JP2004326483A - 繊維製品のシミュレーション画像生成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】織り柄等を有する繊維製品のシミュレーション画像として現実の出来上がりの繊維製品により近づけ得るシミュレーション画像生成方法を提供する。
【解決手段】経糸について、入力設定された組織図から横ずれ傾向値を横ずれ傾向パターンから割り出し(S21)、これに横ずれの影響の受け易さに基づく補正(S22)及び連続に基づく横ずれ傾向度合の増大補正(S23)を行う。緯糸についての同様処理を行う(S24〜S26)。経糸及び緯糸のそれぞれの横ずれ傾向値に糸自体の太さや密度に基づく補正を加味してX座標移動量及びY座標移動量を演算し合成する(S27)。合成後のX−Y座標移動量に基づき各交差部のX−Y座標位置を移動させる。移動後の各交差部で経糸及び緯糸が交差するように経糸及び緯糸を表示する。
【選択図】 図14
【解決手段】経糸について、入力設定された組織図から横ずれ傾向値を横ずれ傾向パターンから割り出し(S21)、これに横ずれの影響の受け易さに基づく補正(S22)及び連続に基づく横ずれ傾向度合の増大補正(S23)を行う。緯糸についての同様処理を行う(S24〜S26)。経糸及び緯糸のそれぞれの横ずれ傾向値に糸自体の太さや密度に基づく補正を加味してX座標移動量及びY座標移動量を演算し合成する(S27)。合成後のX−Y座標移動量に基づき各交差部のX−Y座標位置を移動させる。移動後の各交差部で経糸及び緯糸が交差するように経糸及び緯糸を表示する。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸、糸配列及び織り組織等の情報に基づいて布生地、織物地又は編物地等の出来上がりの繊維製品を3次元シミュレーション画像により仮想的に表すことにより繊維製品のデザインシミュレーション等を行うために用いられる繊維製品のシミュレーション画像生成方法に関し、特に、上記繊維製品を構成する各経糸及び各緯糸の屈曲や蛇行をも加味して表現したシミュレーション画像を生成し得る技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来、糸、糸配列及び組織等の情報に基づいて出来上がりの布生地や織物地等の繊維製品についてのシミュレーション画像をコンピュータグラフィックス(CG)により描画する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この技術は、糸の色情報と、経糸及び緯糸の配列情報と、経糸及び緯糸の織り組織情報とに基づいて布生地や織物地を仮想的に織り上げて自動描画させることにより、その繊維製品の色分け模様等の状況を2次元画像上でシミュレートするものである。
【0003】
【非特許文献1】
ヒサシ カンベ(Hisashi Kambe)外2名著,「スーパーテクシム(Super TEX−SIM):インターラクティブ テキスタイル デザイン アンド シミュレーション(Interactive Textile Design and Simulation)」,Proceedings of the First Pacific Conference on Computer Graphics and Applications,Pacific Graphics ’93−Vol.1,Aug30−Sep2,1993,コンピュータ グラフィクスアンド アプリケーションズ(COMPUTER GRAPHICS AND APPLICATIONS),p.117−130,ワールド サイエンティフィック(World Scientific)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の技術においては、特に織物の状況、例えば同色糸を用いて形成される織り柄の状況をうまく表現できず、生成されたシミュレーション画像は現実の織物とはかなり異なるものとなり、その結果、現実の織物製作のデザイン決定手法としてその適用範囲に制約を有するものになっている。
【0005】
すなわち、上記の従来の技術では経糸及び緯糸の各糸情報(太さ、色)及び配列(密度、間隔)等を設定し、設定された経糸及び緯糸の各交差部において経糸又は緯糸のいずれが上になるかの織り組織情報を表面組織図として設定し、この表面組織図に基づいて繊維製品のシミュレーション画像を自動生成させている。この場合、例えば全てが平織りの場合では各経糸が多数の緯糸に対し交互に上になったり下になったり、あるいは、各緯糸も多数の経糸に対し交互に上になったり下になったりというように経糸及び緯糸はいずれも規則正しい順序で交差する。このため、現実の繊維製品においても、あるいは、上記表面組織図に基づいて生成したシミュレーション画像においても各経糸及び各緯糸の全ての交差部が等間隔に配置されることになり、シミュレーション画像は現実の繊維製品をうまく表現し得るものとなる。
【0006】
これに対し、例えばパナマ織りや蜂巣織り等のドビー織りの場合、各経糸が2本以上の緯糸に亘り上になったり下になったり、あるいは、各緯糸も2本以上の経糸に亘り上になったり下になったりするため、現実の繊維製品では各経糸又は各緯糸が前後の交差状況に応じて引っ張り力を受けて繊維製品の平面方向に横ずれし、この横ずれした状態での織り柄が形成されることになる。つまり、経糸及び緯糸の隣接する両交差部の間隔が場所によって異なることになる。
【0007】
図25に蜂巣織りの1リピート分の組織図を入力設定した例、図26にこの1リピート分を繰り返して繊維製品全体の組織図を入力設定した例を示すように、経糸が緯糸の上になる交差部をディスプレイ画面上で白から黒(各図においては網掛けハッチングを施した部分参照)に反転させて蜂巣織りの組織図を設定した場合、上記の従来の技術では生成されるシミュレーション画像の経糸及び緯糸の各交差部間隔は糸配列により設定された間隔で一定に表現されてしまうことになる。これに対し、上記図25の組織図により現実に織られた繊維製品は図27に示すように経糸及び緯糸が横ずれして屈曲もしくは蛇行した状態になる。この場合、経糸と緯糸とで互いに異なる着色糸を用いればシミュレーション画像においても色分け模様としては表現されるものの、特に経糸及び緯糸共に同色糸を用いて織り柄模様だけの繊維製品の場合にはシミュレーション画像と現実の繊維製品との間の差が大きくなってしまうことになる。
【0008】
このため、上記シミュレーション画像では現実の織り柄をうまく表現し得ず、シミュレーション画像を用いたデザインシミュレーションを行おうとしても、上記のドビー織り等の場合にはシミュレーション画像だけではデザイン決定までは至らず、デザイン決定手法として限界を有するものとなっている。
【0009】
さらに、上記のドビー織り等の織り柄が形成される場合には、繊維製品の厚み方向にも経糸及び緯糸の位置変動(縦ずれ)が平織りのように一様ではなくて織り柄の部位に応じてその変動が大きく異なることになり、この厚み方向の変動も加味してシミュレーション画像の生成を行わないと、現実の繊維製品とは相違することになる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に織り柄等を有する繊維製品のシミュレーション画像として現実の出来上がりの繊維製品により近づけたものを生成し得るシミュレーション画像生成方法を提供することにあり、これにより、織り柄等を有する繊維製品のデザインシミュレーションを実効性あるものにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、繊維製品を構成する所定間隔毎に並ぶ経糸と、所定間隔毎に並ぶ緯糸との各交差部における交差順に関する織り組織情報の入力設定を受けて上記繊維製品についての表面組織図を生成し、各交差部位置において表面に表れることになる経糸又は緯糸の一方を上記生成された表面組織図から特定してその一方の糸のみを対応する各交差部に表示させることにより上記繊維製品についてのシミュレーション画像を生成する繊維製品のシミュレーション画像生成方法を対象として次の特定事項を備えることとした。
【0012】
すなわち、上記経糸毎に、その経糸に対し交差する各緯糸との交差部を挟んで緯方向両側に位置する各交差部における経糸及び緯糸の交差順の状況を上記表面組織図から抽出し、抽出した交差順の状況に応じて上記各交差部における経糸の緯方向への横ずれ傾向を割り出す経糸横ずれ割出処理を実行する手順と、上記緯糸毎に、その緯糸に対し交差する各経糸との交差部を挟んで経方向両側に位置する各交差部における経糸及び緯糸の交差順の状況を上記表面組織図から抽出し、抽出した交差順の状況に応じて上記各交差部における緯糸の経方向への横ずれ傾向を割り出す緯糸横ずれ割出処理を実行する手順と、割り出された上記経糸毎の緯方向への横ずれ傾向及び上記緯糸毎の経方向への横ずれ傾向に基づいて交差部毎に緯方向及び経方向へのずれ量を演算し、演算されたずれ量に基づいて上記表面組織図上の各交差部の位置を変更補正する水平方向補正処理を実行する手順とを備えることとした(請求項1)。
【0013】
この請求項1に係る本発明の場合、表面組織図により特定される経糸及び緯糸の各交差部での交差順の状況に基づいて経糸及び緯糸の各交差部毎に経糸の横ずれ傾向が上記経糸横ずれ割出処理により、緯糸の横ずれ傾向が上記緯糸横ずれ割出処理によりそれぞれ割り出され、割り出された横ずれ傾向に基づいて各交差部における経糸及び緯糸のずれ量が演算されて上記表面組織図での各交差部の位置が上記水平方向補正処理により変更補正されることになる。この各交差部の位置が変更補正されることにより表示されるシミュレーション画像では対応する経糸及び緯糸が屈曲又は蛇行した状態になり、現実の繊維製品の状況に可及的に近付いたシミュレーション画像を自動生成することが可能になる。
【0014】
詳述すると、表面組織図上では経糸及び緯糸をそれぞれ平行に配列させたとしても、現実の繊維製品では各経糸がこれに交差する緯糸の交差順の状況により、各緯糸がこれに交差する経糸の交差順の状況によりそれぞれ影響を受けて拘束を受けたり、あるいは、逆に横ずれし易くなったりすることになる。対象経糸に対し緯糸が例えば上側に交差する交差部を対象にして上記対象経糸に対する影響を考えると、その同じ緯糸がこの交差部の両側では隣接する経糸に対し共に下側に交差する場合にはその緯糸により上記対象経糸は横ずれしないように拘束を受けることになる一方、上記の同じ緯糸が隣接する一側の経糸に対しては下側に交差するものの他側の経糸に対しては上記対象の交差部と同様に上側に交差する場合には上記対象経糸は他側の経糸の側に横ずれし易くなる。このような交差順に基づき横ずれし易くなるか否かの現象を利用して、上記経糸横ずれ割出処理では、経糸毎にその経糸の緯方向両側の各交差部での交差順の状況を入力設定された表面組織図から抽出し、この抽出した交差順の状況に基づいて対象とする上記経糸の交差部における緯方向への横ずれ傾向が割り出される。上記緯糸横ずれ割出処理においても同様にして緯糸の各交差部における経方向への横ずれ傾向が割り出される。そして、上記水平方向補正処理により、経糸の横ずれ傾向及び緯糸の横ずれ傾向に基づいて各交差部のずれ量が演算されて各交差部の位置が変更補正される。
【0015】
本発明における上記経糸横ずれ割出処理及び緯糸横ずれ割出処理をさらに具体化した手法としては次のようにすればよい。すなわち、上記経糸横ずれ割出処理として、割出対象の交差部を挟んで緯方向両側に隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が緯方向一側にのみ上記割出対象の交差部と同じであればその交差部では上記緯方向一側に所定度合の横ずれ傾向有りと割り出す一方、上記隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が共に上記割出対象の交差部とは異なればその交差部では緯方向に対する横ずれ傾向無しと割り出すようにする。また、上記緯糸横ずれ割出処理として、割出対象の交差部を挟んで経方向両側に隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が経方向一側にのみ上記割出対象の交差部と同じであればその交差部では上記経方向一側に所定度合の横ずれ傾向有りと割り出す一方、上記隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が共に上記割出対象の交差部とは異なればその交差部では経方向に対する横ずれ傾向無しと割り出すようにする(請求項2)。これにより、横ずれ傾向の割り出し基準がより明確となり、糸の屈曲・蛇行を加味したより的確なシミュレーション画像の自動生成が可能となる。
【0016】
また、この請求項2のシミュレーション画像生成方法においては、上記経糸横ずれ割出処理として、緯方向に並ぶ交差部で同じ横ずれ傾向が連続する場合には、その連続する各交差部に対し横ずれ傾向有りと割り出された始まりの交差部からの連続度合に応じて横ずれ傾向の度合を増大させる処理をさらに付加するようにし、上記緯糸横ずれ割出処理として、経方向に並ぶ交差部で同じ横ずれ傾向が連続する場合には、その連続する各交差部に対し横ずれ傾向有りと割り出された始まりの交差部からの連続度合に応じて横ずれ傾向の度合を増大させる処理をさらに付加するようにしてもよい(請求項3)。このようにすることにより、各交差部近傍での局部的な横ずれ傾向に加えて、さらに周辺に並ぶ各交差部における交差順の状況をも加味して経糸及び緯糸の横ずれ傾向の大小(強弱)を割り出すことが可能になり、これを各交差部のずれ量に反映させて現実の出来上がりの繊維製品により一層近いシミュレーション画像の自動生成が可能となる。
【0017】
さらに、以上の請求項1〜請求項3のいずれか繊維製品のシミュレーション画像生成方法における上記水平方向補正処理としては、経糸及び緯糸の各糸配列密度に関する糸配列情報と、その経糸及び緯糸に用いる1種以上の糸に関する糸情報との入力設定を受け、入力設定された上記糸配列情報及び糸情報に基づき予め設定された横ずれ発生の難易度合を表す補正係数を抽出し、抽出した補正係数により上記経糸毎の緯方向への横ずれ傾向及び上記緯糸毎の経方向への横ずれ傾向を補正した上で、上記ずれ量の演算を行うようにすることができる(請求項4)。このようにすることにより、経糸及び緯糸の各横ずれ割出処理による横ずれ傾向を基本として経糸及び緯糸の各糸自体等の如何による横ずれ発生の難易度合を加味して各交差部の横ずれ量が演算により得られることになる。例えば糸の配列密度が高い程、糸が太い程、もしくは、糸が硬い程、たとえ横ずれは生じたとしてもその横ずれ量は少ないものとなる。このような繊維製品の糸の配列密度や糸自体等の交差順以外の属性をも加味して各交差部の位置の変更補正が可能となるため、現実に発生する各糸の屈曲や蛇行をより一層的確に表現したシミュレーション画像の自動生成が可能になる。
【0018】
一方、以上の請求項1〜請求項4のいずれかのシミュレーション画像生成方法では繊維製品の水平方向に対する屈曲や蛇行を加味する点を解決し得るシミュレーション画像の生成方法を提供するものであるが、さらに、繊維製品の鉛直方向に対する屈曲や蛇行、つまり経糸及び緯糸の凹凸を加味してシミュレーション画像の生成を行うようにすることもできる。すなわち、上記表面組織図により特定される経糸及び緯糸の各交差部毎に隣接する交差部間における各糸の鉛直方向の凹凸度合を上記表面組織図から抽出される交差順に基づいて演算する手順と、得られた凹凸度合を連続的又は段階的な濃淡変化に置換して上記表面組織図上で前面に表れるものとして特定される各糸の表示色に対し上記濃淡変化を割り付け補正する鉛直方向補正処理を実行する手順とをさらに備えるようにすることができる(請求項5)。このようにすることにより、繊維製品を構成する経糸及び緯糸の各糸毎に凹凸度合が演算され、この演算された凹凸度合が濃淡変化に置換され、表面組成図上で前面に表れる各糸(外面から見える各糸)の表示色に対し上記濃淡変化が割り付けられて濃淡分布の画像としてシミュレーション画像が生成されることになる。これにより、繊維製品の仮想上のシミュレーション画像に対しても繊維製品特有の凹凸感を容易に付与して3次元画像を自動生成することが可能になる。これにより、繊維製品のデザインシミュレーションをより的確に行うことが可能になるばかりでなく、シミュレーション画像の繊維製品を人体モデル等の他の3次元オブジェクトに適用する場合にもより現実味のあるシミュレーション画像の生成を行うことが可能になる。
【0019】
なお、上記の濃淡変化への置換法としては、経糸及び緯糸の交差部における前面側の糸を凸とし後面側の糸を凹として同一糸の凹凸間の傾きの変化(例えばサインカーブ等の曲線により表した場合の傾きの変化)に応じて凹部分の濃から凸部分の淡まで濃淡を滑らかに変化させたり、所定の傾きの変化範囲毎にもしくは所定の平面距離範囲毎に段階的に変化させたりするようにすればよい。
【0020】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1〜請求項5のいずれかの繊維製品のシミュレーション画像生成方法によれば、各交差部毎の経糸の横ずれ傾向を経糸横ずれ割出処理により、緯糸の横ずれ傾向を緯糸横ずれ割出処理によりそれぞれ割り出すことができ、割り出された横ずれ傾向に基づいて演算された各交差部における経糸及び緯糸のずれ量に応じて表面組織図上の各交差部の位置を水平方向補正処理により変更補正することができるため、表面組織図に入力設定された織り柄組織情報に基づいて対応する経糸及び緯糸が屈曲又は蛇行した状態の現実の繊維製品の状況に可及的に近付いたシミュレーション画像を自動生成することができる。
【0021】
特に、請求項2によれば、横ずれ傾向の割り出し基準をより明確にした経糸横ずれ割出処理及び緯糸横ずれ割出処理に基づいて糸の屈曲・蛇行を加味したより的確なシミュレーション画像を具体的に自動生成することができるようになる。
【0022】
請求項3によれば、各交差部近傍での局部的な横ずれ傾向に加えて、さらに周辺に並ぶ各交差部における交差順の状況をも加味して経糸及び緯糸の横ずれ傾向の大小を割り出すことができ、これを各交差部のずれ量に反映させて現実の出来上がりの繊維製品により一層近いシミュレーション画像を自動生成することができるようになる。
【0023】
また、請求項4によれば、経糸及び緯糸の各横ずれ割出処理による交差順の如何に基づく横ずれ傾向を基本として、経糸及び緯糸の糸配列情報や糸自体等の如何による横ずれ発生の難易度合を加味して各交差部の横ずれ量を演算し各交差部の位置を変更補正することができ、現実に発生する各糸の屈曲や蛇行をより一層的確に表現したシミュレーション画像を自動生成することができるようになる。
【0024】
さらに、請求項5によれば、繊維製品の仮想上のシミュレーション画像に対しても繊維製品特有の凹凸感を容易に付与することができ、3次元画像のシミュレーション画像を自動生成することができる。これにより、繊維製品のデザインシミュレーションをより的確に行うことができるばかりでなく、シミュレーション画像の繊維製品を人体モデル等の他の3次元オブジェクトに適用する場合にもより現実味のあるシミュレーション画像を生成することができるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る繊維製品のシミュレーション画像生成方法を実施するためのシミュレーションシステムを示し、このシミュレーションシステムはキーボードやマウス等により構成された入力手段1と、CRTもしくはTFTにより構成された表示手段2と、これら入力手段1及び表示手段2と接続されたパーソナルコンピュータ等により構成された処理装置3とを備えている。なお、上記処理装置3に対しては、生成されたシミュレーション画像を印刷するためにカラーレーザプリンタ等の印刷手段を接続させてもよい。
【0027】
上記処理装置3は、各種情報の設定処理部4〜6と、鉛直方向補正処理部7と、水平方向補正処理部8と、表示処理部9と、記憶装置10とを備えている。これらの処理装置3の各処理部4〜9の多くは記憶装置10に格納されたプログラムによりその機能が実現されるようになっている。なお、上記記憶装置10には、上記の各種プログラムに加えて各種糸に関するデータベースや後述の各種判定パターン等が記憶保持されている他、種々の記憶領域が設定されている。以下に、各構成要素について詳細に説明する。
【0028】
上記の各種情報の設定処理部としては、糸情報設定処理部4と、糸配列情報設定処理部5と、組織情報設定処理部6とを備えている。
【0029】
上記糸情報設定処理部4は、繊維製品を形成するための経糸及び緯糸として試行する糸(先染め糸)に関する基本情報の設定処理を行うものである。ここで、糸に関する基本情報とは、糸の種類(例えば1色の単糸等の撚り方)、色(色名、RGB各数値等)、太さ及び形状イメージに関する情報である。図2に上記糸情報設定処理部4により表示手段2に表示される入力設定画面の一例を示す。この入力設定画面41では経糸について4種類の糸が入力設定されている。すなわち、形状入力領域411に対し糸の種類名として「単糸(1色)」等が入力設定され、形状イメージ入力領域412に対し上記各糸の形状及び太さが着色された状態のイメージとして入力設定され、色名入力領域413に対し「緑」、「黄」「青」、「紺」というように色名が入力設定され、色特定入力領域414に対しRGB各数値が入力設定されてその色が表示されている。
【0030】
なお、以上の糸種、その糸種毎の形状・色・太さのイメージデータ、色名、そのRGB各数値等のデータは記憶装置10に全ての糸種について予め記憶保持されており、入力設定に際しては糸の種類名を特定すれば上記のイメージ等が入力設定画面41に表示されるようになっている。また、太さ調整ボタン415をクリックすることにより上記形状イメージ入力領域412に表示されたイメージの太さを変更したり、形状編集ボタン416をクリックすることにより上記イメージの形状を変更したりし得るようになっている。さらに、色に関しても上記のRGB各数値の変更等により変更調整可能となっている。以上と同様にして緯糸についても入力設定の処理が行われる。
【0031】
そして、上記糸情報設定処理部4により入力設定された上記の情報に基づいてシミュレーション画像上の各経糸及び各緯糸が所定形状及び所定太さで所定色に着色された状態のイメージとして表示されることになる。
【0032】
上記糸配列情報設定処理部5は、経糸及び緯糸についての糸配列(縞割り)及び糸配列の密度(例えば1インチ当たりの糸の本数)に関する情報の設定処理を行うものである。図3には、上記糸情報設定処理部4により特定された4種類の糸についての糸配列情報を入力設定させるために上記糸配列情報設定処理部5により表示手段2に表示される入力設定画面の一例51が示されている。この入力設定画面51では上記入力設定画面41において入力設定された4種類の経糸が糸及び色表示領域511に自動的に表示されている。そして、密度入力領域512に対し「19」と入力され、この例では密度が19本/インチが設定されている。また、糸配列入力領域513は縞模様を形成する際に入力設定されるものであり、図例のものでは一つの縞(1縞;1単位の縞パターン)を形成するための上記4種類の糸の配列が「1」などにより入力されている。この「1」はこの位置に対応する糸種の糸が1本経糸として配列されることを示している。そして、右端の1縞合計本数表示領域514に入力設定された糸配列の糸種毎の合計本数が自動表示されるようになっている。
【0033】
そして、以上と同様にして緯糸の縞割りについても入力設定の処理が行われる。なお、図2や図3では色分け模様の例を示しているが、全ての経糸及び/又は緯糸が同色の1種類の糸により構成される場合には、糸の種類、太さ、形状、色、及び、糸配列密度が入力設定され、上記の縞割りは省略されることになる。
【0034】
上記組織情報設定処理部6は、上記で入力設定された糸情報及び糸配列情報を用いた場合の経糸及び緯糸の織り組織情報、つまり経糸及び緯糸の交差部において経糸か緯糸かいずれが上側(前面側もしくは表面側)になるかの交差順を入力設定させるものであり、言い換えれば経糸又は緯糸の一方の糸(例えば経糸)が上になる交差部を例えばモノクロで黒、下になる交差部を白で表した表面組織図を生成させるものである。図4には、上記表面組織図を生成させるために表示手段2に対し上記組織情報設定処理部6により表示された入力設定画面の一例61が示されている。
【0035】
この入力設定画面61には、下端位置に経糸表示領域611が横に延びて配置され、左端位置に緯糸表示領域612が縦に延びて配置されている。上記経糸表示領域611には糸情報設定処理部4により設定された経糸用の各糸が着色状態で上記糸配列情報設定処理部5により配列設定された配列密度に従って表示され、上記緯糸表示領域612には同様に緯糸用の各糸が着色状態で所定の配列密度に従って表示されている。この例では、経糸表示領域611には全て同色で同種類経糸が表示され、また、緯糸表示領域612には緯糸の全てが経糸と同じ糸に設定された緯糸が表示されている。
【0036】
また、上記入力設定画面61には表面組織図設定領域613が配置設定され、この表面組織図設定領域613は横が上記経糸表示領域611の糸数分とされ縦が緯糸表示領域612の糸数分とされたマトリックス領域として区画表示されている。なお、図4には表面組織図設定領域613に対し蜂巣織りの表面組織図が入力設定された状態を例示している。そして、図5に詳細を示すように上記表面組織図設定領域613の各矩形領域614が経糸Pと緯糸Fとの交差部を表し、この交差部に対し経糸Pを上にするのであれば例えばモノクロであると黒色を設定し、経糸Pを下にするのであれば白色を設定することにより表面組織図が入力設定される。つまり、矩形領域614が白色であれば緯糸Fが経糸Pの上になって交差していることを表している。上記の入力設定は各交差部の矩形領域614をクリックすることにより行えばよく、クリックを繰り返すことにより上記矩形領域614が黒・白と交互に変換するようになっている。なお、上記の表面組織図の入力設定は別画面又は上記表面組織図設定領域613において1リピート分の組織図(図25参照)について入力設定し、これをコピーすることなどにより表面組織図を表面組織図設定領域613の全体に設定する。また、図5中の「ts」は交差部での各糸の凹凸の深さであり、このtsは糸情報設定処理部4により設定される経糸及び緯糸の各太さにより定まる。
【0037】
以上で各種情報の入力設定が行われると、以後は上記鉛直補正処理部7及び水平方向補正処理部8による各補正処理が実行され、補正処理後の表面組織図に基づいて表示処理部9により繊維製品のシミュレーション画像が生成されて表示手段2に表示されることになる。このような処理装置3による処理を図6に基づいて説明すると、まず、各情報設定処理部4,5,6により表示手段2に対し上記の入力設定画面41,51,61を表示して操作者をして入力設定を順に繰り返させる。図6では組織情報設定処理部6による入力設定処理の例を示しており、この場合は、入力設定画面61である組織図初期画像の表示(ステップS1)を行い、操作者による組織図設定(W1)を受けて、設定された表面組織図に基づく織り組織情報の取得及び記憶装置10への記憶を行う(ステップS2)。そして、取得した織り組織情報(表面組織図)に基づいて鉛直方向補正処理部7による鉛直方向補正処理(SUB1)及び水平方向補正処理部8による水平方向補正処理(SUB2)を行い、表示処理部9により補正処理後の表面組織図等に基づいて繊維製品のシミュレーション画像を生成して表示手段2に表示させると共にに(ステップS3)、記憶装置10の繊維製品のシミュレーション画像データベースに対し記憶設定する(ステップS4)。
【0038】
上記鉛直方向補正処理(SUB1)では、経糸及び緯糸のそれぞれについて各交差部での交差順に基づいてその凹凸度合(浮沈度合)を割り出し、割り出した凹凸度合に基づいて繊維製品の厚み方向(Z方向)の座標値(Z座標変換値)を演算により求め、このZ座標変換値に基づいて経糸及び緯糸の各糸の表示色に明度変化(濃淡変化)を割り付ける。
【0039】
具体的には、図7に示すように、経糸について上記表面組織図から各経糸に沿って並ぶ各交差部における交差順についての情報を抽出し取得する(ステップS11)。図4の表面組織図の1リピート分について説明すると、図8に示すように経糸P1〜P12及び緯糸F1〜F12の各交差部毎に経糸が緯糸よりも上側に交差する交差部(経糸が浮いた状態の交差部;黒に反転された交差部)に例えば「1」を設定し、経糸が緯糸よりも下側に交差する交差部(経糸が沈んだ状態の交差部;白のままの交差部)に例えば「0」を設定し、各交差部での経糸の交差順情報として「1」か「0」かで表して数値化した状態で取得する。次に、この交差順情報から補正優先度を割り出して取得する(ステップS12)。これは各経糸P1〜P12において上側に交差する交差部(上記の「1」の交差部)が連続する度合を割り出すものであり、同じ経糸で「1」がn個連続すればその連続する範囲の全ての交差部に「n」を設定する。図8の1リピート分の表面組織図を対象にすると、図9のようになる。例えば経糸P7ではその中央部範囲で「1」が9個連続するため(図8参照)、この連続している各交差部に対し「9」を設定する(図9参照)。この交差部に設定された数値が大きい程、その経糸はより上側に浮く傾向となり、補正優先度は高いことになる。
【0040】
以上で経糸P1〜P12についての処理が終了し、次に、緯糸F1〜F12について経糸と同様の処理を行う。すなわち、各交差部毎に緯糸が経糸よりも上側に交差する交差部(緯糸が浮いた状態の交差部;白のままの交差部)に「1」を設定し、緯糸が経糸よりも下側に交差する交差部(緯糸が沈んだ状態の交差部;黒に反転された交差部)に「0」を設定し、各交差部での緯糸の交差順情報として「1」か「0」かで表して数値化した状態で取得する(ステップS13)。そして、この交差順情報から補正優先度(緯糸が上側に交差する連続度合)を上記と同様に同じ緯糸で「1」がn個連続すればその連続する範囲の全ての交差部に「n」を設定して取得する(ステップS14)。このステップS14により得られた緯糸についての補正優先度を図10に示す。
【0041】
次に、上記のステップS12で得られた経糸についての補正優先度と、ステップS14で得られた緯糸についての補正優先度とを合成して合成後の補正優先度を得る(ステップS15)。すなわち、図9の各交差部に設定された数値と、図10の各交差部に設定された数値とを合体させ、図11に示すような経糸及び緯糸の補正優先度についてのマトリックスを得る。
【0042】
この図11で得られる補正優先度は交差順に基づく各糸の浮き沈みの傾向を示すものであるため、この補正優先度に対しさらに所定の補正係数を乗じることにより各交差部におけるZ座標変換値を演算する(ステップS16)。すなわち、糸情報(太さ,硬さ)や糸配列情報(配列密度)等と関連付けて上記補正係数として種々の値が予め設定されており、入力設定された糸情報や糸配列情報に基づいて今回の対象である繊維製品に対する補正係数が抽出され、この補正係数と上記補正優先度とに基づいてZ座標変換値が演算される。つまり、糸が太い程、硬い程、あるいは、配列密度が高い程、各糸のZ方向(繊維製品の厚み方向)への移動(浮き沈み)の程度はより小さくなるため、この属性を加味して上記補正係数が定められる。補正係数をα、補正優先度をnとすると、例えば次の式(1)を用いてZ座標変換値の演算を行う。
【0043】
Z座標変換値=(n−1)×α+1 …(1)
例えば補正係数α=0.1とした場合に、式(1)により演算された各交差部でのZ座標変換値を例示すると、図12に示すようになる。
【0044】
最後に、得られたZ座標変換値に基づき明度変化を各糸の表示色に割り付ける(ステップS17)。この割り付けは、Z座標変換値「1.0」を基準値(標準色明度)1.0として、これより高い値であればその値に応じて色明度を高くして明るくする一方、低い値であればその値に応じて色明度を低くして暗くする。また、相隣接する両交差部間で糸の太さに応じて経糸又は緯糸が単独で表面に表れることになる部分の糸には、隣接する両交差部に割り付けられる色明度間で連続して変化させるか、段階的に変化させた色明度を割り付ける。例えば、図13には緯糸Fiについての色明度の段階的割り付け例を示すが、経糸Piの上側になる交差部で緯糸Fiの色明度として「1.5」と最大の明度が割り付けられ、経糸Pi−1,Pi+1の下側になる交差部で緯糸Fiの色明度として「0.5」と最小の明度が割り付けられ、中間の部分の緯糸Fiの色明度として「0.8」、「1.0」と最大と最小との中間段階の色明度が割り付けられている。なお、経糸Pi−1,Pi+1の下側になる交差部での緯糸Fiはシミュレーション画像では経糸Pi−1,Pi+1により隠されるため上記の「0.5」の色明度の設定自体は使用されることはない。
【0045】
また、上記水平方向補正処理(SUB2)では、経糸及び緯糸のそれぞれについて各交差部での交差順に基づいてその横ずれ傾向値を割り出し、割り出した横ずれ傾向値に対し各種補正を加えた後、それらを合成し、合成後の横ずれ傾向値に基づいて表面組織図上の各交差部の平面方向(X−Y方向)の座標(X−Y座標)を変更補正する。つまり各交差部の位置を移動させる。ここで、X方向とは緯糸の延長方向である緯方向のことであり、Y方向とは経糸の延長方向である経方向のことである。
【0046】
具体的には、図14に示すように、経糸について上記表面組織図から各経糸に対し交差する緯糸毎にX方向に並ぶ各交差部における交差順についての情報を抽出し、経糸毎に対象とする経糸の横ずれ傾向値を割り出す(ステップS21)。そして、割り出した横ずれ傾向値を基に、前後の交差順により横ずれの影響の受け易さについての補正処理を加える(ステップS22)。
【0047】
以上の横ずれ傾向値を割り出すために、交差順状況と、これに対する横ずれ傾向との関係をパターン化し、この横ずれパターンに対する横ずれ傾向値が予め記憶設定されている。例えば図15に例示するように、パターン1では、対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその両側の経糸Pi−1,Pi+1との交差部においても対象経糸Piと同じ交差順(各経糸の下側又は上側;図例では下側)であれば、対象経糸Piはその隣接する前後の交差部での経糸Pi−1,Pi+1の横ずれ傾向の影響を受け易くなり同傾向の横ずれ傾向となる。パターン2では、対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその両側の経糸Pi−1,Pi+1との交差部においては対象経糸Piと逆の交差順であれば、対象経糸Piは前後の交差部から拘束を受けて横ずれし難い状態となり、前後の交差部からの影響をあまり受けなくなる。この場合の横ずれ傾向を「0」という横ずれ傾向値で表し横ずれ傾向はないものとする。パターン3では、対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその左側の経糸Pi−1との交差部においては対象経糸Piとは逆の交差順であり右側の経糸Pi+1との交差部においては対象経糸Piと同じ交差順であれば、対象経糸Piはその同じ交差順の右側に横ずれし易くなる。この右側への横ずれ傾向を「1」というように正の値の横ずれ傾向値で表す。パターン4では、パターン3とは逆に対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその左側の経糸Pi−1との交差部においては対象経糸Piと同じ交差順であり右側の経糸Pi+1との交差部においては対象経糸Piとは逆の交差順であれば、対象経糸Piは上記の同じ交差順の左側に横ずれし易くなる。この左側への横ずれ傾向を「−1」というように負の値の横ずれ傾向値で表す。なお、以上の4つのパターンは例示であり、これ以外あるいはさらに付加したパターン分けを用いてもよい。
【0048】
そして、まず上記ステップS21では上記のパターン2〜4を用いて横ずれ傾向値を割り出す。図4の表面組織図の1リピート分について説明すると、図16に示すように経糸P1〜P12及び緯糸F1〜F12の各交差部毎に上記パターン2〜4との照合により割り出された経糸P1〜P12の横ずれ傾向値が設定される。この際、上記パターン2〜4に合致しない交差順状況の交差部には「0」が設定される。これが次のステップS22での補正処理の対象となる。次に上記ステップS22では上記のパターン1に該当する交差部に対する補正処理を行う。すなわち、X方向で変動のある横ずれ傾向値と同傾向になるため、その横ずれ傾向値と同じ値を設定する。上記の図16について補正処理を実行すると図17に示すようになる。例えば図16の経糸P10〜P12と緯糸F2との各交差部の「0」は経糸P9と緯糸F2との交差部の横ずれ傾向に影響を受けるため、図17の経糸P10〜P12と緯糸F2との各交差部の横ずれ傾向値は経糸P9と緯糸F2との交差部の横ずれ傾向値「1」に補正される。
【0049】
さらに、経糸についてX方向に2交差部以上にわたり同じ側に向けて横ずれし易い傾向が続く場合の横ずれ傾向の割り増し、つまり横ずれ傾向度合を増大させる補正処理を行う(ステップS23)。この増大は交差部がm個連続すれば例えば「m」又は「2m」をステップS22での横ずれ傾向値に追加することにより、行う。図18にはm交差部連続すれば「2m」をステップS22での横ずれ傾向値に追加した場合を例示する。
【0050】
以上で経糸P1〜P12についての各交差部でのX方向への横ずれ傾向値の割出処理が終了し、次に、緯糸F1〜F12について各交差部でのY方向への横ずれ傾向値の割出処理を上記の経糸の場合と同様に行う。すなわち、緯糸について表面組織図から各緯糸に対し交差する経糸毎にY方向に並ぶ各交差部における交差順についての情報を抽出し、緯糸毎に対象とする緯糸の横ずれ傾向値を割り出す(ステップS24;図14参照)。そして、割り出した横ずれ傾向値を基に、前後の交差順により横ずれの影響の受け易さについての補正処理を加える(ステップS25)。さらに、緯糸についてY方向に2交差部以上にわたり同じ側に向けて横ずれし易い傾向が続く場合の横ずれ傾向の割り増し、つまり横ずれ傾向度合を増大させる補正処理を行う(ステップS26)。
【0051】
以上で得られた経糸の横ずれ傾向値及び緯糸の横ずれ傾向値に対しさらに所定の補正係数を乗じることにより各交差部のX方向移動量及びY方向移動量を演算し両方向移動量を合成してX−Y座標移動量を得る(ステップS27)。すなわち、糸情報(太さ,硬さ)や糸配列情報(配列密度)等と関連付けて補正係数βとして種々の値が予め設定されており、入力設定された糸情報や糸配列情報に基づいて今回の対象である繊維製品に対する補正係数βが抽出され、この補正係数βを上記横ずれ傾向値に乗じてX方向移動量又はY方向移動量が演算される。つまり、鉛直方向の場合と同様に水平方向に対しても、糸が太い程、硬い程、あるいは、配列密度が高い程、各糸のX方向又はY方向(繊維製品の平面方向)への移動(横ずれ)の程度はより小さくなるため、この属性を加味して上記補正係数βが定められる。例えば、次の式(2),(3)を用いてX方向又はY方向の移動量の演算を行う。
【0052】
X方向移動量=(各交差部の経糸の横ずれ傾向値)×β …(2)
Y方向移動量=(各交差部の緯糸の横ずれ傾向値)×β …(3)
例えば補正係数β=0.1とした場合に演算された各交差部の経糸のX方向移動量を図19に、各交差部の緯糸のY方向移動量を図20にそれぞれ示す。図19では正の値は同図の右側へ、負の値は同図の左側への移動量を示し、図20では正の値は同図の上側へ、負の値は同図の下側への移動量を示す。また、図19及び図20では、それぞれ移動量の限界である移動限界値として「0.5」を設定し、0.5を超える移動量を強制的に「0.5」に設定している。そして、図19のX方向移動量と図20のY方向移動量とを合成すれば、図21のX−Y座標移動量とする。
【0053】
最後に、得られたX−Y座標移動量に基づき表面組織図(図4参照)の対応する各交差部のX−Y座標位置を移動(変更補正)する処理を行う(ステップS28)。上記のX−Y座標移動量の各値は、実際の寸法値ではなくて移動量に対する係数値(移動係数値)としての役割を果たすものである。そして、上記のX−Y座標移動量に基づく移動処理は、X座標移動量又はY座標移動量の各値を糸配列密度の設定情報に基づく間隔(距離)を1.0とした場合の比率として扱い、その間隔を変化させるようにする。例えば経糸について図22に示すように経糸Piの移動量(移動係数)が「0.0」であれば横ずれはせずに当初の設定位置のままとされ、経糸Piの移動量(移動係数)が「0.5」であれば右側に経糸Pi+1との間隔の×0.5分だけ移動され、経糸Piの移動量(移動係数)が「−0.5」であれば左側に経糸Pi−1との間隔の×0.5分だけ移動されることになる。
【0054】
図4の表面組織図の設定から以上の処理を経て生成されたシミュレーション画像の例を図23に示す。これとの比較のために、本実施形態の如き水平方向補正処理や鉛直方向補正処理を施さない場合のシミュレーション画像の例を図24に示す。両図を比較すると、図24では経糸及び緯糸が規則正しく並んで交差しているのに対し、図23では交差順に基づき経糸及び緯糸がそれぞれ横ずれ(経糸であれば画面の左右方向への横ずれ、緯糸であれば画面の上下方向への横ずれ)し、経糸及び緯糸の織り柄に基づく屈曲や蛇行を加味したシミュレーション画像となっており、現実に織り上がった織物の繊維製品の場合により近づいた織り柄が表現されている。
【0055】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、水平方向補正処理と鉛直方向補正処理とを組み合わせているが、これに限らず、鉛直方向補正処理を省略して水平方向補正処理だけを追加するようにしてもよい。この場合でも経糸及び緯糸の織り柄に基づく屈曲や蛇行の状態をシミュレーション画像にうまく表現することができ、現実の織り柄を有する織物の繊維製品のデザインシミュレーションを的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を実施するシミュレーションシステムのブロック図である。
【図2】糸情報の入力設定画面の例を示す平面図である。
【図3】糸配列情報の入力設定画面の例を示す平面図である。
【図4】組織情報の入力設定画面の例を示す平面図である。
【図5】部分拡大状態の表面組成図とそのA−A線断面図とを関連付けて示す図である。
【図6】処理装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】鉛直方向補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】1リピート分の組織図と経糸の交差順情報とを関連付けて示す図である。
【図9】経糸の補正優先度についての図8対応図である。
【図10】緯糸の補正優先度についての図9対応図である。
【図11】経糸及び緯糸の補正優先度を合成した図8対応図である。
【図12】図11に基づいて演算したZ座標変換値についての図8対応図である。
【図13】緯糸についての色明度の段階的割り付け例を示す図である。
【図14】水平方向補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】横ずれ傾向の各種パターンを示す図である。
【図16】1リピート分の組織図と横ずれ傾向値とを関連付けて示す図である。
【図17】図16のものにさらに横ずれ影響の受け易さを加味した図16対応図である。
【図18】図17にものにさらに連続に基づく横ずれ傾向度合を加味した図16対応図である。
【図19】経糸のX方向移動量についての図16対応図である。
【図20】緯糸のY方向移動量についての図16対応図である。
【図21】X−Y座標移動量についての図16対応図である。
【図22】経糸のX座標移動の処理を示す説明図である。
【図23】本実施形態により得られるシミュレーション画像を表示した画面を示す図である。
【図24】本実施形態の鉛直及び水平方向補正処理を施さない場合の図23対応図である。
【図25】1リピート分の組織図を示す図である。
【図26】図25が左右・上下に連続した繊維製品全体の表面組織図を示す図である。
【図27】図25の組織により現実に織られた織り柄のスキャン画像を示す図である。
【符号の説明】
4 糸情報設定処理部
5 糸配列情報設定処理部
6 組織情報設定処理部
7 鉛直方向補正処理部
8 水平方向補正処理部
9 表示処理部
P1〜P12,Pi 経糸
F1〜F12,Fi 緯糸
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸、糸配列及び織り組織等の情報に基づいて布生地、織物地又は編物地等の出来上がりの繊維製品を3次元シミュレーション画像により仮想的に表すことにより繊維製品のデザインシミュレーション等を行うために用いられる繊維製品のシミュレーション画像生成方法に関し、特に、上記繊維製品を構成する各経糸及び各緯糸の屈曲や蛇行をも加味して表現したシミュレーション画像を生成し得る技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来、糸、糸配列及び組織等の情報に基づいて出来上がりの布生地や織物地等の繊維製品についてのシミュレーション画像をコンピュータグラフィックス(CG)により描画する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この技術は、糸の色情報と、経糸及び緯糸の配列情報と、経糸及び緯糸の織り組織情報とに基づいて布生地や織物地を仮想的に織り上げて自動描画させることにより、その繊維製品の色分け模様等の状況を2次元画像上でシミュレートするものである。
【0003】
【非特許文献1】
ヒサシ カンベ(Hisashi Kambe)外2名著,「スーパーテクシム(Super TEX−SIM):インターラクティブ テキスタイル デザイン アンド シミュレーション(Interactive Textile Design and Simulation)」,Proceedings of the First Pacific Conference on Computer Graphics and Applications,Pacific Graphics ’93−Vol.1,Aug30−Sep2,1993,コンピュータ グラフィクスアンド アプリケーションズ(COMPUTER GRAPHICS AND APPLICATIONS),p.117−130,ワールド サイエンティフィック(World Scientific)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の技術においては、特に織物の状況、例えば同色糸を用いて形成される織り柄の状況をうまく表現できず、生成されたシミュレーション画像は現実の織物とはかなり異なるものとなり、その結果、現実の織物製作のデザイン決定手法としてその適用範囲に制約を有するものになっている。
【0005】
すなわち、上記の従来の技術では経糸及び緯糸の各糸情報(太さ、色)及び配列(密度、間隔)等を設定し、設定された経糸及び緯糸の各交差部において経糸又は緯糸のいずれが上になるかの織り組織情報を表面組織図として設定し、この表面組織図に基づいて繊維製品のシミュレーション画像を自動生成させている。この場合、例えば全てが平織りの場合では各経糸が多数の緯糸に対し交互に上になったり下になったり、あるいは、各緯糸も多数の経糸に対し交互に上になったり下になったりというように経糸及び緯糸はいずれも規則正しい順序で交差する。このため、現実の繊維製品においても、あるいは、上記表面組織図に基づいて生成したシミュレーション画像においても各経糸及び各緯糸の全ての交差部が等間隔に配置されることになり、シミュレーション画像は現実の繊維製品をうまく表現し得るものとなる。
【0006】
これに対し、例えばパナマ織りや蜂巣織り等のドビー織りの場合、各経糸が2本以上の緯糸に亘り上になったり下になったり、あるいは、各緯糸も2本以上の経糸に亘り上になったり下になったりするため、現実の繊維製品では各経糸又は各緯糸が前後の交差状況に応じて引っ張り力を受けて繊維製品の平面方向に横ずれし、この横ずれした状態での織り柄が形成されることになる。つまり、経糸及び緯糸の隣接する両交差部の間隔が場所によって異なることになる。
【0007】
図25に蜂巣織りの1リピート分の組織図を入力設定した例、図26にこの1リピート分を繰り返して繊維製品全体の組織図を入力設定した例を示すように、経糸が緯糸の上になる交差部をディスプレイ画面上で白から黒(各図においては網掛けハッチングを施した部分参照)に反転させて蜂巣織りの組織図を設定した場合、上記の従来の技術では生成されるシミュレーション画像の経糸及び緯糸の各交差部間隔は糸配列により設定された間隔で一定に表現されてしまうことになる。これに対し、上記図25の組織図により現実に織られた繊維製品は図27に示すように経糸及び緯糸が横ずれして屈曲もしくは蛇行した状態になる。この場合、経糸と緯糸とで互いに異なる着色糸を用いればシミュレーション画像においても色分け模様としては表現されるものの、特に経糸及び緯糸共に同色糸を用いて織り柄模様だけの繊維製品の場合にはシミュレーション画像と現実の繊維製品との間の差が大きくなってしまうことになる。
【0008】
このため、上記シミュレーション画像では現実の織り柄をうまく表現し得ず、シミュレーション画像を用いたデザインシミュレーションを行おうとしても、上記のドビー織り等の場合にはシミュレーション画像だけではデザイン決定までは至らず、デザイン決定手法として限界を有するものとなっている。
【0009】
さらに、上記のドビー織り等の織り柄が形成される場合には、繊維製品の厚み方向にも経糸及び緯糸の位置変動(縦ずれ)が平織りのように一様ではなくて織り柄の部位に応じてその変動が大きく異なることになり、この厚み方向の変動も加味してシミュレーション画像の生成を行わないと、現実の繊維製品とは相違することになる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特に織り柄等を有する繊維製品のシミュレーション画像として現実の出来上がりの繊維製品により近づけたものを生成し得るシミュレーション画像生成方法を提供することにあり、これにより、織り柄等を有する繊維製品のデザインシミュレーションを実効性あるものにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、繊維製品を構成する所定間隔毎に並ぶ経糸と、所定間隔毎に並ぶ緯糸との各交差部における交差順に関する織り組織情報の入力設定を受けて上記繊維製品についての表面組織図を生成し、各交差部位置において表面に表れることになる経糸又は緯糸の一方を上記生成された表面組織図から特定してその一方の糸のみを対応する各交差部に表示させることにより上記繊維製品についてのシミュレーション画像を生成する繊維製品のシミュレーション画像生成方法を対象として次の特定事項を備えることとした。
【0012】
すなわち、上記経糸毎に、その経糸に対し交差する各緯糸との交差部を挟んで緯方向両側に位置する各交差部における経糸及び緯糸の交差順の状況を上記表面組織図から抽出し、抽出した交差順の状況に応じて上記各交差部における経糸の緯方向への横ずれ傾向を割り出す経糸横ずれ割出処理を実行する手順と、上記緯糸毎に、その緯糸に対し交差する各経糸との交差部を挟んで経方向両側に位置する各交差部における経糸及び緯糸の交差順の状況を上記表面組織図から抽出し、抽出した交差順の状況に応じて上記各交差部における緯糸の経方向への横ずれ傾向を割り出す緯糸横ずれ割出処理を実行する手順と、割り出された上記経糸毎の緯方向への横ずれ傾向及び上記緯糸毎の経方向への横ずれ傾向に基づいて交差部毎に緯方向及び経方向へのずれ量を演算し、演算されたずれ量に基づいて上記表面組織図上の各交差部の位置を変更補正する水平方向補正処理を実行する手順とを備えることとした(請求項1)。
【0013】
この請求項1に係る本発明の場合、表面組織図により特定される経糸及び緯糸の各交差部での交差順の状況に基づいて経糸及び緯糸の各交差部毎に経糸の横ずれ傾向が上記経糸横ずれ割出処理により、緯糸の横ずれ傾向が上記緯糸横ずれ割出処理によりそれぞれ割り出され、割り出された横ずれ傾向に基づいて各交差部における経糸及び緯糸のずれ量が演算されて上記表面組織図での各交差部の位置が上記水平方向補正処理により変更補正されることになる。この各交差部の位置が変更補正されることにより表示されるシミュレーション画像では対応する経糸及び緯糸が屈曲又は蛇行した状態になり、現実の繊維製品の状況に可及的に近付いたシミュレーション画像を自動生成することが可能になる。
【0014】
詳述すると、表面組織図上では経糸及び緯糸をそれぞれ平行に配列させたとしても、現実の繊維製品では各経糸がこれに交差する緯糸の交差順の状況により、各緯糸がこれに交差する経糸の交差順の状況によりそれぞれ影響を受けて拘束を受けたり、あるいは、逆に横ずれし易くなったりすることになる。対象経糸に対し緯糸が例えば上側に交差する交差部を対象にして上記対象経糸に対する影響を考えると、その同じ緯糸がこの交差部の両側では隣接する経糸に対し共に下側に交差する場合にはその緯糸により上記対象経糸は横ずれしないように拘束を受けることになる一方、上記の同じ緯糸が隣接する一側の経糸に対しては下側に交差するものの他側の経糸に対しては上記対象の交差部と同様に上側に交差する場合には上記対象経糸は他側の経糸の側に横ずれし易くなる。このような交差順に基づき横ずれし易くなるか否かの現象を利用して、上記経糸横ずれ割出処理では、経糸毎にその経糸の緯方向両側の各交差部での交差順の状況を入力設定された表面組織図から抽出し、この抽出した交差順の状況に基づいて対象とする上記経糸の交差部における緯方向への横ずれ傾向が割り出される。上記緯糸横ずれ割出処理においても同様にして緯糸の各交差部における経方向への横ずれ傾向が割り出される。そして、上記水平方向補正処理により、経糸の横ずれ傾向及び緯糸の横ずれ傾向に基づいて各交差部のずれ量が演算されて各交差部の位置が変更補正される。
【0015】
本発明における上記経糸横ずれ割出処理及び緯糸横ずれ割出処理をさらに具体化した手法としては次のようにすればよい。すなわち、上記経糸横ずれ割出処理として、割出対象の交差部を挟んで緯方向両側に隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が緯方向一側にのみ上記割出対象の交差部と同じであればその交差部では上記緯方向一側に所定度合の横ずれ傾向有りと割り出す一方、上記隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が共に上記割出対象の交差部とは異なればその交差部では緯方向に対する横ずれ傾向無しと割り出すようにする。また、上記緯糸横ずれ割出処理として、割出対象の交差部を挟んで経方向両側に隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が経方向一側にのみ上記割出対象の交差部と同じであればその交差部では上記経方向一側に所定度合の横ずれ傾向有りと割り出す一方、上記隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が共に上記割出対象の交差部とは異なればその交差部では経方向に対する横ずれ傾向無しと割り出すようにする(請求項2)。これにより、横ずれ傾向の割り出し基準がより明確となり、糸の屈曲・蛇行を加味したより的確なシミュレーション画像の自動生成が可能となる。
【0016】
また、この請求項2のシミュレーション画像生成方法においては、上記経糸横ずれ割出処理として、緯方向に並ぶ交差部で同じ横ずれ傾向が連続する場合には、その連続する各交差部に対し横ずれ傾向有りと割り出された始まりの交差部からの連続度合に応じて横ずれ傾向の度合を増大させる処理をさらに付加するようにし、上記緯糸横ずれ割出処理として、経方向に並ぶ交差部で同じ横ずれ傾向が連続する場合には、その連続する各交差部に対し横ずれ傾向有りと割り出された始まりの交差部からの連続度合に応じて横ずれ傾向の度合を増大させる処理をさらに付加するようにしてもよい(請求項3)。このようにすることにより、各交差部近傍での局部的な横ずれ傾向に加えて、さらに周辺に並ぶ各交差部における交差順の状況をも加味して経糸及び緯糸の横ずれ傾向の大小(強弱)を割り出すことが可能になり、これを各交差部のずれ量に反映させて現実の出来上がりの繊維製品により一層近いシミュレーション画像の自動生成が可能となる。
【0017】
さらに、以上の請求項1〜請求項3のいずれか繊維製品のシミュレーション画像生成方法における上記水平方向補正処理としては、経糸及び緯糸の各糸配列密度に関する糸配列情報と、その経糸及び緯糸に用いる1種以上の糸に関する糸情報との入力設定を受け、入力設定された上記糸配列情報及び糸情報に基づき予め設定された横ずれ発生の難易度合を表す補正係数を抽出し、抽出した補正係数により上記経糸毎の緯方向への横ずれ傾向及び上記緯糸毎の経方向への横ずれ傾向を補正した上で、上記ずれ量の演算を行うようにすることができる(請求項4)。このようにすることにより、経糸及び緯糸の各横ずれ割出処理による横ずれ傾向を基本として経糸及び緯糸の各糸自体等の如何による横ずれ発生の難易度合を加味して各交差部の横ずれ量が演算により得られることになる。例えば糸の配列密度が高い程、糸が太い程、もしくは、糸が硬い程、たとえ横ずれは生じたとしてもその横ずれ量は少ないものとなる。このような繊維製品の糸の配列密度や糸自体等の交差順以外の属性をも加味して各交差部の位置の変更補正が可能となるため、現実に発生する各糸の屈曲や蛇行をより一層的確に表現したシミュレーション画像の自動生成が可能になる。
【0018】
一方、以上の請求項1〜請求項4のいずれかのシミュレーション画像生成方法では繊維製品の水平方向に対する屈曲や蛇行を加味する点を解決し得るシミュレーション画像の生成方法を提供するものであるが、さらに、繊維製品の鉛直方向に対する屈曲や蛇行、つまり経糸及び緯糸の凹凸を加味してシミュレーション画像の生成を行うようにすることもできる。すなわち、上記表面組織図により特定される経糸及び緯糸の各交差部毎に隣接する交差部間における各糸の鉛直方向の凹凸度合を上記表面組織図から抽出される交差順に基づいて演算する手順と、得られた凹凸度合を連続的又は段階的な濃淡変化に置換して上記表面組織図上で前面に表れるものとして特定される各糸の表示色に対し上記濃淡変化を割り付け補正する鉛直方向補正処理を実行する手順とをさらに備えるようにすることができる(請求項5)。このようにすることにより、繊維製品を構成する経糸及び緯糸の各糸毎に凹凸度合が演算され、この演算された凹凸度合が濃淡変化に置換され、表面組成図上で前面に表れる各糸(外面から見える各糸)の表示色に対し上記濃淡変化が割り付けられて濃淡分布の画像としてシミュレーション画像が生成されることになる。これにより、繊維製品の仮想上のシミュレーション画像に対しても繊維製品特有の凹凸感を容易に付与して3次元画像を自動生成することが可能になる。これにより、繊維製品のデザインシミュレーションをより的確に行うことが可能になるばかりでなく、シミュレーション画像の繊維製品を人体モデル等の他の3次元オブジェクトに適用する場合にもより現実味のあるシミュレーション画像の生成を行うことが可能になる。
【0019】
なお、上記の濃淡変化への置換法としては、経糸及び緯糸の交差部における前面側の糸を凸とし後面側の糸を凹として同一糸の凹凸間の傾きの変化(例えばサインカーブ等の曲線により表した場合の傾きの変化)に応じて凹部分の濃から凸部分の淡まで濃淡を滑らかに変化させたり、所定の傾きの変化範囲毎にもしくは所定の平面距離範囲毎に段階的に変化させたりするようにすればよい。
【0020】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1〜請求項5のいずれかの繊維製品のシミュレーション画像生成方法によれば、各交差部毎の経糸の横ずれ傾向を経糸横ずれ割出処理により、緯糸の横ずれ傾向を緯糸横ずれ割出処理によりそれぞれ割り出すことができ、割り出された横ずれ傾向に基づいて演算された各交差部における経糸及び緯糸のずれ量に応じて表面組織図上の各交差部の位置を水平方向補正処理により変更補正することができるため、表面組織図に入力設定された織り柄組織情報に基づいて対応する経糸及び緯糸が屈曲又は蛇行した状態の現実の繊維製品の状況に可及的に近付いたシミュレーション画像を自動生成することができる。
【0021】
特に、請求項2によれば、横ずれ傾向の割り出し基準をより明確にした経糸横ずれ割出処理及び緯糸横ずれ割出処理に基づいて糸の屈曲・蛇行を加味したより的確なシミュレーション画像を具体的に自動生成することができるようになる。
【0022】
請求項3によれば、各交差部近傍での局部的な横ずれ傾向に加えて、さらに周辺に並ぶ各交差部における交差順の状況をも加味して経糸及び緯糸の横ずれ傾向の大小を割り出すことができ、これを各交差部のずれ量に反映させて現実の出来上がりの繊維製品により一層近いシミュレーション画像を自動生成することができるようになる。
【0023】
また、請求項4によれば、経糸及び緯糸の各横ずれ割出処理による交差順の如何に基づく横ずれ傾向を基本として、経糸及び緯糸の糸配列情報や糸自体等の如何による横ずれ発生の難易度合を加味して各交差部の横ずれ量を演算し各交差部の位置を変更補正することができ、現実に発生する各糸の屈曲や蛇行をより一層的確に表現したシミュレーション画像を自動生成することができるようになる。
【0024】
さらに、請求項5によれば、繊維製品の仮想上のシミュレーション画像に対しても繊維製品特有の凹凸感を容易に付与することができ、3次元画像のシミュレーション画像を自動生成することができる。これにより、繊維製品のデザインシミュレーションをより的確に行うことができるばかりでなく、シミュレーション画像の繊維製品を人体モデル等の他の3次元オブジェクトに適用する場合にもより現実味のあるシミュレーション画像を生成することができるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る繊維製品のシミュレーション画像生成方法を実施するためのシミュレーションシステムを示し、このシミュレーションシステムはキーボードやマウス等により構成された入力手段1と、CRTもしくはTFTにより構成された表示手段2と、これら入力手段1及び表示手段2と接続されたパーソナルコンピュータ等により構成された処理装置3とを備えている。なお、上記処理装置3に対しては、生成されたシミュレーション画像を印刷するためにカラーレーザプリンタ等の印刷手段を接続させてもよい。
【0027】
上記処理装置3は、各種情報の設定処理部4〜6と、鉛直方向補正処理部7と、水平方向補正処理部8と、表示処理部9と、記憶装置10とを備えている。これらの処理装置3の各処理部4〜9の多くは記憶装置10に格納されたプログラムによりその機能が実現されるようになっている。なお、上記記憶装置10には、上記の各種プログラムに加えて各種糸に関するデータベースや後述の各種判定パターン等が記憶保持されている他、種々の記憶領域が設定されている。以下に、各構成要素について詳細に説明する。
【0028】
上記の各種情報の設定処理部としては、糸情報設定処理部4と、糸配列情報設定処理部5と、組織情報設定処理部6とを備えている。
【0029】
上記糸情報設定処理部4は、繊維製品を形成するための経糸及び緯糸として試行する糸(先染め糸)に関する基本情報の設定処理を行うものである。ここで、糸に関する基本情報とは、糸の種類(例えば1色の単糸等の撚り方)、色(色名、RGB各数値等)、太さ及び形状イメージに関する情報である。図2に上記糸情報設定処理部4により表示手段2に表示される入力設定画面の一例を示す。この入力設定画面41では経糸について4種類の糸が入力設定されている。すなわち、形状入力領域411に対し糸の種類名として「単糸(1色)」等が入力設定され、形状イメージ入力領域412に対し上記各糸の形状及び太さが着色された状態のイメージとして入力設定され、色名入力領域413に対し「緑」、「黄」「青」、「紺」というように色名が入力設定され、色特定入力領域414に対しRGB各数値が入力設定されてその色が表示されている。
【0030】
なお、以上の糸種、その糸種毎の形状・色・太さのイメージデータ、色名、そのRGB各数値等のデータは記憶装置10に全ての糸種について予め記憶保持されており、入力設定に際しては糸の種類名を特定すれば上記のイメージ等が入力設定画面41に表示されるようになっている。また、太さ調整ボタン415をクリックすることにより上記形状イメージ入力領域412に表示されたイメージの太さを変更したり、形状編集ボタン416をクリックすることにより上記イメージの形状を変更したりし得るようになっている。さらに、色に関しても上記のRGB各数値の変更等により変更調整可能となっている。以上と同様にして緯糸についても入力設定の処理が行われる。
【0031】
そして、上記糸情報設定処理部4により入力設定された上記の情報に基づいてシミュレーション画像上の各経糸及び各緯糸が所定形状及び所定太さで所定色に着色された状態のイメージとして表示されることになる。
【0032】
上記糸配列情報設定処理部5は、経糸及び緯糸についての糸配列(縞割り)及び糸配列の密度(例えば1インチ当たりの糸の本数)に関する情報の設定処理を行うものである。図3には、上記糸情報設定処理部4により特定された4種類の糸についての糸配列情報を入力設定させるために上記糸配列情報設定処理部5により表示手段2に表示される入力設定画面の一例51が示されている。この入力設定画面51では上記入力設定画面41において入力設定された4種類の経糸が糸及び色表示領域511に自動的に表示されている。そして、密度入力領域512に対し「19」と入力され、この例では密度が19本/インチが設定されている。また、糸配列入力領域513は縞模様を形成する際に入力設定されるものであり、図例のものでは一つの縞(1縞;1単位の縞パターン)を形成するための上記4種類の糸の配列が「1」などにより入力されている。この「1」はこの位置に対応する糸種の糸が1本経糸として配列されることを示している。そして、右端の1縞合計本数表示領域514に入力設定された糸配列の糸種毎の合計本数が自動表示されるようになっている。
【0033】
そして、以上と同様にして緯糸の縞割りについても入力設定の処理が行われる。なお、図2や図3では色分け模様の例を示しているが、全ての経糸及び/又は緯糸が同色の1種類の糸により構成される場合には、糸の種類、太さ、形状、色、及び、糸配列密度が入力設定され、上記の縞割りは省略されることになる。
【0034】
上記組織情報設定処理部6は、上記で入力設定された糸情報及び糸配列情報を用いた場合の経糸及び緯糸の織り組織情報、つまり経糸及び緯糸の交差部において経糸か緯糸かいずれが上側(前面側もしくは表面側)になるかの交差順を入力設定させるものであり、言い換えれば経糸又は緯糸の一方の糸(例えば経糸)が上になる交差部を例えばモノクロで黒、下になる交差部を白で表した表面組織図を生成させるものである。図4には、上記表面組織図を生成させるために表示手段2に対し上記組織情報設定処理部6により表示された入力設定画面の一例61が示されている。
【0035】
この入力設定画面61には、下端位置に経糸表示領域611が横に延びて配置され、左端位置に緯糸表示領域612が縦に延びて配置されている。上記経糸表示領域611には糸情報設定処理部4により設定された経糸用の各糸が着色状態で上記糸配列情報設定処理部5により配列設定された配列密度に従って表示され、上記緯糸表示領域612には同様に緯糸用の各糸が着色状態で所定の配列密度に従って表示されている。この例では、経糸表示領域611には全て同色で同種類経糸が表示され、また、緯糸表示領域612には緯糸の全てが経糸と同じ糸に設定された緯糸が表示されている。
【0036】
また、上記入力設定画面61には表面組織図設定領域613が配置設定され、この表面組織図設定領域613は横が上記経糸表示領域611の糸数分とされ縦が緯糸表示領域612の糸数分とされたマトリックス領域として区画表示されている。なお、図4には表面組織図設定領域613に対し蜂巣織りの表面組織図が入力設定された状態を例示している。そして、図5に詳細を示すように上記表面組織図設定領域613の各矩形領域614が経糸Pと緯糸Fとの交差部を表し、この交差部に対し経糸Pを上にするのであれば例えばモノクロであると黒色を設定し、経糸Pを下にするのであれば白色を設定することにより表面組織図が入力設定される。つまり、矩形領域614が白色であれば緯糸Fが経糸Pの上になって交差していることを表している。上記の入力設定は各交差部の矩形領域614をクリックすることにより行えばよく、クリックを繰り返すことにより上記矩形領域614が黒・白と交互に変換するようになっている。なお、上記の表面組織図の入力設定は別画面又は上記表面組織図設定領域613において1リピート分の組織図(図25参照)について入力設定し、これをコピーすることなどにより表面組織図を表面組織図設定領域613の全体に設定する。また、図5中の「ts」は交差部での各糸の凹凸の深さであり、このtsは糸情報設定処理部4により設定される経糸及び緯糸の各太さにより定まる。
【0037】
以上で各種情報の入力設定が行われると、以後は上記鉛直補正処理部7及び水平方向補正処理部8による各補正処理が実行され、補正処理後の表面組織図に基づいて表示処理部9により繊維製品のシミュレーション画像が生成されて表示手段2に表示されることになる。このような処理装置3による処理を図6に基づいて説明すると、まず、各情報設定処理部4,5,6により表示手段2に対し上記の入力設定画面41,51,61を表示して操作者をして入力設定を順に繰り返させる。図6では組織情報設定処理部6による入力設定処理の例を示しており、この場合は、入力設定画面61である組織図初期画像の表示(ステップS1)を行い、操作者による組織図設定(W1)を受けて、設定された表面組織図に基づく織り組織情報の取得及び記憶装置10への記憶を行う(ステップS2)。そして、取得した織り組織情報(表面組織図)に基づいて鉛直方向補正処理部7による鉛直方向補正処理(SUB1)及び水平方向補正処理部8による水平方向補正処理(SUB2)を行い、表示処理部9により補正処理後の表面組織図等に基づいて繊維製品のシミュレーション画像を生成して表示手段2に表示させると共にに(ステップS3)、記憶装置10の繊維製品のシミュレーション画像データベースに対し記憶設定する(ステップS4)。
【0038】
上記鉛直方向補正処理(SUB1)では、経糸及び緯糸のそれぞれについて各交差部での交差順に基づいてその凹凸度合(浮沈度合)を割り出し、割り出した凹凸度合に基づいて繊維製品の厚み方向(Z方向)の座標値(Z座標変換値)を演算により求め、このZ座標変換値に基づいて経糸及び緯糸の各糸の表示色に明度変化(濃淡変化)を割り付ける。
【0039】
具体的には、図7に示すように、経糸について上記表面組織図から各経糸に沿って並ぶ各交差部における交差順についての情報を抽出し取得する(ステップS11)。図4の表面組織図の1リピート分について説明すると、図8に示すように経糸P1〜P12及び緯糸F1〜F12の各交差部毎に経糸が緯糸よりも上側に交差する交差部(経糸が浮いた状態の交差部;黒に反転された交差部)に例えば「1」を設定し、経糸が緯糸よりも下側に交差する交差部(経糸が沈んだ状態の交差部;白のままの交差部)に例えば「0」を設定し、各交差部での経糸の交差順情報として「1」か「0」かで表して数値化した状態で取得する。次に、この交差順情報から補正優先度を割り出して取得する(ステップS12)。これは各経糸P1〜P12において上側に交差する交差部(上記の「1」の交差部)が連続する度合を割り出すものであり、同じ経糸で「1」がn個連続すればその連続する範囲の全ての交差部に「n」を設定する。図8の1リピート分の表面組織図を対象にすると、図9のようになる。例えば経糸P7ではその中央部範囲で「1」が9個連続するため(図8参照)、この連続している各交差部に対し「9」を設定する(図9参照)。この交差部に設定された数値が大きい程、その経糸はより上側に浮く傾向となり、補正優先度は高いことになる。
【0040】
以上で経糸P1〜P12についての処理が終了し、次に、緯糸F1〜F12について経糸と同様の処理を行う。すなわち、各交差部毎に緯糸が経糸よりも上側に交差する交差部(緯糸が浮いた状態の交差部;白のままの交差部)に「1」を設定し、緯糸が経糸よりも下側に交差する交差部(緯糸が沈んだ状態の交差部;黒に反転された交差部)に「0」を設定し、各交差部での緯糸の交差順情報として「1」か「0」かで表して数値化した状態で取得する(ステップS13)。そして、この交差順情報から補正優先度(緯糸が上側に交差する連続度合)を上記と同様に同じ緯糸で「1」がn個連続すればその連続する範囲の全ての交差部に「n」を設定して取得する(ステップS14)。このステップS14により得られた緯糸についての補正優先度を図10に示す。
【0041】
次に、上記のステップS12で得られた経糸についての補正優先度と、ステップS14で得られた緯糸についての補正優先度とを合成して合成後の補正優先度を得る(ステップS15)。すなわち、図9の各交差部に設定された数値と、図10の各交差部に設定された数値とを合体させ、図11に示すような経糸及び緯糸の補正優先度についてのマトリックスを得る。
【0042】
この図11で得られる補正優先度は交差順に基づく各糸の浮き沈みの傾向を示すものであるため、この補正優先度に対しさらに所定の補正係数を乗じることにより各交差部におけるZ座標変換値を演算する(ステップS16)。すなわち、糸情報(太さ,硬さ)や糸配列情報(配列密度)等と関連付けて上記補正係数として種々の値が予め設定されており、入力設定された糸情報や糸配列情報に基づいて今回の対象である繊維製品に対する補正係数が抽出され、この補正係数と上記補正優先度とに基づいてZ座標変換値が演算される。つまり、糸が太い程、硬い程、あるいは、配列密度が高い程、各糸のZ方向(繊維製品の厚み方向)への移動(浮き沈み)の程度はより小さくなるため、この属性を加味して上記補正係数が定められる。補正係数をα、補正優先度をnとすると、例えば次の式(1)を用いてZ座標変換値の演算を行う。
【0043】
Z座標変換値=(n−1)×α+1 …(1)
例えば補正係数α=0.1とした場合に、式(1)により演算された各交差部でのZ座標変換値を例示すると、図12に示すようになる。
【0044】
最後に、得られたZ座標変換値に基づき明度変化を各糸の表示色に割り付ける(ステップS17)。この割り付けは、Z座標変換値「1.0」を基準値(標準色明度)1.0として、これより高い値であればその値に応じて色明度を高くして明るくする一方、低い値であればその値に応じて色明度を低くして暗くする。また、相隣接する両交差部間で糸の太さに応じて経糸又は緯糸が単独で表面に表れることになる部分の糸には、隣接する両交差部に割り付けられる色明度間で連続して変化させるか、段階的に変化させた色明度を割り付ける。例えば、図13には緯糸Fiについての色明度の段階的割り付け例を示すが、経糸Piの上側になる交差部で緯糸Fiの色明度として「1.5」と最大の明度が割り付けられ、経糸Pi−1,Pi+1の下側になる交差部で緯糸Fiの色明度として「0.5」と最小の明度が割り付けられ、中間の部分の緯糸Fiの色明度として「0.8」、「1.0」と最大と最小との中間段階の色明度が割り付けられている。なお、経糸Pi−1,Pi+1の下側になる交差部での緯糸Fiはシミュレーション画像では経糸Pi−1,Pi+1により隠されるため上記の「0.5」の色明度の設定自体は使用されることはない。
【0045】
また、上記水平方向補正処理(SUB2)では、経糸及び緯糸のそれぞれについて各交差部での交差順に基づいてその横ずれ傾向値を割り出し、割り出した横ずれ傾向値に対し各種補正を加えた後、それらを合成し、合成後の横ずれ傾向値に基づいて表面組織図上の各交差部の平面方向(X−Y方向)の座標(X−Y座標)を変更補正する。つまり各交差部の位置を移動させる。ここで、X方向とは緯糸の延長方向である緯方向のことであり、Y方向とは経糸の延長方向である経方向のことである。
【0046】
具体的には、図14に示すように、経糸について上記表面組織図から各経糸に対し交差する緯糸毎にX方向に並ぶ各交差部における交差順についての情報を抽出し、経糸毎に対象とする経糸の横ずれ傾向値を割り出す(ステップS21)。そして、割り出した横ずれ傾向値を基に、前後の交差順により横ずれの影響の受け易さについての補正処理を加える(ステップS22)。
【0047】
以上の横ずれ傾向値を割り出すために、交差順状況と、これに対する横ずれ傾向との関係をパターン化し、この横ずれパターンに対する横ずれ傾向値が予め記憶設定されている。例えば図15に例示するように、パターン1では、対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその両側の経糸Pi−1,Pi+1との交差部においても対象経糸Piと同じ交差順(各経糸の下側又は上側;図例では下側)であれば、対象経糸Piはその隣接する前後の交差部での経糸Pi−1,Pi+1の横ずれ傾向の影響を受け易くなり同傾向の横ずれ傾向となる。パターン2では、対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその両側の経糸Pi−1,Pi+1との交差部においては対象経糸Piと逆の交差順であれば、対象経糸Piは前後の交差部から拘束を受けて横ずれし難い状態となり、前後の交差部からの影響をあまり受けなくなる。この場合の横ずれ傾向を「0」という横ずれ傾向値で表し横ずれ傾向はないものとする。パターン3では、対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその左側の経糸Pi−1との交差部においては対象経糸Piとは逆の交差順であり右側の経糸Pi+1との交差部においては対象経糸Piと同じ交差順であれば、対象経糸Piはその同じ交差順の右側に横ずれし易くなる。この右側への横ずれ傾向を「1」というように正の値の横ずれ傾向値で表す。パターン4では、パターン3とは逆に対象経糸Piに交差する緯糸Fiがその左側の経糸Pi−1との交差部においては対象経糸Piと同じ交差順であり右側の経糸Pi+1との交差部においては対象経糸Piとは逆の交差順であれば、対象経糸Piは上記の同じ交差順の左側に横ずれし易くなる。この左側への横ずれ傾向を「−1」というように負の値の横ずれ傾向値で表す。なお、以上の4つのパターンは例示であり、これ以外あるいはさらに付加したパターン分けを用いてもよい。
【0048】
そして、まず上記ステップS21では上記のパターン2〜4を用いて横ずれ傾向値を割り出す。図4の表面組織図の1リピート分について説明すると、図16に示すように経糸P1〜P12及び緯糸F1〜F12の各交差部毎に上記パターン2〜4との照合により割り出された経糸P1〜P12の横ずれ傾向値が設定される。この際、上記パターン2〜4に合致しない交差順状況の交差部には「0」が設定される。これが次のステップS22での補正処理の対象となる。次に上記ステップS22では上記のパターン1に該当する交差部に対する補正処理を行う。すなわち、X方向で変動のある横ずれ傾向値と同傾向になるため、その横ずれ傾向値と同じ値を設定する。上記の図16について補正処理を実行すると図17に示すようになる。例えば図16の経糸P10〜P12と緯糸F2との各交差部の「0」は経糸P9と緯糸F2との交差部の横ずれ傾向に影響を受けるため、図17の経糸P10〜P12と緯糸F2との各交差部の横ずれ傾向値は経糸P9と緯糸F2との交差部の横ずれ傾向値「1」に補正される。
【0049】
さらに、経糸についてX方向に2交差部以上にわたり同じ側に向けて横ずれし易い傾向が続く場合の横ずれ傾向の割り増し、つまり横ずれ傾向度合を増大させる補正処理を行う(ステップS23)。この増大は交差部がm個連続すれば例えば「m」又は「2m」をステップS22での横ずれ傾向値に追加することにより、行う。図18にはm交差部連続すれば「2m」をステップS22での横ずれ傾向値に追加した場合を例示する。
【0050】
以上で経糸P1〜P12についての各交差部でのX方向への横ずれ傾向値の割出処理が終了し、次に、緯糸F1〜F12について各交差部でのY方向への横ずれ傾向値の割出処理を上記の経糸の場合と同様に行う。すなわち、緯糸について表面組織図から各緯糸に対し交差する経糸毎にY方向に並ぶ各交差部における交差順についての情報を抽出し、緯糸毎に対象とする緯糸の横ずれ傾向値を割り出す(ステップS24;図14参照)。そして、割り出した横ずれ傾向値を基に、前後の交差順により横ずれの影響の受け易さについての補正処理を加える(ステップS25)。さらに、緯糸についてY方向に2交差部以上にわたり同じ側に向けて横ずれし易い傾向が続く場合の横ずれ傾向の割り増し、つまり横ずれ傾向度合を増大させる補正処理を行う(ステップS26)。
【0051】
以上で得られた経糸の横ずれ傾向値及び緯糸の横ずれ傾向値に対しさらに所定の補正係数を乗じることにより各交差部のX方向移動量及びY方向移動量を演算し両方向移動量を合成してX−Y座標移動量を得る(ステップS27)。すなわち、糸情報(太さ,硬さ)や糸配列情報(配列密度)等と関連付けて補正係数βとして種々の値が予め設定されており、入力設定された糸情報や糸配列情報に基づいて今回の対象である繊維製品に対する補正係数βが抽出され、この補正係数βを上記横ずれ傾向値に乗じてX方向移動量又はY方向移動量が演算される。つまり、鉛直方向の場合と同様に水平方向に対しても、糸が太い程、硬い程、あるいは、配列密度が高い程、各糸のX方向又はY方向(繊維製品の平面方向)への移動(横ずれ)の程度はより小さくなるため、この属性を加味して上記補正係数βが定められる。例えば、次の式(2),(3)を用いてX方向又はY方向の移動量の演算を行う。
【0052】
X方向移動量=(各交差部の経糸の横ずれ傾向値)×β …(2)
Y方向移動量=(各交差部の緯糸の横ずれ傾向値)×β …(3)
例えば補正係数β=0.1とした場合に演算された各交差部の経糸のX方向移動量を図19に、各交差部の緯糸のY方向移動量を図20にそれぞれ示す。図19では正の値は同図の右側へ、負の値は同図の左側への移動量を示し、図20では正の値は同図の上側へ、負の値は同図の下側への移動量を示す。また、図19及び図20では、それぞれ移動量の限界である移動限界値として「0.5」を設定し、0.5を超える移動量を強制的に「0.5」に設定している。そして、図19のX方向移動量と図20のY方向移動量とを合成すれば、図21のX−Y座標移動量とする。
【0053】
最後に、得られたX−Y座標移動量に基づき表面組織図(図4参照)の対応する各交差部のX−Y座標位置を移動(変更補正)する処理を行う(ステップS28)。上記のX−Y座標移動量の各値は、実際の寸法値ではなくて移動量に対する係数値(移動係数値)としての役割を果たすものである。そして、上記のX−Y座標移動量に基づく移動処理は、X座標移動量又はY座標移動量の各値を糸配列密度の設定情報に基づく間隔(距離)を1.0とした場合の比率として扱い、その間隔を変化させるようにする。例えば経糸について図22に示すように経糸Piの移動量(移動係数)が「0.0」であれば横ずれはせずに当初の設定位置のままとされ、経糸Piの移動量(移動係数)が「0.5」であれば右側に経糸Pi+1との間隔の×0.5分だけ移動され、経糸Piの移動量(移動係数)が「−0.5」であれば左側に経糸Pi−1との間隔の×0.5分だけ移動されることになる。
【0054】
図4の表面組織図の設定から以上の処理を経て生成されたシミュレーション画像の例を図23に示す。これとの比較のために、本実施形態の如き水平方向補正処理や鉛直方向補正処理を施さない場合のシミュレーション画像の例を図24に示す。両図を比較すると、図24では経糸及び緯糸が規則正しく並んで交差しているのに対し、図23では交差順に基づき経糸及び緯糸がそれぞれ横ずれ(経糸であれば画面の左右方向への横ずれ、緯糸であれば画面の上下方向への横ずれ)し、経糸及び緯糸の織り柄に基づく屈曲や蛇行を加味したシミュレーション画像となっており、現実に織り上がった織物の繊維製品の場合により近づいた織り柄が表現されている。
【0055】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、水平方向補正処理と鉛直方向補正処理とを組み合わせているが、これに限らず、鉛直方向補正処理を省略して水平方向補正処理だけを追加するようにしてもよい。この場合でも経糸及び緯糸の織り柄に基づく屈曲や蛇行の状態をシミュレーション画像にうまく表現することができ、現実の織り柄を有する織物の繊維製品のデザインシミュレーションを的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を実施するシミュレーションシステムのブロック図である。
【図2】糸情報の入力設定画面の例を示す平面図である。
【図3】糸配列情報の入力設定画面の例を示す平面図である。
【図4】組織情報の入力設定画面の例を示す平面図である。
【図5】部分拡大状態の表面組成図とそのA−A線断面図とを関連付けて示す図である。
【図6】処理装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】鉛直方向補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】1リピート分の組織図と経糸の交差順情報とを関連付けて示す図である。
【図9】経糸の補正優先度についての図8対応図である。
【図10】緯糸の補正優先度についての図9対応図である。
【図11】経糸及び緯糸の補正優先度を合成した図8対応図である。
【図12】図11に基づいて演算したZ座標変換値についての図8対応図である。
【図13】緯糸についての色明度の段階的割り付け例を示す図である。
【図14】水平方向補正処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】横ずれ傾向の各種パターンを示す図である。
【図16】1リピート分の組織図と横ずれ傾向値とを関連付けて示す図である。
【図17】図16のものにさらに横ずれ影響の受け易さを加味した図16対応図である。
【図18】図17にものにさらに連続に基づく横ずれ傾向度合を加味した図16対応図である。
【図19】経糸のX方向移動量についての図16対応図である。
【図20】緯糸のY方向移動量についての図16対応図である。
【図21】X−Y座標移動量についての図16対応図である。
【図22】経糸のX座標移動の処理を示す説明図である。
【図23】本実施形態により得られるシミュレーション画像を表示した画面を示す図である。
【図24】本実施形態の鉛直及び水平方向補正処理を施さない場合の図23対応図である。
【図25】1リピート分の組織図を示す図である。
【図26】図25が左右・上下に連続した繊維製品全体の表面組織図を示す図である。
【図27】図25の組織により現実に織られた織り柄のスキャン画像を示す図である。
【符号の説明】
4 糸情報設定処理部
5 糸配列情報設定処理部
6 組織情報設定処理部
7 鉛直方向補正処理部
8 水平方向補正処理部
9 表示処理部
P1〜P12,Pi 経糸
F1〜F12,Fi 緯糸
Claims (5)
- 繊維製品を構成する所定間隔毎に並ぶ経糸と、所定間隔毎に並ぶ緯糸との各交差部における交差順に関する織り組織情報の入力設定を受けて上記繊維製品についての表面組織図を生成し、各交差部位置において表面に表れることになる経糸又は緯糸の一方を上記生成された表面組織図から特定してその一方の糸のみを対応する各交差部に表示させることにより上記繊維製品についてのシミュレーション画像を生成する繊維製品のシミュレーション画像生成方法であって、
上記経糸毎に、その経糸に対し交差する各緯糸との交差部を挟んで緯方向両側に位置する各交差部における経糸及び緯糸の交差順の状況を上記表面組織図から抽出し、抽出した交差順の状況に応じて上記各交差部における経糸の緯方向への横ずれ傾向を割り出す経糸横ずれ割出処理を実行する手順と、
上記緯糸毎に、その緯糸に対し交差する各経糸との交差部を挟んで経方向両側に位置する各交差部における経糸及び緯糸の交差順の状況を上記表面組織図から抽出し、抽出した交差順の状況に応じて上記各交差部における緯糸の経方向への横ずれ傾向を割り出す緯糸横ずれ割出処理を実行する手順と、
割り出された上記経糸毎の緯方向への横ずれ傾向及び上記緯糸毎の経方向への横ずれ傾向に基づいて交差部毎に緯方向及び経方向へのずれ量を演算し、演算されたずれ量に基づいて上記表面組織図上の各交差部の位置を変更補正する水平方向補正処理を実行する手順と
を備えている
ことを特徴とする繊維製品のシミュレーション画像生成方法。 - 請求項1に記載の繊維製品のシミュレーション画像生成方法であって、
上記経糸横ずれ割出処理として、割出対象の交差部を挟んで緯方向両側に隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が緯方向一側にのみ上記割出対象の交差部と同じであればその交差部では上記緯方向一側に所定度合の横ずれ傾向有りと割り出す一方、上記隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が共に上記割出対象の交差部とは異なればその交差部では緯方向に対する横ずれ傾向無しと割り出すようにし、
上記緯糸横ずれ割出処理として、割出対象の交差部を挟んで経方向両側に隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が経方向一側にのみ上記割出対象の交差部と同じであればその交差部では上記経方向一側に所定度合の横ずれ傾向有りと割り出す一方、上記隣接する両交差部における経糸及び緯糸の交差順が共に上記割出対象の交差部とは異なればその交差部では経方向に対する横ずれ傾向無しと割り出すようにする、繊維製品のシミュレーション画像生成方法。 - 請求項2に記載の繊維製品のシミュレーション画像生成方法であって、
上記経糸横ずれ割出処理として、緯方向に並ぶ交差部で同じ横ずれ傾向が連続する場合には、その連続する各交差部に対し横ずれ傾向有りと割り出された始まりの交差部からの連続度合に応じて横ずれ傾向の度合を増大させる処理をさらに付加するようにし、
上記緯糸横ずれ割出処理として、経方向に並ぶ交差部で同じ横ずれ傾向が連続する場合には、その連続する各交差部に対し横ずれ傾向有りと割り出された始まりの交差部からの連続度合に応じて横ずれ傾向の度合を増大させる処理をさらに付加するようにする、繊維製品のシミュレーション画像生成方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の繊維製品のシミュレーション画像生成方法であって、
上記水平方向補正処理として、経糸及び緯糸の各糸配列密度に関する糸配列情報と、その経糸及び緯糸に用いる1種以上の糸に関する糸情報との入力設定を受け、入力設定された上記糸配列情報及び糸情報に基づき予め設定された横ずれ発生の難易度合を表す補正係数を抽出し、抽出した補正係数により上記経糸毎の緯方向への横ずれ傾向及び上記緯糸毎の経方向への横ずれ傾向を補正した上で、上記ずれ量の演算を行うようにする、繊維製品のシミュレーション画像生成方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の繊維製品のシミュレーション画像生成方法であって、
上記表面組織図により特定される経糸及び緯糸の各交差部毎に隣接する交差部間における各糸の鉛直方向の凹凸度合を上記表面組織図から抽出される交差順に基づいて演算する手順と、
得られた凹凸度合を連続的又は段階的な濃淡変化に置換して上記表面組織図上で前面に表れるものとして特定される各糸の表示色に対し上記濃淡変化を割り付け補正する鉛直方向補正処理を実行する手順と
をさらに備えている、繊維製品のシミュレーション画像生成方法。
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-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003121000A patent/JP2004326483A/ja not_active Withdrawn
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