示選択部23は,1または複数の経糸色をユーザが選択するためのものであり,選択された経糸色が表示される。緯糸色表示選択部24は,緯糸色データベースに格納されている緯糸色のうち緯糸色選択処理で使用することのできる複数の緯糸色を選択するもので(後述するように,選択されたものについては緯糸色データベースにおいて使用可能フラグが1とされる),選択された緯糸色が表示される。緯糸色選択実行ボタンが押されると,処理装置10で緯糸色選択処理が実行され,使用可能な緯糸色の中からユーザが指定した数(色数)Nの,入力画像を適切に表現する緯糸色が選ばれる。記憶装置30には,入力画像,出力画像,その他の処理実行中に生成されたデータ等が記憶されるとともに,緯糸色データベースが格納されている。入力装置21はキーボード,マウス,通信装置,画像読取装置等を含む,出力装置32は表示装置20以外の出力装置,たとえばプリンタ,通信装置等を含む。
2.ジャカード織物多色織パターン
ジャカード織物では,垂直方向に多数並列化された経糸(たていと)を,緯糸(よこいと)に対して上下させて織ることで,複雑な模様を織り出すことができる。経糸と緯糸の上下関係は,格子点ごとの上下(表裏)関係による二値データとして定義することができる。
図1にジャカード織物多色織パターンの一例が示されている。分りやすくするために,隣接する経糸の間,および隣接する緯糸の間に間隔をあけて描かれている。ジャカード織物においては,経糸と緯糸が一定範囲(糸の本数)以内で一度以上交差しなければならないという制約がある(織物制約)。
各格子点において,経糸と緯糸のどちらを上(表)にするかによってその位置での色が決る。写真,絵画,図案,その他の所与のカラー画像を表わすジャカード織物多色織パターンを作成する場合,一般的には,画像の一画素が一格子点に対応するが,絵の具等と異なり,一画素の範囲で経糸の色と緯糸の色を混ぜ合わせたような色は表現できない。周囲の画素を含めた領域内で経糸と緯糸の露出の割合を変えることによって色を表現することになる。
多色織パターンにおいて,一般に経糸は織機にあらかじめ設定され,変更が難しい場合が多い。したがって,コンピュータによる多色織パターンの生成においても,経糸は特定の色に固定される。白または黒に設定されることが一般的であるが,図1に示すように白い黒を交互に配置する場合,赤,緑,青を順番に配置する場合等もある。白,黒,グレーのような無彩色も色と表現することとする。
したがって,写真等の所与の画像をジャカード織物で表現する場合,緯糸の色の選択が重要となる。織機によってセット可能な緯糸の数(色数)は決っているので,セット可能な緯糸の数の範囲内で,所与の画像を適切に表現(または最もよく再現)できる緯糸を選択することが要請される。選択された複数色の緯糸は,図1に示すように,一定の順序で(図1では赤,青,紫の順)で順次配列されることになるが,後述するように,場所によっては不要な緯糸が取り除かれる場合がある。
以下の説明で用いる色ベクトルは,CIEL*a*b*空間(以下,単にLabまたはLab空間という)において表わされるものである。2色間の距離はLab空間におけるユークリッド距離として表わされる。2色間の距離さえ計算できるものであれば,Lab空間に代えて,RGB空間,CMYK空間,その他の色空間を用いることもできる。
3.所与の画像の表現に適切な糸集合の選択
ジャカード織物多色織パターンの生成装置(コンピュータシステム)のメモリには図11に示すような緯糸色のデータベースがあらかじめ作成されて格納されている。このデータベースに登録される緯糸色は入手可能なすべて,または一部の緯糸色でもよいし,特定の製造企業が提供する緯糸色でもよいし,生成装置のユーザの好みに合った緯糸色であってもよい。いずれにしても,登録された緯糸色の識別番号(符号)に対応してそのL,a,bの値が記憶されている。各成分L,a,bはたとえば8ビットで表現された0〜255の値をとる。また,ユーザが現実に入手して使用することができる緯糸色については,使用可能フラグが1とされている(それ以外については使用可能フラグは0である)。
以下では,このような使用可能な緯糸の集合の中から,所与の(入力された)画像を最もよく再現する緯糸の部分集合を選択する処理(手法)について述べる。
コンピュータ処理のために経糸色をci v,緯糸色をcj hでそれぞれ表わす。経糸は黒と白の糸を用いるものとして,これらをそれぞれc0 v,c1 vとする。すなわち,i=0,1。緯糸色の色を表わすjについては,上述した緯糸色データベースにおいて使用可能フラグが1である緯糸色の数をJとすると,j=0,1,2,…,J−1である。
図2に示すように,Lab空間において,経糸色ci vと緯糸色cj hとを結ぶ線分上の点cpの色は,経糸色ci vと緯糸色cj hとを混合して表わされ,その混合比はt:1−tである。この線分が2つの色ci vとcj hとを混ぜて表わされる色の範囲を示す。
所与の画像(コンピュータシステムに入力された画像)上の或る画素の色c(x,y)を経糸色ci vと緯糸色cj hとを用いて表わすことを考える。Lab空間において,図3に示すように,所与の色cからci vとcj hとを結ぶ線分に垂線を下す。その足(線分と垂線との交点)をcpとする。足cpが経糸色ci vと緯糸色cj hとの混合によって表現できる色の範囲において,所与の色cに最も近い色である。上述したように,1画素の範囲では経糸と緯糸とを混ぜ合わせたような色は表現できないが,周囲の画素も含めた領域内で経糸と緯糸の露出(格子点で上にすること)の割合を変えることによって色を表現することを前提とする。
上記の混合比tは次式で表わされる。
ただし,t<0の場合にはt=0とし,t>1の場合にはt=1とする。これにより,色cに近い方の糸の色からの距離が計算される。また経糸色と緯糸色とが一致する場合にはtは計算できないが,その一致する色からの距離として計算する。
垂線の足の長さeは,経糸色と緯糸色とを混ぜ合わせることによっては表現できない誤差である。緯糸色に関する誤差は次式で表される。iは固定,上記の例ではi=0またはi=1。
経糸色に関する誤差を考慮しないのは,経糸色はあらかじめ定まっている場合が多く,変更が難しいからである。
図4はLab色空間に,経糸色c0 v(黒)およびc1 v(白)の位置と,代表的な緯糸色cj h(j=q〜q+4)(たとえば赤,橙,青,黄,紫)の位置とを示したものである。経糸色の1つc0 vと上記の緯糸色cq h〜cq+4 hとをそれぞれ線分で結び,これらの線分(またはその延長線(t<0,t>1の場合))上に所与の画素の色c(x,y)から垂線(その長さは誤差に相当)を下した様子が示されている。この画素の色c(x,y)を最も広く表わす色は誤差が最も小さい緯糸色であるといえる。c(x,y)は所与の画像上の座標(x,y)の色を表わす。
任意の画像が与えられたときに(所与の画像,入力画像について),その画像を最もよく再現する緯糸色の部分集合の中で第1番目に選択すべき緯糸色は,所与の画像のすべての画素の色に関して誤差の総和(後述する重み付けされたものを含む)が最も小さいものであるといえる。誤差の総和が最小になる緯糸色が所与の画像の基調となる色(最も広い面積を占める色,画像全体を支配している色,色調を表わす色,後述する重み付けによりユーザの主観を最もよく反映する色等)と考えられるからである。
所与の画像について色の誤差の総和を最小とする第1番目の(最初の)緯糸色c0 hは次式で表現される。
式(3)において,Σ(x,y)は緯糸色cj hについて,所与の画像のすべての画素(画素のX,Y位置を表わすすべての座標(x,y)の画素)の色との誤差eの総和を表わす。誤差eを算出するときに,画素の位置に応じて(その画素を通る経糸が黒か白かに応じて),式(2)においてi=0またはi=1のいずれかをとる。Chは使用可能な(使用可能フラグが1の)緯糸色の集合を表わす。
2番目以降の(最初以外の)緯糸の色として式(3)によって与えられる誤差の総和を2番目に小さくする色を選択したとすると,第1番目の色と同系色の色が選ばれる可能性が高い。画像にはさまざまな色が含まれ,むしろ或る色とその補色(またはそれに近い色)とが混在することでカラー画像の各部分が相互に引き立つことが多い。第2番目以降の色として第1番目の色と同系色が選ばれてしまうことはむしろ避けるべきである。
第1番目の緯糸色を選択することによって,所与の画像の各画素の色と第1番目の選択された色(厳密には,所定の経糸色と選択された緯糸色との混合色)との誤差が残る。この残った誤差を最大限に減少させるような緯糸色を第2番目として選べば,既に選択された(第1番目と第2番目の)緯糸色によって表現される画像の配色は,所与の画像の配色により近づく。これを敷衍すると(一般化すると),2番目以降の緯糸色は,既に選択された緯糸色と所与の画像との間の誤差の最小値を,さらにより大きく減少させる緯糸色を選択すべきであるということになる。こうすることにより,既に選択された緯糸色では表現できなかった画素の色を表現でき,誤差の総和をより一層減らすことができる。
この考え方を数式で表現すると,次の通りである。
すなわち,2番目以降の緯糸色ck h(k=1,…,j−1)は次の式(4),式(5)にしたがって選択されることになる。
式(4)のmin_ej(c)は画素色cに対して,j番目までの緯糸色で与えられる誤差の最小値を表わす。
式(5)は,所与の画像の各画素の色cと新たに選ばれる緯糸色との誤差とmin_ej(c)とのいずれか小さい方の値の和を求め,この和が最小になるような緯糸色を採用することを示す。Ch/{c0 k,…,ck-1 h}は,使用可能な緯糸色の集合から,既に選択された緯糸色を除去した集合を意味する。
図5,図6および図7は,それぞれ第1番目,第2番目,第3番目の緯糸色を選択するときの式(2),式(3),式(4),式(5)の計算結果を示している。所与の画像の画素の色空間の値(画素値)として,煩雑になるのを避けるために10の画素値c1〜c10が示されている。また,使用可能な緯糸色として,赤,橙,青,黄および紫の5つが挙げられている。経糸色としての黒糸とこれらの緯糸色との式(2)にしたがって算出された誤差の値が示され,さらにこれらの誤差と式(4)にしたがうmin_eの値とのいずれか小さい方の値と,この小さい方の値の全画素についての総和が示されている。
図5は,第1番目の緯糸色の選択の過程を示しているが,各緯糸色と経糸色(黒)との誤差と,min_eの値(対応する緯糸色が選ばれたものと仮定して算出されている)とは同じ値である。第1番目(第1番目の色)として誤差の総和の最も小さい赤色の緯糸色が選ばれる。図6においは,min_eは既に選択された赤色について算出された値である。各緯糸色と経糸色(黒)との誤差と,min_eの値との小さい方の値の総和が最も小さい青が第2番の色(第2色目)として選択される。図7において,min_eは,既に選択された赤色と青色について算出された誤差の方の小さい方が採用されている。各緯糸色と経糸色(黒)との誤差と,min_eの値の小さい方の値の総和が最も小さい紫色が第3番目(第3色目)として選択される。
ユーザの主観によって強調したい色,大切にしたい色等がある場合,画像の特徴を活かしたい場合等において,上述した緯糸色の選択に変更を加えることができる。一例とて,重みマップRをあらかじめ準備しておく。重みマップは,所与の画像のすべての画素について0〜1の間の値を与えるものである(R(x,y),R=0〜1)。重みマップR(x,y)を用いて,上述の式(3)および式(5)を次のように修正する。
画像中の強調したい部分の重みRの値を大きくすることにより,その部分を最も良く表現する緯糸色が選択される。
重みマップは手動でも自動でも入力または作成することができる。たとえば,強調したい領域を表示画面に表示された画像上で指定する,強調したい領域の色を指定して入力する(または選択する),顕著性マップを自動的に作成してこれを利用するなどである。たとえば画像中に主体(花,人物等)が存在する場合において,その主体を特に強調して,または正しく表わして織物に表現したい場合,画像中の注目されやすい領域を強調して織物に表わしたい場合等において,式(6),(7)を利用して処理を行うことができる。
上述した式(2)から式(7)にしたがう処理には膨大な計算処理を伴う。緯糸色の選択処理を可能な限り短時間で行うために,事前に計算処理できるものについては値を求めておいて,ルックアップテーブルを作成しておくとよい。
たとえば,式(2)の
は入力される色cと緯糸色cj hによってのみ決まる関数であるから,色空間中のすべての色cについてあらかじめ計算しておくことができる。用いる色の階調をL,選択可能な(使用可能な)緯糸色の種類をJとすれば,入力色に対して各緯糸色の距離を出力するリファレンス関数はL×L×L×Jの4次元配列として
が表現できる。これをあらかじめ算出して記憶しておけばよい。
式(4)のmin_ej(c)についても,入力色に対してそれまでに選択された緯糸色による最小距離を保持するL×L×Lの3次元配列で表現できる。入力画像が与えられると,入力画像の各画素の値に対応する4次元配列の値を参照して,J次元ベクトルの要素として総和を求める。計算時間は画素数をNとすると,0(NJ)である。
計算時間削減のためには,画像をあらかじめ縮小して画素数を削減することもできる。自然画像においてはある画素に対して近傍画素の色がほとんど変わらないことが多いので,画像を縮小しても出現する色とその頻度はほとんど変わらないと期待できるためである。min_ej(c)もL×L×Lの3次元配列として表現し,経糸が選択されるたびにその値を更新する。更新のための計算量は0(N)となる。
画素数Nを小さくすると,計算量も削減できる。縮小しても画像全体の傾向が変わらない自然画像であれば,あらかじめ画像を縮小して上述の計算をすることもできる。
緯糸色の選択について述べた。特殊な場合には(たとえば,経糸色の選択のためのシミュレーションにおいて),緯糸色を固定しておいて,経糸色を選択するためにも上記の手法をそのまま用いることができる。
図12は,処理装置10によって実行される上述した緯糸色選択処理(プログラム)の処理手順を示すものである。
まず,入力装置31から入力画像を入力する(S11)。入力画像はユーザがジャカード織物の織物パターンとして実現したい画像の元になる画像であり,絵画,写真,図案等のカラー画像である。カラー画像データは上述した種々の色空間で表わされる。処理装置10において,入力されたRGB画像をLab画像に変換してもよい。入力された画像を縮小してもよい。
次に重み画像(重みマップR)が入力装置31から入力される。重み画像を処理装置10内部においてユーザの指示の下に作成してもよい(S12)。
表示装置20の表示画面の経糸色表示選択部23から入力された経糸色,および緯糸色表示選択部24から入力された使用可能な緯糸色が処理装置20内に読込まれる(S13)。
さらに,表示装置20の表示画面または入力装置31を通してユーザによって指定された緯糸色の指定数Nが読込まれる(S14)。緯糸色選択処理によって最終的にN本(N色)の緯糸色が決定される。
入力画像を表わす色空間のすべての色および入力された使用可能な緯糸色(経糸色との組合せ)について,上述した誤差eの値が算出され,ルックアップテーブルとして記憶装置30の所定エリアに格納される(S15)。この処理は図11に示す緯糸色選択処理の前に行っておいてもよい。
入力画像の各画素について,対応する経糸色とすべての緯糸色の組合せに関し,図5の距離テーブルに示すようなmin_eの3次元配列を作成し,全要素を無限大にする(S16)。図5では最も右側の欄のみ無限大になっている。
すべての経糸色と緯糸色について,図5から図7に示すテーブル中の最下段の誤差和(総和)の欄をすべて0とする(S17)。
以上で緯糸色選択の準備が整い,選択された緯糸色があればその誤差和の欄を無限大にする(S18)。たとえば図6において,赤が選択されたので,選択された赤の誤差和を無限大にする。
各画素ごとに既に選択された緯糸色で与えられる誤差の最小値min_eを算出し,新たに選ばれる緯糸色との誤差で小さい方の和を算出し,距離テーブルに追加する(S19)。
誤差和の欄の最小値を探索して,その最小値を示す緯糸色を新たな緯糸色とする(S20)。図5において赤が新たな(この場合は第1番目の)緯糸色として選ばれ,図6においては青が新たな緯糸色として選ばれる。このようにして選択された新たな緯糸色のデータによりmin_eを更新する(S21)。図6と図7とを対比することにより,min_eが更新されていることが分る。
選択された緯糸色の数がN本になれば処理が終了し(S22),N本になっていなければS17に戻って,S17〜とS21を繰返す。
4.ジャカード織物パターンの生成
絵画,写真,図案等の所与の画像に基づいて,この画像を表わすジャカード織物を作成するには,ジャカード織物に提供する二値画像(ジャカード織物パターン)のデータを生成する必要がある。グレースケール画像データから二値画像データを作成する手法には,(組織的)ディザ法,誤差拡散法などがある。上述したように,ジャカード織物においては,経糸と緯糸が一定範囲以内で一度以上交差しなければならないという制約がある。そこでディザ法や誤差拡散法もこの制約を受けることになる。これを制約付ディザ法,制約付誤差拡散法などと呼ぶ。これについては先に言及した特許文献1および特許文献2に詳述されているが,必要な範囲で説明しておく。
制約付ディザ法は,織物用閾値サブマトリクス(または,複数の織物用閾値サブマトリクスを配置して得られる織物用閾値マトリクス。織物用ディザマスク等ともいう)(以下,簡略化していうときには,単に「閾値サブマトリクス」という)を用いて,グレースケール画像データに対して二値化処理を行うものである。閾値サブマトリクスは二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値のマトリクスであり,この一例(8×8のマトリクス)が図8に示されている。閾値サブマトリクスは一般にはn×nの正方行列であるが,必ずしも正方行列に限られない。また,閾値サブマトリクスの行数,列数は任意であるが(たとえば4×4,5×5,8×8など),織物のためのパターン生成(一定間隔以内で経糸と緯糸が少なくとも1回交叉(交差)しなければならない)という制約を考慮して定めればよい。
図8に示す例からも分るように,織物用閾値サブマトリクスは,グレースケール画像データを二値化処理するための閾値をi行j列の各要素ごとに有し,各行,各列に少なくとも1つずつ,閾値として,画像データを表わす数値の最小値(たとえば0)および画像データを表わす数値の最大値(たとえば255)を有するものである。これにより,閾値サブマトリクスを用いた二値化処理により得られる二値画像データに基づく織物用パターン(織物組織図)にしたがって織物を織ったときに,閾値サブマトリクスの大きさの範囲内で経糸と緯糸の交叉(交差)(経糸が上で緯糸が下になる場合と,これと反対の場合)が必ず1回は生じ,織物が仕上ることになる。
所与のカラー画像について,閾値サブマトリクスを作用させるべきグレースケール画像の各画素のデータとして,式(1)に示す経糸色と緯糸色の混合比tを採用することができる。このデータtを閾値サブマトリクスの対応する閾値で二値化処理した結果が1の場合(閾値よりもtの方が大きい)には,その交叉点では緯糸を経糸の上(表)になるようにし,二値化処理した結果が0の場合には緯糸と経糸を逆にすればよい。
制約付誤差拡散法を用いる場合に,拡散させる誤差には,上述した誤差を表わすベクトルe(c,cj h)を用いるとよい。誤差を拡散させた後(加算した後)の各画素の色を表わすデータ(三次元ベクトル)についての混合比tを算出し,このtを閾値サブマトリクスの対応する閾値で二値化するのが制約付誤差拡散法である。
誤差拡散によって入力画像におけるコントラストが減少するという問題が発生することがある。この問題の発生を避けるために,拡散する誤差の上限を定める閾値をあらかじめ設定しておき,この閾値を超える誤差が拡散するのを制限するとよい。誤差はベクトル量である。閾値によって大きさが制限される成分の値と閾値以下の成分の値とが接近すると色の傾向が失われる。そこで係数a(a<1)を用いて,ベクトルa・e(c,cj h)を算出し,このベクトルの各成分の絶対値を閾値で制限するようにすることが好ましい。
上述した織物パターンの生成は,所与の画像(入力画像)の各画素について,あらかじめ定められた経糸色と選択された緯糸色とにより再現できる色空間上の線分に対して画素値(色データ)を投影し(点cp),経糸色または緯糸色に対する近さ(tまたは1−t)を求め(グレースケール画像),これを閾値サブマトリクスにより二値化処理(制約的ディザ法,制約的誤差拡散法)することによって実行されると総括できる。
5.緯糸色の取捨選択
最初に述べたように,1または複数の経糸色があらかじめ定められ,所与の入力画像を最もよく表わす複数の緯糸色が選択され,ジャカード織物の各格子点における織物パターン(経糸,緯糸のどちらを上(表)にするか)が生成される。複数本の選択された緯糸色は選択された順序で配列される。たとえば図1に示すように,常に,経方向に赤,青,紫の順序で繰返し配列されることが前提である。
上述した緯糸色の選択処理から分るように,緯糸色は所与の画像の全体を最もよく再現するように選択される。したがって,特定の緯糸色について,画像の全体をみれば必要不可欠なものであっても,画像の一部分(特に経方向のある範囲)の表現には,殆ど,または全く使用されない場合がありうる。生成された織物パターンからみれば,そのような緯糸色は経糸色の上に(表に)殆ど現われない。織物の制約上,最低限の割合で緯糸色が経糸色の上に現われるにすぎない場合がある。このような緯糸色は,それが存在する行(画像の画素の行)を良く表現する色の糸ではない。
そこで,制約付ディザ法や制約付誤差拡散法によって織物パターンを生成する過程で緯糸の取捨選択を行っていく。すなわち,選択された第1番目(第n番目)の緯糸色とあらかじめ定められた経糸色とによって定まる上記式(1)のtについて,入力画像の第1行目(第m行目)の各画素について制約付ディザ法または制約付誤差拡散法等により閾値サブマトリクスを用いて二値化処理し,0または1の値を得る。緯糸が経糸の上にくるときに二値データが1であるとすると,緯糸が上(表)に現われない(二値データが0である)画素の数をその行について数える。二値データが0である画素の数(割合)が閾値eth(割合の場合,0≦eth<1)以下であれば,第1行目(第m行目)については第1番目(第n番目)の緯糸色が採用される。二値データが0である割合が閾値を超えていれば,第1番目(第n番目)の緯糸色を採用しない。
後者の場合,すなわち第1番目(第n番目)の緯糸色を採用しない場合には,入力画像の第1行目(第m行目)について,第2番目(第(n+1)番目)に選択された緯糸色を用いて同様に二値化処理を行い,0が現われる割合と閾値ethを比較する。0が現われる割合が閾値eth以下であれば第1行目(第m行目)の緯糸として第2番目(第(n+1)番目)の緯糸色を採用する。逆の場合には,第3番目(第(n+2)番目)の緯糸について同様の処理を繰返す。選択されたすべての緯糸について上に(表に)現われる割合が閾値を超えているものがなければ,第1番目(第n番目)の(最初に試した)緯糸色を第1行(第m行)に採用する。
第2行目(第(m+1)行目)の画像についても同様の処理を行っていく。仮に,第2行目(第(m+1)行目)についてもすべての選択された緯糸色が上に(表に)現われる割合が閾値eth以下であれば,その行については第2番目(第(n+1)番目)の緯糸色が採用されることになる。
この手法は,写真よりも図案の入力画像についてその効果を発揮する。
図13は入力画像の二値化処理を行いながら緯糸色の取捨選択処理を行う(または緯糸色の取捨選択処理を行いながら入力画像の二値化処理を行う)処理手順(処理プログラム)を示している。これは処理装置10によって実行される。
緯糸色を取捨選択するための閾値ethを設定する(S31)。ユーザが入力した値(または選択した値)を読込んでもよいし,あらかじめ記憶されているものを読出してもよい。
経糸色表示選択部23で設定された経糸色および図11に示す緯糸色選択処理で決定されたN色の緯糸色をそれぞれ読込む(S32,S33)。
ループフラグを0とし,処理を行った緯糸色の数を数えるカウンタの値nを0とし(nの最大値はNで,その後再び0に戻る),最後に選択した緯糸色nlast該当なしとする(S34,S35,S36)。
入力画像の所定行(最初は第1行)の各画素の色データをその画素に対応する経糸色とn色目の緯糸色で二値化処理する(制約付ディザ法,制約付誤差拡散法など)(S17)。二値化処理した結果,表に(上に)出た緯糸色の割合が閾値ethを超えていれば(S38でYES),その緯糸色を選択して,画像データの入力行を1行進める(S41)。ループフラグを0とし,最後に選択した緯糸色nlastとして先のnを置き(S43),nをインクリメントする(S44)。表に出た緯糸色の割合が閾値ethを超えている限り,そして入力画像の最終行にならない限り(S46),S37,S38,S41〜S44が繰返される。
表に出た緯糸色の割合が閾値eth以下の場合には,ループフラグが1とならない限り(S39でNO),そして緯糸色が一巡しない限り(n=nlastとならない限り)(S40でNO),nをインクリメントしながら,上記の処理が繰返される。そして,n=nlastとなると,ループフラグを1として,表に出る緯糸色の割合が閾値eth以下であっても(S38でNO),ループフラグが1であるから(S39でYES),一巡したときの緯糸色を強制的に採用する(S41)。
6.シミュレーション(ジャカード織物多色織パターンの描画または表示)
上述のようにして,所与の経糸色と選択された緯糸色とによるジャカード織物多色織パターンが得られると,この得られたパターンデータを用いて,それによって表わされる織物をシミュレーションして(描画して)表示装置の表示画面に表示し,所望の織物が得られるかどうかを確認することが好ましい。
織物パターンにおいては,各格子点で経糸と緯糸が交差し,経糸または緯糸のいずれか一方が上(表),他方が下(裏)になるので,上(表)になった糸の色が現われる(露出する)が,この露出量は,糸の交差によって糸が斜めになり反射率,面積が変化するので,その近傍の格子点での経,緯糸の交差の仕方によって変化する。
このことは経糸,緯糸いずれの場合も同じであるので,経糸について記述する。
図9(A),(B)に示すように,位置(x,y)で経糸が表に出る量をT(x,y)とする。T(x,y)は0または1の値を取る。T(x,y)を上または下で経糸が下(裏)にあればThだけ減ずる,左または右で経糸が下(裏)にあればTvだけ減ずる,経糸と緯糸の隙間の量Tsを減ずることで,描画上の経糸の混合比率を変更する。新たなT(x,y)をT’(x,y)とすると,T’(x,y)は以下のように計算できる。
最終的なその格子点での色の値c’は
となる。一例では,Tv,Th,Tsは0.025程度であり,これは経糸,緯糸の太さや機械の緯糸押し込みの設定によって変化する。
ジャカード織機は緯糸を1本入れた後に,すでに織られた織物に緯糸を押し込むことで,経糸と緯糸を織り込んでゆく。経糸と緯糸の交差の回数が多くなると,緯糸は押し込まれにくくなる。このことは,交差の回数が全体で不均一であるときに問題となる。すなわち,交差の回数が少ないところではより押し込まれ,交差の回数が多いところでは押し込まれにくいことによって,行方向に格子点の位置がずれることが起こる。織物パターンをデザインするときには,または織機で押し込みの量を決定するときには,パターン全体でどれくらいの交差が起こっているかを考慮する必要がある。一方で,パターン画像上からこれを読み取ることは困難であるので,可視化画像を作成することによって,交差回数の多寡を一目でわかるようにすることが好ましい。
各格子点(x,y)を成す経糸と緯糸に対して,この格子点の周辺(たとえば当該格子点を中心とする3×3,5×5の範囲)で何回の交差が起こるかを数え上げる。格子点で経糸が上なら0,緯糸が上なら1として,各格子点での交差回数を表わす関数v(x,y)を求め,これを,たとえば濃淡等により二次元画像として表示する。
1 ジャカード織物多色織パターンの生成装置
10 処理装置(第1の選択手段,第2の選択手段,重み生成手段,二値化手段,緯糸色要否判定手段,描画手段)
20 表示装置
30 記憶装置
31 入力装置
32 出力装置

Claims (24)

  1. 経,緯いずれか一方の第1の糸色と他方の第2の糸色とにより所与のカラー画像を表現するジャカード織物多色織パターンを生成する方法において,
    複数の使用可能な第2の糸色について,それらの色データを記憶しておき,
    複数の使用可能な第2の糸色のうち,所与のカラー画像の各画素の色と,所与の第1の糸色と第2の糸色との混合色との誤差の画像全体についての総和が最小となる第2の糸色を第1番目の第2の糸色と決定し,
    第2番目以降の第2の糸色については,所与の第1の糸色と既に決定した第2の糸色の混合色と所与の画像との画像全体にわたる誤差を最大限に減少させる第2の糸色を,指定された糸色数の範囲内で,複数の使用可能な第2の糸色の中から順次選択する,
    方法。
  2. 所与の画像の画素ごとに重みを生成し,
    この重みを対応する画素の誤差に作用させる,
    請求項1に記載の方法。
  3. 所与の画像の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化する,請求項1または2に記載の方法。
  4. 所与の画像の各行の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化して該当する行において当該緯糸色が上に現われる割合を求め,この割合が所定閾値を超えている場合に当該緯糸色をその行の緯糸色として採用する,請求項1または2に記載の方法。
  5. 当該緯糸色が上に現われる割合が所定閾値以下である場合に,当該行に次の緯糸色を用いて二値化処理と経糸色が上に現われる割合の検査とを繰返す,請求項4に記載の方法。
  6. 選択されたすべての緯糸色について二値化処理と緯糸色が上に現われる割合の検査とを行い,すべての緯糸色について緯糸色が上に現われる割合が所定の閾値以下である場合には,当該行の緯糸色として最初の緯糸色を採用する,請求項4に記載の方法。
  7. 二値化処理の結果得られる織物パターンを表わす画像を表示するに際して各格子点に現われる経糸色または緯糸色の描画上の混合比率を調整する,請求項3に記載の方法。
  8. 二値化処理の結果得られる織物パターンに表われる各格子点近傍の交差回数を当該格子点の交差数として二次元画像上に表現する,請求項3に記載の方法。
  9. 経,緯いずれか一方の第1の糸色と他方の第2の糸色とにより所与のカラー画像を表現するジャカード織物多色織パターンの生成装置において,
    複数の使用可能な第2の糸色について,それらの色データを記憶する糸色データベース,
    前記糸色データベースに記憶された複数の使用可能な第2の糸色のうち,所与のカラー画像の各画素ごとの,その画素の色と,所与の第1の糸色と第2の糸色との混合色との誤差の画像全体についての総和が最小となる第2の糸色を第1番目の第2の糸色と決定する第1の選択手段,ならびに
    所与の第1の糸色と既に決定した第2の糸色の混合色と所与の画像との画像全体にわたる誤差を最大限に減少させる第2の糸色を,指定された糸色数の範囲内で,複数の使用可能な第2の糸色の中から第2番目以降の第2の糸色を順次選択する第2の選択手段,
    を備える装置。
  10. 所与の画像の画素ごとに重みを生成して記憶する重み生成手段をさらに備え,
    前記第1,第2の選択手段は,前記重みを対応する画素の誤差に作用させる,
    請求項9に記載の装置。
  11. 所与の画像の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化する二値化手段を備える,請求項9または10に記載の装置。
  12. 所与の画像の各行の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化して該当する行において当該緯糸色が上に現われる割合を求め,この割合が所定閾値を超えている場合に当該緯糸色をその行の緯糸色として採用する緯糸色要否判定手段をさらに備える,請求項9または10に記載の装置。
  13. 前記緯糸色要否判定手段は当該緯糸色が上に現われる割合が所定閾値以下である場合に,当該行に次の緯糸色を用いて二値化処理と緯糸色が上に現われる割合の検査とを繰返す,請求項12に記載の装置。
  14. 前記緯糸色要否判定手段は,選択されたすべての緯糸色にいて二値化処理と緯糸色が上に現われる割合の検査とを行い,すべての緯糸色について緯糸色が上に現われる割合が所定の閾値以下である場合には,当該行の緯糸色として最初の緯糸色を採用する,請求項12に記載の装置。
  15. 二値化処理の結果得られる織物パターンを表わす画像を表示するに際して各格子点に現われる経糸色または緯糸色の描画上の混合比率を調整する描画手段をさらに備える,請求項11に記載の装置。
  16. 値化処理の結果得られる織物パターンに表われる各格子点近傍の交差回数を当該格子点の交差数として二次元画像上に表現する描画手段をさらに備える,請求項11に記載の装置。
  17. 経,緯いずれか一方の第1の糸色と他方の第2の糸色とにより所与のカラー画像を表現するジャカード織物多色織パターンの生成プログラムにおいて,
    あらかじめ記憶された複数の使用可能な第2の糸色のうち,所与のカラー画像の各画素の色と,所与の第1の糸色と第2の糸色との混合色との誤差の画像全体についての総和が最小となる第2の糸色を第1番目の第2の糸色と決定し,
    第2番目以降の第2の糸色については,所与の第1の糸色と既に決定した第2の糸色の混合色と所与の画像との画像全体にわたる誤差を最大限に減少させる第2の糸色を,指定された糸色数の範囲内で,複数の使用可能な第2の糸色の中から順次選択する,
    ようにコンピュータを動作させるプログラム。
  18. 所与の画像の画素ごとに重みを生成し,
    この重みを対応する画素の誤差に作用させる,
    ようにコンピュータを動作させる請求項17に記載のプログラム。
  19. 所与の画像の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化するようにコンピュータを動作させる請求項17または18に記載のプログラム。
  20. 所与の画像の各行の各画素について,所与の経糸色と選択された緯糸色のいずれか一方に対する近さを表わす値を,二値化処理後の結果が織物組織となるように作成された閾値サブマトリクスの対応する要素の閾値を用いて二値化して該当する行において当該緯糸色が上に現われる割合を求め,この割合が所定閾値を超えている場合に当該緯糸色をその行の緯糸色として採用するようにコンピュータを動作させる請求項17または18に記載のプログラム。
  21. 当該緯糸色が上に現われる割合が所定閾値以下である場合に,当該行に次の緯糸色を用いて二値化処理と緯糸色が上に現われる割合の検査とを繰返すようにコンピュータを動作させる請求項20に記載のプログラム。
  22. 選択されたすべての緯糸色について二値化処理と緯糸色が上に現われる割合の検査とを行い,すべての緯糸色について緯糸色が上に現われる割合が所定の閾値以下ある場合には,当該行の緯糸色として最初の緯糸色を採用するようにコンピュータを動作させる請求項20に記載のプログラム。
  23. 二値化処理の結果得られる織物パターンを表わす画像を表示するに際して各格子点に現われる経糸色または緯糸色の描画上の混合比率を調整するようにコンピュータを動作させる請求項19に記載のプログラム。
  24. 二値化処理の結果得られる織物パターンに表われる各格子点近傍の交差回数を当該格子点の交差数として二次元画像上に表現するようにコンピュータを動作させる請求項19に記載のプログラム。
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