JP3601718B2 - 織物構造に基づく織物表面効果を予測するシステム、予測方法、及び織物表面効果を表わす画像処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、織物組織図の構造による織り上り後の織物表面効果を予測する予測方法、及び織物表面効果を表わす画像処理システム、並びに画像処理装置及び織物表面効果を予測してその結果を画像表示する操作をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】
トランスモスコウテキスタイルインスティチュート
(TransMoscowText.Inst)1954年No.12
【非特許文献2】
ジャーナルテキスタイルインスティチュート(J.Text.Inst.)1964年No.55
【非特許文献3】
1993年繊維機械学会誌Vol.46
【非特許文献4】
1995年メリアンドテキスタイルベリヒテ(MelliandTextilberichte) No.6
従来から、織物の組織図から織り上がり後の織物の表面効果、つまり織物の表面の実際の模様或いは構造を予め予想する方法が種々試みられてきている。
【0003】
例えば、織物構造に於ける各特徴点について、トランスモスコウテキスタイルインスティチュート(TransMoscowText.Inst)1954年No.12(【非特許文献1】)においてセリバノフ(Selivanov)は、図2に示す様に、織物構造を組織点(Contact Field)、交錯点(Interlacing Field)、連続浮き又は連続沈み点(Free Field)、空隙(Space Field)に分割している。
【0004】
織物の交錯点に関する分析結果が示されており、その中で、交錯点(Interlacing Field)とは糸が浮きから沈みに変化する箇所であり、通常糸は屈曲していると定義されている。
【0005】
本願に於いても、この分割法を使用して説明する。(記載位置の変更)
又、ジャーナルテキスタイルインスティチュート(J.Text.Inst.)1964年No.55(【非特許文献2】)に於いてジェー・ビー・ハミルトン(J.B.Hamilton)は、交錯点(Interlacing Field)に於いて、屈曲した糸が直線に戻ろうとする力が働くことにより綾織・斜子織の組織で糸移動が起きていると述べている。しかし、多層構造・経曲がり構造・緯曲がり構造の織物では、糸が浮きから沈みに変化する箇所において糸の屈曲が小さく、更には、極端な例では、図3(下)に示す様に、糸が全く屈曲しないこともある。このように、上述した理論のみを使用した場合には、多層構造・経曲がり構造・緯曲がり構造では、交錯点(Interlacing Field)による糸の移動予測は行えない。
【0006】
また、1993年繊維機械学会誌Vol.46(【非特許文献3】)に於いて、王・中島・石倉・加瀬は、隣接する浮き糸の両端の配置状態に着目して、二重組織に於ける最表面を覆う浮き糸の判別アルゴリズムを提案している。王らの方法は糸が表面に現れるか、表糸に覆われて隠れるかを判別するので二重組織の外観を確認する目的としては有効であるが糸の移動方向を決定することができないため糸移動を予測することはできない。
【0007】
1995年メリアンドテキスタイルベリヒテ(MelliandTextilberichte) No.6(【非特許文献4】)に於いて、エス・リーブシャー(S.Liebscher)は、糸の移動現象をファジールール化して、模紗組織・蜂巣組織のシミュレートに成功している。ただしこの方法は適用できる組織が限られており、例えば、梨地組織などには適用できない。又、隣接する糸の浮き状態を比較しただけでは、糸移動を引き起こす要因が考慮されないので、実際の糸の移動方向や移動量は決定不可能である。
【0008】
このように、従来までの技術では、織物の組織図から織り上がり後の織物の表面効果を正確に予測してその結果を画像に表示して示す技術は未だ完成されてはいないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
模紗織や蜂巣織のように外観の差別化・機能性を付与するための多層構造織物など複雑な組織構造の織物が占める割合は増加する傾向にある。これに伴い、新しく組織を設計する機会も増加している。
【0010】
豊富な経験と知識を持つ熟練者は組織図を一見しただけで織り上がり形状をほぼ予想できる。しかしそういった熟練者を別にすると組織図からどんな表面形状に織り上がるのかを予測するのは容易ではない。
【0011】
特に凹凸形状を特徴とする組織や多層構造組織などは、組織図が複雑であり、織り上がり形状を予測するのは、相当の熟練者において初めて可能となる。
【0012】
また、織物用CADは広く普及している。かかるCADシステムに有っては、糸の配色効果を確認するには非常に有効であるが、表面形状を画面上で確認する技術は未だ確立されていない。
【0013】
そのため表面形状に特徴のある織物を企画するにあたり、組織を少しずつ変化させ繰り返し織機に於いて試織を行うのが現状であり、デザイナーのイメージに合った表面効果を得るまでの時間とコストが企業の大きな負担になってきている。
【0014】
従って、本発明は、上記した従来の技術の問題点を改良し、組織図から織物の表面形状を容易に且つ正確に予測することが可能な、織物構造に基づく織物表面効果を予測するシステム、予測方法、及び織物表面効果を表わす画像処理システムを提供するものであり、織り上がりシミュレートを画面上で行うことにより、新しく組織を設計する際の時間とコストを削減することが出来るようになるものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため、基本的に以下に記載されたような構成を採用するものである。
【0016】
即ち、本発明に係る第1の態様は、所定範囲の織物組織図の経糸と緯糸とが交差する中心点である組織点の位置座標を検出する組織点座標検出ステップAと、該組織点が含まれるすべての平織組織部を検出する平織組織部検出ステップBと、該組織点における経糸或いは緯糸が上述ステップBで検出された平織組織部から受ける応力を演算する応力演算処理ステップCと、ステップCで求めた応力を元に組織点の移動量を推定する移動量推定ステップDとを有することを特徴とする織物構造による表面効果を予測する方法である。
又、本発明における第2の態様としては、上述のステップA〜Dにより当該の各組織点に於ける移動量に基づいて、当該各組織点を移動させる組織点移動ステップEと、移動処理後の各組織点の新たな位置座標を使用して画像を表示する織り上げ画像表示処理ステップFとから構成されている事を特徴とする織組織から織物表面効果の画像を生成する方法である。
【0017】
更に、本発明に於ける第3の態様としては、所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置であって、織組織図データベース、糸データデータベース、縞データデータベース、平織組織部検索手段、各組織点に於ける移動力演算手段、各組織点に於ける制動力演算手段、各組織点に於ける移動量演算手段、当該設定された各組織点に於ける移動量に応答して、当該各組織点を所定の量、所定の方向に移動させる組織点移動手段、当該各手段を総合的に駆動制御する中央演算手段及び当該各手段の駆動制御を実行させるプログラムを含むアプリケーション格納手段とから構成されている事を特徴とする画像処理装置である。
【0018】
一方、本発明に於ける第4の態様としては、所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置に於いて、
当該所定の織物を構成する組織図から当該織組織を構成する全ての組織点の座標値データを入力する工程、当該所定の織物を構成する全ての糸に関する糸データを入力する工程、当該所定の織物を構成する全ての糸に関する縞データを入力する工程、当該座標値データから、当該織組織内に含まれる全ての平織組織部を抽出する工程、当該抽出された一つの平織組織部に含まれる一つの組織点に於ける当該経糸或は緯糸が当該平織組織部及び当該組織点が含まれる他の全ての平織組織部から受ける総合的なベクトルを予め定められた演算プログラムに従って演算処理し、当該組織点の水平方向の推定移動量を求める工程、上記工程を、当該全ての平織組織部に含まれる全ての組織点に対して実行する事によって全ての組織点に於ける水平方向の移動量を推定する工程、当該各組織点を当該個々の組織点に対して得られた個々の当該推定移動量に基づいて移動させ、その移動後の組織点の座標位置データを記憶する工程、当該移動後の組織点の座標位置データに基づいて、画像処理を行い、当該織物の表面効果を画像表示手段に表示する工程、とから構成されている画像処理方法をコンピュータに実行させる為のプログラムである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に於ける上記の織物表面効果予測システムは、上記したような技術構成を採用しているので、従来では、織物の設計から製織までの全ての技術に精通した極少数の熟練者でなければ、与えられた織物の組織図から製織して完成された織物の表面形状或いは表面効果を正確に予測することが不可能であったのに対し、当業者であれば誰でも容易に且つ簡単に織物構造を示す織組織図から完成後の織物の表面形状或いは織物の表面効果をほぼ正確に予測することが可能となる。織物の設計に要する工程及び時間を大幅に削減する事が出来るので、製織コストを低減化すると同時に織物の設計から完成までの時間を短縮する事が可能となる。
【0020】
【実施例】
【0021】
以下に、本発明にかかる織物の表面効果予測方法、及びそのシミュレーション方法を一具体例の構成を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に於ける織物の表面効果予測方法及びそのシミュレーション方法を実行する画像処理装置の一構成例を示したブロックダイアグラムであって、図中、所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置100であって、織組織図データベース5、糸データデータベース6、縞データデータベース7、平織組織部検索手段20、各組織点に於ける糸の移動力演算手段14、各組織点に於ける糸間の制動力演算手段15、各組織点に於ける移動量演算手段13、当該設定された各組織点に於ける移動量に応答して、当該各組織点を所定の量、所定の方向に移動させる組織点移動手段12、当該各手段を総合的に駆動制御する中央演算手段21及び当該各手段の駆動制御を実行させるプログラムを含むアプリケーション格納手段22とから構成されている画像処理装置100が示されている
本発明に於ける特徴は、織物が製織される際に当該織物の経糸と緯糸とが交差する組織点に於いて、当該組織点が織組織上の原点である座標位置から製織時にどのような力(ベクトル)を受け、如何なる方向に如何なる距離だけ水平移動するかを予測解析して、その予測された水平方向に予測された移動量だけ移動させる処理をコンピュータ上で演算し得られた結果を,画像処理手段を利用して画像表示手段上に表示させ、完成後の織物の表面効果、及び織物の表面構造をビジュアルに確認できる様に設定されたものである。
【0023】
本発明は、織物の組織図から平織構造を抽出して、その空隙(Space Field)を構成する経緯の糸に対して掛かる応力により、織物表面形状における糸の横移動を予測する手法を完成させたものであり、更には、かかる織物表面形状における糸の横移動を予測する手法を利用して、織物の組織図から織物表面効果をシミュレートする方法及び当該シミュレート方法を活用して織物表面効果を所定の画像表示装置に描画することが可能な画像処理システムを提供するものである。
【0024】
更に、本発明に於いては、糸の種類毎に異なる定数を用いて糸の移動力を計算する工程が含まれる画像処理システムや、糸の種類毎に異なる定数を用いて糸の制動力を計算する工程が含まれる画像処理システムが提供される。
【0025】
即ち、本発明に於ける糸の経方向及び又は横方向の移動を予測する手法は、複雑な織物構造に於いて4つの組織点の組み合わせによる平織構造を、隣接する組織点(Contact Field)だけでなく組織1循環にわたり抽出し、図4に示す空隙(Space Field)200を拡張する方向に糸の移動力がベクトルとして働くので、そのベクトルに合わせ組織点(Contact Field)を一定量だけずらす手法である。
【0026】
以下空隙(Space Field)に於ける糸の移動力は、ベクトルとして定義する。以下に織物構造による表面効果を予測する方法を詳述する。
【0027】
ここで、組織点座標検出ステップAについて説明する。
経糸及び緯糸に関する素材、糸の太さである番手、撚数、毛羽数、曲げ剛性等を含む糸データと、経糸及び緯糸の配列状態、糸密度が含まれた縞データと、組織図と、その一完全組織の四隅のうち何れかに設定された原点情報を入力パラメータとする。
英式綿番手からμmに変換するにはAshenhurstの経験式を用いる。
Ashenhurstの経験式
糸の直径(inch)=0.0438/√(繊維の比重)×1/√(英国式番手)
糸の直径(μm)=糸の直径(in)×25.4×1000
結果、以下のように求まる。
【0028】
純綿糸20番手(英式綿番手) ≒200.66μm
純ポリエステル20番手(英式綿番手)≒210.82μm
このうち、図10で入力された糸本数nと糸密度(本/inch)m、及び当該組織点上の糸の太さw(μm)を用いて、以下の式で経糸の組織点位置X1を全て求める。
【0029】
X1=n1/m1+n2/m2・・・+w/2
同様に緯糸の組織点位置Y1も以下の式を用いて全て求め、組織点座標データ配列に格納する。
【0030】
Y1=n1/m1+n2/m2・・・+w/2
経糸と緯糸が交差する組織点の数だけ座標位置の抽出を行い、同様に格納する。
【0031】
平織組織部検出ステップBについて説明する。
【0032】
当該組織点を構成要素とする、パラメータで与えられた検索範囲の組織に対し、当該組織点から平織構造を図5のように順次検索を行い、記録する。
【0033】
図5では、検索範囲として5を与えた場合、当該組織点からXY方向に±5の範囲で検索する。このとき検索範囲が一完全組織外に出た場合は、図5に示すように上下左右斜めの8方向にコピーすることにより一完全組織を拡張して、処理を続ける。
【0034】
一完全組織内のすべての組織点に対し、この処理を順次行う。
【0035】
応力演算処理ステップCについて説明する。
【0036】
平織構造部分では、糸は必ず曲げられた状態にあり、多量の曲げ反発力が含まれているので、平織構造部分の空隙を拡張する力が発生する。
【0037】
以下に移動量を求める方法を示す。
移動力計算;
糸間距離が短くなると糸の反発力が大きくなる。この糸の反発力を糸移動の原動力とし、これを移動力と呼ぶ。
【0038】
まず、平織構造を構成する組織点4点の縦と横方向の糸間距離を求める。
次に、縦と横方向の移動力Rを求める。移動力Rは、図6に示す様に2組織点間を平行に走る糸の直径d2・d3と、直行する糸の直径d1、糸間距離d5との関係で
以下の式で求める;
Rx =(d1x+(d2x+d3x)/2)/d5x
Ry =(d1y+(d2y+d3y)/2)/d5y
移動力計算の具体例として、模紗織組織図に適用する。
【0039】
模紗織組織図は、組織図の中心点と裏表に対し対称であるので、計算結果のxyの移動量に対し符号を反転するか、xとyを入れ替えることにより、組織点全100点のうち、図14に示す6点のみを計算すれば全領域を網羅できる。
【0040】
また、図14−fに示す組織点は、平織構造が多数存在するが、全ての平織構造が組織点に対し点対称の位置にあるので結果、移動量は0になる。
【0041】
よって、図14−a乃至図14−eの5点のみ計算すればよい。
【0042】
ここで、糸の太さd1x=d2x=d3x=d3y=200.66μm、
糸間距離d5x=d5y=264.00μmとすると、a.組織点1×1に対する、各平織構造は、点対称な平織構造を相殺すると図14−aに示すように、4点のみとなる。
【0043】
図14−aにおける各組織点の移動力を以下に列挙する。
移動力の総和;
当該組織点を含むすべての平織構造に対して、(1)のステップで求めた
移動力Rxn及びRynの和を、当該組織点の移動力とする。
移動力の総和に対する具体例として、(1)のステップ同様、模紗織組織図を
適用する。
【0044】
図14−aに対する移動力の総和は、(1)のステップにおける具体例で求めた、移動力Rx1乃至Rx4、及びRy1乃至Ry4の合計で求める。
である。
【0045】
同様にb.c.d.e.の組織点に対しても計算を行うと、
となる。
【0046】
次に、本発明にかかる織組織から織物構造の表面効果をシミュレートするシミュレート方法は、上記組織点座標検出ステップA、平織組織部検出ステップB及び応力演算処理ステップCで求められたベクトルを移動量推定ステップDに従って演算処理し、当該組織点の水平方向若しくは垂直方向の推定移動量を求めると共に、当該演算処理を当該全ての平織組織部に含まれる全ての組織点に対して実行する事によって全ての組織点に於ける水平方向若しくは垂直方向の移動量を推定し、次いで、当該各組織点を当該個々の組織点に対して得られた個々の当該推定移動量に基づいて移動させる事を特徴とする織組織から織物構造の表面効果をシミュレートするシミュレート方法である。
【0047】
本発明における当該織物構造の表面効果をシミュレートするシミュレート方法では、当該組織点の移動は、当該組織点を形成する経糸或いは緯糸又はその双方を、当該個々の組織点に与えられた水平方向若しくは垂直方向の移動ベクトル量に応じて移動させる事を特徴とするシミュレート方法である。
【0048】
更に、本発明に於いては、当該個々の組織点に於ける移動量の推定は、当該織物を構成している経糸及び緯糸に関する素材、番手、撚数、糸種、毛羽数等を含む糸データと、経糸或いは緯糸の配列状態、密度等を含む縞データ並びに当該個々の平織部の内周部に形成される空隙部の長さに関する空隙部長データとから、個々の当該組織点に於ける移動力を演算処理する事によって当該個々の組織点における移動量を求める様に構成されているシミュレート方法である。
【0049】
ここで、本発明に於て使用される移動量推定ステップDについて説明する。
【0050】
糸の推定移動量は、上記応力演算ステップCによって求めた移動力と、予め設定された定数と、移動を妨げる力とから求める。
推定移動量計算;
推定移動量Qは、移動力Rと定数Pを用い、以下の式で表現する。
【0051】
Qx=Rx×P
Qy=Ry×P
推定移動量計算の具体例として、(1)のステップ同様、模紗織組織図を適用する。
【0052】
図14−aに対する推定移動量は、応力演算処理ステップCにおける(2)移動力の総和ステップにおける具体例で求めた、移動力Rx、及びRyを用い求める。
【0053】
ここでPを定数10として計算すると。
である。
【0054】
同様にb.c.d.e.の組織点に対しても計算を行うと、
となる。
高さが等しい糸との衝突;
糸の移動方向に高さが等しい糸が存在すると、そこで移動は止まる。
【0055】
但し、障害となる糸が移動できる状態にあれば、両方の糸は連動して移動する。
糸自身の収縮力による移動力の緩和;
図7に示す様に糸が連続体である点を考慮しないと組織点間距離が、過大となる場合がある。
【0056】
そこで全組織点の推定移動量の計算後、一本の糸上で隣り合う組織点に反対の推定移動量が発生した場合、推定移動量を半分にする補正処理を行う。
【0057】
次に、本発明に於て使用する組織点移動ステップEについて説明する。
【0058】
以上により移動方向、移動量等を求めるが、通常、糸の移動により、組織点間距離が変わり、それにより移動力が減少したり、逆に新たな移動力が発生したりする。
【0059】
従って、シミュレーションは1回の移動だけで完了するのではなく、微小な移動を繰り返しながらその都度、移動方向と移動量を再計算させる。
【0060】
本発明に於けるシミュレート方法に於いては、当該各組織点に於ける移動量に基づいて、各組織点を移動させた後、当該移動後の各組織点の座標値を求める事も望ましい。
【0061】
一方、本発明に於けるシミュレート方法に於いて、上記した演算処理により求められた各組織点ごとの移動量及び移動方向に基づいて、当該組織点を所定の方向に所定の距離だけ移動させるために、各移動量を構成する経糸及び緯糸の一方或いは双方を移動させるに当たり、当該設定された移動量を一度の操作で画面上で移動させると、他の組織点への影響が強くなり他の組織点での移動量が予定される移動量よりも大きくなり、過剰な移動を行ってしまう恐れがあるので、好ましくは、所定の移動量に対して、部分的な移動量に分割して複数回繰り返す操作を採用することが好ましい。
【0062】
例えば、当該組織点における予想移動量が、仮に10μmであるとすると、一回の移動量を2.5μmとして4回移動操作を繰り返す様に操作するものである。
【0063】
つまり、当該各組織点に於いて設定された当該移動量に基づいて、各組織点を当該移動量に対する同一或いは相互に異なる所定の割合で、複数回に亘って段階的に移動させる事が好ましい。
【0064】
以下に、本発明に於ける組織点移動方向予測方法、織物構造の表面効果シミュレート方法、織物の表面効果を表示する画像処理方法、画像処理装置及び織物表面効果画像処理方法をコンピュータに実行させる為のプログラム等のより詳細な具体例を説明する。
【0065】
本発明における別の態様としては、上記した各種のシミュレート方法を使用して得られる当該所定の織組織図を持つ織物の一完全組織を構成する全ての組織点の座標値データと、当該織物に使用される糸データ及び当該一完全組織を構成する全ての組織点のそれぞれに於ける移動量データとを演算処理して当該織物の表面効果を示す画像情報を所定の画像表示装置に描画する織物の表面効果を表示する画像処理方法である。
【0066】
かかる画像処理方法は、上記した織物の一完全組織を構成する全ての組織点の座標データを移動処理操作の前後で所定の記憶手段に記憶させておき、当該データを織り上げ画像表示処理ステップFを使用して適宜の画像表示手段上に表示させる事によって、当該織物が織成完了後の表面効果を略忠実に再現した画像情報を容易に得る事が可能となる。
【0067】
次に、本発明に於て使用する織り上げ画像表示処理ステップFについて説明する。
【0068】
上記組織点移動ステップEによって求められた、経糸及び緯糸の組織点座標を通り、図1の6に示す糸情報データベースに格納された、糸の素材、番手、撚数、毛羽の特徴などと組織図データを元に、移動後の糸を復元する。かかる処理は織物用CADに当たっては特別な内容ではなく、織物用CADに於ける織り上げ表示機能をそのまま流用する事とする。
【0069】
本発明に於ける上記態様に於いて、当該個々の組織点の座標位置データが変更される毎に、その時点の当該織物の表面効果を表示する様に構成することも可能である。
【0070】
又、本発明に於ける別の態様としては、図1に示す様な、所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置100であって、当該画像処理装置100は、織組織図データベース5、糸データデータベース6、縞データデータベース7、平織組織部検索手段20、各組織点に於ける移動力演算手段14、各組織点に於ける制動力演算手段15、各組織点に於ける移動量演算手段13、当該設定された各組織点に於ける移動量に応答して、当該各組織点を所定の量、所定の方向に移動させる組織点移動手段12、当該各手段を総合的に駆動制御する中央演算手段21及び当該各手段の駆動制御を実行させるプログラムを含むアプリケーション格納手段22とから構成されている。
【0071】
本発明に於ける組織図データベース5は、各種の織組織について、その一完全組織を示すデータであって、構成されている個々の組織点の座標データを記憶しているルックアップテーブルであり、糸データデータベース6は、所定の織物に使用される各種の糸に関するデータを記憶するルックアップテーブルであり、例えば、紡績糸、フィラメント糸、番手、撚数、毛羽数、糸の素材等について、例えば、それぞれ移動力、或いは制動力に対する影響度を示す係数、糸の太さwがなどが記憶されている。
【0072】
又、縞データデータベース7は、経糸及び緯糸の配列状態を示すデータを記憶するルックアップテーブルであり、それぞれ移動力、或いは制動力に対する影響度を示す係数として、図10に示すように、経糸及び又は緯糸の密度、打ち込み数等が、記憶されている。
【0073】
又、本発明に於ける当該画像処理装置100に於いては、更に図8に示す組織図データ編集手段9、図9に示す糸データ編集手段10及び図10に示す縞データ編集手段11を有する。
【0074】
更に、本発明に於いては、当該織組織図データベース5、糸データデータベース6、縞データデータベース7からそれぞれ個別に選択されたデータと当該組織図データ編集手段9、糸データ編集手段10及び縞データ編集手段11等から選択された情報とから、当該各組織点における移動量及び移動方向を演算するための各種データを選択、抽出、加工等の処理を行って各種の演算処理工程に供給するための機能を有するデータ処理手段8が設けられている。
【0075】
更に、本発明に於いては、当該本発明にかかる画像表示手段16に表示されている画像情報を所定の媒体に印刷しえる印刷手段17を有する。
【0076】
次に、本発明に於ける織物表面効果画像処理方法の具体例を以下に説明する。
【0077】
即ち、本発明に於ける織物表面効果画像処理方法の一具体例としては、所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置100であって、織組織図データベース5、糸データデータベース6、縞データデータベース7、平織組織部検索手段20、各組織点に於ける移動力演算手段14、各組織点に於ける制動力演算手段15、各組織点に於ける移動量演算手段13、当該設定された各組織点に於ける移動量に応答して、当該各組織点を所定の量、所定の方向に移動させる組織点移動手段12、当該各手段を総合的に駆動制御する中央演算手段21及び当該各手段の駆動制御を実行させるプログラムを含むアプリケーション格納手段22とから構成されている画像処理装置100に於て、当該所定の織物を構成する組織図から当該織組織を構成する全ての組織点の座標値データを入力する第1の工程、
当該所定の織物を構成する全ての糸に関する糸データを入力する第2の工程、
当該所定の織物を構成する全ての糸に関する縞データを入力する第3の工程、
当該座標値データから、当該織組織内に含まれる全ての平織組織部を抽出する第4の工程、
当該抽出された一つの平織組織部に含まれる一つの組織点に於ける当該経糸或は緯糸が当該平織組織部及び当該組織点が含まれる他の全ての平織組織部から受ける総合的なベクトルを予め定められた演算プログラムに従って演算処理し、当該組織点の水平方向の推定移動量を求める第5の工程、
上記工程を、当該全ての平織組織部に含まれる全ての組織点に対して実行する事によって全ての組織点に於ける水平方向の移動量を推定する第6の工程、
当該各組織点を当該個々の組織点に対して得られた個々の当該推定移動量に基づいて移動させ、その移動後の組織点の座標位置データを記憶する第7の工程、
当該移動後の組織点の座標位置データに基づいて、画像処理を行い、当該織物の表面効果を画像表示手段に表示する第8の工程、とから構成されている織物表面効果画像処理方法である。
【0078】
上記の本発明に於ける基本的な織物表面効果画像処理方法を具体的に実行するための操作手順の例を、図15乃至図18を参照しながら説明する。
【0079】
即ち、図15に示す様に、まずスタート後、ステップ(S001)に於いて、組織図データを入力する工程が実行され、次いで、ステップ(S002)に於いて、糸データを入力する工程が実行される。
【0080】
その後、ステップ(S003)に於いて、縞データを入力する工程が実行された後、ステップ(S004)に於いて、上記組織点座標検出ステップAと平織組織部検出ステップB及び応力演算処理ステップCで示された、組織点の移動量を演算する操作が実行されることになる。
【0081】
次いで、ステップ(S005)に於いて、上記移動量推定ステップDで示された移動後の組織点座標を求める工程が実行された後、ステップ(S006)に進み、全組織点の移動量が定数より小さいか否かが判断され、NOである場合には、ステップ(S004)に戻り上記した各工程が繰り返し実行され、YESの場合には、ステップ(S007)に進んで、糸軸座標を求める工程が、実行される事になる。
【0082】
その後、ステップ(S008)に進み、シミュレーション結果得られた画像を所定の画像表示手段に表示する工程が実行されエンドとなる。
【0083】
上記したフローチャートに於ける、ステップ(S004)の組織点移動量演算処理工程に於ける具体的手順の詳細のサブルーチンを、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0084】
スタート後、ステップ(S101)に於いて、特定の織物組織に於ける特定の組織点、つまり注目組織点を選択抽出を行う設定処理操作を行い、次いで、ステップ(S102)に於いて、当該注目している特定の組織点を含む全ての平織組織構造部分を抽出する。
【0085】
その後、ステップ(S103)に進み、当該特定の選択された組織点に於ける移動力を演算する操作が実行された後、ステップ(S104)に於いて、当該特定の選択された組織点に於ける制動力を演算する操作が実行される事になる。
【0086】
次いで、ステップ(S105)に進み、当該特定の選択された組織点に於ける移動量を求める演算処理操作が実行された後、ステップ(S106)に於いて、一度に多量の移動を行うと移動量計算が収束しないので、糸間距離d5の3倍を糸の移動上限値として、糸の当該移動量が移動上限値より大きいか否かが判断する。
【0087】
NOで有れば、ステップ(S108)へジャンプするが、YESである場合には、ステップ(S107)に於いて、当該組織点を予め定められた移動上限値まで移動させる操作が実行され、ステップ(S108)へ進む事になる。
【0088】
次いで、ステップ(S108)に於いては、同一組織に於ける他の注目組織点を選択し、上記の処理を行い、かかる操作を当該織組織の全ての組織点に対して実行されたか否かが判断され、NOであればステップ(S101)に戻って、上記した各工程が別の組織点に対して繰り返され、YESであれば、エンドとなる。
【0089】
更に、上記したサブルーチンに於ける、それぞれの組織点に於ける移動力の演算処理に関する操作手順の一例を図17に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0090】
即ち、スタート後、ステップ(S201)に於いて、平織構造の空隙長、即ち図6に於ける糸間距離(d5)を経糸及び緯糸に対して求める演算処理が実行され、
【0091】
次いで、ステップ(S202)に進み、空隙長の評価が行われ、ステップ(S203)に於いて、曲げ反発力の評価が行われる。
【0092】
その後、ステップ(S204)に進み、左右糸移動力の比較処理が実行され、ステップ(S205)に於いて、上下糸の移動力の比較処理が実行される。
【0093】
次いで、ステップ(S206)に進み、当該組織点の移動力が演算処理によって求められ、エンドとなる。
【0094】
上記したサブルーチンに於ける、それぞれの組織点に於ける制動力の演算処理に関する操作手順の一例を図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0095】
即ち、スタート後、ステップ(S301)に於いて、隣接する組織点での移動力により発生する糸の収縮力を評価する操作が実行され、ステップ(S302)に進み、当該隣接する平織構造による移動力の評価が実行される。
【0096】
続いて,ステップ(S303)に進み、各組織点における移動方向に同一高さの糸が存在するときの評価が行われ、ステップ(S304)に進み、各当該組織点の制動力が演算で求められ、エンドとなる。
【0097】
入力された模紗織組織図に対し、上記全ステップを繰り返し行うことにより、図12に示す、模紗織シミュレーション結果が得られる。
一例として、模紗織構造の一つの組織点に着目して、当該組織点を含む平織構造を抽出すると、図5で示す平織構造の対角が得られる。
【0098】
このうち当該組織点を中心とする、点対称となる対角は相殺されるので、結果図11に示す模紗織平織構造の対角のみを考慮すればよい。
【0099】
本発明に於ける更に別の具体的としては、織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置であって、織組織図データベース、糸データデータベース、縞データデータベース、平織組織部検索手段、各組織点に於ける移動力演算手段、各組織点に於ける制動力演算手段、各組織点に於ける移動量演算手段、当該設定された各組織点に於ける移動量に応答して、当該各組織点を所定の量、所定の方向に移動させる組織点移動手段、当該各手段を総合的に駆動制御する中央演算手段及び当該各手段の駆動制御を実行させるプログラムを含むアプリケーション格納手段とから構成されている画像処理装置に於て、当該所定の織物を構成する組織図から当該織組織を構成する全ての組織点の座標値データを入力する工程、当該所定の織物を構成する全ての糸に関する糸データを入力する工程、当該所定の織物を構成する全ての糸に関する縞データを入力する工程、当該座標値データから、当該織組織内に含まれる全ての平織組織部を抽出する工程、当該抽出された一つの平織組織部に含まれる一つの組織点に於ける当該経糸或は緯糸が当該平織組織部及び当該組織点が含まれる他の全ての平織組織部から受ける総合的なベクトルを予め定められた演算プログラムに従って演算処理し、当該組織点の水平方向の推定移動量を求める工程、上記工程を、当該全ての平織組織部に含まれる全ての組織点に対して実行する事によって全ての組織点に於ける水平方向の移動量を推定する工程、当該各組織点を当該個々の組織点に対して得られた個々の当該推定移動量に基づいて移動させ、その移動後の組織点の座標位置データを記憶する工程、当該移動後の組織点の座標位置データに基づいて、画像処理を行い、当該織物の表面効果を画像表示手段に表示する工程、とから構成されている織物表面効果画像処理方法をコンピュータに実行させる為のプログラムである。
【0100】
【発明の効果】
本発明にかかる各発明は、上記した技術構成を採用しているので、上記した従来の技術の問題点を改良し、組織図から織物の表面形状を容易に且つ略正確に予測することが可能な、織物構造に基づく織物表面効果を予測するシステム、予測方法、及び織物表面効果を表わす画像処理システムを提供するものであり、織り上がりシミュレートを画面上で行うことにより、新しく組織を設計する際の時間とコストを削減することが出来るようにするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に於ける織物表面効果を表わす画像処理システムの一具体例の構成を示すブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、セリバノフ(Silvanov)(1954)のField理論を示す図である。
【図3】図3は、交錯点(Interlacing Field)の形態の例を示す図である。
【図4】図4は、空隙(Space Field)における糸移動を引き起こす原動力を解説する図である。
【図5】図5は、模紗織における全平織構造の検索を示す図である。
【図6】図6は、糸間密度を演算する方法を説明する図である。
【図7】図7は、近傍移動力が逆方向にかかる場合の補正の例を示す図である。
【図8】図8は、組織図データ編集手段を示す図である。
【図9】図9は、糸データ編集手段を示す図である。
【図10】図10は、縞データ編集手段を示す図である。
【図11】図11は、模紗織における全平織構造の対角の相殺を示す図である。
【図12】図12は、模紗織におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図13】図13は、平織構造間で生じる移動力の相殺の状態を例示する図である。
【図14】図14は、模紗織組織図における移動力計算シミュレーションの計算を、例示する図である。
【図15】図15は,本発明に於ける織物表面効果画像処理方法の操作手順の一具体例を説明するシステムフローチャートである。
【図16】図16は、図15に於いて示される組織点の移動量演算手段を実行するための操作手順の一具体例を説明するフローチャートである。
【図17】図17は、図16に於いて示される特定組織点における移動力を演算するための操作手順の一例を説明するフローチャートである。
【図18】図18は、図16に於いて示される特定組織点における制動力を演算するための操作手順の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
5 織組織図データベース
6 糸データデータベース
7 縞データデータベース
9 組織図データ編集手段
10 糸データ編集手段
11 縞データ編集手段
12 組織点移動手段
13 組織点に於ける移動量演算手段
14 組織点に於ける移動力演算手段
15 組織点に於ける制動力演算手段
16 画像表示手段
17 印刷手段
18 画像処理手段
20 平織組織部検索手段
21 中央演算手段
22 アプリケーション格納手段
100 織物の表面効果を表示する画像処理装置
Claims (11)
- 所定範囲の織物組織図の経糸と緯糸とが交差する中心点である組織点の位置座標を検出する組織点座標検出ステップAと、該組織点が含まれるすべての平織組織部を検出する平織組織部検出ステップBと、該組織点における経糸或いは緯糸が当該ステップBで検出された平織組織部から受ける応力を予め定められた演算プログラムにより演算する応力演算処理ステップCと、組織点の移動量を推定する移動量推定ステップDとを有することを特徴とする織物構造による表面効果を予測する方法。
- 当該各組織点に於いて設定された当該移動量に基づいて、各組織点を当該移動量に対する同一或いは相互に異なる所定の割合で、複数回に亘って段階的に移動させる事を特徴とする請求項1記載の予測方法。
- 所定範囲の織物組織図の経糸と緯糸とが交差する中心点である組織点の位置座標を検出する組織点座標検出ステップAと、該組織点が含まれるすべての平織組織部を検出する平織組織部検出ステップBと、該組織点における経糸或いは緯糸が当該ステップBで検出された平織組織部から受ける応力を予め定められた演算プログラムにより演算する応力演算処理ステップCと、該組織点の移動量を推定する移動量推定ステップDと、当該推定された各組織点の移動量に基づいて、当該各組織点を移動させる組織点移動ステップEと、移動処理後の各組織点の新たな位置座標を使用して画像表示処理を実行する織り上げ画像表示処理ステップFとから構成されている事を特徴とする織組織から織物表面効果の画像を生成する方法。
- 請求項3による当該個々の組織点に於ける移動量の推定は、当該織物を構成している経糸及び緯糸に関する素材、番手、撚数、糸種、毛羽数等を含む糸データと、経糸及び緯糸の配列状態、密度等を含む縞データ並びに当該個々の平織部の内周部に形成される空隙部の長さに関する空隙部長データとから、個々の当該組織点に於ける移動力を演算処理する事によって、当該個々の組織点における移動量を求める事を特徴とする織物表面効果の画像生成方法。
- 請求項3又は4による当該個々の組織点に於ける移動量の推定に際し、当該組織点が属する平織組織部を構成する経糸及び緯糸の曲げ反発力を演算処理要素として使用する事を特徴とする織物表面効果の画像生成方法。
- 請求項3乃至5の何れかによる当該個々の組織点に於ける移動量の推定に際し、当該移動力の演算処理に加えて、当該移動力が測定されている当該組織点に於いて、当該組織点に隣接する織組織点の移動により発生する当該経糸及び緯糸に与えられる収縮力データ、当該移動力が測定されている当該組織点が含まれる当該平織組織部に隣接する平織組織部による移動力データ、或いは当該経糸或いは緯糸が移動する方向に同一の高さの糸が存在するか否かのデータ等から、当該織物の各組織点に於ける制動力を演算処理によって求める事により個々の組織点における移動量を求める事を特徴とする織物表面効果の画像生成方法。
- 当該各組織点に於いて設定された当該移動量に基づいて、各組織点を当該移動量に対する同一或いは相互に異なる所定の割合で、複数回に亘って段階的に移動させる事を特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の織物表面効果の画像生成方法。
- 上記した請求項3乃至8の何れかに記載の画像生成方法を使用して得られる、当該所定の織組織図を持つ織物の一完全組織を構成する全ての組織点の座標値データと、当該織物に使用される糸データ及び当該一完全組織を構成する全ての組織点のそれぞれに於ける移動量データとを演算処理して当該織物の表面効果を示す画像情報を所定の画像表示装置に描画する事を特徴とする織物の表面効果を表示する画像処理方法。
- 当該個々の組織点の座標位置データが変更される毎に、その時点の当該織物の表面効果を表示する様に構成されている事を特徴とする請求項8記載の画像処理方法。
- 所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置であって、織組織図データベース、糸データデータベース、縞データデータベース、平織組織部検出手段、各組織点に於ける移動力演算手段、各組織点に於ける制動力演算手段、各組織点に於ける移動量演算手段、当該設定された各組織点に於ける移動量に応答して、当該各組織点を所定の量、所定の方向に移動させる組織点移動手段、当該各手段を総合的に駆動制御する中央演算手段及び当該各手段の駆動制御を実行させるプログラムを含むアプリケーション格納手段とから構成されている事を特徴とする画像処理装置。
- 所定の織物構造による表面効果を織組織図から予測して画像表示を行う織物の表面効果を表示する為の画像処理装置に於いて、
当該所定の織物を構成する組織図から当該織組織を構成する全ての組織点の座標値データを入力する工程、当該所定の織物を構成する全ての糸に関する糸データを入力する工程、
当該所定の織物を構成する全ての糸に関する縞データを入力する工程、当該座標値データから、当該織組織内に含まれる全ての平織組織部を抽出する工程、当該抽出された一つの平織組織部に含まれる一つの組織点に於ける当該経糸或は緯糸が当該平織組織部及び当該組織点が含まれる他の全ての平織組織部から受ける総合的なベクトルを予め定められた演算プログラムに従って演算処理し、当該組織点の水平方向の推定移動量を求める工程、上記工程を、当該全ての平織組織部に含まれる全ての組織点に対して実行する事によって全ての組織点に於ける水平方向の移動量を推定する工程、当該各組織点を当該個々の組織点に対して得られた個々の当該推定移動量に基づいて移動させ、その移動後の組織点の座標位置データを記憶する工程、当該移動後の組織点の座標位置データに基づいて、画像処理を行い、当該織物の表面効果を画像表示手段に表示する工程、とから構成されている画像処理方法をコンピュータに実行させる為のプログラム。
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